(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関および燃料インフラシステムにおける腐食を軽減する方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の含酸素ガソリン組成物を含む燃料組成物を用いて、前記内燃機関または前記燃料インフラシステムを動作させるステップを含む、上記方法。
【背景技術】
【0003】
原油供給不足の増大に対する世界的な懸念から、燃料供給を拡大するために、ガソリン中の配合剤としての多くの材料の使用が推進されている。環境問題により、排出物を減少させるための含酸素ガソリンの使用も推進されている。メタノール、エタノール、およびt−ブタノールが、最も広く使用されるアルコール配合剤として出現している。tert−ブタノールなどの共溶媒との混合物であることが多いメタノールは、市販のガソリン中に使用されている。
【0004】
しかし、メタノール、エタノール、ブタノールなどの極性オキシジェネートのガソリンブレンド中での使用は、広範囲にわたる影響が生じる。その1つは、ロジスティックチェーンおよび乗り物自体の両方における腐食の問題の発生である。パイプラインおよび貯蔵タンクにおいては、通常は壁上に残存するさびがアルコールによって遊離し、システムを介して移動する。
【0005】
おそらく、ガソリンブレンド中の市販のエタノールの使用におけるより大きな懸念は、相分離の問題であり、これは水を含有するエタノールのガソリンに対する溶解性が限定されるために生じる。相分離が起こると、水が金属および金属合金に接触するため、乗り物の燃料分配システムおよび乗り物のエンジンを構成する多くの金属および合金の腐食が促進される。特に、燃料タンクのターンプレート、(鉛80〜90%およびスズ10〜20%の合金で被覆された鋼)、亜鉛およびアルミニウムのダイカストキャブレター、ならびに燃料ポンプの部品、真鍮製フィッティング、鋼製ラインなどは、ガソリン−エタノール燃料混合物に曝露すると腐食されうる。
【0006】
バイオエタノールおよびt−ブチルエチルエーテルに加えて、生物学的に誘導されたブタノール、すなわちバイオブタノールは、ますますバイオエタノールの代替品として見なされており、その理由は、燃料調製の観点から、すなわちより高いエネルギー含有量、水に対するより低い混和性、より低い蒸気圧、およびより低い腐食性から、バイオエタノールに対する利点を有するからである。燃料中のバイオブタノール濃度は、エンジンを改良する必要なしに、最大30%v/vに到達することができる。ブタノール燃料は酸素原子を含有するため、化学量論的空気/燃料比はガソリンの場合よりも小さく、同量の空気が導入される場合により多くの燃料が必要となる。酸素含有量によって燃焼が改善されることが分かっており、したがってより低いCOおよびHC放出を期待できる。バイオブタノールおよびその混合物は、輸送タンクおよび燃料補給インフラなどの現在のガソリン供給システムに直接使用することができる。バイオブタノールは、さらなる大規模供給インフラを用いずにガソリンとブレンドすることができ、このことはバイオエタノールの使用とは対照的に大きな利点となる。最後に、バイオブタノールは無毒で非腐食性であり、容易に生分解することができ、土壌および水の汚染の危険性が生じない。
【0007】
エタノールと比較すると、バイオブタノールは、ガソリンとブレンドすることによって重要な利点を示す。これらの混合物は、水の存在下での相安定性、低温特性、長期保管中の酸化安定性、蒸留特性、および起こりうる大気汚染に関する揮発性が良好である。バイオブタノール中の酸素含有量はエタノール中よりも低いという事実によって、ガソリン中の酸素含有量において規制される制限に関して、バイオブタノールは、より高い濃度でガソリンに加えることができる。ガソリン中のより高いバイオブタノール含有量によるエンジンの改良は不要である。バイオブタノールの発熱量(エネルギー密度)はガソリンに近く、燃料消費に関して好ましい効果を有する。バイオブタノールはガソリンよりもわずかに密度が高いが、バイオブタノール/ガソリン混合物の密度増加が小さいため、最大30%v/vのバイオブタノールを含有する自動車ガソリンに関する制限を満たすための問題は発生しない。
【0008】
このオキシジェネート含有ガソリンの腐食の問題は、無水または実質的に無水のオキシジェネートを配合剤として使用することによって、ある程度軽減することができる。しかし、燃料混合物が水に曝露すると、エタノールなどのオキシジェネートの相分離が生じる。相分離が起こらない場合でさえも、エタノールの生成中に形成される微量の酢酸、アセトアルデヒド、酢酸エチル、およびブタノールが燃料ブレンド中に存在することで腐食が生じることがある。製造、保管、および輸送中に燃料に取り込まれうる腐食性の高い塩化ナトリウムなどの溶存無機塩によって別の腐食の問題が発生することもある。
【0009】
1980年代後半、添加剤の企業は、含酸素ガソリン用の特殊な腐食防止性添加剤を導入した。これらの添加剤は、通常、従来の非含酸素ガソリン中に使用されるカルボン酸型腐食防止剤とおよびアミン中和剤との組み合わせである。これらの材料の多くは、保護することが望ましい金属表面上に吸着され始めることによって機能すると考えられる。この吸着によって物理的障壁が形成され、これが金属−溶液界面を介した腐食性反応物の移動を妨害する。これらの添加剤は、エタノールまたはメタノールと共溶媒とを含有する含酸素ガソリンにおいて首尾良く使用されている。しかし、十分に確立されていないことは、含酸素ガソリン中の腐食防止剤の長期有効性である。
【0010】
ガソリン用の鋼腐食防止剤の試験は、NACE試験(National Association of Corrosion Engineers Method TM−01−72)を用いて一般に行われる。しかし、OEMは腐食防止剤の長期有効性などの含酸素ガソリンブレンドの安定性に関心があるため、添加剤の供給元はNACE試験における熱老化性能を報告しており、Renewal Fuels Association(RFA)は、長期の周囲老化期間後のNACE試験を推奨する工業指針を提供している。
【0011】
したがって、ガソリン燃料ブレンド中の市販のエタノールの保管および輸送のために使用される従来のシステムの腐食の抑制または防止のいずれかを行い、これらの燃料が最終的に使用される乗り物の燃料系統の腐食を抑制または防止する腐食防止剤が現在必要とされている。燃料にガム成分への付加などの悪影響を回避し、コストを最小限にするために、腐食防止剤が非常に少量で有効となることが重要である。また腐食防止剤は水を乳化すべきではない。
【0012】
特に問題となるのは、期待される貯蔵寿命をシミュレートするために、少なくとも120日にわたって腐食防止剤が有効となるOEMの要求である。一般に、新しい自動車、トラック、および自走車が組み立てられた後、それらの燃料タンクには一般に適切な燃料がある程度充填され、その後、それらの乗り物は、最終的な顧客への販売および配送が行われる場所まで輸送される。自動車産業は世界規模の性質のため、乗り物の組立が、その乗り物の販売場所とは世界の異なる地域で行われることが多いので、これらの燃料タンク中に配置される燃料は、それらの乗り物の輸送および保管の間の長期間にわたって使用されないままとなることが多い。
【0013】
これらの期間の間、実質的に保存状態である燃料タンク中の燃料は、その初期の完全性を維持する必要があり、新しい乗り物における後の始動および運転によって、さらには乗り物の燃料系統中に望ましくない堆積物が形成されることによって、燃料の分解を伴う劣化が生じて、より長期の操作性の問題が発生しないことが必要である。そのように使用される燃料は、ガムおよび沈殿物の形成に抵抗性であり、酸化が最小限であり、燃料系統の金属部分の腐食を防止し、新しい金属表面を不動態化する必要がある。同様に、自動車組立場所における燃料貯蔵施設、たとえば、タンク設備、ポンプ、および配管でも、新しく組み立てられた乗り物に送るために保管された多量の燃料から、これらの望ましくない固体材料が堆積しやすい。
【0014】
燃料の所望の貯蔵安定性は、通常、適切な添加剤を新しい燃料に加えることによって行われる。通常、芳香族ジアミン類またはヒンダードフェノール類などの酸化防止剤、カルボン酸系腐食防止剤、およびサリチリデンジアミン類などの金属イオン封鎖剤の複合的な組み合わせが、安定性を誘導する添加剤として燃料に加えられる。
【0015】
燃料安定性添加剤混合物は、単独で使用される場合も、一部として使用される場合も、含酸素ガソリン中での使用に適合し、長期間にわたって有効性が維持される腐食防止剤が必要とされている。
【0016】
ある種の腐食防止剤中に存在するカルボン酸官能基は、一部の添加剤配合物に対して悪影響を及ぼすことも分かっている。これらの作用の厳密な性質を明らかにすることは困難であるが、酸性の腐食防止剤が、添加剤配合物中の特定のアミン塩基と反応して塩を形成し、これが溶液から沈殿し手望ましくないスラッジを形成する場合に、問題が発生することが分かっている。本発明は、含酸素ガソリン用の長期作用性腐食防止剤の特定に関するだけでなく、望ましくないスラッジを最小限にするために酸対アミンの官能基の比を制約することが望ましい。
【0017】
多くの腐食防止剤が知られている。たとえば、特許文献1には2−ヒドロカルビルチオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールが開示されており、硫黄捕捉剤として有用であると記載されている。
【0018】
特許文献2には、自動車用ガソリン、航空ガソリン、ジェット燃料、タービン油などの石油系担体用の防錆性化合物として、1モル当量の多価アルコールと2モル当量の無水物との反応によって生成されるアルキルまたはアルケニルコハク酸無水物の部分エステルが開示されている。
【0019】
特許文献3には、(1)少なくとも1つのヒドロカルビル基を含有し約300〜5000の間の分子量を有する5〜50重量パーセントのヒドロカルビルアミンと、(2)0.1〜10重量パーセントのC12〜C30ヒドロカルビルコハク酸または無水物と、(3)0.1〜10重量パーセントの解乳化剤と、(4)40〜90重量パーセントの不活性炭化水素溶媒とを含む、改善された防錆性を有する燃料添加剤が開示されている。
【0020】
特許文献4には、有機組成物中の防錆剤または腐食防止剤としての、アルケニルコハク酸無水物と、2〜約18個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロキシ酸との縮合によって得られる新規なジカルボン酸エステル−酸、および前記エステル−酸のアミン塩が開示されている。
【0021】
特許文献5には、(a)約75〜95重量パーセントの、約16〜18個の炭素を有する重合不飽和脂肪族モノカルボン酸と、(b)約5〜25重量パーセントの、アルケニル基が8〜18個の炭素を有するモノアルケニルコハク酸との混合物からなる、炭化水素燃料用の改善された腐食防止組成物が開示されている。
【0022】
特許文献6は、トリアゾールと塩基性窒素化合物との油溶性付加体を含む腐食防止組成物に関する。
【0023】
特許文献7は、含酸素燃料系統中の金属の腐食を防止するためのアルキルまたはアルケニルコハク酸の使用に関する。
【0024】
特許文献8は、エタノールと腐食防止剤とを含有する燃料を燃焼させるエンジンの腐食を軽減し耐久性を改善するための組成物および方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
種々の条件下で、特に生物学的に誘導されたブタノールを含むガソリンブレンドなどの種々の含酸素燃料に曝露したときに、燃料流通インフラおよび内燃機関を保護し、多量の不要物を生成したり、エンジン中のバルブやインジェクターに固着したりすることがないが、他の含酸素ガソリンブレンドよりも高い再生可能含有率を有する、長期間作用する腐食防止剤またはそれらの混合物を低い処理率(treat rate)で有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、改善された腐食特性を有する含酸素ガソリン組成物であって、ガソリンブレンドストックと;約1〜約85v/v%のオキシジェネートまたはそれらの混合物と、ある量の1種類以上の腐食防止剤とを含み、腐食防止剤の量はガソリンブレンドの約3.00〜約50ptbであり、組成物が約1.00〜約3.00の酸/アミンeq/eq比を有する、含酸素ガソリン組成物に関する。オキシジェネートとしては、ブタノール、特に生物学的に誘導されたブタノール、それらの異性体、またはバイオブタノールおよびバイオエタノールなどの生物学的に誘導されたアルコールのブレンドを挙げることができる(バイオエタノールおよびバイオブタノールは、アルコールが発酵または他の生物学的生産によって生成される生物学的に誘導されたアルコールを意味する)。
【0028】
本発明は、改善された腐食特性を有する含酸素ガソリン組成物であって、ガソリンブレンドストックと、約1〜約85v/v%のオキシジェネートまたはそれらの混合物と、ある量の1種類以上の腐食防止剤とを含み、腐食防止剤の量はガソリンブレンドの約1〜約50ptbであり、前記1種類以上の腐食防止剤は約1.00〜約3.00の酸/アミン当量比を有する、含酸素ガソリン組成物にも関する。
【0029】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、少なくとも1種類のダイマー酸、少なくとも1種類のトリマー酸、およびそれらの混合物からなる群から選択され;前記ダイマーおよびトリマー酸は、それぞれ不飽和脂肪酸の二量化または三量化によって得られる。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、少なくとも1種類のアルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む。ある実施形態においては、前記アルキルまたはアルケニルカルボン酸はアルケニルコハク酸である。
【0030】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、通常約6〜約20個の炭素原子を有する飽和脂肪族主鎖と、少なくとも1つの非環式低級アルキル基とを有する少なくとも1種類のイソ脂肪酸(isoaliphatic acid)を含む。
【0031】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、不飽和脂肪酸と1種類以上の不飽和カルボン酸試薬との少なくとも1種類の付加生成物を含む。ある実施形態においては、不飽和脂肪酸は、トール油脂肪酸およびオレイン酸からなる群から選択される。
【0032】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は少なくとも1種類のトリカルボン酸を含む。ある実施形態においては、トリカルボン酸は、トリマー酸、不飽和脂肪酸とαβ不飽和ジカルボン酸との1種類以上の反応生成物、またはそれらの混合物である。ある実施形態においては、トリカルボン酸またはその誘導体は、アルケニルコハク酸無水物とαβ不飽和ジカルボン酸との反応生成物、またはそれらの官能性誘導体である。ある実施形態においては、αβ不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびそれらの官能性誘導体からなる群から選択される。
【0033】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、1種類以上のオレフィンまたはポリアルケンとαβ不飽和ジカルボン酸との少なくとも1種類の反応生成物を含む。ある実施形態においては、1種類以上のオレフィンは、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、および1−テトラコセンからなる群から選択される。ある実施形態においては、1種類以上のオレフィンは、C15〜18α−オレフィン、C12〜C16α−オレフィン、C14〜16α−オレフィン、C14〜18α−オレフィン、C16〜18α−オレフィン、C16〜20α−オレフィン、C18〜24α−オレフィン、およびC22〜28α−オレフィンからなる群から選択される。ある実施形態においては、αβ不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびそれらの官能性誘導体からなる群から選択される。ある実施形態においては、反応生成物はドデセニルコハク酸である。
【0034】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、少なくとも1種類のダイマー酸と少なくとも1種類のアミンとの少なくとも1種類の反応生成物を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、少なくとも1種類のトリマー酸と少なくとも1種類のアミンとの少なくとも1種類の反応生成物を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止は、少なくとも1種類のアルキルまたはアルケニルカルボン酸と少なくとも1種類のアミンとの少なくとも1種類の反応生成物を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、通常約6〜約20個の炭素原子を有する飽和脂肪族主鎖と少なくとも1つの非環式低級アルキル基とを有する少なくとも1種類のイソ脂肪酸と、少なくとも1種類のアミンとの少なくとも1種類の反応生成物を含む。
【0035】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、不飽和脂肪酸と、1種類以上の不飽和カルボン酸試薬と、少なくとも1種類のアミンとの少なくとも1種類の付加生成物を含む。ある実施形態においては、不飽和脂肪酸は、トール油脂肪酸およびオレイン酸からなる群から選択される。
【0036】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、少なくとも1種類のトリカルボン酸および少なくとも1種類のアミンを含む。ある実施形態においては、トリカルボン酸は、トリマー酸、または不飽和脂肪酸とαβ不飽和ジカルボン酸との1種類以上の反応生成物、またはそれらの混合物である。ある実施形態においては、トリカルボン酸またはその誘導体は、アルケニルコハク酸無水物とα,β不飽和ジカルボン酸との1種類以上の反応生成物、またはそれらの官能性誘導体である。ある実施形態においては、αβ不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびそれらの官能性誘導体からなる群から選択される。
【0037】
ある実施形態においては、アミンは脂肪アミンである。ある実施形態においては、脂肪アミンは、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイアミン(oleyamine)、タローアミン、ココアミン、およびソヤアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0038】
ある実施形態においては、アミンは第1級エーテルアミンである。ある実施形態においては、第1級エーテルアミンは、式R
1(OR
2)
n−NH
2(式中、R
1は、約1〜約20個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、R
2は、約2〜約6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり;nは1〜約10の数である)で表される。ある実施形態においては、第1級エーテルアミンは、デシルオキシプロピルアミン、直鎖C−16エーテルアミン、およびトリデシルオキシプロピルアミン、イソヘキシルオキシプロピルアミン、2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン、オクチル/デシルオキシプロピルアミン、イソデシルオキシプロピルアミン、イソドデシルオキシプロピルアミン、イソトリデシルオキシプロピルアミン、およびC12〜15アルキルオキシプロピルアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0039】
ある実施形態においては、アミンは、式(R
1)
3C−NH
2(式中、R
1は独立して、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である)、または式R
1−C(R
2)−NH
2(式中、R
1は、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、R
2は、1〜約12個の炭素原子を含有する二価のヒドロカルビレン基である)で表される第3級アルキル第1級アミンである。ある実施形態においては、R
2はアルキレン基である。ある実施形態においては、アミンは、tert−ブチルアミン、tert−ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、tert−オクチルアミン、tert−デシルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサデシルアミン、tert−オクタデシルアミン、tert−テトラコスアニルアミン(tert−tetracos anylamine)、およびtert−オクタコサニルアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0040】
ある実施形態においては、アミンは、式R
1−NH−(CH)
n−NH
2(式中、R
1は、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、nは1〜約20である)で表される。
【0041】
ある実施形態においては、アミンは、ジシクロヘキシルアミンおよびN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0042】
ある実施形態においては、アミンはポリアミンである。ある実施形態においては、ポリアミンは脂肪ジアミンである。ある実施形態においては、脂肪ジアミンは、N−オクチルジアミノアルカン、N−デシルジアミノアルカン、N−ドデシルジアミノアルカン、N−テトラデシルジアミノアルカン、N−ヘキサデシルジアミノアルカン、N−オクタデシルジアミノアルカン、N−ステアリルジアミノアルカン、N−オレイルジアミノアルカン、N−タロージアミノアルカン、N−ココイルジアミノアルカン、およびN−ソヤジアミノアルカンからなる群から選択される少なくとも1種類である。ある実施形態においては、脂肪ジアミンは、N−ココ−1,3−ジアミノプロパン、N−ソヤ−1,3−ジアミノプロパン、N−タロー−1,3−ジアミノプロパン、およびN−オレイル−1,3−ジアミノプロパンからなる群から選択される少なくとも1種類である。ある実施形態においては、ポリアミンは、ポリオキシアルキレンジアミンおよびポリオキシアルキレントリアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。ある実施形態においては、ポリアミンは、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、モノ(ヒドロキシプロピル)置換テトラエチレン−ペンタミン、およびN−(3−ヒドロキシブチル)テトラメチレンジアミンからなる群から選択される少なくとも1種類のヒドロキシ含有ポリアミンである。ある実施形態においては、ポリアミンは、メチレンポリアミン類、エチレンポリアミン類、ブチレンポリアミン類、プロピレンポリアミン類、ペンチレンポリアミン類、ピペラジン類、およびN−(アミノアルキル)置換ピペラジン類からなる群から選択される少なくとも1種類のアルキレンポリアミンである。ある実施形態においては、アルキレンポリアミンは、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリス−(2−アミノエチル)アミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、トリプロピレンテトラミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、およびペンタエチレンヘキサミンからなる群から選択される。ある実施形態においては、ポリアミンは、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ−(ヒドロキシプロピル)アミン、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンからなる群から選択される1種類以上のポリヒドリックアミン(polyhydric amine)である。
【0043】
ある実施形態においては、アミンは、式NH
2(CH
2)
n−NH−(CH
2)
m−O−R、(式中、nおよびmは独立して1〜約10であり、RはC1〜C18である)で表される少なくとも1種類のエーテルジアミンである。ある実施形態においては、エーテルジアミンは、式ROCH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2(式中、RはC3〜C18である)である。ある実施形態においては、エーテルジアミンは、イソデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、イソドデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、およびイソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンからなる群から選択される。
【0044】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は脂肪アミンを含む。ある実施形態においては、脂肪アミンは、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイアミン、タローアミン、ココアミン、およびソヤアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0045】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は第1級エーテルアミンを含む。ある実施形態においては、第1級エーテルアミンは、式R
1(OR
2)
n−NH
2(式中、R
1は、約1〜約20個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、R
2は、約2〜約6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり;nは1〜約10の数である)で表される。ある実施形態においては、第1級エーテルアミンは、デシルオキシプロピルアミン、直鎖C−16エーテルアミン、およびトリデシルオキシプロピルアミン、イソヘキシルオキシプロピルアミン、2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン、オクチル/デシルオキシプロピルアミン、イソデシルオキシプロピルアミン、イソドデシルオキシプロピルアミン、イソトリデシルオキシプロピルアミン、およびC12〜15アルキルオキシプロピルアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0046】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、式(R
1)
3C−NH
2(式中、R
1は独立して、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である)、または式R
1−C(R
2)−NH
2(式中、R
1は、1〜約24個の炭素原子を含有ヒドロカルビル基であり、R
2は、1〜約12個の炭素原子を含有する二価のヒドロカルビレン基である)で表される第3級アルキル第1級アミンを含む。ある実施形態においては、R2はアルキレン基である。ある実施形態においては、第3級アルキル第1級アミンは、tert−ブチルアミン、tert−ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、tert−オクチルアミン、tert−デシルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサデシルアミン、tert−オクタデシルアミン、tert−テトラコスアニルアミン(tert−tetracos anylamine)、およびtert−オクタコサニルアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。
【0047】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、式R
1−NH−(CH)
n−NH
2(式中、R
1は、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、nは1〜約20である)で表される少なくとも1種類のアミンを含む。
【0048】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は少なくとも1種類のポリアミンを含む。ある実施形態においては、ポリアミンは脂肪ジアミンである。ある実施形態においては、脂肪ジアミンは、N−オクチルジアミノアルカン、N−デシルジアミノアルカン、N−ドデシルジアミノアルカン、N−テトラデシルジアミノアルカン、N−ヘキサデシルジアミノアルカン、N−オクタデシルジアミノアルカン、N−ステアリルジアミノアルカン、N−オレイルジアミノアルカン、N−タロージアミノアルカン、N−ココイルジアミノアルカン、およびN−ソヤジアミノアルカンからなる群から選択される少なくとも1種類である。ある実施形態においては、脂肪ジアミンは、N−ココ−1,3−ジアミノプロパン、N−ソヤ−1,3−ジアミノプロパン、N−タロー−1,3−ジアミノプロパン、およびN−オレイル−1,3−ジアミノプロパンからなる群から選択される少なくとも1種類である。ある実施形態においては、ポリアミンは、ポリオキシアルキレンジアミンおよびポリオキシアルキレントリアミンからなる群から選択される少なくとも1種類である。ある実施形態においては、ポリアミンは、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、モノ(ヒドロキシプロピル)置換テトラエチレン−ペンタミン、およびN−(3−ヒドロキシブチル)テトラメチレンジアミンからなる群から選択される少なくとも1種類のヒドロキシ含有ポリアミンである。ある実施形態においては、ポリアミンは、メチレンポリアミン類、エチレンポリアミン類、ブチレンポリアミン類、プロピレンポリアミン類、ペンチレンポリアミン類、ピペラジン類、およびN−アミノアルキル置換ピペラジン類からなる群から選択される少なくとも1種類のアルキレンポリアミンである。ある実施形態においては、アルキレンポリアミンは、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリス−(2−アミノエチル)アミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、トリプロピレンテトラミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、およびペンタエチレンヘキサミンからなる群から選択される。ある実施形態においては、ポリアミンは、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ−(ヒドロキシプロピル)アミン、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンからなる群から選択される少なくとも1種類のポリヒドリックアミンである。
【0049】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、式NH
2(CH
2)n−NH−(CH
2)m−O−R(式中、nおよびmは独立して1〜約10であり、RはC1〜C18である)で表される少なくとも1種類のエーテルジアミンを含む。ある実施形態においては、エーテルジアミンは、式ROCH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2(式中、RはC3〜C18である)で表される。ある実施形態においては、エーテルジアミンは、イソデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、イソドデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、およびイソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンからなる群から選択される。
【0050】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、不飽和脂肪酸とN−メチルグリシンとの反応によって形成される少なくとも1種類のアミドを含む。ある実施形態においては、アミドはN−メチル−N−(1−オキソ−9−オクタデセニル)グリシンである。
【0051】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、リノール酸またはトール油脂肪酸とアクリル酸との少なくとも1種類の反応生成物を含む。ある実施形態においては、反応生成物は、5−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、または6−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸である。
【0052】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、不飽和脂肪酸とN−(2−ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタンとの少なくとも1種類の反応生成物を含む。ある実施形態においては、反応生成物は、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(8−ヘプタデセニル)−2−イミダゾリンである。
【0053】
ある実施形態においては、脂肪酸は、生物学的に誘導されたオキシジェネートの製造の供給材料の処理の副生成物として存在する。ある実施形態においては、脂肪酸は、発酵ブロスから生物学的に誘導されたオキシジェネートを回収するための抽出剤として存在する。ある実施形態においては、オキシジェネートはイソブタノールである。ある実施形態においては、脂肪酸はトウモロコシ油から誘導される。ある実施形態においては、抽出剤は、トウモロコシ油脂肪酸またはオレイン酸である。
【0054】
ある実施形態においては、含酸素ガソリン組成物は2種類以上、3種類以上、または4種類以上の腐食防止剤を含む。
【0055】
ある実施形態においては、少なくとも1種類のオキシジェネートまたはそれらの混合物は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ケトン類、エステル類、およびそれらの混合物からなる群から選択される。ある実施形態においては、組成物は約5v/v%以下のメタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約10v/v%以下のエタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約20v/v%以下のエタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約30v/v%以下のエタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約10v/v%以下のブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約20v/v%以下ブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約30v/v%以下のブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約40v/v%以下のブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約16v/v%のイソブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約24v/v%のイソブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は、体積基準で約5〜65v/v%のエタノールおよび約5〜50v/v%のブタノールを含む。ある実施形態においては、前記オキシジェネートは少なくとも約5%の再生可能成分を含む。ある実施形態においては、前記再生可能成分は、生物学的に誘導されたエタノール、生物学的に誘導されたブタノール、またはそれらの混合物を含む。ある実施形態においては、含酸素ガソリン組成物は、1種類以上の付着制御添加剤をさらに含む。
【0056】
本発明は、内燃機関および燃料インフラシステムの腐食防止を行うための、約1〜約85v/v%のオキシジェネートまたはそれらの混合物を含む酸素ガソリンとのブレンドに好適な添加剤濃縮物であって、溶媒と、溶媒を基準として10重量%〜50重量%の少なくとも1種類の腐食防止剤とを含む、添加剤濃縮物にも関する。ある実施形態においては、溶媒は、有機溶媒、潤滑油基油、またはそれらの混合物である。
【0057】
本発明の別の一実施形態は、内燃機関および燃料インフラシステムにおける腐食を軽減する方法であって、ガソリンブレンドストックと、約1〜約85v/v%のオキシジェネートと、少なくとも1種類の腐食防止剤とを含む燃料組成物を用いて、内燃機関または燃料インフラシステムを動作させるステップを含み、全腐食防止剤濃度は約3.00〜約50ptbであり、組成物が、約1.00〜約3.00の範囲の酸/アミンeq/eq比を有する方法に関する。
【0058】
本発明の別の一態様は、内燃機関および燃料インフラシステムにおける腐食を軽減する方法であって、燃料ブレンドストックと、約1〜約85v/v%のオキシジェネートと、約1.0〜約50ptbの量の1種類以上の腐食防止剤とを含む燃料組成物を用いて、内燃機関または燃料インフラシステムを動作させるステップを含み、前記1種類以上の腐食防止剤が約0.1〜約3の酸/アミン当量比を有する方法を提供する。
【0059】
本発明の別の一態様は、ガソリンブレンドストックと、約1〜約85v/v%のオキシジェネートまたはそれらの混合物と、少なくとも2種類の腐食防止剤とを含む、内燃機関で使用するための含酸素ガソリンであって、全腐食防止剤濃度が、ガソリンブレンドの約3.00〜約50ptbであり、組成物が約1.00〜約3.00の酸/アミンeq/eq比を有する、含酸素ガソリンを提供する。
【0060】
本発明のさらに別の一態様は、ガソリンブレンドストックと、約1〜約85v/v%のオキシジェネートまたはそれらの混合物とを含む含酸素ガソリンブレンドに腐食防止特性を付与する方法であって;前記ガソリンおよびオキシジェネートを少なくとも2種類の腐食防止剤とブレンドするステップを含み、全腐食防止剤濃度が約3.00〜約50ptbであり、組成物が約1.00〜約3.00の範囲の酸/アミンeq/eq比を有する、方法を提供することである。
【0061】
本発明の別の一態様は、腐食が防止された含酸素ガソリン組成物を製造する方法であって、少なくとも1種類の腐食防止剤をオキシジェネート−ガソリンブレンドストックに加えるステップを含む方法である。ある実施形態においては、オキシジェネート−ガソリンブレンドストックは、メタノール、エタノール、ブタノール、またはそれらの混合物を含む。ある実施形態においては、ブタノールが、1種類以上のガソリンブレンドストック、および場合により1種類以上の好適なオキシジェネートとブレンドされる。ある実施形態においては、1種類以上のガソリンブレンドストックと、ブタノールと、場合により1種類以上の好適なオキシジェネートとをあらゆる順序でブレンドすることができる。ある実施形態においては、1種類以上の好適なオキシジェネートおよびブタノール異性体は、いくつかの異なる場所または複数の段階で加えることができる。ある実施形態においては、1種類以上のブタノールおよび場合に夜1種類以上の好適なオキシジェネートは、流通網の中の任意の場所で加えることができる。ある実施形態においては、1種類以上のガソリンブレンドストック、1種類以上のブタノール異性体、および場合により1種類以上の好適なオキシジェネートは製油所で混合することができる。ある実施形態においては、他の成分または添加剤を、製油所、ターミナル、小売現場、または流通網の中の任意の他の好適な場所でガソリン組成物に加えることもできる。
【0062】
本発明のさらに別の一態様は、含酸素燃料組成物の貯蔵安定性を改善する方法であって、約1〜約85v/v%オキシジェネートを有する燃料ブレンドストックに、1種類以上の付着制御添加剤および約3.00〜約50ptbの量の1種類以上の腐食防止剤を加えるステップを含み、前記1種類以上の腐食防止剤が約1.00〜約3.00の酸/アミン当量比を有する方法を提供することである。
【0063】
本発明のさらに別の一態様は、含酸素燃料組成物の貯蔵安定性を改善する方法であって、約1〜約85v/v%オキシジェネートを有する燃料ブレンドストックに、1種類以上の付着制御添加剤および約1.0〜約50ptbの量の1種類以上の腐食防止剤を加えるステップを含み、前記1種類以上の腐食防止剤が約0.1〜約3の酸/アミン当量比を有する方法を提供することである。ある実施形態においては、含酸素ガソリン組成物の腐食防止および貯蔵安定性は少なくとも12週間維持される。
【0064】
本発明の別の一態様は、イソブタノールと1種類以上の腐食防止剤とを含む貯蔵安定性イソブタノール組成物である。
【0065】
本発明のさらに別の一態様は、改善された腐食特性を有する含酸素ガソリン組成物であって、ガソリンブレンドストックと、約1〜約85v/v%のオキシジェネートまたはそれらの混合物と、ある量の1種類以上の腐食防止剤とを含み、前記量が約0.5ptb〜約5ptbであり、1種類以上の腐食防止剤が約1:10〜約1:0の酸:アミン当量比を有する含酸素ガソリン組成物を提供することである。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:9の酸:アミン当量比を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:0の酸:アミン当量比を有する。
【0066】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約100ppm未満の窒素含有量を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約70ppm未満の窒素含有量を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約50ppm未満の窒素含有量を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は検出可能なアミンを有さない。
【0067】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、少なくとも1種類のアルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む。ある実施形態においては、前記アルケニルカルボン酸はテトラプロペニルコハク酸である。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約25〜約75wt/wt%の前記アルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約30〜約70wt/wt%の前記アルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約30〜約60wt/wt%のテトラプロペニルコハク酸を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約60〜約70wt/wt%のカルボン酸エステルまたはそれらの官能性誘導体を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、キシレン類およびエチルベンゼンを含む溶媒をさらに含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約1〜約15wt/wt%の前記アルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約5〜約10wt/wt%の前記アルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約50〜約100wt/wt%の少なくとも1種類のアミンをさらに含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約60〜約100wt/wt%の少なくとも1種類のアルキルアミンをさらに含む。
【0068】
ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤の前記量は約1ptb〜約4ptbである。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤の前記量は約1ptb〜約2ptbである。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤の前記量は約1.6ptbである。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤の前記量は約3ptb〜約5ptbである。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤の前記量は約4ptbである。
【0069】
ある実施形態においては、少なくとも1種類のオキシジェネートまたはそれらの混合物は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ケトン類、エステル類、およびそれらの混合物からなる群から選択される。ある実施形態においては、組成物は約5v/v%以下のメタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約10v/v%以下のエタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約20v/v%以下のエタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約30v/v%以下のエタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約10v/v%以下のブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約20v/v%以下のブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約30v/v%以下のブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約40v/v%以下のブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約16v/v%のイソブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は約24v/v%のイソブタノールを含む。ある実施形態においては、組成物は、体積を基準として約5〜65v/v%のエタノールおよび約5〜50v/v%のブタノールを含む。
【0070】
本発明の別の一態様は、内燃機関および燃料インフラシステムにおける腐食を軽減する方法であって、燃料ブレンドストックと、約1〜約85v/v%のオキシジェネートまたはそれらの混合物と、ある量の1種類以上の腐食防止剤とを含む燃料組成物を用いて内燃機関または燃料インフラシステムを動作させるステップを含み、前記量が約0.5ptb〜約5ptbであり、1種類以上の腐食防止剤が約1:10〜約1:0の酸:アミン当量比を有する方法を提供する。
【0071】
本発明のさらに別の一態様は、少なくとも1種類の腐食防止剤をオキシジェネート−ガソリンブレンドストックに加えるステップを含む、腐食が防止された含酸素ガソリン組成物の製造方法を提供することである。
【0072】
本発明の別の一態様は、含酸素燃料組成物の貯蔵安定性を改善する方法であって、約1〜約85v/v%のオキシジェネートを有する燃料ブレンドストックに、1種類以上の付着制御添加剤および約0.5〜約5ptbの量の1種類以上の腐食防止剤を加えるステップを含み、1種類以上の腐食防止剤が約1:10〜約1:0の酸:アミン当量比を有する方法を提供することである。ある実施形態においては、含酸素燃料組成物の腐食防止および貯蔵安定性は、少なくとも12週間維持される。
【0073】
本発明のさらに別の一態様は、含酸素ガソリン組成物を含み、オキシジェネートがイソブタノールである、貯蔵安定性のイソブタノール組成物を提供することである。
【0074】
本発明の別の一態様は、約90〜約100wt/wt%のアルコールと、約10〜約200ptbの腐食防止剤とを含む、腐食が防止されたオキシジェネートであって、腐食防止剤が約1:10〜約1:0の酸:アミン当量比を有する、腐食が防止されたオキシジェネートを提供することである。ある実施形態においては、アルコールは、生物学的に誘導される。ある実施形態においては、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0075】
本発明のさらに別の一態様は、含酸素ガソリンの製造方法であって、腐食が防止されたオキシジェネートをガソリン基油とブレンドして、含酸素ガソリンを製造するステップを含む方法を提供することである。ある実施形態においては、腐食が防止されたオキシジェネートは、生物学的に誘導されたアルコールを含む。ある実施形態においては、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0076】
ある実施形態においては、本発明は、1種類以上の腐食防止剤と、約1〜約30v/v%の生物学的に誘導されたアルコールとを含む含酸素ガソリン組成物を提供する。ある実施形態においては、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。ある実施形態においては、腐食防止剤の濃度は、約0.5ptb〜約5ptbである。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約0.1〜約3の酸:アミン当量比を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:10〜約1:0の酸:アミン当量比を有する。
【0077】
以上の概要および以下の詳細な説明の両方は、単に例示的および説明的なものであり、請求される本開示のさらなる説明の提供を意図したものであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明の含酸素ガソリン腐食防止剤は、最大85体積パーセントのオキシジェネート、好ましくは約2〜約50体積パーセント、最も好ましくは約5〜約30体積パーセントの少なくとも1種類のアルコールを含有する燃料(主として自動車用燃料)における使用が意図される。アルコールは、メタノール、エタノール、プロピル、またはブタノールの中の1つまたはそれらの混合物であってよく、好ましくはイソブタノールである。アルコールがイソブタノールである場合、オキシジェネートの体積パーセントは、2、4、5、6、8、10、11、12、16、20、24(およびそれらの間の任意の整数)体積パーセントであってよい。本発明の含酸素ガソリンは、火花点火エンジン燃料としての使用が意図される。
【0079】
他に定義されなければ、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に使用される意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合は、定義を含めて本出願に従うものとする。また、文脈によって他の場合が必要となるのでなければ、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、およびその他の参考文献は、あらゆる目的でそれらの全体が参照により援用される。
【0080】
本発明をさらに規定するために、本明細書において以下の用語および定義を提供する。
【0081】
本明細書において使用される用語「含む」(comprises)、「含むこと」(comprising)、「含む」(includes)、「含むこと」(including)、「有する」(has)、「有すること」(having)、「含有する」(contains)、または「含有すること」(containing)、あるいはそれらのあらゆる他の変形は、記載の整数または整数の群を包含するが、あらゆる他の整数または整数の群を排除しないことを意味するものと理解されたい。たとえば、一連の要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるのではなく、明示されずそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有のものではない他の要素を含むことができる。さらに、逆の意味で明示的に記載されるのでなければ、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0082】
本明細書において使用される場合、本明細書および請求項の全体にわたって使用されるときの用語「からなる」(consists of)、あるいは「からなる」(consist of)または「からなること」(consisting of)などの変形は、任意の列挙される整数または整数の群を包含するが、追加の整数および整数の群を指定の方法、構造、および組成物に加えることはできないことを意味する。
【0083】
本明細書において使用される場合、本明細書および請求項の全体にわたって使用されるときの用語「から本質的になる」(consists essentially of)、あるいは「から本質的になる」(consist essentially of)または「から本質的になること」(consisting essentially of)などの変形は、任意の列挙される整数または整数の群を包含し、指定の方法、構造、および組成物の基本的または新規な性質を実質的に変化させない任意の列挙される整数または整数の群を場合により包含することを意味する。
【0084】
また、本発明の要素または成分に先行する不定冠詞「a」および「an」は、その要素または成分の事例、すなわち出現の数に関しては非限定的となることを意図している。したがって、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むと読むべきであり、要素または成分の単数形の単語形態は、数が明らかに単数形を意味するのでなければ、複数の場合も含む。
【0085】
本明細書において使用される場合の用語「発明」または「本発明」は、非限定的な用語であり、特定の発明の任意の1つの実施形態を意味することを意図したものではなく、本出願に記載されるすべての可能な実施形態を含んでいる。
【0086】
本明細書において使用される場合、使用される本発明の成分または反応物の量を修飾する用語「約」は、たとえば、現実世界において濃縮物または溶液を作製するための使用される通常の計量および液体取り扱い手順;これらの手順における不注意による過失;組成物の製造または方法の実施に使用される成分の製造、供給元、または純度の差などによって生じうる数量のばらつきを意味する。用語「約」は、特定の初期混合物から得られる組成物の異なる平衡条件により異なる量をも含んでいる。用語「約」によって修飾される場合もされない場合も、請求項は、それらの量と同等のものを含んでいる。一実施形態においては、用語「約」は、報告される数値の10%以内を意味し;別の一実施形態においては、報告冴える数値の5%以内を意味する。
【0087】
本明細書において使用される用語「アルコール」は、任意の一連のヒドロキシル化合物を意味し、その最も単純なものは飽和炭化水素から誘導され一般式C
nH
2n+1OHを有する。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、およびブタノールが挙げられる。
【0088】
本明細書において使用される場合、「ブタノール」は、特に、ブタノール異性体1−ブタノール(1−BuOH)、2−ブタノール(2−BuOH)、tert−ブタノール(t−BuOH)、および/またはイソブタノール(iBuOHまたはi−BuOHまたはI−BUOH、2−メチル−1−プロパノールとも記載される)を意味し、個別に、またはそれらの混合物として使用される。場合により、ブタノールのエステルに言及する場合に、用語「ブチルエステル」および「ブタノールエステル」を同義で使用する場合がある。ブタノールは、たとえば生物学的に誘導されてよい(すなわち、バイオブタノール)。生物学的誘導、および生物起源は同義で使用され、発酵(または一部の他の生物学的な)生成物を意味する。たとえば、米国特許第7,851,188号明細書が参照され、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0089】
本明細書において使用される用語「再生可能成分」は、石油および石油製品からは誘導されない成分を意味する。
【0090】
本明細書において使用される用語「燃料」は、制御された方法でエネルギーを生成して機械仕事を得るために使用できるあらゆる材料を意味する。燃料の例としては、バイオ燃料(すなわち、何らかの方法でバイオマスから誘導される燃料)、ガソリン、ガソリンサブグレード、ディーゼル燃料、およびジェット燃料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な燃料の特定の成分および許容値は、季節および地域の基準に基づいて変動しうることを理解されたい。
【0091】
本明細書において使用される用語「燃料ブレンド」または「ブレンド燃料」は、少なくとも1種類の燃料と1種類以上のアルコールとを含有する混合物を意味する。
【0092】
本明細書において使用される用語「ガソリン」は、一般に、少量の添加剤を場合により含有することができる液体炭化水素の揮発性混合物を意味する。この用語は、従来のガソリン、含酸素ガソリン、改質ガソリン、バイオガソリン(すなわち、何らかの方法でバイオマスから生物学的に誘導されたガソリン)、およびフィッシャー−トロプシュガソリン、ならびにそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、用語「ガソリン」は、ガソリンブレンド、ガソリンブレンド類、ブレンドガソリン、ガソリンブレンドストック、ガソリンブレンドストック類、およびそれらの混合物を含んでいる。好適なガソリンの特定の成分および許容値は、季節および地域の基準に基づいて変動しうることを理解されたい。たとえば、米国の大部分で販売されるガソリンの規格は、一般にASTM Standard Specification Number D 4814(「ASTM D 4814」)(参照により本明細書に援用される)に記載されている。欧州の大部分で販売されるガソリンの規格は、一般にEuropean Standard EN228:2008(参照により本明細書に援用される)に記載されている。さらに連邦政府および州の規制が、このASTM規格に追加される。ASTM D 4814に記載されるガソリンの規格は、気候、季節、地理的な位置、および高度などの揮発性および燃焼に影響するパラメーターに基づいて変動する。
【0093】
本明細書において使用される用語「ガソリンブレンド」および「ブレンドガソリン」は、少なくとも1種類のガソリンおよび/またはガソリンサブグレートおよび/または1種類以上の製油所ガソリンブレンド成分の混合物(たとえば、アルキレート、リフォーメート、FCCナフサなど)、および場合により1種類以上のアルコールを含有する混合物を意味する。ガソリンブレンドとしては、自動車エンジン中での燃焼に好適な無鉛ガソリンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0094】
本明細書において使用される用語「American Society for Testing and Materials」および「ASTM」は、燃料などの広範囲の材料、製品、システム、および施設に関する自発的合意による技術規格を開発し公開する国際規格団体を意味する。
【0095】
本明細書において使用される用語「腐食」は、オキシジェネート含有燃料への曝露またはオキシジェネート含有燃料の燃焼による、エンジン表面などのあらゆる表面、あるいはエンジンの一部または成分、あるいはエンジン部品または部分のあらゆる分解、発錆、脆弱化、劣化、軟化などを意味する。
【0096】
本明細書において使用される用語「腐食防止」または「腐食の軽減」は、腐食が最小限となる、軽減される、解消される、または防止されるあらゆる改善を意味する。
【0097】
本発明の腐食防止剤は、低分子量(すなわち、<700)アミン類(モノ−、ジ−、トリ、およびポリ)、アミン類、エーテルアミン類、イミン類、イミダゾリン類、チアジアゾール類、モノカルボン酸類、ジカルボン酸類、トリカルボン酸類、およびエステル類、ならびにモノ−、ジ−、およびトリカルボン酸類の官能性誘導体、二量体、三量体、p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、およびジシクロヘキシルアミン、アルキル置換コハク酸無水物類、および酸類、ならびにそれらの混合物および塩を含む。
【0098】
本発明に有用な腐食防止剤は、テトラプロペニルコハク酸またはその無水物およびポリマー、ならびにドデセニルコハク酸(DDSA)またはその無水物およびポリマーを含むこともできる。
【0099】
本発明のある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約1〜約85wt/wt%、約3〜約85wt/wt%、約5〜約85wt/wt%、約1〜約15wt/wt%、約3〜約13wt/wt%、約5〜約10wt/wt%、約6〜約9wt/wt%、約15〜約85wt/wt%、約25〜約75wt/wt%、約30〜約70wt/wt%、約30〜約60wt/wt%、または約60〜約70wt/wt%のアルキルまたはアルケニルカルボン酸、あるいはそれらのエステルまたは官能性誘導体を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約30〜約60wt/wt%のテトラプロペニルコハク酸を含む。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約60〜約70wt/wt%のカルボン酸エステルまたはその官能性誘導体を含む。
【0100】
BioTEC(登録商標)9881(表1にはTec 9881と記載される)は、約60〜約100wt/wt%のアルキルアミンと約5〜約10wt/wt%の長鎖カルボン酸とを含有すると考えられる、本発明による市販の腐食防止剤の一例である。BioTEC(登録商標)9881は、酸:アミン当量比が約1:9であり、窒素含有量が約6.9%であると考えられる。BioTEC(登録商標)9880(表1にはTec 9880と記載される)は、約30〜約60wt/wt%のテトラプロペニルコハク酸を含有すると考えられる、本発明による市販の腐食防止剤の一例である。BioTEC(登録商標)9880は、酸:アミン当量比が約1:0であり、窒素含有量が約0.1%未満であると考えられる。Lubrizol(登録商標)541(表1にはLubrizol LZ 541と記載される)は、約60〜約70wt/wt%のカルボン酸エステルまたはその官能性誘導体を含有すると考えられる、本発明による市販の腐食防止剤の一例である。Lubrizol(登録商標)541は、酸:アミン当量比が約1:0であり、窒素含有量が約0.1%未満であると考えられる。
【0101】
一実施形態においては、腐食防止剤は、有機酸またはダイマー酸またはトリマー酸と、アミン、ジアミン、またはポリアミンとを組み合わせた生成物である。
【0102】
一実施形態においては、腐食防止剤は、有機酸またはダイマー酸またはトリマー酸と脂肪アミンとを組み合わせた生成物である。脂肪アミンは、約8〜約30個、または約12〜約24個の炭素原子を含有する脂肪アミンである。脂肪アミンとしては、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイアミン、タローアミン、ココアミン、ソヤアミンなどが挙げられる。また、有用な脂肪アミンとしては、市販の脂肪アミン、たとえば「Armeen」アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Illより入手可能な製品)、たとえばAkzoのArmeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen S、およびArmeen SDが挙げられ、文字の名称は、ココア、オレイル、タロー、またはステアリル基などの脂肪基と関係している。
【0103】
他の有用なアミンとしては、式R
1(OR
2)n−NH
2(式中、R
1は、約1〜約20、または5〜約18個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、R
2は、約2〜約6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり;nは1〜約10の数、または約1〜約5の数、または1である)で表されるものなどの第1級エーテルアミンが挙げられる。エーテルアミンの一例は、Mars Chemical Company,Atlanta,Gaによって製造され販売されるSURFAM(登録商標)アミンの名称で入手可能である。エーテルアミンとしては、SURFAM P14B(デシルオキシプロピルアミン)、SURFAM P16A(直鎖C16)、SURFAM P17B(トリデシルオキシプロピルアミン)イソヘキシルオキシプロピルアミン、2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン、オクチル/デシルオキシプロピルアミン、イソデシルオキシプロピルアミン、イソドデシルオキシプロピルアミン、イソトリデシルオキシプロピルアミン、C12〜15アルキルオキシプロピルアミンとして同定されるものが挙げられる。
【0104】
さらに別の有用なアミンとしては、式NH
2(CH
2)n−NH−(CH
2)m−O−R(式中、nおよびmは独立して1〜約10であり、RはC1〜C18である)で表されるエーテルジアミンが挙げられる。好ましいエーテルジアミンとしては、式ROCH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2NH
2(式中、RはC3〜C18、好ましくはC6〜C15である)エーテルジアミンが挙げられ、例としてイソデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、イソドデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、イソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンが挙げられる。
【0105】
本明細書において使用される用語「ヒドロカルビル」は、その基が主として水素原子および炭素原子で構成されると考えられ、炭素原子を介して分子の残りの部分に結合しているが、基の実質的な炭化水素特性を損なうには不十分な比率での他の原子または基の存在を排除しないことを意味する。ヒドロカルビル基は、好ましくは水素原子および炭素原子のみで構成される。好都合には、ヒドロカルビル基は、直鎖または分岐であってよい脂肪族基、好ましくはアルキル基またはアルキレン基、特にアルキル基である。
【0106】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、有機酸またはダイマー酸またはトリマー酸と、第3級脂肪族第1級アミンとを組み合わせた生成物である。一般に、脂肪族基、および一実施形態においてはアルキル基は、約4〜約30個、または約6〜約24個、または約8〜約22個の炭素原子を含有する。通常、第3級アルキル第1級アミンは、式(R
1)
3C−NH
2(式中、R
1は独立して、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である)、または式R
1−C(R
2)−NH
2(式中、R
1は、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、R
2は、1〜約12個の炭素原子を含有する二価のヒドロカルビレン基、好ましくはアルキレン基である)で表されるモノアミンである。このようなアミンの例は、tert−ブチルアミン、tert−ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、tert−オクチルアミン、tert−デシルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサデシルアミン、tert−オクタデシルアミン、tert−テトラコサニルアミン、およびtert−オクタコサニルアミンである。
【0107】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、有機酸またはダイマー酸またはトリマー酸と、式R
1−NH−(CH)
n−NH
2(式中、R
1は、1〜約24個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、nは1〜約20である)で表されるアミンとを組み合わせた生成物である。
【0108】
本発明の目的のために、アミンの混合物も有用となる。この種類のアミン混合物の例は、C11〜C14第3級アルキル第1級アミンの混合物である「Primene 81R」、およびC18〜C22第3級アルキル第1級アミンの混合物である「Primene JM−T」である(どちらもThe Dow Chemical Companyより入手可能である)。第3級アルキル第1級アミンおよびそれらの調製方法は、当業者に周知である。本発明の方法に有用な第3級アルキル第1級アミンおよびそれらの調製方法は、米国特許第2,945,749号明細書(この点に関して参照により本明細書に援用される)に開示されている。
【0109】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、塩基性アシル化アミンである。塩基性アシル化アミンとしては、1種類以上のカルボン酸アシル化剤と、1種類以上のアミン、好ましくはポリアミンとの反応生成物が挙げられる。塩基性アシル化アミンは、過剰のアミンとカルボン酸アシル化剤とを反応させることによって調製される。一実施形態においては、1当量を超えるアミンを、アシル化剤のカルボン酸基の1当量と反応させる。アミンの当量は、アミン中の窒素原子数を基準としている。カルボン酸アシル化剤の当量は、各アシル化剤中の酸、低級エステルなどのカルボン酸基(たとえばCOO)の数を基準としている。一実施形態においては、少なくとも約1.2、好ましくは少なくとも約1.4当量のアミンを、アシル化剤のカルボン酸基の1当量と反応させる。通常、最大約8、好ましくは最大約6、より好ましくは最大約4当量のアミンを、アシル化剤のカルボン酸基の1当量と反応させる。
【0110】
一実施形態においては、カルボン酸アシル化剤は、生物学的に誘導されたオキシジェネート成分の製造に使用される供給材料の副生成物として、または生物学的に誘導されたオキシジェネートを発酵ブロスから抽出するために使用される抽出剤の副生成物としてその場に存在する。
【0111】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、式NH
2(CH
2)n−NH−(CH
2)m−O−R(式中、nおよびmは独立して1〜約10であり、RはC〜C18である)で表される少なくとも1種類のエーテルジアミンを含む。好ましいエーテルジアミンは、式ROCH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2NH
2(式中、Rは、C3〜C18、好ましくはC6〜C15である)のエーテルジアミンであり、例としてはイソデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、イソドデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、イソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンが挙げられる。
【0112】
塩基性アシル化アミンは、1種類以上のアミンと、1種類以上のカルボン酸アシル化剤とから調製される。カルボン酸アシル化剤としては、脂肪酸、イソ脂肪酸、ダイマー酸、付加ジカルボン酸、トリマー酸、付加トリカルボン酸、およびヒドロカルビル置換カルボン酸のアシル化剤が挙げられる。一実施形態においては、カルボン酸アシル化剤は、前述の不飽和脂肪酸の中の1つである。脂肪酸は不飽和脂肪酸の飽和類似体であってもよい。
【0113】
別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤はイソ脂肪酸を含む。このような酸は、通常約6〜約20個の炭素原子を有する飽和脂肪族主鎖と、少なくとも1つ、通常は約4つ以下のペンダント非環式低級アルキル基とを含有する。このようなイソ脂肪酸の具体例としては、10−メチル−テトラデカン酸、3−エチル−ヘキサデカン酸、および8−メチル−オクタデカン酸が挙げられる。イソ脂肪酸には、オレイン酸、リノール酸、およびトール油脂肪酸などの市販の脂肪酸のオリゴマーかによって調製された分岐鎖酸が含まれる。
【0114】
別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤はダイマー酸を含む。ダイマー酸としては、不飽和脂肪酸の二量化から得られる生成物が挙げられ、一般に平均で約18〜約44個、または約28〜約40個の炭素原子を含有する。ダイマー酸は、米国特許第2,482,760号明細書、米国特許第2,482,761号明細書、米国特許第2,731,481号明細書、米国特許第2,793,219号明細書、米国特許第2,964,545号明細書、米国特許第2,978,468号明細書、米国特許第3,157,681号明細書、および米国特許第3,256,304号明細書に記載されており、これらの開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0115】
別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤は、トール油酸およびオレイン酸などの不飽和脂肪酸と、1種類以上の不飽和カルボン酸試薬との付加(4+2および2+2)生成物である付加カルボン酸を含む。これらの酸は、米国特許第2,444,328号明細書に教示されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0116】
一実施形態においては、不飽和脂肪酸は、生物学的に誘導されたオキシジェネート成分の製造に使用される供給材料の副生成物として、または生物学的に誘導されたオキシジェネートを発酵ブロスから抽出するために使用される抽出剤の副生成物としてその場に存在する。
【0117】
別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤はトリカルボン酸を含む。トリカルボン酸の例としては、トリマー酸、および不飽和カルボン酸(不飽和脂肪酸など)と、α,β−不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、イタコン酸、およびシトラコン酸のアシル化剤、好ましくはマレイン酸など)との反応生成物が挙げられる。これらの酸は一般に、平均で約18個または約30個の炭素原子を含有する。トリマー酸は、1種類以上の前述の脂肪酸の三量化によって調製される。一実施形態においては、トリカルボン酸またはその誘導体は、不飽和脂肪酸またはアルケニルコハク酸無水物などの1種類以上の不飽和カルボン酸と、α,β−不飽和カルボン酸試薬との反応生成物である。不飽和カルボン酸試薬としては、不飽和カルボン酸自体、ならびに無水物、エステル、アミド、イミド、塩、ハロゲン化アシル、およびニトリルなどのそれらの官能性誘導体が挙げられる。不飽和カルボン酸試薬としては、モノ、ジ、トリ、またはテトラカルボン酸試薬が挙げられる。有用な一塩基不飽和カルボン酸の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、2−フェニルプロペン酸などである。代表的な多塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、およびシトラコン酸が挙げられる。一般に、不飽和カルボン酸試薬は、無水マレイン酸、酸または低級エステル、たとえば8個未満の炭素原子を含有するものなどである。一実施形態においては、不飽和ジカルボン酸は、一般に平均で約12〜約40個、または約18〜約30個の炭素原子を含有する。これらのトリカルボン酸の例としては、Emery Industriesより市販されるEmpol(登録商標)1040、Humko Chemicalより市販されるHystrene(登録商標)5460、およびUnion Camp Corporationより市販されるUnidyme(登録商標)60が挙げられる。
【0118】
別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤は、ヒドロカルビル置換カルボン酸を含む。ヒドロカルビル置換カルボン酸は、1種類以上のオレフィンまたはポリアルケンと、1種類以上の前述の不飽和カルボン酸試薬との反応によって調製される。ヒドロカルビル基は、一般に約30〜約100個の炭素原子を含有する。一実施形態においては、ヒドロカルビル基は、約8〜約40個、または約10〜約30個、または約12〜約24個の炭素原子を含有する。一実施形態においては、ヒドロカルビル基はオレフィンから誘導されてよい。オレフィンは、通常約3〜約40個、または約4〜約24個の炭素原子を含有する。これらのオレフィンは、好ましくはα−オレフィン(場合によりモノ−1−オレフィンまたは末端オレフィンと記載される)または異性化α−オレフィンである。α−オレフィンの例としては、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセンなどが挙げられる。使用できる市販のα−オレフィン留分としては、C15〜18α−オレフィン、C12〜C16α−オレフィン、C14〜16α−オレフィン、C14〜18α−オレフィン、C16〜18α−オレフィン、C16〜20α−オレフィン、C18〜24α−オレフィン、C22〜28α−オレフィンなどが挙げられる。ヒドロカルビル置換カルボン酸は、米国特許第3,219,666号明細書および米国特許第4,234,435号明細書に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0119】
別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤は、1種類以上の前述のポリアルケンと、過剰の無水マレイン酸とを反応させて、置換コハク酸を得ることで、調製することができ、置換基、すなわちポリアルケニル基の1当量に対するコハク酸基の数は、少なくとも約1.3、好ましくは少なくとも約1.4、またはより好ましくは少なくとも約1.5である。この最大数は、一般に約4.5以下、好ましくは約3.5以下である。好適な範囲は、1当量の置換基当たり約1.4〜約3.5、または約1.5〜約2.5のコハク酸基である。
【0120】
カルボン酸は、当技術分野において周知であり、たとえば、米国特許第3,215,707号明細書(Rense)、米国特許第3,219,666号明細書(Normanら)、米国特許第3,231,587号明細書(Rense)、米国特許第3,912,764号明細書(Palmer)、米国特許第4,110,349号明細書(Cohen)、および米国特許第4,234,435号明細書(Meinhardtら);および英国特許第1,440,219号明細書に詳細に記載されている。これらの特許の開示は、参照により本明細書に援用される。これらの特許は、カルボン酸およびその製造方法の開示に関して、参照により本明細書に援用される。
【0121】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、前述のカルボン酸とアミンとからアシル化アミンを形成する反応生成物を含む。アミンは、モノアミンまたはポリアミンであってよい。有用なアミンとしては、米国特許第4,234,435号明細書の21欄4行〜27欄50行に開示されるアミンが挙げられ、これらのページは参照により本明細書に援用される。アミンは、前述のいずれかのアミンであってよく、好ましくはアミンは、アルキレンポリアミンまたは縮合アミンなどのポリアミンである。
【0122】
一実施形態においては、カルボン酸は、生物学的に誘導されたオキシジェネート成分の製造に使用される供給材料の副生成物として、または生物学的に誘導されたオキシジェネートを発酵ブロスから抽出するために使用される抽出剤の副生成物としてその場に存在する。
【0123】
別の一実施形態においては、ポリアミンは脂肪ジアミンである。脂肪ジアミンとしては、モノ−またはジアルキル、対称または非対称のエチレンジアミン、プロパンジアミン(1,2、または1,3)、および上記のポリアミン類似体が挙げられる。好適な市販の脂肪ポリアミンは、Duomeen C(N−ココ−1,3−ジアミノプロパン)、Duomeen S(N−ソヤ−1,3−ジアミノプロパン)、Duomeen T(N−タロー−1,3−ジアミノプロパン)、およびDuomeen O(N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン)である。「Duomeen」はAkzoNobelより市販されている。
【0124】
別の一実施形態においては、ポリアミンは、ポリオキシアルキレンポリアミン、たとえばポリオキシアルキレンジアミンおよびポリオキシアルキレントリアミンである。好ましいポリオキシアルキレンポリアミンとしては、ポリオキシエチレンジアミンおよびポリオキシプロピレンジアミン、ならびにポリオキシプロピレントリアミンが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリアミンは市販されており、たとえば、Huntsman Corporationより商品名「Jeffamines D−230、D−400、D−1000、D−2000、T−403など」で入手可能である。米国特許第3,804,763号明細書および米国特許第3,948,800号明細書は、このようなポリオキシアルキレンポリアミンおよびそれらから製造されるアシル化生成物の開示に関して、参照により本明細書に明確に援用される。
【0125】
別の一実施形態においては、ポリアミンは、ヒドロキシ含有ポリアミンである。ヒドロキシモノアミンのヒドロキシ含有ポリアミン類似体、特にアルコキシル化アルキレンポリアミン、たとえば、N,N’−(ジヒドロキシエチル)エチレンジアミンを使用することもできる。このようなポリアミンは、前述のアルキレンアミンと、1種類以上の前述のアルキレンオキシドとを反応させることによって製造することができる。前述の第1級、第2級、または第3級アルカノールアミンと、エチレン、プロピレン、またはより高次のエポキシドと1.1〜1.2のモル比で反応させることによって製造される生成物などの類似のアルキレンオキシド−アルカノールアミン反応生成物を使用することもできる。このような反応を行うための反応物比および温度は当業者には周知である。ヒドロキシ含有ポリアミンの具体例としては、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、モノ(ヒドロキシプロピル)置換テトラエチレン−ペンタミン、N−(3−ヒドロキシブチル)テトラメチレンジアミンなどが挙げられる。上記のヒドロキシ含有ポリアミンのアミノ基またはヒドロキシ基を介した縮合によって得られる高次の類似体も同様に有用である。アミノ基を介した縮合では、アンモニアの脱離を伴ってより高次のアミンが得られ、一方、ヒドロキシ基を介した縮合では、水の脱離を伴ってエーテル結合を有する生成物が得られる。上記のポリアミンのいずれか2種類以上の混合物も有用である。
【0126】
別の一実施形態においては、アシル化アミン腐食防止剤の調製に使用されるアミンは、アルキレンポリアミンであってよい。このようなアルキレンポリアミンとしては、メチレンポリアミン、エチレンポリアミン、ブチレンポリアミン、プロピレンポリアミン、ペンチレンポリアミンなどが挙げ得られる。より高次の類似体および関連する複素環式アミン、たとえばピペラジン類およびN−アミノアルキル置換ピペラジン類も含まれる。このようなポリアミンの具体例は、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリス−(2−アミノエチル)アミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、トリプロピレンテトラミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどである。2つ以上の前述のアルキレンアミンの縮合によって得られるより高次の類似体も、2つ以上の前述のポリアミンの混合物と同様に有用である。
【0127】
一実施形態においては、ポリアミンはエチレンポリアミンである。このようなポリアミンは、Ethylene Aminesの見出しでKirk Othmer’s “Encyclopedia of Chemical Technology”,2d Edition,Vol.7,pages 22−37,Interscience Publishers,New York(1965)に詳細に記載されている。エチレンポリアミンは、環状縮合生成物を含むポリアルキレンポリアミンの複合混合物であることが多い。
【0128】
別の有用なポリアミンは、少なくとも1種類のヒドロキシ化合物と、少なくとも1つの第1級または第2級アミノ基を含有する少なくとも1種類のポリアミン反応物との間の縮合反応である。ヒドロキシ化合物は、好ましくは多価アルコールおよびポリヒドリックアミンである。一実施形態においては、ヒドロキシ化合物はポリヒドリックアミンである。ポリヒドリックアミンとしては、2〜約20個の炭素原子、または2〜約4個の炭素原子を有するアルキレンオキシド(たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)と反応させた前述の任意のモノアミンが挙げられる。ポリヒドリックアミンの例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ−(ヒドロキシプロピル)アミン、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンが挙げられる。
【0129】
多価アルコールまたはポリヒドリックアミンと反応させて縮合生成物または縮合アミンを形成できるポリアミンは、前述のものである。ポリアミン反応物とヒドロキシ化合物との縮合反応は、酸触媒の存在下、高温で行われる。
【0130】
アミン縮合物およびその製造方法は、国際公開第86/05501号パンフレットおよび米国特許第5,230,714号明細書(Steckel)に記載されており、それらの縮合物および製造方法の開示は参照により援用される。
【0131】
アシル化アミンおよびその調製方法は、米国特許第3,219,666号明細書、米国特許第4,234,435号明細書、米国特許第4,952,328号明細書、米国特許第4,938,881号明細書、米国特許第4,957,649号明細書、および米国特許第4,904,401号明細書に記載されている。これらの特許に含まれるアシル化窒素分散剤および他の分散剤の開示は参照により本明細書に援用される。
【0132】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、少なくとも1種類のダイマー酸と少なくとも1種類のトリマー酸とを含む混合物である。
【0133】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、少なくとも1種類のダイマー酸と、少なくとも1種類のトリマー酸と、少なくとも1種類のアルキルジカルボン酸、好ましくはヘキサデセニルコハク酸とを含む混合物である。
【0134】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、不飽和脂肪酸と、N−メチル−N−(1−オキソ−9−オクタデセニル)グリシンなどのN−メチルグリシンとの反応によって形成されるアミドである。
【0135】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、リノール酸またはトール油脂肪酸と、5−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、6−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸などのアクリル酸との反応生成物である。
【0136】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、不飽和脂肪酸と、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(8−ヘプタデセニル)−2−イミダゾリンなどのN−(2−ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタンとの反応生成物である。
【0137】
好ましい一実施形態においては、本発明の腐食防止剤は、少なくとも1種類のダイマー酸、少なくとも1種類のトリマー酸、および少なくとも1種類のアルキルジカルボン酸、好ましくはヘキサデセニルコハク酸と、アミンまたはジアミン、好ましくはNH
2(CH
2)n−NH−C
8〜
10(式中、nは1〜約10である)との反応生成物を含む。最も好ましい一実施形態においては、アミンはN,N−ジメチルイシクロヘキシルアミン(N,N−dimethylycyclohexylamine)である。
【0138】
別の一実施形態においては、腐食防止剤は、重量基準で、(a)約35%〜70%の、アルケニル基が8〜18個の炭素を有する少なくとも1種類のモノ−またはジ−アルケニルコハク酸と;(b)約30%〜65%の、2〜12個の炭素原子を含有する脂肪族または脂環式のアミン、ジアミン、またはポリアミンとを含む。
【0139】
別の一実施形態においては腐食防止剤は、重量基準で、(a)約75%〜95%の少なくとも1種類の重合不飽和脂肪族モノカルボン酸(前記不飽和酸は1分子当たりに16〜18個の炭素を有する)と、(b)約5%〜25%の、アルケニル基が8〜18個の炭素を有する少なくとも1種類のモノアルケニルコハク酸とを有する組成物を含む。
【0140】
別の一実施形態においては、腐食防止剤はドデセニルコハク酸(DDSA)を含む。
【0141】
さらに別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤は、表1および2に列挙される少なくとも1つの市販製品を含む。表1中、PTBEは、変性エタノール中の腐食防止剤の千バレル当たりのポンド数を意味する。本明細書において「PTB」は、燃料添加剤産業の技術分野における一般用語の「千バレル当たりのポンド数」を意味する。PTBは、約4ppmにほぼ等しい。さらに別の一実施形態においては、腐食防止剤またはそれらの混合物の最小量または最小濃度は約3PTBであり、別の一実施形態では、量は約3PTB〜約50PTBであり、最も好ましくは最終の含酸素ガソリン中30ptb以下である。
【0145】
本発明は、少なくとも14日、好ましくは少なくとも30日、最も好ましくは少なくとも12週間の熱老化の後良好な腐食防止(すなわちB+以上のNACE評価)が得られることを意図している。
【0146】
本発明は、少なくとも2種類の腐食防止剤を含む含酸素ガソリン組成物であって、全腐食防止剤濃度が約1〜約50ptb、または約2〜約50ptb、または約3.00ptb〜約50ptbであり、組成物が約0.1〜約3、または約1.00〜約3.00の範囲の酸/アミン当量比を有する含酸素ガソリン組成物を提供することも意図している。ある実施形態においては、少なくとも2種類の腐食防止剤は、約0.1〜約3、または約0.1〜約2、または約0.1〜約1の範囲の酸/アミン当量比を有する。
【0147】
本発明は、少なくとも3種類の腐食防止剤を含む含酸素ガソリン組成物であって、全腐食防止剤濃度が約1〜約50ptb、または約2〜約50ptb、または約3.00ptb〜約50ptbであり、組成物が約0.1〜約3、または約1.00〜約3.00の範囲の酸/アミン当量比を有する含酸素ガソリン組成物を提供することも意図している。ある実施形態においては、少なくとも3種類の腐食防止剤は、約0.1〜約3、または約0.1〜約2、または約0.1〜約1の範囲の酸/アミン当量比を有する。
【0148】
本発明は、少なくとも4種類の腐食防止剤を含む含酸素ガソリン組成物であって、全腐食防止剤濃度が約1〜約50ptb、または約2〜約50ptb、または約3.00ptb〜約50ptbであり、組成物は約0.1〜約3、または約1.00〜約3.00の範囲の酸/アミン当量比を有する含酸素ガソリン組成物を提供することも意図している。ある実施形態においては、少なくとも4種類の腐食防止剤は、約0.1〜約3、または約0.1〜約2、または約0.1〜約1の範囲の酸/アミン当量比を有する。
【0149】
ある実施形態においては、本発明は、1種類以上の腐食防止剤を含む含酸素ガソリン組成物であって、腐食防止剤の濃度が約0.5ptb〜約7ptb、約0.5ptb〜約6ptb、または約0.5ptb〜約5ptbであり、1種類以上の腐食防止剤が約1:10〜約1:0の酸:アミン当量比を有する含酸素ガソリン組成物を提供する。
【0150】
ある実施形態においては、本発明は、約1〜約30v/v%の再生可能な生物学的に誘導されたアルコールと、1種類以上の腐食防止剤とを含み、それによって実質的に再生可能で腐食防止組成物が形成される含酸素ガソリン組成物を提供する。ある実施形態においては、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。ある実施形態においては、腐食防止剤の濃度は、約0.5ptb〜約7ptb、約0.5ptb〜約6ptb、または約0.5ptb〜約5ptbである。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:10〜約1:0の酸:アミン当量比を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約0.1〜約3の酸:アミン当量比を有する。
【0151】
本発明のある実施形態においては、腐食防止剤は、約1:12〜約1:0、約1:11〜約1:0、約1:10〜約1:0、または約1:9〜約1:0の酸:アミン当量比を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:9の酸:アミン当量比を有する。別の実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:0の酸:アミン当量比を有する。別の実施形態においては、腐食防止剤は少なくとも約1:12、少なくとも約1:11、少なくとも約1:10、少なくとも約1:9、少なくとも約1:8、少なくとも約1:7、少なくとも約1:6、少なくとも約1:5、少なくとも約1:4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、少なくとも約1:1、または約1:0(すなわち、検出可能なアミンを有さない)の酸:アミン当量比を有する。
【0152】
本発明のある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約500ppm未満、約100ppm未満、約90ppm未満、80ppm未満、約70ppm未満、約60ppm未満、または約50ppm未満のアミン窒素含有量を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は検出可能なアミンを有さない。
【0153】
本発明のある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は、約1〜約15wt/wt%、約3〜約13wt/wt%、約5〜約10wt/wt%、または約6〜約9wt/wt%のアルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む。
【0154】
ある実施形態においては、アルキルまたはアルケニルカルボン酸を含む1種類以上の腐食防止剤は、少なくとも50wt/wt%、少なくとも60wt/wt%、少なくとも70wt/wt%、少なくとも80wt/wt%、少なくとも90wt/wt%、または約50〜約100wt/wt%、約60〜100wt/wt%、または約70〜100wt/wt%の少なくとも1種類のアミンをさらに含む。
【0155】
BioTEC(登録商標)9881(表1にはTec 9881と記載される)は、約60〜約100wt/wt%のアルキルアミンと約5〜約10wt/wt%の長鎖カルボン酸とを含有すると考えられる、本発明による市販の腐食防止剤の一例である。
【0156】
本発明のある実施形態においては、含酸素ガソリン組成物中の1種類以上の腐食防止剤の濃度は、約0.5ptb〜約7ptb、約0.5ptb〜約6ptb、約0.5ptb〜約5ptb、約1ptb〜約4ptb、約1ptb〜約3ptb、約1ptb〜約2ptb、約1.2ptb、約1.4ptb、約1.6ptb、または約1.8ptbである。
【0157】
本発明のある実施形態においては、含酸素ガソリン組成物中の1種類以上の腐食防止剤の濃度は、約0.5ptb〜約7ptb、約0.5ptb〜約6ptb、約0.5ptb〜約5ptb、約3ptb〜約5ptb、約3ptb〜約4ptb、約3ptb、約4ptb、または約5ptbである。
【0158】
本発明の腐食防止剤は、製油所のアルキル化装置または他の製油所ストリームからの生成物などの1種類の成分から製造できる含酸素ガソリンブレンドストックとともに使用することができる。しかし、ガソリンブレンドストックは、より一般的には2種類以上の成分とブレンドされる。ガソリンブレンドストックは、所望の物理的特性および性能特性に適合させ、規制要件に適合させるためにブレンドされ、数種類の成分、たとえば3または4種類を含むことができ、あるいは多くの成分、たとえば12種類以上を含むことができる。
【0159】
ガソリンおよびガソリンブレンドストックは、場合により他の化学物質または添加剤を含むことができる。たとえば、添加剤または他の化学物質は、ガソリンの性質を調整して規制要件に適合させるため、所望の性質の付与または向上のため、望ましくない悪影響を軽減するため、性能特性を調整するため、またはガソリンの性質を他の方向に変化させるために加えることができる。このような化学物質または添加剤の例としては、洗浄剤、付着制御添加剤、酸化防止剤、安定性強化剤、解乳化剤、腐食防止剤、金属不活性化剤などが挙げられる。2種類以上の添加剤または化学物質を使用することができる。
【0160】
有用な添加剤および化学物質は、Colucciらの米国特許第5,782,937号明細書(参照により本明細書に援用される)に記載されている。このような添加剤および化学物質は、Wolfの米国特許第6,083,228号明細書、およびIshidaらの米国特許第5,755,833号明細書、Schwahnの米国特許第7,601,185号明細書、Wolfの国際公開第2010/091069号パンフレットにも記載されており、これらすべてが参照により本明細書に援用される。ガソリンおよびガソリンブレンドストックは、添加剤を燃料に送るために多くの場合使用される溶媒またはキャリア溶液を含有することもできる。このような溶媒またはキャリア溶液の例としては、鉱油、アルコール、カルボン酸、合成油、および当技術分野において周知の多数の他のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
別の一実施形態においては、本発明の腐食防止剤は、付着制御添加剤(DCA)パッケージの一部として配合することができる。このようなDCAは、ある種のアルデヒドまたはケトンと、米国特許第6,652,667号明細書に開示される従来の未変性窒素含有洗浄添加剤であって:脂肪族ヒドロカルビル置換アミン、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、ヒドロカルビル置換スクシンイミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアミノアルカン、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステル、100〜600の範囲内の分子量を有し、非極性部分と窒素含有極性部分とを有するキャブレター/インジェクター洗浄添加剤、またはそれらの混合物である未変性窒素含有洗浄添加剤との反応生成物を含むことができる。
【0162】
付着制御添加剤の製造における反応物として使用できる脂肪族ヒドロカルビル置換アミンは、通常、少なくとも1つの塩基性窒素原子を有し、ヒドロカルビル基が約400〜3,000の数平均分子量を有する、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル置換アミンである。好ましい脂肪族ヒドロカルビル置換アミンとしては、ポリイソブテニルおよびポリイソブチルモノアミンおよびポリアミンが挙げられる。このような脂肪族ヒドロカルビルアミンは、当技術分野において周知の従来手順によって調製することができる。好適な調製は、米国特許第3,438,757号明細書、米国特許第3,565,804号明細書、米国特許第3,574,576号明細書、米国特許第3,848,056号明細書、米国特許第3,960,515号明細書、米国特許第4,832,702号明細書、および米国特許第6,203,584号明細書に詳細に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0163】
DCAの製造における別の種類の反応物は、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンであり、ポリエーテルアミン共記載される。典型的なヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンとしては、ヒドロカルビル基が1〜約30個の炭素原子を含有し、オキシアルキレン単位の数が約5〜100であり、アミン部分が、アンモニア、第1級アルキルまたは第2級ジアルキルモノアミン、あるいは末端アミノ窒素原子を有するポリアミンから誘導されるヒドロカルビルポリ(オキシアルキレン)モノアミンおよびポリアミンが挙げられる。好ましくは、オキシアルキレン部分は、オキシプロピレンまたはオキシブチレン、またはそれらの混合物である。このようなヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、たとえば、米国特許第6,217,624号明細書および米国特許第5,112,364号明細書に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0164】
ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)モノアミンの好ましい種類の1つは、ポリ(オキシアルキレン)部分が、オキシプロピレン単位またはオキシブチレン単位、あるいはオキシプロピレン単位およびオキシブチレン単位を混合したものを含有する、アルキルフェニルポリ(オキシアルキレン)モノアミンである。好ましくは、アルキルフェニル部分上のアルキル基は、1〜24個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキルである。特に好ましいアルキルフェニル部分は、テトラプロロペニルフェニルであり、すなわちアルキル基が、プロピレン誘導体から誘導される12個の炭素原子の長鎖アルキル基である場合である。
【0165】
本発明の付着制御添加剤の製造における反応物として使用するための別の種類のヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、たとえば米国特許第4,288,612号明細書、米国特許第4,236,020号明細書、米国特許第4,160,648号明細書、米国特許第4,191,537号明細書、米国特許第4,270,930号明細書、米国特許第4,233,168号明細書、米国特許第4,197,409号明細書、米国特許第4,243,798号明細書、および米国特許第4,881,945号明細書(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に開示されるヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミノカルバメートである。これらのヒドロカルビルポリ(オキシアルキレン)アミノカルバメートは、少なくとも1つの塩基性窒素原子を含有し、約500〜10,000、好ましくは約500〜5,000、より好ましくは約1,000〜3,000の平均分子量を有する。好ましいアミノカルバメートは、アミン部分がエチレンジアミンまたはジエチレントリアミンから誘導されるアルキルフェニルポリ(オキシブチレン)アミノカルバメートである。
【0166】
本発明の付着制御添加剤の製造におけるさらなる種類の反応物は、ヒドロカルビル置換スクシンイミドである。典型的なヒドロカルビル置換スクシンイミドとしては、ポリアルキル基またはポリアルケニル基が約500〜5,000、好ましくは約700〜3,000の平均分子量を有するポリアルキルおよびポリアルケニルスクシンイミドが挙げられる。ヒドロカルビル置換スクシンイミドは、通常、ヒドロカルビル置換コハク酸無水物と、アミン窒素原子に結合した少なくとも1つの反応性水素を有するアミンまたはポリアミンとを反応させることによって調製される。好ましいヒドロカルビル置換スクシンイミドとしては、ポリイソブテニルおよびポリイソブタニルスクシンイミド、並びにそれらの誘導体が挙げられる。ヒドロカルビル置換スクシンイミドが、たとえば、米国特許第5,393,309号明細書、米国特許第5,588,973号明細書、米国特許第5,620,486号明細書、米国特許第5,916,825号明細書、米国特許第5,954,843号明細書、米国特許第5,993,497号明細書、および米国特許第6,114,542号明細書、ならびに英国特許第1,486,144号明細書に開示されており、それらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0167】
本発明の付着制御添加剤の製造におけるさらに別の種類の反応物は、高分子量アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物と、少なくとも1つの反応性水素を含有するアミンと、アルデヒドとのマンニッヒ縮合から通常得られるマンニッヒ反応生成物である。高分子量アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物は、好ましくはポリアルキルフェノール、たとえばポリプロピルフェノールおよびポリブチルフェノール、特にポリイソブチルフェノールであり、ポリアルキル基が約600〜3,000の平均分子量を有する。アミン反応物は、通常、ポリアミン、たとえばアルキレンポリアミン、特にエチレンまたはポリエチレンポリアミン、たとえば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどである。アルデヒド反応物は、一般に、脂肪族アルデヒド、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリン、およびアセトアルデヒドである。好ましいマンニッヒ反応生成物は、ポリイソブチルフェノールと、ホルムアルデヒドおよびジエチレントリアミンとの縮合によって得られ、ポリイソブチル基は約1,000の平均分子量を有する。マンニッヒ反応生成物は、たとえば米国特許第4,231,759号明細書および米国特許第5,697,988号明細書に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0168】
本発明の付着制御添加剤の製造における他の反応物は、ポリアルキルフェノキシアミノアルカン、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステル、ならびにポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロおよびアミノ芳香族エステルとヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンとの混合物である。これらの混合物は、米国特許第5,749,929号明細書に詳細に記載されており、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0169】
好ましくは、本発明の腐食防止剤とともに使用される洗浄剤または付着制御添加剤の組成物は、前述の反応物と低(100未満の)炭素数の選択されたアルデヒドまたはケトンとの間の反応で得られるイミンまたは第3級アミン生成物である。前述の未変性付着制御添加剤のそれぞれは、第1級および/または第2級アミン官能基を有し、この官能基は、式:R16CHO、R16CH2CHO、R17(C=O)R18、およびR17CH2(C=O)R18(式中、R16、R17、およびR18は、同じまたは異なっていてよく、それぞれ独立して、1〜18個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖のヒドロカルビル基またはアリール基である)を有する好適な低炭素数アルデヒドまたはケトンとの反応によって変性させることができる。通常、反応にはイソブタノールなどの溶媒が使用される。
【0170】
最も好ましい一実施形態においては、付着制御添加剤は、腐食防止および貯蔵安定性を改善するために本発明の腐食防止剤と相乗的に機能する。DCAの処理率は、1階の最小添加剤濃度で好ましくは27〜45ptbで。2〜4回では、この量は、約100ptbの好ましい最大処理率までで使用することができる。
【0171】
本発明の一態様においては、含酸素ガソリン組成物の腐食防止および貯蔵安定性は、少なくとも2週間、好ましくは12週間、最も好ましくは120日維持される。
【0172】
使用できる他の従来成分および助剤は、酸化剤、たとえばブチル化ヒドロキシトルエン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(2,6−DTBP)、p−フェニレンジアミン、ジアリールアミン類、ビス(オクチルフェニル)アミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、エチレンジアミン;または安定剤、たとえば、アミン系安定剤、たとえばp−フェニレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、またはそれらの誘導体、ならびにフェノール系安定剤、たとえば、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、または3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸;脱ヘイズ剤(dehazer)、解乳化剤、帯電防止剤、メタロセン類、たとえばフェロセンまたはメチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、潤滑添加剤、たとえばある種の脂肪酸、アルケニルコハク酸エステル類、ビス(ヒドロキシアルキル)脂肪アミン、ヒドロキシアセタミド類、およびヒマシ油;アンチノック添加剤、たとえばテトラエチル鉛、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(MMT)、フェロセン、鉄ペンタカルボニル、トルエン、イソオクタン、トリプタン、防氷添加剤、エーテル類、たとえばメチル tert−ブチルエーテル、第3級アミルメチルエーテル、第3級ヘキシルメチルエーテル、エチル第3級ブチルエーテル、第3級アミルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、オクタン必要量の添加剤、鉛捕捉剤(加鉛ガソリンの場合)、たとえばリン酸トリクレシル(TCP),1,2−ジブロモエタン、1,2−ジクロロエタン;ならびに着色剤、たとえばSolvent Red 24、Solvent Red 26、Solvent Yellow 124、Solvent Blue 35である。
【0173】
本発明の方法における使用に好適なガソリンブレンドストックは、通常、火花点火エンジンまたはガソリンを燃焼させる他のエンジンにおいて消費されるガソリンの製造に使用できるブレンドストックである。好適なガソリンブレンドストックとしては、ASTM D4814に適合するガソリン用のブレンドストック、および改質ガソリン用のブレンドストックが挙げられる。好適なガソリンブレンドストックとしては、地域の要求に適合させるために希望されうる低イオン含有量を有する、たとえば約150ppmv未満、好ましくは約100ppmv未満、より好ましくは約80ppmv未満、または約30ppmv未満、または約10ppmv未満の硫黄を有するブレンドストックも挙げられる。このような好適なガソリンブレンドストックとしては、規制要件に適合させるために望ましくなりうる低芳香族含有量を有する、たとえば約8000ppmv未満、好ましくは約7000ppmv未満、または約6200ppmv未満、または約4000ppmv未満のベンゼンを有するブレンドストックも挙げられる。
【0174】
メタノール、エタノール、ブタノール、またはそれらの混合物などのオキシジェネートが、ガソリンブレンドストックとブレンドされる。その場合、得られるガソリンブレンドは、1種類以上のガソリンブレンドストックと、1種類以上の好適なオキシジェネートとのブレンドを含む。別の一実施形態においては、1種類以上のブタノール異性体を、1種類以上のガソリンブレンドストック、および場合によりエタノールなどの1種類以上の好適なオキシジェネートとブレンドすることができる。そのような実施形態において、1種類以上のガソリンブレンドストックと、1種類以上のブタノール異性体と、場合により1種類以上の好適なオキシジェネートとを任意の順序でブレンドすることができる。たとえば、ブタノールを、ガソリンブレンドストックおよび好適なオキシジェネートを含む混合物に加えることができる。別の例として、1種類以上の好適なオキシジェネートおよびブタノールを複数の異なる場所または複数の段階で加えることができる。さらなる例では、ブタノール、より好ましくはイソブタノールを、好適なオキシジェネートとともに加えることができるし、好適なオキシジェネートの前にブレンドすることができるし、またはガソリンブレンドストックに加える前に好適なオキシジェネートとブレンドすることもできる。好ましい一実施形態においては、ブタノール、より好ましくはイソブタノールを含酸素ガソリンに加える。別の好ましい一実施形態においては、1種類以上の好適なオキシジェネートおよびブタノールを同時にガソリンブレンドストックにブレンドすることができる。
【0175】
このようないずれの実施形態においても、1種類以上のブタノールおよび場合におる1種類以上の好適なオキシジェネートは、流通網の任意の場所で加えることができる。たとえば、ガソリンブレンドストックをターミナルに輸送することができ、次にブタノールおよび場合により1種類以上の好適なオキシジェネートを、ターミナルにおいて個別にまたは組み合わせてガソリンブレンドストックとブレンドすることができる。さらなる例として、1種類以上のガソリンブレンドストック、1種類以上のブタノール異性体、および場合により1種類以上の好適なオキシジェネートを製油所で混合することができる。他の成分または添加剤を流通網の任意の場所で加えることもできる。さらに、本発明の方法は、製油所、ターミナル、小売現場、または流通網の任意の他の好適な場所で実施することができる。
【0176】
本発明のオキシジェネートは、多くの品質またはグレード、たとえば商用グレードまたは燃料グレード、ならびに純粋グレードまたは試薬グレードで得ることができたり、提供されたりする場合があり、石油精製ストリーム、蒸留カット、および生物学的に誘導されたもの(たとえば、トウモロコシまたは他の農作物または再生可能な物質から得られるバイオエタノール、バイオブタノール)などのあらゆる供給源から得ることができる。
【0177】
一実施形態においては、本発明の含酸素ガソリン組成物のオキシジェネートは、少なくとも5%の再生可能成分を含む。好ましい一実施形態においては、前記再生可能成分は、生物学的に誘導されたエタノール、生物学的に誘導されたブタノール、またはそれらの混合物を含む。
【0178】
ある実施形態においては、オキシジェネートは腐食が防止される。腐食が防止されたオキシジェネートは、約90〜約100wt/wt%のアルコールおよび約10〜200ptbの腐食防止剤を有することができる。ある実施形態においては、腐食防止剤は、本明細書に記載の任意の腐食防止剤であってよい。本発明のある実施形態においては、腐食防止剤は、約1:12〜約1:0、約1:11〜約1:0、約1:10〜約1:0、または約1:9〜約1:0の酸:アミン当量比を有する。ある実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:9の酸:アミン当量比を有する。別の実施形態においては、1種類以上の腐食防止剤は約1:0の酸:アミン当量比を有する。別の実施形態においては、腐食防止剤は、少なくとも約1:12、少なくとも約1:11、少なくとも約1:10、少なくとも約1:9、少なくとも約1:8、少なくとも約1:7、少なくとも約1:6、少なくとも約1:5、少なくとも約1:4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、少なくとも約1:1、または約1:0(すなわち、検出可能なアミンを有さない)の酸:アミン当量比を有する。ある実施形態においては、アルコールは生物学的に誘導される。ある実施形態においては、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0179】
ある実施形態においては、このような腐食が防止されたオキシジェネートは、含酸素ガソリンの製造方法において使用される。ある実施形態においては、その方法は、腐食が防止されたオキシジェネートをガソリン基油とブレンドして、含酸素ガソリンを製造するステップを含む。ある実施形態においては、腐食が防止されたオキシジェネートは、生物学的に誘導されたアルコールを含む。ある実施形態においては、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0180】
好ましくは、本発明による含酸素ガソリンは、既に存在する燃料ブレンドから製造することができる。このようなブレンドは、70〜85体積%のエタノールおよび15〜30体積%のベース燃料の比率であるE85燃料であってよい。別のブレンドは、30〜60体積%のベース燃料および40〜70体積%の少なくとも1種類のブタノール異性体、好ましくはイソブタノールを含むことができる。これらのブレンドの両方を互いに混合して、約15〜70体積%のベース燃料、約5〜65体積%のエタノール、および約5〜50%のブタノール、特にイソブタノールを含む含酸素ガソリン燃料を得ることができる。
【0181】
一実施形態においては、含酸素ガソリンは5v/v%以下のメタノールを含む。
【0182】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは10v/v%以下のエタノールを含む。
【0183】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは20v/v%以下のエタノールを含む。
【0184】
別の一実施形態においては、オキシジェネートは30v/v%以下のエタノールを含む。
【0185】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは10v/v%以下のブタノールを含む。
【0186】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは20v/v%以下のブタノールを含む。
【0187】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは30v/v%以下のブタノールを含む。
【0188】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは40v/v%以下のブタノールを含む。
【0189】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは約16v/v%のブタノールを含む。
【0190】
別の一実施形態においては、含酸素ガソリンは約24v/v%のブタノールを含む。
【0191】
好ましい一実施形態においては、含酸素ガソリンブレンドは、少なくとも約10体積パーセント、より好ましくは少なくとも約16体積パーセント、最も好ましくは少なくとも約24体積パーセントの少なくとも1種類のブタノール異性体を含む。
【0192】
本発明において使用される腐食防止剤は、一般に含酸素ガソリンに加えられるが、少なくとも1種類の有機溶媒を使用する濃縮物として配合することもできる。本発明の腐食防止組成物は、溶媒が約15〜65重量%の組成物を含む溶媒溶液の形態で調製することができる。好適な溶媒は、通常、炭化水素燃料の沸点範囲で沸騰する液体有機化合物であり、特に炭化水素およびアルコールであり、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ベネゼン(benezene)、トルエン、キシレン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ガソリン、ジェット燃料、燃料油などが挙げられる。溶媒混合物を使用することもできる。本発明のある実施形態においては、キシレン類およびエチルベンゼンの混合物が腐食防止剤とともに使用される。
【0193】
好ましくは、芳香族炭化水素溶媒(トルエン、キシレン類、あるいはより高沸点の芳香族、または芳香族希釈剤など)が使用される。3〜8個の炭素原子を含有する脂肪族アルコール(イソプロパノール、イソブチルカルビノール、n−ブタノールなど)を単独で、または炭化水素溶媒と組み合わせて使用することもできる。
【0194】
腐食防止剤の配合への使用に好適なアルコキシモノ−またはポリ(オキシアルキレン)アルコール溶媒としては、たとえば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−n−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、プロピレンエチレングリコールメチルエーテル、プロピレンエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、およびそれらの混合物などが挙げられる。好ましいアルコキシモノ−またはポリ(オキシアルキレン)アルコールの1つは、2−n−ブトキシエタノールである。市販の2−n−ブトキシエタノール、またはエチレングリコールモノ−ブチルエーテルが、The Dow Chemical CompanyよりEB Butyl Cellusolveとして入手可能である。
【0195】
好適な脂肪族溶媒としては、脱芳香化溶媒、たとえばExxonMobilより入手可能なExxsol D40およびD60、他の脂肪族溶媒、たとえば同様にExxonMobilより入手可能なD15−20 Naphtha、D115−145 Naphtha、およびD31−35 Naphtha、ならびに非芳香族ミネラルスピリットなども挙げられる。
【0196】
酢酸および硫酸種などの過剰の酸性成分が、エンジン中および/またはバルブまたは他のエンジン部品の上での摩耗および堆積物の蓄積に寄与することが知られている。分散剤を使用して酢酸および/または硫酸成分を緩衝することによって含酸素ガソリンのpHのわずかな上昇を促進することができ、それによって堆積に寄与する反応生成物の形成を軽減または防止することができる。分散剤の使用は、酸性腐食防止剤の緩衝においても有用となる。
【0197】
好ましくは、腐食が防止された含酸素ガソリン組成物中の酸対アミンの当量比は、約1〜約3、好ましくは約1〜約2、最も好ましくは約1である。別の実施形態においては、含酸素ガソリン組成物中の1種類以上の腐食防止剤は、約0.1〜約3、約0.1〜約2、または約0.1〜約1の酸対アミンの当量比を有する。アミン対カルボン酸の当量比を調整するために、第1級、第2級、または第3級脂肪族モノアミンを使用することができる。このような第1級アミンとしては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、およびオレイルアミン、セチルアミン、N−テトラデシルアミンココアミン、アルキル(C16およびC18−不飽和)アミン、アルキル(C14〜18)アミン、アルキル(C16〜22)アミン、アルキル(C8〜18およびC18−不飽和)アミン、アルキル(C12〜18)アミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別の市販の第1級アミンとしては、ヤシ油アミン、タローアミン、水素化タローアミン、および綿実油アミンが挙げられる。
【0198】
使用できる第2級および第3級アミンの例としては、限定するものではないが、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジ(水素化タロー)アミン、ジココアルキルアミン、ジアルキル(C14〜18)アミン、ジアルキル(C12〜18)アミン、ジアルキル(C16〜22)アミン、N−トリデシルトリデカンアミン、N−メチルステアリルアミン、ジステアリルアミン、ジアルキル(C8〜20)アミン、N−オクタデシルベンジルアミン、N−イソプロピルオクタデシルアミン、N−ヘキサデシルオクタデシルアミン、ジマンチン、N−メチルジオクタデシルアミン、ジメチルパルミタミン(dimethyl palmitamine)、ココジメチルアミン、アルキル(C10〜16)ジメチルアミン、アルキル(C14〜18)ジメチルアミン、アルキル(C16〜18およびC18−不飽和)ジメチルアミン、アルキル(C16〜18)ジメチルアミン、アルキル(C12〜18)ジメチルアミン、アルキル(C16〜22)ジメチルアミン、オレイルジメチルアミン、N−メチルジデシルアミン、N,N−ジオクチルメチルアミン、ジココメチルアミン、二水素化タローメチルアミン、トリアルキル(C6〜12)アミン、N,N−ジオクチルオクチルアミン、トリアルキル(C8〜10)アミン、ココプロピレンジアミン、ラウリルプロピレンジアミン、N−ドデシルプロピレンジアミン、ラウリルアミンジプロピレンジアミン、N−(タローアルキル)ジプロピレントリアミン、N−(タローアルキル)ジプロピレントリアミン、N−ステアロイルテトラエチレントリアミン、オクチルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、オクタデシルメチルベンジルアミン、ヘキシルジエチルアミン、トリラウリルアミン、トリココナットアミン(tricoconut amine)、トリカプリリルアミンが挙げられ、類似の種類の化合物も使用することができる。
【0199】
酸/アミン当量比は、当技術分野において周知のあらゆる方法によって求めることができる。
【実施例】
【0200】
以下の実施例を参照して、以下の本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明が、これらに限定されると解釈すべきではない。
【0201】
すべての市販の腐食防止剤で、かなりの期間(たとえば、30日〜12週間)、高温(たとえば、110°F)で老化させた後でのガソリンアルコールブレンド(イソブタノールおよびメタノール/共溶媒など)の腐食が防止されるわけではない。110°Fにおける老化は、長期間(たとえば、1年間)の周囲環境保管中の性能試験の1つである。予期せぬことに、異なるアルコールは腐食防止剤に対して異なる影響があり、腐食防止剤量を単純に増加させても、必ずしもより良好な腐食防止性が得られるわけではないことが分かった。予期せぬことに、ある種の腐食防止剤では優れた腐食防止性が得られ、低濃度で腐食防止性を得ることができることも分かり、このことはより経済的であり好ましい。
【0202】
本発明による腐食防止剤のNational Association of Corrosion Engineers(NACE)試験を以下に示す。
【0203】
NACE TM0172−2001(Determining Corrosive Properties of Cargoes in Petroleum Product Pipelines)は、石油製品パイプラインの貨物の腐食特性の均一な試験方法を提供し、本明細書において本発明の含酸素ガソリンの腐食特性の試験に使用される。NACE TM0172−2001は、その全体が参照により本明細書に援用される。この試験方法では、円筒形鋼製試験片の表面を作製し、次に試験燃料と蒸留水との混合物中に浸漬する。混合物は、撹拌され、規定の温度に維持される。次に試験片を、腐食した試験表面の比率によって評価する。十分な防止剤が存在して、この規格で定義されるB+以上の結果が得られれば、パイプラインの流動における全体的な腐食が制御されうることが、経験的に示されている。
【0204】
実施例1〜20
以下の実施例では、NACE Standard Test Method TM0172−2001で「C」以下の評価を示すものを除けば、ASTM D4814 Standard Specification for Automotive Spark−Ignition Engine Fuelの要求を満たす添加剤を加えない無鉛ガソリンをガソリンブレンドストックとして使用する。自動車用火花点火エンジン燃料として使用するためのガソリンのブレンドために製造プラントのプロセスで典型的に製造される燃料オキシジェネートが、燃料オキシジェネートブレンドストックとして使用される。推奨される処理率を使用して、所望のガソリン/オキシジェネート燃料比で候補の腐食防止剤とブレンドされる。
【0205】
試験方法NACE TM0172−2001を用いて腐食評価が求められる。使用した処理率で、B+(5%未満の表面のさび)以上のNACE Standard Test評価に適合する候補の腐食防止剤を有する燃料ブレンドが、許容できると見なされる。本発明で使用される処理率は、推奨される処理率とは異なっていてもよい。好ましくは全腐食防止剤濃度は、含酸素燃料ブレンドの約3〜約50ポンド/千バレルである。より好ましくは、含酸素燃料の約3〜約20ポンド/千バレルであり、最も好ましくは15ptb以下である。
【0206】
同じ所望のガソリン/オキシジェネート燃料比のブレンドを使用したNACE TM0172−2001の腐食評価を、110°Fで14日、30日、または12週間保管した後に測定する。この場合も、少なくとも14日の保管後、好ましくは30日後、好ましくは少なくとも12週間後にB+(5%未満の表面のさび)以上のNACE Standard Test評価に適合する候補の腐食防止剤を有する燃料ブレンドが、許容できると見なされる。サンプルは、実験室条件下、110°Fにおいて、非金属容器中で保管されることで、UV光から保護され、あらゆる安全対策がとられる。
【0207】
表3は、メタノール共溶媒ブレンドまたはイソブタノールのいずれかと、典型的な緩衝された腐食防止剤を含有するガソリンに関するNACE試験結果を示している。DCI−11およびNalco 5624Aは、メタノール共溶媒ブレンドの場合に12週間の熱老化で腐食防止性が得られるが、どちらもイソブタノールブレンドの場合には良好な防止性が得られなかった。イソブタノールは、従来使用されるガソリンにより近く、一般的な腐食防止剤で良好な防止性が得られるはずなので、このことは予期せぬことである。
【0208】
表4は、推奨される最大値付近の腐食防止剤処理量を用いて、類似のブレンドの通常とは異なる熱老化挙動を示している。予期せぬことに、これらの多い処理量では、メタノール共溶媒ブレンドまたはイソブタノールのいずれでも12週間で良好な防止性が得られない。
【0209】
表5は、14日の熱老化後のNACE試験結果を示している。
【0210】
表6は、実施例で使用したベースガソリンの組成データを含んでいる。
【0211】
【表4】
【0212】
【表5】
【0213】
【表6】
【0214】
【表7】
【0215】
実施例21〜27
OCTAMIX組成物中の腐食防止剤のNACE試験
概要:National Association of Corrosion Engineers(NACE)Standard Test Method TM0172(Determining Corrosive Properties of Cargoes in Petroleum Product Pipelines)によって、ガソリンブレンド中の3つの市販の腐食防止添加剤の腐食性能を評価した。2つの異なるオキシジェネート混合物を用いたベースガソリンおよびブレンドの試験を行った。すべてのブレンドについて、新しいブレンドおよび110°Fで最大12週間熱老化させたブレンドの両方で、許容できる性能が得られ、それによって添加剤の性能が十分である事が示された。
【0216】
材料−試験燃料成分:
1.製油所プロセスの添加剤のみを含むみ、すなわち流通ターミナルで通常加えられる洗浄剤および他の性能添加剤は含まない、すべて炭化水素組成のベースガソリン。このベースガソリンはNACE試験で低い性能が得られた(C評価)。
2.「OCTAMIX #1」表7に記載の共溶媒アルコールを有するメタノール組成物。
3.「OCTAMIX #2」表7に記載のイソブタノールアルコール組成物。
4.腐食防止添加剤
a.Afton BioTEC(登録商標)9880
b.Afton BioTEC(登録商標)9881
c.Lubrizol(登録商標)541
【0217】
【表8】
【0218】
ガソリン/アルコール燃料ブレンド:
1.C−9ベース燃料:アルコールおよび腐食防止剤を加えていないベースガソリン
2.T−9試験燃料:7.6体積%のOCTAMIX #1(メタノール および共溶媒)を有するベースガソリン
3.T−9b試験燃料:16体積%のOCTAMIX #2(イソブタノール)を16%で加え、候補の腐食防止剤を指定の処理率で加えたベースガソリン。
【0219】
ブレンド組成を表8にまとめている。
【0220】
【表9】
【0221】
試験方法:
NACE Standard Test Method TM0172(Determining Corrosive Properties of Cargoes in Petroleum Product Pipelines)(NACE試験)を使用して、すべてのサンプルの腐食性能を評価した。サンプルは、添加剤を有するガソリン/アルコール燃料ブレンドの新しい配合物、およびNACE試験前に熱老化させた同一の配合物からなった。熱老化サンプルは、プラスチックキャップ中にTeflon(商標)ライナーを有するプラスチックで被覆されたガラス瓶の中で老化させた。熱老化用瓶を110°Fで制御された水浴中に浸漬した。
【0222】
手順:
1.新しい試験燃料および老化NACE試験用の試験燃料を十分な量で調製する。
2.新しい燃料に対してNACE試験を行う。
3.さらなる試験燃料サンプルについて110°Fで30日老化させる。
4.30日間老化させた燃料に対してNACE試験を行う。
5.さらなる試験燃料サンプルについて110°Fで12週間日老化させる。
6.12週間老化させた燃料に対してNACE試験を行う。
【0223】
結果:3つのEPA公認の市販の腐食防止剤を特定の濃度で試験した:Afton BioTEC(登録商標)9880は4.56mg/L、Afton BioTEC(登録商標)9881は11.4mg/L、Lubrizol(登録商標)541は11.4mg/L。すべての燃料の新しいブレンドはNACE評価がA(さびなし)であった。30日および12週間の老化後、すべてのブレンドでB+以上の許容されるNACE評価が得られ、B+(2%のさび)からA(さびなし)であった。新しいブレンドに対するB+のNACE評価は、一般にキャリアパイプライン燃料規格に必要とされる。添加剤を加えていないベース燃料では、新しいサンプルおよび熱廊下サンプルの両方でC(30%のさび)のNACE評価を得た。結果を表9にまとめている。
【0224】
【表10】
【0225】
Afton BioTEC(登録商標)9880、Afton BioTEC(登録商標)9881、およびLubrizol(登録商標)541のすべてで、30日および12週間の熱老化後にB+以上の許容できるNACE評価が得られる燃料ブレンドが得られという優れた腐食防止性能が得られ、これらの腐食防止剤によって、燃料ブレンドを長期間周囲条件で保管しても腐食が防止されることを示している。さらに、これらの防止剤は、5ptb未満の低い処理率で十分に腐食が防止され、そのためより経済的である。有効な腐食防止剤は、アルケニルコハク酸を含み、アルケニル基がテトラプロペニルの異性体であり、中和アミンなし(Afton BioTEC(登録商標)9880)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの約9当量の中和アミンを有する(Afton BioTEC(登録商標)9881)、または米国特許第3,177,091号明細書に記載されるように中和アミンを有さずエステル結合がグリコールであるビスエステルである(Lubrizol(登録商標)541)。
【0226】
実施例28〜33
Lubrizol(登録商標)541と、BioTEC(登録商標)9880、および高使用量(15ptb)のBioTEC(登録商標)9881との組み合わせについても、実施例21〜27で前述した手順により試験した。これらのさらなる試験のデータを表10にまとめている。
【0227】
【表11】
【0228】
表10も、Afton BioTEC(登録商標)9880、Afton BioTEC(登録商標)9881、およびLubrizol(登録商標)541によって腐食が防止され、30日および12週間の熱老化後にB+以上の許容されるNACE評価が得られる燃料ブレンドが得られることを示している。より高い処理率の15ptbのBioTEC(登録商標)9881では、許容されるNACE評価のブレンドが得られ、より低い処理率の4ptbのLubrizol(登録商標)541および1.6ptbのBioTEC(登録商標)9880も、個別または組み合わせでのいずれの添加でも、許容できるNACE評価を得た。より高い処理率のBioTEC(登録商標)9881は、他の添加剤で観察されるような性能の低下はなかった(試験32および33を9、10、11、12と比較)。Lubrizol(登録商標)541とBioTEC(登録商標)9880との組み合わせでは、性能を低下させる拮抗作用を示さなかった(30および31を22、23、28、および29と比較)。
【0229】
実施例34〜48
実施例21〜27で前述した手順により、Lubrizol(登録商標)541、BioTEC(登録商標)9880、およびBioTEC(登録商標)9881を用いてさらなる試験を行った。これらのさらなる試験のデータを表11および12にまとめている。
【0230】
【表12】
【0231】
【表13】
【0232】
表11は、Lubrizol(登録商標)541、BioTEC(登録商標)9880、およびBioTEC(登録商標)9881で、メタノール/共溶媒およびイソブタノールブレンドの両方の場合で過酷なベースガソリン(ガソリン3)中での30日間の熱老化後に腐食防止性が得られることを示しており、表12は、BioTEC(登録商標)9880およびBioTEC(登録商標)9881が、あまり過酷ではないベース(ガソリン4)中の12週間の熱老化後に腐食防止性が得られることを示している。
【0233】
燃料添加剤の化学物質は、高濃度のエタノール中のポリイソブチレンアミン(PIBA)など、高濃度のオキシジェネートに対して不溶性となることが知られている。本発明の腐食防止剤の組み合わせによって、完全に可溶性となる。Modified MOBIL Filterability Test、または現実のデータと相関のある同等の試験を使用して、溶解性の試験を行うことができる。
【0234】
以上の説明から、本発明の目的が達成されたことが明らかである。特定の実施形態のみを説明してきたが、別の実施形態および種々の修正は、以上の説明から当業者には明らかであり、それらは本発明の意図および範囲の中にある。
【0235】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、本発明が属する当業者の技術水準を示しており、個別のそれぞれの刊行物、特許、または特許出願が限定的および個別にあらゆる目的で参照により援用されたと示されたかのように同じ程度で、それらが参照により本明細書に援用される。