【実施例】
【0010】
以下本発明の詳細を以下の実施例及び比較例で説明する。但し、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0011】
<実施例1>
搗精した大麦150gを、常温で水に1時間浸漬した後、沸騰したお湯で10分間茹で、その後、水洗し、大麦の温度が20℃になるまで粗熱を取り、水切りし、その後、5℃の雰囲気下で2時間静置した後に、130mm×200mmの大きさのパウチに120g充填し、充填した大麦の重量に対して5重量%の水を加え、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製)を使用し、浸漬方式により121℃、1.8kgf/cm
2で10分間レトルト処理した。
【0012】
<実施例2〜4、比較例1、2>
静置温度及び時間が、表1に示す温度及び時間であること以外は、実施例1に準じて加工し、レトルト大麦加工食品を得た。
【0013】
(表1)
【0014】
実施例1〜4及び比較例1、2のレトルト大麦加工食品の外観の評価を行い、10名のパネラーで食感を評価した。食感について5段階評価(5点=非常に硬い、4点=硬い、3点=適度な硬さ、2点=軟らかい、1点=非常に軟らかい)を行った。10名の評価の平均値をとり、2.5点以上、3.5点以下をレトルト大麦加工食品として適当な食感であると評価した。
評価結果を表2に示す。
【0015】
(表2)
【0016】
実施例1、2即ち、茹で工程後に5℃の雰囲気下で2時間及び96時間静置することで適当な食感で、型くずれもない、ほぐれた大麦のレトルト加工品が得られた。
実施例3、4即ち、茹で工程後に30℃の雰囲気下で1時間及び72時間静置することで適当な食感で、型くずれもない、ほぐれた大麦のレトルト加工品が得られた。
比較例1、2では、粒の型くずれ、粒同士の結着があり、食感評価も3.5点を超えて硬くなり、目的の品質のレトルト大麦加工食品を得られなかった。
【0017】
<実施例5>
搗精した大麦150gを、常温で水に1時間浸漬した後、沸騰したお湯で20分間茹で、その後、水洗し、大麦の温度が20℃になるまで粗熱を取り、水切りし、5℃の雰囲気下で20時間静置した後に、130mm×200mmの大きさのパウチに120g充填し、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製)を使用し、浸漬方式により121℃、1.8kgf/cm
2で10分間レトルト処理を行った。
【0018】
<実施例6、7、比較例3>
レトルト処理前の充填時に、表3に示す充填時の大麦の重量に対する重量%の量の水を加えること以外は、実施例5に準じて加工し、レトルト大麦加工食品を得た。
【0019】
(表3)
【0020】
実施例5〜7及び比較例3のレトルト大麦加工食品の外観の評価を行い、10名のパネラーで食感を評価した。食感について5段階評価(5点=非常に硬い、4点=硬い、3点=適度な硬さ、2点=軟らかい、1点=非常に軟らかい)を行った。10名の評価の平均値をとり、2.5点以上、3.5点以下をレトルト大麦加工食品として適当な食感であると評価した。
評価結果を表4に示す。
【0021】
(表4)
【0022】
実施例5〜7より、充填工程時の茹で後大麦の重量に対する加水量を10重量%以下にした場合、適当な食感で、型くずれもない、ほぐれた大麦のレトルト加工品が得られた。
比較例3では、粒の型くずれがあり、粒同士の結着が強く板状になり、食感評価も4.1点と硬く、この条件では、目的の品質のレトルト大麦加工食品を得られなかった。
【0023】
<実施例8>
搗精した大麦150gを、常温で水に1時間浸漬した後、沸騰したお湯で8分間茹で、その後、水洗し、大麦の温度が20℃になるまで粗熱を取り、水切りし、5℃の雰囲気下で20時間静置した後に、130mm×200mmの大きさのパウチに120g充填し、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製)を使用し、浸漬方式により121℃、1.8kgf/cm
2で10分間レトルト処理した。
【0024】
<実施例9〜12、比較例4、5>
パウチ充填時の大麦の水分を変えるために茹で時間を変えたこと以外は、実施例8に準じて加工し、レトルト大麦加工食品を得た。
【0025】
実施例8〜12、比較例4、5の茹で時間及びパウチ充填時の大麦の水分を表5に示す。
【0026】
(表5)
【0027】
実施例8〜12及び比較例4、5のレトルト大麦加工食品の外観の評価を行い、10名のパネラーで食感を評価した。食感について5段階評価(5点=非常に硬い、4点=硬い、3点=適度な硬さ、2点=軟らかい、1点=非常に軟らかい)を行った。10名の評価の平均値をとり、2.5点以上、3.5点以下をレトルト大麦加工食品として適当な食感であると評価した。
評価結果を表6に示す。
【0028】
(表6)
【0029】
実施例8〜12より、充填時の大麦の水分値が60〜80重量%の場合、適当な食感で、型くずれもない、ほぐれたレトルト大麦加工食品が得られた。
比較例4の条件では、粒の型くずれ、粒同士の結着はないが、食感の評価が4.3点と硬くなり、レトルト大麦加工食品として適当な食感ではなかった。また、比較例5の条件では、粒の型くずれ、粒同士の結着がある上、食感の評価が1.9点と軟らかかった。よって、これらの条件では目的の品質のレトルト大麦加工食品を得られなかった。
【0030】
<比較例6> ※一般的な方法でレトルト加工したレトルト大麦加工食品
130mm×200mmの大きさのパウチに搗精した大麦の穀粒30gと共に大麦の重量に対して1.5倍量の水を加えて密封し、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製)を使用し、浸漬方式により121℃、1.8kgf/cm
2で30分間レトルト処理を行った。
その結果得られたレトルト大麦加工食品は、大麦の粒が型くずれし、粒同士が結着した状態で、硬めの食感であった。