特許第6605234号(P6605234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605234
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】搬送ベルト
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/34 20060101AFI20191031BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20191031BHJP
   B32B 25/02 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B65G15/34
   B32B5/02 A
   B32B25/02
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-113245(P2015-113245)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-11212(P2016-11212A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2018年1月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-117751(P2014-117751)
(32)【優先日】2014年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 信彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 邦王
(72)【発明者】
【氏名】植村 啓志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 高広
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−037679(JP,A)
【文献】 特開2013−154969(JP,A)
【文献】 特開2012−201813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/30−15/58
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プーリ間に巻き掛けられ、外周面上に物品を乗せて搬送する、バイオマス由来材料を含む搬送ベルトであって、
当該搬送ベルトは、
芯体帆布層と、
前記芯体帆布層に含浸された接着剤と、を有し、
前記芯体帆布層全体に対する前記バイオマス由来材料の使用割合であるバイオマス度は、60〜98%であり、
前記接着剤のバイオマス度は、25〜55%であり、
当該搬送ベルトのバイオマス度が、48.3〜91.5%であることを特徴とする搬送ベルト。
【請求項2】
プーリ間に巻き掛けられ、外周面上に物品を乗せて搬送する、バイオマス由来材料を含む搬送ベルトであって、
当該搬送ベルトは、
カバー層と、
芯体帆布層と、
前記芯体帆布層に含浸された接着剤と、を有し、
前記カバー層全体に対する前記バイオマス由来材料の使用割合であるバイオマス度は、45〜55%であり、
前記芯体帆布層のバイオマス度は、60〜98%であり、
前記接着剤のバイオマス度は、25〜55%であり
当該搬送ベルトのバイオマス度が、45.6〜81.8%であることを特徴とする搬送ベルト。
【請求項3】
前記芯体帆布層に、前記バイオマス由来材料としてポリ乳酸繊維を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送ベルト。
【請求項4】
前記カバー層に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用することを特徴とする請求項2に記載の搬送ベルト。
【請求項5】
前記接着剤に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系ポリウレタンを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品や電子部品などの工業製品(物品)を搬送する場合、無端状の搬送ベルトが使用されている。このような搬送ベルトを構成する芯体帆布(合成繊維からなる織布)、カバー層(樹脂やエラストマー)、接着剤などには、石油のような化石燃料を資源とする石油資源由来の材料が使用されるのが一般的である。
【0003】
しかし、石油資源由来の材料の消費はCO2の排出を増加させることになるところ、近年、CO2排出等の環境問題が重視されるようになり、CO2排出の規制が強化されている。また、石油のような化石燃料資源は有限であり、特に石油はその供給量が年々減少していることから、将来的に石油価格の高騰が予測されるが、搬送ベルトの製造において、石油資源由来の材料を多く使用すると、石油価格の高騰の影響が、製造コストに大きく影響することになる。
【0004】
上記問題を解決するために、特許文献1には、バイオマス由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下PTMG)を構成成分とする熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンを含むウレタン樹脂組成物からなる搬送装置用部材を搬送面に備えた搬送ベルトが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、繊維構造物を樹脂あるいはゴムで被覆してなる産業用ベルト(主に搬送用のコンベアベルト)において、繊維構造物をバイオマス由来ポリマー(ポリ乳酸)を含んだ繊維にて構成し、バイオマス由来ポリマーの含有率をベルト全体の25質量%以上とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−154969号公報
【特許文献2】特開2010−037679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された搬送ベルトは、搬送装置用部材は搬送面を形成する樹脂層のみに使用されており、他の構成材料である基布(=芯体帆布)や心線などにはバイオマス由来材料は使用されていない。
【0008】
また、搬送装置用部材を構成する熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンにおけるバイオマス由来構成成分が占める割合が約60重量%であるとの記載、及び、他の構成材料の使用量は記載されていないが、搬送ベルトにおける基布(=芯体帆布)や心線などの重量を考慮すると、搬送ベルト全体におけるバイオマス由来構成成分が占める割合は40%を下回るものと推察される。
【0009】
更に、特許文献1における課題は、バイオマス由来構成成分からなる熱可塑性ポリウレタンにおける黄変の抑制であって、実施例においても黄変の実験結果しか記載されておらず、搬送ベルトに求められる他の特性について言及されていない。
【0010】
また、特許文献2に記載された産業用ベルトにおいては、バイオマス由来ポリマー(ポリ乳酸)は、基布(=芯体帆布)を構成する繊維にのみ使用されており、実施例において、ベルト全体に対するバイオマス含有量は最大で38質量%に留まっている。
【0011】
そこで、本発明は、バイオマス由来材料の使用割合を高め、石油由来資源の使用を低減しつつ、バイオマス由来材料の使用割合を高めても、搬送ベルトに求められる強度や耐久性を保持することができる搬送ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つは、バイオマス由来材料を含む搬送ベルトであって、当該搬送ベルト全体に対する前記バイオマス由来材料の使用割合であるバイオマス度が、40%以上であることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、搬送ベルトにおけるバイオマス由来材料の使用割合であるバイオマス度を高め、石油由来資源の使用を低減することができる。また、バイオマス度を40%以上に高めても、搬送ベルトに求められる強度や耐久性を保持することができる。
【0014】
また、本発明の一つは、前記搬送ベルトは、芯体帆布層と、前記芯体帆布層に含浸された接着剤と、を有し、前記芯体帆布層、及び、前記接着剤の各々が、前記バイオマス由来材料を含有していることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、搬送ベルトを構成する、芯体帆布層、及び、接着剤にバイオマス由来材料を含有させているため、搬送ベルト全体としてバイオマス度を高めることができる。また、芯体帆布層、及び、接着剤の性質・特性に合わせて、各々のバイオマス度を調整することができる。
【0016】
また、本発明の一つは、前記搬送ベルトは、芯体帆布層と、カバー層と、前記芯体帆布層と前記カバー層を接着する接着剤と、を有し、前記芯体帆布層、前記カバー層、及び、前記接着剤の各々が、前記バイオマス由来材料を含有していることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、搬送ベルトを構成する、芯体帆布層、カバー層、及び、接着剤にバイオマス由来材料を含有させているため、搬送ベルト全体としてバイオマス度を高めることができる。また、芯体帆布層、カバー層、及び、接着剤の性質・特性に合わせて、各々のバイオマス度を調整することができる。
【0018】
また、本発明の一つは、前記芯体帆布層に、前記バイオマス由来材料としてポリ乳酸繊維を使用することを特徴としている。
【0019】
上記構成によれば、芯体帆布層に、バイオマス由来材料であるポリ乳酸繊維を使用することにより、ポリエステル繊維等の石油由来の材料を使用した場合に比べて、同等の強度を保持することができる。
【0020】
また、本発明の一つは、前記芯体帆布層のバイオマス度が、60〜98%であることを特徴としている。
【0021】
上記のように、芯体帆布層自体のバイオマス度を、60〜98%にすることにより、搬送ベルトにおけるバイオマス由来材料の使用割合を高めつつ、搬送ベルトの強度を保持することができる。
【0022】
また、本発明の一つは、前記カバー層に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用することを特徴としている。
【0023】
上記構成によれば、カバー層に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用することにより、石油由来の材料を使用した場合に比べて、同等の耐水性を保持することができる。
【0024】
また、本発明の一つは、前記カバー層のバイオマス度が、45〜55%であることを特徴としている。
【0025】
上記のように、カバー層自体のバイオマス度を、45〜55%にすることにより、搬送ベルトにおけるバイオマス由来材料の使用割合を高めつつ、搬送ベルトの耐水性を保持することができる。
【0026】
また、本発明の一つは、前記接着剤に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系ポリウレタンを使用することを特徴としている。
【0027】
上記構成によれば、接着剤に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系ポリウレタンを使用することにより、石油由来の材料を使用した場合に比べて、同等の耐水性を保持することができる。
【0028】
また、本発明の一つは、前記接着剤のバイオマス度が、25〜55%であることを特徴としている。
【0029】
上記のように、接着剤自体のバイオマス度を、25〜55%にすることにより、搬送ベルトにおけるバイオマス由来材料の使用割合を高めつつ、搬送ベルトの耐水性を保持することができる。
【0030】
また、本発明の一つは、当該搬送ベルトのバイオマス度が、45〜92%であることを特徴としている。
【0031】
上記構成によれば、搬送ベルトにおけるバイオマス度を高め、石油由来資源の使用を低減することができる。また、バイオマス度を45〜92%に高めても、石油由来の材料を使用した場合に比べて、搬送ベルトに求められる強度や耐久性を保持することができる。
【発明の効果】
【0032】
バイオマス由来材料の使用割合を高め、石油由来資源の使用を低減しつつ、バイオマス由来材料の使用割合を高めても、搬送ベルトに求められる強度や耐久性を保持することができる搬送ベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態に係る搬送ベルトの説明図である。
図2】本実施形態に係る搬送ベルトの周長方向の断面図である。
図3】本実施形態に係る搬送ベルトの両端を接合した接合部の説明図である。
図4】実施例に係る1プライベルトの説明図である。
図5】実施例に係る2プライベルトの説明図である。
図6】実施例に係る3プライベルトの説明図である。
図7】走行試験に使用する走行試験機の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0035】
(搬送ベルト1概要)
本実施形態に係る搬送ベルト1は、無端状の平ベルトであり、図1に示すように、駆動プーリ11と従動プーリ12との間に巻き掛けられて使用される。これにより、搬送ベルト1の上に食品や電子部品などの工業製品(物品)を乗せて、従動プーリ12側から駆動プーリ11側に搬送可能となる。
【0036】
図2に、搬送ベルト1の断面図を示す。図2に示す搬送ベルト1は、図の上面側が外周側、下面側が内周側(駆動プーリ11及び従動プーリ12に接する面側)となり、図の長手方向が搬送ベルト1の周長方向となり、図の奥行き方向が搬送ベルト1の幅方向となる。
【0037】
搬送ベルト1は、搬送ベルト1の外周側から内周側へ順に、表面カバー層2と、芯体帆布3と、中間カバー層5と、芯体帆布3と、中間カバー層5とが積層された構造として形成される。また、芯体帆布3には、熱可塑性エラストマーからなる接着剤4が含浸されており、接着層が形成されている。
【0038】
なお、本実施形態の搬送ベルト1では、上記のように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を2層設け、中間カバー層5を1層設け、搬送ベルト1の外側及び内側に表面カバー層2を設けた2プライベルト(両面カバー有)について説明している。しかし、これに限らず、図4のNo.1に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を1層だけ設けた1プライベルト(カバー無し)であってもよいし、図4のNo.2に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を1層設け、搬送ベルト1の外側に表面カバー層2を設けた1プライベルト(片面カバー有)であってもよいし、図4のNo.3に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を1層設け、搬送ベルト1の外側及び内側に表面カバー層2を設けた1プライベルト(両面カバー有)であってもよい。
【0039】
また、図5のNo.4に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を2層設け、中間カバー層5を1層設けた2プライベルト(カバー無し)であってもよいし、図5のNo.5に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を2層設け、中間カバー層5を1層設け、搬送ベルト1の外側に表面カバー層2を設けた2プライベルト(片面カバー有)であってもよいし、図5のNo.6に示すように、本実施形態に係る2プライベルト(両面カバー有)であってもよい。
【0040】
更に、図6のNo.7に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を3層設け、中間カバー層5を2層設けた3プライベルト(カバー無し)であってもよいし、図6のNo.8に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を3層設け、中間カバー層5を2層設け、搬送ベルト1の外側に表面カバー層2を設けた3プライベルト(片面カバー有)であってもよいし、図6のNo.9に示すように、芯体帆布3(接着剤4含浸)を3層設け、中間カバー層5を2層設け、搬送ベルト1の外側及び内側に表面カバー層2を設けた3プライベルト(両面カバー有)であってもよい。なお、搬送ベルト1は、上記のように表面カバー層2、芯体帆布3、中間カバー層5などを積層(1層である場合も含む)した構造をしているが、表面カバー層2、芯体帆布3、中間カバー層5の総数は特に限定されず、任意であり、要求される搬送ベルト1の厚み・重量・強度や搬送物品の特性などによって設定される。
【0041】
(表面カバー層2及び中間カバー層5)
表面カバー層2(カバー層)は、搬送ベルト1の表面に設けられ、芯体帆布3を保護するものである。また、中間カバー層5は、芯体帆布3と芯体帆布3との間に設けられるものであり、その構成は、表面カバー層2と同じである。また、表面カバー層2及び中間カバー層5の厚みは、0.2〜0.6mm(1層あたり)としている。なお、中間カバー層5は、表面カバー層2とともにカバー層に含まれる概念である。
【0042】
表面カバー層2及び中間カバー層5は、バイオマス由来成分を含む熱可塑性エラストマーが使用される。従来、表面カバー層2及び中間カバー層5の材料としてよく用いられてきた、石油由来の材料の熱可塑性ウレタンエラストマーと性能が大きく変わらない点で、ポリエーテルポリオール成分としてバイオマス由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含有する熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーが好ましい。熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーは、耐水性を有している。そのため、搬送ベルト1を食品搬送に使用する場合に都合がよい。
【0043】
上記熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーは、イソシアネート成分及びポリエーテルポリオール成分、更に必要に応じて鎖延長剤等の他の成分を反応させることにより得ることができる。また、バイオマス由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール以外に、石油由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールや、バイオマス由来又は石油由来の他のポリエーテルポリオールを含有していてもよい。また、上記イソシアネート成分としては特に限定されず、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0044】
ここで、バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念であり、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」をバイオマスとする。バイオマスには以下のものが挙げられる。(1)廃棄物系バイオマス:廃棄紙、家畜排泄物、食品廃棄物、廃棄木材、下水汚泥など、(2)未利用バイオマス:稲わら、麦わら、もみ殻など、(3)資源作物:さとうきび、とうもろこしなど(エネルギーや製品の製造を目的に栽培される植物)。
【0045】
また、本実施形態において、各構成材料におけるバイオマス由来材料の使用割合をバイオマス度としている。より詳しくは、『一般社団法人日本有機資源協会』が、「バイオマスを利用して、品質及び安全性が関連法規、基準、規格等に合っている商品」であることを認定する際に使用するバイオマス度の計算式に基づいて、バイオマス度を算出している(次式参照)。
バイオマス度(%)=材料に含まれるバイオマス原料の乾燥質量/材料全体の乾燥質量×100(接着剤の場合は固形分にて計算)
【0046】
表面カバー層2及び中間カバー層5のバイオマス度は、45〜55%に設定している(実施例の表3参照)。表面カバー層2及び中間カバー層5のバイオマス度が55%を超えると、石油由来材料の熱可塑性ウレタンエラストマーからなる表面カバー層に比べ、強度や耐水性などの搬送ベルトとしての性能が低下する虞がある。一方、バイオマス度が45%未満だと、搬送ベルト全体のバイオマス度が小さくなり、石油資源由来の材料の使用を減らす(石油依存の解消)という本発明の目的に適合しない。
【0047】
(芯体帆布3)
芯体帆布3(芯体帆布層)は、経糸と緯糸を交差させて織られた織布(平織り、綾織り、朱子織等)であり、例えば、経糸、緯糸をほぼ直角に交差して織られた平織り布が使用できる。芯体帆布3を構成する経糸、緯糸の材質としては、バイオマス由来成分を含むポリ乳酸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネートなどの繊維が用いられる。これらの内、従来使用されているポリエステルに近い性能を有し、量産化の実績が多い点でポリ乳酸繊維が好ましい。
【0048】
芯体帆布3は、植物由来のポリ乳酸を主成分とした繊維のみ、または植物由来のポリ乳酸を主成分とした繊維と、石油由来成分のポリマーからなる繊維とで構成することができる。また、芯体帆布3として用いる織布の繊度の範囲としては、モノフィラメント糸やマルチフィラメント糸の場合、280〜1200dtex、好ましくは500〜1100dtexである。また、芯体帆布3として用いる織布の密度の範囲としては、経糸の密度は、10〜150本/5cm、好ましくは30〜120本/5cm程度、緯糸の密度は、10〜120本/5cm、好ましくは30〜100本/5cm程度である。
【0049】
更に、芯体帆布3を構成する経糸には、導電性繊維が撚り込みされた導電性経糸を使用することができる。通常の経糸複数本に1本の割合で、導電性経糸を織り込んだものを、芯体帆布3の経糸として使用する。芯体帆布3を形成する繊維に導電性繊維を含ませることにより、静電気を放電させ、搬送ベルト1の帯電を防止することができる。ここで、導電性繊維としては、例えば、導電性カーボンを練り込んだポリエステル繊維、繊度28dtex、線抵抗108Ω/cm以下の繊維を用いることができる。具体的には、芯体帆布3を構成する経糸(ポリ乳酸マルチフィラメント、撚り合せ数1、繊度1100dtex)に撚りを掛ける際に、導電性繊維を複数本(例えば、2本)一緒に撚り込み、導電性の経糸を作成する。
【0050】
芯体帆布3は、例えば、以下の構成のものが使用できる。
芯体帆布(1)(バイオマス度60%)経糸:ポリ乳酸マルチフィラメント 560dtex、撚合わせ数1 密度:90本/5cm(経糸10本中1本のピッチで導電繊維を撚り込み)緯糸:ポリエステルモノフィラメント 660dtex、撚合わせ数1 密度:48本/5cm
芯体帆布(2)(バイオマス度98%)経糸:ポリ乳酸マルチフィラメント 1100dtex、撚合わせ数1 密度:70本/5cm(経糸10本中1本のピッチで導電繊維を撚り込み)緯糸:ポリ乳酸マルチフィラメント 1100dtex、撚合わせ数1 密度:45本/5cm
【0051】
芯体帆布3のバイオマス度は、60〜98%に設定している(実施例の表1参照)。芯体帆布のバイオマス度が98%を超える構成にすると、バイオマス由来ではない導電性繊維を使用できなくなるおそれがあり、搬送ベルトの帯電防止性能を低下させてしまう場合がある。一方、バイオマス度が60%未満だと、搬送ベルト全体のバイオマス度が小さくなり、石油資源由来の材料の使用を減らす(石油依存の解消)という本発明の目的に適合しない。
【0052】
(接着剤4)
接着剤4からなる接着層は、表面カバー層2及び中間カバー層5と接合するために、芯体帆布3に接着処理がされて形成される。接着層は、バイオマス由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含有する熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーまたは樹脂を用いて、これを有機溶媒に溶かした接着剤4を芯体帆布3に含浸させて形成される。なお、接着剤4を芯体帆布3にコーティングさせて形成してもよい。
【0053】
ここで、接着剤4としては、特に、熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーをメチルエチルケトン/シクロヘキサン/テトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させたものが用いられる。
【0054】
接着剤4のバイオマス度は、25〜55%に設定している(実施例の表2参照)。接着剤のバイオマス度が55%を超えると、主に石油資源由来の材料を使用した従来の接着剤に比べ、接着性能が低下する虞がある。一方、バイオマス度が25%未満だと、搬送ベルト全体のバイオマス度が小さくなり、石油資源由来の材料の使用を減らす(石油依存の解消)という本発明の目的に適合しない。
【0055】
(搬送ベルト1の端部接合)
本実施形態に係る搬送ベルト1は、両端を接合して、無端状のベルトである。図3は、搬送ベルト1の両端を接合した接合部を示している。
【0056】
搬送ベルト1の両端の接合においては、まず、図3(a)に示すように、搬送ベルト1の長手方向の両端をジグザグ状に切断し、互いに突き合わせ接合する。次に、図3(b)に示すように、補強部材8(織布、熱可塑性エラストマーなど)により、搬送ベルト1の長手方向の両端部を接合した接合部を覆うように貼り合せる。そして、熱板プレス機を用いて、補強部材8と共に搬送ベルト1の接合部を加圧して、接合する。
【0057】
補強部材8には、芯体帆布3同様にバイオマス由来成分を含む繊維からなる織布に接着処理をしたものや、表面カバー層2及び中間カバー層5同様にバイオマス由来成分を含む熱可塑性エラストマーを使用している。なお、搬送ベルト1としては、接合部を設けない場合もある。
【0058】
(バイオマス由来の材料の含有率)
上記搬送ベルト1は、表面カバー層2(補強部材8含む)と、芯体帆布3と、中間カバー層5と、芯体帆布3と、中間カバー層5とが積層された構造として形成されている。そして、搬送ベルト1全体に対するバイオマス由来の材料が占める割合が、40質量%以上に設定している。即ち、表面カバー層2・中間カバー層5(補強部材8含む)、芯体帆布3、及び、接着剤4の各々が、バイオマス由来の材料を含有し、搬送ベルト1全体として、バイオマス由来の材料が40質量%以上を占めるように形成されている。なお、搬送ベルト1全体として、バイオマス由来の材料が40質量%未満にすると、残りの材料に関して60質量%以上が石油由来の材料を使用することになり、石油資源由来の材料の使用を減らす(石油依存の解消)目的に適合しない。
【0059】
また、好ましくは、搬送ベルト1全体に対するバイオマス由来の材料が占める割合が、45〜92質量%以上に設定するのがよい。バイオマス由来の材料を92質量%よりも大きくすると、例えば、接着剤4のバイオマス由来材料の含有率を上げることになるが、これに伴い、接着力が低下するおそれがあるため適切でない。また、芯体帆布3のバイオマス由来材料の含有率を上げることにすると、バイオマス由来ではない導電性繊維が使用できなくなるおそれがあるため適切でない。また、搬送ベルト1全体に対するバイオマス由来の材料が占める割合を、45%以上にしても、石油資源由来材料から作製した搬送ベルトに対する代替性を持つだけの性能を保持することができ、搬送ベルトとしての実用性を有することができる。
【0060】
(搬送ベルト1の製造方法:No.1:1プライベルト(カバー無))
芯体帆布3に、バイオマス由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含有する熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーまたは樹脂を用いて、これを有機溶媒に溶かした接着剤をコーティングするか、または、芯体帆布を接着剤に浸漬させて接着層を形成する。
【0061】
(搬送ベルト1の製造方法:No.2,3:1プライベルト(カバー有))
バイオマス由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含有する熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーを押出機によってシート状に押出成形した表面カバー層2を形成する。そして、押出直後の高温、半溶融状態の表面カバー層2を、接着層(接着剤4)を形成した芯体帆布3と積層する(片面または両面)。そして、最後に、ロール間で加圧して、表面カバー層2及び芯体帆布3の両者を、接着層(接着剤4)を介して積層接着して、搬送ベルト1を得る。なお、平プレスにより、接着層(接着剤4)を介して表面カバー層2と芯体帆布3を、ラミネーション(薄膜接着)して、搬送ベルト1を得ても良い。
【0062】
(搬送ベルト1の製造方法:No.4〜No.9:2、3プライベルト)
2プライベルト、3プライベルトの場合は、上記表面カバー層2と同様の工程にて形成した中間カバー層5を介して芯体帆布3を積層して上記方法にて搬送ベルト1を製造する。
【実施例】
【0063】
次に、以下の表1〜表3に記載した材料を組合せて実施例1〜18、及び、比較例1〜9に係る搬送ベルト1を作製した。比較例に係る搬送ベルトでは、表面カバー層2、芯体帆布3、接着剤4、中間カバー層5を構成する材料にバイオマス由来材料を含まない、即ち、石油資源由来材料からなる搬送ベルトを作製した。
【0064】
実施例1〜18、及び、比較例1〜9の各搬送ベルトのベルト構成、層構造、表面カバー層2・中間カバー層5、芯体帆布3、接着剤4のバイオマス成分含有率、搬送ベルトの単位面積当たりのバイオマス成分含有率を、表4〜表6にまとめている。
【0065】
また、実施例1〜18に係る搬送ベルト中のバイオマス度の計算は次式で求めている。
X:搬送ベルト1の単位面積質量(kg/m2)=各構成部材(芯体帆布3、表面カバー層2(中間カバー層5)、接着剤4)の単位面積質量の合計
Y:搬送ベルト単位面積当たりバイオマス成分含有量(kg/m2)=各構成部材(芯体帆布3、表面カバー層2(中間カバー層5)、接着剤4)の単位面積当たりバイオマス成分含有量(kg)の合計
Y/X=搬送ベルトのバイオマス度(%)
【0066】
そして、実施例1〜18、及び、比較例1〜9の各搬送ベルトについて、ベルト強力測定試験を行った。具体的には、実施例1〜18、比較例1〜9の各搬送ベルト1のそれぞれについて、JISK 6376準拠の方法にて試験片を採取し、100mm/minの速度で引張り、ベルト強力を測定した。ベルト強力測定試験の結果を、表4〜表6にまとめている。尚、搬送ベルトとしては、1プライベルトで10N/mm以上、2プライベルトで20N/mm以上、3プライベルトで30N/mm以上でのベルト強力があれば、実用可能である。また、比較例では、石油資源由来材料から作製した搬送ベルトについてベルト強力測定試験を行っているが、石油資源由来材料から作製した搬送ベルトのベルト強力に対して、およそ40%以上のベルト強力があれば、搬送ベルトとしては実用性があると言える。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
上記ベルト強力測定試験の結果を見てみると、実施例1〜6の搬送ベルト1(1プライベルト)は、全てベルト強力が10N/mm以上の値を有しており、搬送ベルトとして実用可能と言える。また、実施例7〜12の搬送ベルト1(2プライベルト)は、全てベルト強力が20N/mm以上の値を有しており、搬送ベルトとして実用可能と言える。また、実施例13〜18の搬送ベルト1(3プライベルト)は、全てベルト強力が30N/mm以上の値を有しており、搬送ベルトとして実用可能と言える。
【0074】
また、実施例1に係る搬送ベルト1のベルト強力は、比較例1の搬送ベルトのベルト強力の約46%(29.9/65.5)を保持しており、搬送ベルトとしての実用性を有していると言える。また、実施例2に係る搬送ベルト1のベルト強力は、比較例1の搬送ベルトのベルト強力の約90%(58.7/65.5)を保持しており、搬送ベルトとしての実用性を有していると言える。また、実施例3に係る搬送ベルト1のベルト強力は、比較例2の搬送ベルトのベルト強力の約46%(31.2/67.4)を保持しており、搬送ベルトとしての実用性を有していると言える。また、実施例4に係る搬送ベルト1のベルト強力は、比較例2の搬送ベルトのベルト強力の約88%(59.2/67.4)を保持しており、搬送ベルトとしての実用性を有していると言える。また、実施例5に係る搬送ベルト1のベルト強力は、比較例3の搬送ベルトのベルト強力の約50%(33.3/66.2)を保持しており、搬送ベルトとしての実用性を有していると言える。また、実施例6に係る搬送ベルト1のベルト強力は、比較例3の搬送ベルトのベルト強力の約93%(61.8/66.2)を保持しており、搬送ベルトとしての実用性を有していると言える。同様に、表5及び表6より、実施例7〜18の搬送ベルトについても、搬送ベルトとしての実用性を有していることが分かる。
【0075】
また、上記実施例より、搬送ベルト1のバイオマス度が、45%(実施例5)〜92%(実施例2)であれば、搬送ベルトとしての実用性を有していると言える。
【0076】
(走行試験)
次に、実施例9及び実施例10の搬送ベルトについて、図7に示す5軸走行試験機を用いて走行させ、走行試験前後の各搬送ベルトのベルト強力を測定し、強力保持率を算出した。ここで、強力保持率は、『強力保持率=(走行試験後の強力/走行試験前の強力)×100(%)』の計算式で算出される。そして、走行試験後のベルト強力が10N/mm以上、且つ、強力保持率が50%以上であれば、搬送ベルトとして実用可能な耐久性能を保持していると判断した。
【0077】
走行試験で走行させる搬送ベルトは、実施例9及び実施例10(表5のベルト構成参照)に係る搬送ベルトであり、ベルト幅100mm、ベルト周長1500mmのベルトの両端を接合した無端状の搬送ベルトである。なお、搬送ベルトの長手方向の両端をジグザグ状に切断し、互いに突き合わせ接合し、補強部材(長さ約50mm:表面カバー層同様にバイオマス由来成分を含む熱可塑性エラストマー)により、搬送ベルトの長手方向の両端部を接合した接合部を覆うように貼り合せ、熱板プレス機を用いて、補強部材と共に搬送ベルトの接合部を加圧して接合することによって無端状の搬送ベルトを作成している(上述の搬送ベルト1の端部接合の項目参照)。
【0078】
走行試験条件としては、図7に示すように、実施例9、及び、比較例10に係る搬送ベルトを、プーリ直径が50mmの5つのプーリから構成される5軸走行試験機にベルト張力が3N/mmになるように巻き掛けて、搬送ベルトの屈曲回数が200万回になるまで走行させた。
【0079】
ベルト強力の測定に関しては、走行試験前後の実施例9、及び、比較例10に係る搬送ベルトそれぞれについて、JISK 6376準拠の方法にて試験片を採取し、100mm/minの速度で引張り、ベルト強力を測定した。ここで、測定箇所は、接合部を含まないベルト本体部と、接合部との2箇所とした。なお、接合部の試験片は、試験片の中央に接合部を配置するよう採取した。ベルト強力測定試験結果を、表7にまとめている。
【0080】
【表7】
【0081】
上記表7のベルト強力測定試験結果を見てみると、実施例9及び実施例10はいずれも、走行試験後のベルト強力が10N/mm以上、且つ、強力保持率が50%以上の判断基準を大きく上回り、搬送ベルトとして実用可能な耐久性能を保持していることがわかった。また、ベルト本体部だけでなく、接合部でも判断基準を上回った。また、接合部を覆う補強部材としてバイオマス由来成分を含む繊維で構成した織布を用いても、搬送ベルトとして実用可能な耐久性能を充分保持していることがわかった。
【0082】
また、ベルト強力及び強力保持率は、実施例9より実施例10が高かったが、これは実施例10で用いた芯体帆布を構成する糸の繊度が、実施例9で用いた芯体帆布を構成する糸の繊度より大きいためと考えられる(表1参照)。このように、搬送ベルトのバイオマス度を高めたとしても、芯体帆布を構成する糸の構成(種類、繊度、密度)を変えることにより、搬送ベルトの耐久性能を調整することができる。
【0083】
(効果)
上記構成によれば、搬送ベルト1におけるバイオマス由来材料の使用割合であるバイオマス度を高め、石油由来資源の使用を低減することができる。また、バイオマス度を40%以上に高めても、搬送ベルト1に求められる強度や耐久性を保持することができる。
【0084】
また、搬送ベルト1を構成する、芯体帆布3、及び、接着剤4にバイオマス由来材料を含有させているため、搬送ベルト1全体としてバイオマス度を高めることができる。また、芯体帆布3、及び、接着剤4の性質・特性に合わせて、各々のバイオマス度を調整することができる。
【0085】
また搬送ベルト1を構成する、芯体帆布3、表面カバー層2(中間カバー層5)、及び、接着剤4にバイオマス由来材料を含有させているため、搬送ベルト1全体としてバイオマス度を高めることができる。また、芯体帆布3、表面カバー層2(中間カバー層5)、及び、接着剤4の性質・特性に合わせて、各々のバイオマス度を調整することができる。
【0086】
また、芯体帆布3に、バイオマス由来材料であるポリ乳酸繊維を使用することにより、ポリエステル繊維等の石油由来の材料を使用した場合に比べて、同等の強度を保持することができる。
【0087】
また、芯体帆布3自体のバイオマス度を、60〜98%にすることにより、搬送ベルト1におけるバイオマス由来材料の使用割合を高めつつ、搬送ベルト1の強度を保持することができる。
【0088】
また、表面カバー層2及び中間カバー層5に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用することにより、石油由来の材料を使用した場合に比べて、同等の耐水性を保持することができる。
【0089】
また、表面カバー層2及び中間カバー層5自体のバイオマス度を、45〜55%にすることにより、搬送ベルト1におけるバイオマス由来材料の使用割合を高めつつ、搬送ベルト1の耐水性を保持することができる。
【0090】
また、接着剤4に、バイオマス由来のPTMGを構成成分に含む、PTMG系ポリウレタンを使用することにより、石油由来の材料を使用した場合に比べて、同等の耐水性を保持することができる。
【0091】
また、接着剤4自体のバイオマス度を、25〜55%にすることにより、搬送ベルト1におけるバイオマス由来材料の使用割合を高めつつ、搬送ベルト1の耐水性を保持することができる。
【0092】
また、バイオマス度を45〜92%に高めても、石油由来の材料を使用した場合に比べて、搬送ベルト1に求められる強度や耐久性を保持することができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。上記実施形態及び実施例では、搬送ベルトとして平ベルトを例に説明したが、タイミングベルト、Vベルト、Vリブドベルトなど各種ベルトに適用可能である。また、本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 搬送ベルト
2 表面カバー層
3 芯体帆布
4 接着剤
5 中間カバー層
8 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7