(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開閉操作によって各々の端部が接離可能に本体部に配設されて、当該各端部が互いに接合して測定対象を取り囲む環状をなした状態において当該測定対象を流れる測定電流の電流値に応じた第1検出信号を出力する第1センサと、
前記本体部内に配設されて、前記第1検出信号に基づいて前記電流値を測定する測定部とを備え、
前記第1センサは、ロゴスキーコイルを用いて構成され、
前記本体部は、ロゴスキーコイルを用いて当該本体部と別体に形成されて測定対象を取り囲む環状をなした状態において当該測定対象を流れる測定電流の電流値に応じた第2検出信号を出力する第2センサを接続可能な接続部を備え、
前記測定部は、前記第1センサから出力される前記第1検出信号および前記接続部に接続された前記第2センサから出力される前記第2検出信号を入力すると共に当該2つの検出信号のうちの選択された1つを選択検出信号として出力する信号選択回路と、前記選択検出信号を積分して積分信号として出力する積分回路と、前記積分信号に基づいて前記電流値を測定する電流測定処理を実行する処理回路とを備えている電流測定装置であって、
前記信号選択回路は、前記処理回路によって制御されて前記第1検出信号および前記第2検出信号のうちの1つを前記選択検出信号として選択して出力可能に構成され、
前記処理回路は、仮測定処理および第1特定処理を実行可能に構成され、
当該仮測定処理において、前記信号選択回路を制御して前記第1検出信号および前記第2検出信号を前記選択検出信号として順次出力させると共に前記電流測定処理を実行して当該第1検出信号を出力させたときの前記電流値としての第1電流値と当該第2検出信号を出力させたときの前記電流値としての第2電流値とを測定し、
当該第1特定処理において、前記第1電流値が前記第1センサについての第1最大定格値以下であり、かつ前記第2電流値が前記第2センサについての第2ゼロ判定閾値以下のときには、当該第1電流値を前記測定電流の最終的な前記電流値として特定し、前記第1電流値が前記第1センサについての第1ゼロ判定閾値以下であり、かつ前記第2電流値が前記第2ゼロ判定閾値を超え前記第2センサについての第2最大定格値以下のときには、当該第2電流値を前記測定電流の最終的な前記電流値として特定する電流測定装置。
開閉操作によって各々の端部が接離可能に本体部に配設されて、当該各端部が互いに接合して測定対象を取り囲む環状をなした状態において当該測定対象を流れる測定電流の電流値に応じた第1検出信号を出力する第1センサと、
前記本体部内に配設されて、前記第1検出信号に基づいて前記電流値を測定する測定部とを備え、
前記第1センサは、ロゴスキーコイルを用いて構成され、
前記本体部は、ロゴスキーコイルを用いて当該本体部と別体に形成されて測定対象を取り囲む環状をなした状態において当該測定対象を流れる測定電流の電流値に応じた第2検出信号を出力する第2センサを接続可能な接続部を備え、
前記測定部は、前記第1センサから出力される前記第1検出信号および前記接続部に接続された前記第2センサから出力される前記第2検出信号を入力すると共に当該2つの検出信号のうちの選択された1つを選択検出信号として出力する信号選択回路と、前記選択検出信号を積分して積分信号として出力する積分回路と、前記積分信号に基づいて前記電流値を測定する電流測定処理を実行する処理回路とを備えている電流測定装置であって、
前記信号選択回路は、前記処理回路によって制御されて前記第1検出信号および前記第2検出信号のうちの1つを前記選択検出信号として選択して出力可能に構成され、
前記処理回路は、仮測定処理および第2特定処理を実行可能に構成され、
当該仮測定処理において、前記信号選択回路を制御して前記第1検出信号および前記第2検出信号を前記選択検出信号として順次出力させると共に前記電流測定処理を実行して当該第1検出信号を出力させたときの前記電流値としての第1電流値と当該第2検出信号を出力させたときの前記電流値としての第2電流値とを測定し、
当該第2特定処理において、前記第1電流値が前記第1センサについての第1ゼロ判定閾値を超え前記第1センサについての第1最大定格値以下のときには、当該第1電流値を前記測定電流の最終的な前記電流値として特定し、前記第1電流値が前記第1最大定格値を超え、かつ前記第2電流値が前記第2センサについての第2最大定格値以下のときには、当該第2電流値を前記測定電流の最終的な前記電流値として特定する電流測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、電流測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
最初に、電流測定装置としての電流測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0020】
電流測定装置1は、
図1,2に示すように、第1センサ2、本体部3、および第1センサ2の仕様とは異なる第2センサ(電流センサユニット)4を備え、例えば電線などのような測定対象5に第1センサ2や第2センサ4を測定対象5を取り囲んで環状をなすように取り付けることにより、測定対象5に流れる測定電流(交流電流)Iの電流値I1を測定可能に構成されている。
【0021】
第1センサ2は、第2センサよりも測定し得る電流値の上限が低いセンサであって、
図1に示すように、一例として、平面視弧状(本例では略半円状)に形成された固定側センサ2aおよび可動側センサ2bで構成されている。
【0022】
固定側センサ2aは、平面視弧状(本例では略半円状)のセンサケース(不図示)とこのセンサケース内に配設されたコイル部(後述するロゴスキーコイル11の一部)を備えている。固定側センサ2aのセンサケースは、本体部3を構成する後述の本体ケース17と一体的に形成されている。
【0023】
可動側センサ2bは、センサケース(不図示)とこのセンサケース内に配設されたコイル部(ロゴスキーコイル11の他の一部)を備えている。可動側センサ2bのセンサケースは、本体ケース17の内部に基端部が収容されると共に、その基端部に挿通された不図示のピンを中心として回動可能に本体ケース17に取り付けられている。また、可動側センサ2bのセンサケースは、本体ケース17に設けられた後述の操作レバー16への操作(開閉操作)により、固定側センサ2aおよび可動側センサ2bの端部同士(先端部同士および基端部同士)が互いに接合する接合位置(
図1において実線で示される閉位置)と、この端部同士(先端部同士および基端部同士)が互いに離間する離間位置(
図1において破線で示される開位置)との間で回動する。なお、固定側センサ2aを可動側センサ2bと同等の可動式に構成することもできる。
【0024】
第1センサ2を構成するロゴスキーコイル11は、磁気コアを使用しない安価な空芯コイル(非磁性材料製の芯材に電線を巻回して構成されたコイル)であって、固定側センサ2aおよび可動側センサ2bが測定対象5を取り囲んで環状をなした状態(測定対象5をクランプした状態)において、ロゴスキーコイル11自体も測定対象5を取り囲んで環状をなした状態になり、かつ測定対象5に流れる測定電流Iの時間変化(di/dt)の大きさに比例して電圧値が変化する誘導起電力V1(
図2参照)を出力する。
【0025】
また、電流測定装置1では、第1センサ2は、測定し得る電流値の上限(第1最大定格値I1mxa)が第2センサ4のこの上限(第2最大定格値I1mxb)よりも低い(I1mxa<I1mxb)仕様となっている。
【0026】
その理由としては、第1センサ2の大きさは、本体部3の大きさとのバランスを考慮する必要があることから、第1センサ2は大きくするのに限界があるのに対して、第2センサ4の大きさ(測定対象5を取り囲む後述のロゴスキーコイル31の大きさ)については、本体部3の大きさとのバランスをそれ程考慮する必要が無いことから、十分に大きくすることができる。したがって、第1センサ2で取り囲める(クランプし得る)測定対象5は、第2センサ4で取り囲める(クランプし得る)測定対象5よりも直径の小さなもの、つまり一般的には電流値I1の小さなものとなるからである。
【0027】
本体部3は、一例として
図1,2に示すように、信号変換部12、測定部13、出力部14、接続部15、操作レバー16およびこれらが収容または配設された本体ケース17を備えて構成されている。
【0028】
信号変換部12は、
図2に示すように、可変抵抗と固定抵抗とで構成された分圧回路で構成されて、誘導起電力V1を分圧して第1検出信号S1(後述する基準電位Gを基準とする電圧信号)を出力する。この構成により、電流測定装置1では、誘導起電力V1の分圧比を信号変換部12の可変抵抗で調整可能に構成されている。また、信号変換部12は、一例として、本体ケース17内における第1センサ2の近傍に配設されている。
【0029】
測定部13は、一例として、
図2に示すように、信号選択回路21、積分回路22および処理回路23を備えている。信号選択回路21は、第1検出信号S1、および第2センサ4から出力される後述の第2検出信号S2(具体的には、第2センサ4が接続された接続部15から出力される第2検出信号S2)を入力すると共に、この2つの検出信号S1,S2のうちの選択された1つを選択検出信号S3として出力する。本例では一例として、信号選択回路21は、リレーやアナログスイッチを用いて構成されて、処理回路23によって制御されることにより、2つの検出信号S1,S2のうちの1つを選択検出信号S3として選択する。
【0030】
積分回路22は、選択検出信号S3を積分して積分信号S4として出力する。第2センサ4も、上記の第1センサ2と同様にしてロゴスキーコイルを備えて構成されている。このため、信号選択回路21から選択検出信号S3として出力される2つの検出信号S1,S2は共に、測定対象5に流れる測定電流Iの時間変化の大きさに比例した電圧信号である。したがって、積分回路22は、この選択検出信号S3を積分することにより、測定電流Iの振幅に比例して電圧値が変化する電圧信号である積分信号S4に変換して出力する。
【0031】
処理回路23は、例えば、A/D変換器およびコンピュータで構成されて、積分信号S4に基づいて測定電流Iの電流値I1を測定する電流測定処理を実行する。この電流測定処理では、処理回路23は、A/D変換器が積分信号S4をその瞬時値を示すデジタルデータに変換し、コンピュータがこのデジタルデータに基づいて電流値I1を測定(算出)する。また、処理回路23は、信号選択回路21に対して、上記の2つの検出信号S1,S2のうちの所望の1つを選択検出信号S3として出力させる制御処理を実行する。
【0032】
また、本例の処理回路23は、測定対象5についての最終的な電流値I1を特定する際に、仮測定処理と特定処理(第1特定処理および第2特定処理)とを実行する。この仮測定処理では、処理回路23は、信号選択回路21に対する制御処理を実行して、第1検出信号S1および第2検出信号S2を選択検出信号S3として順次出力させると共に電流測定処理を実行して第1検出信号S1を選択検出信号S3として出力させたときの電流値I1としての第1電流値I1aと第2検出信号S2を選択検出信号S3として出力させたときの電流値I1としての第2電流値I1bとを測定する。
【0033】
また、処理回路23は、第1特定処理では、第1電流値I1aが第1センサ2についての第1最大定格値I1mxa以下であり、かつ第2電流値I1bが第2センサ4についての第2ゼロ判定閾値I1mib以下のときには、第1電流値I1aを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。この第2センサ4についての第2ゼロ判定閾値I1mib、および後述する第1センサ2についての第1ゼロ判定閾値I1miaは、例えば1ミリアンペア程度のゼロアンペアに近い値に規定されている。したがって、処理回路23は、第2センサ4を用いて測定される第2電流値I1bや、第1センサ2を用いて測定される第1電流値I1aが、ゼロアンペアから対応するゼロ判定閾値I1mia,I1mib以下の範囲内のとき(0≦I1a≦I1mia,0≦I1b≦I1mib)には、この第1特定処理において第1電流値I1aや第2電流値I1bがゼロアンペアであるとして取り扱う。また、この第1特定処理では、処理回路23は、第1電流値I1aが第1センサ2についての第1ゼロ判定閾値I1mia以下であり、かつ第2電流値I1bが第2ゼロ判定閾値I1mibを超え第2センサ4についての第2最大定格値I1mxb以下のときには、第2電流値I1bを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。
【0034】
また、処理回路23は、第2特定処理では、第1電流値I1aが第1ゼロ判定閾値I1miaを超え第1最大定格値I1mxa以下のときには、第1電流値I1aを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。また、処理回路23は、第1電流値I1aが第1最大定格値I1mxaを超えており、かつ第2電流値I1bが第2最大定格値I1mxb以下のときには、第2電流値I1bを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。
【0035】
また、この第1特定処理および第2特定処理では、処理回路23は、第1電流値I1aおよび第2電流値I1bのうちの最終的な電流値I1として特定した電流値を測定したセンサ(第1センサ2または第2センサ4)を示す識別情報ID(第1センサ2および第2センサ4に予め付与されている個別の識別情報)を特定し、最終的な電流値I1に対応させて記憶する。
【0036】
出力部14は、一例として、本体部3に設けられたLCDなどのディスプレイ装置で構成されて、測定部13で測定された電流値I1と共に、この電流値I1を測定したセンサを識別するための識別情報IDを画面に表示する。なお、出力部14は、ディスプレイ装置に代えて、種々のインターフェース回路で構成してもよく、例えば、メディアインターフェース回路としてリムーバブルメディアに上記の電流値I1および識別情報IDを記憶させたり、ネットワークインターフェース回路としてネットワーク経由で外部装置に上記の電流値I1および識別情報IDを伝送させたりする構成を採用することもできる。
【0037】
接続部15は、第2センサ4に設けられている後述の接続部35を構成するコネクタが着脱自在なコネクタで構成されている。また、接続部15を構成する1つの接触端子は信号選択回路21に接続され、別の接触端子は測定部13を構成する上記の各回路の基準電位(内部グランドの電位)Gに規定されている。
【0038】
第2センサ4は、ロゴスキーコイル31、ユニット本体部32、信号変換部33、ケーブル34および接続部35を備えている。ロゴスキーコイル31は、磁気コアを使用しない安価な空芯コイル(非磁性でかつ柔軟性を有する材料で形成された芯材に電線が巻回して構成されると共に、表面が電気的絶縁性を有する被覆で覆われたコイル)で構成されている。また、ロゴスキーコイル31は、測定対象5を取り囲んで環状をなした状態(測定対象5をクランプした状態)において、測定対象5に流れる測定電流Iの時間変化の大きさに比例して電圧値が変化する誘導起電力V2を出力する。
【0039】
ユニット本体部32は、合成樹脂材料を用いて箱体に形成されると共に、ロゴスキーコイル31の一端とケーブル34の一端とがそれぞれ内部に挿入された状態で固定されている。また、ユニット本体部32には、ロゴスキーコイル31の他端を取り外し可能に装着する不図示の装着部が設けられている。また、ユニット本体部32の内部には、信号変換部33が配設されている。
【0040】
信号変換部33は、
図2に示すように、可変抵抗と固定抵抗とで構成された分圧回路で構成されて、誘導起電力V2を分圧して第2検出信号S2を出力する。この構成により、信号変換部33は、誘導起電力V2の分圧比を可変抵抗で調整可能となっている。
【0041】
ケーブル34は、例えばシールドケーブルや同軸ケーブルなどで構成されて、芯線34a、および芯線34aの周囲を覆うシールド導体34bのそれぞれの一端は信号変換部33に接続され、芯線34aおよびシールド導体34bのそれぞれの他端は接続部35の異なる接触端子に接続されている。
【0042】
接続部35は、本体部3に設けられている接続部15を構成するコネクタに着脱自在なコネクタで構成されている。また、接続部35は、接続部15に接続された際には、ケーブル34の芯線34aが接続された接触端子は、接続部15における信号選択回路21に接続されている接触端子に接続され、ケーブル34のシールド導体34bが接続された接触端子は、接続部15における基準電位Gに規定されている接触端子に接続されるように構成されている。
【0043】
次に、電流測定装置1の動作について説明する。なお、第1センサ2側の信号変換部12および第2センサ4側の信号変換部33については、第1センサ2について予め規定された第1最大定格値I1mxa(例えば、AC1000アンペア)の測定電流Iを第1センサ2が測定しているときの第1検出信号S1の振幅と、第2センサ4について予め規定された第2最大定格値I1mxb(例えば、AC4000アンペア)の測定電流Iを第2センサ4が測定しているときの第2検出信号S2の振幅とが互いに一致するように、より具体的には、この2つの状態のときに積分回路22からそれぞれ出力される2つの積分信号S4の振幅が互いに一致するように(具体的には、処理回路23に含まれているA/D変換器のダイナミックレンジを有効に使用し得る振幅、つまり、A/D変換器の入力定格に近い一定の振幅(上限振幅)で互いに一致するように)、それぞれの分圧比が予め調整されているものとする。
【0044】
まず、1つの測定対象5に流れる測定電流Iの電流値I1を、
図3,4に示すように、第1センサ2および第2センサ4のうちのいずれか一方のセンサを使用して測定する場合の動作について説明する。このように、いずれか一方のセンサを使用する場合は、電流測定装置1の使用者は、測定電流Iの電流値I1の取り得る電流範囲について知得しており、この電流範囲をカバーし得るセンサを選択して使用するのが一般的である。なお、第2センサ4を使用する場合には、電流値I1の測定のための準備として、接続部15に接続部35を接続することで、本体部3に第2センサ4を予め接続しておく。
【0045】
電流測定装置1では、処理回路23が、まず、仮測定処理を実行する。この仮測定処理では、処理回路23は、制御処理を実行して、第1検出信号S1および第2検出信号S2を選択検出信号S3として信号選択回路21から順次出力させると共に電流測定処理を実行して第1検出信号S1を選択検出信号S3としたときの第1電流値I1aと第2検出信号S2を選択検出信号S3としたときの第2電流値I1bとを測定する。
【0046】
次いで、処理回路23は、特定処理(第1特定処理および第2特定処理)を実行する。この第1特定処理では、処理回路23は、第1電流値I1aが第1ゼロ判定閾値I1mia以下であるか否か、第1電流値I1aが第1ゼロ判定閾値I1miaを超え第1最大定格値I1mxa以下であるか否か、第1電流値I1aが第1最大定格値I1mxaを超えているか否か、第2電流値I1bが第2ゼロ判定閾値I1mib以下であるか否か、第2電流値I1bが第2ゼロ判定閾値I1mibを超え第2最大定格値I1mxb以下であるか否か、および第2電流値I1bが第2最大定格値I1mxbを超えているか否かを判別する。
【0047】
また、この第1特定処理において、処理回路23は、この判別結果に基づいて、第1電流値I1aが第1最大定格値I1mxa以下であり、かつ第2電流値I1bが第2ゼロ判定閾値I1mib以下のときには、第1電流値I1aを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する(第1電流値I1aが第1ゼロ判定閾値I1mia以下のときにも電流値I1として特定する)。また、処理回路23は、第1電流値I1aが第1ゼロ判定閾値I1mia以下であり、かつ第2電流値I1bが第2ゼロ判定閾値I1mibを超え第2最大定格値I1mxb以下のときには、第2電流値I1bを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。
【0048】
また、この第1特定処理では、処理回路23は、最終的な電流値I1として特定した電流値を測定したセンサ(第1センサ2または第2センサ4)を示す識別情報IDを特定し、最終的な電流値I1に対応させて記憶する。したがって、処理回路23は、第1電流値I1aを最終的な電流値I1として特定したときには、この第1電流値I1aを測定した第1センサ2の識別情報IDを第1電流値I1aに対応させて記憶し、第2電流値I1bを最終的な電流値I1として特定したときには、この第2電流値I1bを測定した第2センサ4の識別情報IDを第2電流値I1bに対応させて記憶する。
【0049】
この例では、上記したように、第1センサ2および第2センサ4のうちのいずれか一方を使用して、1つの測定対象5に流れる測定電流Iの電流値I1を測定する。このため、第1センサ2および第2センサ4のうちの他方は未使用となり、この他方のセンサから出力される検出信号の振幅はほぼゼロとなることから、この検出信号に基づいて算出される電流値はほぼゼロアンペアとなる(各ゼロ判定閾値I1mia,I1mib以下となる)。したがって、使用されているセンサから出力されている検出信号が測定対象信号として自動的に特定されて選択検出信号S3として出力され、この使用されているセンサで測定された測定電流Iの電流値I1がこのセンサの識別情報IDと共に記憶される。
【0050】
最後に、処理回路23は、出力処理を実行して、記憶されている電流値I1および識別情報IDを出力部14に出力して表示させる。なお、処理回路23は、第1特定処理において、2つの電流値I1a,I1bが共に対応する最大定格値I1mxa,I1mxbを超えているときには測定不能であると判別し、この出力処理では、測定不能の旨の情報を出力部14に出力して表示させる。
【0051】
これにより、電流測定装置1の使用者は、出力部14に出力されている識別情報IDに基づいて電流値I1の測定に使用されているセンサを(第1センサ2か第2センサ4かを)確認することができると共に、出力部14に出力されている電流値I1に基づいて、測定対象5に流れている測定電流Iの電流値I1を測定することができる。
【0052】
次に、1つの測定対象5に流れる測定電流Iの電流値I1を、
図5に示すように、第1センサ2および第2センサ4を同時に使用して測定する場合の動作について説明する。このように、2つのセンサ(第1センサ2および第2センサ4)を同時に使用する場合は、電流測定装置1の使用者は、測定電流Iの電流値I1の取り得る電流範囲について知得しておらず、いずれのセンサを使用するのが好ましいのかを判別できていない場合である。
【0053】
電流測定装置1では、処理回路23が、まず、仮測定処理を実行する。この仮測定処理では、処理回路23は、制御処理を実行して、第1検出信号S1および第2検出信号S2を選択検出信号S3として信号選択回路21から順次出力させると共に電流測定処理を実行して第1検出信号S1を選択検出信号S3としたときの第1電流値I1aと第2検出信号S2を選択検出信号S3としたときの第2電流値I1bとを測定する。
【0054】
次いで、処理回路23は、第2特定処理を実行する。この第2特定処理では、処理回路23は、上記した第1特定処理と同様の内容を判別する。
【0055】
また、この第2特定処理において、処理回路23は、この判別結果に基づいて、第1電流値I1aが第1ゼロ判定閾値I1miaを超え第1最大定格値I1mxa以下のときには、第1電流値I1aを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。また、処理回路23は、この判別結果に基づいて、第1電流値I1aが第1最大定格値I1mxaを超え、かつ第2電流値I1bが第2最大定格値I1mxb以下のときには、第2電流値I1bを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。
【0056】
また、この第2特定処理では、処理回路23は、最終的な電流値I1として特定した電流値を測定したセンサ(第1センサ2または第2センサ4)を示す識別情報IDを特定し、最終的な電流値I1に対応させて記憶する。したがって、処理回路23は、第1電流値I1aを最終的な電流値I1として特定したときには、この第1電流値I1aを測定した第1センサ2の識別情報IDを第1電流値I1aに対応させて記憶し、第2電流値I1bを最終的な電流値I1として特定したときには、この第2電流値I1bを測定した第2センサ4の識別情報IDを第2電流値I1bに対応させて記憶する。
【0057】
なお、処理回路23は、第2特定処理において、大きい方の第2最大定格値I1mxbに対応する第2電流値I1bがこの第2最大定格値I1mxbを超えていることを検出したときには、この電流測定装置1では測定対象5の測定電流Iを測定不能であると判別して、測定不能である旨を示す情報を記憶する。
【0058】
最後に、処理回路23は、出力処理を実行して、記憶されている電流値I1および識別情報ID、または測定不能である旨の情報を出力部14に出力する。
【0059】
これにより、電流測定装置1の使用者は、出力部14に出力されている識別情報IDに基づいて電流値I1の測定に使用されているセンサを(第1センサ2か第2センサ4かを)確認することができると共に、出力部14に出力されている電流値I1に基づいて、測定対象5に流れている測定電流Iの電流値I1を測定することができる。
【0060】
また、このように1つの測定対象5についての測定電流Iを第1センサ2および第2センサ4を同時に使用して測定する構成では、電流測定装置1は、第1センサ2で測定された第1電流値I1aが第1ゼロ判定閾値I1miaを超え第1最大定格値I1mxa以下であり、かつ第2センサ4で測定された第2電流値I1bが第2ゼロ判定閾値I1mibを超え第2最大定格値I1mxb以下のときには、最大定格値が低い第1センサ2で測定された第1電流値I1aを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定し、この第1センサ2で測定された第1電流値I1aが第1最大定格値I1mxaを超えており(つまり、測定電流Iの電流値I1が第1センサ2で測定不能な大きな電流値であり)、かつ第2電流値I1bが第2ゼロ判定閾値I1mibを超え第2最大定格値I1mxb以下のとき(測定電流Iの電流値I1が第2センサ4の定格内の電流値であるとき)には、第2電流値I1bを測定電流Iの最終的な電流値I1として特定する。その結果として、この電流測定装置1では、測定部13でのダイナミックレンジ(本例では一例として処理回路23のA/D変換器のダイナミックレンジ)がより有効に活用されて測定された電流値を最終的な電流値I1として特定することができるため、量子化エラーのより少ない状態で電流値I1を測定することが可能になっている。
【0061】
このように、この電流測定装置1によれば、本体部3に一体的に配設された第1センサ2が磁気コアを使用しない安価なロゴスキーコイル11で構成されているため、安価な電流測定装置を提供することができる。また、この電流測定装置1によれば、ロゴスキーコイル31を備えた他の第2センサ4を接続可能な接続部15が本体部3に設けられているため、必要に応じて第2センサ4を接続することにより、第1センサ2および第2センサ4のうちの測定対象5に合ったセンサを使用して測定対象5に流れる測定電流Iの電流値I1を測定することができる。
【0062】
また、この電流測定装置1では、接続部15に第2センサ4を接続したままの状態にしておくこともでき、この構成によれば、第1センサ2以外の他のセンサを新たに用意することなく、既存の第1センサ2および第2センサ4のうちの測定対象5に合ったセンサを直ちに使用して測定対象5に流れる測定電流Iの電流値I1を測定することができる。
【0063】
また、この電流測定装置1では、測定部13の信号選択回路21が処理回路23によって制御されて第1検出信号S1および第2検出信号S2のうちの1つを選択検出信号S3として選択して出力可能に構成され、処理回路23が、上記のようにして信号選択回路21を制御しつつ第1電流値I1aおよび第2電流値I1bを測定する仮測定処理と、この第1電流値I1aおよび第2電流値I1bのうちの一方を最終的な電流値I1として特定する特定処理(第1特定処理および第2特定処理)とを実行する。
【0064】
したがって、この電流測定装置1によれば、処理回路23が第1特定処理を実行することにより、第1センサ2および第2センサ4のうちの一方のみが測定対象5に使用されているときに、2つの電流値I1a,I1bのうちの実際に使用されている一方のセンサから出力されている検出信号(第1検出信号S1または第2検出信号S2)に基づいて測定された方を最終的な電流値I1として特定することができるため、使用されていないセンサからの検出信号に基づく電流値を誤って測定するという不具合の発生を確実に防止することができる。
【0065】
また、この電流測定装置1によれば、1つの測定対象5についての測定電流Iを第1センサ2および第2センサ4を同時に使用して測定する構成において、処理回路23が第2特定処理を実行することにより、2つの電流値I1a,I1bのうちの測定部13でのダイナミックレンジ(本例では一例として処理回路23のA/D変換器のダイナミックレンジ)がより有効に活用されて測定された一方を最終的な電流値I1として特定することができるため、量子化エラーのより少ない状態で電流値I1を測定することができる。
【0066】
なお、上記の例では、処理回路23が信号選択回路21に対する制御を自動的に実行する構成を採用しているが、例えば、本体部3に手動で操作される切替スイッチを設けて、信号選択回路21がこの切替スイッチの状態に応じて、第1検出信号S1および第2検出信号S2のうちの1つを選択検出信号S3として選択して出力する構成を採用することもできる。また、この電流測定装置1は、電流測定機能以外に電圧測定機能を備える構成であってもよく、さらには、測定した電流値および電圧値に基づいて抵抗を測定する抵抗測定機能や電力を測定する電力測定機能などの他の測定機能を備える構成であってもよい。また、この電流測定機能以外に電圧測定機能を備える構成を有する電流測定装置1においては、電圧センサを接続するための電圧測定用端子が第2センサ4を接続する接続部15を兼用する構成とすることもできる。