(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材の基部は、第1挟持部との間で前記ベース部材を挟持するときに、一方の面が前記ベース部材に当接し、前記第2挟持部との間で前記タングを保持するときに、他方の面が前記タングに当接するように構成されている請求項1〜5のいずれか1つに記載のシートベルトのタング保持装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1〜4を参照して、本発明に係るシートベルトのタング保持装置の、第1実施形態について説明する。
【0020】
図1及び
図4に示すように、この実施形態におけるシートベルトのタング保持装置10(以下、単に「タング保持装置10」という)は、シートベルト3の所定位置に設けられたタング5を、車両の所定箇所に着脱可能に保持するものであって、車両の天井面等に固定されるベース部材20と、該ベース部材20に取付けられ、タング5を保持する保持部材40とを備えている。また、タング5の先端部に、矩形孔状の被係合部7が設けられている(
図1参照)。なお、ベース部材20は、車両の天井面のみならず、車両の車室側壁等に固定させるようにしてもよい。
【0021】
図1に示すように、この実施形態におけるベース部材20は、所定の合成樹脂から形成され、凹部21を有する薄型箱状をなしており、凹部21の外周にはフランジ部23が形成されている。ベース部材20は、凹部21を車室側に向けて、車室の天井面や側壁に取付けられる。以下の説明では、ベース部材20の車室側に向く面を表面、その反対側を裏面として説明する。凹部21の一側部をなす壁部の裏面には、
図4に示すような断面形状をなす取付部25が設けられている。
【0022】
図1及び
図4に示すように、上記取付部25は、タング5が挿入される空間を内部に形成するように、凹部21の裏面側に膨出して設けられた枠状壁で構成されている。この枠状壁のフランジ部23から立設された壁面25aには、保持部材40の基部50(後述する)が挿入されるスリット溝27が形成されており、このスリット溝27の外周側が、保持部材40を取付けるための壁部26をなしている。スリット溝27は、基部50の挿入方向奥方に底部27aを有しており、基部50の挿入時に突き当たって、基部50の押し込み量が規制される。
【0023】
また、
図4(a)に示すように、取付部25の壁部26の外面には、突起状をなした係止部28が突設されており、保持部材40の第1挟持部60の連結部65(後述する)が係止するようになっている。
【0024】
更に、枠状壁のフランジ部23から立設された壁面25aの、スリット溝27に対して、壁部26と反対側には、保持部材40の第2挟持部70(後述する)が挿入される挟持部挿入孔31が形成されている。
【0025】
更に
図4に示すように、凹部21の取付部25が設けられた部分の内周面には、タング挿入孔29が取付部25内に連通するように形成されており、このタング挿入孔29からタング5が挿入されるようになっている。
【0026】
一方、凹部21の上記取付部25と反対側の側部には、シートベルト3の挿通用のベルト孔21aが形成されている。
【0027】
なお、上記ベース部材20の形状は一例であり、保持部材40を取付け可能であれば、特に限定はない。また、ベース部材の他形状については、後述する第2実施形態、第3実施形態においても説明する。
【0028】
次に上記構造のベース部材20に取付けられる保持部材40について説明する。
【0029】
図2及び
図3に示すように、この実施形態の保持部材40は、例えば、所定の金属板材を打ち抜いたり、折り曲げたり、切り起こしたりして形成することができ、板状の基部50と、該基部50の一端側から他端側に向けて折り返されて、基部50の一方の面に対向するように延出して、前記基部50との間でベース部材20を挟持する第1挟持部60と、基部50の一端側から他端側に向けて折り返されて、基部50の他方の面に対向するように延出して、ベース部材20の取付部25のスリット溝27に隣接して配置された、スリット隣接壁27b(
図4(a)参照)を介して、前記基部50との間でタング5を挟持する第2挟持部70と、該第2挟持部70に設けられ、タング5の被係合部7に着脱可能に係合する係合部75と、ベース部材20に係止する係止手段とを有している。
【0030】
基部50は板状をなし、前述したように、ベース部材20のスリット溝27に挿入されるようになっている(
図4参照)。なお、以下の説明においては、便宜上、基部50のスリット溝27への挿入方向とは反対側を「基部50の一端側」とし、スリット溝27への挿入方向側を「基部50の他端側」とする。基部50の一端側であって、幅方向(スリット溝27への挿入方向と直交する方向)の両側からは、一対の延出部51,51が延設されている。また、
図3(b)に示すように、基部50の他端側は、第1挟持部60及び第2挟持部70よりも短く形成されている。
【0031】
一方、基部50との間でベース部材20を挟持する第1挟持部60は、前記基部50の一対の延出部51,51の延出方向一端から所定角度(ここでは、基部50の面方向に対してほぼ直角)で屈曲した屈曲部61,61と、該屈曲部61,61を介して基部50の他端側に向けて折り返されると共に、基部50の一方の面に対向するように延出した、帯状をなした一対の側辺部63,63と、これらの一対の側辺部63,63に直交し、かつ、その延出方向先端部どうしを互いに連結する連結部65とを有しており、全体として略コ字枠状をなしている。
【0032】
また、
図3(b)に示すように、各側辺部63は、前記屈曲部61から基部50の一方の面に向けて次第に近接するように斜め内方に延出した傾斜部63aと、該傾斜部63aの延出方向先端から、基部50の一方の面に対してほぼ平行となるように延出して、ベース部材20に当接可能とされた平行部63bとを有している。なお、
図4(b)に示すように、平行部63bは、基部50をスリット溝27に挿入して、基部50と第1挟持部60とでベース部材20の取付部25の壁部26を挟み込んだ状態で、壁部26の外面に当接するようになっている。
【0033】
更に
図2(b)及び
図3(b)に示すように、第1挟持部60の連結部65の端部65aは、基部50の一方の面から次第に離れるように斜め外方に向けて、屈曲した形状をなしている。
【0034】
また、
図3(b)に示すように、第1挟持部60は、前記基部50の他端側よりも長く延出している。
【0035】
そして、
図3(b)に示すように、前記基部50の他端側であって、第1挟持部60との間には、ベース部材20を受け入れ可能な第1開口部43が設けられている。したがって、前記基部50をベース部材20のスリット溝27に挿入することで、第1開口部43からベース部材20の壁部26が受け入れられて、基部50と第1挟持部60との間でベース部材20が挟持される(
図4参照)。このとき、
図4(a)に示すように、第1挟持部60の連結部65が、ベース部材20の係止部28に係止して、ベース部材20に対して保持部材40が抜け止めされた状態で取付けられるようになっている。すなわち、この実施形態では、第1挟持部60の連結部65が、本発明におけるベース部材20に係止する「係止手段」をなしている。
【0036】
なお、上記の第1挟持部は、基部との間で第1開口部を有し、かつ、基部との間でベース部材を挟持可能な形状であればよく、特に限定はされない。
【0037】
また、ベース部材20のスリット隣接壁27bを介して、基部50との間でタング5を挟持する第2挟持部70は、前記基部50の一端側であって、幅方向の中央部から、同基部50に対して所定角度(ここでは、基部50の面方向に対してほぼ直角)で立設するように延出した立壁部71と、該立壁部71の立設方向先端から、R状部72を介して基部50の他端側に向けて折り返されると共に、基部50の他方の面に対向するように延出した延出部73と、該延出部73の延出方向先端部に設けられ、前記タング5の矩形孔状の被係合部7に着脱可能に係合する係合部75とを有している。
【0038】
なお、前記延出部73は、基部50の他方の面に対してほぼ平行に延出している(
図3(b)参照)。
【0039】
また、前記係合部75は、基部50の他方の面に向けて次第に近接するように斜め内方に延出した第1傾斜部76と、該第1傾斜部76の延出方向先端部から、折曲部77を介して基部50の他方の面から次第に離れるように斜め外方に延出した第2傾斜部78とからなる(
図2及び
図3(b)参照)。
【0040】
更に
図3(b)に示すように、第2挟持部70は、前記基部50の他端よりも長く延出しており、第2挟持部70の他端側が、前記第1挟持部60の他端側に、対向して配置されている。
【0041】
また、
図3(b)に示すように、前記基部50の他端側であって、第2挟持部70との間には、タング5を受け入れ可能な第2開口部45が設けられている。したがって、この保持部材40においては、基部50と第1挟持部60との間に設けた第1開口部43、及び、基部50と第2挟持部70との間に設けた第2開口部45が、基部50の他端側において、同一の開口向きとなるように設けられている(
図3(b)参照)。更に
図3(b)に示すように、基部50が第1挟持部60及び第2挟持部70よりも短く、かつ、第1挟持部60の他端側及び第2挟持部70の他端側が対向して配置されているため、第1挟持部60の他端側と第2挟持部70の他端側との間に、広い開口47が形成されている。
【0042】
そして、ベース部材20に保持部材40が取付けられた状態で、ベース部材20のタング挿入孔29にタング5を挿入することで、前記第2開口部45からタング5が受け入れられて、ベース部材20のスリット隣接壁27bを介して、基部50と第2挟持部70との間でタング5が挟持される(
図4参照)。このとき、
図4(a)に示すように、保持部材40の第2挟持部70が、挟持部挿入孔31を介してベース部材20の取付部25内に挿入されて、前記第2開口部45がタング挿入孔29に対向して配置されると共に、タング5の被係合部7内に、第2挟持部70の係合部75が入り込んで、その第1傾斜部76が被係合部7の先端側内周縁に係合し、第2傾斜部78が被係合部7の基端側内周縁に係合して、タング5を着脱可能に係合保持するようになっている。
【0043】
なお、上記の第2挟持部は、基部との間で第2開口部を有し、かつ、ベース部材のスリット隣接壁を介して、基部との間でタングを挟持可能な形状であればよく、特に限定はされない。
【0044】
また、保持部材としては、上記形状に限定されるものではなく、基部と第1挟持部との間に第1開口部を有し、基部と第2挟持部との間に第2開口部を有し、両開口部が同一の開口向きとなるように設けられ、かつ、基部と第1挟持部との間でベース部材を挟持可能で、ベース部材のスリット隣接壁を介して、基部と第2挟持部との間でタングを挟持可能な形状や構造であれば、特に限定はされない。なお、保持部材の他形状は、後述する第2実施形態や第3実施形態においても説明する。
【0045】
次に、上記構造からなるタング保持装置10の作用効果について説明する。
【0046】
まず、保持部材40をベース部材20に取付ける。すなわち、
図1に示すように、ベース部材20の取付部25のスリット溝27に、保持部材40の基部50を挿入していく。すると、保持部材40の第1開口部43からベース部材20の壁部26が受け入れられていくと共に、第1挟持部60が取付部25の係止部28に押圧されて外方に撓みながら、ベース部材20が押し込まれていく。そして、スリット溝27の底部27aに基部50が突き当たるまで、保持部材40を押し込むと、それ以上の押し込みが規制されると共に、第1挟持部60が弾性復帰して、その連結部65が係止部28に係止して、基部50と第1挟持部60との間でベース部材20の壁部26が挟持されて、ベース部材20に対して保持部材40を抜け止めした状態で取付けることができる。また、この状態では、保持部材40の第2挟持部70が、挟持部挿入孔31を通って取付部25内に挿入され、第2開口部45がタング挿入孔29に対向して配置される(
図4(a)参照)。
【0047】
そして、タング5を保持する場合には、ベース部材20のタング挿入孔29に、タング5を挿入して押し込んでいく。すると、保持部材40の第2開口部45からタング5が受け入れられて、同タング5が第2傾斜部78に当接して第2挟持部70を押し広げていき、その係合部75がタング5の被係合部7に至ると、第2挟持部70が弾性復帰して、被係合部7の先端側内周縁に第1傾斜部76が係合すると共に、被係合部7の基端側内周縁に第2傾斜部78が係合して、ベース部材20のスリット隣接壁27bを介して、基部50と第2挟持部70との間で、タング5を挟持した状態で保持することができる(
図4(a)参照)。
【0048】
一方、タング5を使用する場合には、
図4(a)の矢印に示すように、ベース部材20のタング挿入孔29からタング5を引っ張る。すると、タング5の被係合部7の内周縁に、第1傾斜部76が押圧されて、第2挟持部70が取付部25内で撓み変形して、係合部75とタング5との係合保持が解除されて、タング5を取外すことができる。
【0049】
そして、このタング保持装置10においては、基部50と第1挟持部60との間に設けた第1開口部43、及び、基部50と第2挟持部70との間に設けた第2開口部45が、基部50の他端側において、同一の開口向きとなるように設けられているので、タング5を使用する際に、タング5を引っ張ると、保持部材40にはベース部材20に食い込む方向の力が作用するため、保持部材40がベース部材20から外れることを防止することができる。
【0050】
また、この実施形態においては、保持部材40の基部50と第1挟持部56とによってベース部材20を挟持する構造であるのに加えて、タング5を、ベース部材20のスリット隣接壁27bを介して、保持部材40の基部50と第2挟持部70とで挟持する構造となっているので、ベース部材20に対する保持部材40の取付け精度が低い場合や、ベース部材20に形成されたタング挿入孔29の寸法精度が低い場合等であっても、その影響を受けにくくすることができ、タング5を、ガタつきを少なくして、安定して高い保持力で保持することができる。
【0051】
更に、この実施形態においては、
図3(b)に示すように、保持部材40の基部50が第1挟持部60及び第2挟持部70よりも短く、かつ、第1挟持部60の他端側及び第2挟持部70の他端側が対向して配置されているため、第1挟持部60の他端側と第2挟持部70の他端側との間に、広い開口47を確保することができる。そのため、第1開口部43にベース部材20を受け入れる場合や、第2開口部45にタング5を受け入れる場合に、ベース部材20やタング5の挿入角度を広く許容することができ、ベース部材20に対する保持部材40の取付作業性や、保持部材40に対するタング5の挿入作業性を向上させることができる。
【0052】
また、この実施形態においては、保持部材40の基部50がベース部材20のスリット溝27に挿入されるので、基部50がスリット溝27の内周面によって保持されて、ベース部材20に対して保持部材40を、ガタつきを抑制して取付けることができ、タング5を安定して保持することができる。
【0053】
更に、この実施形態においては、
図3(b)に示すように、保持部材40の第1挟持部60は、基部50に対してほぼ平行となるように延出し、ベース部材20に当接可能とされた平行部63bを有している。そのため、
図4(b)に示すように、上記平行部63bが、ベース部材20の壁部26に当接した状態で、ベース部材20に保持部材40が取付けられることとなるので、ベース部材20に対して保持部材40を、よりガタつきを少なくして安定して取付けることができる。
【0054】
図5〜10には、本発明に係るシートベルトのタング保持装置の、第2実施形態が示されている。なお、前記第1実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図5に示すように、この第2実施形態におけるシートベルトのタング保持装置10A(以下、単に「タング保持装置10A」という)は、主として、ベース部材20Aの取付部25A、及び、保持部材40Aの基部50Aの形状等が、前記第1実施形態と異なっている。
【0056】
図5(b)に示すように、取付部25Aは、保持部材40Aの取付面側が開口した枠状をなしており、その外周の壁部26の幅方向中央には、保持部材40Aの第2挟持部70Aが配置される挟持部配置溝26aが形成されている。また、
図5(b)に示すように、取付部25Aの内周には、前記壁部26から所定間隔をあけて平行に、係止孔30aを設けた挟持壁30が設けられている。更に、上記挟持壁30の、保持部材40Aの挿入方向奥側には、段部30bが形成されている(
図8参照)。
【0057】
一方、
図6及び
図7に示すように、保持部材40Aは、略矩形板状をなした基部50Aを有している。
図7(a)に示すように、この基部50Aの、長さ方向(矢印L1方向)の一端側であって、幅方向(矢印L2方向)の両側部からは、一対の延出部51,51が延出している。基部50Aは、これらの一対の延出部51,51も含めて、長さ方向に長く伸びる形状をなしている。
【0058】
そして、上記一対の延出部51,51を介して、基部50Aの長さ方向一端側から他端側に向けて、第1挟持部60Aが折り返されて延出して、基部50Aの一方の面に対向して配置されている。また、基部50Aの長さ方向一端側であって幅方向中央部からは、立壁部71を介して、基部50Aの長さ方向一端側から他端部に向けて、第2挟持部70Aが折り返されて延出して、基部50Aの他方の面に対向して配置されている。
【0059】
したがって、この保持部材40Aにおいては、前記第1実施形態と同様に、基部50Aと第1挟持部60Aとの間に設けた第1開口部43、及び、基部50Aと第2挟持部70Aとの間に設けた第2開口部45が、基部50Aの他端側において、同一の開口向きとなるように設けられた構造をなしている(
図7(b)参照)。
【0060】
なお、この第2実施形態において、基部50Aの「一端側」とは、第1挟持部60A、第2挟持部70Aが連設された端部側を意味し、「他端側」とは、第1開口部43、第2開口部45が設けられた端部側を意味する。
【0061】
また、第1挟持部60Aは、その側辺部63が、基部50Aの一方の面に対して近接するように斜め内方に延出した形状をなしており、第1実施形態の側辺部63における平行部63bを有していないことを除いて、第1実施形態の第1挟持部60と同様の形状をなしている。一方、第2挟持部70Aは、第1実施形態の第2挟持部70に対して、R状部72や延出部73の大きさや長さが異なるだけで、第2挟持部70と同様の形状をなしている。
【0062】
更に
図7(c)に示すように、基部50Aの長手方向一端寄りであって、幅方向ほぼ中央部には、略コ字状のスリット53aが形成されており、該スリット53aを介して、取付部25Aの係止孔30aに係止する係止爪53が、第1挟持部60A側に向けて切り起こして形成されている。この係止爪53が、本発明におけるベース部材20に係止する「係止手段」をなしている。
【0063】
また、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、基部50Aの長さ方向の他端側には、第2挟持部70Aに向けて隆起する湾曲部55が設けられている。
図7(b)に示すように、この湾曲部55の、第2挟持部70Aに向けて最も高く隆起した頂部55bは、第2挟持部70Aの係合部75の折曲部77よりも、基部50Aの他端側に配置されている。なお、
図8に示すように、ベース部材20Aに保持部材40Aを取付けたときに、湾曲部55の端部55aが、取付部25の挟持壁30の段部30bに係止するようになっている。
【0064】
そして、保持部材40Aの第1開口部43から、ベース部材20Aの挟持壁30を受け入れて、基部50Aと第1挟持部60Aとの間で、取付部25Aの挟持壁30を挟持すると共に、係止爪53が挟持壁30の係止孔30aに係止することで、ベース部材20Aに対して保持部材40Aを抜け止めした状態で取付けることができる(
図8(a)参照)。また、ベース部材20Aのタング挿入孔29からタング5を挿入することで、保持部材40Aの第2開口部45からタング5を受け入れて、基部50Aと第2挟持部70Aとの間でタング5を挟持して、その係合部75が被係合部7に係合することで、タング5を保持することができる(
図8(a),(b)参照)。
【0065】
そして、この実施形態においては、
図8に示すように、保持部材40Aの基部50Aは、第1挟持部60Aとの間でベース部材20Aを挟持するときに、一方の面がベース部材20Aの挟持壁30に当接し、第2挟持部70Aとの間でタング5を保持するときに、他方の面(ここでは湾曲部55の他方の面)がタング5に当接するように構成されている。このように、保持部材40Aの基部50Aの一方の面が、ベース部材20Aに当接し、他方の面がタング5に当接するので、基部50A一つによって、ベース部材20Aの挟持及びタング5の挟持の、二つの役割を果たすことができ、保持部材40Aの構造を簡単な形状にすることができる。
【0066】
また、この実施形態においては、
図7(b)に示すように、基部50Aの他端側に、第2挟持部70A側に向けて隆起する湾曲部55が設けられている。そのため、保持部材40Aの第2開口部45から、基部50Aと第2挟持部70Aとの間に、タング5を受け入れるときのガイドとなると共に、基部50Aと第2挟持部70Aとの間で、タング5が挟持されたときには、湾曲部55がタング5に当接して、タング5のガタつきを抑制して、より安定して保持することができる(
図8参照)。
【0067】
更にこの実施形態においては、基部50Aの他端側に設けた湾曲部55の頂部55bは、第2挟持部70Aに設けた係合部75の、折曲部77よりも基部50Aの他端側に配置されているので、
図7(b)に示すように、基部50Aの他端側と、第2挟持部70Aとの間に設けた第2開口部43の、開口幅を大きく確保することができ、タング5を受け入れやすくすることができる。
【0068】
また、
図9及び
図10には、第2実施形態のタング保持装置に用いられる保持部材の、他形状が示されている。
【0069】
この他形状の保持部材40Bは、基部50Bの形状が異なっている。すなわち、
図9及び
図10(a)に示すように、この保持部材40Bの基部50Bは、長さ方向所定箇所(ここではほぼ中央部)であって、その幅方向両側部に、L字状の切欠き54a,54aが形成されており、これら切欠き54a,54aを介して、一対の係止爪54,54が、第1挟持部60A側に向けて切り起こして形成されている(
図10(b)参照)。また、取付部25Aの挟持壁30には、一対の係止爪54,54が係止する、図示しない係止孔が形成されるようになっている。
【0070】
そして、上記保持部材40Bにおいては、基部50Bの両側に、係止爪54,54が設けられているので、取付部25Aの挟持壁30の図示しない係止孔に係止させたときに、保持部材40Bを転びにくくすることができる、すなわち、基部50Bの幅方向のどちらか一側部が、挟持壁30に近接するように、基部50Bが傾くことを抑制することができ、タング5を安定して保持することができる。
【0071】
図11〜15には、本発明に係るシートベルトのタング保持装置の、第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0072】
図11に示すように、この実施形態におけるシートベルトのタング保持装置10C(以下、単に「タング保持装置10C」という)は、主として、タング5Cや、ベース部材20Cの取付部25C、更に、保持部材40Cの第2挟持部70Cの形状等が、前記実施形態と異なっている。
【0073】
図11に示すように、取付部25Cは、壁部26と、その両側に配置された略三角板状の側壁32,32とを有する、取付面側が開口した枠状をなしている。また、取付部25Cの、保持部材40Cの挿入方向奥側に、長孔状をなしたタング挿入孔29が形成されている。更に
図15(a)に示すように、壁部26の外面側(裏側)には、係止部28が突設されている。また、
図12に示すように、タング5Cの先端部の一側辺に、鍵溝状の被係合部7Cが形成されている。
【0074】
一方、
図13及び
図14に示すように、保持部材40Cは、前記第2実施形態の保持部材40と同様に、延出部51,51を含めて基部50Cが長さ方向に長く伸びる形状をなしており、第1挟持部60Cが、基部50Cの一方の面に対向して延設されていると共に、第2挟持部70Cが、基部50Cの他方の面に対向して延設されている。また、この保持部材40Cでは、前記第1,第2実施形態と同様に、基部50Cと第1挟持部60Cとの間に設けた第1開口部43、及び、基部50Cと第2挟持部70Cとの間に設けた第2開口部45が、基部50Cの他端側において、同一の開口向きとなるように設けられている(
図14(b)参照)。
【0075】
なお、この第3実施形態においても、前記第2実施形態と同様に、基部50Cの「一端側」とは、第1挟持部60C及び第2挟持部70Cが連設された端部側を意味し、「他端側」とは、第1開口部43及び第2開口部45が設けられた端部側を意味する。
【0076】
図14(b)に示すように、基部50Cの他端側には、第2挟持部70Cから離間する方向に屈曲された屈曲部57が設けられている。
図13(a)及び
図14(a)を併せて参照すると、屈曲部57は、基部50Cの他端側であって、幅方向ほぼ中央部に、第2挟持部70Cから次第に離れるように斜め外方に向けて、屈曲されて設けられている。なお、特に図示はしないが、この屈曲部57は、保持部材40Cの第1開口部43にベース部材20Cを受け入れて、保持部材40Cが押し込まれたときに、ベース部材20に係合可能なように構成されている。
【0077】
また、
図15(a)に示すように、第1挟持部60Cの連結部65が、ベース部材20Cの係止部28に係止して、ベース部材20Cに対して保持部材40Cが抜け止め状態で取付けられるようになっており、第1挟持部60の連結部65が、本発明におけるベース部材20に係止する「係止手段」をなしている。
【0078】
更に、
図13(b)及び
図14(b)に示すように、第1挟持部60Cは、一対の側辺部63,63を連結する連結部65の端部65aが、基部50Cの面方向に対してほぼ直角となるように屈曲している。
【0079】
また、
図13(a)及び
図14(c)に示すように、第2挟持部70Cは、基部50Cの幅方向一側部に偏った位置から立壁部71が立設し、該立壁部71から、R状部72を介して基部50Aの他方の面に次第に近接するように延出部73が延出しており、その延出方向の先端部79(第2挟持部70Cの他端側)が、基部50Cの他方の面から離れる方向に屈曲している。更に、第2挟持部70Cの幅方向一側部に、タング5Cの被係合部7Cに着脱可能に係合する係合部80が設けられている。
【0080】
すなわち、
図14(c)に示すように、第2挟持部70Cの他端側に、直線状の切欠き81が形成されており、該切欠き81を介して、他端部82が第2挟持部70Cの他端側に連結され、他端が第2挟持部70Cの一端側に向けて延出した、撓み可能な片持ち梁状の係合部80が設けられている(
図13参照)。
図13(a),(b)に示すように、係合部80は、前記第1,第2実施形態の係合部75と同様に、基部50Cの他方の面に向けて次第に近接するように斜め内方に延出した第1傾斜部86と、該第1傾斜部86の延出方向先端部から、折曲部87を介して基部50Cの他方の面から次第に離れるように斜め外方に延出した第2傾斜部88とを有している。
【0081】
なお、係合部80は、第2挟持部70Cの幅方向両側部に設けてもよく、係合部80の形状も特に限定はされない。
【0082】
そして、保持部材40Cの第1開口部43から、ベース部材20Cの壁部26を受け入れて、基部50Cと第1挟持部60Cとの間で、取付部25Cの壁部26を挟持すると共に、第1挟持部60Aの連結部65が、ベース部材20Cの壁部26外面の係止部28に係止することで、ベース部材20Cに対して保持部材40Cを抜け止めした状態で取付けることができる(
図15(a)参照))。また、ベース部材20Cのタング挿入孔29からタング5Cを挿入することで、保持部材40Cの第2開口部45からタング5Cを受け入れて、基部50Cと第2挟持部70Cとの間でタング5Cを挟持すると共に、片持ち梁状の係合部80が、タング5Cの鍵溝状の被係合部7Cに入り込んで係合するので、タング5Cを保持することができる(
図15(b)参照)。
【0083】
また、この実施形態においては、
図12及び
図13に示すように、第2挟持部70Cの幅方向一側部に、片持ち梁状の係合部80を設けたことにより、タング5Cに、
図1や
図5に示すような貫通孔状の被係合部7を設けなくとも、例えば、タング5Cの側面に鍵溝状の被係合部7C(
図12参照)を設けることによって、同被係合部7Cに係合部80が着脱可能に係合して、タング5Cを抜け止め可能に保持することができる。
【0084】
また、係合部80が、第2挟持部70C側に向けて屈曲した部分を有している場合(ここでは第1傾斜部86や第2傾斜部88)には、基部50Cと第2挟持部70Cとによってタング5Cが挟持された状態で、係合部80がタング5Cに当接するため、タング5Cの板厚方向のガタツキを抑制することができる。更に、タング5Cの被係合部7が鍵溝状の場合には、タング5Cの板厚方向に係合部80が一部ラップするように係合するため(
図15(b)参照)、タング5Cの抜けを抑制することができると共に、基部50Cと第2挟持部70Cとによって、タング5Cが挟持されるため、タング5Cの板厚方向のガタツキを抑制することができ、タング5Cをより安定して保持することができる。
【0085】
また、この実施形態においては、保持部材40Cの基部50Cの、他端に設けた屈曲部57が、保持部材40Cの第1開口部43にベース部材20Cの壁部26を受け入れて、保持部材40Cが押し込まれたときに、ベース部材20Cに係合するので、保持部材40Cをベース部材20Cに取付ける際の、押し込み規制を図ることができ、保持部材40Cをベース部材20Cの所定位置に確実に取付けることができる。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。