特許第6605255号(P6605255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6605255レンズユニット、カメラ、電子機器、レンズユニット組立方法、カメラの製造方法および電子機器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605255
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】レンズユニット、カメラ、電子機器、レンズユニット組立方法、カメラの製造方法および電子機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20191031BHJP
   G03B 9/02 20060101ALI20191031BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20191031BHJP
   G03B 9/12 20060101ALI20191031BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20191031BHJP
   G02B 7/08 20060101ALI20191031BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20191031BHJP
   H04N 5/238 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   G02B7/02 H
   G03B9/02 C
   G03B11/00
   G03B9/12
   G02B7/04 E
   G02B7/08 B
   H04N5/225 400
   H04N5/225 700
   H04N5/238
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-162985(P2015-162985)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-40814(P2017-40814A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2017年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100180817
【弁理士】
【氏名又は名称】平瀬 実
(72)【発明者】
【氏名】今井 謙三
(72)【発明者】
【氏名】渡部 伸昭
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−271670(JP,A)
【文献】 特開2011−102823(JP,A)
【文献】 特開2012−255972(JP,A)
【文献】 特開2005−062315(JP,A)
【文献】 特開2012−002837(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/036251(WO,A1)
【文献】 特開平11−142906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 7/04
G02B 7/08
G03B 9/02
G03B 9/12
G03B 11/00
H04N 5/225
H04N 5/238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズを保持し、側面に周方向に延びる第1のスリットと、前記第1のスリットと対向する第2のスリットと、を有する一つのレンズ鏡筒と、
それぞれの開口部を重ね両者間に羽根室を構成し、前記開口部が前記レンズの間に配置され、一部が前記第1のスリットから突出する一対の地板と、
前記羽根室内に配置され、往復作動させられて前記開口部に進退する羽根と、
前記一対の地板の前記第1のスリットから突出した前記一部を保持し、前記羽根を往復作動させる羽根駆動部と、
前記レンズ鏡筒を光軸方向にスライドできるように保持する外枠と、
前記レンズ鏡筒を光軸方向に移動させる鏡筒駆動部と、
を備え、
全てのレンズは、一つの前記レンズ鏡筒に固定され
前記一対の地板の前記羽根駆動部に固定された前記一部から遠い部分が、前記第2のスリットに保持され、
前記鏡筒駆動部は、前記レンズ鏡筒の前記第2のスリットを覆うように固定されたマグネットと、前記外枠に固定され、前記マグネットを光軸方向に移動させる磁界を発生させる駆動コイルと、を有し、
前記外枠と前記レンズ鏡筒とには、光軸方向にスライドするように、それぞれ光軸方向に延びる溝を有する一対の摺動部が設けられ、前記外枠に設けられた摺動部と前記レンズ鏡筒に設けられた摺動部との間にベアリングが配置されている、
ことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記外枠と前記羽根駆動部とを蛇行形状を有している板バネで電気的に接続した、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記羽根駆動部が、電磁アクチュエータの部品が配置された駆動部ベースと、前記電磁アクチュエータの前記部品を前記駆動部ベースに固定させる駆動部カバーとから構成され、
前記一対の地板の前記一部が前記駆動部ベースと前記駆動部カバーとに挟持される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記羽根は、絞り羽根から構成される、
ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記羽根は、光の透過を遮る遮光羽根から構成される、
ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記羽根は、光学フィルタを有する羽根から構成される、
ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
請求項1からの何れか1項に記載のレンズユニットと、
前記レンズ鏡筒に設けられた前記レンズにより撮像面に被写体像が結像される撮像部と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項に記載のカメラを備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
側面に周方向の第1のスリットと、前記第1のスリットと対向する第2のスリットと、を有するレンズ鏡筒を一体成型する第1工程と、
一体成型された前記レンズ鏡筒に複数の全てのレンズを取り付ける第2工程と、
開口部が前記レンズの間に配置され、一部が前記第1のスリットから突出する地板と、往復作動させられて前記開口部に進退する羽根と、前記地板の前記第1のスリットから突出した前記一部を保持し、前記羽根を往復作動させる羽根駆動部と、を有する絞りユニットを組み立てる第3工程と、
前記複数の全てのレンズが取り付けられた前記レンズ鏡筒の前記第1のスリットに前記絞りユニットの前記地板を差し込んで、前記地板の前記羽根駆動部に固定された前記一部から遠い部分が、前記第2のスリットに保持されるように、前記絞りユニットを前記レンズ鏡筒に取り付ける第4工程と、
前記レンズ鏡筒の前記第2のスリットを覆うようにマグネットを取り付け、前記マグネットを光軸方向に移動させる磁界を発生させる駆動コイルを外枠に取り付け、前記レンズ鏡筒に設けられた前記光軸方向に延びる溝を有する一対の摺動部と、前記外枠に設けられた前記光軸方向に延びる溝を有する一対の摺動部と、の間にベアリングを配置し、前記絞りユニットが取り付けられた前記レンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒を光軸方向に移動させる鏡筒駆動部と、を前記外枠に取り付ける第5工程と、
を備えることを特徴とするレンズユニット組立方法。
【請求項10】
請求項に記載のレンズユニット組立方法で組み立てられたレンズユニットに、前記レンズ鏡筒に設けられた前記レンズにより被写体像が結像される位置に撮像部を取り付ける工程を備える、
ことを特徴とするカメラの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載のカメラの製造方法で製造されたカメラを電子機器に取り付ける工程を備える、
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、レンズユニット、カメラ電子機器、レンズユニット組立方法、カメラの製造方法および電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スマートフォンなどの電子機器は、カメラを備えているものがある。例えば、特許文献1には、携帯端末に搭載される撮像装置(カメラ)が開示されている。この撮像装置は、基板と、撮像素子と、光学部材(レンズ)から構成され、被写体光束を遮蔽するシャッタを備え、シャッタを駆動する駆動部の少なくとも一部が、光学部材の脚部の間に配置されている。
【0003】
特許文献1のカメラに限らず、スマートフォンに備えられるカメラは、スマートフォンの厚みに収まるように、光軸方向の長さがスマートフォンの厚みより短く設計されている。また、スマートフォンは、様々なニーズから(例えば、容易に持ち運ぶことできるようにするなど)、より薄型のものが求められている。スマートフォンがより薄くなるに伴い、カメラも光軸方向の長さがより短いものが求められている。また、撮像した画像の質を向上させるために、カメラが、焦点を自動で調整する自動焦点機能やレンズを透過する光量を調整する絞り羽根などを備えることも要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−309954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の撮像装置は、シャッタを駆動する駆動部が光学部材を固定する脚部の間に配置されるため、光学部材を光軸方向に移動させることできず、自動焦点機能を付加することができない。また、撮像装置に絞り羽根を付加する場合、絞り羽根はレンズ間に設けられる必要があるため、レンズの前にシャッタ羽根が配置されている特許文献1の撮像装置のシャッタ羽根を絞り羽根に置き換えることは困難であるという問題がある。
【0006】
また、シャッタ羽根や絞り羽根、および自動焦点機能を備え、光軸方向の長さがより短いカメラを得るために、このカメラを構成するレンズユニットも、レンズ間に羽根を進退させ、レンズを光軸方向に駆動でき、光軸方向の長さがより短いものが求められている。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、レンズ間に進退する羽根を備え、レンズを光軸方向に駆動でき、光軸方向の長さがより短いレンズユニット、カメラ電子機器、レンズユニット組立方法、カメラの製造方法および電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るレンズユニットは、
複数のレンズを保持し、側面に周方向に延びる第1のスリットと、前記第1のスリットと対向する第2のスリットと、を有する一つのレンズ鏡筒と、
それぞれの開口部を重ね両者間に羽根室を構成し、前記開口部が前記レンズの間に配置され、一部が前記第1のスリットから突出する一対の地板と、
前記羽根室内に配置され、往復作動させられて前記開口部に進退する羽根と、
前記一対の地板の前記第1のスリットから突出した前記一部を保持し、前記羽根を往復作動させる羽根駆動部と、
前記レンズ鏡筒を光軸方向にスライドできるように保持する外枠と、
前記レンズ鏡筒を光軸方向に移動させる鏡筒駆動部と、
を備え、
全てのレンズは、一つの前記レンズ鏡筒に固定され
前記一対の地板の前記羽根駆動部に固定された前記一部から遠い部分が、前記第2のスリットに保持され、
前記鏡筒駆動部は、前記レンズ鏡筒の前記第2のスリットを覆うように固定されたマグネットと、前記外枠に固定され、前記マグネットを光軸方向に移動させる磁界を発生させる駆動コイルと、を有し、
前記外枠と前記レンズ鏡筒とには、光軸方向にスライドするように、それぞれ光軸方向に延びる溝を有する一対の摺動部が設けられ、前記外枠に設けられた摺動部と前記レンズ鏡筒に設けられた摺動部との間にベアリングが配置されている
【0009】
このようにすることで、レンズユニットは、羽根が配置される羽根室を構成する地板が前記第1のスリットに挿入されレンズ間に配置されることで、進退する羽根を備えることができる。また、レンズ間の間隔が狭くても地板を配置できるため、地板が配置されるレンズ間の間隔を狭く設計することが可能となり光軸方向の長さを短縮できる。また、レンズユニットは、鏡筒駆動部がレンズ鏡筒を駆動することにより、自動焦点機能を備える。また、前記第1のスリットと対向する第2のスリットを備え、前記一対の地板の前記羽根駆動部に固定された前記一部から遠い部分が、前記第2のスリットに保持されることで、一対の地板が所定位置からずれにくくなる。また、一対の地板とレンズとが接触することを防止できる。
【0010】
例えば、前記外枠と前記羽根駆動部とを蛇行形状を有している板バネで電気的に接続してもよい。
このようにすることで、レンズ鏡筒が光軸方向に駆動されるときの負荷を小さくできるため、レンズ鏡筒がスムーズに駆動され、焦点を迅速に合わせることができる。また、電気的に接続される部分にかかる力を小さくできるため光軸が傾くことを防止できる。
【0012】
例えば、前記羽根駆動部が、電磁アクチュエータの部品が配置された駆動部ベースと、前記電磁アクチュエータの前記部品を前記駆動部ベースに固定させる駆動部カバーとから構成され、
前記一対の地板の前記一部が前記駆動部ベースと前記駆動部カバーとに保持されてもよい。
このようにすることで、一対の地板が羽根駆動部に安定して固定され、また、一対の地板と羽根駆動部とを容易に組み立てることができる。
【0013】
例えば、前記羽根は、絞り羽根から構成されてもよい。
このようにすることで、レンズユニットに絞り機能を付加することができる。
【0014】
例えば、前記羽根は、光の透過を遮る遮光羽根から構成されてもよい。
このようにすることで、レンズユニットにシャッタ機能を付加することができる。
【0015】
例えば、前記羽根は、光学フィルタを有する羽根から構成されてもよい。
このようにすることで、レンズユニットに光学ND(Neutral Density)フィルタなどのフィルタの機能を付加することができる。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るカメラは、
前記レンズユニットと、
前記レンズ鏡筒に設けられた前記レンズにより撮像面に被写体像が結像される撮像部と、を備える。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る電子機器は、
前記カメラを備える。
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るレンズユニット組立方法は、
側面に周方向の第1のスリットと、前記第1のスリットと対向する第2のスリットと、を有するレンズ鏡筒を一体成型する第1工程と、
一体成型された前記レンズ鏡筒に複数の全てのレンズを取り付ける第2工程と、
開口部が前記レンズの間に配置され、一部が前記第1のスリットから突出する地板と、往復作動させられて前記開口部に進退する羽根と、前記地板の前記第1のスリットから突出した前記一部を保持し、前記羽根を往復作動させる羽根駆動部と、を有する絞りユニットを組み立てる第3工程と、
前記複数の全てのレンズが取り付けられた前記レンズ鏡筒の前記第1のスリットに前記絞りユニットの前記地板を差し込んで、前記地板の前記羽根駆動部に固定された前記一部から遠い部分が、前記第2のスリットに保持されるように、前記絞りユニットを前記レンズ鏡筒に取り付ける第4工程と、
前記レンズ鏡筒の前記第2のスリットを覆うようにマグネットを取り付け、前記マグネットを光軸方向に移動させる磁界を発生させる駆動コイルを外枠に取り付け、前記レンズ鏡筒に設けられた前記光軸方向に延びる溝を有する一対の摺動部と、前記外枠に設けられた前記光軸方向に延びる溝を有する一対の摺動部と、の間にベアリングを配置し、前記絞りユニットが取り付けられた前記レンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒を光軸方向に移動させる鏡筒駆動部と、を前記外枠に取り付ける第5工程と、
を備える
上記目的を達成するため、本発明の第5の観点に係るカメラの製造方法は、
前記レンズユニット組立方法で組み立てられたレンズユニットに、前記レンズ鏡筒に設けられた前記レンズにより被写体像が結像される位置に撮像部を取り付ける工程を備える。
上記目的を達成するため、本発明の第6の観点に係る電子機器の製造方法は、
前記カメラの製造方法で製造されたカメラを電子機器に取り付ける工程を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レンズ間に進退する羽根を備え、レンズを光軸方向に駆動でき、光軸方向の長さがより短いレンズユニット、カメラ電子機器、レンズユニット組立方法、カメラの製造方法および電子機器の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は、実施の形態に係るカメラを示す図であり、(B)は、実施の形態に係るカメラを示す正面図である。
図2図1(B)のA−A断面図である。
図3】実施の形態に係るレンズユニットを示す分解図である。
図4】(A)は、実施の形態に係るレンズ鏡筒の上面図であり、(B)は、実施の形態に係るレンズ鏡筒の正面図であり、(C)は、実施の形態に係るレンズ鏡筒の底面図であり、(D)は、図4(B)のB−B断面図である。
図5】実施の形態に係る羽根駆動部、地板および絞り羽根を示す分解図である。
図6】実施の形態に係るレンズ鏡筒および羽根駆動部を示す図である。
図7】実施の形態に係るカメラを備えるスマートフォンのブロック図である。
図8】実施の形態に係る絞り羽根の動作を示す図である。
図9】実施の形態に係る絞り羽根の動作を示す図である。
図10】(A)〜(C)は、実施の形態に係るレンズ鏡筒と外枠との電気的結合の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態に係るレンズユニットを、カメラに使用されるレンズユニットを例に図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るカメラ101は、図1および図2に示すように、撮像部102(図2のみ図示)と、レンズユニット103と、を備える。カメラ101は、スマートフォンなどの電子機器に内蔵されるものである。
【0022】
撮像部102は、レンズユニット103に設けられたレンズ104により撮像面に結像された被写体像を電気信号に変換する。撮像部102は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の撮像素子から構成される。
【0023】
レンズユニット103は、図2および図3に示すように、レンズ104を保持するレンズ鏡筒11と、地板12(12A、12B)(地板12Bは図2のみ図示)と、絞り羽根13と、羽根駆動部14と、外枠15と、鏡筒駆動部16と、板バネ18(18A、18B)と、を備える。なお、地板12と、絞り羽根13と、羽根駆動部14と、は絞りユニット20を構成する。
【0024】
レンズ鏡筒11は、図2に示すように、複数のレンズ104を保持する鏡筒であり、図4に示すように、側面に周方向に設けられた第1のスリット17Aと、第1のスリット17Aと対向する第2のスリット17Bと、結合部19Aと、を有する。第1のスリット17Aは、地板12をレンズ鏡筒11内からレンズ鏡筒11外に挿通させるためのものである。第2のスリット17Bは、地板12の先21を保持させるものである。結合部19Aは、羽根駆動部14をレンズ鏡筒11に結合させるものである。
【0025】
図2に戻って、地板12は、羽根室23を構成するものであり、開口部22がレンズ104の間に配置されるように設けられている。地板12の一部は、第1のスリット17Aからレンズ鏡筒11外に突出し、羽根駆動部14に固定されている。また、地板12の先21は、第2のスリット17Bに保持されている。地板12A、12Bは、図5に示すように、光非透過性の樹脂部材から構成され、円形の開口部22(22A、22B)を備える。それぞれの開口部22を重ね両者間に羽根室23を構成する。また、地板12は、重ねると空間ができるように縁にスペーサー24が設けられている。
【0026】
図2に戻って、絞り羽根13は、羽根室23内に配置され、往復動作させられて開口部22に進退する羽根であり、光非透過性のシート状部材から構成されている。また、絞り羽根13は、図5に示すように、絞り用開口部25を備え、その根本部に孔26を備える。後述する駆動部ベース31に垂設された支点ピン38が孔26に挿通され、絞り羽根13は、支点ピン38を支点として揺動可能となっている。また、絞り羽根13の根本部の近傍には、後述する駆動ピン36が貫通する孔27が設けられる。
【0027】
羽根駆動部14は、絞り羽根13を往復作動させるものであり、駆動部ベース31と、駆動部カバー32と、コイル33と、ヨーク34と、回転子35と、駆動ピン36と、を備える。なお、コイル33、ヨーク34および回転子35は、電磁アクチュエータを構成する。駆動部ベース31は、コイル33、ヨーク34、回転子35等の部品を所定位置に配置するベースである。駆動部ベース31は、貫通孔が設けられた筒状のボビン部を備え、このボビン部にコイル33が巻回されている。ヨーク34は、二つの脚部を有し、それらの先端を磁極部としている。そして、ヨーク34の片方の脚部が、ボビン部に設けられた貫通孔に挿入され固定されている。回転子35は、円筒の形状を有し、径方向に2極に着磁された磁石から構成され、ヨーク34の脚部に挟まれた位置に配置され、駆動部ベース31に垂設された回転ピン37に軸止されている。駆動ピン36は、回転子35に設けられたアームの先に取り付けられ、上述した孔27に挿通する。また、駆動部ベース31には、上述した孔26に挿通する支点ピン38が垂設されている。また、駆動部ベース31は、レンズ鏡筒11に結合させるための結合部19Bを備える。なお、コイル33と、ヨーク34と、回転子35とを配置した駆動部ベース31の上に、地板12Aを配置させ、その上に駆動ピン36が孔27に挿通し、支点ピン38が孔26に挿通するように絞り羽根13を配置させ、その上に地板12Bを配置させ、その上に駆動部カバー32を地板12A、12Bの根本部を挟持して、凸部39Aを穴39Bにはめ込んで固定すると、地板12と、絞り羽根13と、羽根駆動部14とから構成される絞りユニット20が組み立てられる。組み立てられた絞りユニット20の地板12の先21が第1のスリット17Aから挿入され、第2のスリット17Bに保持され、結合部19Bが、図4に示す結合部19Aに結合されると、絞りユニット20は、図6に示すように、レンズ鏡筒11の側面に固定される。
【0028】
図3に戻って、外枠15は、レンズ鏡筒11を光軸方向にスライドできるように保持する部材である。外枠15は、直方体の形状を有し、背面には撮像部102側の面に光を導くための円形の穴が設けられ、正面は開放されている。また、上面は鏡筒駆動部16が配置されるように開放されている。また、外枠15とレンズ鏡筒11とには、光軸方向にスライドするように、それぞれ摺動部61、62が設けられ、摺動部61と摺動部62との間にベアリング63が配置されている。また、外枠15の外には、開放された面を覆うためのカバー64とケース65が設けられている。
【0029】
鏡筒駆動部16は、外枠15に対してレンズ鏡筒11を光軸方向に移動させるものである。鏡筒駆動部16は、マグネット51と、駆動コイル52と、ホールセンサ53と、から構成される。マグネット51は、磁場の漏洩を防止する部材である防磁部材54を介して、レンズ鏡筒11の側面に固定されている。駆動コイル52は、マグネット51を移動させる磁界を発生させるものであり、外枠15に固定されている。駆動コイル52に電流が流れると磁界が発生し、発生した磁界によりマグネット51が移動し、これに伴いレンズ鏡筒11が光軸方向に移動する。ホールセンサ53は、レンズ鏡筒11が移動した距離を検知するセンサであり、駆動コイル52の上に配置されている。防磁部材55は、磁場の漏洩を防止する部材であり、ホールセンサ53の上に配置されている。
【0030】
板バネ18A、18Bは、外枠15から羽根駆動部14のコイル33に給電するための導電部であり、蛇行形状を有している。板バネ18A、18Bは、図5に示すように、駆動部カバー32の上に配置されている。電極41A、41Bは、外枠15に固定されて、外部の駆動回路に接続される部分である。また、板バネ18Aは、電極42A、固定部45の部分で駆動部カバー32に固定され、電極41Aと固定部45との間は柔軟に撓るようになっている。また、板バネ18Bは、電極42Bの部分で駆動部カバー32に固定され、電極41Bと電極42Bとの間は柔軟に撓るようになっている。また、電極42A、42Bは、孔43A、43Bに挿通された導電性のリード部44A、44Bに電気的に接続されている。なお、リード部44A、44Bは、コイル33から延出したリード線に電気的に接続されている。
【0031】
つぎに、本発明の実施の形態に係るカメラ101の動作を、図7に示すように、カメラ101がスマートフォン105に備えられた場合について説明する。なお、スマートフォン105は、カメラ101に加えて、操作部106と、制御部107と、を備える。
【0032】
撮影モードを選択する操作を操作部106が受け付けると、カメラ101は、撮影の待機状態になり、レンズ104を透過し撮像部102に結像した被写体像のライブビュー画像を撮像し、スマートフォン105のディスプレイに表示する。
【0033】
制御部107は、撮像しているライブビュー画像を基に、鏡筒駆動部16の駆動コイル52に電流を供給しレンズ鏡筒11を光軸方向に駆動しながら焦点を合わせる。具体的には、カメラ101は、「ピントが合っている=コントラストが最も高い」という原理に基づくコントラスト検出法により、ライブビュー画像を解析し、レンズ鏡筒11を動かしながらライブビュー画像のコントラストが最も高くなるレンズ鏡筒11の位置を探して、焦点を合わせる。
【0034】
また、制御部107は、被写体像の明るさに応じて、または操作部106が受け付けた操作により、絞り羽根13を開口部22に進退させる。絞り羽根13は、初期状態では、図8に示すように、退避させられている。制御部107は、絞りを絞った状態にする場合、コイル33に順方向の電流を供給し、図9に示すように、回転子35を時計方向へ回転させる。回転子35が時計方向へ回転すると、絞り羽根13は、駆動ピン36によって反時計方向へ回転させられ、絞り用開口部25が開口部22の位置に移動する。これに対して、制御部107が絞りを絞った状態から退避させた状態にする場合、コイル33に逆方向の電流が供給され、回転子35は反時計方向へ回転させられ、駆動ピン36によって、絞り羽根13を時計方向へ回転させ、図8に示す退避した位置に戻す。
【0035】
また、制御部107は、ライブビュー画像をディスプレイに表示した状態で、焦点を合わせ、絞り羽根13を動作させる。この状態で、レリーズボタンが押される操作を操作部106が受け付けると、制御部107は、撮像素子にリセット信号を送り、蓄積されていた電荷が放電され、あらたな電荷の蓄積を開始することによって撮像を開始する。その後、所定の露光時間が経過すると、撮像素子に蓄積された電荷が、撮像情報としてスマートフォン105の記憶装置に転送される。その後、制御部107は、撮像の待機状態に戻り、ライブビュー画像を撮像し、このライブビュー画像をスマートフォン105のディスプレイに表示する。
【0036】
以上のように、本実施の形態のカメラ101によれば、地板12がレンズ104間に配置され、絞り羽根13が地板12の間の羽根室23に設けられ、レンズ鏡筒11の側面に羽根駆動部14が設けられることで、レンズ104間に進退する羽根を備えることができる。また、地板12が設けられるレンズ104間の間隔が地板12および羽根室23の厚みだけあれば、地板12をレンズ104間に配置することができるため、カメラ101の光軸方向の長さを短縮することができる。また、レンズ鏡筒11が外枠15に光軸方向にスライドできるように設けられ、カメラ101が鏡筒駆動部16を備えることで、カメラ101は、自動焦点機能を備えることができる。また、羽根駆動部14と外枠15とが板バネ18で電気的に接続されるため、レンズ鏡筒11が光軸方向にスライドするときの負荷を小さくできる。この結果、レンズ鏡筒11がスムーズにスライドし、焦点を迅速に合わせることができる。また、板バネ18は柔軟に撓るようになっているため、レンズ鏡筒11の光軸が傾くことを防止できる。この結果、レンズ104の光軸が傾くことによる画質の劣化を防ぐことができる。
【0037】
(変形例)
上述の実施の形態のカメラ101では、レンズ鏡筒11と外枠15とが、板バネ18で電気的に結合される場合について説明した。本実施の形態のカメラ101は、レンズ鏡筒11と外枠15とを電気的に接続する部材は、電気的に接続できるものであれば特に限定されず、例えば、図10(A)に示すように、線状(針金状)の金属のバネであるサスペンションワイヤ71でもよく、この場合狭い空間に電気的に接続する部材を配置できる。また、図10(B)に示すように、金属を円柱状の螺旋に巻いたコイルバネ72でもよく、この場合、ばね定数をより小さくできる。また、図10(C)に示すように、平板状の導体を絶縁体で被覆したFFC(Flexible Flat Cable)などのFPC(Flexible Printed Circuits)73でもよく、この場合、バネを用いた場合に比べて絶縁を高めることができる。
【0038】
上述の実施の形態のカメラ101では、絞り羽根13をレンズ104の間に進退させる例について説明したが、絞り羽根13を、光の透過を遮る遮光羽根(シャッタ羽根)に置き換えてもよい。この場合、制御部107は、撮影の待機状態では、シャッタ羽根を退避させ、被写体像のライブビュー画像を撮像し、ライブビュー画像をスマートフォン105のディスプレイに表示する。撮影に際してレリーズボタンが押されると、撮像素子にリセット信号を送り、蓄積されていた電荷が放電され、あらたな電荷の蓄積を開始することによって撮影を開始する。その後、所定の露光時間が経過すると、シャッタ羽根が閉じられ、撮像素子に蓄積された電荷が、撮像情報としてスマートフォン105の記憶装置に転送される。その後、カメラ101は、シャッタ羽根を退避させ、撮影の待機状態に戻る。カメラ101は、シャッタ羽根を備えることで、シャッタ羽根を閉じた状態で、撮像素子に蓄積された電荷を記憶装置に転送できるため、画像のノイズを低減できる。
【0039】
また、絞り羽根13は、例えば、NDフィルタ、IR(Infrared)透過フィルタ、IRカットフィルタなどの光学フィルタに置き換えられてもよい。NDフィルタを用いた場合では、被写体が明るすぎる場合に光量を削減することができる。IR透過フィルタを用いた場合には、赤外線の写真を撮像することができる。IRカットフィルタを用いた場合には、赤外線を除去した写真を撮像することができる。
【0040】
上述の実施の形態のカメラ101は、スマートフォンに備えられた場合について説明したが、カメラ101は、例えばスマートフォン以外の電子機器(例えば、タブレットPCなどの携帯端末、ノートPCやデスクトップPCなどのパーソナルコンピュータ、腕時計型端末などのウェアラブル端末、携帯型ゲーム機器)にも備えられてもよい。
【0041】
また、上述の実施の形態のカメラ101は、1枚の絞り羽根13が備えられる場合について説明したが、2枚以上の絞り羽根13を備えてもよく、また、絞り羽根13に加えてシャッタ羽根、光学フィルタを備えてもよい。このようにすることで、さらにカメラ101で撮像する画像の質が向上する。
【0042】
また、上述の実施の形態では、鏡筒駆動部16は、光軸方向から見て、羽根駆動部14から光軸への垂線と、鏡筒駆動部16から光軸への垂線と、の為す角が180°になるように配置されていが、羽根駆動部14から光軸への垂線と、鏡筒駆動部16から光軸への垂線と、の為す狭角は、90°以上180°未満であってもよい。このようにすることで、レンズユニット103の外形に合わせた設計が可能となる。
【0043】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば電子機器(例えば、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯端末、ノートパソコンやデスクトップのパソコンなどのパーソナルコンピュータ)のカメラに備えられるレンズユニットとして、好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0045】
11 レンズ鏡筒
12、12A、12B 地板
13 絞り羽根
14 羽根駆動部
15 外枠
16 鏡筒駆動部
17A 第1のスリット
17B 第2のスリット
18、18A、18B 板バネ
19A、19B 結合部
20 絞りユニット
21 先
22、22A、22B 開口部
23 羽根室
24 スペーサー
25 絞り用開口部
26、27 孔
31 駆動部ベース
32 駆動部カバー
33 コイル
34 ヨーク
35 回転子
36 駆動ピン
37 回転ピン
38 支点ピン
39A 凸部
39B 穴
41A、41B、42A、42B 電極
43A、43B 孔
44A、44B リード部
45 固定部
51 マグネット
52 駆動コイル
53 ホールセンサ
54、55 防磁部材
61、62 摺動部
63 ベアリング
64 カバー
65 ケース
71 サスペンションワイヤ
72 コイルバネ
73 FPC
101 カメラ
102 撮像部
103 レンズユニット
104 レンズ
105 スマートフォン
106 操作部
107 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10