(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィルタ手段は、前記乗算信号のうち前記所定の周波数成分を通過させることにより、前記第1のディジタル信号と前記第2のディジタル信号とに含まれる、前記第1のクロックと前記第2のクロックとの非同期に起因する周波数ずれ成分と位相ずれ成分とが減少された前記中間周波数信号を出力する、請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記第2のアナログ信号を、前記受信手段により受信するために、所定のタイミングにおいて送信する送信手段を更に備える、請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
外部の第1のクロックに同期した第1の周波数を有する第1のアナログ信号と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2のアナログ信号とを受信する少なくとも一つの受信手段と、
内部の第2のクロックに従い、前記第1のアナログ信号を第1のディジタル信号に変換し、前記第2のアナログ信号を第2のディジタル信号に変換する変換手段と、
前記第1のディジタル信号と前記第2のディジタル信号との乗算信号を発生する乗算手段と、
前記乗算信号のうち所定の周波数成分を通過させて中間周波数信号を出力するフィルタ手段と、
を具備する、無線RFコイル装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aの一例を示すブロック図である。
【0012】
第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aは、処理回路20と、記憶回路21と、シーケンスコントローラ30と、RFトランシーバ31と、傾斜磁場電源ユニット4と、架台5と、寝台60と、入力インターフェース回路70と、表示回路71とを有する。
【0013】
処理回路20は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aに関連する全体動作の処理・制御を行う。処理回路20は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。処理回路20は、記憶回路21に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、例えばデータ収集機能、画像再構成機能等の、磁気共鳴イメージングに係る機能を実現する。
【0014】
なお、
図1においては一の処理回路20としているが、実際は一の処理回路20として実施されてもよいし、機能ごとに複数の処理回路20を有するように実施されてもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0015】
記憶回路21は、磁気共鳴イメージングに係るプロトコル、当該プロトコルに含まれる複数のパラメータ、当該パラメータの値の組合せ(撮像条件)、被検体Sに関する検査情報(例えば、検査日時、患者番号(ID)、性別、氏名、生年月日、身長、体重、検査部位、挿入方向、体位、使用する受信コイル(無線RFコイルユニット8a)、受信コイルの装着位置、生体信号同期の有無/種類、及び造影剤使用の有無/種類等)、磁気共鳴イメージング画像、及び各種機能(データ収集機能、画像再構成機能等)を処理回路20により実現させるためのプログラム等を記憶する。ただし、あくまでも例示であり、この限りではない。
【0016】
記憶回路21は、例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)又はソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして実施される。また記憶回路21は、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとしても実施される。
【0017】
シーケンスコントローラ30は、RFトランシーバ31と傾斜磁場電源ユニット4とに接続されており、傾斜磁場を発生させるための電気信号の送信と、RFパルスを発生させるための電気信号の送受信とに係るシーケンスを制御する。すなわち、シーケンスコントローラ30は決められたタイミングで、トリガを各接続先に送信する。
【0018】
RFトランシーバ31は、不図示の増幅回路を介して、架台5におけるRF送信コイル52からRFパルスを発生させるための電気信号を、RF送信コイル52に供給する。また、RFトランシーバ31は、架台5における無線RFコイルユニット8aが受信したMR信号を、無線通信を介して、無線RFコイルユニット8aより受信する。
更に、RFトランシーバ31は、MR信号をダウンコンバート(Down Convert)する際に用いられるローカル信号を、所定のタイミングにおいて、無線RFコイルユニット8aに無線通信を介して送信する。かかる内容については、後に
図2等を用いて詳述する。
【0019】
傾斜磁場電源ユニット4は、シーケンスコントローラ30によるトリガ入力に応答して、電流を架台5における傾斜磁場コイル51に供給する。
【0020】
架台5は、静磁場磁石50と、傾斜磁場コイル51と、RF送信コイル52とを有する。
【0021】
静磁場磁石50は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。発生された磁場において、特に均一度の良い空間領域が撮像に利用される。第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aにおいて、静磁場磁石50は超伝導磁石であるとする。しかしながら超電導磁石に限らず、永久磁石や常伝導磁石を用いて実施することもできる。
【0022】
傾斜磁場コイル51は、静磁場磁石50の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場電源ユニット4における不図示の増幅回路からの電力(電気信号)の入力に応答して、所望の傾斜磁場を形成する。当該傾斜磁場により、被検体S内の原子核は、各原子核の位置毎に、異なるラーモア周波数を有することになる。すなわち、当該ラーモア周波数の違いにより、MR信号から、断面の位置情報を区別することが可能となる。
【0023】
なお、図中では簡単のために省略されているが、実際は、傾斜磁場コイル51は互いに直交するX、Y、Zの各軸に対応する三のコイルが組み合わされて形成されている。当該三のコイルは、X、Y、Zの各軸に沿って、磁場強度が変化する傾斜磁場を形成する。
【0024】
当該形成されるX、Y、Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grを形成する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0025】
RF送信コイル52は、RFトランシーバ31から供給された電気信号に応答して、RFパルスを被検体Sに送信する。RFパルスは、固有のラーモア周波数に対応する被検体Sの原子核を励起させる。
【0026】
寝台60は、被検体Sを載置するための天板61を有する。天板61は、例えば不図示の電磁モータにより駆動され、寝台の長手方向に水平移動する。なお、
図1においては、撮像室に固定された寝台60を用いて、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aが実施されている。しかしながら当該例に拘泥されず、例えば、架台5と着脱且つ移動可能な寝台60(ドッカブル寝台)を用いて、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aが実施されてもよい。かかる場合、例えば寝台60は不図示のキャスターを有する。当該キャスターを用いることで、医師等の操作者は、寝台60を移動させることができる。また、当該キャスターに例えば不図示の電磁モータにより動力を供給し、当該動力を用いた寝台60の移動又は移動の補助(パワーアシスト)を可能に、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aが実施されてもよい。
【0027】
入力インターフェース回路70は、例えば、スイッチボタン、マウス、キーボード等のユーザインターフェースを介して、医師等の操作者の命令を受け付ける。当該命令は、処理回路20に転送される。処理回路20は当該命令に応じて、所定の制御や演算を実行する。
【0028】
表示回路71は、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。表示回路71は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスとして実施される。当該表示デバイスは、処理回路20による所定の制御に応答して、例えば、GUIの画面上に、記憶回路21に記憶された磁気共鳴イメージング画像(MRI画像)を表示する。或いは、表示回路71に関連して、上記表示デバイスにおける表示画面等を印刷可能な不図示のプリンタが適宜利用されてもよい。
【0029】
なお、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aは、記録メディアの読み込み及び記録メディアへの情報の書き込みを行う不図示の読み書き部を有するように実施されてもよい。記録メディアは、リムーバブルメディア(Removable Media)であれば、どのようなメディアであってもよい。例えば、記録メディアが光学メディア(CD:Compact Disc、DVD:Digital Versatile Disc等)である場合、読み書き部は、光学ドライブとして実施される。或いは、記録メディアが光磁気メディア(MOディスク:Magneto−Optical Disc)である場合、読み書き部は、光磁気ドライブとして実施される。
【0030】
読み書き部は、記憶回路21に記憶されている磁気共鳴イメージング画像を記録メディアに移動又は複製することができる。また、読み書き部は、記録メディアに記憶されている磁気共鳴イメージング画像を記憶回路21に移動又は複製することができる。
【0031】
無線RFコイルユニット8aは、例えば天板61に載置された被検体Sの所望の位置に装着される。或いは、天板61に載置された被検体Sの近傍に設置される。無線RFコイルユニット8aは、被検体Sが有する原子核が励起状態から元に戻る際に発生するMR信号を受信し、当該MR信号を、無線通信を介してRFトランシーバ31に送信する。無線RFコイルユニット8aの詳細については、
図2を用いて後述する。
【0032】
その後、処理回路20は、RFトランシーバ31によるMR信号の受信を契機として、記憶回路21に記憶されたデータ収集機能に係る所定のプログラムを読み出すことにより、MR信号を記憶回路21に記憶させる(データ収集機能)。更に処理回路20は、画像再構成機能に係る所定のプログラムを読み出すことにより、記憶回路21に記憶されているMR信号に対してフーリエ逆変換の演算を行い、当該MR信号から磁気共鳴イメージング画像を生成する(画像再構成機能)。
【0033】
なお、処理回路20による上述の実行に代えて、データ収集機能を実行するデータ収集回路、及び/又は画像再構成機能を実行する画像再構成回路を有するように実施されてもよい。また、データ収集機能と画像再構成機能とを実行する専用の回路を有するように実施されてもよい。
【0034】
図2は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aにおけるRFトランシーバ31及び無線RFコイルユニット8aの構成を示すブロック図である。
【0035】
無線RFコイルユニット8aは、第1の受信コイル801a(第1の受信手段)と、第1のマッチング回路802aと、第1のプリアンプ803aと、第1のバンドパスフィルタ804(Band−Pass Filter)と、第1のアナログ−ディジタルコンバータ805(Analog−Digital Converter/ADC)と、第2の受信コイル811(第2の受信手段)と、第2のマッチング回路812と、第2のプリアンプ813と、第2のバンドパスフィルタ814と、第2のアナログ−ディジタルコンバータ815と、ミキサ820(Mixer)と、ローパスフィルタ821(Low−Pass Filter)と、トランスミッタ822(Transmitter)を有する。
【0036】
第1の受信コイル801aは、被検体Sにおいて発生したMR信号を受信する。ここで、当該MR信号は、システムクロック(
図2においては、SYSTEM CLKと表記)換算で周波数f
M(第1の周波数)を有するものとする。なお、クロックとは、周期的に電圧が高い状態と低い状態とをとる二値信号であり、例えば、複数のディジタル回路の同期を取るために使用される。システムクロック(第1のクロック)は、RFトランシーバ31と、RFトランシーバ31に有線接続される第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aの各構成部とにおけるディジタル演算に際して、使用されるクロックである。システムクロックは、不図示のクロック発生回路(第1のクロック発生手段)より送信される。
【0037】
第1のマッチング回路802aは、出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合をとる回路である。
【0038】
第1のプリアンプ803aは、被検体Sの体内情報を有するMR信号を増幅する。
【0039】
第1のバンドパスフィルタ804は、被検体Sの体内情報を有するMR信号のうち、必要な周波数成分のみを通過させ、かかる成分以外の周波数成分を減衰させる。
【0040】
第1のアナログ−ディジタルコンバータ805は、システムクロックとは非同期のローカルクロック(
図2においては、LOCAL CLKと表記)を用いて、被検体Sの体内情報を有するMR信号をディジタル信号に変換する。ローカルクロック(第2のクロック)は、無線RFコイルユニット8aにおけるディジタル演算に際して、使用されるクロックである。ローカルクロックは、不図示のクロック発生回路(第2のクロック発生手段)より送信される。
【0041】
換言すると、連続信号であるMR信号が、所定のサンプリング周波数にてディジタル化された離散信号に変換される。ディジタル化されたMR信号AD
Mは、
AD
M=cos{2π(f
M+Δf)t+(Φ
M+ΔΦ)}
であるとする。ただし、tは時刻、Φ
MはMR信号の初期位相である。ここで、第1のアナログ−ディジタルコンバータ805は、システムクロックとは非同期のローカルクロックを用いているため、システムクロック換算で周波数f
Mに対応するディジタル化されたMR信号AD
Mは、周波数ずれ成分Δfと位相ずれ成分ΔΦとを有することとなる。
【0042】
第2の受信コイル811は、RFトランシーバ31におけるトランスミッタ310より送信されるローカル信号を受信する。当該ローカル信号は、システムクロック換算で周波数f
L(第2の周波数)を有するものとする。
【0043】
第2のマッチング回路812は、出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合をとる回路である。
【0044】
第2のプリアンプ813は、ローカル信号を増幅する。
【0045】
第2のバンドパスフィルタ814は、ローカル信号のうち、必要な周波数成分のみを通過させ、かかる成分以外の周波数成分を減衰させる。
【0046】
第2のアナログ−ディジタルコンバータ815は、ローカルクロックを用いて、ローカル信号をディジタル信号に変換する。すなわち、連続信号であるローカル信号を、所定のサンプリング周波数にてディジタル化された離散信号に変換する。ディジタル化されたローカル信号AD
Lは、
AD
L=cos{2π(f
L+Δf)t+(Φ
L+ΔΦ)}
であるとする。ただし、tは時刻、Φ
Lはローカル信号の初期位相である。また、第2のアナログ−ディジタルコンバータ815は、システムクロックとは非同期のローカルクロックを用いているため、システムクロック換算で周波数f
Lに対応するディジタル化されたローカル信号AD
Lは、周波数ずれ成分Δfと位相ずれ成分ΔΦとを有する。
【0047】
ミキサ820は、二の入力に対して乗算演算を実行し、演算結果を出力する。すなわち、ミキサ820が、ディジタル化されたMR信号とディジタル化されたローカル信号とを乗算することにより、
AD
M×AD
L=cos{2π(f
M+Δf)t+(Φ
M+ΔΦ)}×cos{2π(f
L+Δf)t+(Φ
L+ΔΦ)}=(1/2)[cos{2π(f
M+Δf+f
L+Δf)t+(Φ
M+ΔΦ+Φ
L+ΔΦ)}+cos{2π(f
M+Δf−f
L−Δf)t+(Φ
M+ΔΦ−Φ
L−ΔΦ)}]=(1/2)[cos{2π(f
M+f
L+2Δf)t+(Φ
M+Φ
L+2ΔΦ)}+cos{2π(f
M−f
L)t+(Φ
M−Φ
L)}]
が得られる。
【0048】
ローパスフィルタ821は、上式における第1項の成分(高周波成分:周波数(f
M+f
L))を減衰させるディジタルフィルタである。換言すると、ローパスフィルタ821は、上式における第2項の成分(低周波成分:周波数|f
M−f
L|)のみを通過させることにより、中間周波数(Intermediate Frequency)信号IFを出力する。すなわち、
IF=(1/2)cos{2π(f
M−f
L)t+(Φ
M−Φ
L)}]
が得られる。なお、ローパスフィルタ821は、有限インパルス応答フィルタ(Finate Inpulse Response Filter)、無限インパルス応答フィルタ(Infinate Inpulse Response Filter)等、任意のディジタルフィルタを用いてよい。
【0049】
上式に示されるように、MR信号AD
Mとローカル信号AD
Lとに含まれていた周波数ずれ成分Δfと位相ずれ成分ΔΦとは、かかる演算によって相殺される。すなわち、中間周波数信号IFは、周波数ずれ成分も位相ずれ成分も実質的に有さない。
【0050】
トランスミッタ822は、中間周波数信号IFを、無線通信可能な周波数に変換して送信する。かかる無線通信に際しては、取得されるデータ容量に見合うだけの伝送容量を有する所定の通信手段を用いて、実施されることが好適である。また、中間周波数信号IFは、無線送信する前に、ベースバンド信号にダウンコンバートしておいてもよい。
【0051】
RFトランシーバ31は、トランスミッタ310(送信手段)と、レシーバ311と、を有する。
【0052】
トランスミッタ310は、ローカル信号に用いられるRFパルスを送信する。なお、トランスミッタ310に代えて、RF送信コイル52からローカル信号に用いられるRFパルスを送信するように実施されてもよい。
【0053】
レシーバ311は、無線RFコイルユニット8aにおけるトランスミッタ822より送信された信号を受信する。受信された信号は、k空間データとして収集され、収集されたk空間データに基づいて、被検体Sの体内を画像化した磁気共鳴イメージング画像が生成される。
【0054】
なお、
図2においては一の無線RFコイルユニット8a及び一のRFトランシーバ31を用いて実施されているが、複数の無線RFコイルユニット8a及び複数のRFトランシーバ31を用いて実施されてもよい。更には、複数の無線RFコイルユニット8a及び一のRFトランシーバ31を用いて実施されてもよい。
【0055】
[動作例]
図3は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aにおける無線RFコイルユニット8aの動作例を示すフローチャートである。以下、
図3における各ステップに沿って、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aにおける無線RFコイルユニット8aの動作を説明する。
【0056】
ステップS1−1〜S1−3はMR信号に係る処理の流れである。
【0057】
(ステップS1−1)
被検体SにRFパルスが送信されることにより、固有のラーモア周波数に対応する被検体Sの原子核が励起される。また、被検体Sが有する原子核が励起状態から元に戻る際に、MR信号が発生する。第1の受信コイル801aは、当該MR信号を受信する。当該MR信号は、システムクロック換算で64MHzを有するものとする。しかしながらあくまでも例示に過ぎず、この限りではない。
【0058】
(ステップS1−2)
第1のマッチング回路802a、第1のプリアンプ803a、第1のバンドパスフィルタ804は、被検体Sの体内情報を有するMR信号を調整する。具体的には、第1のマッチング回路802aは、出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合をとる。第1のプリアンプ803aは、MR信号を増幅する。第1のバンドパスフィルタ804は、MR信号のうち、必要な周波数成分のみを通過させ、かかる成分以外の周波数成分を減衰させる。
【0059】
(ステップS1−3)
第1のアナログ−ディジタルコンバータ805は、ローカルクロックを用いて、MR信号をアナログ信号からディジタル信号に変換し、ディジタル化されたMR信号を出力する。ここで、第1のアナログ−ディジタルコンバータ805は、ローカルクロックを用いてサンプリングを実行する。サンプリングが実行された時点で第1のアナログ−ディジタルコンバータ805が出力するディジタル化されたMR信号は、周波数ずれを有する。例えば、
ディジタル化されたMR信号の周波数は、第1の受信コイル801aが受信したMR信号の周波数から0.00001MHzずれて、64.00001MHzであるとする。
【0060】
ステップS1−4〜1−6はローカル信号に係る処理の流れである。
【0061】
(ステップS1−4)
第2の受信コイル811は、RFトランシーバ31におけるトランスミッタ310より送信されるローカル信号を受信する。当該ローカル信号は、システムクロック換算で62MHzを有するものとする。しかしながらあくまでも例示に過ぎず、この限りではない。なお、被検体Sにおいて発生したMR信号と、当該ローカル信号とが略同時に受信されるように、RFトランシーバ31より送信されローカル信号の送信タイミングを、一シーケンスとして予め決定しておくことが好適である。
【0062】
(ステップS1−5)
第2のマッチング回路812、第2のプリアンプ813、及び第2のバンドパスフィルタ814は、ダウンコンバートに用いられるローカル信号を調整する。具体的には、第2のマッチング回路812は、出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合をとる。第2のプリアンプ813は、ローカル信号を増幅する。第2のバンドパスフィルタ814は、ローカル信号のうち、必要な周波数成分のみを通過させ、かかる成分以外の周波数成分を減衰させる。
【0063】
(ステップS1−6)
第2のアナログ−ディジタルコンバータ815は、ローカルクロックを用いて、ローカル信号をアナログ信号からディジタル信号に変換し、ディジタル化されたローカル信号を出力する。ここで、第2のアナログ−ディジタルコンバータ815は、ローカルクロックを用いてサンプリングを実行する。サンプリングが実行された時点で第2のアナログ−ディジタルコンバータ815が出力するディジタル化されたローカル信号は、周波数ずれを有する。例えば、ディジタル化されたローカル信号の周波数は、第2の受信コイル811が受信したMR信号の周波数から0.00001MHzずれて、62.00001MHzであるとする。
【0064】
(ステップS1−7)
ミキサ820は、ディジタル化されたMR信号とディジタル化されたローカル信号とを、乗算し、乗算信号を出力する。
【0065】
(ステップS1−8)
ローパスフィルタ821は、乗算信号から当該乗算信号の低周波成分のみを通過させることにより、中間周波数信号を出力する。当該中間周波数信号の周波数は、ローカルクロック換算で2MHzであり、周波数ずれや位相ずれを有しない。
【0066】
(ステップS1−9)
トランスミッタ822は、中間周波数信号を無線送信可能な周波数に変換して送信する。レシーバ311はトランスミッタ822で送信された無線信号を受信する。
【0067】
(変形例)
第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aにおいて、無線RFコイルユニット8aは、ミキサ820とローパスフィルタ821とを有する。かかる構成要素により、中間周波数信号が出力される。また、当該中間周波数信号は、不図示ではあるが、RFトランシーバ31へ送信(無線送信)された後、再びダウンコンバートされ、ベースバンド信号が出力される。しかしながら当該例に拘泥されず、変形例として、無線送信後におけるダウンコンバートを行わずに、ミキサ820と変形例に係るローパスフィルタ等とを用いて、直接ベースバンド信号を出力するように実施されてもよい。
【0068】
(効果)
第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aによれば、以下の効果が奏される。
【0069】
第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aは、無線RFコイルユニット8aを具備する。無線RFコイルユニット8aは、システムクロック換算で周波数f
Mとf
Mとは異なる周波数f
Lとを有するアナログ信号を受信する少なくとも一つの受信手段(第1の受信コイル801a及び第2の受信コイル811)と、ローカルクロックに基づいて、当該アナログ信号を、周波数f
Mに対応する第1のディジタル信号(MR信号AD
M)と、周波数f
Lに対応する第2のディジタル信号(ローカル信号AD
L)と、に変換する変換手段(第1のアナログ−ディジタルコンバータ805及び第2のアナログ−ディジタルコンバータ815)と、ディジタル化されたMR信号AD
Mとディジタル化されたローカル信号AD
Lとを乗算することにより、周波数f
Mと周波数f
Lとの差分である周波数|f
M−f
L|を有する第3のディジタル信号(中間周波数信号IF)を生成する乗算手段(ミキサ820)と、を有する。
【0070】
かかる構成により、中間周波数信号は、システムクロックとローカルクロックとが非同期であること(非同期性)に起因する周波数ずれ成分Δfと位相ずれ成分ΔΦとを、実質的に有さない。すなわち、かかる構成により、システムクロックに対して非同期であるローカルクロックでアナログ−ディジタル変換される信号の非同期性を低減することができる。
【0071】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bにおけるRFトランシーバ31と無線RFコイルユニット8bとの構成を示すブロック図である。以下の説明において、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aと略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0072】
第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bは、RFトランシーバ31及び無線RFコイルユニット8bを有する。
【0073】
無線RFコイルユニット8bは、受信コイル801bと、マッチング回路802bと、プリアンプ803bと、第1のバンドパスフィルタ804と、第1のアナログ−ディジタルコンバータ805と、第2のバンドパスフィルタ814と、第2のアナログ−ディジタルコンバータ815と、ミキサ820と、ローパスフィルタ821と、トランスミッタ822を有する。
【0074】
受信コイル801bは、被検体Sにおいて発生したMR信号と、RFトランシーバ31におけるトランスミッタ310より送信されローカル信号に用いられるRFパルスとを受信する。ここで、当該MR信号は、システムクロック(
図4においては、SYSTEM CLKと表記)換算で周波数f
M(第1の周波数)を有するものとする。また、当該ローカル信号は、システムクロック換算で周波数f
L(第2の周波数)を有するものとする。
【0075】
マッチング回路802bは、出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合をとる回路である。
【0076】
プリアンプ803bは、被検体Sの体内情報を有するMR信号とダウンコンバートに用いられるローカル信号とが混在する受信信号を増幅する。増幅された受信信号は、第1のバンドパスフィルタ804と、第2のバンドパスフィルタ814とに分配される。第1のバンドパスフィルタ804は、MR信号に対応する周波数成分のみを通過させる特性を有し、第2のバンドパスフィルタ814は、ローカル信号に対応する周波数成分のみを通過させる特性を有する。したがって、第1のバンドパスフィルタ804が出力する信号は、受信コイル801bが受信した受信信号のうち、MR信号に対応する信号である。また、第2のバンドパスフィルタ814が出力する信号は、受信コイル801bが受信した受信信号のうち、ローカル信号に対応する信号である。
【0077】
[動作例]
図5は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bにおける無線RFコイルユニット8bの動作例を示すフローチャートである。以下、
図5における各ステップに沿って、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bにおける無線RFコイルユニット8bの動作を説明する。
【0078】
(ステップS2−1)
被検体SにRFパルスが送信されることにより、固有のラーモア周波数に対応する被検体Sの原子核が励起される。また、被検体Sが有する原子核が励起状態から元に戻る際に、MR信号が発生する。受信コイル801bは、当該MR信号を受信する。当該MR信号は、システムクロック換算で64MHzを有するものとする。しかしながらあくまでも例示に過ぎず、この限りではない。
また、受信コイル801bは、RFトランシーバ31におけるトランスミッタ310より送信されるローカル信号を受信する。当該ローカル信号は、システムクロック換算で62MHzを有するものとする。しかしながらあくまでも例示に過ぎず、この限りではない。なお、被検体Sにおいて発生したMR信号と、当該ローカル信号とが略同時に受信されるように、RFトランシーバ31より送信されローカル信号の送信タイミングを、一シーケンスとして予め決定しておくことが好適である。
【0079】
(ステップS2−2)
マッチング回路802b、プリアンプ803b、及び第1のバンドパスフィルタ804は、被検体Sの体内情報を有するMR信号及びダウンコンバートに用いられるローカル信号を調整する。具体的には、マッチング回路802bは、出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合をとる。プリアンプ803bは、MR信号及びローカル信号を増幅する。第1のバンドパスフィルタ804は、MR信号のうち、必要な周波数成分のみを通過させ、かかる成分以外の周波数成分を減衰させる。第2のバンドパスフィルタ814は、ローカル信号のうち、必要な周波数成分のみを通過させ、かかる成分以外の周波数成分を減衰させる。
【0080】
(ステップS2−3)
第1のアナログ−ディジタルコンバータ805は、ローカルクロックを用いて、MR信号をアナログ信号からディジタル信号に変換し、ディジタル化されたMR信号を出力する。ここで、第1のアナログ−ディジタルコンバータ805は、ローカルクロックを用いてサンプリングを実行する。サンプリングが実行された時点で第1のアナログ−ディジタルコンバータ805が出力するディジタル化されたMR信号は、周波数ずれを有する。例えば、ディジタル化されたMR信号の周波数は、受信コイル801bが受信したMR信号の周波数から0.00001MHzずれて、64.00001MHzであるとする。
また、第2のアナログ−ディジタルコンバータ815は、ローカルクロックを用いて、ローカル信号をアナログ信号からディジタル信号に変換し、ディジタル化されたローカル信号を出力する。ここで、第2のアナログ−ディジタルコンバータ815は、ローカルクロックを用いてサンプリングを実行する。サンプリングが実行された時点で第1のアナログ−ディジタルコンバータ805が出力するディジタル化されたローカル信号は、周波数ずれを有する。例えば、ディジタル化されたローカル信号の周波数は、受信コイル801bが受信したローカル信号の周波数から0.00001MHzずれて、62.00001MHzであるとする。
【0081】
(ステップS2−4)
ミキサ820は、ディジタル化されたMR信号とディジタル化されたローカル信号とを、乗算し、乗算信号を出力する。
【0082】
(ステップS2−5)
ローパスフィルタ821は、乗算信号から当該乗算信号の低周波成分のみを通過させることにより、中間周波数信号を出力する。当該中間周波数信号は、ローカルクロック換算で2MHzであり、周波数ずれや位相ずれを有しない。
【0083】
(ステップS2−6)
トランスミッタ822は、中間周波数信号を無線送信可能な周波数に変換して送信する。レシーバ311はトランスミッタ822で送信された無線信号を受信する。
【0084】
(変形例)
第2に実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bにおいて、無線RFコイルユニット8bは、ミキサ820とローパスフィルタ821とを有する。かかる構成要素により、中間周波数信号が出力される。また、当該中間周波数信号は、不図示ではあるが、RFトランシーバ31へ送信(無線送信)された後、再びダウンコンバートされ、ベースバンド信号が出力される。
【0085】
しかしながら当該例に拘泥されず、変形例として、無線送信後におけるダウンコンバートを行わずに、ミキサ820と変形例に係るローパスフィルタ等とを用いて、直接ベースバンド信号を出力するように実施されてもよい。
【0086】
(効果)
第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bによれば、以下の効果が奏される。
【0087】
第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bは、無線RFコイルユニット8bを具備する。無線RFコイルユニット8bは、システムクロック換算で周波数f
Mとf
Mとは異なる周波数f
Lとを有するアナログ信号を受信する少なくとも一つの受信手段(受信コイル801b)と、ローカルクロックに基づいて、当該アナログ信号を、周波数f
Mに対応する第1のディジタル信号(MR信号AD
M)と、周波数f
Lに対応する第2のディジタル信号(ローカル信号AD
L)と、に変換する変換手段(第1のアナログ−ディジタルコンバータ805及び第2のアナログ−ディジタルコンバータ815)と、ディジタル化されたMR信号AD
Mとディジタル化されたローカル信号AD
Lとを乗算することにより、周波数f
Mと周波数f
Lとの差分である周波数|f
M−f
L|を有する第3のディジタル信号(中間周波数信号IF)を生成する乗算手段(ミキサ820)と、を有する。
【0088】
かかる構成により、中間周波数信号は、システムクロックとローカルクロックとが非同期であることに起因する周波数ずれ成分Δfと位相ずれ成分ΔΦとを、実質的に有さない。すなわち、かかる構成により、システムクロックに対して非同期であるローカルクロックでアナログ−ディジタル変換される信号の非同期性を低減することができる。
【0089】
また、かかる構成により、必要な部品を最小限に抑え、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aにおける無線RFコイルユニット8aに比して、安価かつ小型な無線RFコイルユニット8bを実施することができる。
【0090】
第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aと第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bとおける構成部は、主として、回路(circuit)、回路類(circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される。
【0091】
またプロセッサとは、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CLPD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出し、実行することで、機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成されても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一のプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、複数の構成要素を一のプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0092】
上述の通り、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1aは、無線RFコイルユニット8aを有する。また、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1bは、無線RFコイルユニット8bを有する。しかしながら、無線RFコイルユニット8aが独立の無線RFコイル装置として実施されてもよい。同様に、無線RFコイルユニット8bが独立の無線RFコイル装置として実施されてもよい。かかる場合であっても、当該無線RFコイル装置は、周波数ずれ成分と位相ずれ成分とを相殺するように実施されるものである。
【0093】
(効果)
以上の実施形態に係る構成によれば、以下の効果が奏される。
【0094】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、無線RFコイルユニットを具備する。前記無線RFコイルユニットは、第1のクロック換算で第1の周波数と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数とを有するアナログ信号を受信する少なくとも一つの受信手段と、第2のクロックに基づいて、前記アナログ信号を、前記第1の周波数に対応する第1のディジタル信号と、前記第2の周波数に対応する第2のディジタル信号と、に変換する変換手段と、前記第1のディジタル信号と前記第2のディジタル信号とを乗算することにより、前記第1の周波数と前記第2の周波数との差分である第3の周波数を有する第3のディジタル信号を生成する乗算手段と、を有する。
【0095】
かかる構成により、中間周波数信号は、システムクロックとローカルクロックとが非同期であることに起因する周波数ずれ成分と位相ずれ成分とを、実質的に有さない。すなわち、システムクロックに対して非同期であるローカルクロックでアナログ−ディジタル変換される信号の非同期性を低減することができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。