特許第6605270号(P6605270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605270
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】連結構造および止水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-187311(P2015-187311)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-61793(P2017-61793A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−227810(JP,A)
【文献】 特開2011−256642(JP,A)
【文献】 特開2012−246668(JP,A)
【文献】 特開平11−166225(JP,A)
【文献】 特開2001−329759(JP,A)
【文献】 特開2014−114602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E02B 7/20
E04H 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に積層されて鉛直方向上方から下方への押圧荷重を受ける複数の部材と、
前記複数の部材にまたがって鉛直方向に延在する第1平面部と、前記第1平面部から曲げ部を介して延設された第2平面部とを有する連結具と
を備え、
前記第1平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段より下段の前記部材に締結され、
前記第2平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段の前記部材の上面に締結される、
ことを特徴とする連結構造
【請求項2】
前記部材は、厚み方向が鉛直方向に直交し、
前記第1平面部と前記部材とは、前記第1平面部と前記部材とを前記厚み方向に貫通した締結部材によって締結される、
請求項1に記載の連結構造
【請求項3】
構造物の屋内側と屋外側とを連通する開口部の屋外側の床部に配置され、かつ、幅方向における両端部が、前記開口部を形成する幅方向において離間して配置される一対の枠部材と屋内外方向においてそれぞれ対向し、複数の部材を鉛直方向に積層して構成される止水板と、
前記止水板の屋内側の側面のうち、少なくとも前記一対の枠部材と屋内外方向において対向する部分にそれぞれ設けられ、前記止水板が前記開口部の屋外側に配置された状態で、前記枠部材と前記止水板との間を止水する一対の第1止水部材と、
前記止水板の底面に設けられ、幅方向における両端部が前記一対の第1止水部材とそれぞれ連結され、前記止水板が前記開口部の屋外側に配置された状態で、前記床部と前記止水板との間を止水する第2止水部材と、
前記一対の枠部材に着脱自在にそれぞれ固定され、前記止水板を前記一対の枠部材に固定する一対の固定機構と、
前記一対の枠部材にそれぞれ対応して設けられ、前記止水板が前記一対の固定機構によって前記一対の枠部材に固定された状態で、前記止水板を鉛直方向の下方に押圧する一対の押圧機構と、
前記部材にまたがって鉛直方向に延在する第1平面部と、前記第1平面部から曲げ部を介して延設された第2平面部とを有する連結具と、
を備え、
前記第1平面部は、前記押圧機構が配設され、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段より下段の前記部材に締結され、
前記第2平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段の前記部材の上面に締結されている、
ことを特徴とする止水装置。
【請求項4】
幅方向における両端部が一対の枠部材とそれぞれ対向し、複数の部材を鉛直方向に積層して構成される止水板と、
前記一対の枠部材に着脱自在にそれぞれ固定され、前記止水板を前記一対の枠部材に固定する一対の固定機構と、
前記一対の枠部材にそれぞれ対応して設けられ、前記止水板が前記一対の固定機構によって前記一対の枠部材に固定された状態で、前記止水板を鉛直方向の下方に押圧する一対の押圧機構と、
前記部材にまたがって鉛直方向に延在する第1平面部と、前記第1平面部から曲げ部を介して延設された第2平面部とを有する連結具と、
を備え、
前記第1平面部は、前記押圧機構が配設され、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段より下段の前記部材に締結され、
前記第2平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段の前記部材の上面に締結されている、
ことを特徴とする止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結構造および止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、豪雨、津波、河川の氾濫などの水害時に、外部である屋外からの氾濫水などの水は、構造物の開口部から内部である構造物内(屋内)に浸入するため、構造物の開口部に止水装置が設けられている。例えば、軽量化して取扱いを便利にした止水板が知られている(特許文献1)。この技術は、複数の部材(中空板体)を、長さを揃え、かつ、その上下の面板部同士をつき合わせにして平面状に並べるとともに、この両者のつき合わせの間にシール材を介挿してこの状態でネジの締め付けで部材同士を一体に連結結合して止水板を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−048676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、止水板は、開口部においてその配置位置の床面に対して鉛直方向上方から下方に押圧されて固定されている。このため、止水板は、鉛直方向上方から下方への押圧荷重を一体に連結された複数の部材で適切に受ける必要がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、鉛直方向上方から下方への押圧荷重を適切に受けることができる連結構造および止水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る連結構造は、鉛直方向に積層されて鉛直方向上方から下方への押圧荷重を受ける複数の部材と、前記複数の部材にまたがって鉛直方向に延在する第1平面部と、前記第1平面部から曲げ部を介して延設された第2平面部とを有する連結具とを備え、前記第1平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段より下段の前記部材に締結され、前記第2平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段の前記部材の上面に締結される、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記連結構造において、前記部材は、厚み方向が鉛直方向に直交し、前記第1平面部と前記部材とは、前記第1平面部と前記部材とを前記厚み方向に貫通した締結部材によって締結される、ものとすることができる。
【0008】
また、本発明に係る止水装置は、構造物の屋内側と屋外側とを連通する開口部の屋外側の床部に配置され、かつ、幅方向における両端部が、前記開口部を形成する幅方向において離間して配置される一対の枠部材と屋内外方向においてそれぞれ対向し、複数の部材を鉛直方向に積層して構成される止水板と、前記止水板の屋内側の側面のうち、少なくとも前記一対の枠部材と屋内外方向において対向する部分にそれぞれ設けられ、前記止水板が前記開口部の屋外側に配置された状態で、前記枠部材と前記止水板との間を止水する一対の第1止水部材と、前記止水板の底面に設けられ、幅方向における両端部が前記一対の第1止水部材とそれぞれ連結され、前記止水板が前記開口部の屋外側に配置された状態で、前記床部と前記止水板との間を止水する第2止水部材と、前記一対の枠部材に着脱自在にそれぞれ固定され、前記止水板を前記一対の枠部材に固定する一対の固定機構と、前記一対の枠部材にそれぞれ対応して設けられ、前記止水板が前記一対の固定機構によって前記一対の枠部材に固定された状態で、前記止水板を鉛直方向の下方に押圧する一対の押圧機構と、前記部材にまたがって鉛直方向に延在する第1平面部と、前記第1平面部から曲げ部を介して延設された第2平面部とを有する連結具と、を備え、前記第1平面部は、前記押圧機構が配設され、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段より下段の前記部材に締結され、前記第2平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段の前記部材の上面に締結されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係る止水装置は、幅方向における両端部が一対の枠部材とそれぞれ対向し、複数の部材を鉛直方向に積層して構成される止水板と、前記一対の枠部材に着脱自在にそれぞれ固定され、前記止水板を前記一対の枠部材に固定する一対の固定機構と、前記一対の枠部材にそれぞれ対応して設けられ、前記止水板が前記一対の固定機構によって前記一対の枠部材に固定された状態で、前記止水板を鉛直方向の下方に押圧する一対の押圧機構と、前記部材にまたがって鉛直方向に延在する第1平面部と、前記第1平面部から曲げ部を介して延設された第2平面部とを有する連結具と、を備え、前記第1平面部は、前記押圧機構が配設され、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段より下段の前記部材に締結され、前記第2平面部は、鉛直方向に積層された前記部材のうち鉛直方向の最上段の前記部材の上面に締結されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る連結構造および止水装置は、鉛直方向上方から下方への押圧荷重を適切に受けることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る止水装置の概略構成を表す正面図である。
図2図2は、図1に示された止水装置を表す部分拡大正面図である。
図3図3は、図1に示された止水装置を表す断面図である。
図4図4は、図1に示された止水装置の止水板を表す部分拡大平面図である。
図5図5は、図1に示された止水装置を表す側面図であり、止水板の立位状態を示す。
図6図6は、図1に示された止水装置を表す側面図であり、止水板の傾斜状態を示す。
図7図7は、図1に示された止水装置の押圧機構と固定機構とを表す部分拡大斜視図である。
図8図8は、図1に示された止水装置の押圧機構と固定機構と保持機構とを表す部分拡大斜視図である。
図9図9は、図1に示された止水装置を表す分解斜視図である。
図10図10は、図9に示された止水装置を組み付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
図1は、実施形態1に係る止水装置の概略構成を表す正面図である。図1に示す実施形態の止水装置1は、開口部Oから構造物Sの内部に水が浸入することを防止するものである。開口部Oは、構造物Sの壁部Wなどに形成され、構造物Sの一方の空間側(例えば、屋外側)と他方の空間側(例えば、屋内側)とを連通するように形成される。なお、防止とは、阻止や抑制などの意味を含むものとする。
【0013】
このような構造物Sの開口部Oには、開閉体としてシャッターや開閉扉が配置されていることが多い。例えば、地下駐車場の入口や、店舗の入口等にもシャッターや開閉扉が配置されていることが多い。シャッターは、隙間が多い構造であるため、ゲリラ豪雨や洪水時のように想定以上の降水量となるとシャッターの隙間を介して浸水して施設が被害に遭う可能性がある。また、開閉扉は、扉間および各扉と開口部との間に隙間があるため、同様に施設が被害に遭う可能性がある。
【0014】
図1に示す実施形態の止水装置1は、ビル,家屋,倉庫等の構造物を含む構造物Sに形成された開口部Oを開放あるいは閉塞する開閉体(開閉扉)2を通して構造物Sの内部に水が浸入することを防止するものである。
【0015】
なお、以下の説明では、水平方向に沿った方向であって後述する枠体3の一対の縦枠部材(方立)31が向かい合う方向を「幅方向」という。また、上流側(屋外側)から下流側(屋内側)に向かう方向を「屋内外方向」という。また、枠体3の一対の縦枠部材31が延在する方向を「上下方向」という。ここで、屋内側とは、水の浸入を防止、すなわち、水の浸入を阻止や抑制したい側であり、屋外側とは、浸入可能性のある水が流れてくる側のことである。なお、屋外側や屋内側とは、水が浸入する可能性がある場合の上流側や下流側を意味する便宜上の文言である。本発明は、例えば廊下等の通路のような家屋や部屋等の概念が必ずしも明確にならない場所に配置された扉に対しても適用できる。ここで、「幅方向」とは屋内外方向と直交し、一対の枠部材が離間して配置される方向であり、「上下方向」とは屋内外方向および幅方向と直交する方向である。
【0016】
開閉扉2は、図1に示すように、枠体3の屋内側に配置され、幅方向にスライド可能に支持された両開き式の一対の扉21を有する。開閉扉2は、扉21が開口部Oを閉塞させる閉塞位置と、開口部Oを開放させる開放位置とに亘って枠体3に対して幅方向にスライドすることで、開口部Oを開放あるいは閉塞する。具体的に、開閉扉2は、一対の扉21が互いに近付いて開口部Oを閉塞し、一対の扉21が互いに離間して開口部Oを開放する。このような扉21の移動は、手動でなされても、モータ等の駆動装置によって自動でなされてもよい。また、開閉扉2が後述する止水板4と接触しないため、開閉扉2は、止水板4を開口部Oに配置した状態で開閉可能である。
【0017】
扉21は、図示しないガイドレールによって案内される。ガイドレールは、開口部Oの上下両端に配置され、壁部Wの表面と平行である。扉21の上下方向両端部は、それぞれガイドレールの溝部に挿入されている。溝部は、開閉方向、すなわち、幅方向に延在しており、扉21を幅方向にスライド自在に案内する。扉21の幅方向の両端には、扉21よりも厚い扉側縦方立21aが配置されている。また、扉21の下端部には、扉21よりも厚い扉側幅木21bが配置されている。扉側縦方立21aの厚みは、扉側幅木21bの厚みと等しい。なお、本発明でいう床面Fとは、説明上分かりやすくするための便宜上の表現であって、通常の床面Fのみならず、コンクリート面や地面等の開口部Oの下方に位置する面を総称する。
【0018】
枠体3は、開口部Oの周囲の壁部Wよりも厚く、防錆性を有する金属材で構成されている。枠体3は、開口部Oの周囲を囲むように構造物Sに配置されている。枠体3は、左右一対の縦枠部材(方立)31と、上枠部材32と、下枠部材(幅木)33とを含んで構成される。一対の縦枠部材31と上枠部材32と下枠部材33とは、それぞれ板状の金属材により中空状の断面形状に形成されている。
【0019】
縦枠部材31は、開口部Oの幅方向の両端部に一対が配置され、上下方向に延在している。一対の縦枠部材31は、開閉扉2よりも屋外側に配置されている。一対の縦枠部材31は、幅方向において開口部Oの空間部分を挟んで対向する対向面31aを有している。上枠部材32は、開口部Oの上部に配置されている。下枠部材33は、開口部Oと隣接する壁部Wの下部において床面Fの上方に配置されている。上枠部材32および下枠部材33は、幅方向に延在している。一対の縦枠部材31の上端部と上枠部材32の両端部とは、開口部Oの内面側にて連結されている。また、一対の縦枠部材31の下端部と下枠部材33の一端部とは、連結されている。このように構成された枠体3は、全体として開口部Oに対応した形状である。
【0020】
止水板4は、浸水時、屋外側からの水圧によって屋内側、すなわち、縦枠部材31に押圧されて押し付けられる。止水板4は、開口部Oの下部の領域を閉塞することが可能な幅および高さを有する直方体状である。止水板4は、人が跨ぐことで開閉扉2を介して構造物Sの出入りが可能である。止水板4は、開口部Oの幅、すなわち、対向する縦枠部材31間の幅よりも大きな幅で、人が跨ぐことができる高さ、具体的には例えば、数10cmに設定されている。止水板4は、開口部Oの床面Fから数10cmの高さを閉塞し、浸水時に屋内側への水の浸入を防止する。この止水板4は、屋外側の床面Fに配置される。また、止水板4は、持ち運び自在な重量であり、浸水時の水圧に耐え得る剛性を有している。止水板4は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金あるいはステンレスなど、軽量で強度の高い材料で構成されている。
【0021】
止水板4は、図2に示すように、上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43と、一対の側面部材44とを一体に連結して構成されている。本実施形態における止水板4は、上段止水板41と下段止水板43との間に複数段の中段止水板42が配置されている場合について説明するが、中段止水板42の数は1段でもよい。このようにして止水板4は、中段止水板42の段数を変えることにより、立位状態における上下方向の高さを調整することができる。なお、止水板4は、上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43と側面部材44との連結部を介して屋内側に水が浸入しないように止水されている。
【0022】
上段止水板41は、止水板4の上下方向における上方側端部を構成するものである。上段止水板41は、アルミを含む防錆性を有する軽量の金属板を中空の筒状に加工して形成されている。より詳しくは、上段止水板41は、図3に示すように、屋内側面41aと屋内側面41aと対向する屋外側面41bと上面41cと底面とを有する。上段止水板41は、幅方向における上段止水板41の幅方向の両端部まで連続する内部空間として、空間部41dが形成されている。空間部41dには、上方側端部を構成する部分にビス止め部41eが形成されている。ビス止め部41eは、上段止水板41の幅方向の両端部まで延在し、かつ側面部材44を介して挿入されるビスB1(図4参照)が螺合するものである。
【0023】
中段止水板42は、図2に示すように、止水板4の上下方向における中央部を構成するものであり、上段止水板41の下方側に配置され、上段止水板41と上下方向において隣り合うものである。本実施形態において、中段止水板42は、4段が配置されている。中段止水板42は、アルミを含む防錆性を有する軽量の金属板を中空の筒状に加工して形成されている。より詳しくは、中段止水板42は、図3に示すように、屋内側面42aと屋内側面42aと対向する屋外側面42bと上面と底面とを有する。中段止水板42は、中段止水板42の幅方向の両端部まで連続する内部空間として、空間部42cが形成されている。空間部42cは、上方側端部を構成する部分に下方側に突出してビス止め部42dが形成されている。ビス止め部42dは、中段止水板42の幅方向の両端部まで延在し、かつ側面部材44を介して挿入されるビスB1(図4参照)が螺合するものである。また、上段止水板41と隣接する中段止水板42は、厚み方向に貫通する貫通孔を有している。この貫通孔は、後述する締結部材11が挿通するものである。
【0024】
下段止水板43は、図2に示すように、止水板4の上下方向における下方側端部を構成するものであり、中段止水板42が上方側に配置され、中段止水板42と上下方向において隣り合うものである。下段止水板43は、アルミを含む防錆性を有する軽量の金属板を中空の筒状に加工して形成されている。より詳しくは、下段止水板43は、図3に示すように、屋内側面43aと屋内側面43aと対向する屋外側面43bと上面と底面とを有する。下段止水板43は、中段止水板42の幅方向の両端部まで連続する内部空間として、第1空間部43cと第2空間部43dと第3空間部43eとが形成されている。第1空間部43cは、上下方向において閉塞されている。第1空間部43cは、上方側を構成する部分に下方側に突出したビス止め部43fおよび下方側を構成する部分に上方側に突出したビス止め部43gが形成されている。第2空間部43dは、第1空間部43cの下方側に位置し、下方側が開口して形成されている。第3空間部43eは、第1空間部43cの下方側に位置し、下方側が開口して形成されている。第2空間部43dおよび第3空間部43eは、厚み方向において隣り合って形成されている。本実施形態における下段止水板43では、第3空間部43eの開口を介して、後述する底面止水ゴム(第2止水部材)6が第3空間部43eに挿入された状態で保持される。
【0025】
一対の側面部材44は、図2に示すように、上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43との幅方向における両端部をそれぞれ閉塞するものであり、連結された上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43との幅方向における両端部の上方側端部から下方側端部まで閉塞するものである。側面部材44は、図4に示すように、空間部44aが形成されている。空間部44aは、幅方向における内側に開口が形成され、開口を介して、上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43との幅方向における端部が挿入されるものである。側面部材44は、幅方向において上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43と対向する位置にビス孔44cが形成されている。本実施形態におけるビス孔44cは、上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43とに形成される各ビス止め部41e,42d,43f,43gとそれぞれ幅方向において対向する位置に複数個形成されている。側面部材44は、幅方向において上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43と対向する側に、側面止水部材44dがそれぞれ形成されている。側面止水部材44dは、弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどである。側面止水部材44dは、各ビス止め部41e,42d,43f,43gと幅方向において対向する位置にそれぞれ貫通穴44eが形成されている。側面止水部材44dは、側面部材44により上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43との幅方向における両端部をそれぞれ閉塞した状態で、上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43との幅方向における両端面と圧縮状態で接触している。
【0026】
縦止水ゴム(第1止水部材)5は、図4に示すように、止水板4の屋内側面(屋内側の側面)4aの幅方向の両端部に一対が配置されている。縦止水ゴム5は、屋内側面4aにおいて幅方向の端部に、止水板4の短手方向(高さ方向)全長に亘って配置されている。縦止水ゴム5は、止水板4が枠体3に配置された状態で、止水板4と枠体3の縦枠部材31との間に介在する。このとき、縦止水ゴム5は、縦枠部材31に押圧されて弾性変形している。一対の縦止水ゴム5は、一対の縦枠部材31に密着している。このため、一対の縦止水ゴム5は、止水板4と一対の縦枠部材31の当接部との間を水が流れることを抑制する。すなわち、一対の縦止水ゴム5は、一対の縦枠部材31において屋外側から屋内側に水が浸入することを抑制する。
【0027】
底面止水ゴム6は、止水板4の床面Fと対向する面、すなわち、止水板4の底面に長手方向(幅方向)全長に亘って配置されている。底面止水ゴム6は、止水板4が枠体3に配置された状態で、止水板4と床面Fとの間に介在する。このとき、底面止水ゴム6は、床面Fに押圧されて弾性変形している。このため、底面止水ゴム6は、床面Fに密着している。このため、底面止水ゴム6は、止水板4と床面Fの当接部との間を水が流れることを抑制する。すなわち、底面止水ゴム6は、屋外側から屋内側に水が浸入することを抑制する。
【0028】
押圧機構7は、図5に示すように、止水板4が床面Fに対して立位した状態(以下、「立位状態」という)において、止水板4を床面Fに押圧するものである。押圧機構7は、枠部材31に固定された後述する固定機構8と止水板4との間で幅方向周りに回転自在に支持されるものである。押圧機構7は、枠部材31に対応して止水板4の幅方向における端部に一対が配置される。押圧機構7は、後述する連結具10の第1連結具10Aに固定されている。押圧機構7は、当接部71と押圧部72と回転軸73とを備える。
【0029】
当接部71は、止水板4の立位状態において、屋内側面4aに当接可能に構成されているものである。当接部71には、止水板4の立位状態において、止水板4を縦枠部材31に押圧する押圧力が作用する。また、当接部71は、図6に示すように、止水板4が床面Fに対して傾斜した状態(以下、「傾斜状態」という)において、屋内側面4aから離間するように構成されているものである。この当接部71は、幅方向視において、屋内側面4aと当接する側、すなわち、屋内外方向の屋外側が平面状に形成され、屋内側面4aと当接する側と反対側、すなわち、屋内外方向の屋内側が屋内側に凸な曲面状に形成されている。当接部71は、止水板4の立位状態における上下方向の下部に貫通孔(不図示)が形成されている。この貫通孔は、幅方向に貫通している。貫通孔は、後述する回転軸73の軸部が回転自在に挿入されている。
【0030】
押圧部72は、止水板4を傾斜状態から立位状態とする際に、ユーザーによって床面F側に押圧される部分である。押圧部72は、止水板4の立位状態において、止水板4の上下方向の上端より上方に位置する。押圧部72は、当接部71と一体に形成されている。押圧部72は、止水板4の立位状態において、当接部71の上方に位置する。より詳しくは、押圧部72は、当接部71とともに幅方向視において略くの字形に形成されている。押圧部72は、止水板4の立位状態における上部、かつ、屋内側の端部にねじ孔(不図示)が形成されている。言い換えると、ねじ孔は、上記の略くの字形の形状の曲げ部近傍に形成されている。このねじ孔は、幅方向に貫通している。ねじ孔は、後述するノブ85の軸部85aが螺合可能である。押圧部72は、後述する保持機構9を係止するフック受具72aが配置されている。
【0031】
回転軸73は、押圧機構7を止水板4の屋内側の屋内側面4aに対して幅方向周りに回転自在とする回転軸である。この回転軸73により、当接部71を有する押圧機構7は、止水板4に対して幅方向周りに回転自在に配置されている。回転軸73は、後述する連結具10を固定する締結部材11よりも鉛直方向の上方に配置されている。
【0032】
固定機構8は、一対の押圧機構7に対して幅方向周りに回転自在に支持され、一対の枠部材31に着脱自在にそれぞれ固定されるものである。本実施形態における固定機構8は、止水板4に対して幅方向における位置を変化させることで、枠部材31の幅方向において対向する対向面31a(図5図6参照)にそれぞれ接触するとともに、対向面31aを幅方向外側にそれぞれ押圧することで、枠部材31にそれぞれ固定される。固定機構8は、図7図8に示すように、接触部材81と第1緩衝部材82と第2緩衝部材83と支持部材84とノブ85とを備える。
【0033】
接触部材81は、枠部材31に接触するものである。本実施形態における接触部材81は、上下方向視においてL字型の板材で形成されている。接触部材81は、対向面31aと屋外側面31bと接触する。
【0034】
第1緩衝部材82は、接触部材81の対向面31aと対向する部分に配置される。第1緩衝部材82は、接触部材81と対向面31aとの間に介在する。
【0035】
第2緩衝部材83は、接触部材81の屋外側面31bと対向する部分に配置される。第2緩衝部材83は、接触部材81と屋外側面31bとの間に介在する。
【0036】
支持部材84は、接触部材81の幅方向において対向面31a側と反対側に取り付けられている。支持部材84は、屋内外方向視において、幅方向において接触部材81側と反対側に向かって突出する凸型状に形成されており、接触部材81との間で空間部84aが形成されている。支持部材84は、厚み方向に貫通し、空間部84aと連通する挿入孔(不図示)が形成されている。
【0037】
ノブ85は、接触部材81を幅方向周りに回転自在に支持するものである。ノブ85は、軸部85aと把持部85bとを有する。軸部85aは、棒状であり、外周面に雄ねじが形成されている。軸部85aの幅方向における両端部のうち、一方の端部、すなわち先端部が支持部材84の挿入孔に挿入され、他方の端部が把持部85bに固定されている。軸部85aは、押圧部72のねじ孔に、先端部が幅方向における外側、すなわち枠部材31と対向するように螺合されている。ノブ85は、幅方向周りに回転することで、押圧部72に対する幅方向における位置が変化する。軸部85aは、支持部材84の空間部84aに位置している先端部に抜け止め部材85c(図2参照)が取り付けられている。これらにより、固定機構8は、押圧機構7に対して、幅方向周りに回転自在に支持され、枠部材31に着脱自在にそれぞれ固定される。把持部85bは、軸部85aを幅方向周りに回転させるものであり、ユーザーが把持するものである。
【0038】
保持機構9は、一対の枠部材31に対する止水板4の位置関係を保持するものである。より詳しくは、保持機構9は、止水板4を立位状態で保持することで、枠部材31に対する止水板4の位置関係を保持するものである。本実施形態における保持機構9は、押圧機構7にそれぞれ対応して一対設けられており、上下方向視において、止水板4と押圧機構7との間の屋内外方向における距離が広がることを規制するものである。保持機構9は、後述する連結具10の第2連結具10Bに固定されている。保持機構9は、止水板4に対して押圧機構7と反対側、すなわち、屋外側面4bに取り付けられている。保持機構9は、レバー91とアーム92とを備える、いわゆるパチン錠である。
【0039】
レバー91は、アーム92を幅方向周りに回転自在としたり、アーム92を押圧機構7に係止した状態で保持したりするものである。レバー91は、固定部と可動部とを備えている。固定部は、後述する連結具10の第2連結具10Bに固定されている。可動部は、第1回動軸91aによって固定部に対して幅方向周りに回転自在に支持されている。
【0040】
アーム92は、押圧機構7に係止するものである。本実施形態におけるアーム92は、フック受具72aを係止するものである。アーム92がフック受具72aと係止すると、押圧機構7の姿勢が固定される。アーム92は、上下方向視において、屋内外方向に延在する略矩形状部材であり、屋内外方向における一方の端部に支持孔(不図示)が形成されている。支持孔は、幅方向に形成された貫通孔であり、第2回転軸92aが幅方向周りに回転自在に挿入されるものである。第2回転軸92aがレバー91の固定部に幅方向に平行に固定されているので、アーム92は、止水板4に対して幅方向周りに回転自在に支持されている。
【0041】
連結具10は、押圧機構7と保持機構9とが組み付けられている金具である。連結具10は、止水板4の幅方向の両端部に対応して一対設けられている。連結具10は、第1連結具10Aと第2連結具10Bとを組み合わせて構成されている。
【0042】
第1連結具10Aは、押圧機構7が組み付けられるものである。第1連結具10Aは、金属板を幅方向視においてL字型に加工して形成されている。より詳しくは、第1連結具10Aは、鉛直方向に沿った平面状の第1平面部10Aaと第1平面部10Aaから曲げ部を介して水平方向に沿って配置された平面状の第2平面部10Abとを有する。第1平面部10Aaは、図3に示すように、止水板4の上段止水板41および中段止水板42の屋内側面41a,42aに沿って配置される。第1平面部10Aaは、押圧機構7が固定されている。第1平面部10Aaの鉛直方向の下部には、厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔は、後述する締結部材11が挿入されるものである。第2平面部10Abは、上段止水板41の上面41cに沿って配置される。第2平面部10Abは、図9に示すように、幅方向の中央部が切り欠かれた、上下方向視において凹型の平面に形成されている。第2平面部10Abは、厚み方向に貫通する一対のビス孔が形成されている。
【0043】
第2連結具10Bは、保持機構9が組み付けられるものである。また、第2連結具10Bは、止水板4を挟んで第1連結具10Aと対向した状態で組み合わせて止水板4に組み付けられる。第2連結具10Bは、金属板を幅方向視においてL字型に加工して形成されている。より詳しくは、第2連結具10Bは、鉛直方向に沿った平面状の第1平面部10Baと第1平面部10Baから曲げ部を介して水平方向に沿って配置された平面状の第2平面部10Bbとを有する。第1平面部10Baは、図3に示すように、止水板4の上段止水板41および中段止水板42の屋外側面41b,42bに沿って配置される。第1平面部10Baは、保持機構9が固定されている。第1平面部10Baの鉛直方向の下部には、第1平面部10Aaに形成された貫通孔と対向して、厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔は、後述する締結部材11が挿入されるものである。第2平面部10Bbは、上段止水板41の上面41cに沿って配置される。第2平面部10Bbは、図9に示すように、幅方向の中央部が屋内外方向の屋内側に突出した、上下方向視において凸型の平面に形成されている。この第2平面部10Bbの凸型の突出部は、第2平面部10Abの凹型の切欠部と係合するように構成されている。第2平面部10Bbは、厚み方向に貫通する一対のビス孔が形成されている。
【0044】
締結部材11は、止水板4の屋内側面4a,屋外側面4bをそれぞれ厚み方向に貫通して形成された貫通孔および連結具10の第1平面部10Aa,10Baに形成された貫通孔を貫通した状態で締結されている。本実施形態において、締結部材11は、上段止水板41と隣接する中段止水板42の屋内側面42a,屋外側面42bをそれぞれ厚み方向に貫通して形成された貫通孔および連結具10の第1平面部10Aa,10Baに形成された貫通孔を貫通した状態で締結されている。このように締結部材11を締結することにより、連結具10が止水板4に取り付けられる。
【0045】
位置決め部材12は、図1に示すように、止水板4の立位状態において、止水板4の下部を一対の縦枠部材31に固定するものである。具体的に、位置決め部材12は、一対の枠部材31に対して突っ張らせることで、止水板4を枠部材31に対して固定するものである。位置決め部材12は、止水板4の幅方向の両端部に対応して一対設けられている。位置決め部材12は、屋内側面4aの幅方向の両端部、かつ、上下方向の下部に配置されている。
【0046】
上記のように構成される止水装置1の組み立て方法について説明する。
【0047】
上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43との幅方向における両端部が揃えられて、鉛直方向に積層した状態で連結される。また、上段止水板41と中段止水板42と下段止水板43との幅方向における両端部が一対の側面部材44によってそれぞれ閉塞される。このようにして、止水板4が組み立てられる。
【0048】
また、連結具10には、押圧機構7と保持機構9とが組み付けられる。より詳しくは、第1連結具10Aの第1平面部10Aaには、押圧機構7が組み付けられる。なお、固定機構8は、押圧機構7と組み付けられて一体化されている。また、第2連結具10Bの第1平面部10Baには、保持機構9が組み付けられる。
【0049】
そして、止水板4に、押圧機構7と保持機構9とを組み付けた連結具10が固定される。具体的には、図9に示すように、第1連結具10Aが、屋内側から止水板4に組み付けられる。より詳しくは、第1平面部10Aaが上段止水板41および中段止水板42の屋内側面41a,42aに沿って配置され、第2平面部10Abが上段止水板41の上面41cに沿って配置される。また、具体的には、第2連結具10Bが、屋外側から止水板4に組み付けられる。より詳しくは、第2連結具10Bの第1平面部10Baが上段止水板41および中段止水板42の屋外側面41b,42bに沿って配置され、第2平面部10Bbが上段止水板41の上面41cに沿って配置される。このとき、第2平面部10Abの凹型の切欠部と第2平面部10Bbの凸型の突出部とが係合するように配置される。
【0050】
そして、図10に示すように、第1平面部10Aaの貫通孔と第1平面部10Baの貫通孔とに締結部材11が挿通されて締結される。また、第2平面部10Abの一対のビス孔と第2平面部10Bbの一対のビス孔とがそれぞれビスB2で上段止水板41の上面41cにビス止めされる。
【0051】
このようにして、止水板4に連結具10が組み付けられて止水装置1が組み立てられる。なお、この止水板4には、例えば、止水板4に連結具10が組み付けられた後や、止水板4を組み立てた後に、縦止水ゴム5および底面止水ゴム6が組み付けられる。
【0052】
上記のように構成される止水装置1の使用方法について説明する。
【0053】
まず、開口部Oに止水板4を配置する場合について説明する。ユーザーは、開口部Oにおける止水板4の配置位置に、屋外側から止水板4を載置する。具体的に、ユーザーは、底面止水ゴム6を止水板4の配置位置、すなわち、止水板4の幅方向における端部が一対の縦枠部材31と当接する位置に合わせて、止水板4を傾斜状態とする。このとき、図6に示すように、止水板4が傾斜状態で、保持機構9のアーム92は、押圧機構7のフック受具72aとの係合が解除されている。そして、ユーザーは、止水板4を把持して傾斜状態を維持したまま、固定機構8を一対の枠部材31に固定する。具体的に、一対の接触部材81を一対の枠部材31に対して突っ張らせることで、接触部材81を枠部材31に対して固定する。そして、ユーザーは、一方の手で押圧部72を床面Fに押圧しながら、または、一方の手で屋外側から止水板4を床面Fおよび縦枠部材31に押圧しながら、止水板4を傾斜状態から立位状態とする。このとき、図10に示すように、止水板4が立位状態で、保持機構9のアーム92は、押圧機構7のフック受具72aとの係合が解除されている。そして、ユーザーは、止水板4が立位状態となったら、図5図8に示すように、保持機構9のアーム92をフック受具72aに係止させた状態で保持する。このようにして、止水板4は、開口部Oに配置される。
【0054】
このように、止水板4を開口部Oに配置した状態においては、押圧機構7によって止水板4が床面Fに押圧されている。より詳しくは、押圧機構7が止水板4を鉛直方向上方から下方へ押圧する押圧荷重は、回転軸73を介して連結具10の第1連結具10Aに作用する。第1連結具10Aに作用した押圧荷重は、締結部材11が挿通された、上段止水板41と隣接する中段止水板42に作用する。この締結部材11が中段止水板42を貫通しているため、押圧荷重は、中段止水板42の屋内側面42aおよび屋外側面42bに均等に作用する。このように、押圧機構7が止水板4を鉛直方向上方から下方へ押圧する押圧荷重は、中段止水板42の屋内側面42aおよび屋外側面42bに均等に作用する。
【0055】
つぎに、開口部Oから止水板4を取り外す場合について説明する。開口部Oに配置された止水板4を取り外す際、ユーザーは、一方の手で止水板4を把持した状態で、他方の手でノブ85を緩める。そして、ユーザーは、固定機構8を縦枠部材31から取り外し、止水板4を開口部Oから取り外す。そして、ユーザーは、止水板4を保管場所まで運搬して収納する。このようにして、開口部Oに配置された止水板4は、取り外される。
【0056】
以上で説明した実施形態に係る連結具10および止水装置1によれば、押圧機構7が止水板4を鉛直方向上方から下方へ押圧する押圧荷重は、回転軸73を介して連結具10の第1連結具10Aに作用する。第1連結具10Aに作用した押圧荷重を、締結部材11が挿通された、上段止水板41と隣接する中段止水板42に作用させることができる。この締結部材11が中段止水板42を貫通しているため、押圧荷重を、中段止水板42の屋内側面42aおよび屋外側面42bに均等に作用させることができる。このように、押圧機構7が止水板4を鉛直方向上方から下方へ押圧する押圧荷重を、中段止水板42の屋内側面42aおよび屋外側面42bに均等に作用させることができる。このように、連結具10および止水装置1によれば、止水板4を開口部Oに配置した状態において、鉛直方向上方から下方への押圧荷重を適切に受けることができる。
【0057】
また、連結具10および止水装置1によれば、上段止水板41と隣接する中段止水板42のみに締結部材11を挿通するための貫通孔を形成すればよい。このため、連結具10および止水装置1は、連結具10を止水板4に組み付けるために必要な事前の加工を削減することができる。しかも、2本の締結部材11で締結するため、連結具10を止水板4に組み付けるために必要な締結部材の数も削減することができる。
【0058】
上記実施形態においては、止水装置1を開閉扉2が配置される開口部Oに配置するものとして説明したが、開閉扉2は止水板4と接触しないため、開閉扉2が配置されない開口部Oであっても止水装置1を適用することができる。
【0059】
また、縦止水ゴム5は、短手方向(高さ方向)全長に亘って配置されているものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、止水装置1が適用される場所の予測浸水時水位よりも高くなればよい。すなわち、縦止水ゴム5は、止水板4の底面から予測浸水時水位+αの高さまで配置されていればよい。
【0060】
また、締結部材11が上段止水板41と隣接する中段止水板42に締結されるものとして説明したが、締結部材11が締結される位置は、これには限定されない。具体的には例えば、第1連結具10Aの第1平面部10Aaおよび第2連結具10Bの第1平面部10Baが、止水板4の上段止水板41および2段の中段止水板42の屋内側面41a,42aに沿って配置されるようにしてもよい。この場合、締結部材11は、鉛直方向の下段の中段止水板42に締結するようにしてもよい。
【0061】
なお、上述した本発明の実施形態に係る止水装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る止水装置は、以上で説明した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 止水装置
2 開閉体
3 枠体
31 縦枠部材(枠部材、方立)
32 上枠部材
33 下枠部材
4 止水板
41 上段止水板
41c 上面
42 中段止水板
43 下段止水板
5 縦止水ゴム(第1止水部材)
6 底面止水ゴム(第2止水部材)
7 押圧機構
71 当接部
8 固定機構
9 保持機構
10 連結具
10A 第1連結具
10Aa 第1平面部
10Ab 第2平面部
10B 第2連結具
10Ba 第1平面部
10Bb 第2平面部
S 構造物
O 開口部
W 壁部
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10