【実施例】
【0017】
図1に示すように、実施例に係るベントダクト10は、車両外側および車両の車室側に通じて空気が流通可能な通気路14が設けられたダクト本体12と、通気路14を開閉する開閉弁16とを備え、例えばリアバンパーの内側に通気路14が水平向きに開口するように設置される。ベントダクト10は、上縁部をダクト本体12に固定した開閉弁16が通気路14に吊り下がり、可撓性を有する開閉弁16が、通気路14の車室側に向けた内向きと通気路14の車両外側に向けた外向きとに開閉可能に構成される。ここで、開閉弁16は、自重による内向きの変位がダクト本体12で規制されて、通気路14を塞ぐ閉じ姿勢になると共に、閉じ姿勢から外向きへ弾性変形することで通気路14を開放するよう構成される。そして、ベントダクト10は、自重で閉じ姿勢となった開閉弁16によって、通気路14を塞いで車両外側からの埃や水などの異物の侵入を防止する。また、ベントダクト10は、ドアを閉じたときなどの車室内外の気圧差により開閉弁16が外向きへ弾性変形することで、車室内から車両外側へ向けた空気の流通を許容する。なお、以下の説明では、ベントダクト10において、通気路14における車両外側に通じる側を前側といい、通気路14における車室側に通じる側を後側という。また、前後に揺動する開閉弁16の開閉方向と直交する水平方向が、ベントダクト10の横方向になる。
【0018】
前記ダクト本体12は、ポリプロピレン(PP)などの熱可塑性樹脂を材料とする硬質の樹脂成形品であり、
図1および
図2に示すように実施例では横長略矩形状の開口を有する筒形に形成されている。ダクト本体12は、通気路14の上側を区画する上壁部(壁部)18と、この上壁部18と通気路14を挟んで対向し、通気路14の下側を区画する下壁部20と、互いに通気路14を左右に挟んで対向し、通気路14の横側を区画する一対の横壁部22,22とにより外郭が構成されている。ダクト本体12は、上および横の壁部18,22,22において通気路14の前側開口を画成する前端が、前後方向の同じ位置に揃い、下壁部20の前端が上および横の壁部18,22,22の前端よりわずかに後側に凹んでいる。また、上壁部18の後端は、下壁部20の後端よりわずかに後側に位置すると共に、上下の壁部18,20の後端は、前後位置が横方向にそれぞれ揃っている。更に、左右の横壁部22,22は、後端が上壁部18から下壁部20側に向かうにつれて前側へ傾いている。ダクト本体12には、上壁部18と下壁部20との間に延在して通気路14を左右に区切る板状の区画壁部24が、横方向に離間して複数形成されている。区画壁部24は、後端が上壁部18の後端から下壁部20の後端を結んで形成され、前端が上壁部18の後端から下壁部20の前端に向けて傾斜するように形成されている(
図4参照)。すなわち、区画壁部24は、前端が上から下に向かうにつれて前側へ変位するように傾いている。
【0019】
図4に示すように、前記上壁部18は、前後方向に延在する該上壁部18の本体部分から下方へ張り出すように形成された上張出片(張出片)26を備えている。上張出片26は、上壁部18の後縁(車両における内外方向内側の縁)に本体部分から屈曲するように形成されると共に、上壁部18の横方向全体に亘って設けられている。そして、上張出片26の下端には、区画壁部24の上端が連なっている。上張出片26は、通気路14に臨む面として、上壁部18における本体部分の通気路面に連なって上から下方へ向かうにつれて後側へ傾斜するように形成された傾斜面26aと、該傾斜面26aの下方に連なって上から下方へ向かうにつれて前側へ傾斜するように形成された上受け面(受け面)26bとを備えている(
図2および
図4参照)。なお、上張出片26における通気路14と反対側の外面は、上から下方に向かうにつれて後側へ変位するよう斜めに延在し、所謂C面になっている。左右の横壁部22,22の後端には、通気路14の内側へ向けて張り出す横張出片28がそれぞれ形成されている(
図1〜
図3および
図5参照)。上から下に向けて前側に変位する横壁部22の後端から張り出す横張出片28の前面は、区画壁部24の前端と前後位置が揃うように形成されて、上から下に向かうにつれて前側へ傾斜する横受け面(受け面)28aとなっている。また、横受け面28aは、上端が上張出片26の上受け面26bに連なると共に、下端が下壁部20の前端に設けられた下受け面(受け面)20aに連なり、上受け面26bから横受け面28aおよび下受け面20aに亘る一連の斜面を構成している。区画壁部24の前端は、上張出片26の上受け面26bの下端および下壁部20の下受け面20aに連なっており、上受け面26bから区画壁部24の前端および下受け面20aに亘る一連の斜面を構成している。
【0020】
前記ダクト本体12には、上張出片26の上受け面26b、横張出片28の横受け面28a、区画壁部24の前端および下壁部20の下受け面20aが連なって、上から下側に向かうにつれて前側へ傾斜する開閉弁16の受け面が形成されている。そして、ダクト本体12は、受け面26b,28a,20aによって、開閉弁16を上から下に向かうにつれて前側へ傾斜する閉じ姿勢で支持すると共に、閉じ姿勢を越えた後側への揺動を規制している。
【0021】
図2〜
図4に示すように、前記上張出片26には、開閉弁16の上縁部が取り付けられる弁取付部30が、通気路14に開口するように形成されている。実施例の弁取付部30は、上張出片26を貫通する貫通孔であり、通気路14側の開口が上張出片26の傾斜面26aにあいている(
図4参照)。また、弁取付部30は、上張出片26の横方向(車両の内外方向と交差する横方向)に連続して形成されると共に、上張出片26の下縁で規定される通気路14の上縁(通気路14の横幅)よりも横幅が小さく設定されている。
【0022】
図1〜
図5に示すように、前記ダクト本体12には、該ダクト本体12の外郭をなす各壁部18,20,22,22の前端から通気路14と反対側へ延出する板状のフランジ部31が全周に亘って形成されている。そして、ベントダクト10は、車体(取り付け対象)に開設された開口にダクト本体12の外郭をなす壁部18,20,22,22を挿入すると共に、フランジ部31を開口の開口縁に重ねた状態で車体に取り付けられる。
【0023】
図1および
図3に示すように、前記ダクト本体12には、外郭をなす壁部18,20の外面に、ベントダクト10を車体に取り付けた際に、車体に当たって通気路14側へ押される当接部32が設けられている。実施例のダクト本体12では、開閉弁16が固定される弁取付部30を設けた上壁部18と、この上壁部18に対向する下壁部20のそれぞれに、当接部32が設けられている。当接部32は、上壁部18および下壁部20において横方向に離間して複数設けられており、実施例では、上壁部18および下壁部20の横方向中央位置と、この中央位置を挟んで左右対称な位置とのそれぞれに配置されている。また、各当接部32は、横方向に連続して開口する弁取付部30の開口範囲に対して前後方向に重なる位置に配置され、上壁部18において当接部32の後側で弁取付部30が開口している(
図3参照)。当接部32は、壁部18,20の外面から通気路14と反対側へ突出して横方向が板厚方向となる板状のリブであり、前端がフランジ部31の後面に連なると共に後端が円弧状に面取りされた形状になっている。また、上壁部18および下壁部20には、ベントダクト10を車体に取り付けるための係止部34が設けられている。係止部34は、上壁部18および下壁部20において横方向に離間して複数設けられており、実施例では、横方向中央の当接部32と左右の当接部32との間に配置されている。また、各係止部34は、横方向に連続して開口する弁取付部30の開口範囲に対して前後方向に重なる位置に配置され、上壁部18において係止部34の後側で弁取付部30が開口している。係止部34は、壁部18,20の外面から通気路14と反対側へ突出した後に前方へ屈曲する鉤形状であり、ベントダクト10を車体に取り付けた際に車体に引っ掛かるようになっている。
【0024】
前記開閉弁16は、薄い板状体であって、オレフィン系エラストマー(TPO)やスチレン系エラストマー等のエラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のゴム系材料など、弾性変形可能な材料で構成されている。
図4に示すように、開閉弁16は、該開閉弁16の上縁部に設けられ、弁取付部30内でダクト本体12に対して固定される接合部36と、この接合部36の下側に一体的に連ねて形成されて、通気路14に配置される弁本体38とから構成されている。開閉弁16は、上壁部18における上張出片26の弁取付部30に接合部36が固定されているだけで、上張出片26から通気路14に吊り下がる弁本体38に、閉じ姿勢に向けて自重が作用するようになっている。開閉弁16は、弁本体38がダクト本体12の受け面26b,28a,20aに重なる閉じ姿勢で通気路14を塞ぎ、この閉じ姿勢において、傾斜する受け面26b,28a,20aによって、弁本体38が上から下に向かうにつれて前側へ傾いた状態で支持される。ベントダクト10は、開閉弁16の弁本体38自体が前側へ変形してダクト本体12の受け面26b,28a,20aから離間することで、開閉弁16とダクト本体12の壁部18,20,22,22との間にできる隙間から空気を排出する。
【0025】
図4に示すように、前記接合部36は、弁取付部30に収まって、弁取付部30を画成する壁に接合されている。また、接合部36は、弁本体38と同様に弾力性を有している。接合部36は、上張出片26に横方向へ連続して形成された弁取付部30の横方向全体に亘って連続的に延在するように形成され、接合部36によって弁取付部30における通気路14側の開口を塞いでいる。より具体的には、接合部36は、弁取付部30の上下に亘って形成された支持片36aと、この支持片36aから通気路14と反対側へ延出するように形成された接続片36bとを備えている。支持片36aは、上張出片26を貫通する弁取付部30の通気路14側に偏倚して設けられると共に、弁取付部30の横方向全体に亘って延在するように設けられ、弁取付部30の通気路14側だけを塞いでいる。また、支持片36aは、弁本体38の板厚方向に延出するよう形成される。支持片36aは、弁本体38における前側(外向き)の板面よりも上方へ張り出している。接続片36bは、支持片36aから通気路14と反対側へ連ねて、弁取付部30に空間を残すように該弁取付部30を画成する上側の壁に沿って延在するように形成されている。すなわち、接続片36bは、弁取付部30の下側の壁と間があくように、弁取付部30の上下幅よりも薄く形成されて、接合部36で弁取付部30全体を完全に埋めないように構成される。なお、接続片36bは、弁取付部30の横方向全体に亘って延在するように設けられている。このように、接合部36は、弁取付部30に空間を残すように通気路14側に充填された支持片36aによって、弁取付部30を弾力的に支持している。
【0026】
図2に示すように、弁本体38は、上壁部18における上張出片26の下端、横壁部22,22における横張出片28,28の延出端、下壁部20の前端に囲われる通気路14の開口面よりも一回り大きく形成されている。弁本体38は、接合部36よりも横方向へ延出するように形成され、通気路14よりも横幅が狭い弁取付部30に合わせて形成された接合部36よりも左右にそれぞれ大きくなっている。また、弁本体38は、支持片36aの下側に偏倚する位置に連ねて形成されている。開閉弁16は、接合部36が弁取付部30の貫通方向に沿って延在する接続片36bから弁取付部30を塞ぐ支持片36aにかけて鉤状に屈曲するように連なり、弁本体38が上下に延在する支持片36aに対して交差する方向へ延出するように連なっている。
図4に示すように、実施例の開閉弁16は、縦断面視において、接合部36の接続片36bおよび支持片36aから弁本体38にかけてクランク状に曲がっている。
【0027】
図4に示すように、前記弁本体38は、接合部36の支持片36aに連なる上部が、該弁本体38の縁部を閉じ姿勢で支持する受け面26b,28a,20aよりも前側(外向き)に指向して延在するように形成されている。そして、弁本体38は、支持片36aに連なる上部と下受け面20aに支持される下縁部との間が、前側(外向き)に凸になるように湾曲している。換言すると、弁本体38は、支持片36aに連なる上部が、閉じ姿勢で弁本体38の下縁部を支持する下受け面20aと弁取付部30における通気路14側の下側開口縁を結んだ仮想ライン(実施例では区画壁部24の前端と揃っている)よりも前側へ離れる向きで弁取付部30から延出した後に、通気路14を閉じる側(後側)へ曲がった湾曲形状になっている。また、弁本体38は、接合部36よりも横方向へ延出する側部が、前側(外向き)に凸になるように湾曲しており、接合部36に連なる上部と下縁部との間だけでなく、閉じ姿勢で横張出片28の横受け面28aで支持される左右の側縁部の間も、前側へ凸になるように湾曲している(
図5参照)。このように、弁本体38は、縁部が閉じ姿勢でダクト本体12の受け面26b,28a,20aに当接するように、中央部と比べて縁部が後側へ延出するように緩く湾曲している。ここで、開閉弁16は、弁本体38が接合部36に連なる上部に沿って下縁部まで直線的に延ばした状態(
図4の二点鎖線)から自重等により後側(内向き)に変形することで湾曲した形状で、ダクト本体12の受け面26b,28a,20aで支持される。
【0028】
前述したベントダクト10は、1つの成形型60を用いた二色成形により製造される。
図6および
図7に示すように、ベントダクト10の製造に用いられる成形型50は、第1の型としてのコア型52と、このコア型52に対して相対的に開閉可能な第2の型としてのキャビ型54とから基本的に構成される。また、成形型50は、型閉じしたコア型52とキャビ型54との間に、ダクト本体12および開閉弁16に合わせたキャビティ56を画成するよう構成されている。成形型50は、コア型52によりダクト本体12の後面や外郭をなす壁部18,20,22,22の外面を主に規定すると共に、キャビ型54によりダクト本体12の前端、外郭をなす壁部18,20,22,22の内面および開閉弁16を主に規定している。成形型50は、閉じ姿勢から通気路14を開く側へ傾けた状態にある開閉弁16に合わせてキャビティ56を画成するよう構成され、接合部36に連なる上部がダクト本体12の受け面26b,28a,20aから前側へ離れた状態で弁本体38を成形するようになっている。また、キャビティ56は、ダクト本体12に対応する本体形成部分58と、開閉弁16に対応する弁形成部分60とが繋がっている。
【0029】
図6および
図7に示すように、前記キャビ型54は、開閉弁16の弁本体38における開き側の面(前面)を規定する第1型部62と、弁本体38における閉じ側の面(後面)を規定する第2型部64とを備えている。第1型部62は、開閉弁16の弁本体38の前面、接合部36における支持片36aの通気路面、上壁部18の通気路面および左右の側壁部22,22の通気路面の一部などを主に規定する。第1型部62は、第2型部64に相対する面に、弁本体38に合わせて凹むように形成された第1弁形成面62aを有している。また、第2型部64は、開閉弁16における弁本体38の後面、左右の側壁部22,22の内面の残部および区画壁部24の前端などを主に規定する。第2型部64は、第1型部62に相対する面が、第1弁形成面62aの開口を塞ぐ平坦状に形成された第2弁形成面64aとなっている。そして、第1型部62と第2型部64とを型閉じした際に、凹状の第1弁形成面62aと、第1弁形成面62aの開口を塞ぐ平坦状の第2弁形成面64aとにより、弁本体38に合わせた弁形成部分60が画成される。ここで、弁形成部分60は、ダクト本体12の上壁部18および受け面26b,28a,20aから離間すると共にダクト本体12の弁取付部30内で接合する接合部36に連なる上部から下縁部まで直線的に伸ばした状態で弁本体38を成形するように画成される。換言すると、弁形成部分60は、受け面26b,28a,20aよりも開く側へ指向する上部に沿って下縁部まで直線的に伸ばした状態にある弁本体38に合わせて設定されている。
【0030】
前記成形型50は、コア型52をキャビ型54に対して接離するように移動することで、型閉じまたは型開きするようになっている。ここで、第1型部62は、第2型部64と独立して移動可能に構成され、型開きに際して第1型部62がコア型52の型開きよりも先に移動される。第1型部62は、型開きに際して弁形成部分60で成形した開閉弁16における弁本体38の前面から離間するように、弁本体38の開き側(ベントダクト10の車両内外方向外側)へ移動し、実施例では上壁部18の通気路面に沿うように開閉移動する(
図6(b))。第2型部64は、コア型52の型開きに際して該コア型52に追従するベントダクト10の移動につれて、弁形成部分60で成形した開閉弁16の弁本体38の後面を弁本体38の開き側に押すようになっている。このように、成形型50は、ダクト本体12の上壁部18および受け面26b,28a,20aから離間した状態で成形することでアンダーカット部分となる弁本体38を、第2型部64で開き側へ押しつつ型開きする(
図7(a))。
【0031】
前述した成形型50を用いた実施例に係るベントダクト10の製造方法について説明する。まず、コア型52とキャビ型54とを型閉じして画成されるキャビティ56のうちの本体形成部分58に、第1の樹脂材料を第1の射出成形機により充填して、ダクト本体12を射出成形する。実施例では、第1の樹脂材料のゲート(図示せず)が、フランジ部31の後面外端に対応する位置に設けられ、本体形成部分58から繋がる弁形成部分60に第1の樹脂材料が流入しないように、第1の樹脂材料が本体形成部分58におけるフランジ部31に対応する部分から充填される。
【0032】
次に、キャビティ56のうちの弁形成部分60に、第2の樹脂材料を第2の射出成形機により充填して、開閉弁16を射出成形する。実施例では、開閉弁16における弁本体38の延出端(下縁部)に対応する位置に設けられたゲート(図示せず)から弁形成部分60に第2の樹脂材料が充填される。これにより、先に充填された第1の樹脂材料からなるダクト本体12の弁取付部30の内側に接合部36が成形され、第2の樹脂材料からなる接合部36による融着により、開閉弁16の上縁部がダクト本体12に接合される。また、第1弁形成面62aで弁本体38の前面および端面を規定すると共に第2弁形成面64aで弁本体38の後面を規定して、弁本体38が、ダクト本体12の受け面26b,28a,20aから開き側に離れると共に接合部36に連なる上部から下縁部まで一直線に伸びた状態で成形される。このように、成形型50において、ダクト本体12と、該ダクト本体12の弁取付部30に接合部36を接合した開閉弁16とが、一体成形される。
【0033】
前述したようにベントダクト10を成形した後に、まず第1型部62を開閉弁16の弁本体38の前面から離間するように、コア型52から離間移動して、弁本体38の開き側を開放する(
図6(b)参照)。このように、弁本体38の開き側を規定していた第1型部62を開くことで、可撓性を有する弁本体38が開き側へ変形可能となる。次に、コア型52を第2型部64から離すように移動すると、コア型52と一緒に移動するダクト本体12に開閉弁16が引っ張られ、弁本体38が第2型部64に押されて前側へ弾性変位するので、コア型52の型開きが許容される(
図7(a))。このように、成形型50を型開きすることで、コア型52からベントダクト10が取りだし可能となる(
図7(b))。ここで、開閉弁16は、閉じ姿勢から通気路14を開く側へ傾けて直線的に延ばした状態(
図4の二点鎖線)で弁本体38を成形しているが、成形後はベントダクト10の車載姿勢により、弁本体38は自重等により閉じ姿勢になるように後側(内向き)へ変形して、前側へ凸になるように湾曲した形状でダクト本体12の受け面26b,28a,20aで支持される。また、ベントダクト10を成形型50から取り出した後に、ベントダクト10を、該ベントダクト10の前面が上を向くようにして保持しておくことで、弁本体38を自重により閉じ姿勢側に積極的に変形させて、弁本体38を前側に凸となる湾曲形状になるように癖付けることができる。
【0034】
〔実施例の作用〕
実施例のベントダクト10の製造方法によれば、キャビティ56の本体形成部分58でダクト本体12を形成し、該キャビティ56の弁形成部分60で開閉弁16を形成する際に、本体形成部分58と弁形成部分60とが繋がる部分で、ダクト本体12と開閉弁16とを接合することができる。このように、複数組の型を用いることなく、ダクト本体12および開閉弁16の成形から、ダクト本体12および開閉弁16の接合までの一連の工程を、1つの成形型50で行うことができる。すなわち、実施例の製造方法によれば、型設備を簡略化することができると共に、工数を減らしてベントダクト10の製造効率を向上させることができる。また、開閉弁16の弁本体38を閉じ姿勢に合わせて成形するのではなく、閉じ姿勢から通気路14を開く側に傾けてダクト本体12の受け面26b,28a,20aから離間させた状態で弁本体38を成形しているので、開閉弁16がダクト本体12の弁取付部30内に接合される接合部36以外でダクト本体12にくっつくことを防止できる。このように、成形時に開閉弁16の弁本体38がダクト本体12に貼り付くことがないので、弁本体38をダクト本体12から剥離し易くするなどの特殊な構成とする必要はなく、工程および型設備をより簡略化することができ、特殊な構成に起因する弁本体38の開閉性能への悪影響を避けることができる。
【0035】
閉じ姿勢から通気路14を開く側に傾けてダクト本体12の受け面26b,28a,20aから離間させた状態で弁本体38を成形するので、弁本体38の閉じ側とダクト本体12との間に所謂アンダーとなる型部分が生じる。実施例の製造方法は、開閉弁16における弁本体38の開き側の面を規定する第1型部62を移動した後に、弁本体38におけるアンダーカット部分となる閉じ側の面を規定する第2型部64で、可撓性を有する開閉弁16の弁本体38を押し曲げて、コア型52を型開きしている。すなわち、第1型部62を弁本体38から離間するように開くことで、弁本体38が開き側へ変形できるスペースを確保して、このスペースを利用して可撓性を有する弁本体38を変形させることができるので、コア型52の型開きが可能となる。従って、第2型部64を、弁本体38またはダクト本体12と干渉しないように複雑な経路で移動させたり、複数に分割して構成したりするなどの必要はなく、型構造をより簡略化することができる。しかも、成形型50は、開閉弁16における弁本体38の開き側へ移動して型開きするので、型開きに際して、弁本体38に設定された通気路14を開閉する方向と異なる方向へ力が加わることを回避でき、弁本体38に無理な力がかかることを抑制できる。
【0036】
前記弁本体38を成形する弁形成部分60は、第1型部62において凹状に形成された第1弁形成面62aと、第2型部64において第1弁形成面62aの開口を塞ぐ平坦な第2弁形成面64aとにより画成されている。これにより、第1型部62を型開きする際には、弁本体38から離れるように移動すると共に第1弁形成面62aが第2弁形成面64aに嵌まっていないので、第1型部62が第2型部64および/または弁本体38に引っ掛かるなどの干渉を回避できる。また、平坦な第2弁形成面64a上に弁本体38が成形されるので、コア型52を型開きする際に、第2型部64が弁本体38に引っ掛かるなどの干渉を回避できる。このように、成形型50の円滑な型開きが許容される。
【0037】
前記製造方法で得られる実施例のベントダクトは、以下のような作用効果を奏する。得られたベントダクト10は、開き側に傾けた状態で成形された開閉弁16が自重等により変形して開き側に凸になる湾曲形状で閉じ姿勢となるので、開閉弁16による通気路14のシール性を増すことができる。また、実施例の製造方法によれば、開閉弁16の上縁部をダクト本体12に熱カシメや別の樹脂成形物で接合する場合のように、接合時の熱や別の樹脂成形物の収縮に起因する応力が開閉弁16に残留せず、残留応力によって開閉弁16の弁本体38がまくれ上がることを回避できる。
【0038】
実施例のベントダクト10は、開閉弁16において通気路14に臨む弁本体38が、ダクト本体12の上張出片26に開口する弁取付部30内で接合する接合部36に連なる上部と、ダクト本体12の下受け面20aで支持される下縁部との間で外向きに凸になるように湾曲する形状であるから、下縁部を下受け面20aに突き当てて封止することができると共に、閉じ姿勢で下受け面20aに支持された下縁部が前側へまくれ上がり難くなる。従って、開閉弁16の弁本体38による通気路14のシール性を向上することができる。また、開閉弁16は、ダクト本体12の弁取付部30に接合される接合部36よりも弁本体38の横幅が大きく形成されているので、弁本体38において接合部36よりも横側へ延出する側部を、弁取付部30に固定された接合部36に阻まれることなく曲げることができる。これにより、開閉弁16は、接合部36よりも横側に延びる弁本体38の側部を、外向きに凸になるように湾曲させることができ、閉じ姿勢において弁本体38の側縁部を横受け面28aに突き当てると共に接合部36の横側に延びる上縁部を上受け面26bに突き当てて通気路14を封止することができる。このように、開閉弁16は、弁本体38の縁部が通気路14の開き側にまくれ上がり難く、縁部の一部だけが前側へ変形することを抑えることができる。そして、ベントダクト10は、閉じ姿勢にある開閉弁16の弁本体38の縁部全体に亘ってダクト本体12の受け面26b,28a,20aと接するので、開閉弁16による通気路14のシール性をより向上することができる。また、車両走行時の振動によっても、閉じ姿勢にある開閉弁16をばたつき難くすることができ、埃や水など異物の内部侵入を好適に阻むことができる。
【0039】
前記ベントダクト10は、弁取付部30から通気路14に延出する開閉弁16の弁本体38が自重等により後側に変形してダクト本体12の受け面26b,28a,20aに支持されることで、開閉弁16が通気路14を塞ぐ閉じ姿勢になる。すなわち、ベントダクト10は、ダクト本体12の受け面26b,28a,20aに合わせて開閉弁16を取り付けて通気路14を塞いでいるのではなく、通気路14を閉じる方向へ向けて変形した状態で開閉弁16が閉じ姿勢となる。これにより、閉じ姿勢にある開閉弁16の弁本体38を、ダクト本体12に受け面26b,28a,20aにより密着させることができ、弁本体38による通気路14のシール性を向上することができる。
【0040】
(変更例)
前述した実施例に限らず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)ダクト本体は、左右の横壁部の間および/または区画壁部の間に、仕切壁部を設け、通気路を上下に区切るよう構成してもよい。この場合に、下側の通気路の上側を画成する仕切壁部の後縁に通気路側へ向けて下方へ張り出すように設けた張出片に弁取付部を形成し、仕切壁部の弁取付部に開閉弁の上縁部を接合するようにしてもよい。このように、上下に区画された通気路のそれぞれを、上下に配置した複数の開閉弁で塞ぐ構成にも採用し得る。
(2)ベントダクトは、左右に並べて配置した複数の開閉弁により通気路を塞ぐように構成してもよい。
(3)弁取付部を、張出部の横方向に並べて複数箇所設けて、弁取付部のそれぞれに接合部を収めて開閉弁をダクト本体に対して固定する構成であってもよい。
【0041】
(4)第1型部の型開き方向は、実施例のように開閉弁の開き側に限定されず、開閉弁の開き側を開放することができれば、コア型や第2型部などに干渉しない方向の何れであってもよい。
(5)実施例では、コア型を移動して型開きしたが、第2型部をコア型に対して移動することで型開きを行ってもよい。第2型部を開閉弁の開き側へ移動して型開きすることで、第2型部の移動により押される開閉弁に無理な力がかかることを抑制できる。この際に、第2型部の型開き方向は、開閉弁の開き側に限定されず、コア型などに干渉しない方向の何れであってもよい。
(6)ダクト本体および開閉弁の成形順序は、実施例に限らず、開閉弁をなす樹脂材料を充填した後に、ダクト本体をなす樹脂材料を充填しても、開閉弁をなす樹脂材料およびダクト本体をなす樹脂材料の充填タイミングが同じまたは同じ時期に重なっていてもよい。