特許第6605308号(P6605308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6605308複数のセンサを備えた灌注アブレーションカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605308
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】複数のセンサを備えた灌注アブレーションカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-227413(P2015-227413)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2016-97309(P2016-97309A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】14/551,229
(32)【優先日】2014年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ジェイ・デゥアルテ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ギドリ
(72)【発明者】
【氏名】ケルヴィン・チュウ
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル−タル
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム・バーガー
(72)【発明者】
【氏名】アブリ・ハザン
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−052241(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/072879(WO,A2)
【文献】 特表2012−531967(JP,A)
【文献】 米国特許第05992418(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第103315808(CN,A)
【文献】 中国実用新案第204274635(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12−18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
細長い本体と、
該細長い本体の遠位端に取り付けられ、内部空間を画定する外殻として構成されている、電極と、
該外殻の中に形成され、かつ該内部空間と連通している、複数の灌注開口部と、
該電極の該外殻内の対応する複数のオリフィスに嵌合するよう構成された複数の突起を有する、該内部空間内に配置されたインサートであって、各該突起は該電極の外側表面と少なくとも同一平面に延在し、かつ、該インサート内の少なくとも1つの内部管腔に連通するポートを有する、インサートと、
複数のセンサであって、各該センサが該突起の該ポートのうちの1つの内部に配置される、複数のセンサと、
該電極の近位端と液密封止を形成し、該インサートの近位端と係合して該インサートを回転運動に対して安定化させる、支持体と、
を含む、カテーテル。
【請求項2】
前記インサートが、少なくとも1つの突起を備えた少なくとも1つの長手方向に延在するアームを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアームが、前記少なくとも1つの突起の前記ポートに連通した内部管腔を有する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアームが、複数の突起を有し、これによって、該少なくとも1つのアームの前記内部管腔が、複数のポートと連通する、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記支持体の貫通孔から、前記少なくとも1つのアームの前記内部管腔へと延在する、少なくとも1つのガイドチューブを更に含む、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項6】
各前記突起が、前記アームの表面から径方向外側に配置されるショルダーを有し、これによって該ショルダーが、前記オリフィスを取り囲む前記電極の内側表面に係合する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記インサートと前記電極の内側表面との間に最小限の間隔を更に含み、該最小限の間隔が、前記アームの表面と前記ショルダーとの距離によって画定される、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
複数のアームを更に含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記複数のアームの間に少なくとも1つの通路を更に含み、これによって前記内部空間内での灌注液の循環を可能にする、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記インサートが、外側部分及び内側部分を含み、かつ該外側部分と該内側部分とが嵌合して、前記少なくとも1つの内部管腔を形成する、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記内側部分は、前記外側部分を支持して内側に撓まないようにする、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが温度センサである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが電気的センサである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つが、組み合わせた温度及び電気センサである、請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、経皮的医療処置のための方法及び装置に関し、詳細には、カテーテル、特に灌注アブレーションカテーテルに関する。より具体的には、本開示は、アブレーション電極の灌注との干渉の軽減を提供しながら、正確な温度及び/又は電気検出特性のための微小構成要素を支持及び安定化させる、灌注アブレーションカテーテル設計に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波(RF)電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られる部位をアブレーションするために用いられる。特に、数多くの適応に対し、標的アブレーションを実施することができる。例えば、心筋組織のアブレーションは、カテーテルを用いてRFエネルギーを印加し、損傷を形成して、心組織中の催不整脈性の電流経路を破断することによる、心不整脈の治療として周知である。別の一例として、腎アブレーション手術は、遠位端に電極を有するカテーテルを腎動脈に挿入することにより、動脈内の円周方向損傷を完了させて、高血圧の治療のために動脈の除神経を行うことを含み得る。
【0003】
そのような手術において、参照電極が典型的に提供され、これは患者の皮膚に取り付けられてよく、又は第2カテーテルによって提供される。RF電流をアブレーションカテーテルの先端電極に通電すると、参照電極に向かって先端電極の周囲の媒質(すなわち、血液及び組織)に電流が流れる。電流の分布は、血液と比較して、より高い導電性を有する組織と接触する、電極表面の量に応じて決定される。組織の電気抵抗によって組織が加熱される。組織は、心臓又は血管組織内の細胞の破壊を引き起こし、結果として標的組織内部に非導電性の損傷部位が形成されるように、十分に加熱される。この損傷は、電極に接触する組織、又は隣接する組織に形成され得る。この過程では、加熱された組織から電極自体への伝導によって電極も加熱される。
【0004】
このため、アブレーションカテーテルの灌注は、冷却が行われなければ炭化物及び凝塊の形成、更にはスチームホップを引き起こしかねない組織の過熱を防止する電極及び組織の冷却など、多くの利点を与える。よって、灌注アブレーションカテーテルは、アブレーション手術中に組織の温度を評価してそのような有害事象を回避するための、1つ又は2つ以上の温度センサ(例えば熱電対、サーミスタなど)を含み得る。検出温度は、カテーテルからの冷却灌注液によりバイアスをかけた組織温度を単に示すのではなく、組織の実際の温度を正確に反映することが望ましい。更に、灌注アブレーションカテーテルは、別の方法として又は付加的に、複数の目的のための電気センサを含み得、この目的には、損傷の大きさ、深さ及び貫壁性を判定するのに役立つインピーダンスの測定、マッピング機能の実行、又は組織とRF電極との接触の評価が挙げられる。
【0005】
更に、灌注アブレーションカテーテルの遠位端には、顕著な空間的及び設計的制約がある。カテーテルは血管内経路を通ってアクセスを得るため、全体的な直径は制限され、また蛇行する解剖学的構造を通り抜けるために十分に可撓性でなければならない。冷却液を供給するための灌注導管系も必要である。この遠位端は更に、上述のRF電極、温度センサ及び電気センサ、更にこれらに付属する電気接続並びにその他の機能的構成要素(例えば接触力センサシステム、安全ワイヤ、又はその他の構造)を収容する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、この遠位端に配置された1つ又は2つ以上の温度センサ及び/又は電気センサを有する灌注アブレーションカテーテルを提供することが望ましいと考えられる。更に、そのような構成要素と灌注システムとの間の干渉を軽減することが望ましい。例えば、灌注液に曝されるRF電極の表面積を増大させるような様相でセンサを提供することが望ましいと考えられる。同様に、測定に対する灌注液の影響を低減するような様相でセンサを提供することが望ましいと考えられる。以下に記述されるように、本開示はこれら及び他の目的を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、カテーテルを目的とし、このカテーテルは、細長い本体と、この細長い本体の遠位端に取り付けられ、内部空間を画定する外殻として構成されている、電極と、この外殻の中に形成され、内部空間と連通している、複数の灌注開口部と、この電極の外殻内の対応する複数のオリフィスに嵌合するよう構成された複数の突起を有する、その内部空間内に配置されたインサートであって、各突起は電極の外側表面と少なくとも同一平面に延在し、かつ、そのインサート内の少なくとも1つの内部管腔に連通するポートを有する、インサートと、複数のセンサであって、各センサがその突起のポートのうちの1つの内部に配置される、複数のセンサと、その電極の近位端と液密封止を形成し、そのインサートの近位端と係合してそのインサートを回転運動に対して安定化させる、支持体と、を含む。
【0008】
一態様において、このインサートは、少なくとも1つの突起を備えた少なくとも1つの長手方向に延在するアームを有し得る。更に、この少なくとも1つのアームは、少なくとも1つの突起のポートに連通した内部管腔を有し得る。また更に、この少なくとも1つのアームは複数の突起を有し得、これによって、この少なくとも1つのアームの内部管腔は、複数のポートと連通する。望ましいように、少なくとも1つのガイドチューブが提供されてよく、これは支持体の貫通孔から、少なくとも1つのアームの内部管腔へと延在する。
【0009】
一態様において、各突起は、アームの表面から径方向外側に配置されるショルダーを有し得、これによってショルダーが、オリフィスを取り囲む電極の内側表面に係合する。インサートと電極の内側表面との間に最小限の間隔が提供されてよく、この最小限の間隔は、アームの表面とショルダーとの距離によって画定される。
【0010】
一態様において、インサートは複数のアームを含み得る。更に、少なくとも1つの通路が、複数のアームの間に提供されてよく、これにより内部空間内での灌注液の循環を可能にする。
【0011】
一態様において、インサートは、外側部分及び内側部分によって形成されてよく、ここにおいてこの外側部分と内側部分が嵌合して、少なくとも1つの内部管腔を形成する。この内側部分は、外側部分を支持して内側に撓まないようにすることができる。
【0012】
一態様において、複数のセンサの少なくともいくつかが温度センサであり得る。別の一態様において、複数のセンサの少なくともいくつかが電気センサであり得る。あるいは又は付加的に、複数のセンサのうち少なくとも1つが、組み合わせた温度及び電気のセンサであり得る。
【0013】
本開示は更に、オペレータが患者の組織の一部をアブレーションするための方法を目的とする。1つの好適な方法は、カテーテルを患者に挿入することであって、前記カテーテルは細長い本体と、前記細長い本体の遠位端に取り付けられ、内部空間を画定する外殻として構成されている、電極と、この外殻の中に形成され、かつ内部空間と連通している、複数の灌注開口部と、この電極の外殻内の対応する複数のオリフィスに嵌合するよう構成された複数の突起を有する、その内部空間内に配置されたインサートであって、各突起は電極の外側表面と少なくとも同一平面に延在し、かつ、そのインサート内の少なくとも1つの内部管腔に連通するポートを有する、インサートと、複数のセンサであって、各センサがその突起のそのポートのうちの1つの内部に配置される、複数のセンサと、電極の近位端と液密封止を形成し、かつそのインサートの近位端と係合してそのインサートを回転運動に対して安定化させる、支持体と、を含む、カテーテル、を挿入することと、前記複数のセンサから信号を受信し、かつ電極に電力を送達することとが可能なシステムコントローラに、前記カテーテルを接続することと、それに続いて組織をアブレーションするための電極への電力を制御することと、を含む。
【0014】
一態様において、組織をアブレーションするための電極への電力は、複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて制御され得る。
【0015】
一態様において、灌注液は、複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、内部空間に送達され得る。
【0016】
一態様において、組織に対する電極の接触は、複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、血液に対する電極の接触と区別され得る。
【0017】
一態様において、組織に対する電極の接触の度合は、複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、推定され得る。
【0018】
一態様において、アブレーション中の電極の動きは、複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、判定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
更なる特徴及び利点は、添付図面に例示する本開示の好ましい実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。添付図面の同様の参照記号は、図全体を通じて同一の部分又は要素を一般に示す。
図1】本発明の一実施形態によるカテーテルの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1のカテーテルの遠位端の電極の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による、電極内に複数のセンサを収容するインサートの等角図である。
図4】本発明の一実施形態による、図2の線A−Aにおける、カテーテルの遠位端の断面図である。
図5】本発明の一実施形態による、図4の線B−Bにおける、カテーテルの遠位端の断面図である。
図6】本発明の一実施形態による、電極内に複数のセンサを収容する別のインサートの等角図である。
図7】本発明の一実施形態による、図6の線C−Cにおける、カテーテルの遠位端の断面図である。
図8】本発明の一実施形態によるアブレーションシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
最初に、本開示は、特に例示された材料、構成、手順、方法、又は構造に限定されず、変化し得ると理解される。したがって、本明細書に記載されているものの多くの選択肢、類似物、又は等価物を、本発明の実践又は実施形態に使用できるが、好ましい材料及び方法を本明細書に記載する。
【0021】
また、本明細書に使用される用語は、単に本開示の特定の実施形態を説明するためのものであり、限定するものではないことを理解されたい。
【0022】
添付の図に関連して下記に示される詳細記述は、本開示の例示的実施形態を説明するためのものであり、本開示が実践可能な限定的な例示的実施形態を示すことを意図したものではない。本開示全体にわたって使用される用語「例示的」とは、「実施例、事例、又は実例として供給する」ことを意味し、他の例示的な実施形態よりも必ずしも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。詳細記述には、本明細書の例示的な実施形態の徹底した理解を提供することを目的とした、具体的な詳細が含まれる。本明細書の例示的実施形態は、これらの具体的な詳細なしでも実施が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。場合によっては、本明細書に示される例示的実施形態の新しさを明確にするために、周知の構造及び装置がブロック図形式で示される。
【0023】
単に便宜的及び明確さの目的で、上、下、左、右、上方、下方、上側、下側、裏側、後側、背側、及び前側などの方向を示す用語が、添付の図に関して使用されることがある。これら及び類似の方向を示す用語は、本開示の範囲をいかなる意味でも制限すると見なされるべきではない。
【0024】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語はすべて、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0025】
最後に、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。
【0026】
図1に示すように、本開示は、標的組織に接触するよう適合された電極12を含む遠位端部分を備えた灌注アブレーションカテーテル10を含む。本開示の実施形態によるカテーテル10は、図示のように、長手方向軸を有する挿入シャフト又はカテーテル本体14と、カテーテル本体から軸線を外れて1方向又は2方向に所望により偏向可能な、カテーテル本体の遠位側の中間部分16と、を有する、細長い本体を含む。カテーテル本体14の近位側は制御ハンドル18であり、これによりオペレータは、操舵可能な実施形態が採用された場合に、中間部分14を偏向させることを含め、カテーテルを操作することが可能になる。例えば、制御ハンドル18は偏向ノブ20を含み得、これは、それぞれの方向に偏向させるために、時計方向又は反時計方向に旋回される。他の実施形態において、他の操舵可能な設計を採用することができ、例えば、米国特許第6,468,260号、同第6,500,167号、及び同第6,522,933号、並びに米国特許公開第12/960,286号(2010年12月3日出願)に記述されている、複数の制御ワイヤを操作するための制御ハンドルなどが挙げられ、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
カテーテル本体14は可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性であり、任意の好適な構造及び任意の好適な材料のものであり得る。一態様において、ポリウレタン又はPEBAX製の外壁は、カテーテル本体14の捩り剛性を増大させるために、当該技術分野において一般的に既知であるステンレス鋼等の埋め込み式編組みメッシュを含んでよく、これにより、制御ハンドル20を回転させると、中間部分16が、対応する様相で回転することになる。意図される用途に応じて、カテーテル本体14の外径は約8フレンチであってよく、いくつかの実施形態において、7フレンチであってよい。同様に、カテーテル本体14の外壁の厚さは、後で詳しく述べるように、中心管腔が任意の望ましいワイヤ、ケーブル及び/又は管を収容可能なように十分に薄くすることができる。カテーテルの有用な長さ、即ち、身体に挿入することができる部分は、所望通りに変化させることができる。例示的な実施形態において、この有用な長さは、約110cm〜約120cmである。中間部分16の長さは、この有用な長さの比較的小さい部分に相当してよく、例えば約3.5cm〜約10cmであり、いくつかの実施形態においては、約5cm〜約6.5cmであり得る。
【0028】
カテーテル10の遠位端の一実施形態に関する詳細を、図2〜5に示す。ここで図2を参照して、電極12は、細長い、概ね円筒形の部分22であり、遠位端が非外傷性のドーム形状部分24として構成される。電極12の外殻は、内部空洞を画定し、内部空洞は、灌注液を供給するために、カテーテル本体14の長さに延びる管腔に流体連通している。複数の灌注開口部26が、電極12の表面にわたってほぼ均一に分布しており、空洞に入り空洞を充填する液が、この開口部を通って電極12の外へと出ることができ、これによって、電極12と、電極12に隣接する環境とに、望ましいように冷却を提供することができる。電極12の外殻は、パラジウム、白金、金、イリジウム、並びに、Pd/Pt(例えば、パラジウム80%/白金20%)及びPt/Ir(例えば、白金90%/イリジウム10%)を含むこれらの組み合わせ及び合金などの任意の好適な導電性材料で形成することができる。
【0029】
電極12内にはインサート28(点線で概略を図示)が配置され、電極12に対して望ましい位置に複数のセンサを配置するよう構成されている。インサート28は、電極12内に形成されたセンサオリフィス32に整列した、複数の突起30を有する。各突起30は、センサを受容するよう構成されたポート34を有する(この図には示されていない)。インサート28は、例えばPEEKなどの、適切な電気的及び熱的絶縁特性を有する任意の好適な材料から形成することができる。突起30の数は、採用されているセンサの数に対応し得る。この実施形態においては、3つの近位側突起が円筒部分22の周囲に、径方向に約120度間隔で配置され、また3つの遠位側突起がドーム形状部分24に、径方向に約120度間隔で配置されている。これによりインサート28は、実質的に三角形の形状を有することができ、突起30はインサートの頂点に配置される。他の実施形態において、他の好適な構成を採用することができる。突起30は、望ましいように、電極12の外殻を超えて延在するか、又は外殻と同一平面になるような寸法にすることができる。例えば、突起30は、外殻から0.05〜0.3mmの範囲の高さで突出し、また一実施形態においては、約0.07〜0.13mmの範囲で突出してもよい。
【0030】
一態様において、インサート28は電極12との低減した接触を示すように構成され得る。例えば、図示の実施形態において、インサート28は、突起30のみを介して電極12に接触している。したがって、インサート28の本体と、電極12の内側表面との間に、最小限の間隔36が維持され得る。当業者には理解されるように、これにより、管腔38(点線で図示)を通って供給され得る灌注液の循環と均一な分配が促進され、並びに、開口部26を通って出る灌注液による干渉が低減される。加えて、インサート28内に形成された通路40も、灌注を促進し得る。
【0031】
インサート28に関する更なる詳細を、図3に示す。この図において、インサート28の態様の呈示を支援するために、電極12は除去されている。図からわかるように、突起30は、電極12の内側表面と係合するよう構成された環状ショルダー42を含む。ショルダー42は、適切なように、電極12の円筒部分22又はドーム形状部分24を補完する表面を有し得る。ショルダー42の幅は、ベース部分44の直径と内側部分46の直径との差によって画定され得る。内側部分46の直径は、電極12のセンサオリフィス32(図2に示す)と嵌合するような寸法にされる。更に、内側部分12の深さと、電極12の外殻の厚さをと合わせて、突起30が、電極12の外側表面から突出するか、あるいは、外側表面と同一平面になる。同様に、環状ショルダー42は、インサート28の表面から径方向外側に延在し、これによりベース部分44の深さによって、電極12の内側表面と、インサート28の本体の表面48との間に、図2に示す最小限の間隔36が確立される。
【0032】
この実施形態において、インサート28は長手方向に延在する3つのアーム50を含み、このそれぞれが、ポート34と連通する中空内側部分を有し、これにより、センサ52につながるリード線及びワイヤの経路を提供する。アーム50は、遠位の頂部分54に接続される。上述の通路40は、アーム50の間、並びに頂部分54の中心開口部によって形成され得る。意図される用途及び提供されるセンサの数に応じて、インサート28の構成は、例えば2つ又は4つのアームを特色にするなど、望ましいように適合させることができる。一態様において、各アーム50は、少なくとも2つのセンサ(例えば近位側に1つ、遠位側に1つ)を収容するため、少なくとも2つの突起30を含み得る。
【0033】
センサ52は、温度センサ(例えばサーミスタ、熱電対、蛍光光学的プローブ(Fluoroptic probe)、など又は電気センサ(例えば微小電極)の任意の組み合わせであり得る。突起30の端の位置又は端付近にある任意の温度センサ接続を、熱伝導性接着剤で埋め込むことができる。センサ52に伴う任意のワイヤ又はリード線は、適切なように、アーム50及びポート34を通して経路選択することができる。当業者には理解されるように、この構成は、電極12及び灌注液からセンサ52を分離する。一態様において、インサート28は、センサ52を断熱する役目をする。したがって、電極12又は循環する灌注液からのバイアスを軽減することにより、組織及び環境の温度のより正確な測定値を得ることができる。別の一態様において、インサート28は、センサ52を電気的に絶縁し、より正確な測定を実現するのに役立つ。同様に、ワイヤ及び/又はリード線も、熱的及び電気的に絶縁され、更に灌注液による腐食を防ぐため密封されている。一態様において、それぞれの突起30により配置される各センサ52は、複数の測定を検出するよう構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ52が、微小サーミスタと微小電極の両方として機能し得る。一実施形態により、サーミスタワイヤと電極リード線は、センサ52の外殻キャップ電極に接続することができる。各ワイヤが互いに任意の好適な技法により絶縁されていてよく、センサ52を配置した後に例えば好適な電気的非導電性かつ非断熱性材料を用いて、アーム50の内部を充填することにより絶縁され得る。
【0034】
インサート28は支持体54によって電極12内に安定化されており、この支持体54は、円板形ベース部56と、遠位側に突出しているキー58とを含む。ベース部56は、電極12の内径に対応する直径を有し得、例えば溶接60などの任意の好適な方法で固定することができる。キー58は、アーム50の近位部分によって形成された、インサート28の陥凹62内にフィットするよう構成され、軸方向の回転とセンサ52のずれの可能性とを防ぐよう、インサート28を安定化させる。支持体54は、電極12に対して液密封止を提供しながら、電極12及びセンサ52につながるリード線及びワイヤの経路と、カテーテル本体14を通って延在する管腔からの灌注液の経路とを提供する。例えば、中央導管64は、灌注液を通路40に通過させて、電極12の内側内で循環させ、最終的に開口部26から出すための、管腔38(図2に図示)と連通していてよい。下記で図5に示すように、支持体54の貫通穴は、センサ52へのワイヤの通路となるよう、アーム50の内部に揃えることができる。支持体54は更に、1つ又は2つ以上の径方向導管66(1つを図3に図示)を含み得、これが、電極12に通電するためのリード線、位置センサのためのリード線、カテーテル10の遠位端の逸失を防ぐための安全ワイヤ、又はその他の好適な目的のものを収容し得る。支持体54は、パラジウム、白金、金、イリジウム、並びに、Pd/Pt(例えば、パラジウム80%/白金20%)及びPt/Ir(例えば、白金90%/イリジウム10%)を含むこれらの組み合わせ及び合金などの任意の好適な導電性かつ熱伝導性の材料で形成することができる。
【0035】
ここで図4を参照して、図2に示す線A−Aに沿った軸断面図が示されている。電極12の内側表面は、灌注液リザーバ68を画定し、これは導管64を通じて灌注液が供給され得る。アーム50の近位端は、上述のように、突起30のベース部分44の深さにより画定される最小限の間隔36によって、電極12の内側表面から離れて配置される。この実施形態において、近位側部分70は、遠位側に形成されているような中空内部を有さない。代わりに、近位側部分70はガイドチューブ72を受容し、図5に関連して後述するように、アーム50の内部に向かってこれらを導く。ガイドチューブ72は、支持体54の貫通孔から、アーム50の内部へと概ね延在し、センサ52を接続するワイヤ74を密封、絶縁、及び/又は保護する。ガイドチューブ72は、薄壁のチューブを形成するように、液密、非導電性、断熱性、及び充分な可撓性を有する、例えばポリイミドなどの任意の好適な材料で形成され得る。図4は更に、軸方向回転に対して安定化させるための、陥凹62(点線で概略が示されている)と支持体54のキー58との間の協働を示している。キー58は更に、近位側部分70と係合して、アーム50の内向きの偏向を防止又は低減することができる。
【0036】
上述のように、支持体54は、望ましいように、1つ又は2つ以上の径方向導管66を含み得る。この実施形態において、1つの導管66が、電極12に通電するのに使用されるRFコイル76を収容している。他の導管66を、任意の好適な目的に使用することができ、これには、電極アセンブリ又はその他のカテーテル10の遠位部分が、手術中に外れた場合に、これらの回収を容易にするための安全ワイヤ78の経路及び/又は固定を提供することが含まれる。安全ワイヤ78は、Vectran(商標)又は他の好適な材料で形成され得る。他の実施形態において、1つ又は2つ以上の径方向導管66は、患者の解剖学的構造内及び/又は力検出若しくは接触検出システム内での、カテーテル10の遠位端の配置の視覚化を助けるため、マッピングシステムと共に使用可能な電磁位置センサを収容するよう構成することができる。そのような態様に関する詳細は、米国特許出願第11/868,733号及び同第13/424,783号に見出すことができ、これらは両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
カテーテル10の遠位端の一実施形態の更なる詳細を図5に示す。これは、図4に示す線B−Bでの長手方向断面図である。上述のように、電極12は、支持体54の円板形状部分56に固定され得る。インサート28は、突起30がセンサオリフィス32と係合するよう、電極12の内側に配置される。突起30の内側部分46はオリフィス32を通って延在し、同時にショルダー42は電極12の内側表面に係合する。上述のように、アーム50の表面は、ベース部分44の深さにより画定されるように陥凹していてよく、これにより、インサート28と電極12との間の間隔が維持され、よって灌注液への曝露が改善される。ガイドチューブ72は、アーム50の内部管腔80と支持体54の貫通孔82との間に延在して、センサ52からのワイヤ74の経路となる(わかりやすくするために遠位側センサ52のみが図示されており、近位側ポート34のセンサは除去されている)。ワイヤ及びリード線84は同様に、径方向導管66を通って、RFコイル76に接続され得る。この実施形態において、安全ワイヤ78は、支持体54を通って延在しかつこれに固定され得る。あるいは、安全ワイヤ78は、好適な方法でインサート28に固定することができる。
【0038】
本開示の技法による別の一実施形態の概略が、図6に図示されている。図3と同様に、インサート90及び支持体92に関する詳細を示すために、電極12が除去されている。インサート90は、外側部分94及び内側部分96から形成され得る。他の開示実施形態と同様に、外側部分94は複数の突起30を有し、このそれぞれが、センサを収容するためのポート34を有する(この図では示されていないが、上述の任意の機能を組み込むことができる)。外側部分94は、長手方向に延在するアーム98を含み得、このそれぞれが1つ又は2つ以上の突起30を有し、内側部分96は、対応する長手方向に延在するアーム100を有し得る。外側部分94を電極12内に配置した後、内側部分96をフィットさせて、アーム98の内側への偏向を防ぐことができる。一態様において、外側アーム98は、製造を促進するためにある程度可撓性であってよく、これによってアームは、電極12内に配置する際に内側に付勢され、上述のように、突起30が電極12のセンサオリフィス32に適切に整合したときに、本来の形状に戻るようにすることができる。図示のように、この実施形態は3つの径方向突起と3つの遠位側突起を含み、それぞれが互いに対して径方向に約120度間隔になっている。1つのアーム98上の各突起30は、内部管腔102(1つを点線で図示)と連通していてよく、これは、内側部分96が外側部分94と嵌合しているときに形成される。
【0039】
支持体92は、インサート90を回転に対して安定化させるために電極12及びキー106を固定する、円盤形状部分104を含み得る。ガイドチューブ108は、支持体92を通ってそれぞれの内部管腔102へと延在し得る。中央導管110は、電極12により画定される内部空間に灌注液を送達することができる。この実施形態において、アーム98の表面が電極12の内部表面に接するよう構成される。したがって、インサート90との間の接触が、突起30に隣接する長手方向領域に制限され、電極12の内側表面のかなりの部分が灌注液に曝される。他の実施形態において、突起30は上述のようにショルダーを含み得、これにより電極12の内側表面の曝露を増加させ得る。更に、アーム98及び100の各対の間の間隔が、電極12の内部での灌注液循環を促進する。本開示の他の実施形態と同様、インサート90は、ポート34内に配置されるセンサの精度を高める一助とするため、好適な電気的絶縁性及び断熱性の材料で形成することができる。本実施形態に使用される支持体92及び電極12は、上述のように、例えばパラジウム、白金、金、イリジウム、並びにこれらの組み合わせ及び合金などの、好適な導電性及び熱伝導性の材料で形成することができる。
【0040】
図6に示す実施形態の線C−Cに沿った軸方向断面図を図7に示す。内部管腔102の少なくとも一部分が、図示のように、外側アーム98と内側アーム100の相補的表面によって形成され得る。上述のように、キー106の部分は、アーム対98及び100の近位端の間にフィットして、インサート90を回転運動に対して安定化させる。
【0041】
本開示の技法により、突起30は、複数のセンサ52を備えたカテーテル10を提供するのに使用され得る。一態様において、各センサは上述のように温度及び電気的特性を測定することができ、これにより、各センサ52を用いて、微小ECG信号及び/又は微小インピーダンス値の直接モニタリングが可能になる。当業者には理解されるように、ECGとインピーダンスのいずれか又は両方を使用することにより、各センサの位置での組織接触を判定する能力が得られ、血液と組織とを識別するのに役立つ。この情報を利用して、RFアブレーションを送達する前に、十分な組織接触を確認することができる。これを接触力センサの使用の代わりに、又は付加的に、採用することができる。更に、電極12にわたって分布する複数のセンサ52からの電気的フィードバックを監視することによって、電極12と組織との間の接触の度合を推定することが可能になり得る。例えば、測定値を使用して、組織に接合している電極12の表面のパーセンテージを推定することができる。一方、これを使用して、周囲の血液に比較して、組織に対して、エネルギーのうちどの程度の部分が送達されているかを判定することにより、RF送達の有効性をよりよく特徴付けることができる。
【0042】
別の一態様において、本開示の技法によるセンサ52のアレイは、改善された温度応答を提供することができ、これによりカテーテルの移動の判定を容易にすることができる。当業者には理解されるように、組織に沿ってカテーテル10を引っ張ると、組織に接触しているセンサ52からの温度応答は頻繁に上下することがある。例えば、第1位置でのアブレーションの後、新たな場所に移動すると、RF送達中の温度上昇の後、移動時のインタフェース温度の突然の低下に対応し、次に新たな場所でRF送達が行われると、温度が上昇し得る。したがって、このようにして検出温度を使用してカテーテルの移動を素早く検出できる能力によって、損傷評価アルゴリズムで、アブレーション中を「リセット」すること及び検出された動きを説明することが可能になる。
【0043】
従来のRFアブレーションカテーテルに比べて、本開示の技法は、顕著な利点をもたらす。アブレーションの前に、組織及び血液は同様の温度であり、接触を判定するのに、またより具体的には接触している電極領域を判定するのに、温度センサを使用することはできない。接触力カテーテルは、組織との接触を示すことができるが、電極のうちどの程度が組織と接触しているかを示すことはない。更に、そのような従来型の接触力テクノロジーは、組織との接触に関する情報を提供し得る。けれどもこれらは、上述のような温度検出を利用することによるRF送達中の動き指標を提供することはない。複数のセンサ52を収容する突起30の利用により、アブレーション部位の動きを示すのに十分な解像度及び応答時間が得られる。
【0044】
アブレーション手術でのカテーテル10使用は、当業者に周知の技法に従うことができる。図8は、本発明の一実施形態による、腎臓及び/又は心臓カテーテル及びアブレーションのためのシステム200の概略的な絵図である。システム200は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)製造のCARTO(商標)マッピングシステム、及び/又はSmartAblate又はnMarq RF発生器に基づいてもよい。このシステムは、カテーテル10の形態をなす侵襲プローブと、制御及び/又はアブレーションコンソール202とを含む。オペレータ204(例えば心臓専門医、電気生理学技師又は介入的放射線医)が、例えば大腿アクセスアプローチ又は橈骨アクセスアプローチを介して、患者206の体内にアブレーションカテーテル10を挿入し、これによって、カテーテル10の遠位端、特に電極12が、望ましい位置の組織(例えば患者206の心臓208の心腔)に係合する。カテーテル10は、典型的には、その近位端で、好適なコネクタによってコンソール202に接続される。コンソール202は、RF発生器208を含み、これは、電極12によって係合される位置において、カテーテルを介して組織210をアブレーションするための高周波電気エネルギーを供給する。
【0045】
コンソール202は、磁気位置検出を使用して患者206の体内でカテーテル10の遠位端の位置座標も決定し得る。この目的のために、コンソール202内の駆動回路が、磁場発生器を駆動して、患者206の身体内に磁場を生成する。通常、磁場発生器はコイルを含み、このコイルは、患者の胴体の下の、患者に対して外側の既知の位置に置かれる。これらのコイルは、関心領域を包含する既定の作業体積内に磁界を生成する。カテーテル10の遠位端内部の磁場センサ(例えば位置センサ78)が、これらの磁場に反応して電気信号を生成する。コンソール202の信号プロセッサは、典型的には、場所及び向きの座標の双方を含む、遠位端の位置座標を判定するために、これらの信号を処理することができる。この位置感知の方法は、上述のCARTOシステムに実装され、その開示が全て参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT特許公開第WO96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されている。
【0046】
コンソール202は、システムコントローラ212を含み得、このシステムコントローラには、システム200の動作のためのソフトウェアが格納されているメモリ214と通信を行う処理装置216が含まれている。コントローラ212は、汎用コンピュータ処理装置を含む業界標準のパーソナルコンピュータであり得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、コントローラの機能の少なくとも一部は、特定用途向け集積回路(ASIC)又は現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)を使用して実施される。コントローラ212は典型的に、好適な入力周辺装置及びグラフィカルユーザインタフェース(GUI)218(これらによってシステム200のパラメータをオペレータが設定することが可能になる)を使用して、オペレータ204によって操作される。更に、GUI 218は、典型的には、処置の結果をオペレータに対して表示する。メモリ214中のソフトウェアは、例えばネットワークを介して、電子的形態でコントローラにダウンロードすることができる。あるいは又はこれに加えて、このソフトウェアは、光学的、磁気的、又は電子的記憶媒体など、非一過性の有形媒体上に提供され得る。いくつかの実施形態において、1つ又は2つ以上の位置センサは、コンソール202に信号を送って、電極12に対する圧力に指標を提供することができる。ワイヤ74からの信号がシステムコントローラ212に提供されて、センサ52からの測定を得ることができる。そのような信号は、センサ52に対応する場所でのインピーダンス及び/又はECG読取り値を提供するのに使用され得る。同様に、そのような信号は、センサ52に対応する場所での温度読取り値を提供するのに使用され得る。
【0047】
典型的には、アブレーションの際には、患者の組織においてRFエネルギーにより熱が生成されてアブレーションが引き起こされ、この熱の一部は、電極12に反射されて、電極及びその周囲に凝固が生じる。システム200は、灌注開口部26を介してこの領域に灌注を行い、灌注の流れの速度は灌注モジュール220により制御され、電極12に送られる電力(RFエネルギー)は、アブレーションモジュール222により制御される。上述のように、システムコントローラ212は、複数のセンサ52により測定された電気的及び温度特性を使用して、アブレーションプロセスの態様を特徴付けることができる。例えば、センサ52からの測定値を使用して、各センサの位置での組織との接触を判定し、血液と組織とを識別するのに役立てることができる。更に、組織に接合している電極12の表面のパーセンテージを推定することができる。別の一例として、センサ52からの測定値は、アブレーション中の電極12の動きを判定するのに役立ち得る。また更に、センサ52からの情報を使用して、損傷の大きさと深さを判定することができる。この態様に関する詳細は、米国特許出願第13/113,159号「Monitoring Tissue Temperature Using an Irrigated Catheter」に見出すことができ、この教示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。更に別の一例として、センサ52は更に、心内心電図をシステムコントローラ212に提供することができ、これを用いて、アブレーションされている組織部位がもはや催不整脈性の電流を伝達していないかどうかを判定することができる。
【0048】
本明細書の記述は、特定の代表的な実施形態である。ただし、提示された実施形態に関わる当業者には、本開示の原理が他の適用に対して適切に改変することにより容易に拡張可能であることが理解されよう。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
細長い本体と、
該細長い本体の遠位端に取り付けられ、内部空間を画定する外殻として構成されている、電極と、
該外殻の中に形成され、かつ該内部空間と連通している、複数の灌注開口部と、
該電極の該外殻内の対応する複数のオリフィスに嵌合するよう構成された複数の突起を有する、該内部空間内に配置されたインサートであって、各該突起は該電極の外側表面と少なくとも同一平面に延在し、かつ、該インサート内の少なくとも1つの内部管腔に連通するポートを有する、インサートと、
複数のセンサであって、各該センサが該突起の該ポートのうちの1つの内部に配置される、複数のセンサと、
該電極の近位端と液密封止を形成し、該インサートの近位端と係合して該インサートを回転運動に対して安定化させる、支持体と、
を含む、カテーテル。
(2) 前記インサートが、少なくとも1つの突起を備えた少なくとも1つの長手方向に延在するアームを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記少なくとも1つのアームが、前記少なくとも1つの突起の前記ポートに連通した内部管腔を有する、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記少なくとも1つのアームが、複数の突起を有し、これによって、該少なくとも1つのアームの前記内部管腔が、複数のポートと連通する、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記支持体の貫通孔から、前記少なくとも1つのアームの前記内部管腔へと延在する、少なくとも1つのガイドチューブを更に含む、実施態様3に記載のカテーテル。
【0050】
(6) 各前記突起が、前記アームの表面から径方向外側に配置されるショルダーを有し、これによって該ショルダーが、前記オリフィスを取り囲む前記電極の内側表面に係合する、実施態様2に記載のカテーテル。
(7) 前記インサートと前記電極の内側表面との間に最小限の間隔を更に含み、該最小限の間隔が、前記アームの表面と前記ショルダーとの距離によって画定される、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 複数のアームを更に含む、実施態様2に記載のカテーテル。
(9) 前記複数のアームの間に少なくとも1つの通路を更に含み、これによって前記内部空間内での灌注液の循環を可能にする、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 前記インサートが、外側部分及び内側部分を含み、かつ該外側部分と該内側部分とが嵌合して、前記少なくとも1つの内部管腔を形成する、実施態様3に記載のカテーテル。
【0051】
(11) 前記内側部分は、前記外側部分を支持して内側に撓まないようにする、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが温度センサである、実施態様1に記載のカテーテル。
(13) 前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが電気的センサである、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) 前記複数のセンサのうちの少なくとも1つが、組み合わせた温度及び電気センサである、実施態様1に記載のカテーテル。
(15) オペレータが患者の組織の一部をアブレーションするための方法であって、
カテーテルを患者に挿入することであって、該カテーテルは、
細長い本体と、
該細長い本体の遠位端に取り付けられ、内部空間を画定する外殻として構成されている、電極と、
該外殻の中に形成され、該内部空間と連通している、複数の灌注開口部と、
該電極の該外殻内の対応する複数のオリフィスに嵌合するよう構成された複数の突起を有する、該内部空間内に配置されたインサートであって、各該突起は、該電極の外側表面と少なくとも同一平面に延在し、かつ、該インサート内の少なくとも1つの内部管腔に連通するポートを有する、インサートと、
複数のセンサであって、各該センサが該突起の該ポートのうちの1つの内部に配置される、複数のセンサと、
該電極の近位端と液密封止を形成し、かつ該インサートの近位端と係合して該インサートを回転運動に対して安定化させる、支持体と、
を含む、カテーテル、を挿入することと、
前記複数のセンサから信号を受信し、かつ前記電極に電力を送達することが可能なシステムコントローラに、前記カテーテルを接続することと、
組織をアブレーションするための前記電極への前記電力を制御することと、
を含む、方法。
【0052】
(16) 組織をアブレーションするための前記電極への前記電力を制御することが、前記複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいている、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記内部空間に灌注液を送達することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、組織に対する前記電極の接触を、血液に対する前記電極の接触と区別することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、組織に対する前記電極の接触の度合を推定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記複数のセンサからの測定値に少なくとも部分的に基づいて、アブレーション中の前記電極の動きを判定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8