【実施例】
【0066】
図8は、一実施例に係る電源装置を示している。
図8において、
図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0067】
この電源装置2は装置筐体22を備え、この装置筐体22には発電機8、エンジン稼動部18−1、エンジンASSY18−2(
図9)、発電制御ユニット(GCU)24などが備えられている。
【0068】
発電機8には自動電圧調整器(Automatic Voltage Regulator :AVR)26が備えられ、このAVR26は、発電出力を一定電圧に調整する。
【0069】
エンジン18は、たとえば、水冷エンジンである。エンジン稼動部18−1には、燃料供給部28、吸気部30、ミキサー32、点火部34、スタータ36、クーラント部38および排気部40が備えられる。燃料供給部28は電磁弁(MV)42−1、電磁弁(SV)42−2およびガスレギュレータ44を備えて燃料ガスGをエンジン18のミキサー32に供給する。吸気部30は装置筐体22の壁面部から空気Arを取込み、ミキサー32に供給する。ミキサー32はミキサー駆動部46によって駆動し、燃料ガスGと空気Arから混合気を生成し、エンジン稼動部18−1に供給する。点火部34は複数のスパークプラグ48−1、48−2、48−3、点火コイル50−1、50−2、50−3およびイグナイタ52を備え、点火動作を行う。スタータ36は、バッテリ10を電源として回転し、エンジン稼動部18−1を始動させる。クーラント部38はウォーターポンプ54、ラジエータ56、ラジエータファン58を備えて冷却水を循環させ、この冷却水によりエンジン稼動部18−1を冷却する。排気部40にはマフラー60を備え、マフラー60からエンジン排気を行う。
【0070】
冷却水温度は温度センサ62−1で検出され、エンジン稼動部18−1の回転速度は速度センサ62−2で検出され、カム位置はカムポジションセンサ62−3で検出され、エンジン稼動部18−1のオイル圧力が正常か異常かを油圧スイッチ62−4で検出する。
【0071】
エンジンASSY18−2は、エンジン稼動部18−1の起動に用いられる機能部およびその部品である。
【0072】
GCU24には発電機8の発電出力が給電されるとともに、サージ吸収回路64を介して系統電源4が給電される。サージ吸収回路64は、系統電源4からのサージを吸収する。GCU24は、系統電源4が正常か停電かを監視し、発電機8の発電制御などを行う。このGCU24には操作パネル25が併設されており、この操作パネル25では運転開始、運転停止、運転情報などの情報表示を行う。
【0073】
この例では、自動切替えスイッチ(ATS:Auto Transfer Switch)66が備えられ、系統電源4の正常時、負荷6−1にはATS66を介して系統電源4が給電される。系統電源4の停電時、負荷6−1にはATS66を介して発電機8の出力が給電され、同時に負荷6−2に電磁接触器68を介して発電機8の出力が給電される。なお、GCU24では系統電源4の正常時、発電機8を動作させ、発電を可能にしている。
【0074】
<制御系統>
【0075】
図9は、電源装置2の制御系統を示している。GCU24にはフィルタ70、停電検出回路72、充電電源回路74、負荷電源回路76、第1の電圧測定回路78−1、第2の電圧測定回路78−2、電流測定回路80、制御部82、制御電源回路84が含まれる。
【0076】
フィルタ70は、系統電源4からの交流入力から不要周波信号を除去する。停電検出回路72は系統電源4の停電を検出し、系統電源4が正常か、停電かを表す検出出力を制御部82に入力する。
【0077】
充電電源回路74は既述の電源部12の第1の電源回路12−1の一例であり、AC切替えリレー86−11、86−12を介して系統電源4および発電機8に接続されており、バッテリ10に対する充電用出力を生成する。この充電用出力が、充電リレー88およびバッテリ接続スイッチ90を介してバッテリ10の正極(+)側に供給される。充電リレー88は充電時、接点c側に閉じられ、バッテリ10の放電時、接点d側に閉じられる。このとき、バッテリ10の出力は、バッテリ接続スイッチ90、充電リレー88およびダイオード92を介してエンジンASSY18−2および燃料電磁弁42側に給電される。ダイオード92は、既述の逆流防止手段15の一例である。バッテリ接続スイッチ90はバッテリ10の接続時、常に閉状態で維持される。
【0078】
負荷電源回路76は既述の第1の電源回路12−2の一例であり、AC切替えリレー86−11、86−12を介して系統電源4および発電機8に接続されており、エンジンASSY18−2や燃料電磁弁42に対する給電出力を生成する。この負荷電源回路76の出力は非常停止スイッチ94−1を介して燃料電磁弁42に供給されるとともに、非常停止スイッチ94−2を介してエンジンASSY18−2側に供給される。
【0079】
電圧測定回路78−1は、発電機8の発電時、発電電圧を測定し、この測定結果を制御部82に提供する。また、電圧測定回路78−2は、バッテリ10の出力電圧を測定し、この測定結果を制御部82に提供する。
【0080】
電流測定回路80は、発電機8の出力のR相、T相に設置されているカレントトランスCTの出力を受け、負荷6−1、6−2側に流れる電流を測定し、この測定結果を制御部82に提供する。
【0081】
制御電源回路84は、バッテリ10または負荷電源回路76からの給電によりGCU24に対する給電出力を生成する。
【0082】
制御部82はたとえば、コンピュータで構成され、制御電源回路84からの給電、停電検出回路72、電圧測定回路78−1、78−2、電流測定回路80、エンジンASSY18−2、筐体内温度センサ96の検出出力を受け、AC切替えリレー86−11、86−12、充電リレー88、電磁接触器制御リレー98などを制御する。電磁接触器制御リレー98は、制御部82の制御により電磁接触器68の開閉を制御する。筐体内温度センサ96は、電源装置2の筐体内の温度を検出し、制御部82に提供する。
【0083】
エンジンASSY18−2には油圧スイッチ62−4、速度センサ62−2、温度センサ62−1、点火コイル50−1、50−2、50−3、イグナイタ制御部108、スタータ36、ニードルモータ110、スロットルモータ112などが含まれる。イグナイタ制御部108はカムポジションセンサ62−3で検出されるカムポジションに応じてイグナイタ52に動作電流を流す。
【0084】
スタータ36および点火コイル50−1、50−2、50−3にはバッテリ10が接続されており、系統電源4の正常時または停電時の如何に拘らず、バッテリ10から給電されている。速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112および燃料電磁弁42には、バッテリ10または負荷電源回路76から給電される。
【0085】
図10は、負荷の給電切替え系統の一例を示している。ATS66には、U相、N相、V相のそれぞれに切替えスイッチ66−1、66−2、66−3が備えられる。切替えスイッチ66−1、66−2、66−3の系統側接点eには系統電源4、その発電側接点fには電磁接触器68を介して発電機8が接続されている。
【0086】
電磁接触器68には接点68−1、68−2、68−3が備えられ、これら接点68−1、68−2、68−3を開閉する操作コイル68−4が備えられる。操作コイル68−4は、電磁接触器制御リレー98を介して発電機8の出力であるR相およびT相間に接続されている。
【0087】
系統電源4の正常時、切替えスイッチ66−1、66−2、66−3は系統側接点eに切り替えられ、負荷6−1に系統電源4が給電される。
【0088】
系統電源4の停電時、切替えスイッチ66−1、66−2、66−3は発電側接点fに切り替えられる。発電機8が発電を開始すると、この発電出力が電圧測定回路78−1で検出される。この発電機8の出力電圧が所定電圧に到達したことを電圧測定回路78−1が検出したとき、電磁接触器制御リレー98を動作させ、接点68−1、68−2、68−3が閉じる。これにより、発電機8の発電出力が電磁接触器68を通して負荷6−2に給電される。このとき、切替えスイッチ66−1、66−2、66−3は発電側接点fに切り替えられているので、負荷6−2に発電出力が給電される。
【0089】
なお、系統電源4が正常時であっても、発電機8を動作させれば、負荷6−2に発電出力を給電し、このとき、ATS66の切替えスイッチ66−1、66−2、66−3を発電側接点fに切り替えれば、発電出力を負荷6−1側に給電することができる。
【0090】
<制御部16>
【0091】
図11は、制御部16の構成例を示している。制御部16はコンピュータで構成し、プロセッサ116、記憶部118、通信部120、入出力部(I/O)122が備えられる。プロセッサ116は、記憶部118にあるOS(Operating System)や発電制御プログラムなどの各種プログラムを実行し、制御出力を生成する。記憶部118は記憶素子としてたとえば、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)を備え、既述のOSや発電制御プログラムなどの各種のプログラムを格納している。ROMとしてたとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)124を備え、プログラムの他、各種データを記憶する。RAMは情報処理のワークエリアとして用いられる。
【0092】
通信部120は、外部機器の制御部と有線または無線によりデータの授受を行う。I/O122は検出信号の入力や制御信号の出力に用いられる。このI/O122には操作パネル25上の素子、エンジンASSY18−2、燃料電磁弁42、停電検出回路72、充電電源回路74、負荷電源回路76、電圧測定回路78−1、78−2、電流測定回路80、ディップスイッチ126が接続されている。ディップスイッチ126はデフォルト値の設定などに用いられる。
【0093】
操作パネル25にはユーザにより操作される各種スイッチボタンやデータ提示手段としての表示器が備えられる。この操作パネル25には、非常停止スイッチ94−1、94−2、表示切替えスイッチ128、状態表示素子130、運転/停止スイッチ132、セグメント表示部134、単位表示部136などが備えられる。非常停止スイッチ94−1、94−2は、非常時、ユーザ操作により閉状態から開状態に切り替えられる。
【0094】
<動作モードの遷移>
【0095】
図12は、電源装置2の動作モード(状態)の遷移を示している。この動作モードには、電源OFFの状態M0、系統電源4が正常時の第1の待機モードM1、充電モードM2、始動モードM3、発電モードM4、系統電源4の停電時の第2の待機モードM5、始動モードM6、発電モードM7が含まれる。
【0096】
電源OFFの状態M0から系統電源4の正常時、または非常停止スイッチ94−1、94−2のONからOFFへの遷移により待機モードM1、系統電源4の停電時、または非常停止スイッチ94−1、94−2のONからOFFへの遷移により待機モードM5に遷移する。待機モードM1では、バッテリ電圧の低下により充電モードM2に遷移し、充電時間が経過すると、充電モードM2から待機モードM1に遷移する。充電モードM2において、系統電源4が正常から停電に移行すると、待機モードM5に遷移する。
【0097】
待機モードM1で運転/停止スイッチ132をOFFからONに切り替えると、始動モードM3に遷移し、この始動モードM3から発電モードM4に自動的に遷移する。この発電モードM4で運転/停止スイッチ132をONからOFFに切り替えると、待機モードM1に遷移する。
【0098】
待機モードM5で運転/停止スイッチ132をOFFからONに切り替えると、始動モードM6に遷移し、この始動モードM6から発電モードM7に自動的に遷移する。この発電モードM7で運転/停止スイッチ132をONからOFFに切り替えると、待機モードM5に遷移する。
【0099】
待機モードM1−M5間、始動モードM3−M6間、また、発電モードM4−M7間では、系統電源4が正常か停電かで切り替えられる。
【0100】
<動作モード>
【0101】
この電源装置2の動作モードには、既述のように、系統電源4の正常時に第1の待機モード(
図13)、始動モード(
図14)、発電モード(
図15)、系統充電モード(
図16)の動作モードがあり、系統電源4の停電時に第2の待機モード(
図17)、始動モード(
図18)、発電モード(
図19)があり、さらに、系統電源の正常時または停電時に非常停止モード(
図20)、節電モード(
図21)がある。
【0102】
(1) 第1の待機モード(系統電源4の正常時)
【0103】
図13は、第1の待機モードを示している。この待機モードでは、AC切替えリレー86−11、86−12を系統側接点aに切り替える。これにより、系統電源4が充電電源回路74および負荷電源回路76に給電される。
【0104】
この待機モードでは、充電リレー88が負荷電源回路12−2側接点dに切り替えられるので、バッテリ10が充電電源回路74から切り離され、負荷側に接続される。しかし、負荷電源回路76の出力電圧はバッテリ電圧より高いので、負荷電源回路76の出力が優先し、速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42には負荷電源回路76の出力が給電される。
【0105】
このとき、点火コイル50−1、50−2、50−3、スタータ36にはバッテリ10が直結されており、バッテリ出力が給電される。ただし、待機中、点火コイルやスタータはほとんど電力を必要としないので、これらに給電してもバッテリ10の消費はない。
【0106】
この場合、系統電源4が正常であるから、負荷6−1にはATS66を通して系統電源4が給電される。
【0107】
(2) 第1の始動モード(系統電源4の正常時)
【0108】
図14は、第1の始動モードを示している。この始動モードでは、AC切替えリレー86−11、86−12を系統側接点aに切り替える。これにより、系統電源4が充電電源回路74および負荷電源回路76に給電される。
【0109】
この始動モードでは、充電リレー88が負荷電源回路12−2側接点dに切り替えられるので、バッテリ10が充電電源回路74から切り離され、負荷側に接続される。しかし、負荷電源回路76の出力電圧はバッテリ電圧より高いので、負荷電源回路76の出力が優先し、速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42には負荷電源回路76の出力が給電される。
【0110】
このとき、点火コイル50−1、50−2、50−3、スタータ36にはバッテリ10が直結されており、バッテリ出力が給電される。
【0111】
この場合、系統電源4が正常であるから、負荷6−1にはATS66を通して系統電源4が給電される。
【0112】
(3) 発電モード(系統電源4の正常時)
【0113】
図15は、発電モードを示している。この発電モードでは、AC切替えリレー86−11、86−12を発電側接点bに切り替える。これにより、系統電源4が充電電源回路74および負荷電源回路76から切り離され、充電電源回路74および負荷電源回路76にはAC切替えリレー86−11、86−12の発電側接点bより発電出力が給電される。
【0114】
この発電モードでは、充電リレー88が充電電源回路側接点cに切り替えられ、バッテリ10は発電出力を受けた充電電源回路74の出力により充電状態となる。
【0115】
バッテリ10は、充電リレー88が充電電源回路側接点cに切り替えられ、負荷電源回路76側から切り離されている。したがって、速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42には負荷電源回路76の出力が給電される。
【0116】
この場合、点火コイル50−1、50−2、50−3およびスタータ36には直結されたバッテリ10からバッテリ出力が給電される点は他のモードと同様である。
【0117】
発電機8が始動しても、発電電圧が定格電圧に上昇しない時点では、電磁接触器68の接点68−1、68−2、68−3が閉状態に切り替えられないので、発電電圧は負荷6−2に給電されない。
【0118】
(4) 系統充電モード(系統電源4の正常時)
【0119】
図16は、系統充電モードを示している。この系統充電モードは、系統電源4側の給電によりバッテリ10が充電される動作である。
【0120】
この系統充電モードでは、AC切替えリレー86−11、86−12が系統側接点aに切り替えられる。これにより、充電電源回路74および負荷電源回路76が系統電源4からの給電状態となる。
【0121】
このとき、充電リレー88は充電電源回路側接点cに切り替えられ、充電電源回路74の出力がバッテリ10に給電される。この結果、バッテリ10は系統電源4側の電力により充電される。
【0122】
このとき、負荷電源回路76には負荷側への供給電力が系統電源4により得られる。そこで、速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42には系統電源4からの出力を受けている負荷電源回路76の出力が給電される。点火コイル50−1、50−2、50−3およびスタータ36には直結されたバッテリ10からバッテリ出力が給電される。
【0123】
(5) 第2の待機モード(系統電源4の停電時)
【0124】
図17は、待機モードを示している。系統電源4の停電時に、この待機モードでは、系統電源4の給電はなく、充電リレー88が負荷電源回路側接点dに切り替えられる。
【0125】
この場合、バッテリ10からの給電のみが行われる。速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42、点火コイル50−1、50−2、50−3、スタータ36にバッテリ10からバッテリ出力が給電される。
【0126】
(6) 第2の始動モード(系統電源4の停電時)
【0127】
図18は、第2の始動モードを示している。この始動時点では、系統電源4の正常時と同様にAC切替えリレー86−11、86−12は系統側接点aにある。
【0128】
充電リレー88は、負荷電源回路側接点dに切り替えられ、バッテリ10の出力がダイオード92を介して速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42に給電される。このとき、点火コイル50−1、50−2、50−3およびスタータ36には直結されたバッテリ10からバッテリ出力が給電される。これにより、発電機8が始動する。
【0129】
(7) 発電モード(系統電源4の停電時)
【0130】
図19は、発電モードを示している。この発電モードでは、AC切替えリレー86−11、86−12が発電側接点bに切り替えられる。これにより、発電機8の発電出力が充電電源回路74および負荷電源回路76に給電される。つまり、始動モードから発電モードに移行する。
【0131】
発電機8が発電状態となれば、その発電出力が充電電源回路74および負荷電源回路76に給電される。負荷電源回路76の出力電圧は、バッテリ10の出力電圧より高く設定されているので、速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42に対する給電は負荷電源回路76の出力が支配的となる。点火コイル50−1、50−2、50−3およびスタータ36には直結されたバッテリ10からバッテリ出力が給電されるが、発電出力を用いて発電機8の発電が維持される。
【0132】
(8) 非常停止モード(系統電源4の正常時)
【0133】
図20は、系統電源4の正常時の非常停止モードを示している。非常時、非常停止スイッチ94−1、94−2を操作して開くと、速度センサ62−2、イグナイタ制御部108、ニードルモータ110、スロットルモータ112、燃料電磁弁42への給電が解除される。発電機8の起動前であれば、発電機8の起動が阻止され、また、駆動中であればその駆動が停止状態に移行する。
【0134】
この場合、制御電源回路84、速度センサ62−2、イグナイタ52、ニードルモータ110、スロットルモータ112への通電が遮断され、これらによる待機電力が少なくなる。点火コイル50−1、50−2、50−3およびスタータ36へのバッテリ10からの給電は維持されるが、これらの負荷は待機電力を消費しない。
【0135】
(9) 節電モード(系統電源4の正常時または停電時)
【0136】
図21は、節電モードを示している。節電モードは、バッテリ接続スイッチ90を開状態にし、バッテリ10の給電を解除する。
【0137】
バッテリ10には点火コイル50−1、50−2、50−3およびスタータ36が直結されているが、これらの負荷は待機電力を消費しないため、バッテリ接続スイッチ90が開となれば、バッテリ10が無負荷状態に維持され、待機電力の消費を防止できる。
【0138】
(10) 始動モードからバッテリ充電までの動作
【0139】
運転/停止スイッチ132がOFFからONに切り替えられると、バッテリ充電を停止するため、充電リレー88を接点dに切り替える。原点チェックとして、ニードル、スロットルの原点位置への移動完了を待ち、ニードル、スロットルを初期位置へ移動させる。ガス弁を開けて、エンジン18に燃料ガスを供給する。
【0140】
クランキング動作に移行し、スタータモータをONにすると、モータの回転力でエンジンの回転が開始される。エンジン18が回転すると、イグナイタ52が点火動作を開始する。エンジン回転数がクランキング停止回転数(たとえば、800〔rpm〕)を超えたら、ニードル、スロットル制御(=回転数制御)を開始し、クランキングを停止する。
【0141】
クランキング開始から所定時間が経過してもクランキング停止回転数に到達しなければ、クランキング動作を停止し、原点チェックを開始し、所定時間たとえば、5〔秒〕の経過を待って、クランキングを再開する。
【0142】
このような始動動作を所定回数として、たとえば、3回行っても、クランキング停止回転数に到達しなければ、異常判定とし、アラームを出力する。
【0143】
エンジン18が回転すればストール監視を開始し、エンジン回転数の目標回転数を初期目標回転数(たとえば、1000〔rpm〕)から、徐々に上昇させ、最終目標回転数にする。この場合、設定周波数が50〔Hz〕であれば、最終目標回転数はたとえば、1500〔rpm〕、60〔Hz〕であれば、最終目標回転数は、たとえば、1800〔rpm〕とすればよい。
【0144】
エンジン回転数が、所定時間としてたとえば、3〔秒〕連続で最終目標回転数±100〔rpm〕の範囲内に到達するまで待機する。つまり、回転数の安定化待ち時間だけ待機する。
【0145】
クランキング停止回転数を超えてから所定時間たとえば、20〔秒〕経過しても既述の条件が成立しない場合には、異常判定を行い、アラームを出力する。
【0146】
そして、不足電圧監視を開始し、電圧異常がないことを確認し、過電圧は常時監視する。電圧確立確認時間として、所定時間たとえば、2秒後、電磁接触器68をOFFからONに切り替え、AC切替えリレー86−11、86−12を発電側接点bに切り替えて発電機8の出力より給電する。所定時間としてたとえば、10秒後、充電リレー88を接点cに切り替えてバッテリ充電を開始する。
【0147】
<一実施例の効果>
【0148】
上記実施例によれば、次のような効果が得られる。
【0149】
(1) 系統電源4および発電機8の両方からバッテリ10を充電できるので、バッテリ充電の自由度が高く、電源装置2および電源装置2を含む各種システムとして利便性を向上させることができる。
【0150】
(2)系統電源4の停電時の待機電力を抑制でき、バッテリ10の待機放電を抑制でき、バッテリ10の寿命を延長できる。
【0151】
(3) 系統電源4の正常時、系統電源4からバッテリ10を充電し、発電機8の運転時、発電機8からバッテリ10を充電でき、バッテリ10のハイブリッド充電システムを構築できる。
【0152】
(4) 系統電源4のみからバッテリ10を充電し、系統電源4の停電時、発電機8の発電のためにバッテリ10を放電させる場合には、バッテリ10が消費し、発電機8の運転時間がバッテリ10の消耗に依存することになり、発電機8を長時間運転することができない不都合がある。また、発電機8のみからバッテリ10を充電する場合、長期間に亘って発電機8を運転しないと、バッテリ10が自然放電によって消耗し、エンジン稼動部18−1の始動が困難になる。これに対し、上記実施例のハイブリッド充電によれば、バッテリ10の消耗が抑えられ、長時間に亘ってバッテリ10を利用でき、エンジン稼動部18−1を運転することができる。
【0153】
(5) バッテリ10を系統電源4または発電機8の2系統からの充電が可能となっているが、発電機8が停止状態で、系統電源4の停電時、GCU24側に待機電流が流れ、バッテリ10を消費する場合がある。そこで、発電機8の発電停止中、給電が必要な回路と不要な回路を切り分けたので、発電停止中のバッテリ10の消費を抑えることができる。この結果、系統電源4の給電中、系統電源4の消費電力を抑制できる。
【0154】
(6) 充電電源回路74と負荷電源回路76に目的別に電源回路を分離、独立させたので、系統電源4の正常時、その停電時のエンジン起動時のそれぞれにおいて、バッテリ10に接続される負荷を分散し、低減できる。
【0155】
〔他の実施の形態〕
【0156】
上記実施の形態では、バッテリ接続スイッチ90と非常停止スイッチ94−1、94−2を別個に構成したが、これらを兼用させる構成としてもよい。
【0157】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。