(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項5に記載の支持構造において、側面視で、前記一方のスイングアームブラケットの投影面積が、前記他方のスイングアームブラケットの投影面積よりも大きく設定されているスイングアームの支持構造。
請求項5または6に記載の支持構造において、前記一方のスイングアームブラケットの左右の前記対向部分うち、車幅方向外側の一方の前記対向部分の板厚が、他方の前記対向部分の板厚よりも大きく設定されているスイングアームの支持構造。
請求項1から7のいずれか一項に記載の支持構造において、さらに、左右方向に延びて、左右の前記スイングアームブラケットにおける車幅方向内側の前記対向部分同士を連結するクロス部材を備え、
前記クロス部材に、リヤサスペンションのリンク機構の一部が支持されているスイングアームの支持構造。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「左側」および「右側」は、自動二輪車に乗車したライダーから見た左右側をいう。
【0019】
図1は本発明の第1実施形態に係る自動二輪車のスイングアームの支持構造を備えた自動二輪車の側面図である。この自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を形成するメインフレーム1と、後半部を形成するリヤフレーム2とを有している。
【0020】
図2は車体フレームの側面図で、
図3は平面図である。メインフレーム1は、前端のヘッドパイプ4の上部から後斜め下方に延びる左右一対のメインフレーム片1a,1aを有している。メインフレーム片1aの後端には、左右方向(車幅方向)に延びるアッパクロス部材5が設けられている。メインフレーム1は、さらに、アッパクロス部材5から下方に延びる左右一対の上下フレーム片1b,1bを有している。また、メインフレーム1は、ヘッドパイプ4の下部から後方斜め下方に延びる左右一対のアンダーフレーム片1c,1cを有している。メインフレーム片1a,1aとアンダーフレーム片1c,1cとは、複数の補強部材1dにより連結されている。
【0021】
リヤフレーム2は、アッパクロス部材5から後方に延びる左右一対のシートレール2a,2aと、上下フレーム片1b,1bの下端部から後方斜め上方に延びてシートレール2a,2aに連結される左右一対の補強レール2b、2bとを有している。車体フレームFRを構成する各部材1a,1b,1c,1d,2a,2bは、パイプで構成され、それぞれ溶接により連結されている。パイプは、例えば、鋼製である。
【0022】
図1に示すように、このヘッドパイプ4にステアリングシャフト(図示せず)を介してフロントフォーク8が回動自在に軸支されている。フロントフォーク8の上端部に操向用のハンドル6が固定される。フロントフォーク8の下端部に前輪10が取り付けられている。
【0023】
図2に示す左右の上下フレーム片1b,1bの前後方向一方、本実施形態では前側に左右一対のスイングアームブラケット9L,9Rが設けられる。スイングアームブラケット9L,9Rは、上下フレーム片1b,1bに溶接により固着されている。
図1に示すように、このスイングアームブラケット9L,9Rに取り付けたピボット軸16の回りに、スイングアーム12が上下揺動自在に軸支されている。このスイングアーム12の後端部に、後輪14が回転自在に支持されている。スイングアームブラケット9L,9Rの詳細は後述する。
【0024】
スイングアーム12の前部は、左右方向に間隔をあけた2つのアーム部分と、2つのアーム部分の後部を連結するクロス部分とを有する。スイングアーム12のうちの2つのアーム部の間に、左右のスイングアームブラケット9L,9Rが配置される。
【0025】
メインフレーム片1aの下方で上下フレーム片1bの前方に、駆動源であるエンジンEが配置され、メインフレーム1に取り付けられている。詳細には、
図2のアンダーフレーム片1cの下端に設けられた第1マウント部M1、アッパクロス部材5の近傍に設けられた第2マウント部M2およびスイングアームブラケット9L,9Rの下端に設けられた第3マウント部M3を介して、エンジンEが車体に取り付けられている。エンジンEは、動力伝達機構11を介して後輪14を駆動する。本実施形態では、動力伝達機構11としてドライブチェーンが用いられている。本実施形態では、ドライブチェーン(動力伝達機構)11は、車体の左側に配置されている。
【0026】
エンジンEのシリンダ21の前面の排気ポート(図示せず)に、排気管22が接続されている。排気管22は、エンジンEの前方を下方に延びた後、エンジンEの後方下方に配置された排気マフラ24に接続されている。車体の左側に、駐車時に車体を斜めにして支えるサイドスタンド25が配置される。サイドスタンド25は、左側のスイングアームブラケット9Lに支持されている。
【0027】
メインフレーム1のメインフレーム片1aの上部に燃料タンク15が配置される。リヤフレーム2のシートレール2aにライダー用シート18および同乗者用シート20が支持される。車体の両側に、ライダーの足を載せる左右一対のステップ26が配置される。各ステップは、ステップステー28を介してスイングアームブラケット9L,9Rにそれぞれ支持される。また、後輪14と車体フレームFRとの間に、路面から後輪14にかかる衝撃を吸収するリヤサスペンション30が懸架されている。本実施形態では、単一のリヤサスペンション30が車体フレームFRとスイングアーム12との間に接続される。
【0028】
燃料タンク15の前部の下方は左右一対のシュラウド27で覆われる。燃料タンク15の中央部および後部の下方とライダー用シート18の下方とがアッパサイドカバー29で覆われる。スイングアームブラケット9L,9RとエンジンEの後部とがロワサイドカバー31で覆われる。
【0029】
左右のスイングアームブラケット9L,9Rは、ほぼ対称形状である。最初に、左側のスイングアームブラケット9Lを代表として説明し、左右のスイングアームブラケット9L,9Rの異なる部分は別途説明する。
【0030】
図4に示すように、スイングアームブラケット9Lが、車幅方向に2分割された左右のブラケット半体32,34を接合して構成されている。左右のブラケット半体32,34は、平面が車幅方向に向く板金からなり、その後縁が上下フレーム片1bに溶接により固着されている。左右のブラケット半体32,34の前縁は、車幅方向に折り曲げられて
連結部分32a,34aを構成し、
連結部分32a,34aの端縁が溶接Wにより接合されている。左右のスイングアームブラケット9L,9Rは、下側が開口している。これにより、スイングアームブラケット9L,9Rの軽量化を図るとともに、メインフレーム1の溶接完了後に塗装した際に、開口から塗料を排出することができる。
【0031】
換言すれば、左右のスイングアームブラケット9L,9Rのそれぞれが、左右方向に間隔を開けて対向配置された左右の板状の対向部分320,340を有し、これら左右の対向部分320,340が車幅方向に延びる板状の連結部分32a,34aにより連結されている。本実施形態では、左右のブラケット半体32,34における連結部分32a,34aを除いた本体部分が対向部分320,340を構成する。なお、連結部分32a,34aは、対向部分320,340と別体に設けてもよい。スイングアームブラケット9L,9Rの下端で前端に、左右方向に延びるロワクロス部材35が溶接により固着されている。ロワクロス部材35は、パイプで構成され、左右のスイングアームブラケット9L,9Rを連結する。
【0032】
ピボット軸16は、スイングアームブラケット9L
,9Rの車幅方向外側でスイングアーム12を揺動自在に支持する。ピボット軸16は、スイングアームブラケット9L,9Rに挿通されたピボットパイプ36と、このピボットパイプ36に挿通されたピボット軸体38(
図8)とを有している。
【0033】
4つのブラケット半体32,32,34,34のそれぞれに、ピボット軸16を挿通させるパイプ挿通孔32b,34bが形成されている。これら4つのパイプ挿通孔32b,34bに前記ピボット軸16が挿通され、このピボット軸16のピボットパイプ36が4つのブラケット半体32,32,34,34のそれぞれに溶接により固定されている。つまり、ピボット軸16は、スイングアームブラケット9L,9R毎に、左右の対向部分320,340のそれぞれに支持されている。ピボット軸16の支持構造は後述する。上下フレーム片1bは、パイプ挿通孔32b,34bの下端、すなわちピボット軸16の下端よりも下方にまで延在している。
【0034】
対向する2つの対向部分320,340は、互いに異なる部材が接続されて一体構成される。これによって、左右の板厚を異ならせたり、対向部分320,340ごとの形状を異ならせたりすることができる。その結果、過剰剛性を防ぎつつ、必要な部分の剛性を確保させやすい。
【0035】
上下フレーム片1bに対して前後方向、本実施形態では前方に間隔をあけて連結部分32a,34aが配置され、連結部分32a,34aと上下フレーム片1bとの前後方向の間に、対向部分320,340が配置される。対向部分320,340によって、連結部分32a,34aと上下フレーム片1bとが連結される。
【0036】
上下フレーム片1bの下端よりも上方で、上下フレーム片1bと連結部分32a,34aとの前後方向の間に、ピボット軸16が配置される。上下フレーム片1a,1bは、断面が円筒状のパイプ部材で形成される。左右一対の補強レール2bには、断面が円筒状のパイプ部分2baと、パイプ部分2baよりも前方に位置する接続部分2bbとが形成されている。接続部分2bbは、円筒状のパイプが軸線方向に変形された形状であって、後方に凸となる円弧形状に形成される。接続部分2bbは、上下フレーム片1bの下部と対向して位置し、上下フレーム1bの外形に沿った形状に形成され、上下フレーム片1bの下部に溶接で接続される。補強レール2bおよび上下フレーム1bの下端が、ピボット軸16の上端または中心に比べて、下方に位置している。これにより、ピボット軸16の支持剛性が向上する。
【0037】
スイングアームブラケット9L,9Rは、上下方向に垂直な断面形状が略U字状に形成されて、上下方向に延びる。スイングアームブラケット9L,9Rは、後方に開口する開口部91が形成される。スイングアームブラケット9L,9Rの開口部91は、接続される上下フレーム片1bに向いて配置される。本実施形態では、開口部91は、スイングアームブラケット9L,9Rの後端縁に形成される。開口部91は、上下フレーム片1bに上下方向に沿って当接可能に、上下フレーム片1bに沿って延びる。開口部91と上下フレーム片1bとが当接する当接部分が溶接で接合される。これにより、スイングアームブラケット9L,9Rが上下フレーム片1bに連結される。本実施形態では、上下フレーム片1bは、上下方向に延びるとともに前後方向に湾曲して形成されるので、開口部91の後端部は、上下フレーム片1bに沿って、上下方向に延びるとともに前後方向に湾曲して形成される。
【0038】
スイングアームブラケット9L,9Rの開口部91は、車幅方向外側に位置する外側部材の端部と、車幅方向内側に位置する内側部材の端部とにより形成される。内側部材と外側部材とは、左右方向に間隔をあけて配置される。本実施形態では、外側部材および内側部材は、スイングアームブラケット9L,9Rの対向部分320,340である。内側部材と外側部材との車幅方向間隔は、上下フレーム片1b,1bの車幅方向間隔よりも小さく形成される。これにより、上下フレーム片1bとスイングアームブラケット9L,9Rとの間に、接続用の部材を設けることなく、直接両者を溶接で接合することができる。
【0039】
内側部材は、上下フレーム片1bの車幅方向内側部に対向する位置に溶接で接合される。外側部材は、上下フレーム片1bの車幅方向外側部よりも車幅方向内側となる位置に溶接で接合される。これにより、スイングアームブラケット9L,9Rの車幅方向寸法を小さくすることができる。内側部材および外側部材の上端部から、上下フレーム片1bの下端部まで、上下方向にわたって溶接されることで、溶接長さを大きくすることができ、接続剛性を高めることができる。
【0040】
ブラケット半体32,34は、上下方向に垂直な断面形状が略L字状にそれぞれ形成される。ブラケット半体32,34は、上述のように、対向部分320,340と、対向部分320,340に対して屈曲する連結部分32a,34aとを有するL字状に形成される。車幅方向外側のブラケット半体32,34の連結部分32a,34aと、車幅方向内側のブラケット半体34,32の連結部分34a,32aとが重なる部分には、スイングアームブラケット9L,9Rとして前後方向に段差が生じる段差部分が形成される。
【0041】
車幅方向外側のブラケット半体32,34の連結部分32a,34aが、車幅方向内側のブラケット半体34,32の連結部分34a,32aを前方から部分的に覆って形成される。これにより、前記段差部分が、車幅方向外側のブラケット半体32,34で隠れやすくでき、段差部分が車幅方向外側から目立つことを防ぐことができる。例えば、段差部分に沿って溶接する場合には、溶接ビードが目立つことを防いで美観を向上させることができる。
【0042】
一対の連結部分32a,34aの上端部から下端部まで、上下方向にわたって溶接されることで、溶接長さを大きくすることができ、接続剛性を高めることができる。ロワクロス部材35に、一対のブラケット半体32,34の下端部が溶接される。具体的には、一対のブラケット半体32,34は、ロアクロス部材35に対して前後方向にわたって溶接される。また、ピボットパイプ36と各ブラケット半体32,34それぞれが溶接される。
【0043】
このように一対のブラケット半体32,34は、上下フレーム片1b、ロアクロス部材35およびピボットパイプ36に連結されることで、板厚を小さくしても剛性を高めて、変形することが防がれる。
【0044】
左右のスイングアームブラケット9L,9Rのうち、動力伝達機構11が配置される左側のスイングアームブラケット9Lの剛性が、右側スイングアームブラケット9Rの剛性よりも高く設定されている。詳細には、
図2に示すように、側面視で、左側のスイングアームブラケット9Lの投影面積を右側のスイングアームブラケット9Rの投影面積よりも大きくしている。また、左側のスイングアームブラケット9Lの板厚を右側のスイングアームブラケット9Rの板厚よりも大きくしている。
【0045】
左側のスイングアームブラケット9Lの上端部が、右側のスイングアームブラケット9Rの上端部よりも上方まで延びる。左側のスイングアームブラケット9Lの上部の前縁が、右側のスイングアームブラケット9Rの上部の前縁よりも前方へ延びる。スイングアームブラケット9L,9Rにおけるピボット軸16の上端よりも下方の部分は、側面視形状が同じに形成される。上下フレーム片1bとスイングアームブラケット9L,9Rの溶接長さ、連結部分32a,34a同士の溶接長さが、左側のスイングアームブラケット9Lのほうが長く形成される。
【0046】
また、左右のブラケット半体(対向部分320,340)32,34は、互いに異なる剛性を有している。詳細には、本実施形態では、動力伝達機構11に近い側の左側のスイングアームブラケット9Lにおける車幅方向外側(左側)のブラケット半体32の板厚が、他の3つのブラケット半体32,34,34の板厚よりも大きく設定されている。これにより、スイングアームブラケット9Lにおける最も負荷がかかる動力伝達機構11近傍部分の支持強度が効果的に向上される。
【0047】
図5に示すように、前記ロワクロス部材35は、左右方向に延びるパイプ部材40と、パイプ部材40の両端に溶接で固着された板金からなる左右側の閉塞部材42L,42Rとを有している。パイプ部材40は、ピボット軸16よりも十分大きな車幅方向寸法を有している。右側の閉塞部材42Rは、パイプ部材40と同心の円形で、その中心部に車幅方向(左右方向)を向いた第1ねじ孔39が形成されている。
【0048】
左側の閉塞部材42Lは、側面視で、パイプ部材40から後方斜め下方に延びる略長円形である。左側の閉塞部材42Lの前部、詳細には、パイプ部材40の中心線に対応する位置に、車幅方向を向いた第2ねじ孔41が形成されている。さらに、左側の閉塞部材42Lの後部に、車幅方向を向いた第3ねじ孔43が形成されている。本実施形態では、これら第1〜3ねじ孔39,41,43は溶接ナットで構成されている。
【0049】
ロワクロス部材35のパイプ部材40における左右のスイングアームブラケット9L,9Rの外側部分に、前方に突出するエンジンブラケット44、44が溶接により固着されている。エンジンブラケット44、44が前記第3マウント部M3を構成している。
【0050】
左右のエンジンブラケット44,44は、左右のスイングアームブラケット9L,9Rにそれぞれ溶接される。エンジンE(
図1)の下部の後部が、ボルト45(
図4)を介してエンジンブラケット44に支持される。つまり、左右のスイングアームブラケット9L,9Rが、ボルト45、エンジンブラケット44,44を介して連結される。これにより、スイングアームブラケット9L,9Rの剛性が向上する。さらに、左側スイングアームブラケット9Lの左側のブラケット半体32にエンジンブラケット44が接続されることで、チェーン荷重によるブラケット半体32の変形を防ぐことができる。
【0051】
左側の閉塞部材42Lに、
図4のスタンドブラケット46を介して前記サイドスタンド25が取り付けられている。スタンドブラケット46は、車幅方向を向いた面を有する上半部46aと、斜め上方を向いた面を有する下半部46bとを有している。下半部46bの上端が上半部
46aの下端に連なっている。
【0052】
スタンドブラケット46の上半部46aにおける、左側の閉塞部材42Lの第2および第3ねじ孔41,43(
図5)に相当する位置に、車幅方向を向く第1および第2ボルト挿通孔48,49がそれぞれ形成されている。さらに、スタンドブラケット46の上半部46aにおける前側の第1ボルト挿通孔48の前方上方に、左右方向を向く第4ねじ孔50が形成され、後側の第2ボルト挿通孔49の後方に、左右方向を向く第5ねじ孔51が形成されている。
【0053】
スタンドブラケット46の下半部46bに、スタンド取付孔52が形成されている。このスタンド取付孔52にボルト54を挿通することで、サイドスタンド25がスタンドブラケット46に回動自在に取り付けられる。車幅方向外側からボルト55,55を、スタンドブラケット46の上半部46aの第1および第2ボルト挿通孔48,49に挿通したのち、左側の閉塞部材42Lの第2および第3ねじ孔41,43(
図5)に締め付ける。これにより、サイドスタンド25がスタンドブラケット46を介して車体に回動自在に支持される。なお、
図4では、ステップ26およびステップステー28は省略されている。
【0054】
図7は、
図4にステップ26およびステップステー28を追加した状態を示す。同図に示すように、右側のステップステー28Rは、その前部が、ロワクロス部材35の右側の閉塞部材42Rに支持されている。詳細には、車幅方向外側からボルト56を、右側のステップステー28Rに設けた挿通孔(図示せず)に挿通したのち、右側の閉塞部材42Rの第1ねじ孔39(
図5)に締め付ける。これにより、右側のステップステー28Rの前部が、ロワクロス部材35の右側の閉塞部材42Rに支持される。右側のステップステー28Rの上部は後述の構造でスイングアームブラケット9L,9Rに支持される。
【0055】
左側のステップステー28Lは、その前部が、スタンドブラケット46を介して、ロワクロス部材35の左側の閉塞部材42Lに支持されている。詳細には、左側のステップステー28Lの前端部における、スタンドブラケット46の上半部46aの第4および第5ねじ孔50,51(
図4)に対応する位置に、車幅方向を向く第3および第4ボルト挿通孔58,59がそれぞれ形成されている。この第3および第4ボルト挿通孔58,59に、車幅方向外側からボルト60,61をそれぞれ挿通したのち、スタンドブラケット46の上半部46aの第4および第5ねじ孔50,51(
図4)に締め付ける。これにより、左側のステップステー28Lの前部が、スタンドブラケット46を介してロワクロス部材35の左側の閉塞部材42Lに支持される。
【0056】
このように、動力伝達
機構11が配置される左側のステップステー28Lを、ボルト60,61によってスタンドブラケット46に支持させることにより、別途、ステップステー28Lを上下フレーム1bに支持する支持部材を省略している。これにより、ステップステー28Lの支持構造が簡略化されるので、左側のステップステー28Lをスタンドブラケット46の外側に配置しながらも、動力伝達
機構11との干渉を防止しながら、スタンドブラケット46により安定して支持できる。
【0057】
上述のように、スタンドブラケット46に、ステップステー28Lの下部を固定するための固定部が形成される。これにより、スタンドブラケット46の形状を変更することで、ステップステー28Lの取り付け位置を変更することができ、閉塞部材42Lを変更する場合に比べて、設計変更を容易化することができる。また、ステップステー28Lの上部の固定を、ピボット軸16の固定と共通化することで、ピボット軸16の上方にステップステー28Lを固定するブラケットが不要になる。これにより、ステップステー28Lの上方の空間を有効利用することができるうえに、ステップステー28Lを車幅方向内側に配置することができる。
【0058】
つぎに、左右側のステップステー28L、28Rの上部の支持構造を、スイングアーム12の支持構造と共に説明する。
図8に示すように、左右のスイングアームブラケット9L,9Rの各ブラケット半体32,34に設けた左右方向を向いたパイプ挿通孔32b,34bに、ピボット軸16のピボットパイプ36が挿通されている。この状態で、ピボットパイプ36は、4つのブラケット半体32,32,34,34に溶接により固着されている。
【0059】
このピボットパイプ36に、ピボット軸体38が挿通されている。本実施形態のピボット軸体38は、一端に頭部38aが設けられ、他端に雄ねじ部38bが形成されたねじ体からなる。右側のスイングアーム12の前端のピボット部64は、車幅方向内側の小径部64aと車幅方向外側の大径部64bとからなる段付き円筒形状である。ピボットパイプ36の一端部(右端部)36aに、円筒状のカラー66の左端部66aが当接している。カラー66は、右側のスイングアーム12のピボット部64の小径部64a内に収納され、ころ軸受68を介して小径部64aの内周面に回動自在に支持されている。
【0060】
カラー66の右端部66bと右側の筒状の鍔付カラー72との間で、環状の玉軸受69が挟み込まれている。鍔付カラー72の右端には、鍔部72bが設けられている。鍔部72bの外径と、右側のスイングアーム12のピボット部64の大径部64bの内径とはほぼ同じ寸法となっている。鍔部72bの右端面72baは、大径部64bの右端よりも若干右側(車幅方向外側)に位置している。鍔部72bの右端面72baに、右側のステップステー28Rの上部が軸方向に当接している。
【0061】
玉軸受69の外輪69bは、右側のスイングアーム12のピボット部64の小径部64aと大径部64bとの段差面64cと、大径部64bに係止された止めリング70とによって、軸方向に位置規制されている。このように、玉軸受69は、右側のスイングアーム12のピボット部64の大径部64bの内部に収納され、ピボット軸体38と大径部64bの内周面との間に介在されている。
【0062】
左側のスイングアーム12の前端のピボット部74は、外径が一様な円筒状である。ピボットパイプ36の他端部(左端部)36bに、円筒状の鍔付カラー76の右端部76aが当接している。鍔付カラー76の左端部に、鍔部76bが形成されている。鍔部76bの外径は、左側のスイングアーム12のピボット部74の内径よりも大きくなっている。鍔付カラー76の外周面と左側のスイングアーム12のピボット部74の内面との間に、ころ軸受78が介在されている。つまり、鍔付カラー76は、鍔部76bを除いて右側のスイングアーム12のピボット部74内に収納され、ころ軸受78を介して
ピボット部74の内周面に回動自在に支持されている。鍔部76bの左端面76baに、左側のステップステー28Lの上部が軸方向に当接している。
【0063】
ピボット軸体38は、車幅方向外側である右側から挿通される。詳細には、ピボット軸体38は、右側のステップステー28Rに設けられた第5ボルト挿通孔80、鍔付カラー72、玉軸受69およびカラー66の順に挿通されたのち、ピボットパイプ36の内部に挿通される。ピボット軸体38は、ピボットパイプ36を貫通したのち、さらに、鍔付カラー76および左側のステップステー28Lに設けられた第6ボルト挿通孔82の順に挿通され、ナット84によって締め付けられる。
【0064】
これにより、左右のスイングアーム12,12が、ころ軸受78,
68およびピボット軸16を介して左右のスイングアームブラケット9L,9Rに支持されるとともに、左右側のステップステー28L,28Rの上部が左右のスイングアームブラケット9L,9Rに支持される。
【0065】
左右のスイングアームブラケット9L,9Rの内側のブラケット半体、つまり、左側のスイングアームブラケット9Lの右側のブラケット半体34の内面および右側のスイングアームブラケット9Rの左側のブラケット半体32の内面に、板材からなる第1および第2補強部材86,88がそれぞれ溶接により固着されている。
【0066】
また、左右のスイングアームブラケット9L,9Rの外側のブラケット半体、つまり、左側のスイングアームブラケット9Lの左側のブラケット半体32の内面(右側面)および右側のスイングアームブラケット9Rの右側のブラケット半体34の内面(左側面)に、板材からなる第3および第4補強部材85,87がそれぞれ溶接により固着されている。換言すれば、対向部分320,340におけるピボット軸16の周囲の肉厚が、残余の部位に比べて大きく設定されている。
【0067】
各補強部材85〜88は、スイングアームブラケット9L,9Rとピボットパイプ36との接合部を補強している。各補強部材85〜88は、ピボットパイプ36の外周の半分以上を覆うように形成されることが好ましい。各補強部材85〜88は、対向部分320,340の内面(対向面)に溶接されているので、車体外側からは見えない。これにより、外観が向上する。また、本実施形態では、ブラケット半体32,34に、板材からなる補強部材85〜88が接合されているが、例えば、ブラケット半体32,34が型成形品である場合、ピボット軸16の周囲の肉厚が残余の部位に比べて大きくなるように一体形成してもよい。
【0068】
図9に示すように、左側の第1補強部材86は、上端部86aで、左側のスイングアームブラケット9Lの右側のブラケット半体34とピボットパイプ36との接合部を補強している。詳細には、第1補強部材86の上端部86aは、ピボットパイプ36の外周の半分以上を覆うように形成されている。第1補強部材86は、上端部86aから下方に延びて、下端部86bで、ロワクロス部材35のパイプ部材40に溶接により固着されている。
【0069】
第1補強部材86は、その上下方向中間部から後方に延びる第1延出片90を有している。第1延出片90の後端部に左側の第1マフラ取付部92が形成されている。第1マフラ取付部92は、車幅方向に軸心を有する筒状部材を第1延出片90の後端部に溶接で固着することで構成されている。
【0070】
各補強部材86,88が、ピボットパイプ36からロアクロス部材35まで延びることで、各補強部材86,88、ピボットパイプ36およびロアクロス部材35によって、閉ループ状の構造とすることができ、スイングアームブラケット9L,9Rの変形をさらに抑えることができる。
【0071】
ここで、各補強部材86,88をスイングアームブラケット9L,9Rの一部とみなすことができる。また、補強部材86,88に代えて、補強部材86,88が取り付けられる領域において、ブラケット半体32,34の肉厚を部分的に大きく形成してもよい。これによっても、板厚の全体的な増加を防ぎつつ必要な剛性を得ることができる。すなわち、剛性の過不足が生じることを防ぐことができる。
【0072】
各補強部材86,88およびパイプ102を介して、左右のスイングアームブラケット9L,9Rが連結されることで、スイングアームブラケット9L,9Rの剛性が向上する。また、各補強部材86,88および中間クロス部材116を介して、左右のスイングアームブラケット9L,9Rが連結されることでも、スイングアームブラケット9L,9Rの剛性が向上する。さらに、中間クロス部材116が、一対のブラケット半体32,34のうち、左右方向内側のブラケット半体34,32同士を連結することで、左右方向外側のブラケット半体32,34から第6ねじ孔114が車幅方向外側に露出することを防ぐことができ、美観が向上する。
【0073】
左側のスイングアームブラケット9Lの第1補強部材86および右側のスイングアームブラケット9Rの右側のブラケット半体34にパイプ102が支持される。これにより、右寄りにパイプ支持部を形成しやすく、他部品と排気マフラ24との干渉を防ぎやすい。また、車体の右側を通る排気管22と排気マフラ24とを接続しやすい。さらに、一対のスイングアームブラケット9L,9Rが左右方向に間隔をあけて配置されるので、一対のスイングアームブラケット9L,9Rの間に、後述のリンク機構を配置しやすい。
【0074】
右側の第2マフラ取付部96は、右側のスイングアームブラケット9Rの右側のブラケット半体34に形成されている。詳細には、右側のスイングアームブラケット9Rのブラケット半体34に、後方に延びる第2延出片94が形成され、この第2延出片94の後端部に、車幅方向に軸心を有する筒状部材を溶接で固着することで、右側の第2マフラ取付部96が構成されている。
【0075】
図8に示すように、第1および第2マフラ取付部92,96に、グロメットのような両端鍔付の筒状の弾性部材98が装着されている。排気マフラ24(
図1)の上面に、左右一対の取付片100,100が取り付けられている。各取付片100に、車幅方向を向く貫通孔100aが設けられ、各貫通孔100aと同心上に、車幅方向に延びるパイプ102が配置され、取付片100に溶接により固着されている。
【0076】
図11に示すように、車幅方向の右側からボルト104を、第2マフラ取付部96の弾性部材98、パイプ102の内部および第1マフラ取付部92の弾性部材98の順に挿通したのち、ナット106によって締め付ける。これにより、排気マフラ24(
図1)がスイングアームブラケット9L,9Rに支持される。ボルト104の頭部104aと弾性部材98との間、各取付片100と弾性部材98との間、およびナット106と弾性部材98との間には、それぞれワッシャ108が介在されている。
【0077】
図9に示すように、第1補強部材86における上下方向中間部に、車幅方向を向く第1軸挿通孔86cが形成されている。左側のスイングアームブラケット9Lの右側のブラケット半体34における第1軸挿通孔86cに対応する位置に、第2軸挿通孔110(
図6)が形成されている。さらに、左側のスイングアームブラケット9Lの左側のブラケット半体32における第2軸挿通孔110(
図6)に対応する位置に、貫通孔112が形成されている。貫通孔112は、第1および第2軸挿通孔86c、110よりも十分に大きな直径を有している。
【0078】
図6に示すように、右側の第2補強部材88は、上端部88aで、右側のスイングアームブラケット9Rの左側のブラケット半体32とピボットパイプ36との接合部を補強している。詳細には、第2補強部材88の上端部88aは、ピボットパイプ36の外周の半分以上を覆うように形成されている。第2補強部材88は、上端部88aから下方に延びて、下端部88bで、ロワクロス部材35のパイプ部材40に溶接により固着されている。
【0079】
第2補強部材88における上下方向中間部に、車幅方向を向く第3軸挿通孔88cが形成されている。
図9に示す右側のスイングアームブラケット9Rの左側のブラケット半体32における第3軸挿通孔88c(
図6)に対応する位置に、第6ねじ孔114が形成されている。本実施形態の第6ねじ孔114は、溶接ナットで構成されている。
【0080】
左右のスイングアームブラケット9L,9Rの間で、第1補強部材86の第1軸挿通孔86cと第2補強部材88の第3軸挿通孔88c(
図6)に対応する位置に、車幅方向に延びる円筒パイプからなる中間クロス部材116が設けられている。つまり、中間クロス部材116の内部が、第1補強部材86の第1軸挿通孔86cと第2補強部材88の第3軸挿通孔88cに連通している。中間クロス部材116は、左側のスイングアームブラケット9Lの車幅方向内側の右側ブラケット半体34と、右側のスイングアームブラケット9R車幅方向内側の左側ブラケット半体32とを連結している。
【0081】
中間クロス部材116は、後述のプルロッド120を支持する筒状のロッド支持部118の貫通孔に嵌合されている。中間クロス部材116は、これらロッド支持部118およびプルロッド120と組み合わせた状態で、左右のスイングアームブラケット9L,9Rの間に配置する。この状態で、車幅方向外側(左側)からボルト122(
図4)を、第2軸挿通孔110(
図6)、第1軸挿通孔86c、中間クロス部材116の貫通孔および第3軸挿通孔88cの順に挿通したのち、第6ねじ孔114に締め付ける。これにより、中間クロス部材116が、スイングアームブラケット9L,9Rに着脱自在に支持される。つまり、溶接ナット(第6ねじ孔)114は、中間クロス部材116を介してスイングアームブラケット9L,9Rにプルロッド120を支持する固定部を構成する。
【0082】
左側のスイングアームブラケット9Lの車幅方向外側のブラケット半体32に、大径の貫通孔112が設けられているので、この貫通孔112を介して、ボルト122の操作が容易に行える。したがって、中間クロス部材116、プルロッド120の取り付け作業、交換作業が容易になる。また、スイングアームブラケット9L,9Rにおける中間クロス部材116が設けられる部位は、第1および第2補強部材86,88により補強されているので、中間クロス部材116を安定して支持できる。
【0083】
ロッド
支持部118に、左右一対の前記プルロッド120の一端部(下部)が支持されている。プルロッド120は、中間クロス部材116に支持される車体搭載部品の一種で、リヤサスペンション
30のリンク機構の一部を構成している。
【0084】
図10は左側の車体フレームFRを省略して、右側の車体フレームFRを内側から見た状態を示している。同図に示すように、各プルロッド120は、ロッド支持部118に連結される被支持部分124と、被支持部分124を基端として上方斜め後方に延びるロッドアーム部分126と、ロッドアーム部分126の先端(上端)に設けられたリンク連結部分128とを有している。被支持部分124およびリンク連結部分128には、それぞれ車幅方向を向く第1および第2支持部挿通孔124a,128aが形成されている。
【0085】
各被支持部分124の第1支持部挿通孔124aに、ロッド支持部118が挿通されている。つまり、プルロッド120の下部は、ロッド支持部118および中間クロス部材116を介して、スイングアームブラケット9L,9Rに回動自在に支持される。
【0086】
各プルロッド120の上部は、左右一対のリンクアーム130を介してスイングアーム12に支持されている。詳細には、リンク連結部分128を介してプルロッド120の上部に、リンクアーム130がボルト135(
図4)を用いて相対回転自在に連結されている。各リンクアーム130は、プルロッド120に連結されるプルロッド連結部分140と、スイングアーム12に連結されるスイングアーム連結部分142と、リヤサスペンション30に連結されるリヤサス連結部分144とを有している。
【0087】
プルロッド連結部分140は、リンク連結部分128の車幅方向外側に位置し、前記ボルト135(
図4)によりリンク連結部分128に相対回転自在に連結されている。スイングアーム連結部分142は、スイングアーム12に設けられたアーム取付片134にボルト136(
図4)を用いて相対回転自在に連結されている。リヤサス連結部分144は、プルロッド連結部分140の後方に位置している。このリヤサス連結部分144にボルト138(
図4)を用いてリヤサスペンション30の下端部30aが相対回転自在に連結されている。
【0088】
リヤサスペンション30の上端部30bは、アッパクロス部材5に設けられたリヤサス取付片5aに、ボルト146により相対回転自在に連結されている。このように、プルロッド120およびリンクアーム130が、リヤサスペンション30のリンク機構を構成している。
【0089】
上記構成によれば、
図4に示すように、スイングアーム12,12がスイングアームブラケット9L,9Rの外側で、スイングアームブラケット9L,9Rに支持されている。これにより、車体の後部の幅方向寸法を抑えることができ、車体のスリム化を達成できる。
【0090】
また、左右一対のスイングアームブラケット9L,9Rのそれぞれが対向部分320,340を有する左右のブラケット半体32,34を備え、スイングアーム12を支持するピボット軸16がこの4つのブラケット半体32,32,34,34に支持されている。これにより、スイングアームブラケット9L,9Rの全体の肉厚を大きくすることなく、4つのブラケット半体32,32,34,34のうち必要な部材の板厚のみを大きくすることで、必要な個所の剛性を高めることができる。その結果、車体のスリム化を達成しつつ、スイングアームブラケット9L,9Rの重量の増加を抑制しながら、必要な支持剛性を効果的に確保することができる。
【0091】
左右のブラケット半体32,34は、その前部で連結部分32a,34aにより左右のブラケット半体32,34同士が溶接により連結された状態で、その後部で上下フレーム片1bに溶接で固着されている。これにより、対向部分320,340を有するブラケット半体32,34の変形が効果的に抑制されて、スイングアーム12の支持剛性が高くなる。
【0092】
上下フレーム片1bは、ブラケット半体32,34におけるピボット軸16よりも下方にまで延びている。したがって、上下フレーム片1bにより、ブラケット半体32,34のスイングアーム12の支持剛性が向上する。
【0093】
左右のブラケット半体32,34は、互いに異なる剛性を有している。詳細には、左右のブラケット半体32,34のうち、車幅方向外側の一方のブラケット半体の板厚が、内側のブラケット半体の板厚よりも大きく設定されている。これにより、必要な一方のブラケット半体の剛性を効果的に高めることにより、重量の増加を抑制できる。
【0094】
また、動力伝達機構11が配置される左側のスイングアームブラケット9Lの剛性が、右側スイングアームブラケット9Rの剛性よりも高く設定されている。詳細には、
図2に示すように、側面視で、左側のスイングアームブラケット9Lの投影面積が、右側のスイングアームブラケット9Rの投影面積よりも大きく設定されている。これにより、動力伝達
機構11からの負荷を受ける左側のスイングアームブラケット9Lの剛性を高くできる。
【0095】
図9に示すように、左右のスイングアームブラケット9L,9Rにおける車幅方向内側のブラケット半体34,32同士を連結する中間クロス部材116に、プルロッド120が支持されている。この構成によれば、スイングアームブラケット9L,9Rの内側に金具類が配置されるので、外側から金具類が見えにくくなるから、見栄えがよい。
【0096】
プルロッド120を支持する中間クロス部材116が、左右のスイングアームブラケット9L,9Rを連結している。これにより、左右のスイングアームブラケット9L,9Rの全体の肉厚を大きくすることなく、左右のスイングアームブラケット9L,9Rの剛性が向上する。
【0097】
右側のスイングアームブラケット9Rに、車体搭載部品の一種であるプルロッド120を支持する固定部(溶接ナット114)が形成されている。各スイングアームブラケット9L,9Rは、左右のブラケット半体32,34を接合して構成されているので、固定部が形成される右側のスイングアームブラケット9Rの左側のブラケット半体32のみの剛性を高めることができる。これにより、スイングアームブラケット9L,9Rの全体の肉厚を大きくすることなく、必要な個所の剛性を向上させることができる。
【0098】
また、ステップステー28が、ピボット軸16に連結されている。これにより、ピボット軸
16の固定とステップステー28の固定を共通化でき、部品点数が低減するうえに、軽量化を図ることができる。
【0099】
図8に示すように、各ブラケット半体32,34の対向面に、第1〜第4補強部材85〜88が溶接により固着されている。これにより、各対向部分320,340におけるピボット軸16の周囲の肉厚が、残余の部位に比べて大きく設定されている。このように、ピボット軸16の周囲の肉厚を大きくすることで、ピボットパイプ36の対向部分320,340への溶接がし易くなる。また、対向部分320,340の肉厚を部分的に厚くすることで、スイングアームブラケット9L,9Rの全体の肉厚を大きくすることなく、必要な個所の強度を高めつつ、スイングアームブラケット9L,9Rの軽量化を図ることができる。
【0100】
上記実施形態では、車幅方向内側のブラケット半体32,34の内側面に、第1および第2補強部材86,88が溶接で固着されている。これによっても、スイングアームブラケット9L,9Rの必要な個所の剛性を効果的に高めることができる。具体的には、スイングアームブラケット9L,9Rにおけるピボット軸16を支持する部位、および中間クロス部材116を支持する部位に、第1および第2補強部材86,88が設けられている。
【0101】
また、第1補強部材86および右側のスイングアームブラケット9Rの右側のブラケット半体34に、それぞれマフラ取付部92,96を一体に設けるとともに、スイングアームブラケット9L,9Rに着脱自在に取り付けられた中間クロス部材116に、リヤサスペンション30のリンク機構の一部が支持されている。上記実施形態のスイングアームブラケット9L,9Rは、対向部分320,340を有する左右のブラケット半体32,34を備えているので、補強部材や、車体に搭載される部品を支持するためのステー、ブラケット類の取り付けが容易である。
【0102】
さらに、ブラケット半体32,34は、一方が平板状に形成され、他方が上下方向に垂直な断面が略L字状に形成されてもよい。スイングアームブラケット9L,9Rは、2つのブラケット半体32,34で組み合わされて形成される以外に、3つ以上のブラケット半体が組み合わされて形成されてもよい。また、スイングアームブラケット9L,9Rは、1つの部材によって断面がU字状に形成されてもよい。
【0103】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、上下フレーム片1bの前方にスイングアームブラケット9が形成されているが、後方に設けてもよい。また、左右の板材部材を連結する連結部分はなくてもよい。さらに、上記実施形態では、中間クロス部材116に支持される車体搭載部品としてプルロッド120が用いられていたが、車体搭載部品はこれに限定されず、例えば、排気マフラ、エンジン、サイドスタンド、ステップステー等であってもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。