(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
仕切空間に火災検出センサと消火装置と火災発生源を有する筐体を配置し、前記消火装置は、消火ガスを充填し口元を封板でシールしたガスボンベと、前記火災検出センサの動作に連動して封板を破封可能にしたアクチュエータとを備え、前記ガスボンベをボンベホルダに着脱可能に装着し、前記ボンベホルダに貫通孔を形成し、該貫通孔に斜管を突設したガイドロッドを摺動可能に挿入し、該ガイドロッドを突設し内部に斜管に連通するガス通路とノズル孔を形成した破封ホルダをボンベホルダの同軸上に離間して配置し、該破封ホルダをボンベホルダの外側に装着したアウターハウジングの内側に配置し、該アウターハウジングの周面にノズル孔に連通可能な噴口を形成し、前記火災検出センサに連動するとアクチュエータの作動を介して封板を破封し、噴出した消火ガスを噴口を介して前記空間内の火元に噴射可能にした自動消火装置において、前記空間内に内部を複数室に区画した筐体を設置し、その複数の区画室に火災検出センサを配置し、該火災検出センサの一の検出信号によってアクチュエータを駆動し、ガスボンベを破封した消火ガスを別の一または複数の区画室に噴射可能にしたことを特徴とする自動消火装置。
前記アウターハウジングに支軸の一端を係合し、この他端にアクチュエータの回動変位に連動する回転板を回動可能に支持し、前記支軸の一端部にセットスプリングを圧縮して介挿し、前記回転板を所定角度回動して前記支軸を一端部側へ移動し、前記セットスプリングを介しアウターハウジングを押圧して破封可能にした請求項1記載の自動消火装置。
前記回転板にセクターギアを突設し、該セクターギアをアクチュエータと同動する駆動ギアに歯合し、前記回転板を所定角度回動可能にした請求項7記載の自動消火装置。
前記駆動ギアの両側に二つの回転板を配置し、各回転板のセクターギアの同側端部を駆動ギアに歯合し、前記回転板を支持する二つの支軸の一端部側への移動時期を相違可能にし、対応するアウターハウジングの押圧ないし破封時期を相違させた請求項8記載の自動消火装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明をコインランドリーの店内に設置した消火対象である乾燥機の火災に適用した図示の実施形態について説明すると、
図1乃至
図15において1はコインランドリー店で、店内に複数台の洗濯機2と燃焼ガス方式の乾燥機3が設置され、通常能力の乾燥機3を洗濯機2と同列に配置し、該乾燥機3の二台を上下に積み重ねて設置している。図中、4は前記乾燥機3よりも乾燥能力および容積が大きな乾燥機で、乾燥機3と別個に配置している。
【0027】
前記乾燥機3,4は筐体である箱形のハウジング5を備え、その前部に取出口6を設け、該取出口6に開閉扉7を取付け、把手8によって開閉可能にしている。
前記ハウジング5の内部に中空筒状のドラムケース9が設けられ、該ケース9の内側に回転ドラム10が水平軸(図示略)に回転可能に支持され、該ドラム10の内部に被乾燥物である衣類11を収容可能にしている。
【0028】
前記ハウジング5の上部とドラムケース9との間に上側配線スペース12が設けられ、該ドラムケース9と回転ドラム10との間に下側配線スペース13が設けられ、これらの配線スペース12,13は互いに連通していて、これらに各種のスイッチとタイマ等の電気機器並びそれらのリード線(図示略)が収容されている。
【0029】
前記回転ドラム10の前部直下に温風導入口14が開口され、また回転ドラム10の背部に排気口15が設けられ、該排気口15に排気フィルタ16が取付けられ、布屑等の排出を防止している。
前記ハウジング5の背部に排気通路17が上向きに設けられ、その一端が上部に開口し、他端が前記排気口15に連通している。図中、18は前記排気通路17の中間部に設けた排気ファンである。
【0030】
前記排気通路17に煙検知センサ等の第1の火災検出センサ19が設置され、また後述する下側配線スペースまたは上側配線スペース、若しくは上側配線スペースに設置した消火装置の適所に、感熱センサ等の第2の火災検出センサ20が設置され、これら第1および第2の火災検出センサ19,20の検出信号を制御装置21へ出力し、この何れか一方の検出信号入力によって制御装置21から後述するアクチュエータへ制御信号を出力可能にしている。
【0031】
この場合、排気通路17に感熱センサを設置し、下側配線スペースまたは上側配線スペース、若しくは上側配線スペースに設置した後述する消火装置の適所に感熱センサを設置することも可能である。
また、第1および第2の火災検出センサ19,20の検出信号を制御装置21へ出力後、制御装置21から後述するバーナーの開閉弁またはヒートポンプ装置の冷媒の開閉弁に制御信号を送り、該開閉弁を閉弁して燃焼ガスまたは冷媒の導入を遮断し、温風の導入を遮断して火災の延焼を阻止することが望ましい。
【0032】
前記制御装置21はパーソナルコンピュータを備え、該コンピュータは第1および第2の火災検出センサ19,20の検出信号を受け入れ可能にされ、また後述するアクチュエータであるモータへの制御信号の条件と作動時間が記憶されていて、前記検出信号の少なくとも一方の信号入力を条件に、消火装置22に備えた前記モータ23へ制御信号を出力し、該モータ23を駆動可能にしている。
【0033】
前記消火装置22は横長の箱形に形成され、これを実施形態では上側電気配線スペース12に横向きに設置し、後述する噴口から消火ガスである二酸化炭素を回転ドラム10内と、上側または下側の電気配線スペース12,13へ噴出可能にしている。
このため、各噴口に折り曲げ可能な後述する導管の一端を接続し、その他端を回転ドラム10内と、予め選択した上側または下側の電気配線スペース12,13へ配管している
【0034】
前記ハウジング5の背部に排気通路17に沿って吸気通路24が設けられ、その一端をハウジング5の上方に開口し、他端を空気溜り25に連通している。
前記空気溜り25はガス燃焼室26に連通し、それらの間に分岐路27,28が上下に設けられ、これらに分流した空気を燃焼室26の上下に導入して内部のガスバーナ29に供給し、燃焼後の熱気を燃焼室26から温風導入口14へ供給可能にしている。
【0035】
前記消火装置22は開蓋可能な消火ボックス30によって内部を区画され、その一側に区画室31〜33が設けられ、側端部の区画室31に前記制御装置21が収容され、その背部にモータ23用の電池(図示略)が配置されている。図中、34は制御装置21の取付用のビス孔である。
【0036】
前記消火ボックス30は縦50mm、横116mmの矩形断面で、長さ105mmの箱形に形成され、その端部から後述する二つのボンベケースを延設し、それらの全長を374mmに形成している。
前記区画室32にアクチュエータである前記モータ23が配置され、該モータ23はDCモータで構成され、前記電池から電力を給電され、制御装置21の制御信号によって作動を制御されている。前記区画室33は、実施形態では空状態の予備室にされている。
【0037】
前記消火ボックス30の中間部から他側に亘って、中空筒状の二つのボンベケース35,36が突設され、これらは実質的に同一に構成されている。
すなわち、前記ボンベケース35,36は離間して配置され、これらは外径50mm、長さ250mmの略卵形断面に形成され、その底部にキャップ38,39が着脱可能に装着されている。
【0038】
前記キャップ38,39は平坦な底面を有し、内部に略半球状の凹孔38a,39aを形成し、該凹孔38a,39aにガスボンベ40,41の底部を収容している。
前記ガスボンベ40,41は口元のネジ部をボンベホルダ44,45のネジ部にねじ込んで着脱可能に取付けられ、その内部に消火ガスとして、約4MPaの二酸化炭素を充填し、その上端の開口部に封板46,47を気密にシールし、該封板46,47を後述する斜管で突き刺し破封可能にされている。
【0039】
実施形態では前記凹孔38a,39aの内面に粘着材を塗布して、ガスボンベ40,41の底部にキャップ38,39を一体的に固定し、該キャップ38,39の回動操作によって、ガスボンベ40,41をボンベホルダ44,45に着脱可能に取付けている。
【0040】
一方、前記ボンベケース35,36内の片側半部に合成樹脂製のシリンダ54,55が挿入され、その片側端部をボンベケース35,36にビス止めして固定している。
前記シリンダ54,55は軸方向に二つ割り成形され、その内部に後述するクラッチ板とセットスプリングとアウターハウジングを組み付け後、その接合面を接合し、これをビスで連結して接合している。
【0041】
前記シリンダ54,55は前記ボンベケース35,36の内面に嵌合可能な前記断面形状に形成され、その片側の内部に段付孔54a,55aが形成され、この段部に貫通孔114,115を形成している。
前記貫通孔114,115の一側に若干大径のガイド孔116,117が形成され、該ガイド孔116,117の他側に小径の通孔118,119を形成している。
【0042】
前記段付孔54a,55aの段部にアルミダイカスト製のクラッチ板98,99が配置され、その側端面を段付孔54a,55aの側面に係合してシリンダ54,55に固定している。
すなわち、クラッチ板98,99は
図8のように矩形板状に形成され、その中央に支軸80,81を挿入可能な通孔124,125を形成し、この一側面にドグ100,101が突設されている。
前記ドグ100,101は円筒状周面の等角度位置に複数の係合歯102,103を突設し、該係合歯102,103を後述するシフターディスクの嵌合溝に係脱可能に挿入している。
【0043】
前記クラッチ板98,99の側端面に係合突起104,105とネジ孔106,107が形成され、前記係合突起104,105を段付孔54a,55aの側面に形成した凹部108,109に係合し、またボンベケース35,36の外側からビスを挿入し、これをネジ孔106,107にねじ込み、更にクラッチ板98,99の他側端面に形成した透孔121,121に、シリンダ54,55の外側からタッピングネジ122,122をねじ込んで、クラッチ板98,99を固定している。
【0044】
一方、前記貫通孔114,115にセットスプリング112,113と、該スプリング112,113を貫挿する支軸80,81が配置され、該支軸80,81の一端80a,81a、実施形態ではボルト頭部をアウターハウジング48,49の端面に係合し、前記セットスプリング112,113の圧縮力に作用させて、アウターハウジング48,49をガスボンベ40,41側へ移動可能に付勢している。
【0045】
前記アウターハウジング48,49は
図7のように有底中空の円筒体に形成され、その内部に後述する破封ホルダとボンベホルダ44,45とを近接離反動可能に収容し、前記通孔118,119にボンベホルダ44,45の端部周面を挿入している。
図中、120はシリンダ54,55の中間部に形成した導管引出孔で、ボンベケース35,36の中間部周面に形成した通孔70,71に連通している。
【0046】
前記ボンベホルダ44,45は中空円筒状に形成され、その平滑な外周面をアウターハウジング48,49の内部に摺動可能に挿入し、その内部に貫通孔60a,60aを形成している。
前記貫通孔60a,60aの一端にネジ孔44a,45aが形成され、該ネジ孔44a,45aにガスボンベ40,41の口元のネジ部42,43をねじ込み可能にしている。
【0047】
前記アウターハウジング48,49の中間部周面の対向位置に長溝50,51が軸方向に形成され、該溝50,51にボンベホルダ44,45の周面に突設した係止ピン52,53を挿入し、かつ長溝50,51の開口縁に係合可能に配置して、アウターハウジング48,49の移動を規制している。
前記貫通孔60a,60aにガイドロッド56,57が摺動可能に挿入され、その先端に尖端部を形成した斜管58,59を突設し、その尖端部を封板46,47に刺し込んで破封可能にしている。
【0048】
前記ガイドロッド56,57は破封ホルダ60,61の一側に突出形成され、それらの内部に各斜管58,59に連通するガス通路62,63が形成され、該通路62,63の奥部にノズル孔64,65が形成され、該ノズル孔64,65をアウターハウジング48,49に形成した噴口66,67に連通している。
前記噴口66,67の一方、実施形態では噴口66に折り曲げ可能な導管68の一端が接続され、この他端がボンベケース35の中間部周面に形成した通孔70を貫通して、前記ケース35の外部の開閉扉7に配管され、その噴出口を回転ドラム10内に向けて配置し、他方の噴口67をそのまま上側電気配線スペース12に向けて配置している。
【0049】
この場合、他方の噴口67に前述と同様な導管69を接続し、この他端をドラムケース9に設けた通孔(図示略)に差し込み、破封後の消火ガスを下側電気配線スペース13に噴出させても良い。
更に、他方の噴口67に前述と同様な導管69を連結し、この他端をボンベケース35の中間部周面に形成した通孔70を貫通して開閉扉7に配管し、その噴出口を回転ドラム10内に向けて消火ガスを噴出させても良い。
【0050】
図中、71,71は破封ホルダ60,61をアウターハウジング48,49に固定する固定ピンで、その外端部をアウターハウジング48,49の周面上に配置し、破封ホルダ60,61とアウターハウジング48,49を同動可能にしている。
この他、72,72はボンベホルダ44,45と破封ホルダ60,61との間に介挿した円錐コイル状のスプリングで、その弾性を介してアウターハウジング48,49を一方向へ付勢している。
【0051】
図中、73はガイドロッド56,57の端部周面に装着したOリング、74は前記貫通孔60a,60aの端部に形成した凹溝に装着したOリングで、貫通孔56,56とガイドロッド56,57、または封板46,47と凹溝との気密を保持可能にしている。
【0052】
一方、前記モータ23の端部に駆動軸75が突出され、該駆動軸75の端部が軸受77に支持され、該駆動軸75に駆動ギア76が固定されている。
前記駆動ギア76の両側に同径の回転板78,79が配置され、それらの中心に支軸80,81である二本のボルトの軸部が挿入され、その軸端のネジ部82,83にナット84,85をねじ込み、回転板78,79を抜け止めしている。
【0053】
前記回転板78,79の周面にセクターギア86,87が設けられ、該セクターギア86,87が前記駆動ギア76に歯合している。
前記駆動ギア76は封板46,47の破封前は、
図6に示すようにセクターギア86,87の同側端部が歯合し、駆動ギア76が駆動しセクターギア86,87が回動後、先ずセクターギア86が駆動ギア76との歯合を解除し、次いでセクターギア87が駆動ギア76との歯合を解除し、後述のように対応するガスボンベ40,41を前後して破封可能にしている。
【0054】
前記回転板78,79の周面に複数の係合爪88,89が板厚方向に突設され、該係合爪88,89がシフターディスク90,91の係合溝92,93に係脱可能に配置され、回転板78,79の動力をシフターディスク90,91に伝達または解除可能にしている
実施形態では、前記係合爪88,89を係合溝92,93に係合して組み付けられ、回転板78,79とシフターディスク90,91とを同動可能にしている。
【0055】
前記シフターディスク90,91は、
図8乃至
図10のようにアルミダイカストによって円板形に形成され、その中央に支軸80,81を挿入可能な貫通孔94,95が形成され、その等角度位置に四つの嵌合溝96,97が十字状に形成され、該嵌合溝96,97にクラッチ板98,99と一体の前記ドグ100,101の係合歯102,103を係脱可能にしている。
【0056】
前記係合歯102,103の先端部は、破封前は嵌合溝96,97の間の端面に係合し、シフターディスク90,91がクラッチ板98,99から離間して配置され、破封時はシフターディスク90,91が回転板78,79と同期回動し、係合歯102,103が嵌合溝96,97に係合して、ドグ100,101がシフターディスク90,91内に係入し、シフターディスク90,91がクラッチ板98,99に係合ないし密接して配置されている
【0057】
そして、前記係合歯102,103が嵌合溝96,97に係合し、ドグ100,101がシフターディスク90,91内に係入すると、支軸80,81がセットスププリング112,113によってアウターハウジング48,49方向へ引き戻され、回転板78,79を駆動ギア76の軸方向へ移動して、セクターギア86,87が駆動ギア76との噛合を解除し、支軸80,81の端部80a,81aがセットスププリング112,113によってアウターハウジング48,49を押圧し、針管58,59による破封を実行可能にしている。
この場合の破封時期は、セクターギア86,87と駆動ギア76との噛合解除時期に関係して若干相違し、各ガスボンベ40,41に対応する消火ガスの噴出時期を相違させている。
【0058】
なお、この実施形態では本発明を熱源にガスを燃焼するガス乾燥機3に適用しているが、ガス乾燥機3の代わりに、回転ドラム10内を電熱で加熱して衣類11を乾燥し、発生する水蒸気を水で冷やして排水する、ヒ−タ−式の乾燥機に適用することも可能である。
また、前記ヒーター式の乾燥機の代わりに、冷凍サイクルを構成するコンプレッサとコンデンサ、膨張弁とエバポレ−タとを冷媒導管に介挿し、このヒートポンプ装置(図示略)を回転ドラム10に接続して乾燥用空気をコンデンサに導き、その放熱で加熱した温風を回転ドラム10に送り込み、衣類11から水分を奪って乾燥を促すようにした、ヒートポンプ式乾燥機に適用することも可能である。
【0059】
この場合は、噴口66,67に接続した導管68,69の端部を回転ドラム10の取出口6付近に配置し、衣類11の乾燥時に火災が発生した際、破封した消火ガスを回転ドラム10内部へ噴射するようにする。
このように本発明をヒートポンプ式乾燥機に適用すると、回転ドラム10内の温度が約65〜70℃と低めに維持されるから、火災の発生の惧れがなく衣類11を傷めにくい等の利点がある。
その際、第1および第2の火災検出センサ19,20の検出信号を制御装置21へ出力後、制御装置21から冷媒の開閉弁(図示略)へ制御信号を送り、該開閉弁を閉弁して冷媒の導入を遮断し、回転ドラム10内への温風の導入を遮断し延焼を阻止することが望ましい。
【0060】
更に、この実施形態では本発明を乾燥機に適用しているが、前述のヒートポンプ式乾燥機の回転ドラム10を洗濯水槽(図示略)の内側に配置し、洗濯し脱水し終えた衣類11を前記ヒートポンプ装置によって乾燥する、洗濯乾燥機に適用することも可能である。
この場合は、噴口66,67に接続した導管68,69の端部を回転ドラム10の取出口6付近に配置し、衣類11の乾燥時に火災が発生した際、破封した消火ガスを回転ドラム10の内部へ噴射するようにする。
【0061】
このように構成した自動消火装置は消火装置22を備え、該消火装置22は縦50mm、横116mmの矩形断面で、長さ105mmの箱形の消火ボックス30に、外径50mm、長さ250mmの略卵形断面の筒体からなる二本のボンベケース35,36を延設し、前記消火ボックス30内に制御装置21とアクチュエータであるモータ23を組み付け、その近接位置に回転板78,79と、シフターディスク90,91と、ドグ100,101と一体のクラッチ板98,99を組み付け、回転板78,79の間にモータ23に直結した駆動ギア76を配置する。
【0062】
前記制御装置21に第1および第2火災検出センサ19,20に連係する配線を接続し、前記センサ19,20の何れか一方の信号入力によって、モータ23を駆動可能にする
実施形態では互いに異種の煙検出センサまたは感熱センサを選択し、これらの少なくとも一方の信号入力によって、モータ23を駆動可能にし、煙検出センサ19を排気通路17の適所に配置し、感熱センサ20を消火装置22、または該装置22を設置する上側電気配線スペース12の適所に配置する。
【0063】
一方、ボンベケース35,36にシリンダ54,55を組み付け、該シリンダ54,55にクラッチ板98,99と、セットスププリング112,113とアウターハウジング48,49を組み付ける。
これらの組み付けは、例えばシリンダ54,55を各一対の二つ割ピースで構成し、各ピースの貫通孔114,115にセットスププリング112,113と、該スププリング112,113を貫挿する支軸80,81を配置し、またガイド孔116,117に破封ホルダ60,61と、ボンベホルダ44,45を内部に組み込んだアウターハウジング48,49を配置し、通孔118,119にボンベホルダ44,45の端部を挿入する。
【0064】
そして、各一対の二つ割ピースの段付き孔54a,55aの段部にクラッチ板98,99を配置し、その係合突起104,105を凹部108,109に係合し、シリンダ54,55の外側からビスをネジ孔106,107にねじ込み、またタッピングスクリュー122を透孔121,121にねじ込んで、クラッチ板98,99をシリンダ54,55に固定する。
【0065】
この後、ドグ100,101を貫通した支軸80,81に、シフターディスク90,91と回転板78,79を差し込み、シフターディスク90,91の係合溝92,93に回転板78,79の係合爪88,89を係合し、回転板78,79とシフターディスク90,91とを同期回動可能に組み付ける。
また、回転板78,79を貫通した支軸80,81の端部の螺軸にナット84,85をねじ込み、これらを抜け止めする。
その際、回転板78,79の外周に突設したセクターギア86,87の同側端部を、駆動ギア76に噛合させる。この状況は
図6のようである。
【0066】
そして、ドグ100,101の係合歯102,103の先端部を嵌合溝96,97の間の端面に係合し、シフターディスク90,91をクラッチ板98,99から離間して配置する。
このようにすると、セットスププリング112,113がドグ100,101の軸長分圧縮され、その弾性を支軸80,81の端部のボルト頭部80a,80bを介してアウターハウジング48,49の端面に作用させる。
この後、シリンダ54,55の各一対の二つ割ピースの接合部を接合し、それらの適所をビス止めして各ピースを連結する。
【0067】
こうしてボンベケース35,36にシリンダ54,55を組み付け後、前記ケース35,36の開口端からガスボンベ40,41を挿入し、そのネジ部42,43をボンベホルダ44,45のネジ孔にねじ込んで装填する。
前記ガスボンベ40,41は予め底部の半球部をキャップ38,39の凹孔38a,39bに接着剤で固定され、キャップ38,39のフランジ部を保持し回動操作することで容易に取付けられる。この組み付け後の状況は
図5のようである。
【0068】
こうして組付けた消火装置22は小形軽量で内部に二本のガスボンベ40,41を装填し、これを設置スペースの都合上、上側電気配線スペース12の上部に横向きに設置する この状況は
図4のようである。この場合、設置スペースに応じて縦向きに設置しても良い。
そして、一方のガスボンベ40の噴口66に導管68の一端を接続し、その他端を導管引出孔120から引き出して開閉扉7の内側に配置し、その開口部を回転ドラム10の内部に向けて配置し、他方のガスボンベ41の噴口67を上側電気配線スペース12に向けて配置すれば、乾燥機3の使用が可能になる。
【0069】
前記乾燥機3の使用は、例えば洗濯し脱水し終えた衣類11を回転ドラム10内に収容し、制御装置21をONして制御動作を開始し、回転ドラム10を回転するとともに、排気ファン18を駆動し、回転ドラム10内の空気を排気通路17を経て外部へ排出する。
また、外気を吸気通路24から吸入し、これを空気溜り25から分岐路27,28を経て燃焼室26へ導き、前記吸気をバーナー29で加熱して温風を通路へ送り出し、温風導入口14から回転ドラム10内へ吹き出して衣類11を乾燥する。
【0070】
このような衣類11の乾燥時に、例えばガスバーナ29の燃焼が不安定になって回転ドラム10内の温度が上昇したり、温風の吹き出し温度が高温になって衣類11の温度が上昇すると、衣類11に油分が付着していたり、排気フィルタ16に布屑が付着していた場合は、これらが発火して火災が発生する。
【0071】
前記火災の発生は、回転ドラム10の熱気が外部へ伝播し、下側配線スペース13または上側配線スペース12、若しくは上側配線スペース12に設置した消火装置22に配置した感熱センサ等の第2の火災検出センサ19によって検出され、または回転ドラム10内の空気が排気通路17に排出され、その排出空気中の煙が煙検知センサ等の第2の火災検出センサ19によって検出される。
【0072】
前記第1および2の火災検出センサ20,19の検出信号は制御装置21へ入力され、この一方の信号入力を条件に消火装置22に備えた制御装置21からモータ23へ制御信号を出力し、該モータ23を駆動する。
前記モータ23が駆動すると駆動軸75が回動し、これに駆動ギア76が同動して、該ギア76と歯合するセクターギア86,87と、それと一体の回転板78,79とが
図6のように互いに同方向へ回動する。
【0073】
このため、係合爪88,89と係合する係合溝92,93を介して、回転板78,79とシフターディスク90,91が同期同動し、それらの嵌合溝96,97が隣接するドグ100,101の係合歯102,103に近接回動し、それらが係合したところで嵌合溝96,97にドグ100,101が嵌合する。
【0074】
この場合、セクターギア86,87と駆動ギア76とは、
図6のように破封前にセクターギア86,87が同側端部位置で歯合しており、それらの回動後、一方のセクターギア86が駆動ギア76との歯合を解除し、次いで他方のセクターギア87が駆動ギア76との歯合を解除し、その解除時期の遅速によってガスボンベ40,41の破封時期を遅速に設定している。
【0075】
こうして嵌合溝96,97にドグ100,101が嵌合すると、支軸80,81がセットスププリング112,113方向へ引き戻される。
そこで、先ずシフターディスク90の嵌合溝96がドグ100の係合歯102に係合し、ドグ100がシフターディスク90内に係入すると、シフターディスク90がドグ100の軸長分セットスププリング112方向へ移動し、シフターディスク90の端面がクリック板98の端面に係合する。
【0076】
このため、回転板78が駆動ギア76の軸方向へ移動し、セクターギア86が駆動ギア76との噛合を解除し、支軸80の端部80aがセットスププリング112によってアウターハウジング48を押圧し、該アウターハウジング48と針管58が同動して封板46を破封する。この状況は
図13のようである。
【0077】
次いでシフターディスク91の嵌合溝97が係合歯103に係合し、ドグ101がシフターディスク91内に係入すると、シフターディスク91の端面がクリック板99の端面に係合する。
このため、回転板79が駆動ギア76の軸方向へ移動し、セクターギア87が駆動ギア76との噛合を解除し、支軸81の端部81aがセットスププリング113によってアウターハウジング49を押圧し、該アウターハウジング49に針管59が同動して封板47を破封する。この状況は
図13および
図14のようである。
破封後、モータ23と駆動ギア76が空転し、これらが所定時間後に停止する。
【0078】
こうしてガスボンベ40,41に充填された消火ガスが斜管58,59に流出し、斜管58,59からガス通路62,63に導かれてノズル孔64,65へ移動し、ノズル孔64,65を経て噴口66,67から噴出する。
このうち、一方のガスボンベ40の消火ガスは、導管68に導かれて開閉扉7の内側に移動し、その噴出口から回転ドラム10内の衣類11に向かって噴出し、衣類11の火災を消火する。
【0079】
また、他方のガスボンベ41の消火ガスは、噴口67から上側配線スペース12に向かって噴出し、上側配線スペース12への延焼を防止する。したがって、例えば衣類11の火災と別に発生した上側配線スペース12内のスイッチ等の電気機器の短絡等による火災の消火に対応し得る。この状況は
図4のようである。
【0080】
この場合、アウターハウジング48の移動によって、噴口66がボンベケース35に形成した通孔70と同高位置に移動し、導管68の屈曲が解消されて直管状に形成されるため、消火ガスが勢い良く噴出し、導管68内の残留を防止する。
また、回転ドラム10内の衣類11に対する消火ガスの噴射と、上側配線スペース12内に対する消火ガスの噴射時期を僅かに相違させているから、これらを一時に噴射する場合に比べて導管68内の圧力上昇を防止し、消火時間の実質的な延長を図れ、消火の実効を促せる。
【0081】
なお、第1および第2の火災検出センサ19,20の検出信号を制御装置21へ出力後、制御装置21からバーナー29の開閉弁(図示略)に制御信号を送り、該開閉弁を閉弁して燃焼ガスの導入を遮断し火災の延焼を阻止することが望ましい。
【0082】
また、消火後、ガスボンベ40,41の消火ガスが費消されるから、消火ガスを充填した新たなガスボンベ40,41をボンベホルダ44,45に装填する必要がある。
その場合は、キャップ38,39を回動操作し、これらに接着固定したガスボンベ40,41を同動させてボンベホルダ44,45から取外し、代わりに新規のガスボンベ40,41をボンベホルダ44,45に装填する。
【0083】
その際、消火ボックス30の蓋を開け、新規のガスボンベ40,41をセットスプリング112,113に抗して移動し、これにシフターディスク90,91を同動させて、嵌合溝96,97とドグ100,101との嵌合を解除する。
そして、シフターディスク90,91を適宜回動し、これをクラッチ板98,99から離間し、セクターギア86,87を駆動ギヤ76に歯合して原状を回復し、消火ボックス30を閉蓋して次期使用を待機する。
このようにすることで消火装置22の機能を回復し、その反覆使用を図る。
【0084】
図16乃至
図18は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態の構成と対応する構成部分に同一の符号を用いている。
このうち、
図16は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態では消火装置22を上側配線スペース12の代わりに、ハウジング5の外面上部に設置し、上側配線スペース12に消火装置22の十分な設置スペースを得られない場合に対応させている。
【0085】
すなわち、この場合は一方のガスボンベ40に対応するアウターハウジング48の噴口66に導管68の一端を接続し、その他端を開閉扉7側に配置し、その噴出口から回転ドラム10内に消火ガスを噴射させる。
【0086】
そして、他方のガスボンベ41に対応するアウターハウジング49の噴口67に導管69の一端を接続し、その他端をハウジング5の外面上部に形成した通孔(図示略)に配置し、その噴出口を上側配線スペース12に向けて、消火ガスを噴射させる。
このようにして破封後の消火ガスを回転ドラム10と上側配線スペース12に噴射する
【0087】
図17は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態では上側配線スペース12に設置した消火装置22に対し、装填した二つのガスボンベ40,41の噴口66,67に導管68,69の一端を接続し、それらの他端を共に開閉扉7側に配置し、それらの噴出口から回転ドラム10内に消火ガスを噴射し、かつその噴射量を増量して、回転ドラム10内の火災を確実かつ速やかに消火するようにしている。
【0088】
図18は本発明の第4の実施形態を示し、この実施形態では消火ボックス30の上部の予備室33を省略し、該ボックス30に単一のボンベケース35を延設し、その内部に単一のガスボンベ40を収容し、これを単一のボンベホルダ44とアウタ−ハウジグ48と破封ホルダ60によって破封し、破封した消火ガスを回転ドラム10内若しくは上側配線スペース12、または下側配線スペース13に噴射可能にしている。
【0089】
この場合、消火装置22を上側配線スペース12またはハウジング5の外面上部に設置し、噴口66に導管68の一端を接続し、その他端を開閉扉7または上下側配線スペース12,13に配置し、破封した消火ガスを回転ドラム10内若しくは上側配線スペース12、または下側配線スペース13に噴射可能にしている。
したがって、この実施形態では消火装置22の小形軽量化と構成の簡潔化並びに低廉化を図れる。