特許第6605344号(P6605344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605344
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】車載用フレーム体
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20191031BHJP
   F16M 1/00 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B60K1/04 A
   F16M1/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-15966(P2016-15966)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-132426(P2017-132426A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】久々江 岳文
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
(72)【発明者】
【氏名】初見 浩之
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0223113(US,A1)
【文献】 特許第5013140(JP,B2)
【文献】 特開2015−26491(JP,A)
【文献】 特開2012−206599(JP,A)
【文献】 特開2014−19203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
F16M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内枠と、当該内枠の外周部全周に配設した外枠と、当該内枠の開口部を塞ぐカバー部材とを備え、
前記内枠は全周にわたって、外枠の上面び下面に重なるフランジ部を有し、
前記カバー部材は外周部に沿ってつば部を有し、前記内枠のフランジ部とカバー部材のつば部との間にシール部材を挟んだ状態で外枠,内枠及びつば部とを締結部材にて締結してあることを特徴とする車載用フレーム体。
【請求項2】
前記内枠は内側に、バッテリー及びその機器類搭載物を保持するための骨格部材を連結してあることを特徴とする請求項1記載の車載用フレーム体。
【請求項3】
前記内枠は枠体を形成するための突合せ接合部を有し、
前記内枠の突合せ接合部と前記外枠との間に接合部用シール部材を挟み込んであることを特徴とする請求項1又は2記載の車載用フレーム体。
【請求項4】
前記外枠は車両への取付部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載用フレーム体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーや各種機器類を車両に搭載するのに用いられる車載用フレーム体に関し、特にその止水構造に係る。
【背景技術】
【0002】
車両にバッテリーや機器類を搭載するには、搭載スペースの省スペース化を図るとともに、外部から水等が浸入しないように防水することが必要となる。
例えば、電気自動車等の分野では、搭載するバッテリーの量が多く、重量物となるため、車体フロアの下側に格納することが検討されている。
例えば特許文献1には、樹脂製のバッテリートレイと、これを覆うバッテリーカバーとからなり、トレイの外壁側に設けた金属枠状フレームの上面に、上記トレイのフランジ部及びカバーを固定するバッテリーケースを開示する。
しかし、同公報に開示するバッテリーケースは、トレイの側壁が底部に向けて内側方向に傾斜しているため、バッテリーの搭載スペースが有効に使用されていない。
また、バッテリーのような重量物を載置するケースには、走行時の振動が伝わるために、このケースが樹脂製では強度に不安が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5013140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、車両にバッテリーや各種機器類を搭載するのにスペース効率が高く、止水性に優れた車載用フレーム体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車載用フレーム体は、内枠と、当該内枠の外周部に配設した外枠と、当該内枠の開口部を塞ぐカバー部材とを備え、前記内枠は全周にわたって、外枠の上面又は/及び下面に重なるフランジ部を有し、前記カバー部材は外周部に沿ってつば部を有し、前記内枠のフランジ部とカバー部材のつば部との間にシール部材を挟んだ状態で外枠,内枠及びつば部とを締結部材にて締結してあることを特徴とする。
【0006】
ここで、内枠は密閉空間を確保するためのものであり、一本のフレーム材を枠状に折り曲げて両側の端部を突合せて接合する等、できるだけ接合部が少ない方が好ましい。
外枠は、内枠の外周部に沿って配設することで、全体として剛性を確保するためのものである。
【0007】
このように、内枠と外枠とで枠体を形成すると、上方と下方の両側に開口部ができる。
本発明において、カバー部材はこの開口部を覆うように塞ぐものであり、車両のフロアの下側に車載用フレーム体を取り付けるには少なくとも下方の開口部をカバー部材で塞ぎ、止水する必要がある。
よって、本発明では枠体の上下の両方の開口部を上カバー部材と下カバー部材とで覆う密閉空間としてもよく、用途により上カバー部材と下カバー部材との一方のみを用いた場合も含まれる。
【0008】
本発明において、内枠は内側に、バッテリー及びその機器類搭載物を保持するための骨格部材を連結してあるのが好ましい。
また、内枠は枠体を形成するための突合せ接合部を有し、前記内枠の突合せ接合部と前記外枠との間に接合部用シール部材を挟み込んであってもよい。
ここで、外枠は車両への取付部を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車載用フレーム体は、内枠と外枠とで剛性を確保しつつ、外枠の上面又は/及び下面に沿って重ね合せた内枠の平面状のフランジ部にシール部材を配置し、カバー部材のつば部でこのシール部材を押さえるように、このカバー部材,内枠及び外枠が締結されているので、シール性に優れる。
また、内枠の内側に骨格部材を連結してあると、さらに高剛性となり、この骨格部材にバッテリー等の重量物を取り付けることで保持がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る車載用フレーム体の断面図を示す。
図2】内枠の突合せ接合部のシール構造例を示す。
図3】車載用フレーム体の組付け順を示す。
図4】下面側から見た組付け順を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る車載用フレーム体の構造例を以下図面に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
車載用フレーム体は、図1に示すように内枠12と外周部に沿って配置した外枠11からなる枠体と、上下の開口部を覆うように塞ぐ上カバー部材13と下カバー部材14を有する。
なお、カバー部材は用途により上下のうち一方のみでもよい。
内枠12は、シール性を確保しやすいように図3(a)に示すように、一本のフレーム材を枠状に曲げ成形し、両側の端部を突合せ接合してある(A部)。
なお、接合部は少ない方がよいが、2〜3ヶ所等複数のフレーム材を用いて枠体に成形する場合も含まれる。
フレーム材は、曲げ加工がしやすい板材がよく、アルミ押出形材でもよい。
内枠12を相対的に曲げ加工しやすいフレーム材を用いて製作したので、内枠12の外周部に外枠11を配置して剛性を確保したものである。
本実施例では、図3,4に示すように中空断面形状からなるフレーム体(アルミ押出材)11A〜11Dにて枠体を形成し、枠状のフレーム部11aとした。
この場合に内枠の内側のスペース効率を向上させるために、内枠12の側壁部12aの上下から外周側に突設したフランジ部12b,12cを設け、この一対のフランジ部の間に外枠が位置するようにした。
従って、外枠11の上面11bに重なるように上側のフランジ部12bが位置し、外枠11の下面11cに重なるように下側のフランジ部12cが位置している。
フランジ部12b,12cは、平面状であって内枠11の全周にわたって有し、このフランジ部12b,12cの全周に沿ってシール部材15,16を貼り付け、この上から上下のカバー部材13,14を取り付けてある。
具体的には、上カバー部材13の全周に設けたつば部13bと、内枠のフランジ部12bとの間に全周にわたってシール部材15を挟み込むようにして、つば部13b,フランジ部12b,外枠11の上面11bとを締結部材18にて締結してある。
下カバー14も同様につば部14bとフランジ部12cとの間にシール部材16を挟み込み、つば部14b,フランジ部12c,外枠の下面11cとを締結部材18にて締結してある。
これにより、内部が密閉空間となる。
【0013】
図2に示すように、内枠の接合部A(a,b,c)には、内枠の外側形状に沿って接合部用シール部材20を挟み込んだ状態で内枠12と外枠11とを重ね合せてある。
これにより、内枠の突合せ接合部に一部隙間が生じていても、この接合部用シール部材20にて確実に止水できる。
【0014】
内枠12の内側には、上下一対の取付フランジ部12d,12eをこの内枠の内側に対向させ形成し、この間に骨格部材17の端部が嵌合するようにして、この骨格部材17を内枠の内側間に架け渡してある。
これにより、この骨格部材17にバッテリー1や機器類等の重量物を保持させることができる。
【0015】
図3,4に基づいて、フレーム体の組付け手順を説明する。
図3,4(a),(b)に示すように、内枠12の内側に対向させて形成した2組の取付フランジ部を有する。
取付フランジ部12d,12eの一部を切欠き、上方から骨格部材17を取付フランジ部12d,12eの直交する向きで取付フランジ部12d,12eの間に納まる高さでスライドさせるように骨格部材17を配置する。
次に図3,4の(b),(c)に示すように、外枠用のフレーム体A〜Dを内枠の側壁部12aに嵌め込むように差し込み、それぞれのコーナー部を連結する。
連結方法は、溶接,ビス止め等、制限はない。
なお、内枠の接合部Aには、接合用シール部材20を配置する。
フレーム体A〜Dのうち、3本を予めコ字形状に連結してあってもよい。
次に、フランジ部の全周にシール部材15,16を貼り付け、図3,4(d)に示すように上下のカバー部材を重ね合せ、締結部材18にて図1のように締結する。
この締結部材は、ボルト,リベット等、制限がない。
外枠11の外周部には、車体への取付部11dを所定の位置に設けてある。
【符号の説明】
【0016】
1 バッテリー
11 外枠
11a フレーム部
12 内枠
12a 側壁部
12b フランジ部
12c フランジ部
13 上カバー部材
13b つば部
14 下カバー部材
15 シール部材
16 シール部材
17 骨格部材
18 締結部材
20 接合部用シール部材
図1
図2
図3
図4