特許第6605352号(P6605352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605352
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】積層コア形成用の積層材製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20191031BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20191031BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   H01F41/02 B
   B21D28/02 F
   B21D43/00 H
   B21D43/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-23922(P2016-23922)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-143191(P2017-143191A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2019年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】512149857
【氏名又は名称】ハル電子 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】野崎 正裕
(72)【発明者】
【氏名】安達 亮
(72)【発明者】
【氏名】金子 憲行
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−252590(JP,A)
【文献】 特開平04−146100(JP,A)
【文献】 特開平06−190467(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/013818(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/050208(WO,A1)
【文献】 特開2007−157814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
B21D 28/02
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工用フープ材を搬送する搬送装置部に切断装置部が設けられており、この搬送装置部の間欠駆動により間欠搬送される加工用フープ材が前記切断装置部で次々と短冊状に切断されて積層コア形成用の積層材が製造される積層コア形成用の積層材製造装置であって、前記搬送装置部の前記切断装置部より搬送方向上流側に、パンチとダイとから成る穴開け装置部が設けられて、この穴開け装置部で間欠搬送される前記加工用フープ材に積層コア固定用の固定穴を穴開け可能に構成され、この穴開け装置部に、前記搬送装置部の搬送方向と交差する方向から捨て板を搬送供給して前記加工用フープ材に重合させる捨て板供給装置部が備えられていると共に、この捨て板供給装置部に、前記搬送装置部の間欠駆動に同期してこの捨て板供給装置部を間欠駆動制御する同期駆動制御部が設けられて、重合する捨て板と加工用フープ材とを穴開け装置部で同時に穴開け可能に構成されていることを特徴とする積層コア形成用の積層材製造装置。
【請求項2】
前記穴開け装置部に、前記搬送装置部の搬送方向と交差する方向から前記捨て板としてのフープ材を搬送供給して前記加工用フープ材に重合させる前記捨て板供給装置部が備えられ、前記同期駆動制御部は、前記捨て板を送り駆動する捨て板供給駆動源を前記搬送装置部の間欠駆動に同期して間欠駆動制御可能であると共に、捨て板供給駆動源の駆動量を制御して捨て板の送り量を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の積層コア形成用の積層材製造装置。
【請求項3】
前記同期駆動制御部は、前記捨て板供給装置部の間欠駆動時の前記捨て板の送り量を小量に制御して、前記穴開け装置部により捨て板に開けられる同時加工穴の並設間隔を小間隔とし得るように構成されていることを特徴とする請求項2記載の積層コア形成用の積層材製造装置。
【請求項4】
前記捨て板は、前記加工用フープ材の厚みと同等若しくは加工用フープ材の厚み以上の板厚の金属板材が採用されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層コア形成用の積層材製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器などのコイル内に内挿される鉄芯(磁性ブロック)として用いられる積層コアを形成するための積層材を製造する積層コア形成用の積層材製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば珪素鋼板などの短冊状の単板を板厚方向に積み重ね、この積層体の断面(側面視)が例えば略方形(全体で略角柱形状)となるように積層形成した積層材を製造し、これを接着してブロック状の積層コアを製造するが、このような積層コアの主要部となる積層材を製造するための製造装置として、出願人は特開2013−252590号(特許文献1)を開発し特許出願している。
【0003】
この特許文献1を簡単に説明すると、フープ材を間欠搬送する搬送装置に切断装置が設けられて、フープ材を次々と短冊状に切断し切断片を積層状態に排出部に排出して行き積層コア形成用の積層材を製造するように構成されている。
【0004】
また、例えば大型の積層コアには、ボルトなどを用いて所定の場所へと固定するための固定穴が形成されるものもあり、必要に応じてこのような固定穴を形成できるように、搬送装置の搬送方向上流側に、フープ材に穴開けする穴開け装置が設けられた積層材製造装置も従来から実施されている(特許文献1にも穴開け装置が開示されている。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−252590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
積層コア(鉄芯)が内挿される変圧器やリアクトルは、省エネ法トップランナー基準の導入に伴い高効率化が義務付けられたため、これまでに積層材として用いられていた珪素鋼板に対し、大幅な省エネ,高効率化を実現するアモルファス金属などの極薄板が積層材として採用されることが多くなってきている。
【0007】
しかしながら、上記したように積層コアにはボルト固定穴を要するものもあり、この固定穴の穴開け加工は一般的にパンチとダイから成る穴開け(打ち抜き)装置で行われるが、アモルファス金属のような板厚0.05mm(50μm)以下の極薄板に破れやバリを生じずに穴開けするためには、パンチとダイのクリアランスを極薄板の板厚に比例して極小にする必要があり(クリアランスを極薄板の板厚の4〜6%とする必要があり)、このようなクリアランスのパンチとダイは製作が非常に困難であり、仮に製作できても、研磨修正などのメンテナンス頻度が高くパンチとダイの寿命が極端に短い装置となってしまうことが予想されるために実用化には至っておらず、現状ではボルト固定穴が加工されたアモルファス金属製の積層コアは実現できていなかった(従来の積層コアからアモルファス金属製の積層コアへ変更するには、取付け固定方法の設計変更が必要となり、取付け固定部品の追加を要していた。)。
【0008】
本発明は、このような現状に鑑み、上記特許文献1の積層コア形成用の積層材製造装置を改良することにより、アモルファス金属製の極薄板にも簡易に且つ確実にボルト固定穴を加工できる穴開け装置部付の積層コア形成用の積層材製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
加工用フープ材1を搬送する搬送装置部2に切断装置部3が設けられており、この搬送装置部2の間欠駆動により間欠搬送される加工用フープ材1が前記切断装置部3で次々と短冊状に切断されて積層コア形成用の積層材4が製造される積層コア形成用の積層材製造装置であって、前記搬送装置部2の前記切断装置部3より搬送方向上流側に、パンチ5とダイ6とから成る穴開け装置部7が設けられて、この穴開け装置部7で間欠搬送される前記加工用フープ材1に積層コア固定用の固定穴8を穴開け可能に構成され、この穴開け装置部7に、前記搬送装置部2の搬送方向と交差する方向から捨て板9を搬送供給して前記加工用フープ材1に重合させる捨て板供給装置部10が備えられていると共に、この捨て板供給装置部10に、前記搬送装置部2の間欠駆動に同期してこの捨て板供給装置部10を間欠駆動制御する同期駆動制御部11が設けられて、重合する捨て板9と加工用フープ材1とを穴開け装置部7で同時に穴開け可能に構成されていることを特徴とする積層コア形成用の積層材製造装置に係るものである。
【0011】
また、前記穴開け装置部7に、前記搬送装置部2の搬送方向と交差する方向から前記捨て板9としてのフープ材9を搬送供給して前記加工用フープ材1に重合させる前記捨て板供給装置部10が備えられ、前記同期駆動制御部11は、前記捨て板9を送り駆動する捨て板供給駆動源12を前記搬送装置部2の間欠駆動に同期して間欠駆動制御可能であると共に、捨て板供給駆動源12の駆動量を制御して捨て板9の送り量を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の積層コア形成用の積層材製造装置に係るものである。
【0012】
また、前記同期駆動制御部11は、前記捨て板供給装置部10の間欠駆動時の前記捨て板9の送り量を小量に制御して、前記穴開け装置部7により捨て板9に開けられる同時加工穴13の並設間隔を小間隔とし得るように構成されていることを特徴とする請求項2記載の積層コア形成用の積層材製造装置に係るものである。
【0013】
また、前記捨て板9は、前記加工用フープ材1の厚みと同等若しくは加工用フープ材1の厚み以上の板厚の金属板材が採用されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層コア形成用の積層材製造装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、穴開け装置部により固定穴付の積層材を製造でき、また、前記穴開け装置部に、搬送装置部の搬送方向と交差する方向から捨て板を搬送供給して加工用フープ材に重合させる捨て板供給装置部が備えられて、重合する捨て板と加工用フープ材とを穴開け装置部で同時に穴開け可能に構成されているため、加工用フープ材がアモルファス金属のような極薄板であっても、重合する捨て板の存在によって加工材の板厚を確保でき、これにより穴開け装置部のパンチとダイのクリアランスの調整範囲を広くでき、クリアランスが適切でパンチとダイの使用寿命が延びる穴開け装置部を簡易に設計実現可能となると共に、極薄板(積層材)に対し容易に且つバリなどを生じることなく確実に固定穴付の積層材を量産できる装置構造となり、その上、捨て板供給装置部は、捨て板搬送供給方向が前記搬送装置部の搬送方向と交差する方向とされているため、この捨て板供給装置部を搬送装置部と交差状態に設けられる別装置で構成でき、これにより装置全長を既存の装置と同等に設計できて大型化を抑えることも可能となるなど、極めて実用性に優れた積層コア形成用の積層材製造装置となる。
【0015】
また、請求項2記載の発明においては、穴開け装置部に捨て板を搬送供給する捨て板供給装置部を簡易構成にして容易に設計実現可能となり、しかも同期駆動制御部により捨て板供給駆動源の駆動量を制御でき、例えば、捨て板の送り量を小量に制御することにより、捨て板に形成される同時加工穴の間隔を小さくできて捨て板を無駄なく使用できることとなるなど、一層実用性に優れた構成の積層コア形成用の積層材製造装置となる。
【0016】
また、請求項3記載の発明においては、捨て板に形成される同時加工穴の間隔を小さくできて捨て板を無駄なく使用できる一層実用性に優れた構成の積層コア形成用の積層材製造装置となる。
【0017】
また、請求項4記載の発明においては、アモルファス金属などの板厚50μm以下の極薄板(加工用フープ材)に対してバリなどを生じることなく確実に穴開け加工がなされる穴開け装置部を簡易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の積層コア形成用の積層材製造装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施例の概略説明斜視図である。
図2】本実施例の捨て板供給装置部を示す概略説明正面図である。
図3】本実施例の穴開け装置部並びに捨て板供給装置部を示す説明拡大平断面図である。
図4】本実施例の穴開け装置部並びに捨て板供給装置部を示す説明拡大側断面図である。
図5】本実施例で製造した積層材を示す概略説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
加工用フープ材1は、搬送装置部2の間欠駆動により切断装置部3へと間欠搬送され、この切断装置部3で加工用フープ材1の送り突出部分(搬送先端側部分)が次々と切断されて、積層コアを形成するための短冊状の積層材4が製造される。
【0021】
また、本発明は、前記搬送装置部2の前記切断装置部3より搬送方向上流側に、パンチ5とダイ6とから成る穴開け装置部7が設けられている。
【0022】
従って、この穴開け装置部7により、必要に応じて積層コアを固定するために利用する固定穴8を加工用フープ材1に自動開口することができ、この固定穴8が開けられた加工用フープ材1が前記切断装置部3で順次切断されて、固定穴8付の前記積層材4が製造されることになる。
【0023】
ところで近年は、積層コアの高効率化を図るために、アモルファス金属などの板厚0.05mm(50μm以下)の極薄板が積層材4として採用されることが多くなっている。
【0024】
しかし、このような極薄板への穴開けは、[背景技術]の項でも述べているように、パンチとダイのクリアランスを極薄板の板厚に比例して極小にする必要があるため装置が未だ実用化できおらず、実現できていない。
【0025】
そこで、極薄板への穴開け加工をも可能とすべく、本発明では、前記穴開け装置部7に、前記搬送装置部2の搬送方向と交差する方向から捨て板9を搬送供給して前記加工用フープ材1に重合させる捨て板供給装置部10が備えられ、この捨て板供給装置部10に、前記搬送装置部2の間欠駆動に同期してこの捨て板供給装置部10を間欠駆動制御する同期駆動制御部11が設けられて、重合する捨て板9と加工用フープ材1とを穴開け装置部7で同時に穴開けすることが可能となるように構成されている。
【0026】
従って、加工用フープ材1がアモルファス金属のような極薄板であっても、同時に穴開け加工する捨て板9の存在によって加工材の板厚(加工用フープ材1の板厚と捨て板9の板厚の合計の板厚)を確保でき、これにより穴開け装置部7のパンチ5とダイ6のクリアランスCの調整範囲を広くできるため、クリアランスCが適切でパンチ5とダイ6の使用寿命が延びる穴開け装置部7を簡易に設計実現可能となり、この穴開け装置部7で極薄板に対しバリなどを生じることなく穴開け可能である。
【0027】
よって、本発明によれば、極薄板(加工用フープ材1)から成る固定穴8付の積層材4を量産可能である。
【0028】
また、捨て板供給装置部10による捨て板9搬送供給方向が、前記搬送装置部2の搬送方向と同一方向でなく、交差方向から搬送供給する構成であるため、この捨て板供給装置部10を搬送装置部2と交差状態に設けられる別装置で構成でき、これにより装置全長を既存の装置と同等に設計可能で大型化を抑えることもできる。
【実施例】
【0029】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、例えば帯状のアモルファス金属板を巻回した図示省略の加工材供給ロールから引き出される加工用フープ材1を搬送する搬送装置部2が設けられ、この搬送装置部2の搬送方向先端側に切断装置部3が設けられていて、搬送装置部2から搬送される加工用フープ材1を切断装置部3で次々と短冊状に切断し、切断片1Aを切断装置部3に隣接した排出受部である排出部14に落下排出して行き積層コア製造用の積層材4を積層形成するように構成されている。
【0031】
本実施例の前記搬送装置部2は、図1に示すように、前記加工材供給ロールから加工用フープ材1を引き出して送り駆動する加工材送りローラ15と、この加工材送りローラ15により搬送される前記加工用フープ材1をガイドして水平搬送する上下一対の加工材支承ローラ16(挟持ローラ16)で構成される搬送ガイド部17とから成り、この加工材送りローラ15を間欠駆動して加工用フープ材1を間欠搬送しつつ切断装置部3で順次切断して行くように構成されている。
【0032】
また、本実施例では、搬送装置部2の搬送方向下流側の切断装置部3付近で加工用フープ材1を挟持ガイドする一対の挟持ローラ16のうちの一方(図1中上方側の挟持ローラ16)が前記加工材送りローラ15として構成され、この加工材送りローラ15の間欠回動駆動により加工用フープ材1を間欠搬送するように構成されている。
【0033】
本実施例の前記切断装置部3は、図1に示すように、前記搬送装置部2の加工材送りローラ15の間欠駆動によりこの加工材送りローラ15やその搬送方向上流側の挟持ローラ16などにガイドされて水平に間欠搬送される前記加工用フープ材1の先端部分を支承する加工材支承部18と、この加工材支承部18の端縁部から搬送方向に水平に突出する加工用フープ材1の送り突出先端部分を切断する切断可動部19とから成り、加工材支承部18の端縁部と切断可動部19の先鋭な下縁部とをすれ違い可動させることで、この加工材支承部18から突出している加工用フープ材1の送り突出先端部分を間欠搬送毎に次々と切断するように構成されている。
【0034】
即ち、加工材支承部18に対して上下方向に可動自在に設けられた切断可動部19が、図示省略の切断用昇降駆動装置により下降駆動して加工用フープ材1を切断するように構成され、前記加工材送りローラ15の間欠駆動により間欠搬送する加工用フープ材1の先端部は、切断毎に前記加工材支承部18の端縁部から水平に送り突出され、この加工材支承部18からの送り突出先端部分が切断可動部19の下動により順次切断され、この切断片1Aは排出部14上に落下排出し積層されて、積層材4を排出部14上に自動的に形成するように構成されている。
【0035】
また、本実施例は、前記加工材送りローラ15が、前記切断装置部3の搬送方向上流側であって、且つ前記加工用フープ材1の歪み若しくは自重によるたわみによる送り誤差が許容誤差範囲内となる切断装置部3の近接位置に配設されている。
【0036】
また、本実施例では、この加工材送りローラ15を間欠駆動する回動駆動源20の回動量が、送りローラ制御部21によりプログラム制御可能な構成とされ(前記加工用フープ材1の送り量を可変制御な構成とされ)、これにより加工用フープ材1の切断幅を調整制御可能に構成されている。
【0037】
言い換えると、この加工材送りローラ15を間欠駆動する回動駆動源20の回動量をプログラム制御して前記加工用フープ材1の送り量を可変制御し加工用フープ材1の切断幅を制御する前記送りローラ制御部21を備えて、この送りローラ制御部21により加工用フープ材1の送り量を制御して加工用フープ材1の切断幅を同一幅に揃えたり、徐々に増加させたり、徐々に減少させたり、増加と減少を組み合わせたりすることによって前記排出部14に前記短冊状の切断片1Aが積層され、側面視で正方形,長方形(図5参照),台形,ひし形,円形などの所望形に造形された積層材4を積層形成可能に構成されている。
【0038】
また、詳しく図示していないが、前記排出部14が上下動自在に構成され、この排出部14を下降制御する図示省略の排出部下降装置が設けられて、この排出部14上に積層されて行く前記積層材4の積層高さの増大に伴って排出部14が徐々に下降するように構成されている。
【0039】
即ち、排出部下降装置を備えることで、切断片1Aを常に適度な落差で排出部14上に落下させることができ、自重による良好な自動積層を実現でき、積層高さの増大に応じて順次下降させてこの適度な落差を保持することで、落下衝撃による切断片1Aの回転や方向の乱れを防止でき、きれいに整列積層できるため、次工程での整列作業が容易となるように構成されている。
【0040】
また、本実施例では、前記加工材支承部18に対して前記切断可動部19が上下動自在に設けられ、この切断可動部19を下降させて前記加工材支承部18から搬送方向に水平突出する前記加工用フープ材1の送り突出部分を切断する際、加工用フープ材1を加工材支承部18に押さえ付ける押さえ付け部22が、加工用フープ材1上方に昇降接離自在に設けられている。
【0041】
具体的には、図1に示すように、加工用フープ材1の上方に板状の押さえ付け部22が上下動自在に設けられ、この押さえ付け部22を送りローラ制御部21による加工材送りローラ15の間欠駆動に同期させて下動させて、この押さえ付け部22により板状の加工材支承部18へ加工用フープ材1を押圧保持して切断するように構成されている。
【0042】
即ち、加工材送りローラ15がプログラム制御により加工用フープ材1を間欠搬送し、所望の切断幅だけ加工材支承部18より突出させ、これを切断可動部19を下動して切断する毎に、このタイミングに合わせてその切断直前には板状の押さえ付け部22も下動させて、板状の加工材支承部18に加工用フープ材1をこの押さえ付け部22で押さえ付けた状態として切断し、切断後再び離反し、加工材送りローラ15による間欠搬送を再び行うように構成されて、切断片1Aの切断幅の寸法精度が高まるように構成されている(高い寸法精度の積層材4(積層コア)を得ることができるように構成されている。)。
【0043】
また、本実施例では、前記搬送装置部2の前記切断装置部3より搬送方向上流側であって、前記加工材送りローラ15より搬送方向上流側に、例えば大型の積層コアを固定するための固定穴8を加工用フープ材1に開ける穴開け装置部7が設けられている。
【0044】
従って、この穴開け装置部7により必要に応じて積層コアを固定するために利用する固定穴8を自動開口でき、この穴開け装置部7はあくまで送り量をプログラム制御する加工材送りローラ15よりも搬送方向上流側に配設するため、固定穴8を開ける場合でも前記高い寸法精度を維持できる。
【0045】
更に説明すると、本実施例では、搬送装置部2の搬送方向上流側で加工用フープ材1を水平搬送ガイドする加工材支承ローラ16(挟持ローラ16)と、切断装置部3の加工材支承部18との間に、挟持ローラ16と対となって加工用フープ材1の幅方向に架設し加工用フープ材1を挟持し回動によってこの加工用フープ材1を水平搬送する前記加工材送りローラ15が配設され、この加工材送りローラ15と、搬送装置部2の搬送方向上流側の前記挟持ローラ16との間に、パンチ5とダイ6とから成る前記穴開け装置部7が配設されている(図1参照)。
【0046】
また、本実施例は、この穴開け装置部7に、前記搬送装置部2の搬送方向と交差する方向から捨て板9を搬送供給して前記加工用フープ材1に重合させる捨て板供給装置部10が備えられており、重合する捨て板9と加工用フープ材1とを穴開け装置部7で同時に穴開け可能に構成されている。
【0047】
本実施例の捨て板供給装置部10は、細帯状の金属板(例えば、真鍮板や鋼板などで良く、廃棄材を使用しても良い。)を巻回した捨て板供給ロール23から引き出されるフープ材9を、前記捨て板9として穴開け装置部7に搬送供給し、この穴開け装置部7での穴開け加工終了後に捨て板9が巻き取りロール24に巻き取られるように構成されている。
【0048】
具体的には、この捨て板供給装置部10は、前記搬送装置部2とは別装置化されているもので、図1図2に示すように、前記捨て板供給ロール23から捨て板9を引き出して送り駆動する捨て板送りローラ25と、この捨て板送りローラ25により搬送される捨て板9をガイドして水平搬送するガイド孔26を備えたスタンド型の供給ガイド部27とから成り、この捨て板送りローラ25を間欠駆動して捨て板9を前記穴開け装置部7に間欠搬送するように構成されている。
【0049】
また、この捨て板供給装置部10は、捨て板9の搬送方向が、加工用フープ材1の搬送方向と直交するようにして配設されると共に、前記捨て板送りローラ25と前記供給ガイド部27とがこの捨て板9をガイドすることにより、捨て板9が加工用フープ材1の上面に重合するように構成されている。尚、この捨て板供給装置部10は、本実施例に限らず、捨て板9が加工用フープ材1の下面に重合するように搬送供給される構成を採用しても良いし、二枚の捨て板9が加工用フープ材1の上下両面に同時に重合するように搬送供給される構成を採用しても良い。
【0050】
また、本実施例では、捨て板供給装置部10の、前記加工用フープ材1より搬送方向下流側に、捨て板9を挟持ガイドする上下一対の捨て板挟持ローラ28が設けられ、この上下の捨て板挟持ローラ28のうちの一方(図1図2中上方側の捨て板挟持ローラ28)が前記捨て板送りローラ25として構成され、この捨て板送りローラ25の間欠回動駆動により捨て板9を間欠搬送するように構成されている。
【0051】
また、本実施例は、この捨て板供給装置部10に、前記搬送装置部2の間欠駆動に同期してこの捨て板供給装置部10を間欠駆動制御する同期駆動制御部11が設けられて、重合する捨て板9と加工用フープ材1とが双方搬送停止するタイミングで、この捨て板9と加工用フープ材1とを穴開け装置部7が同時に穴開けするように構成されている。
【0052】
また、捨て板9は、前記加工用フープ材1の板厚と同等若しくは加工用フープ材1の板厚以上の板厚の金属板材が採用されている。具体的には、例えば板厚0.02〜0.3mmの金属板材が捨て板9として採用されている(極薄の捨て板9を採用する場合は、2枚以上重ねて捨て板9を搬送供給可能な捨て板供給装置部10を構成したり、加工用フープ材1の上下に捨て板9を重合するように搬送供給可能な捨て板供給装置部10を構成したりして、加工用フープ材1との合計板厚を確保すると良い。)。このような板厚の捨て板9を用いることにより、同時に穴開け加工するアモルファス金属板(加工用フープ材1)が板厚0.05mm(50μm)以下の極薄板であっても、パンチ5とダイ6のクリアランスCの調整範囲を広くできるため、適切なクリアランスC(0.01〜0.02mm程度が好ましい)の穴開け装置部7を簡易に設計実現可能となり、極薄板にも簡易に且つ確実に穴開け可能な装置の実現化が容易となる(図3図4参照)。
【0053】
また、同期駆動制御部11は、前記送りローラ制御部21による間欠駆動タイミングと同期するように捨て板供給駆動源12を間欠駆動制御できるだけでなく、前記捨て板送りローラ25を間欠駆動する捨て板供給駆動源12の回動量をもプログラム制御可能な構成とされ(前記捨て板9の送り量を可変制御な構成とされ)、これにより捨て板9に前記穴開け装置部7によって穴開けされる同時加工穴13の並設間隔を調整制御可能に構成されている。
【0054】
即ち、捨て板送りローラ25を間欠駆動する捨て板供給駆動源12の回動量をプログラム制御して前記捨て板9の送り量を可変制御し捨て板9に開けられる同時加工穴13の並設間隔を制御する前記同期駆動制御部11を備えて、この同期駆動制御部11により捨て板9の送り量を制御して同時加工穴13の並設間隔を小間隔とすることができ、これにより捨て板9に形成される同時加工穴13の間隔を可及的に小さくできて捨て板9を無駄なく使用できるように構成されている(図1参照)。
【0055】
また、捨て板送りローラ25の捨て板供給駆動源12は、回動精度の高いステッピングモータが採用されており、これにより捨て板供給駆動源12による間欠搬送の捨て板9の送り量のバラつきが0.02mm以内となる高い送り精度が実現されて、捨て板9を無駄なく使用できるように構成されている。
【0056】
従って、必要に応じてこの穴開け装置部7を利用することにより、固定穴8の開いた切断片1Aが次々と切断されて排出部14上に積層するように構成されている。
【0057】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0058】
1 加工用フープ材
2 搬送装置部
3 切断装置部
4 積層材
5 パンチ
6 ダイ
7 穴開け装置部
8 固定穴
9 捨て板
10 捨て板供給装置部
11 同期駆動制御部
12 捨て板供給駆動源
13 同時加工穴
図1
図2
図3
図4
図5