【実施例】
【0029】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、例えば帯状のアモルファス金属板を巻回した図示省略の加工材供給ロールから引き出される加工用フープ材1を搬送する搬送装置部2が設けられ、この搬送装置部2の搬送方向先端側に切断装置部3が設けられていて、搬送装置部2から搬送される加工用フープ材1を切断装置部3で次々と短冊状に切断し、切断片1Aを切断装置部3に隣接した排出受部である排出部14に落下排出して行き積層コア製造用の積層材4を積層形成するように構成されている。
【0031】
本実施例の前記搬送装置部2は、
図1に示すように、前記加工材供給ロールから加工用フープ材1を引き出して送り駆動する加工材送りローラ15と、この加工材送りローラ15により搬送される前記加工用フープ材1をガイドして水平搬送する上下一対の加工材支承ローラ16(挟持ローラ16)で構成される搬送ガイド部17とから成り、この加工材送りローラ15を間欠駆動して加工用フープ材1を間欠搬送しつつ切断装置部3で順次切断して行くように構成されている。
【0032】
また、本実施例では、搬送装置部2の搬送方向下流側の切断装置部3付近で加工用フープ材1を挟持ガイドする一対の挟持ローラ16のうちの一方(
図1中上方側の挟持ローラ16)が前記加工材送りローラ15として構成され、この加工材送りローラ15の間欠回動駆動により加工用フープ材1を間欠搬送するように構成されている。
【0033】
本実施例の前記切断装置部3は、
図1に示すように、前記搬送装置部2の加工材送りローラ15の間欠駆動によりこの加工材送りローラ15やその搬送方向上流側の挟持ローラ16などにガイドされて水平に間欠搬送される前記加工用フープ材1の先端部分を支承する加工材支承部18と、この加工材支承部18の端縁部から搬送方向に水平に突出する加工用フープ材1の送り突出先端部分を切断する切断可動部19とから成り、加工材支承部18の端縁部と切断可動部19の先鋭な下縁部とをすれ違い可動させることで、この加工材支承部18から突出している加工用フープ材1の送り突出先端部分を間欠搬送毎に次々と切断するように構成されている。
【0034】
即ち、加工材支承部18に対して上下方向に可動自在に設けられた切断可動部19が、図示省略の切断用昇降駆動装置により下降駆動して加工用フープ材1を切断するように構成され、前記加工材送りローラ15の間欠駆動により間欠搬送する加工用フープ材1の先端部は、切断毎に前記加工材支承部18の端縁部から水平に送り突出され、この加工材支承部18からの送り突出先端部分が切断可動部19の下動により順次切断され、この切断片1Aは排出部14上に落下排出し積層されて、積層材4を排出部14上に自動的に形成するように構成されている。
【0035】
また、本実施例は、前記加工材送りローラ15が、前記切断装置部3の搬送方向上流側であって、且つ前記加工用フープ材1の歪み若しくは自重によるたわみによる送り誤差が許容誤差範囲内となる切断装置部3の近接位置に配設されている。
【0036】
また、本実施例では、この加工材送りローラ15を間欠駆動する回動駆動源20の回動量が、送りローラ制御部21によりプログラム制御可能な構成とされ(前記加工用フープ材1の送り量を可変制御な構成とされ)、これにより加工用フープ材1の切断幅を調整制御可能に構成されている。
【0037】
言い換えると、この加工材送りローラ15を間欠駆動する回動駆動源20の回動量をプログラム制御して前記加工用フープ材1の送り量を可変制御し加工用フープ材1の切断幅を制御する前記送りローラ制御部21を備えて、この送りローラ制御部21により加工用フープ材1の送り量を制御して加工用フープ材1の切断幅を同一幅に揃えたり、徐々に増加させたり、徐々に減少させたり、増加と減少を組み合わせたりすることによって前記排出部14に前記短冊状の切断片1Aが積層され、側面視で正方形,長方形(
図5参照),台形,ひし形,円形などの所望形に造形された積層材4を積層形成可能に構成されている。
【0038】
また、詳しく図示していないが、前記排出部14が上下動自在に構成され、この排出部14を下降制御する図示省略の排出部下降装置が設けられて、この排出部14上に積層されて行く前記積層材4の積層高さの増大に伴って排出部14が徐々に下降するように構成されている。
【0039】
即ち、排出部下降装置を備えることで、切断片1Aを常に適度な落差で排出部14上に落下させることができ、自重による良好な自動積層を実現でき、積層高さの増大に応じて順次下降させてこの適度な落差を保持することで、落下衝撃による切断片1Aの回転や方向の乱れを防止でき、きれいに整列積層できるため、次工程での整列作業が容易となるように構成されている。
【0040】
また、本実施例では、前記加工材支承部18に対して前記切断可動部19が上下動自在に設けられ、この切断可動部19を下降させて前記加工材支承部18から搬送方向に水平突出する前記加工用フープ材1の送り突出部分を切断する際、加工用フープ材1を加工材支承部18に押さえ付ける押さえ付け部22が、加工用フープ材1上方に昇降接離自在に設けられている。
【0041】
具体的には、
図1に示すように、加工用フープ材1の上方に板状の押さえ付け部22が上下動自在に設けられ、この押さえ付け部22を送りローラ制御部21による加工材送りローラ15の間欠駆動に同期させて下動させて、この押さえ付け部22により板状の加工材支承部18へ加工用フープ材1を押圧保持して切断するように構成されている。
【0042】
即ち、加工材送りローラ15がプログラム制御により加工用フープ材1を間欠搬送し、所望の切断幅だけ加工材支承部18より突出させ、これを切断可動部19を下動して切断する毎に、このタイミングに合わせてその切断直前には板状の押さえ付け部22も下動させて、板状の加工材支承部18に加工用フープ材1をこの押さえ付け部22で押さえ付けた状態として切断し、切断後再び離反し、加工材送りローラ15による間欠搬送を再び行うように構成されて、切断片1Aの切断幅の寸法精度が高まるように構成されている(高い寸法精度の積層材4(積層コア)を得ることができるように構成されている。)。
【0043】
また、本実施例では、前記搬送装置部2の前記切断装置部3より搬送方向上流側であって、前記加工材送りローラ15より搬送方向上流側に、例えば大型の積層コアを固定するための固定穴8を加工用フープ材1に開ける穴開け装置部7が設けられている。
【0044】
従って、この穴開け装置部7により必要に応じて積層コアを固定するために利用する固定穴8を自動開口でき、この穴開け装置部7はあくまで送り量をプログラム制御する加工材送りローラ15よりも搬送方向上流側に配設するため、固定穴8を開ける場合でも前記高い寸法精度を維持できる。
【0045】
更に説明すると、本実施例では、搬送装置部2の搬送方向上流側で加工用フープ材1を水平搬送ガイドする加工材支承ローラ16(挟持ローラ16)と、切断装置部3の加工材支承部18との間に、挟持ローラ16と対となって加工用フープ材1の幅方向に架設し加工用フープ材1を挟持し回動によってこの加工用フープ材1を水平搬送する前記加工材送りローラ15が配設され、この加工材送りローラ15と、搬送装置部2の搬送方向上流側の前記挟持ローラ16との間に、パンチ5とダイ6とから成る前記穴開け装置部7が配設されている(
図1参照)。
【0046】
また、本実施例は、この穴開け装置部7に、前記搬送装置部2の搬送方向と交差する方向から捨て板9を搬送供給して前記加工用フープ材1に重合させる捨て板供給装置部10が備えられており、重合する捨て板9と加工用フープ材1とを穴開け装置部7で同時に穴開け可能に構成されている。
【0047】
本実施例の捨て板供給装置部10は、細帯状の金属板(例えば、真鍮板や鋼板などで良く、廃棄材を使用しても良い。)を巻回した捨て板供給ロール23から引き出されるフープ材9を、前記捨て板9として穴開け装置部7に搬送供給し、この穴開け装置部7での穴開け加工終了後に捨て板9が巻き取りロール24に巻き取られるように構成されている。
【0048】
具体的には、この捨て板供給装置部10は、前記搬送装置部2とは別装置化されているもので、
図1,
図2に示すように、前記捨て板供給ロール23から捨て板9を引き出して送り駆動する捨て板送りローラ25と、この捨て板送りローラ25により搬送される捨て板9をガイドして水平搬送するガイド孔26を備えたスタンド型の供給ガイド部27とから成り、この捨て板送りローラ25を間欠駆動して捨て板9を前記穴開け装置部7に間欠搬送するように構成されている。
【0049】
また、この捨て板供給装置部10は、捨て板9の搬送方向が、加工用フープ材1の搬送方向と直交するようにして配設されると共に、前記捨て板送りローラ25と前記供給ガイド部27とがこの捨て板9をガイドすることにより、捨て板9が加工用フープ材1の上面に重合するように構成されている。尚、この捨て板供給装置部10は、本実施例に限らず、捨て板9が加工用フープ材1の下面に重合するように搬送供給される構成を採用しても良いし、二枚の捨て板9が加工用フープ材1の上下両面に同時に重合するように搬送供給される構成を採用しても良い。
【0050】
また、本実施例では、捨て板供給装置部10の、前記加工用フープ材1より搬送方向下流側に、捨て板9を挟持ガイドする上下一対の捨て板挟持ローラ28が設けられ、この上下の捨て板挟持ローラ28のうちの一方(
図1,
図2中上方側の捨て板挟持ローラ28)が前記捨て板送りローラ25として構成され、この捨て板送りローラ25の間欠回動駆動により捨て板9を間欠搬送するように構成されている。
【0051】
また、本実施例は、この捨て板供給装置部10に、前記搬送装置部2の間欠駆動に同期してこの捨て板供給装置部10を間欠駆動制御する同期駆動制御部11が設けられて、重合する捨て板9と加工用フープ材1とが双方搬送停止するタイミングで、この捨て板9と加工用フープ材1とを穴開け装置部7が同時に穴開けするように構成されている。
【0052】
また、捨て板9は、前記加工用フープ材1の板厚と同等若しくは加工用フープ材1の板厚以上の板厚の金属板材が採用されている。具体的には、例えば板厚0.02〜0.3mmの金属板材が捨て板9として採用されている(極薄の捨て板9を採用する場合は、2枚以上重ねて捨て板9を搬送供給可能な捨て板供給装置部10を構成したり、加工用フープ材1の上下に捨て板9を重合するように搬送供給可能な捨て板供給装置部10を構成したりして、加工用フープ材1との合計板厚を確保すると良い。)。このような板厚の捨て板9を用いることにより、同時に穴開け加工するアモルファス金属板(加工用フープ材1)が板厚0.05mm(50μm)以下の極薄板であっても、パンチ5とダイ6のクリアランスCの調整範囲を広くできるため、適切なクリアランスC(0.01〜0.02mm程度が好ましい)の穴開け装置部7を簡易に設計実現可能となり、極薄板にも簡易に且つ確実に穴開け可能な装置の実現化が容易となる(
図3,
図4参照)。
【0053】
また、同期駆動制御部11は、前記送りローラ制御部21による間欠駆動タイミングと同期するように捨て板供給駆動源12を間欠駆動制御できるだけでなく、前記捨て板送りローラ25を間欠駆動する捨て板供給駆動源12の回動量をもプログラム制御可能な構成とされ(前記捨て板9の送り量を可変制御な構成とされ)、これにより捨て板9に前記穴開け装置部7によって穴開けされる同時加工穴13の並設間隔を調整制御可能に構成されている。
【0054】
即ち、捨て板送りローラ25を間欠駆動する捨て板供給駆動源12の回動量をプログラム制御して前記捨て板9の送り量を可変制御し捨て板9に開けられる同時加工穴13の並設間隔を制御する前記同期駆動制御部11を備えて、この同期駆動制御部11により捨て板9の送り量を制御して同時加工穴13の並設間隔を小間隔とすることができ、これにより捨て板9に形成される同時加工穴13の間隔を可及的に小さくできて捨て板9を無駄なく使用できるように構成されている(
図1参照)。
【0055】
また、捨て板送りローラ25の捨て板供給駆動源12は、回動精度の高いステッピングモータが採用されており、これにより捨て板供給駆動源12による間欠搬送の捨て板9の送り量のバラつきが0.02mm以内となる高い送り精度が実現されて、捨て板9を無駄なく使用できるように構成されている。
【0056】
従って、必要に応じてこの穴開け装置部7を利用することにより、固定穴8の開いた切断片1Aが次々と切断されて排出部14上に積層するように構成されている。
【0057】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。