(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605356
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】バックル装置
(51)【国際特許分類】
B60R 22/03 20060101AFI20191031BHJP
B60R 22/48 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
B60R22/03
B60R22/48 104
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-36104(P2016-36104)
(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-149384(P2017-149384A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】横井 友哉
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 拓宏
(72)【発明者】
【氏名】松崎 真
【審査官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−044460(JP,A)
【文献】
特開2010−221770(JP,A)
【文献】
特開昭61−045518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00−22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員に装着されるウェビングに設けられたタングが係合されると共に上昇位置から格納位置側へ移動可能とされたバックルと、
前記バックルが移動されることで移動される被検出部と、
前記被検出部を検出することで前記バックルが前記格納位置に位置していることが検出される検出部を有し、前記被検出部が移動される方向へ移動可能とされた検出体と、
を備え、
前記被検出部は、前記バックルが前記格納位置側へ移動されることで移動され、
前記検出体は、前記バックルが前記格納位置から前記上昇位置とは反対側へ更に移動されることで移動されるバックル装置。
【請求項2】
乗員に装着されるウェビングに設けられたタングが係合されると共に移動可能とされたバックルと、
前記バックルが移動されることで移動される被検出部と、
前記被検出部を検出する検出部を有し、前記被検出部が移動される方向へ移動可能とされた検出体と、
を備え、
前記被検出部は、前記検出体に支持されており、
前記バックルが移動される際に移動される押圧部材が前記被検出部を押圧することで、前記被検出部が移動されて、該被検出部が前記検出部によって検出され、
前記被検出部が前記検出部によって検出されている状態で、前記押圧部材が前記被検出部をさらに押圧することで、前記検出体が前記被検出部と共に移動され、
前記被検出部は、第1の付勢部材によって前記押圧部材側へ向けて付勢され、
前記検出体は、第2の付勢部材によって前記押圧部材側へ向けて付勢され、
前記第2の付勢部材のバネ定数が、前記第1の付勢部材のバネ定数よりも大きなバネ定数に設定されているバックル装置。
【請求項3】
乗員に装着されるウェビングに設けられたタングが係合されると共に移動可能とされたバックルと、
前記バックルが移動されることで移動される被検出部と、
前記被検出部を検出する検出部を有し、前記被検出部が移動される方向へ移動可能とされた検出体と、
を備え、
モータによって回転されて前記バックルが移動されるドライブスクリュと、
前記ドライブスクリュの回転に伴い該ドライブスクリュの回転軸方向に沿って移動可能に設けられた押圧部材と、
を更に備え、
前記被検出部は、前記検出体に支持されており、
前記バックルが移動される際に移動される前記押圧部材が前記被検出部を押圧することで、前記被検出部が移動されて、該被検出部が前記検出部によって検出され、
前記被検出部が前記検出部によって検出されている状態で、前記押圧部材が前記被検出部をさらに押圧することで、前記検出体が前記被検出部と共に移動されるバックル装置。
【請求項4】
前記検出体は、前記被検出部から入力される荷重に対応する位置に移動される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のバックル装置。
【請求項5】
前記被検出部は、前記検出体に支持されており、
前記バックルが移動される際に移動される押圧部材が前記被検出部を押圧することで、前記被検出部が移動されて、該被検出部が前記検出部によって検出され、
前記被検出部が前記検出部によって検出されている状態で、前記押圧部材が前記被検出部をさらに押圧することで、前記検出体が前記被検出部と共に移動される請求項1記載のバックル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、乗員に装着されるウェビングに設けられたタングが係合されるバックルを備えたバックル装置が開示されている。このバックル装置は、モータと、モータが駆動されることで移動される可動ナットと、可動ナットとバックルとを繋ぐ連結ワイヤと、を備えている。そして、モータが駆動されて、可動ナットが移動されることで、連結ワイヤが引かれて、バックルが移動されるようになっている。
【0003】
ところで、バックルが繰返し移動されるバックル装置においては、当該バックルの位置を検出する部分に加わる荷重を低減することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−208497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、バックルの位置を検出する部分に加わる荷重を低減することができるバックル装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のバックル装置は、乗員に装着されるウェビングに設けられたタングが係合されると共に
上昇位置から格納位置側へ移動可能とされたバックルと、前記バックルが移動されることで移動される被検出部と、前記被検出部を検出する
ことで前記バックルが前記格納位置に位置していることが検出される検出部を有し、前記被検出部が移動される方向へ移動可能とされた検出体と、を備え
、前記被検出部は、前記バックルが前記格納位置側へ移動されることで移動され、前記検出体は、前記バックルが前記格納位置から前記上昇位置とは反対側へ更に移動されることで移動される。
請求項2記載のバックル装置は、乗員に装着されるウェビングに設けられたタングが係合されると共に移動可能とされたバックルと、前記バックルが移動されることで移動される被検出部と、前記被検出部を検出する検出部を有し、前記被検出部が移動される方向へ移動可能とされた検出体と、を備え、前記被検出部は、前記検出体に支持されており、前記バックルが移動される際に移動される押圧部材が前記被検出部を押圧することで、前記被検出部が移動されて、該被検出部が前記検出部によって検出され、前記被検出部が前記検出部によって検出されている状態で、前記押圧部材が前記被検出部をさらに押圧することで、前記検出体が前記被検出部と共に移動され、前記被検出部は、第1の付勢部材によって前記押圧部材側へ向けて付勢され、前記検出体は、第2の付勢部材によって前記押圧部材側へ向けて付勢され、前記第2の付勢部材のバネ定数が、前記第1の付勢部材のバネ定数よりも大きなバネ定数に設定されている。
請求項3記載のバックル装置は、乗員に装着されるウェビングに設けられたタングが係合されると共に移動可能とされたバックルと、前記バックルが移動されることで移動される被検出部と、前記被検出部を検出する検出部を有し、前記被検出部が移動される方向へ移動可能とされた検出体と、を備え、モータによって回転されて前記バックルが移動されるドライブスクリュと、前記ドライブスクリュの回転に伴い該ドライブスクリュの回転軸方向に沿って移動可能に設けられた押圧部材と、を更に備え、前記被検出部は、前記検出体に支持されており、前記バックルが移動される際に移動される前記押圧部材が前記被検出部を押圧することで、前記被検出部が移動されて、該被検出部が前記検出部によって検出され、前記被検出部が前記検出部によって検出されている状態で、前記押圧部材が前記被検出部をさらに押圧することで、前記検出体が前記被検出部と共に移動される。
【0007】
請求項
4記載のバックル装置は、請求項1
〜請求項3のいずれか1項に記載のバックル装置において、前記検出体は、前記被検出部から入力される荷重に対応する位置に移動される。
【0008】
請求項
5記載のバックル装置は、請求項
1記載のバックル装置において、前記被検出部は、前記検出体に支持されており、前記バックルが移動される際に移動される押圧部材が前記被検出部を押圧することで、前記被検出部が移動されて、該被検出部が前記検出部によって検出され、前記被検出部が前記検出部によって検出されている状態で、前記押圧部材が前記被検出部をさらに押圧することで、前記検出体が前記被検出部と共に移動される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1
〜請求項3記載のバックル装置によれば、バックルが移動する。このバックルには、ウェビングに設けられたタングが係合される。また、バックルが移動されると、被検出部が移動される。この被検出部が検出体の検出部によって検出されることで、バックルの位置を検出することができる。ここで、検出体は、被検出部が移動される方向へ移動可能とされている。これにより、被検出部から検出体に入力される荷重を低減することができる。すなわち、バックルの位置を検出する部分に加わる荷重を低減することができる。
【0010】
請求項
4記載のバックル装置によれば、検出体が被検出部から入力される荷重に対応する位置に移動されることで、被検出部から検出体に入力される荷重を所定の荷重に制限することができる。
【0011】
請求項2、請求項3
及び請求項5記載のバックル装置によれば、被検出部を検出体に支持させた構成とすることにより、バックルの位置を検出するための部品の取扱いを容易にすることができる。また、バックルが移動される際に押圧部材が移動されて、当該押圧部材が被検出部を押圧する。そして、押圧部材に押圧されることで移動された被検出部が検出体の検出部に検出されることで、バックルの位置を検出することができる。また、被検出部が検出体の検出部に検出された状態で、押圧部材が被検出部をさらに押圧すると、検出体が被検出部と共に移動される。これにより、押圧部材から被検出部を介して検出体に入力される荷重を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】リフトアップバックル装置を分解して示す分解斜視図である。
【
図2】リフトアップバックル装置において格納位置検出スイッチが設けられた部分の断面を示す断面図である。
【
図3】
図2に示された3−3線に沿って切断した格納位置検出スイッチ等を示す断面図である。
【
図4】格納位置検出スイッチのレバーが押圧されることで移動された状態を示す
図3に対応する断面図である。
【
図5】格納位置検出スイッチのレバーが
図4に示された状態よりもさらに移動された状態を示す
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜
図3を用いて本発明の実施形態に係るバックル装置について説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印FRは前方向、矢印UPは上方向をそれぞれ示すものとする。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態のバックル装置としてのリフトアップバックル装置10は、乗員に装着されるウェビングが挿通された図示しないタングが係合されるバックル12と、バックル12を格納位置から上昇位置へ移動させるリフトアップ装置14と、を備えている。また、リフトアップバックル装置10は、バックル12に取付けられるバックルアッパカバー16及びバックルロアカバー18と、バックルロアカバー18をスライド可能に支持するロアカバー20と、を備えている。
【0015】
(バックル12)
バックル12は、タングと係合する図示しない係合部とその係合を解除する解除操作部とを備えており、このバックル12には、後述する一対のワイヤ34の一方側の端部がジョイントアンカ22及びリベット24を介して固定されている。
【0016】
(リフトアップ装置14)
リフトアップ装置14は、図示しない出力軸が軸線方向周りの一方側及び他方側に回転することが可能とされたモータ26と、このモータ26の出力軸に当該出力軸と一体回転可能に係合されたドライブスクリュ28と、ドライブスクリュ28の回転に伴って当該ドライブスクリュ28の軸方向に沿って移動されるスライダ30と、を備えている。また、リフトアップ装置14は、スライダ30をガイドするレール32と、他方側の端部がスライダ30に係止されていると共にシート幅方向に間隔をあけて配置された一対のワイヤ34と、一対のワイヤ34をガイドするワイヤガイド36と、を備えている。
【0017】
モータ26は、DCモータであり、このモータ26は、スクリュ38等を介してハウジング40に固定されている。
【0018】
ドライブスクリュ28は、鋼材等を用いて棒状に形成されており、このドライブスクリュ28の外周部には、その長手方向に沿って雄螺子が形成されている。また、ドライブスクリュ28の一端部は、モータ26の出力軸が係合される係合部28Aとされている。なお、この係合部28Aとモータ26の出力軸との間には、弾性部材を用いて形成されたスクリュダンパ42が介装されている。また、ドライブスクリュ28における係合部28A側の部分は、ベアリング44を介してハウジング40に回転可能に支持されている。さらに、ドライブスクリュ28の他端部は、後述するワイヤガイド36に形成された軸支孔36Aに樹脂材料等を用いて形成されたブッシング46を介して回転可能に支持されている。
【0019】
スライダ30は、金属材料を用いて形成されており、このスライダ30は、ドライブスクリュ28に形成された雄螺子部と螺合する雌螺子部を有するドライブスクリュ係合部30Aと、ワイヤ34が挿通されるワイヤ固定部30Bと、を有して構成されている。そして、一対のワイヤ34の他方側の端部がワイヤ固定部30Bに挿通された状態で、かしめ等がなされることで、ワイヤ34の他方側の端部がワイヤ固定部30Bから外れない(ワイヤ34の他方側の端部がワイヤ固定部30Bに係止された状態が保たれる)ようになっている。なお、ワイヤ34の他方側の端部には、ピース48が固定されている。また、スライダ30には、樹脂材料等を用いて形成されていると共に、その外形が後述するレール32の内部の形状に対応する形状に形成された押圧部材としてのシュー50が取付けられている。そして、スライダ30がシュー50と共にレール32の内部を移動するようになっている。なお、スライダ30及びシュー50がハウジング40側に位置している状態におけるバックル12の位置を「格納位置」というものとし、スライダ30及びシュー50がワイヤガイド36側に位置している状態におけるバックル12の位置を「上昇位置」というものとする。また、スライダ30及びシュー50がハウジング40側に移動する方向を「スライド方向一方側A1」というものとし、スライダ30及びシュー50がワイヤガイド36側に移動する方向を「スライド方向他方側A2」というものとする。
【0020】
また、ハウジング40及びワイヤガイド36には、ダンパ52,54が取付けられている。これにより、スライダ30と共に移動されるシュー50が、ハウジング40及びワイヤガイド36に直接当接することが回避されている。
【0021】
レール32は、鋼板材にプレス加工等が施されることによって形成されている。このレール32は、下方側が開放された略U字状断面に形成されていると共に内部にドライブスクリュ28及びスライダ30等が配置されるスライダガイド部32Aを備えている。また、レール32におけるスライダガイド部32Aの長手方向一方側には、ハウジング40がスクリュ56等を介して固定されている。さらに、レール32におけるスライダガイド部32Aの長手方向他方側には、後述するワイヤガイド36が固定されている。なお、レール32は、図示しないボルトが挿通される挿通孔を有する固定部32Bを備えている。この固定部32Bの挿通孔に挿通された図示しないボルトが、シートクッションフレーム等に形成された螺子孔に螺入されることで、リフトアップバックル装置10が、シートクッションフレーム等に固定されるようになっている。また、レール32には、レールカバー58が取付けられている。これにより、スライダガイド部32Aの開放端がレールカバー58によって被われるようになっている。さらに、レールカバー58には、格納位置検出スイッチ60が当該レールカバー58の長手方向に沿って移動可能に取付けられている。そして、スライダ30と共に移動するシュー50が後述する格納位置検出スイッチ60に係合することで、バックル12が「格納位置」に位置していることが検出されるようになっている。
【0022】
ワイヤガイド36は、側面視で略扇状とされたブロック状に形成されており、このワイヤガイド36には、前述の軸支孔36A及び一対のワイヤ34をガイドするガイド溝36Bが形成されている。そして、一対のワイヤ34が、ガイド溝36Bの深さ方向に並列した状態で当該ガイド溝36B内に配置されることで、一対のワイヤ34においてガイド溝36B内に配置された部分が略U字状に湾曲されるようになっている。なお、本実施形態では、ワイヤガイド36に形成されたガイド溝36Bの開放端側がカバープレート62によって閉止されることで、一対のワイヤ34がガイド溝36Bから抜け出さないようになっている。
【0023】
(ロアカバー20)
ロアカバー20は、一例としてゴム等の弾力性のある材料を用いて筒状に形成されおり、このロアカバー20の一方側の端部は、ワイヤガイド36に係合されている。また、ロアカバー20は、一対のワイヤ34が挿通されるワイヤ挿通部20Aと、バックル12にタングが係合されているか否かを検出するためのバックルスイッチが接続されるカールコード64が挿通されるカールコード挿通部20Bと、を備えている。
【0024】
(バックルロアカバー18)
バックルロアカバー18は、一例としてロアカバー20よりも硬質の樹脂材料等を用いて形成されており、このバックルロアカバー18は、バックルアッパカバー16と共にバックル12を覆っている。バックルロアカバー18は、シート幅方向一方側に配置されたアウタカバー18Aとシート幅方向他方側に配置されたインナカバー18Bとが接合されることによって筒状に形成されている。バックルロアカバー18には、上記ロアカバー20が挿入されており、これにより、バックルロアカバー18がロアカバー20に沿ってスライドすることが可能となっている。なお、バックルロアカバー18には、カールコード64に取付けられたカールコードブラケット66が係止されている。これにより、バックルロアカバー18がロアカバー20に対してワイヤガイド36とは離間する側へスライドされた際に、螺旋状に巻回されたカールコード64が引延ばされるようになっている。
【0025】
(格納位置検出スイッチ60)
図2に示されるように、格納位置検出スイッチ60は、ブロック状に形成されていると共にその内部に検出部としてのMRセンサ68(
図3参照)が埋設された検出体としてのセンサケース70と、センサケース70に支持された被検出部としてのレバー72と、を含んで構成されている。
【0026】
図3に示されるように、センサケース70は、後述する衝撃吸収スプリング76の一方側の端部が係合されるスプリング係合部70Aと、スプリング係合部70Aのシート幅方向の両端部からそれぞれ後方側へ向けて延びると共に互いに平行に配置された一対の側壁部70Bと、を備えている。これにより、センサケース70は、上方側から見て後方側が開放された略U字状に形成されている。また、センサケース70における一対の側壁部70Bの間は、板状に形成されたレバー72が配置されるレバー配置部70Cとされている。そして、レバー72がレバー配置部70Cに沿って移動されるようになっている。また、レバー72とスプリング係合部70Aとの間には、圧縮コイルスプリングであるリターンスプリング74が配置されている。このリターンスプリング74によって、レバー72がレバー配置部70Cの開放端側(後方側)に向けて付勢されている。なお、センサケース70には、レバー72が当接することで、当該レバー72がレバー配置部70Cから外れることを防止する図示しないストッパ部が設けられている。
【0027】
また、センサケース70の一方側の側壁部70Bのスプリング係合部70A側には、MRセンサ68が埋設されている。そして、スライダ30と共に移動されたシュー50(
図2参照)がレバー72を押圧して、センサケース70のスプリング係合部70A側へ移動されたレバー72がMRセンサ68と近接して配置されることで、バックル12が「格納位置」に位置していることが検出されるようになっている。
【0028】
図2に示されるように、以上説明した格納位置検出スイッチ60は、レールカバー58に当該レールカバー58の長手方向(スライド方向一方側A1及び他方側A2)に沿って移動可能に取付けられている。また、センサケース70のスプリング係合部70Aとレールカバー58との間には、圧縮コイルスプリングである衝撃吸収スプリング76が配置されている。この衝撃吸収スプリング76によって、センサケース70がスライド方向他方側A2に向けて付勢されている。格納位置検出スイッチ60がレールカバー58に取付けられた状態では、センサケース70におけるスプリング係合部70Aとは反対側の部位がレールカバー58に設けられた図示しないストッパ部に当接することで、格納位置検出スイッチ60がレールカバー58における所定の位置に配置されるようになっている。また、本実施形態では、衝撃吸収スプリング76のバネ定数が、リターンスプリング74のバネ定数に比べて大きなバネ定数とされている。
【0029】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0030】
図1に記載されたリフトアップバックル装置10を備えた車両のシートに、乗員が着座したことが検出されると、リフトアップ装置14のモータ26がドライブスクリュ28を一方側へ回転させる。そして、ドライブスクリュ28が回転することによってスライダ30がドライブスクリュ28に沿ってスライド方向他方側A2へ移動して、ワイヤ34の一方側の端部に固定されたバックル12がシート上方側へ向けて移動される。すなわち、バックル12が、「格納位置」から「上昇位置」に移動される。これにより、乗員がタングをバックル12に容易に係合させることが可能となる。すなわち、乗員がウェビングを容易に装着することが可能となる。また、タングがバックル12に係合されたことがバックルスイッチによって検出されると、リフトアップ装置14のモータ26がドライブスクリュ28を他方側へ回転させる。これにより、スライダ30がドライブスクリュ28に沿ってスライド方向一方側A1へ移動して、ワイヤ34の一方側の端部に固定されたバックル12がシート下方側へ向けて移動される。すなわち、バックル12が、「上昇位置」から「格納位置」側へ移動される。
【0031】
ここで、本実施形態では、スライダ30がドライブスクリュ28に沿ってスライド方向一方側A1へ移動されると、
図2及び
図3に示されるように、スライダ30と共に移動されたシュー50が格納位置検出スイッチ60のレバー72をスライド方向一方側A1へ向けて押圧する。これにより、レバー72がリターンスプリング74を圧縮させながらスライド方向一方側A1へ移動されてMRセンサ68と近接する位置に配置される。その結果、バックル12が「格納位置」に位置していることが検出されて、モータ26の回転が停止される。なお、レバー72がリターンスプリング74を圧縮させながらスライド方向一方側A1へ移動されてMRセンサ68と近接する位置に配置される際における衝撃吸収スプリング76の圧縮変形量は、レバー72の移動量(リターンスプリング74の圧縮変形量)に比べて無視できる程度の圧縮変形量である。
【0032】
また、仮に、モータ26の回転の停止が遅れると、
図4に示されるように、レバー72がMRセンサ68と近接する位置に配置された状態で(バックル12が「格納位置」に位置していることが検出された状態で)、スライダ30と共に移動されたシュー50が、格納位置検出スイッチ60のレバー72をスライド方向一方側A1へ向けてさらに押圧する(さらに移動する)。そして、
図5に示されるように、衝撃吸収スプリング76が圧縮変形されながら、レバー72がセンサケース70と共にスライド方向一方側A1へ移動される。これにより、シュー50からレバー72及びリターンスプリング74を介してセンサケース70に入力される荷重を衝撃吸収スプリング76の圧縮変形量に対応する荷重に制限することができる。その結果、センサケース70が移動可能とされていない構成に比べて、シュー50からレバー72を介してセンサケース70に入力される荷重を低減することができる。また、当該構成では、シュー50とレバー72との接触圧力を制限することができ、その結果、シュー50とレバー72とが固着することを抑制することができる。しかも、衝撃吸収スプリング76がシュー50の移動力を吸収できる。
【0033】
また、本実施形態では、MRセンサ68によって検出される部材であるレバー72を当該MRセンサ68が埋設されたセンサケース70に支持させた構成とすることにより、バックル12の位置を検出するための部品(格納位置検出スイッチ60)の取扱い及び品質管理を容易にすることができる。
【0034】
なお、本実施形態では、MRセンサ68によって検出されるレバー72をセンサケース70に支持させたタイプの格納位置検出スイッチ60を用いてバックル12の位置を検出した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、MRセンサ68によって検出されるレバー72がセンサケース70と離間して配置される構成においては、レバー72をセンサケース70に支持させない構成とすることもできる。
【0035】
また、本実施形態では、シュー50からレバー72を介してセンサケース70に入力される荷重を低減するために、センサケース70をスライド方向一方側A1へ移動させた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、「格納位置」に位置しているバックル12を車両の緊急時(例えば衝突予知時)にシート下方側に更に引込む機能を有するリフトアップバックル装置においては、上記目的に加えてスライダ30及びシュー50のスライド方向一方側A1への移動ストロークを確保するために、シュー50がセンサケース70を衝撃吸収スプリング76の圧縮変形によってスライド方向一方側A1へ移動させてもよい。また、この場合、バックル12が「格納位置」からシート下方側へ引込まれている状態では、すなわち、バックル12が「格納位置」よりもシート下方側に位置している状態では、レバー72がMRセンサ68と近接する位置に常に配置される。これにより、車両の緊急時に、バックル12が「格納位置」よりも下方側に位置していることを格納位置検出スイッチ60により検出することができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
10 リフトアップバックル装置(バックル装置)
12 バックル
50 シュー(押圧部材)
68 MRセンサ(検出部)
70 センサケース(検出体)
72 レバー(被検出部)