【文献】
JSCAスマートハウス・ビル標準・事業促進検討会,HEMS−スマートメーターBルート(低圧電力メーター)運用ガイドライン[第2.0版],日本,経済産業省,2014年12月 1日,第19頁,URL,URL:https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/smart_house/pdf/006_s03_00.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように、無線通信と有線通信とを併用し、所定の場合に通信方式を切り替える構成とするには、電力量計と電力管理装置とをつなぐ電力線が必要となったり、切り替えのための制御システムを構築したりしなければならない。そのため、電力量計と電力管理装置との通信システムの複雑化やコストの増加を招くという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、電力量計との間の無線通信の信頼性を高めることで有線通信を不要とし、電力量計との間の通信システムの複雑化やコストの増加を抑制できるようにした電力管理装置の設置構造及びそれを備えた建物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明では、鉄骨よりなる建物躯体と、仕切り部材によって仕切られた居室空間とを有する建物に適用され、使用された電力量に関するデータ値を前記建物の外壁部に設置される電力量計から無線で受信する無線通信部を有する電力管理装置が、所定の設置対象部材に設置される電力管理装置の設置構造であって、前記電力管理装置は、前記仕切り部材によって前記居室空間と仕切られた非居室空間において、前記無線通信部と前記電力量計との間を仮想直線で結んだ場合に、その仮想直線上に前記建物躯体が存在しない箇所に設置されていることを特徴とする。
【0009】
この第1の発明によれば、電力管理装置が電力量計との間で無線通信を行う場合に、電波強度の減衰が抑制される。これにより、電力量計との無線通信の信頼性を高めることができる。この場合、有線通信を併用させていた従来技術と異なり、電力量計との間をつなぐ電力線も、無線通信と有線通信とを切り替えるための制御システムの構築も不要となる。そのため、電力量計との間の通信システムの複雑化やコストの増加を抑制できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記建物は、前記仕切り部材を含んで構成された壁部を備えており、前記電力管理装置は、前記仮想直線上に前記建物躯体が存在しない箇所であって、かつ前記仮想直線上に存在する前記壁部が2つまでとなる箇所に設置されていることを特徴とする。
第2の発明によれば、電力管理装置は、仮想直線上に建物躯体が存在しないだけでなく、壁部が2つまでとなる箇所に設置される。壁部は、その内部に、金属部材や断熱材等を含んで構成されており、これら金属部材や断熱材も電波強度を減衰させる要因となり得る。その壁部が、電力量計が設置された外壁部を含む2つまでとなる箇所に設置されているため、電波強度の減衰をさらに抑制して、電力量計との無線通信の信頼性をさらに高めることができる。
【0010】
第3の発明では、第1の発明又は第2の発明において、前記電力管理装置が設置される前記非居室空間は、前記仕切り部材であってかつ前記設置対象部材である天井面材によって前記居室空間と仕切られた天井裏空間であり、前記電力管理装置は、前記天井裏空間において、前記天井面材に形成された天井点検口の開口周縁部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
この第3の発明によれば、天井裏空間は、階間空間や屋根裏空間の一部となり、比較的スペースに余裕がある空間であるため、そこに電力管理装置が設置されることにより、天井点検口を介した点検作業等を行いやすい。また、床下空間と比べれば湿度が低いため、精密機器である電力管理装置を設置する上で好適となる。さらに、居室空間の間取りを設計する上で考慮する必要がない天井裏空間に電力管理装置が設置されるため、間取りをプランニングする上での制約を受けにくいというメリットもある。
【0012】
第4の発明では、第1の発明乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記建物は、前記建物躯体としての柱、天井大梁及び床大梁を有してなる複数の建物ユニットが互いに組み合わされて構築されたユニット式建物であって、複数の前記建物ユニットのうちの所定の建物ユニットに設けられた前記外壁部に前記電力量計が設置される場合に、前記電力管理装置も、前記所定の建物ユニットに設けられた前記非居室空間に設置されていることを特徴とする。
【0013】
この第4の発明によれば、電力管理装置は、電力量計が設置される建物ユニットと同じ建物ユニットの非居室空間に設置されるため、電力量計との間の直線距離が短くなり、また、両者を結ぶ仮想直線上に建物躯体が存在するおそれを低減できる。これにより、無線通信の信頼性をより高めることができる。
【0014】
第5の発明では、第1の発明において、前記建物は、前記建物躯体としての柱、天井大梁及び床大梁を有してなる複数の建物ユニットが互いに組み合わされて構築されたユニット式建物であって、前記電力管理装置が設置される前記非居室空間は、前記仕切り部材である床面材によって前記居室空間と仕切られた床下空間であり、複数の前記建物ユニットのうちの所定の建物ユニットに設けられた前記外壁部に前記電力量計が設置される場合に、前記電力管理装置は、前記所定の建物ユニットの直上に設けられた建物ユニットの前記床下空間において、前記床面材に形成された床下点検口の周辺領域に設置されていることを特徴とする。
【0015】
この第5の発明によれば、電力管理装置は、電力量計が設置される建物ユニットとは異なるものの、直上の建物ユニットの床下空間に設置されるため、電力量計との間の直線距離は比較的短く、また、両者を結ぶ仮想直線上に建物躯体が存在するおそれを低減できる。これにより、無線通信の信頼性をより高めることができる。また、床下空間は、階間空間の一部となり、比較的スペースに余裕がある空間であるため、そこに電力管理装置が設置されることにより、床下点検口を介した点検作業等を行いやすい。また、一階部分の床下空間と比べれば湿度が低いため、精密機器である電力管理装置を設置する上で好適となる。
第6の発明は、第1の発明乃至第3の発明のうちいずれかの電力管理装置の設置構造と、鉄骨よりなる建物躯体と、仕切り部材によって仕切られた居室空間及び非居室空間と、を有することを特徴とする建物とした。
第7の発明は、第3の発明又は第4の発明の電力管理装置の設置構造と、鉄骨よりなる建物躯体としての柱、天井大梁及び床大梁を有する複数の建物ユニットと、仕切り部材によって仕切られた居室空間及び非居室空間と、を有することを特徴とする建物とした。
これら第6の発明又は第7の発明によれば、電力管理装置の設置構造を備えたことにより、電力管理装置と電力量計との間の無線通信の信頼性が高められた建物又はユニット式建物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、鉄骨ラーメン構造を有する複数階建てのユニット式建物に具体化したものである。
【0018】
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎の上に設けられた建物本体11と、建物本体11の上に設けられた屋根12とを有している。建物10は二階建てとされ、建物本体11は一階部分14と二階部分15とを有している。建物本体11は、一階部分14及び二階部分15のいずれも、複数の建物ユニット20が互いに連結されることによって構成されている。
【0019】
図2に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部に連結された天井大梁22と、柱21の下端部に連結された床大梁23とを有している。これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成され、建物10における建物躯体を構成する。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
【0020】
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び、かつ相対向する一対の天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁24が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する一対の床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁25が架け渡されている。天井小梁24及び床小梁25は、それぞれ同一の間隔で、かつ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁24及び床小梁25はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。
【0021】
天井小梁24によって天井面材26が支持され、床小梁25によって床面材27が支持されている。天井面材26及び床面材27が仕切り部材となって、建物ユニット20内に設けられる居室空間31と、天井裏空間32や床下空間33等の非居室空間とが仕切られる。
【0022】
図1に戻り、本実施形態の建物本体11では、その一階部分14及び二階部分15がそれぞれ6つの建物ユニット20により構成されている。いずれの階部分においても、一対の建物ユニット20がその妻面同士を突き合わせて並べることで一列が形成され、それが正面側から三列並べられた状態で組み合わされている。
【0023】
ここで、説明をしやすくするため、一階部分14を構成する6つの建物ユニット20のうち、次に説明する建物ユニット20については、個別に符号を付してそれぞれを区別する。最正面側となる一列目において、
図1の右側に配置された建物ユニット20を第1建物ユニット20aとし、その左側に配置された建物ユニット20を第2建物ユニット20bとする。次に、二列目において、
図1の右側に配置された建物ユニット20を第3建物ユニット20cとし、その左側に配置された建物ユニット20を第4建物ユニット20dとする。
【0024】
次に、建物10は、ホームエネルギ管理システム40(以下「HEMS40」という。)を有している。HEMS40による管理の対象となるエネルギは電気、ガス等であるが、本実施形態はオール電化式の建物10を想定し、HEMS40は電力の管理のみを行うものとして説明する。HEMS40は、
図3に示すように、管理制御装置41と、建物設備42と、表示装置43と、電力量計44とを備えている。
【0025】
管理制御装置41は、HEMS40の全体の制御を司る装置であり、
図2に示すように、第1建物ユニット20aの天井面材26の天井裏側、つまり天井裏空間32に設置されている。この場合、天井面材26は設置対象部材に相当し、管理制御装置41はその天井面材26に、図示しない取付金具等の固定部材等により固定されている。天井面材26には、天井点検口81と、天井点検口81を塞ぐ天井点検扉82とが設けられている。管理制御装置41は、この天井点検口81の開口周縁部に設置され、天井点検扉82を開くと管理制御装置41にアクセスし、点検作業や建物設備42との接続作業等を行うことができるようになっている。
【0026】
図3に戻り、管理制御装置41は、建物10における電力管理や建物設備42の制御を行う管理制御部51と、外部との間で無線通信を行う通信部52とを有している。通信部52は無線通信部に相当する。管理制御部51には、建物設備42のそれぞれの設備、例えばエアコン等の空調機器61、給湯機器62、玄関電気錠63等と接続されている。また、管理制御部51は、通信部52を経由して、居室空間31を形成する居室壁部に設けられた表示装置43と無線接続されている。表示装置43は、タブレットやスマートフォン等であってもよく、この場合、通信部52との間にルータを介在させて、無線通信させるようにしてもよい。
【0027】
管理制御部51は、各々の建物設備42で使用された電力量を、電力量計44から通信部52を通じて受信して把握したり、電力消費量が節約されるように建物設備42を制御したりする。また、管理制御部51は、建物設備42による電力使用量等の情報を把握し、その情報を表示装置43に表示させることで、建物利用者がそれらの情報を視覚的に把握できるようにする。このように、管理制御部51は、建物10において使用される電力量を管理する。管理制御部51を備えた管理制御装置41は、電力管理装置に相当する。
【0028】
電力量計44は、建物10内に設けられた分電盤64に接続され、建物10において使用された電力値を計量するものである。電力量計44は、建物使用者が契約する電力会社が設置するものであり、その設置箇所は、電力会社が定める規則や協議等によって定まる。例えば、保守点検や検針等に支障が生じない箇所の外壁部17であって、地表からの設置高さが所定高さ(例えば、下端が1.8m以上で上端が2.2m以下)に設置される。建物10では、第1建物ユニット20aの玄関16の近傍、つまり第1建物ユニット20aの妻面部分の外壁部17であって、建物正面側寄りの箇所に設けられている(
図1参照)。
【0029】
電力量計44は、建物10において使用された電力量データについて、外部との無線通信を行う機能を備えたスマートメータである。電力量計44は、使用電力値に関する無線通信を行う通信部71と、使用電力量を計量する電力計量部72と、計量された使用電力値を表示する表示部73とを有している。電力計量部72は、計量された使用電力量の値を表示部73に表示するとともに、通信部71を用いて、管理制御装置41に対し、使用電力量のデータ値を無線送信する。また、必要に応じて電力会社の通信装置に対しても使用電力量のデータ値を無線送信する。
【0030】
ここで、前述したように、電力量計44は、電力会社が定める規則によって設置される箇所が定まる。そして、
図2に示すように、本実施形態の建物10では、第1建物ユニット20aの妻面部分の外壁部17に設けられている(
図1も参照)。これを前提に、電力量計44から使用電力量のデータを無線で受信する管理制御装置41も、
図2に示すように、第1建物ユニット20aの天井裏空間32に設置されている。
【0031】
管理制御装置41がこの位置に設置されていることにより、
図2に示すように、電力量計44と通信部52とを結んだ仮想直線L1上に、建物躯体を構成する柱21や天井大梁22が存在しない。柱21や天井大梁22は、鋼材という金属材料により形成されているため、無線通信における電波強度を減衰させる要因となる。このような柱21や天井大梁22が間に存在しないことにより、管理制御装置41が電力量計44との間で無線通信を行う場合に、電波強度が減衰してしまうことが抑制される。
【0032】
また、管理制御装置41は、電力量計44が設けられた第1建物ユニット20aと同じ第1建物ユニット20aに設置されているため、電力量計44との間の直線距離が短くなる。また、第1建物ユニット20aとは異なる建物ユニット20に管理制御装置41を設置する場合に比べ、仮想直線L1上に柱21や天井大梁22が存在するおそれを低減できる。
【0033】
HEMS40を有する本実施形態の建物10は、以上に説明したとおりである。そして、本実施形態の建物10が有する管理制御装置41の設置構造によれば、以下に示す効果が得られる。
【0034】
(1)管理制御装置41を、電力量計44との間を結ぶ仮想直線L1上に、柱21や天井大梁22が存在しない位置に設置した。両者の間で無線通信を行う場合に、電波強度の減衰が抑制される。これにより、電力量計44との無線通信の信頼性が高まるため、有線通信を併用させていた従来技術と異なり、電力量計44との間をつなぐ電力線も、無線通信と有線通信とを切り替えるための制御システムの構築も不要となる。その結果、電力量計44と管理制御装置41との間の通信システムの複雑化やコストの増加を抑制できる。
【0035】
(2)管理制御装置41を、電力量計44が設置される第1建物ユニット20aに設置した。そのため、電力量計44との間の直線距離が短くなり、また、両者を結ぶ仮想直線L1上に柱21や天井大梁22が存在するおそれを低減できる。これにより、無線通信の信頼性をより高めることができる。
【0036】
(3)管理制御装置41を天井裏空間32であって、天井面材26に形成された天井点検口81の開口周縁部に設置した。天井裏空間32は、階間空間や屋根裏空間の一部となり、比較的スペースに余裕がある空間であるため、そこに管理制御装置41が設置されることにより、天井点検口81を介した点検作業や建物設備42との接続作業等を行いやすい。また、一階部分14における床下空間33と比べれば湿度が低いため、精密機器である管理制御装置41を設置する上で好適となる。さらに、居室空間31の間取りを設計する上で考慮する必要のない天井裏空間32に管理制御装置41が設置されるため、間取りをプランニングする上での制約を受けにくいというメリットもある。
【0037】
なお、本発明は、上記した実施形態に限らず、例えば次のような別の形態によって実施してもよい。
【0038】
(a)上記実施の形態では、第1建物ユニット20aの天井裏空間32に管理制御装置41を設置したが、他の場所に設置してもよい。つまり、管理制御装置41と電力量計44との間を結ぶ仮想直線上に、建物躯体である柱21、天井大梁22及び床大梁23が存在しない箇所であれば、第1建物ユニット20aとは異なる建物ユニット20に管理制御装置41を設置してもよい。
【0039】
例えば、
図4に示すように、第2建物ユニット20bの天井裏空間32のうち、中央部付近の位置に管理制御装置41を設置することが考えられる。この場合も、電力量計44との間を結ぶ仮想直線L2上に、柱21や天井大梁22が存在しないため、電力量計44との間の無線通信を行う場合に、電波強度が減衰することが抑制される。もっとも、
図4に示すように、短辺側の天井大梁22のうち、第1建物ユニット20aの側に存在する天井大梁22に近接した位置に設置すると、
図4に示すように、電力量計44との間を結ぶ仮想直線L3上に天井大梁22が存在することとなる。この天井大梁22によって電波強度が減衰するため、この位置は避ける必要がある。
【0040】
別の例として、
図4に示すように、第3建物ユニット20cの天井裏空間32に、管理制御装置41を設置することが考えられる。この場合も、電力量計44との間を結ぶ仮想直線L4上に、柱21や天井大梁22が存在しないため、電力量計44との間の無線通信を行う場合に、電波強度が減衰することが抑制される。
【0041】
さらに別の例として、
図4に示すように、第4建物ユニット20dの天井裏空間32に、管理制御装置41を設置することも考えられる。もっとも、この場合は、電力量計44との間を結ぶ仮想直線上に、柱21が集合した柱集合部21aや、第4建物ユニット20dの天井大梁22等が存在しないように、その配置位置を設定する必要がある。例えば、第4建物ユニット20dの天井裏空間32において、その中央部付近に管理制御装置41を設置すると、電力量計44との間を結ぶ仮想直線L5上に柱集合部21aが存在することとなる。この柱集合部21aによって電波強度が減衰するため、この位置を避ける必要がある。
なお、
図5に示すように、第4建物ユニット20dの天井裏空間32に管理制御装置41を設置する場合でも、第3建物ユニット20cに相当する建物ユニット20が設けられていない配置構成を有する建物10では、その箇所への設置は好ましくない。この場合、管理制御装置41と電力量計44とを結ぶ仮想直線L6上に、電力量計44が設置された外壁部17aを含む合計3つの外壁部17a〜17cが存在している。仮想直線L6が、これら3つの外壁部17a〜17cを跨っていることにより、電波強度が減衰する程度が大きい。
ここで、建物10の外壁部17や内壁部18は、アルミニウム等の金属フレームや鉄骨といった金属製部材、コンクリート、断熱材等を含んで構成されている。このうち、特に、金属製部材、コンクリート、土壁等の高湿度素材を含む断熱材については、無線通信における電波強度を減衰させる要因となる。そのため、管理制御装置41と電力量計44との間を結ぶ仮想直線上に、外壁部17や内壁部18等の壁部が存在するとしても、その数は2つ以内であることが好ましい。その点で、上記のように、仮想直線L6上に3つの外壁部17a〜17cが存在する位置に管理制御装置41が設置される構成は、電波強度が減衰する程度が許容範囲を超える。
【0042】
(b)上記実施の形態では、管理制御装置41を第1建物ユニット20aの天井裏空間32に設置したが、第1建物ユニット20aにおける別の箇所に設置するようにしてもよい。例えば、
図6に示すように、仕切り部材である床面材27の床下側となる床下空間33に設置してもよい。この場合、床下空間33には、設置対象部材の一例として、図示しない床下収納ケースが設けられ、そのケースに管理制御装置41が固定部材等で固定される。また、床面材27には、床下点検口83と床下点検口83を塞ぐ床下点検扉84とが設けられる。管理制御装置41は、この床下点検口83からアクセス可能な周辺領域に設置される。もっとも、一階部分14の床下空間33は比較的湿度が高い場所であるため、精密機器である管理制御装置41を設置するには、天井裏空間32に設置する方が好ましい。
【0043】
これに対し、
図6に示す建物ユニット20が、第1建物ユニット20aの直上に配置された第5建物ユニット20e(
図1参照)であれば、床下空間33であっても、第1建物ユニット20aの床下空間33に比べれば湿度は低い。このため、第1建物ユニット20aの床下空間33に設置する場合のような懸念を考慮する必要性は高くない。また、第1建物ユニット20aの直上であるから、電力量計44との距離も比較的短く、両者を結ぶ仮想直線上に柱21、天井大梁22及び床大梁23が存在するおそれを低減できるため、無線通信の信頼性を高めることができる。
【0044】
このように、一階部分14に電力量計44が設けられた場合に、二階部分15を構成する建物ユニット20の非居室空間に管理制御装置41を設置してもよい。もっとも、この場合でも、電力量計44との間の仮想直線上に、柱21、天井大梁22及び床大梁23が存在しない位置に、管理制御装置41を設置する必要がある。
【0045】
その他、
図7に示すように、第1建物ユニット20aに設けられた仕切り壁部91の壁内部に、管理制御装置41を設置するようにしてもよい。仕切り壁部91が有する図示しない壁材が仕切り部材となる。この場合も、仕切り壁部91の内部には、設置対象部材の一例として、図示しない壁内収納ケースが設けられ、そのケースに管理制御装置41が固定部材等で固定される。また、仕切り壁部91には、壁内点検口85と壁内点検口85を塞ぐ壁内点検扉86とが設けられる。管理制御装置41は、この壁内点検口85からアクセス可能な箇所に設置される。この構成では、仕切り壁部91を構成する壁材が仕切り部材に相当する。
【0046】
もっとも、仕切り壁部91は、天井裏空間32ほどスペースに余裕がなく、断熱材等も設置されるため、管理制御装置41を設置したり、点検作業や建物設備42との接続作業等を行ったりするスペースを確保しづらい。また、管理制御装置41を設置する仕切り壁部91を居室空間31に設置しなければならないとなると、居室空間31における間取りをプランニングする上で、その仕切り壁部91の存在が制約となる。そのため、管理制御装置41を設置するには、天井裏空間32に設置する方が好ましい。
【0047】
(c)上記実施形態では、電力量計44を一階部分14に設置されているが、電力会社の設置規則に合致する場合であれば、二階部分15に設置してもよい。この場合、管理制御装置41は、一階部分14を構成する建物ユニット20の非居室空間に設置してもよい。もっとも、この場合も、電力量計44との間の仮想直線上に、柱21、天井大梁22及び床大梁23が存在しない位置に、管理制御装置41を設置する必要がある。
【0048】
(d)上記実施の形態では、建物10を複数階建てのユニット式建物としたが、一階建てのユニット式建物であっても、鉄骨軸組工法による建物躯体を有する建物であってもよい。また、複数の建物ユニット20の配置も任意である。