特許第6605458号(P6605458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6605458ポリウレタンを含有するポリマー層を有する塗装代替フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605458
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】ポリウレタンを含有するポリマー層を有する塗装代替フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20191031BHJP
   C09J 7/25 20180101ALI20191031BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B32B27/40
   C09J7/25
   C08J5/18CFF
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-521894(P2016-521894)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公表番号】特表2016-523742(P2016-523742A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014043755
(87)【国際公開番号】WO2014209928
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年6月16日
(31)【優先権主張番号】13173460.0
(32)【優先日】2013年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】フックス, アイリス, エル.
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2002/057332(WO,A1)
【文献】 特表平07−502291(JP,A)
【文献】 特開2012−172093(JP,A)
【文献】 特開平02−131940(JP,A)
【文献】 特開2001−337602(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0148445(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
C08J5/18
C09J7/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの着色されたポリマー層及び剥離ライナ層を含み、前記少なくとも1つのポリマー層が着色料、及び少なくとも1つのブロック化イソシアネートを含む製剤のゲル化により生成されるポリウレタンを含み、前記製剤が4.5:1〜1:4.5の範囲内のOH重量当量比の少なくとも2つのポリオールを含み、前記ポリウレタンが、40℃を下回るASTM E1640−09基準によるガラス転移温度(Tg)を有する塗装代替フィルム。
【請求項2】
前記ポリマー層と前記剥離ライナ層との間に接着剤層を更に含む、請求項1に記載の塗装代替フィルム。
【請求項3】
前記ポリウレタンが、80%より大きい、DIN EN ISO 527/3/2/300による破断までの伸度を有する、請求項1又は2に記載の塗装代替フィルム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのブロック化イソシアネートが、ブロック化脂肪族イソシアネートを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗装代替フィルム。
【請求項5】
裏材層を提供する工程と、
4.5:1〜1:4.5の範囲内のOH重量当量比の少なくとも2つのポリオール、及び1つ又は2つ以上のブロック化イソシアネートを含む液体製剤を提供する工程と、
前記裏材層を前記液体製剤でキャストコーティングする工程と、
前記液体製剤をゲル化し、それによって、40℃を下回るASTM E1640−09基準によるガラス転移温度(Tg)を有するポリウレタンを含むポリマー層を形成する工程と、を含み、
前記ポリマー層が着色料を含む着色されたポリマー層である、塗装代替フィルムを生成する方法。
【請求項6】
前記液体製剤をゲル化する工程が、1つ又は各ブロック化イソシアネートが解離し、それによって、前記液体製剤がゲル化することを可能にする温度以上の脱ブロック化温度まで、前記液体製剤を熱処理する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗装代替フィルムを提供する工程と、
前記塗装代替フィルムの前記ライナ層を除去する工程と、
前記ポリマーフィルムを前記表面に適用する工程と、を含む、表面を被覆する方法。
【請求項8】
少なくとも1つの表面を有し、前記表面の少なくとも一部分が、前記表面に接着されている塗装代替フィルムで被覆されており、前記塗装代替フィルムが、少なくとも1つのブロック化イソシアネートを含む製剤のゲル化により生成される、40℃を下回るASTM E1640−09基準によるガラス転移温度(Tg)を有するポリウレタンを含むポリマー層を含み、前記製剤が4.5:1〜1:4.5の範囲内のOH重量当量比の少なくとも2つのポリオールを含む、モータ車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装代替フィルム、塗装代替フィルムを生成するための方法、及び塗装代替フィルムを表面に適用するための方法に関する。本発明はまた、ポリマーフィルムによって被覆される表面に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンシート材料は、既知である。例えば、第US−B−5,688,573号は、従来の印刷方法及び放射方法を特徴とし得る、ハロゲン不含アクリルウレタンシート材料を開示する。
【0003】
塗装代替フィルムは、多くの領域において使用を見出す。特に関心対象となる一領域は、車両の外部表面のための塗装代替フィルムである。車両上の塗装代替フィルムは、許容可能な色の一貫性、耐候性、耐化学性、及び耐久性を有しなければならない。
【0004】
先行技術の塗装代替フィルムとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)に基づくものが挙げられる。純PVCフィルムだけでなく、トップコーティングを有するPVCフィルムもまた、既知であり、トップコーティングは、耐候性、耐化学性、及び耐久性を改善するために使用される。既知のトップコーティングは、それらが伸縮性ではないという結果を伴って、比較的硬質であり、これは、時として、外部曝露後のトップコーティングの亀裂につながり得る。概して、環境的懸念により、PVCの量を低減する必要性が存在する。二重硬化ポリウレタン(PU)系に基づく塗装代替フィルムが既知である。
【0005】
裏材シート上のフルオロポリマーフィルムに基づく他の塗装代替フィルムが既知である。国際公開第WO−A−2007/059282号は、一部に対する装飾的仕上げを提供するための処理後に、高い光沢及び鮮映性を有する、装飾的塗装フィルム積層体を開示する。国際公開第WO−A−2007/059282号のフィルムは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はポリフッ化ビニル(PVF)フルオロポリマー層を含有する。
【0006】
キャリア層、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)/ポリカーボネート(PC)の層、及びポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)のトップ層からなる製品を含む、熱形成のための塗装代替が意図される多層シートもまた、既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの既知のフィルムのうちの多くに関して、フィルムコーティングされた表面は、塗装コーティングされた表面の要件に近い特性を有する。しかしながら、フィルムのうちのいくつかは、塗装代替としてのそれらの一般的な使用を阻止又は低減する不利点に見舞われる。既知のフィルムは、通常、車両(又は他の)構成要素、例えば、ドア若しくは屋根の製造中に適用され得るのみである。
【0008】
塗装のそれらに近い耐化学性及び耐候性、並びに伸縮可能性の特性を有する、特に、車両のための塗装代替フィルムを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様において、少なくとも1つのポリマー層を含み、該少なくとも1つのポリマー層が少なくとも1つのブロック化イソシアネートを含む製剤から生成されるポリウレタンを含む、塗装代替フィルムが提供される。塗装代替フィルムは、ライナ層を含み、製剤は、4.5:1〜1:4.5の範囲内のOH重量当量比の少なくとも2つのポリオールを含む。
【0010】
本発明の別の態様において、裏材層を提供する工程と、4.5:1〜1:4.5の範囲内のOH重量当量比の少なくとも2つのポリオール、及び1つ又は2つ以上のブロック化イソシアネートを含む液体製剤を提供する工程と、裏材層を液体製剤でキャストコーティングする工程と、液体製剤をゲル化し、それによって、ポリウレタンを含むポリマー層を形成する工程と、を含む、塗装代替フィルムを生成する方法が提供される。
【0011】
本発明の追加の態様において、本発明に従う塗装代替フィルムを提供する工程と、塗装代替フィルムのライナ層を除去する工程と、ポリマーフィルムを表面に適用する工程と、を含む、表面を被覆する方法が提供される。
【0012】
本発明の別の態様において、少なくとも1つの表面を有するモータ車両が提供され、前記表面の少なくとも一部分は、表面に接着される塗装代替層で被覆され、塗装代替層は、少なくとも1つのブロック化ポリウレタン前駆体から生成されるポリウレタンを含むポリマー層を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第一の態様において、したがって、本発明は、少なくとも1つのポリマー層を含み、該少なくとも1つのポリマー層が少なくとも1つのブロック化イソシアネートを含む製剤から生成されるポリウレタンを含み、ライナ層を含み、製剤が、4.5:1〜1:4.5の範囲内のOH重量当量比の少なくとも2つのポリオール(100%固形基準)を含む、塗装代替フィルムを提供する。
【0014】
42℃を下回る、好ましくは40℃を下回る、より好ましくは38℃を下回る、及び最も好ましくは37℃を下回るガラス転移温度(T)を有するように、ポリウレタンが形成される(例えば、ポリオール(複数を含む)及び/又はイソシアネート(複数を含む)の選択によって)場合、好ましい。
【0015】
第2の態様において、本発明は、少なくとも1つのブロック化イソシアネートを含む製剤から生成されるポリウレタンを含むポリマー層を含み、ライナ層を更に含み、ポリウレタンが42℃を下回るガラス転移温度(T)を有する、塗装代替フィルムを提供する。ポリウレタンは、好ましくは、40℃を下回る、より好ましくは38℃を下回る、及び最も好ましくは37℃を下回るガラス転移温度(T)を有する。
【0016】
好ましくは、ポリウレタンは、−20℃〜42℃、好ましくは−10℃〜42℃又は〜40℃、より好ましくは0℃〜42℃、〜40℃又は〜38℃、及び最も好ましくは0℃〜37℃の範囲内のガラス転移温度(T)を有する。
【0017】
ブロック化イソシアネートは、それらが、塗装代替フィルムの製造において優れた利点を提供する、製剤に対する長い(好ましくは無制限の)ポット寿命を提供する(ポリウレタンを生成するための製剤の使用の前)ことから、本発明の態様において有利である。更に、ブロック化イソシアネート前駆体の使用は、1ポット製剤化が使用されることを可能にし、製造、及び製造中の任意の着色料の添加を簡略化する。
【0018】
ポリマー層は、着色料を更に含む、着色されたポリマー層であってもよい。概して、着色料は、ポリウレタンポリマー層の特性を著しく修正しない。このため、異なる着色料が、通常、交換可能に使用され得る。代替的に、ポリマー層は、実質的に透明又は半透明(即ち、添加された着色料を有しない)であってもよい。
【0019】
塗装代替フィルムは、単一のポリマー層又は2つ以上のポリマー層を含んでもよい。2つ、又はそれ以上のポリマー層が存在する場合、各ポリマー層は、着色された層であってもよいか、又は各ポリマー層は、色不含層であってもよい。代替的に、例えば、2層系において、1つのポリマー層は、着色されたポリマー層であってもよく、1つのポリマー層(通常、トップポリマー層)は、色不含(通常、透明又は半透明)ポリマー層であってもよい。
【0020】
好ましくは、塗装代替フィルムは、接着剤層を更に含む。接着剤層は、それが、例えば、車両の一部の製造後でさえ、塗装を交換するために使用され得る自己接着性塗装代替層の生成を可能にすることから、有利である。自己接着性塗装代替層は、特に、自動車用途、例えば、車両のための車体色用途、車両又は異なる着色された構成要素(例えば、屋根)上のグラフィックスのための、表面上の透明フィルム又は着色されたフィルムを提供するために使用され得る。好ましくは、接着剤層は、感圧性接着剤層である。
【0021】
特に有用な接着剤、及び特に感圧性接着剤としては、曝露された表面上の微細構造化された特性を保持することが可能であるものが挙げられる。このため、好ましくは、接着剤層は、微細構造化された接着剤層である。
【0022】
好ましい実施形態において、ライナ層は、微細構造化されたライナ層である。これは、それが、微細構造化された接着剤層を画定する好都合な方法を可能にすることから、特に有利である。
【0023】
「微細構造」は、構造の少なくとも1つの寸法が微小である(即ち、概して、1mm未満〜0.25mm未満の寸法を有する)、構造の構成を意味する。
【0024】
微細構造化された接着剤は、好ましくは、接着剤内にチャネルを含む。チャネルは、接着剤において、任意の500μm直径の円形領域当たり少なくとも1×10μmの体積を含み得る。チャネルは、フィルムが表面に適用される時に、それらが、フィルムの周辺への流体(例えば、空気)放出のための出口経路を創出することから、有利である。更に、微細構造化された接着剤は、表面上へのフィルムの好都合な位置付けを可能にする。
【0025】
このため、好ましくは、微細構造化された接着剤層は、微細構造化されたチャネルを含む。
【0026】
チャネルは、好ましくは、曝露された表面から接着剤の中へ延在する、連続的な開放経路又は溝である。チャネルは、接着剤層の周辺部分で終端するか、又は塗装代替フィルムの周辺部分で終端する他のチャネルと連通するかのいずれかであってもよい。チャネルの形状は、処理方法に従って広く異なり得るが、各々は、好ましくは、V形状、U形状、長方形、又は台形断面を有する。構造は、接着剤の表面周囲にランダムに配置されるか、又は規則的なパターンで配置されるかのいずれかであってもよい。
【0027】
一般的に、塗装代替フィルム上の微細構造化された接着剤層は、表面上へのフィルムの強制的な適用の前に、塗装代替フィルムが、表面上で位置付け可能であることを可能にする。接着剤の微細構造化された表面は、十分な圧力が印加されて、接着剤と基材の表面との間の結合を可能にするまで、物品が、基材の表面上をスライドすること、又は基材の表面から容易に除去されることのいずれかを可能にする。接着剤層の微細構造はまた、結合力が塗装代替フィルムに印加されるにつれて、接着剤と基材との間の接合面からの流体(例えば、空気)の放出を増強する。
【0028】
微細構造化された表面は、感圧性接着剤層を直接エンボス加工することによって形成することができる。微細構造化された特性は、微細構造化された成形ツール、裏材、若しくはライナでエンボス加工することによって、又はそれがそこからその後除去される微細構造化された成形ツール、裏材、若しくはライナ上にコーティングされることによって、適用され得る。代替的に、及び好ましくは、ライナ層は、最初にエンボス加工され、次いで、感圧性接着剤でコーティングされて、構造を接着剤に付与し得る。
【0029】
選択される特定の接着剤は、フィルムが適用される基材のタイプ、及び裏面に接着剤が付いた物品を生成する際に採用される微細構造化方法に依存する。更に、有用な微細構造化された感圧性接着剤は、通常、裏面に接着剤が付いた物品の利用を可能にするために十分な時間、それらの微細構造化された表面を保持することが可能である。
【0030】
このため、概して、いかなる感圧性接着剤も、本発明に対して好適であり得る。接着剤は、典型的に、それらが接着される基材のタイプに基づいて選択される。感圧性接着剤の部類には、アクリル、粘着付与ゴム、粘着付与合成ゴム、エチレン酢酸ビニル、シリコーン、及び類似の接着剤が挙げられる。
【0031】
好ましい部類の感圧性接着剤は、少なくとも1つの強化コモノマーとの少なくともアクリル酸アルキルの反応生成物であるものである。好適なアクリル酸アルキルは、約−10℃を下回るホモポリマーガラス転移温度を有するものであり、例えば、アクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、オクタデシルアクリレートなどが挙げられる。好適な強化モノマーは、約−10℃のホモポリマーガラス転移温度を有するものであり、例えば、アクリル酸、イタコン酸、イソボルニルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0032】
接着剤は、溶媒又は水中に分散されるポリマーであってもよく、剥離ライナ上にコーティングされ、乾燥させ、任意に架橋されてもよい。溶媒系又は水系感圧接着剤組成物が採用される場合、接着剤層は、好ましくは、キャリア液体の全て又は大部分を除去するように、乾燥工程を受ける。平滑な表面を達成するために、追加のコーティング工程が必要とされ得る。接着剤はまた、ライナ又は微細構造化された裏材上へホットメルトコーティングされてもよい。更に、モノマープレ接着剤組成物は、ライナ上へコーティングし、熱、UV放射、又は電子ビーム放射等のエネルギー源で重合することができる。
【0033】
任意の接着剤層の厚さは、例えば、接着剤組成物、微細構造化された表面を形成するために使用される構造のタイプ、基材のタイプ、及びフィルムの厚さを含む、いくつかの要因に依存する。一般的に、接着剤層の厚さは、微細構造化された表面を含む構造の高さよりも大きい。
【0034】
存在する場合の任意の、かつ好ましい接着剤層は、通常、10〜100μm、好ましくは20〜75μm、より好ましくは25〜50μm、及び最も好ましくは30〜40μmの範囲内の厚さを有する。
【0035】
感圧性接着剤は、任意に、1つ又は2つ以上の添加剤を含むことができる。重合の方法、コーティング方法、最終使用などに依存して、開始剤、充填剤、塑性剤、粘着付与剤、連鎖移動剤、繊維強化剤、織布及び不織布、起泡剤、抗酸化剤、安定剤、難燃剤、増粘剤、着色剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤を使用することができる。
【0036】
接着剤層を使用する時、ポリマー層と接着剤層との間の接着を促進するために、化学的又は物理的前処理が任意に使用され得る。1つの可能な化学的前処理は、プライマーを使用することである。好適であるプライマーのタイプは、使用されるポリマー層及び接着剤層に依存して異なる。好適なプライマーの例としては、塩素化ポリオレフィン、ポリアミド、及び変性アクリルポリマーが挙げられる。典型的に、プライマーは、非常に低い濃度、例えば、約5%未満(less that)の固形で水性溶媒中へ分散され、フィルム上へコーティングされ、室温又は高温で乾燥されて、非常に薄い層を形成する。使用される典型的な溶媒としては、単独、又はそれらのブレンドとして使用される、水、ヘプタン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、イソプロパノールなどが挙げられ得る。採用される物理的前処理方法は、好ましくは、火炎、プラズマ、又はコロナ処理のものである。
【0037】
ポリマー層の製造において、それは、キャリア(裏材としても知られる)層上にキャストされ得る。好適な(キャリア)裏材層の選択は、既定の光沢及び外観を有するポリマー層が生成されることを可能にする。このため、塗装代替フィルムは、マット、光沢、又はテクスチャ加工された外観を有し得る。
【0038】
裏材層(代替的にキャリア層と呼ばれ得る)は、それが、ポリウレタン層がその上で任意にキャストコーティングされ得る支持を提供することから、有利である。好適なキャリア/裏材層は、紙(好ましくはポリマーコーティングされた紙)、又はポリマー裏材層、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は他の好適な材料に基づき得る。
【0039】
このため、塗装代替フィルムは、裏材層を更に含み得る。接着剤層が存在する場合、好ましくは、ポリマー(ポリウレタン層)層は、裏材層とは反対側で裏面に接着剤が付けられ、接着剤層は、好ましくは、微細構造化されたライナによって付与される、微細構造化された表面を好ましくは有する。
【0040】
本発明の驚くべき利点は、本発明に従うポリマー層が、表面の良好な被覆(好ましくはしわを伴わずに)を可能にするように、伸縮性かつ適合性であるということである。このため、好ましくは、ポリウレタンは、80%より大きい、より好ましくは90%より大きい、及び最も好ましくは100%より大きい破断までの伸度を有する。
【0041】
少なくとも1つのブロック化イソシアネートが、ブロック化脂肪族イソシアネートを含む場合、好ましい。これは、脂肪族イソシアネートの使用が、本発明のフィルムにおいて、風化を受けにくいポリマー層を提供することから、有利であることが証明されている。
【0042】
好適なイソシアネートの好ましい例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)、又は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、又はこれらのイソシアネートのうちの2つ以上の混合物のうちの少なくとも1つから選択され得る。
【0043】
ブロック化イソシアネートは、任意の一般的に既知のブロック化剤でブロック化され得る。好ましいブロック化剤は、エステル、エーテル、アミン、マロン酸塩、ピラゾール、オキシム、フェノール、又はラクタムのうちの少なくとも1つから選択され得る。最も好ましいブロック化剤は、マロン酸ジエチル(DEM)、又はジイソプロピルアミン(DIPA)、メチルエチルケトオキシム(MEKO)、カプロラクタム(ecap)、3,5ジメチルピラゾール(DMP)、t−ブチルベンジルアミン(BEBA)、グリコールエーテル、又はこれらのブロック化剤の混合物のうちの少なくとも1つから選択される。
【0044】
ポリオールのうちの少なくとも1つが、ポリカプロラクトン、分岐ポリエステル、直鎖ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートポリエステル、又はヒドロキシル担持ポリアクリレートから選択される場合、好ましい。
【0045】
好ましくは、ポリオール中の%OHは、0.5%〜25%、より好ましくは1%〜20%、及び最も好ましくは1%〜15%の範囲内である。異なるカテゴリのポリオールに対する%OHの最も好ましい範囲は、概して、以下の通りである(100%固形樹脂に基づく):ポリエステルポリオール1%〜15%、ポリカーボネート及び/又はポリカーボネートエステル1%〜8%、ポリカプロラクトンポリオール1%〜10%、ポリアクリレートポリオール2%〜8%。
【0046】
使用される場合、好ましくは、ポリカプロラクトンポリオールは、2、3、若しくは4の官能性及び/又は1000を下回る分子量(Mw)を有する。
【0047】
好ましくは、ポリオールのOH重量当量比は、1:4〜4:1、より好ましくは1:3〜3:1、最も好ましくは1:2.7〜2.7:1の範囲内である。
【0048】
接着剤層が存在する場合、好ましくは、接着剤層は、ポリマー層と連続的、より好ましくは、完全に連続的である(即ち、ポリマー層の全体上に延在する)。これは、接着剤が、被覆される表面への接着を著しく改善する、ポリマー層の全体上に存在することを確実にすることから、有利である。
【0049】
塗装代替フィルムは、必要な場合、少なくとも1つの更なる層を更に含み得る。更なる層は、増強された又は修正された特性をフィルムに提供するように、ポリウレタンの更なる層であり得る。
【0050】
ライナ層は、任意の好適な基材、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は好ましくは、クラフト紙を含み得る。
【0051】
ポリマー層の製剤は、ポリウレタン層の特性を増強又は改善するように、1つ又は2つ以上の添加剤を更に含み得る。かかる添加剤は、紫外線吸収剤、抗酸化剤、触媒、及び/又は湿潤剤のうちの1つ又は2つ以上から選択され得る。
【0052】
通常、ポリマー層は、20〜200μm、好ましくは40〜150μm、より好ましくは45〜120μm、及び最も好ましくは50〜110μmの範囲内の厚さを有する。
【0053】
意図される使用及び必要とされる色に依存して、任意の好適な着色料が使用され得る。好適な着色料の例は、酸化チタン、カーボンブラック、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、アルミニウム顔料のうちの1つ又は2つ以上を含む(又はこれらから選択され得る)。
【0054】
第3の態様において、本発明は、裏材層を提供する工程と、4.5:1〜1:4.5の範囲内のOH重量当量比の少なくとも2つのポリオール、及び1つ又は2つ以上のブロック化イソシアネートを含む液体製剤を提供する工程と、裏材層を液体製剤でキャストコーティングする工程と、液体製剤をゲル化し、それによって、ポリウレタンを含むポリマー層を形成する工程と、を含む、塗装代替フィルムを生成する方法を提供する。
【0055】
代替的に、本発明は、裏材層を提供する工程と、少なくとも1つのポリオール、及び少なくとも1つのブロック化イソシアネートを含む液体製剤を提供する工程(少なくとも1つのポリオール及びイソシアネートは、42℃を下回る(好ましくは40℃を下回る、より好ましくは38℃、及び最も好ましくは37℃を下回る)ガラス転移温度(T)を有するポリウレタンを提供するように、選択される)と、裏材層を液体製剤でキャストコーティングする工程と、液体製剤をゲル化し、それによって、42℃を下回る(好ましくは40℃を下回る、より好ましくは38℃を下回る、及び最も好ましくは37℃を下回る)ガラス転移温度(T)を有するポリウレタンを含むポリマー層を形成する工程と、を含む、塗装代替フィルムを生成する方法を提供する。
【0056】
本発明は、それが、キャスト方法を使用することができることから、大いに有利である。キャスト方法は、液体前駆体を使用し、このため、ポリマー製剤における成分の優れたかつ徹底的な混合を可能にする。これは、フィルムにわたり一貫した外観を確実にすることが重要であることから、塗装代替フィルムにおいて特に重要である。特に、着色料が使用される場合、液体製剤の使用は、優れた色の一貫性及び再現性を可能にする。
【0057】
該方法において、液体製剤をゲル化する工程が、1つ又は各ブロック化イソシアネートが解離し、それによって、液体製剤がゲル化することを可能にする温度以上の脱ブロック化温度まで、液体製剤を熱処理する工程を含む場合、好ましい。
【0058】
通常、ブロック化剤は、脱ブロック化温度が110℃以上であるように選択される。
【0059】
第4の態様において、本発明は、第1又は第2の態様のように、塗装代替フィルムを提供する工程と、塗装代替フィルムのライナ層を除去する工程と、フィルムを表面に適用する工程と、を含む、表面を被覆する方法を提供する。
【0060】
表面は、塗装された表面、金属表面、及び/又はプラスチック表面であってもよい。
【0061】
好ましくは、該方法は、自動化されたシステム、より好ましくは、ロボットを使用して実施される。
【0062】
第5の態様において、本発明は、少なくとも1つの表面を有するモータ車両を提供し、前記表面の少なくとも一部分は、表面に接着される塗装代替層で被覆され、塗装代替層は、着色料、及び少なくとも1つのブロック化ポリウレタン前駆体から生成されるポリウレタンを含む、着色されたポリマー層を含む。
【0063】
本発明は、以下の実施例によって例解される。
【実施例】
【0064】
実施例において、いくつかのポリウレタンフィルムは、概して表1及び表2に説明されるように調製及び特徴付けした。実施例1〜10及び比較実施例1〜8は、着色料を含まなかった。しかしながら、当業者によって理解されるであろうように、着色料は、概して材料の物理的特性に影響を及ぼすことなく、これらの製剤に添加されてもよい。実施例のポリウレタン層に基づく塗装代替フィルムはまた、ライナ層(例えば、紙ライナ)を含むであろう。
【0065】
材料一覧
成分A(ポリオール)
A1:Capa 3050、ポリカプロラクトン、100%固形、Perstorp Holding AB,Swedenから商業的に入手可能)。
A2:Desmophen 690、分岐ポリエステル樹脂、メトキシプロピルアセテート(MPA)中に溶解、70%固形、Bayer Material Science(Germany)から商業的に入手可能。
A3:Desmophen 1200、直鎖脂肪族ポリカーボネートポリエステル、100%固形、Bayer Material Science(Germany)から商業的に入手可能。
A4:Desmophen 680、分岐ポリエステル樹脂、酢酸ブチル中に溶解、70%固形、Bayer Material Science(Germany)から商業的に入手可能。
A5:K−Flex XM 337、脂肪族飽和ポリエステルジオール修飾剤、100%固形、King Industries(Europe)から商業的に入手可能。
A6:Desmophen 670、わずかに分岐したポリエステル樹脂、80%固形で酢酸ブチル中に溶解、Bayer Material Science(Germany)から商業的に入手可能。
A7:Desmophen A 165 BA/X、ヒドロキシル担持ポリアクリレート樹脂、65%固形でBA/X中に溶解、Bayer Material Science(Germany)から商業的に入手可能。
【0066】
これらのポリオールの各々に対するOH当量の判定は、以下の表において示される。

【0067】
【表1】

ポリオールA1〜A7のOH当量の判定を示す表。
【0068】
実施例1(以下の表1を参照されたい)に対する、OH重量当量基準(乾燥重量、100%固形)でのポリオールの比の例示的な計算は、ポリオール1 850×75/100=637.5;ポリオール2 1000×25/100=250;比2.6:1である。
【0069】
成分B(ブロック化イソシアネート)
B2:Desmodur BL 3575−1、ブロック化HDI系イソシアネート、ブロック化剤DMP、SN100/MPA中75%固形、Bayer Material Science(Germany)から商業的に入手可能。
B3:Desmodur BL 3370、ブロック化HDI系イソシアネート、ブロック化剤DEM/DIPA、MPA中70%固形、Bayer Material Science(Germany)から商業的に入手可能。
【0070】
成分C(抗酸化剤)
C1:Irganox 1010、立体障害フェノール系抗酸化剤、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3−5,ditert.ブチル−4−ヒドロキシルフェニル(hydroxylphenyl))プロパノエート、BASF(Germany)から商業的に入手可能。
【0071】
成分D(UV吸収剤ブレンド)
D1:Tinuvin B75、UV吸収剤ブレンド、BASF(Germany)から商業的に入手可能。
D2:Tinuvin 5060、UV吸収剤ブレンド、BASF(Germany)から商業的に入手可能。
【0072】
成分E(着色剤)
E1:Kronos CL 2360、二酸化チタン顔料、Kronos Europe(Belgium)から商業的に入手可能。
E2:Isoversal LM 00670/9174、カーボンブラックペースト、ISL−Chemie GmbH & Co.KG(Germany)から商業的に入手可能。
E3:Isoversal Rot LM 00679/3274、赤色顔料ペースト、ISL−Chemie GmbH & Co.KG(Germany)から商業的に入手可能。
E4:Isoversal Yellow LM 00675/2174、黄色顔料ペースト、ISL−Chemie GmbH & Co.KG(Germany)から商業的に入手可能。
E5:Stapa Metallux 1071、アルミニウム顔料、ペーストとして商業的に入手可能、65%固形、Eckart GmbH(Germany)から商業的に入手可能。
【0073】
成分F(触媒)
F1:Baerostab DBTL/C(ジブチルスズジラウラート)、Mineral and Pigment Solutions Inc.(USA)から商業的に入手可能。
【0074】
成分G(湿潤剤)
G1:3M Novec FC 4434、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル中の25%フルオロ脂肪族ポリマーエステル、3M(Belgium N.V.)から商業的に入手可能。
【0075】
成分H(キャスト紙又は剥離キャリア)
H1:3M−SCW 231、剥離キャリア、以下に説明されるように調製。
【0076】
ポリマーコーティングされた紙を含む剥離キャリアSCW231は、108g HIFI Kraft紙(Chem Tenero AGから入手可能)を用い、それをアクリル系剥離材料の溶液でコーティングすることによって調製した。次いで、コーティングされた紙を乾燥させて、14〜18g/cmの乾燥コーティング重量を得た。コーティングされた紙表面は、平滑で、光沢があり、約1.0μmの平均粗度Rzを呈する。
【0077】
成分I(感圧性接着剤)
I1:感圧性接着剤転写テープ、(3M)9461P接着剤転写テープ。
【0078】
【表2】
【0079】
略語:HDI=ヘキサメチレンジイソシアネート;DEM:マロン酸ジエチル;DEM/DIPA:マロン酸ジエチル/ジイソプロピルアミン;DMP:3,5ジメチルピラゾール。
【0080】
例示的な調製:
工程1:ポリウレタン溶液の調製:
成分F1は、キシレン中10重量%で希釈した。表1及び2の重量%F 1は、10重量%の希釈された成分F1を指す。
【0081】
成分G1は、キシレン中10重量%で希釈した。表1及び2の重量%G 1は、10重量%の希釈された成分G1を指す。
【0082】
ポリウレタン溶液は、表2に示される通りとした。
【0083】
実施例E1〜E10、C1〜C8
透明コーティング溶液は、混合し、ポリオール(成分A1〜A7)、UVブレンド(成分D1)、湿潤剤(成分G1、キシレン中10重量%で希釈)、触媒(成分F1、キシレン中10重量%で希釈)、及びブロック化イソシアネート(成分B1〜B4)を添加することによって調製した。溶液を、研究室撹拌器で5〜10分間、200〜400rpmで撹拌した。単一成分の製剤は、表1及び表2に説明される。ポリウレタンを混合した後、コーティング溶液を、コーティングする前に、室温で24時間保存した。
【0084】
実施例E11、12、14、15
着色されたコーティング溶液は、混合し、ポリオール(成分A1〜A7)、UVブレンド(成分D1)、湿潤剤(成分G1、キシレン中10重量%で希釈)、触媒(成分F1、キシレン中10重量%で希釈)、及びブロック化イソシアネート(成分B1〜B4)、及び着色された顔料ペースト(成分E2〜E5)を添加することによって調製した。溶液を、研究室撹拌器で10〜15分間、200〜400rpmで撹拌した。単一成分の製剤は、表1及び2に説明される。ポリウレタンを混合した後、コーティング溶液を、コーティングする前に、室温で24時間保存した。
【0085】
実施例E13
白色コーティング溶液は、混合し、ポリオール(成分A1〜A7)、UVブレンド(成分D1)、湿潤剤(成分G1、キシレン中10重量%で希釈)、触媒(成分F1、キシレン中10重量%で希釈)、及び白色顔料(成分E1)を添加することによって調製した。次いで、高速ミキサで3500rpmで10〜15分間、顔料を分散させた。製剤を、12〜24時間、室温で保存し、次いで、ブロック化イソシアネート(成分B3)を添加した。溶液を、研究室撹拌器で5〜10分間、200〜400rpmで撹拌した。単一成分の製剤は、表1及び2に説明される。ポリウレタンを混合した後、コーティング溶液を、コーティングする前に、室温で24時間保存した。
【0086】
工程2:成分H(キャスト紙又は剥離キャリア)上へのポリウレタン溶液のキャスティング
実施例E8
このように調製したコーティング組成物を、実験室スケールのナイフコータを使用して、70〜90μmの湿潤コーティング厚さで、キャスト紙に適用した。コーティング組成物は、コーティングされたベースシートを4分間、23℃で静置することによって、次いで、それを強制空気オーブンに100℃で4分間、その後150℃で4分間配置することによって硬化した。
【0087】
実施例E9及びE11〜E15
このように調製したコーティング組成物を、実験室スケールのナイフコータを使用して、130〜160μmの湿潤コーティング厚さで、キャスト紙に適用した。コーティング組成物は、コーティングされたベースシートを6分間、23℃で静置することによって、次いで、それを強制空気オーブンに100℃で6分間、その後160℃で6分間配置することによって硬化した。
【0088】
実施例E1〜E6、E10、及びC1〜C8
このように調製したコーティング組成物を、実験室スケールのナイフコータを使用して、60〜80μmの湿潤コーティング厚さで、キャスト紙に適用した。コーティング組成物は、コーティングされたベースシートを4分間、23℃で静置することによって、次いで、それを強制空気オーブンに100℃で4分間、その後150℃で4分間配置することによって硬化した。
【0089】
次いで、このように調製したコーティング組成物を、実験室スケールのナイフコータを使用して、60〜80μmの湿潤コーティング厚さで、PUフィルムを有する第1の層であるキャスト紙に適用した。コーティング組成物は、コーティングされたベースシートを4分間、23℃で静置することによって、次いで、それを強制空気オーブンに100℃で4分間、その後150℃で4分間配置することによって硬化した。
【0090】
実施例E7
このように調製したコーティング組成物を、実験室スケールのナイフコータを使用して、60〜80μmの湿潤コーティング厚さで、キャスト紙に適用した。コーティング組成物は、コーティングされたベースシートを4分間、23℃で静置することによって、次いで、それを強制空気オーブンに100℃で4分間、その後180℃で4分間配置することによって硬化した。
【0091】
次いで、このように調製したコーティング組成物を、実験室スケールのナイフコータを使用して、60〜80μmの湿潤コーティング厚さで、PUフィルムを有する第1の層であるキャスト紙に適用した。コーティング組成物は、コーティングされたベースシートを4分間、23℃で静置することによって、次いで、それを強制空気オーブンに100℃で4分間、その後180℃で4分間配置することによって硬化した。
【0092】
工程3:工程2において説明される成分H上へコーティングされるポリウレタンフィルムとの成分I(感圧性接着剤)の積層
実施例E1〜E15、及びC1〜C8
積層は、30cm幅のゴムロール(Vaneker & Koch GmbH,Germany)を用いて手によって、手圧力を使用して、各方向に1〜2回転がすことによって、行った。
【0093】
工程4:成分H(キャスト紙又は剥離キャリア)の除去
実施例E1〜E15、及びC1〜C8
キャスト紙/剥離キャリア(成分H)をフィルム表面から除去する前に、工程3からのサンプルを、室温条件下で、少なくとも(a least)3日間保存した。
【0094】
試験方法
耐化学性
試験流体:
塩化ナトリウム(1%)
塩化ナトリウム/正規化された汚れ(各5%)
正規化された汚れAATCC 123(5%)
木樹脂溶液DuPont Art.88370020
パンクレアチン(Merck Art.7130)/脱塩水(1:1)
【0095】
試験手順:
10cm×10cmの寸法を有する接着剤コーティングされたフィルムサンプルを、透明フィルムのための裏面塗装されたパネル(Krause,GermanyからのVW補修塗装を有する標準的なアルミニウム)、及び着色されたフィルムのためのSchumacher,Germanyからの標準的なアルミニウムとして入手可能なアルミニウムパネル(AlMg3,G22)上に適用し、試験流体の適用の前に、24時間22℃で調整する。
【0096】
各試験流体を、1〜1.5cm直径の流体スポットを創出するピペットによって、フィルム表面上へ適用する。調製したサンプルを、空気対流オーブンに45℃で30分間配置する。取り出した後、サンプルを、S.L.C.(23±1℃及び50±5%相対湿度)で24時間保存して、全ての流体の完全な蒸発を完了させる。スポットを個々に洗浄し、S.L.Cで更に2時間回復させた後視覚的に評価する。
【0097】
以下の不合格説明及び評定を適用する。
【0098】
評定0−合格:変化なし
−可視的な変化は検出することができない
【0099】
評定1−合格:非常にわずかな変化
−反射すると、閉鎖又は断続的な外部膨張縁部が可視的である
−上から直接可視的な膨張又は欠陥なし
−内表面膨張又は欠陥なし
【0100】
評定2−許容可能−合格:わずかな変化
−いかなる光においても、閉鎖又は断続的な外部膨張縁部が可視的である
−内表面が、色及び/又は光沢における最小の変化を示し得る
−内表面膨張又は欠陥なし
【0101】
評定3−不合格:中程度の変化
−いかなる光においても、閉鎖又は断続的な外部膨張縁部が可視的である
−内表面が、色及び/又は光沢における中等度の変化を示し得る
−内表面膨張又は欠陥なし
【0102】
評定4−不合格:強い変化
−強い内部及び外部縁部膨張
−内表面が、色及び/又は光沢における強い変化を示す
【0103】
評定5−不合格:非常に強い変化
−強い内部及び外部縁部膨張
−内表面が、色及び/又は光沢における強い変化を示す
−しわ、ブリスタ、亀裂、ピンポイントなどのような表面欠陥
【0104】
加速風化(Xe)
白色塗装したパネル(ACT,USAからの648DM640ベースコート及びRK8014クリアコートを有するスチールパネル)に接着した接着剤コーティングしたフィルム(40×40mm)のサンプルを使用した。接着したサンプルを、24時間、23℃及び50%相対湿度(DIN EN ISO 4892/2(09)に従う)で調製した後、Atlas Electric Devices Co(Chicago,IL,USA)から商業的に入手可能なXenonウェザロメータ(Atlas CI 4000)に装着した。黒色パネル/標準温度:65/70+/−2℃、各サイクルは、光/水スプレーサイクル(分)102/18を含む。放射エネルギー0.55W/m。曝露期間は、着色されたフィルムに対しては2500であり、透明フィルムに対しては4000時間であった。
【0105】
耐候性は、以下のスケールに従って視覚的に評定した。
【0106】
【表3】
【0107】
色変化は、Spectrophotometer(Hunterlab LabScan,Hunterlab Spectroflex,Data Colour Spectroflashを使用して測定した。スケール−CIELab;光源−D65;読み取り角度−Hunterlabデバイスに対しては10°、Data Colour de−viceに対しては8°;読み取り領域直径−1インチ(25mm)。測定は、CIELab、L、a、及びb値、並びに、比較測定の場合には、DL、da、db、及びdEの自動計算であった。
【0108】
試験手順:最小40×40mm正方形のフィルムを、白色基材パネルに適用した。最初に、白色基材パネルに対するL、a、b値を測定し、標準として設定した。次いで、この基材パネルに適用したフィルムサンプルに対するL、a、b値を測定した。両方の測定は、上で説明されるものと同じ機器構成及びパラメータで実施した。
【0109】
デバイスソフトウェアは、両方の測定値からdE、dL、da、dbを計算する。
【0110】
エージング挙動を試験する場合、この方法を、エージング曝露の前及び後に、同じパネル及びサンプルに適用した。両方の組のdE、dL、da、dbを判定し、値を減算して、デルタdE、デルタdL、デルタda、及びデルタdB値を得た。
【0111】
色変化(デルタdE)は、以下のように分級する
【0112】
【表4】
【0113】
光沢損失(デルタ光沢)は、手持ち光沢メータ(Byk Gardner,Germanyからmodel micro−TRI−glossとして入手可能)を使用して、DIN 67530に従って測定した。測定角度は、60°であった。光沢は、曝露の前及び後に測定した。光沢の相違は、デルタ光沢(Dgloss)として計算した。
【0114】
【表5】
【0115】
耐熱性(7日間100℃)
40×40mmの幅を有する接着剤コーティングしたフィルムのサンプルを、ゴムローラ及び手の圧力を使用することによって、白色塗装したパネル(ACT,USAからの648DM640ベースコート及びRK8014クリアコートを有するスチールパネル)に接着させた。接着したサンプルを、24時間、S.L.C.で保存した。接着したサンプルを、強制空気オーブンに100℃で7日間配置した。
【0116】
耐熱性は、以下のスケールに従って可視的に評定した。
【0117】
【表6】
【0118】
色変化は、Spectrophotometer(Hunterlab LabScan,Hunterlab Spectroflex,Data Colour Spectroflashを使用して測定した。スケール−CIELab;光源−D65;読み取り角度−Hunterlabデバイスに対しては10°、Data Colour de−viceに対しては8°;読み取り領域直径−1インチ(25mm)、又は仕様に従う他のもの)。測定は、CIELab、L、a、及びb値、並びに、比較測定の場合には、DL、da、db、及びdEの自動計算であった。
【0119】
試験手順:最小40×40mm正方形のフィルムを、白色基材パネルに適用した。最初に、白色基材パネルに対するL、a、b値を測定し、標準として設定した。次いで、この基材パネルに適用したフィルムサンプルに対するL、a、b値を測定した。両方の測定は、上で説明されるものと同じ機器構成及びパラメータで実施した。
【0120】
デバイスソフトウェアは、両方の測定値からdE、dL、da、dbを計算する。
【0121】
エージング挙動を試験する場合、この方法を、エージング曝露の前及び後に、同じパネル及びサンプルに適用した。両方の組のdE、dL、da、dbを判定し、減算して、デルタdE、デルタdL、デルタda、及びデルタdB値を得た。
【0122】
【表7】
【0123】
耐熱性(80℃で1000時間)
40×40mmの幅を有する接着剤コーティングしたフィルムのサンプルを、ゴムローラ及び手の圧力を使用して、白色塗装したパネル(ACT,USAからの648DM640ベースコート及びRK8014クリアコートを有するスチールパネル)に接着させた。接着したサンプルを、24時間、S.L.C.で保存する。接着したサンプルを、強制空気オーブンに80℃で1000時間配置した。
【0124】
耐熱性は、以下のスケールに従って可視的に評定した。
【0125】
【表8】
【0126】
色変化は、Spectrophotometer(Hunterlab LabScan,Hunterlab Spectroflex,Data Colour Spectroflashを使用して測定した。スケール−CIELab;光源−D65;読み取り角度−Hunterlabデバイスに対しては10°、Data Colour de−viceに対しては8°;読み取り領域直径−1インチ(25mm)。測定は、CIELab、L、a、及びb値、並びに、比較測定の場合には、DL、da、db、及びdEの自動計算であった。
【0127】
試験手順:最小40×40mm正方形のフィルムを、白色基材パネルに適用した。最初に、白色基材パネルに対するL、a、b値を測定し、標準として設定した。次いで、この基材パネルに適用したフィルムサンプルに対するL、a、b値を測定した。両方の測定は、上で説明されるものと同じ機器構成及びパラメータで実施した。
【0128】
デバイスソフトウェアは、両方の測定値からdE、dL、da、dbを計算する。
【0129】
エージング挙動を試験する場合、この方法を、エージング曝露の前及び後に、同じパネル及びサンプルに適用した。両方の組のdE、dL、da、dbを判定し、減算して、デルタdE、デルタdL、デルタda、及びデルタdB値を得た。
【0130】
【表9】
【0131】
機械的特性:
機械的特性は、引張試験器(Zwick,GermanyからのモデルZ 005)を使用して、DIN EN ISO 527/3/2/300に従って測定した。破断時引張強度(N/mm)及び破断時引張伸度(%)等の機械的特性は、25.4mm幅×150mm長さのフィルムサンプルを使用することによって試験した。300mm/分の試験速度を使用した。試験長さは、100mmであった。試験サンプルは、試験前に、24時間、23℃/50%相対湿度で保存した。
【0132】
【表10】
【0133】
ガラス転移温度(T):
動的機械的分析及びサンプル調製は、ASTM E1640−09基準、及びその中で言及される基準に従って実施した。動的機械的測定は、2℃/分の加熱速度で、1Hzの固定周波数、及び−100〜+150℃の温度範囲において0.05%の固定歪みの引張モードにおいて、DMTA V(Rheometric Scientific)上で実施した。タンジェントデルタ曲線のピークの温度を用いて、ガラス転移温度Tを表した。9×3×0.05mm〜10×4×0.15mmの寸法がある長方形の標本を使用した。温度較正は、Fluke 724 Temperature Calibrator(認可された較正機関によって定期的に較正される)を使用して行った。PVC標準物(RHEO Serviceを通じて入手可能)は、温度精度をチェックするために定期的にDMTA上で測定した。
【0134】
試験結果
実施例及び比較実施例に対する試験結果を、以下の表3〜6に示す。
【0135】
【表11】
【0136】
【表12】
【0137】
【表13】
【0138】
【表14】
【0139】
【表15】