(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上述のグラフト化ポリマーの上述のポリアミドグラフトの数平均モル質量が1000〜10000g/モルの範囲内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
上述のグラフト化ポリマーについて、ポリオレフィン基部に結合するモノマー(X)の数が1.3以上及び20以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
第1のポリマーのポリアミドグラフトが、コポリアミドPA 6/11、PA 6/12及びPA 6/11/12から選択されるコポリアミドからなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
第3のポリマーがエチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸グリシジル又はエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸のコポリマーからなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
光起電モジュールの熱可塑性フィルムであって、前記光起電モジュールは少なくとも2つの層を備え、その一方が封入材層を形成しており、該封入材層は、請求項1から10のいずれか一項に記載の熱可塑性組成物を含有することを特徴とする、光起電モジュールの熱可塑性フィルム。
封入材を形成する層が、有機、結晶、又は鉱物の性質の非ポリマー性成分、酸化防止剤及び/又はUV安定剤からなる接着促進剤を含有することを特徴とする、請求項12に記載の熱可塑性フィルム。
【発明の概要】
【0012】
さまざまな実験及び操作の後、当業者に周知の教示に反して、適切な含量の2種類の具体的なポリオレフィンと組み合わせた、組成物中に非常に具体的な重量含有率で存在するポリアミドグラフト(ポリアミドグラフト化ポリオレフィン用)の特定の選択は、特に国際公開第02/28959号パンフレットに開示されているような従来技術の組成物に関連した問題の解決を可能にすることが、本出願人によって見出された。
【0013】
よって、本発明に従った組成物は、十分に満足のいく機械的、熱機械的、光学的、及び電気的特性を維持しつつ、その他の点では非常に効率的であるこれらの熱可塑性材料によって提示されうる最終的な欠陥に対処する。すなわち、本組成物は、水分吸収が低いか又は非常に低く、かつ、経時による出力低下(電気抵抗の低下)が特に改善される。
【0014】
よって、本発明は、3種類のポリマーの混合物を少なくとも含有する熱可塑性組成物に関し、ここで、
−第1のポリマーは、組成物中に10重量%〜70重量%存在し、少なくとも1つの不飽和モノマーの残基(X)、及び複数のポリアミドグラフトを含有するポリオレフィン基部を有するポリアミドグラフト化ポリマーからなり、
−ポリアミドグラフトは、少なくとも1つのアミン末端基及び/又は少なくとも1つのカルボン酸末端基を有するポリアミドとの縮合反応を介して反応可能な官能基を含む不飽和モノマー残基(X)を介してポリオレフィン基部に結合しており、
−不飽和モノマー残基(X)は、グラフト化又は共重合によって基部に結合しており、
−前記ポリアミドグラフト化ポリマーの重量の10〜60%、好ましくは15〜55%を占め、
−第2のポリマーは、組成物中に10重量%〜90重量%存在し、エチレンと、曲げ弾性率が23℃で250MPa未満であり、60℃〜120℃の結晶融点を有する非反応性又は非官能性のコモノマーと、のコポリマーからなり、
−第3のポリマーは、組成物中に該組成物の重量の3%〜45%存在し、エチレン又はプロピレンのような少なくとも1種類のα−オレフィンと、反応性の官能基を有する少なくとも1種類のコモノマーと、上述のα−オレフィンとは異なるα−オレフィン、ジエン、不飽和カルボン酸エステル、及びカルボン酸のビニルエステル、無水マレイン酸のようなジカルボン酸無水物から選択される、反応性の官能基を有しない少なくとも1種類の他のコモノマーと、のコポリマーを含む官能性ポリオレフィンからなり、
上述の第1のポリマーのポリアミドグラフトが160℃以下のガラス転移温度及び融点を有すること、並びに、
前記第1のポリマーのポリアミドグラフト含量が、熱可塑性組成物の重量の3%〜15%、好ましくは5%〜12.5%を占めることを特徴とする。
【0015】
本発明によって提示される可能性によれば、第2のポリマーはエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーからなる。
【0016】
好ましくは、第3のポリマーは、エチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸グリシジル又はエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸のコポリマーからなる。
【0017】
有利には、第3のポリマーは組成物の重量の10%〜30%で存在する。
【0018】
本発明の他の有利な特性は以下に詳述される:
【0019】
有利には、上述のグラフト化ポリマーの上述のポリアミドグラフトの数平均モル質量は、1000〜10000g/モルの範囲内である。
【0020】
本発明の特定の特徴によれば、上述のグラフト化ポリマーでは、ポリオレフィン基部に結合されるモノマー(X)の数は、1.3以上、及び/又は20以下である。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、上述の第1のポリマーは、組成物の重量の10%〜50%で存在する。
【0022】
好ましくは、第1のポリマーのポリアミドグラフトは、コポリアミドPA 6/11、PA 6/12、及びPA 6/11/12から選択されるコポリアミドからなる。
【0023】
好ましくは、第1のポリマーの不飽和モノマー(X)は無水マレイン酸である。
【0024】
好ましくは、第2のポリマーは、組成物中に40〜70重量%で存在する。
【0025】
本発明によって提示される可能性によれば、本発明に従った組成物は、上述の3種類のポリマーのみからなる。
【0026】
本発明はまた、上に述べた本発明に従った組成物を含有するフィルムにも関する。
【0027】
本発明はまた、光起電モジュールの熱可塑性フィルムにも関し、該光起電モジュールは少なくとも2つの層を含み、その一方の層は、先に述べた熱可塑性組成物を含有し、好ましくは先に述べた熱可塑性組成物からなることを特徴とする、封入材層を形成する。
【0028】
好ましくは、封入材を形成する層は、有機、結晶、又は鉱物の、さらに優先的には半鉱物性半有機性の非ポリマー性成分、酸化防止剤及び/又はUV安定剤からなる接着促進剤を含有する。
【0029】
本発明に従った組成物は、用途として、光起電モジュール、さらに具体的にはその封入材層とともに提示されるが、当然ながら、本組成物は他のいずれかの用途として想定されて差し支えなく、このような組成物は、有利には、特に多層構造、例えば靴、フィルム、又は付着性コーティング、もしくは流体輸送管に用いられうることに留意されたい。
【0030】
以下の説明は、単に、非限定的な例示として与えられるものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上述の第1のポリマーに関しては、これは、ポリアミドグラフトの質量の10%〜70%、好ましくは15%〜55%であり、かつ、モノマー(X)の数が1.3〜20である、グラフト化ポリマーである。
【0032】
ポリオレフィン基部に関しては、これは、α−オレフィンをモノマーとして含むポリマーである。
【0033】
2〜30個の炭素原子を含むα−オレフィンが好ましい。
【0034】
言及すべきα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、及び1−トリアコンテンが挙げられる。
【0035】
3〜30個の炭素原子及び優先的には3〜20個の炭素原子を含むシクロオレフィン、例えば、シクロペンタン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン;ジ−及びポリオレフィン、例えば、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン(ethylidiene)−8−メチル−1,7−ノナジエン及び5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなど;ビニル芳香族化合物、例えば、モノ−又はポリアルキルスチレン(スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン及びp−エチルスチレンを含む)など、及び、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ベンジルビニルアセテート(benzylvinyl acetate)、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、3−フェニルプロペン、4−フェニルプロペン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、1,2−ジフルオロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン及び3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンなどの官能基を含む誘導体が挙げられる。
【0036】
本発明の文脈では、用語「α−オレフィン」はスチレンも含む。プロピレン及びとりわけエチレンがα−オレフィンとして好ましい。
【0037】
このポリオレフィンは、ポリマー鎖において1種類のα−オレフィンのみが重合されている場合にはホモポリマーでありうる。言及されうる例としては、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)が挙げられる。
【0038】
このポリオレフィンは、ポリマー鎖において少なくとも2種類のコモノマーが共重合される場合にはコポリマーであってよく、2種類のコモノマーのうちの1つは「第1のコモノマー」として知られ、α−オレフィンであり、「第2のコモノマー」として知られる他のコモノマーは、第1のモノマーと重合可能なモノマーである。
【0039】
第2のコモノマーとしては、次のものが挙げられる:
・すでに述べたα−オレフィンのうちの1つであって、第1のα−オレフィンコモノマーとは異なるもの、
・ジエン、例えば1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン又はブタジエンなど、
・不飽和カルボン酸エステル、例えば、用語「アルキル(メタ)アクリレート」の下に分類されるアクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキル、これら(メタ)アクリレートのアルキル鎖は最大30個までの炭素原子を含みうる。言及されうるアルキル鎖には、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンイコシル(hencosyl)、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル及びノナコシルが含まれる。メチル、エチル及びブチル(メタ)アクリレートが不飽和カルボン酸エステルとして好ましい。
・カルボン酸のビニルエステル。言及されうるカルボン酸のビニルエステルの例としては、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びビニルマレエートが挙げられる。酢酸ビニルはカルボン酸のビニルエステルとして好ましい。
【0040】
有利には、ポリオレフィン基部は第1のコモノマーを少なくとも50モル%含み、その密度は有利には0.91〜0.96でありうる。
【0041】
好ましいポリオレフィン基部は、エチレン−アルキル(メタ)アクリレートのコポリマーから構成される。このポリオレフィン基部を利用して、光及び温度に関する優れた経時劣化挙動が得られる。
【0042】
たとえさまざまな「第2のコモノマー」がポリオレフィン基部に共重合されたとしても、本発明の内容から逸脱することにはならないであろう。
【0043】
本発明によれば、ポリオレフィン基部は、縮合反応を介してポリアミドグラフトの酸及び/又はアミン官能基と反応できる、少なくとも1つの不飽和モノマー残基(X)を含む。本発明の定義によれば、不飽和モノマー(X)は「第2のコモノマー」ではない。
【0044】
ポリオレフィン基部上に含まれる不飽和モノマー(X)の例として、次のものが挙げられる:
・不飽和エポキシド。中でも、これらとしては、脂肪酸グリシジルエステル及びエーテル、例えば、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、マレイン酸グリシジル及びイタコン酸グリシジル、並びにアクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。また、それらは、例えば、2−シクロヘキセン−1−グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−2−グリシジルカルボキシレート及びエンド−シス(endocis)−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジグリシジルジカルボキシレートなどの脂環式グリシジルエステル及びエーテルでもある。不飽和エポキシドとしてメタクリル酸グリシジルを使用することが好ましい。
・不飽和カルボン酸及びその塩、例えばアクリル酸又はメタクリル酸及びこれら同一の酸の塩。
・無水カルボン酸。これらは、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、シクロヘキサ−4−エン−1,2−ジカルボン酸、4−メチレンシクロヘキサ−4−エン−1,2−ジカルボン酸、ビシクロ(2,2,1)ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸及びx−メチルビシクロ(2,2,1)ヘプタ−5−エン−2,2−ジカルボン酸の無水物から選択されうる。カルボン酸無水物として無水マレイン酸を使用することが好ましい。
【0045】
不飽和モノマー(X)は、好ましくは不飽和カルボン酸無水物及び不飽和エポキシドから選択される。特に、ポリアミドグラフトとポリオレフィン基部との縮合を行うためには、ポリアミドグラフトの反応性末端基がカルボン酸基である場合には、不飽和モノマー(X)は優先的には不飽和エポキシドである。ポリアミドグラフトの反応性末端基がアミン基の場合には、不飽和モノマー(X)は、有利には不飽和エポキシドであり、優先的には不飽和カルボン酸無水物である。
【0046】
本発明の有利なバージョンによれば、ポリオレフィン基部に結合する不飽和モノマー(X)の好ましい数は、平均で、1.3以上、及び/又は、優先的には20以下である。
【0047】
よって、(X)が無水マレイン酸であり、かつポリオレフィンの数平均モル質量が15000g/モルである場合、これは、ポリオレフィン基部全体の少なくとも0.8質量%、かつ6.5%以下の無水物の割合に対応することが見出された。ポリアミドグラフトの質量に関連するこれらの値は、ポリアミドグラフト化ポリマーにおけるポリアミドと基部の割合を決定する。
【0048】
不飽和モノマー残基(X)を含有するポリオレフィン基部は、モノマー(第1のコモノマー、第2の任意選択的なコモノマー、及び任意選択的な不飽和モノマー(X))の重合によって得られる。この重合は、オートクレーブ又は管型反応器内で、高圧でのラジカル工程、又は溶解工程を介して行われて差し支えなく、これらの工程及び反応器は当業者に周知である。不飽和モノマー(X)は、ポリオレフィン基部に共重合化されない場合は、ポリオレフィン基部に対してグラフト化される。グラフト化もまた、それ自体が既知の操作である。幾つかの異なる官能性モノマー(X)が共重合化されるか、及び/又は、ポリオレフィン基部上にグラフト化されるならば、その組成物は本発明に従っている。
【0049】
モノマーの種類及び比に応じて、ポリオレフィン基部は半結晶質又は非晶質でありうる。非晶質ポリオレフィンの場合はガラス転移温度のみが観測されるのに対し、半結晶質のポリオレフィンの場合にはガラス転移温度及び融点(必然的に、融点の方がより高くなる)が観測される。ガラス転移温度、随意選択的に融点、及びポリオレフィン基部の粘度について、所望の値を容易に入手可能にするために、モノマーの比及びポリオレフィン基部の分子量を選択することは、当業者にとって十分である。
【0050】
好ましくは、ポリオレフィンは3〜400g/10分(190℃、2.16kg、ASTM D 1238)のメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0051】
ポリアミドグラフトは、本明細書では、160℃未満のガラス転移温度及び融点を有するように選択される。
【0052】
とりわけ、脂環式ジアミンと脂肪族二酸との縮合から生じる脂環式ホモポリアミドについて言及されうる。
【0053】
言及されうる脂環式ジアミンの例には、パラ−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン又はPACMとしても知られる4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、及び、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン又はBMACMとしても知られる2,2’−ジメチル−4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)が含まれる。
【0054】
よって、脂環式ホモポリアミドの中でも、PACMとC12の二酸の縮合から生じるPACM.12や、BMACMとC10及びC12の脂肪族二酸の縮合からそれぞれ生じるBMACM.10及びBMACM.12のポリアミドについて言及されうる。これらの化合物はすべて、当業者に知られている。
【0055】
本発明に従った組成物に含まれるポリアミドグラフトは、優先的にはコポリアミドである。それらは、ホモポリアミドの生成のために先に掲げたモノマーの群のうちの少なくとも2種類の重縮合から生じる。コポリアミドについての本記載において、用語「モノマー」は「繰り返し単位」という意味に解釈されるべきである。具体的には、特に、PAの繰り返し単位が二酸とジアミンとの組み合わせから構成される事例である。それは、ジアミンと二酸の組み合わせ、すなわち、モノマーに対応するジアミン−二酸の結合(等モル量で)であると考えられる。これは、二酸又はジアミンが、個別に、それ自身だけでは重合してポリアミドを与えるには不十分な、1つの構造単位のみであるという事実によって説明される。
【0056】
よって、コポリアミドは、とりわけ以下に挙げる化合物の縮合生成物の範囲にまで及ぶ:
・少なくとも2種類のラクタム、
・少なくとも2種類の脂肪族アルファ、オメガ−アミノカルボン酸、
・少なくとも1種類のラクタムと少なくとも1種類の脂肪族アルファ、オメガ−アミノカルボン酸、
・少なくとも2種類のジアミンと少なくとも2種類の二酸、
・少なくとも1種類のラクタムと、少なくとも1種類のジアミン及び少なくとも1種類の二酸、
・少なくとも1種類の脂肪族アルファ、オメガ−アミノカルボン酸と、少なくとも1種類のジアミン及び少なくとも1種類の二酸、
・場合により、互いに独立して、脂肪族、脂環式又は芳香族である、(それぞれ1種類以上の)ジアミンと二酸。
【0057】
モノマーの種類及び比に応じて、コポリアミドは半結晶質又は非晶質でありうる。非晶質のコポリアミドの場合はガラス転移温度のみが観測されるのに対し、半結晶質のコポリアミドの場合にはガラス転移温度及び融点(必然的に、融点の方がより高くなる)が観測される。
【0058】
コポリアミドの中でも、半結晶質のコポリアミド、特に、PA 6/11、PA 6/12、及びPA 6/11/12のタイプのものも使用されうる。
【0059】
重合度は、幅広い割合の範囲内で変化しうる;その値に応じて、ポリアミドであるか又はポリアミドのオリゴマーである。
【0060】
有利には、ポリアミドグラフトは単官能性である。
【0061】
ポリアミドグラフトにモノアミン末端基を付与するためには、下記式:
の鎖長制限剤(chain limiter)を使用することで足りる:
・R1は、水素又は最大20個までの炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
・R2は、最大20個までの炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基、飽和又は不飽和の脂環式ラジカル、芳香族ラジカル又は上記の組み合わせである。制限剤は、例えばラウリルアミン又はオレイルアミンでありうる。
【0062】
ポリアミドグラフトにモノカルボン酸末端基を付与するためには、式:R’1−COOH、R’1−CO−O−CO−R’2の、鎖長制御剤又はジカルボン酸を使用することで足りる。
【0063】
R’1及びR’2は、最大20個までの炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0064】
有利には、ポリアミドグラフトは、アミン官能性を有する末端基を有する。好ましい単官能性の重合制限剤はラウリルアミン及びオレイルアミンである。
【0065】
ポリアミドグラフトは、1000〜10000g/モルのモル質量を有する。ポリオレフィン基部上へのポリアミドグラフトのグラフト化についての化学量論比が一定であることを所与とすれば、ポリアミドグラフトの質量の選択は、先に説明した組成物中のポリアミドの所望の質量に応じて決まる。
【0066】
ポリアミドグラフトのガラス転移温度、随意選択的に融点、さらには粘度について所望の値を容易に入手可能にするために、モノマーの種類及び比を選択すること、及びポリアミドグラフトのモル質量を選択することもまた、当業者にとって十分である。
【0067】
X残基を含むポリオレフィン基部上へのポリアミドグラフトの縮合反応は、ポリアミドグラフトのアミン又は酸官能基とX残基とを反応させることによって行われる。有利には、ポリアミドモノアミングラフトが使用され、アミン官能基とX残基の官能基とを反応させることによって、アミド又はイミド結合が生成される。
【0068】
この縮合は、好ましくは融液中で行われる。本発明に従った組成物を製造するため、標準的な混合及び/又は押出成形技法が使用されうる。よって、本組成物の成分は混合されて化合物が形成され、これは、ダイを出る際に随意選択的に粒状化されうる。有利には、混練加工の間にカップリング剤が添加される。
【0069】
よって、ナノ構造の組成物を得るために、一般に200〜300℃の温度で、押出機中でポリアミドグラフトと基部を混合することが可能である。押出機内における溶融材料の平均滞留時間は、5秒〜5分、好ましくは20秒〜1分でありうる。この縮合反応の収率は、遊離ポリアミドグラフト、すなわち、ポリアミドグラフト化ポリマーを形成する反応をしていないポリアミドグラフトの選択的抽出によって評価される。
【0070】
アミン末端基を有するポリアミドグラフトの調製、及び(X)残基を含有するポリオレフィン基部へのそれらポリアミドグラフトの付加は、米国特許第3,976,720号、同第3,963,799号、同第5,342,886号、及び仏国特許発明第2291225号の各明細書に記載されている。本発明のポリアミドグラフト化ポリマーは、有利には、ナノ構造化された組織を有する。
【0071】
第2のポリマーに関しては、10重量%〜90重量%で組成物中に存在し、エチレンと、未反応又は非官能化されたコモノマーであって、その曲げ弾性率が23℃において250MPa未満であり、かつ、60℃〜120℃の結晶融点を有するコモノマーとのコポリマーからなるものが第2のポリマーである。
【0072】
有利には、一実施態様によれば、この第2のポリマーはエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーからなる。
【0073】
言い換えれば、この第2のポリマーは、当然ながら、弾性率(modulus)及び結晶融点の条件が尊重されることを条件として、オレフィンのホモポリマー、又は少なくとも1種類のα−オレフィンと少なくとも1種類の他の共重合可能なモノマーとのコポリマーからなる。
【0074】
有利には、軟質ポリオレフィンは、ポリエチレンのホモポリマー又はコポリマーから選択される。
【0075】
コモノマーとしては、以下のものが挙げられうる:
− α−オレフィン、有利には3〜30個の炭素原子を含有するもの。
随意選択的なコモノマーとしての3〜30個の炭素原子を含有するα−オレフィンの例は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン及び1−トリアコンテンである。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種類又はそれ以上の混合物として、使用されうる。
− 不飽和カルボン酸エステル、例えば アルキル(メタ)アクリレート、場合により最大24個までの炭素原子を含有するアルキル。
使用されうるアクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルの例は、特に、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートである。
−飽和カルボン酸のビニルエステル、例えば 酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル。
−ジエン、例えば1,4−ヘキサジエン。
【0076】
軟質ポリオレフィンは、幾つかのコモノマーを含有していてもよい。
【0077】
言及されうる例には、以下のものが含まれる:
− 低密度ポリエチレン(LDPE)
− 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
− 超低密度ポリエチレン(VLDPE)
− メタロセン触媒により得られるポリエチレン、すなわち、ジルコニウム原子又はチタン原子、及び金属に結合した2つの環状アルキル分子で一般に構成されたシングルサイト触媒の存在下で、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンなどのα−オレフィンとの共重合によって得られるポリマー。さらに具体的には、メタロセン触媒は、通常、金属に結合した2つのシクロペンタジエン環からなる。これらの触媒は、しばしば、共触媒又は活性化因子としてのアルミノキサン、好ましくはメチルアルミノキサン(MAO)と共に使用される。ハフニウムもまた、シクロペンタジエンが結合する金属として使用されうる。他のメタロセンとしては、IV A、V A及びVI A族に由来する遷移金属が挙げられる。ランタニド系列の金属もまた使用して差し支えない。
− EPR(エチレン−プロピレン−ゴム)エラストマー
− EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン)エラストマー
− ポリエチレンとEPR又はEPDMとの混合物
− エチレン−アルキル(メタ)アクリレートのコポリマーであって、最大60重量%まで、好ましくは2%〜40%の(メタ)アクリレートを含みうるもの。
【0078】
言及されうる例には、高圧下、ラジカル経路により得られる、エチレンと、酢酸ビニル;(メタ)アクリル酸と1〜24個、有利には1〜9個の炭素原子を含有するアルコールとの(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸、無水マレイン酸又はメタクリル酸グリシジルなどのエチレンと共重合可能な不飽和モノマーから選択される第3のモノマーも用いるラジカルターポリマー;のようなコポリマーなどの軟質エチレンコポリマーが含まれる。これらの軟質コポリマーは、0.870〜0.910g/cm
3の密度を有し、メタロセン又はチーグラー・ナッタ触媒作用によって得られる、エチレンと、3〜8個の炭素原子のα−オレフィンとのコポリマー(例えばEPRなど);エチレンと、ブテン、ヘキセン又はオクテンとの超低密度コポリマーでありうる。用語「軟質ポリオレフィン」はまた、2種類以上の軟質ポリオレフィンの混合物をも意味する。
【0079】
本発明は、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーにとって特に有用である。アルキルは、最大で24個の炭素原子を含みうる。好ましくは、(メタ)アクリレートは上述のものから選択される。これらのコポリマーは、有利には、最大で40重量%、好ましくは3%〜35%の(メタ)アクリレートを含有する。これらのMFIは、有利には、0.1〜50である(190℃、2.16kg)。
【0080】
有利には、曲げ弾性率は5〜150MPaである。
【0081】
本発明に従った随意選択的な第3のポリマーに関しては、それは、エチレン又はプロピレンなどの少なくとも1種類のα−オレフィンと、とりわけ、(メタ)アクリル酸などのカルボン酸、無水マレイン酸のようなカルボン酸無水物、又は(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシドから選択される、反応性の官能基を有する少なくとも1種類のコモノマーと、例えば、異なるα−オレフィン;ブタジエンのようなジエン;アルキル基がとりわけメチル、エチル又はブチル基でありうるアルキル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸エステル;及び、酢酸ビニルのようなカルボン酸のビニルエステル;から選択される、反応性の官能基を有しない、少なくとも1種類の他のコモノマーと、のコポリマーを含む官能性ポリオレフィンである。
【0082】
言及されうる反応性コモノマーの例としては、特に次のものが挙げられる:
− 不飽和エポキシド。
【0083】
不飽和エポキシドの例は、特に、次のものである:
− 脂肪酸グリシジルエステル及びエーテル、例えば、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、マレイン酸グリシジル及びイタコン酸グリシジル、並びに、アクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルなど、及び
− 脂環式グリシジルエステル及びエーテル、例えば、2−シクロヘキセン−1−グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−2−グリシジルカルボキシレート及びエンド−シス(endocis)−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジグリシジルジカルボキシレートなど、
− 不飽和カルボン酸、その塩及びその無水物。
【0084】
不飽和ジカルボン酸無水物の例としては、特に、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物及び無水テトラヒドロフタル酸が挙げられる。
【0085】
反応性コモノマーを含むコポリマーの例としては、次のものが挙げられうる:
− 3種類のモノマーの共重合によって得られる、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸のコポリマーであって、(メタ)アクリレートの割合が上記コポリマーと同様であり、無水マレイン酸の量が最大10%まで、好ましくは0.2重量%〜6重量%のもの。
− 3種類のモノマーの共重合によって得られる、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸のコポリマーであって、割合が先のコポリマーと同じもの。
【0086】
官能性ポリオレフィンとしては、60重量%〜100重量%のα−オレフィンと、0重量%〜40重量%、好ましくは0〜15重量%の反応性の官能基を有しないコモノマーとを含むことが好ましい。官能性ポリオレフィンとして、0.1重量%〜15重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%の反応性の官能基を有するコモノマーを含むこともまた好ましい。このような官能性ポリオレフィンの例は、エチレン/アクリル酸エステル/メタクリル酸グリシジル及びエチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸のコポリマーであり、これらはそれぞれ、ロタダー(Lotader)(登録商標)GMA及び「ロタダー」MAHという商品名でアルケマ社から市販されている。
【0087】
補助剤又はアジュバントは、本組成物にそのような追加の官能性を与えるために、随意選択的に本発明に従った組成物に添加されうる。
【0088】
光起電モジュールに対する本組成物のこの特定の用途において、UV(紫外線)放射は使用される組成物の軽度の黄変を生じる傾向にあることから、その耐用期間の間の封入材の透明性を確保するために、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン及び他の嵩高いアミンなどのUV安定剤及びUV吸収剤が添加されうる。これらの化合物は、例えば、ベンゾフェノン又はベンゾトリアゾールをベースとしてもよい。これらは、組成物の全質量に対して10質量%未満、優先的には0.1%〜5%の量で添加されうる。
【0089】
封入材の製造の間の黄変を抑えるために、リン系化合物(ホスホナイト及び/又はホスファイト)及び嵩高いフェノール性化合物などの酸化防止剤を加えてもよい。これらの酸化防止剤は、組成物の全質量に対して10質量%未満、優先的には0.1%〜5%の量で添加されうる。
【0090】
難燃剤もまた添加されうる。これらの薬剤は、ハロゲン化されていても、されていなくてもよい。ハロゲン化剤の中でも、臭素化された製品が言及されうる。ハロゲン化されていない薬剤として、リン酸、ポリリン酸、ホスフィン酸又はピロリン酸のアンモニウム塩のようなリン系添加剤、メラミンシアヌレート、ペンタエリスリトール、ゼオライト、及びこれらの薬剤の混合物などもまた使用されうる。本組成物は、これらの薬剤を、組成物の全質量に対して3%〜40%の割合で含みうる。
【0091】
特定の用途において所望される場合には、例えば着色剤又は増白剤(optical brightner)などの顔料も、一般に組成物の全質量に対して5%〜15%の割合で添加して差し支えない。
【0092】
光起電モジュールにおける本発明に従った組成物の使用に関する本発明の他の実施態様に関しては、当業者は、例えば、"Handbook of Photovoltaic Science and Engineering", Wiley, 2003, volume 7を参照することができる。
【0093】
本発明に従った組成物の調製:
ポリオレフィン基部上にポリアミドグラフトをグラフトして本発明に従ったポリアミドグラフト化ポリオレフィンを得る技術は、特に、先に言及した文献、仏国特許出願公開第2912150号、同第2918150号又は欧州特許出願公開第21966489号明細書から、当業者にとって周知である。
【0094】
したがって、架橋剤が添加されたとしても、それは本発明の範囲からの逸脱にはならない。言及されうる例としては、イソシアネート又は有機過酸化物が挙げられる。この架橋は、既知の照射技術によっても行われうる。この架橋は、とりわけ、例えば過酸化物及びアゾ化合物などの熱活性化開始剤、光線、紫外線、電子線及びx線を含む照射技術によるベンゾフェノンなどの光開始剤、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシラン(例えばトリエトキシ又はトリメトキシビニルシラン)などの反応性の官能基を有するシランを使用することによる、及び湿式法(wet route)により架橋することによる、当業者に既知の多くの方法の1つによって行われて差し支えない。上述の"Handbook of polymer foams and technology"という題名の手引書の198頁〜204頁に、当業者が参照しうる追加の教示が与えられる。
【0095】
光起電モジュールにおける本発明に従った熱可塑性組成物の使用に関する本発明の実施態様に関しては、当業者は、例えば、Handbook of Photovoltaic Science and Engineering、Wiley、2003を参照することができる。具体的には、本発明の組成物は、添付の図面にその構造が記載される光起電モジュールにおける封入材又は封入材−バックシートとして使用されうる。
【0096】
試験される配合物を形成するために使用される材料:
「ロタダー」7500:70g/10min(分)のMFI(190℃、2.16kg荷重下でISO 1133に従って測定)を有するアルケマ社製のエチレン、アクリル酸エチル(17.5重量%)及び無水マレイン酸(2.8重量%)のターポリマー。
「ロタダー」5500:20g/10分のMFI(190℃、2.16kg荷重下でISO 1133に従って測定)を有するアルケマ社製のエチレン、アクリル酸エチル(20重量%)及び無水マレイン酸(2.8重量%)のターポリマー。
ロトリル(Lotryl)(登録商標)17 BA07:7g/10分のMFI(190℃、2.16kg荷重下でISO 1133に従って測定)を有するアルケマ社製のエチレンとアクリル酸ブチル(17重量%)とのコポリマー。
「ロトリル」18MA02:2g/10分のMFI(190℃、2.16kg荷重下でISO 1133に従って測定)を有するアルケマ社製のエチレンとアクリル酸メチル(18重量%)とのコポリマー。
エルバロイ(Elvaloy)(登録商標)AC 1820:8g/10分のMFI(190℃、2.16kg荷重下でISO 1133に従って測定)を有するデュポン社製のエチレンとアクリル酸メチル(20重量%)とのコポリマー。
プレポリマーPA6:プレポリマーPA6はラクタム6から重縮合によって合成された。ラウリルアミンは、鎖の末端に単一の第一級アミン官能性を有するように鎖長制御剤として使用される。第1のプレポリマーの数平均モル質量は2500g/モルである。
130℃の融点を有するコポリアミド6/12プレポリマー:コポリアミド6/12プレポリマーはラクタム6及びラクタム12から重縮合によって合成された。ラクタム6/ラクタム12の比は130℃の融点が得られるように調整される。ラウリルアミンは、鎖の末端に単一の第一級アミン官能性を有するように鎖長制御剤として使用される。その数平均モル質量は2500g/モルである。
150℃の融点を有するコポリアミド6/11プレポリマー:コポリアミド6/11プレポリマーはラクタム6及びアミノ11から重縮合によって合成された。ラクタム6/アミノ11の比は150℃の融点が得られるように調整される。ラウリルアミンは、鎖の末端に単一の第一級アミン官能性を有するように鎖長制御剤として使用される。その数平均モル質量は3200g/モルである。
アポリヤ(Apolhya)(登録商標):「アポリヤ」ファミリーは、ナノスケールで共連続形態を生成することによってポリアミドの特性とポリオレフィンの特性とを兼ね備えた、アルケマ社から市販されるポリマーのファミリーである。本試験の文脈では、幾つかの種類の「アポリヤ」が保持される:
・20重量%のコポリアミドを含有し、130℃の融点を有する、「ロタダー」7500及びコポリアミド6/12をベースとした「アポリヤ」A
・20重量%のポリアミドを含有し、150℃の融点を有する、「ロタダー」7500及びコポリアミド6/11をベースとした「アポリヤ」B
・20重量%のポリアミドを含有し、220℃の融点を有する、「ロタダー」7500及びポリアミド6をベースとした「アポリヤ」C
・20重量%のコポリアミドを含有し、190℃の融点を有する、「ロタダー」7500及びポリアミド11をベースとした「アポリヤ」D
・50重量%のコポリアミドを含有し、130℃の融点を有する、「ロタダー」7500及びポリアミド6/12をベースとした「アポリヤ」E
・20重量%のコポリアミドを含有し、130℃の融点を有する、「ロタダー」5500及びポリアミド6/12をベースとした「アポリヤ」F
【0098】
試験される配合物及びフィルムの製造:
●
配合物の反応押出成形
○
「ロタダー」7500又は「ロタダー」5000とコポリアミド6/12及び6/11をベースとした「アポリヤ」配合物の反応押出
これらの「アポリヤ」配合物は、そのバレル成分が平坦なプロファイルで190℃まで加熱された、ライストリッツ(Leistritz)(登録商標)共回転二軸押出機(L/D=35)によって「混練」することにより調製された;回転速度300rpm(毎分回転数)、スループット15kg/h(毎時キログラム)。
○
「ロタダー」7500及びポリアミド6をベースとした「アポリヤ」配合物の反応押出
これらの「アポリヤ」配合物は、そのバレル成分が平坦なプロファイルで240℃まで加熱された、「ライストリッツ」共回転二軸押出機(L/D=35)によって「混練」することにより調製された;回転速度300rpm(毎分回転数)、スループット15kg/h(毎時キログラム)。
●
本発明及び比較実施例の「アポリヤ」/ポリオレフィン組成物の400μm単層フィルムの押出成形
400μm(マイクロメートル)の単層フィルムは、小実験室規模の押出ライン上でのフラットフィルム押出によって調製された。本組成物は、ポリアミドグラフト化ポリオレフィンと、エチレンとアクリル酸アルキルとのコポリマーと、随意選択的に無水マレイン酸で官能化された第3のポリオレフィンと、を混合することによって得られる。構成成分同士の割合は、押出の前に顆粒の袋内で乾燥混合物を調製することによって確保される。
【0099】
押出機は、10cm(センチメートル)幅のフラットダイ及び0.5mm(ミリメートル)の開口部を備えたHaake1異方向回転二軸押出機である。コポリアミド6/12をベースとした本発明の実例では、バレル成分は平坦なプロファイルで160℃まで加熱される;スクリュー回転速度は60rpm(毎分回転数)である。ポリアミド6をベースとした本発明の反例では、バレル成分は平坦なプロファイルで220℃まで加熱され、スクリュー回転速度は60rpmである。ポリアミド6/11をベースとした本発明の反例では、バレル成分は平坦なプロファイルで180℃まで加熱され、スクリュー回転速度は60rpmである。
【0100】
フィルム上で行われる試験:
水分吸収試験:
水分吸収試験とは、85℃及び85%の相対湿度(RH)下での湿熱で行われた調整の後、400μm(マイクロメートル)のフィルムにおける飽和時に得られた水分含量を測定することである。水分含量の測定は、国際規格ISO 15512に基づいてカール−フィッシャー法に従って行われる。吸収された水分含量を測定するため、フィルムは、窒素下、200℃で20分間の熱的脱離の工程に供される。
【0101】
様々な試料についての水分吸収の結果:
【0102】
上記表の結果は、本発明に従った組成物がいかにして確立されたかを概略的に示している。水分吸収試験において0.50%を上回る結果は、対象としている用途においては、本組成物として不適である;多数の他の用途についても、本試験の0.50%というこの同一の不適合閾値(disqualifying threshold)が適用される傾向にあることが理解されよう。
【0103】
本発明に従った組成物の好ましい組成ドメインは、水分吸収試験のみならず、MFI(メルトフローインデックス)についての100℃でのクリープ試験などの熱機械的特性に関する試験、並びに光学特性に関する試験(透明性試験、加速劣化条件下での黄変試験)においても、確立された。
【0104】
本発明に従った配合物、すなわち組成物の例1〜10は、とりわけ85℃及び85%のHR(湿度)下での湿熱における経時劣化試験の後に、ガラス上での優れた接着性 を示すことも見いだされた。
【0105】
比較実施例1に関する予想以上に満足のいく結果とは対照的に、後者はその耐クリープ性が不十分であることから、本用途には適していないことに留意することが重要である。
【0106】
比較実施例4は水分吸収が高すぎ、かつポリアミドの融点が本用途に適していないため、本用途には適していない。本製品は、光起電性パネルが製造される通常の温度では流動しない。
【0107】
比較実施例5は、ポリアミドの融点は本用途には適していないため、本用途には適していない。特に、本製品は、光起電性パネルが製造される通常の温度では流動しない。