特許第6605479号(P6605479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605479
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】紡糸ノズル装置
(51)【国際特許分類】
   D01D 4/02 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   D01D4/02
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-545817(P2016-545817)
(86)(22)【出願日】2015年1月6日
(65)【公表番号】特表2017-502181(P2017-502181A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2015050094
(87)【国際公開番号】WO2015104259
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2017年10月19日
(31)【優先権主張番号】102014000305.1
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ エンダース
(72)【発明者】
【氏名】クラウス シェーファー
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−015314(JP,A)
【文献】 特表2002−517629(JP,A)
【文献】 特開昭59−001712(JP,A)
【文献】 特開平05−195311(JP,A)
【文献】 特開2004−324002(JP,A)
【文献】 米国特許第06604928(US,B1)
【文献】 特開2003−155620(JP,A)
【文献】 特開平07−090711(JP,A)
【文献】 特開2004−084135(JP,A)
【文献】 特開昭59−038042(JP,A)
【文献】 特開2005−194673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00−13/02
D01F 1/00−6/96,9/00−9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマ溶融物から多数のフィラメントを溶融紡糸する紡糸ノズル装置であって、多数のノズル開口(3)を備えたノズルプレート(2)と、少なくとも1つの溶融物入口(6)を備えた入口アダプタ(5)と、該入口アダプタ(5)と前記ノズルプレート(2)との間に配置されていて相前後して配置された複数のフィルタエレメント(4.1,4.2)から形成されたフィルタ装置(4)と、を収容するハウジング(1)が、設けられている、紡糸ノズル装置において、
前記溶融物入口(6)に対応配置された第1のフィルタエレメントが、リング形状のキャンドルフィルタ(4.1)によって形成され、前記ノズルプレート(2)の前記ノズル開口(3)の前に配置された別のフィルタエレメントが、サンドフィルタ(4.2)によって形成されていることを特徴とする、紡糸ノズル装置。
【請求項2】
前記キャンドルフィルタ(4.1)は、前記サンドフィルタ(4.2)の濾過精度に比べて大きな濾過精度を有している、請求項1記載の紡糸ノズル装置。
【請求項3】
前記キャンドルフィルタ(4.1)は、前記サンドフィルタ(4.2)の濾過精度に比べて小さな濾過精度を有している、請求項1記載の紡糸ノズル装置。
【請求項4】
前記キャンドルフィルタ(4.1)の濾過精度は、5μm〜200μmの範囲である、請求項1から3までのいずれか1項記載の紡糸ノズル装置。
【請求項5】
前記キャンドルフィルタ(4.1)は、周囲に、リーツ加工されたフィルタ材料(11)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の紡糸ノズル装置。
【請求項6】
前記プリーツ加工されたフィルタ材料(11)は、多層の特殊鋼ワイヤ織布から成る、請求項5記載の紡糸ノズル装置。
【請求項7】
前記キャンドルフィルタ(4.1)は、前記ハウジング(1)の内部において外側の保持リング(7)と内側の押退け体(8)との間に配置されており、このとき前記キャンドルフィルタ(4.1)は、前記押退け体(8)に対して支持管(12)を有し、かつ集合室(14)を形成している、請求項5または6記載の紡糸ノズル装置。
【請求項8】
前記押退け体(8)は、前記キャンドルフィルタ(4.1)の上側に形成された押退けヘッド(9)を有していて、該押退けヘッド(9)は、前記入口アダプタ(5)と共に入口室(13)を形成している、請求項記載の紡糸ノズル装置。
【請求項9】
前記サンドフィルタ(4.2)は、フィルタプレート(16)の凹部(17)内における堆積物(18)によって、構成されており、前記フィルタプレート(16)は、前記ハウジング(1)内において前記ノズルプレート(2)の上に保持されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の紡糸ノズル装置。
【請求項10】
前記砂堆積物(18)は、石英砂または金属粉から成る、請求項9記載の紡糸ノズル装置。
【請求項11】
前記フィルタプレート(16)は、前記凹部(17)の底部に複数の孔(20)を有していて、該孔(20)は、前記砂堆積物(18)に対して支持織布(19)によって覆われている、請求項9または10記載の紡糸ノズル装置。
【請求項12】
圧力降下プレート(23)が、前記サンドフィルタ(4.2)と前記ノズルプレート(2)との間に配置されていて、前記圧力降下プレート(23)は、少なくとも1つの貫通孔(24)を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の紡糸ノズル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の、ポリマ溶融物から多数のフィラメントを溶融紡糸する紡糸ノズル装置に関する。
【0002】
溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を製造するために、通常、紡糸ノズル装置が使用され、この紡糸ノズル装置は、ポリマの供給された溶融物流から、極めて細い複数のフィラメントを紡糸する。フィラメントストランドの紡糸時における高い均一性を得るために、ポリマ溶融物が高い純度および一様な均質性を有することが、極めて重要である。従って、このような紡糸ノズル装置は通常、少なくとも1つのフィルタエレメントを有している。しかしながらこのとき、清浄さのみならず均質性をも保証するために、ポリマ溶融物の紡糸および混合の前には、濾過のみならず、圧力降下および剪断をも実施することが必要である。
【0003】
このような要求を満たすために、独国特許出願公開第10140116号明細書においては、複数のリングフィルタエレメントを備えたフィルタ装置を有する紡糸ノズル装置が提案されている。これらのリングフィルタエレメントは、直列配置形式で相前後して配置されているので、全体として良好な深さ効果(Tiefenwirkung)および著しく大きな濾過面積が生ぜしめられる。しかしながらこのようなリングフィルタエレメントには基本的に、ポリマ溶融物がリングフィルタエレメントの貫通時に不十分にしか混合されないという欠点がある。特に、リングフィルタエレメントにおける回避不能な縫合部は、特に問題があると思われる。
【0004】
ポリマ溶融物の十分な混合を達成するために、独国特許出願公開第4225341号明細書に基づいて公知の紡糸ノズル装置では、ただ1つのリングフィルタエレメントが使用されており、このリングフィルタエレメントは、ハウジングの内部における混合装置と共働する。このとき混合装置は、リング形状のフィルタエレメントの内部に配置されているので、ポリマ溶融物の濾過のためには単に制限されたフィルタ深さしか利用することができない。
【0005】
さらに米国特許第3847524号明細書に基づいて公知の紡糸ノズル装置では、複数のキャンドル形状のフィルタエレメントが一緒に1つの剪断プレートと共働する。このとき溶融物の剪断および混合は、ノズルプレートの直前において、追加的な剪断手段によって実施される。このようなフィルタ装置では、すべてのフィルタキャンドルにおける均等な流れを得ることは、ほとんど不可能である。フィルタキャンドルにおける必然的に不均等な貫流によって、さらに種々異なった汚れが生じることになり、このような汚れによって、貫流の不均等性がさらに促進されることになる。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、請求項1の前段部に記載の、ポリマ溶融物から多数のフィラメントを溶融紡糸する紡糸ノズル装置を改良して、紡糸前における溶融物の濾過、剪断および混合を、高い均等性をもって実施できるようにすることである。
【0007】
本発明の別の目的は、請求項1の前段部に記載の形式の紡糸ノズル装置を改良して、そのフィルタ装置が、ポリマ溶融物の濾過、剪断および混合を調節するための高いフレキシビリティを有するように構成することである。
【0008】
この課題を解決するために本発明の構成では、溶融物入口に対応配置された第1のフィルタエレメントが、リング形状のキャンドルフィルタによって形成され、ノズルプレートのノズル開口の前に配置された別のフィルタエレメントが、サンドフィルタによって形成されている。
【0009】
本発明の好適な態様は、従属請求項の特徴および特徴の組合せによって定義されている。
【0010】
本発明は、紡糸前におけるポリマ溶融物の調製のための機能を、別個のフィルタエレメントによって実施できることによって、傑出している。例えば濾過の機能と剪断の機能とを、異なったフィルタ材料によって行うことができる。特に、リング形状のキャンドルフィルタとして形成された第1のフィルタエレメントは、比較的大きな濾過面積で相応に長い耐用寿命による濾過を実現することができる。リング形状のキャンドルフィルタの後ろ、つまり下流側に配置されたサンドフィルタは、ポリマ溶融物を、追加的な濾過作用をもって又は追加的な濾過作用なしに、混合しかつ剪断するという特別な利点を提供する。これによってポリマ溶融物は、ノズルプレートのノズル開口を通して紡出される前に、高レベルで均一化される。
【0011】
溶融物を複数回濾過できるようにするために、本発明の別の好適な態様では、キャンドルフィルタは、サンドフィルタの濾過精度に比べて大きな濾過精度を有している。このように構成されていると、リング形状のキャンドルフィルタによって、強力な予備濾過を実現することができる。特に、その深さ効果によって好適なサンドフィルタは、このとき、微細濾過を保証するために利用される。
【0012】
しかしながらまた基本的には、キャンドルフィルタが、サンドフィルタの濾過精度に比べて小さな濾過精度を有することも可能である。本発明のこの変化態様では、ポリマ溶融物は、リング形状のキャンドルフィルタだけによって濾過される。後続のサンドフィルタは、好ましくは、主としてポリマ溶融物の混合および剪断のためにだけ使用され、これにより例えば溶融物の内部において確定された温度レベルを得ることができる。
【0013】
糸番手およびポリマタイプに関連して、キャンドルフィルタは、好ましくは、5μm〜200μmの範囲における濾過精度をもって形成される。これによって、シングル濾過またはダブル濾過を調節するためおよび所望の剪断および混合を調節するためのすべての組合せを、実現することができる。
【0014】
一方においては大きなフィルタ面積を実現するためかつ他方では十分な深さ効果をポリマ溶融物の濾過時に達成するために、本発明の別の好適な態様では、キャンドルフィルタは、周囲に、好ましくは多層の特殊鋼ワイヤ織布から成るプリーツ加工されたフィルタ材料を有している。このように構成されていると、キャンドルフィルタの極めて長い耐用寿命と溶融物の高い純度を得ることができる。
【0015】
キャンドルフィルタの半径方向における貫流を促進する、本発明の別の好適な態様では、キャンドルフィルタは、ハウジングの内部において外側の保持リングと内側の押退け体との間に配置されており、このときキャンドルフィルタは、押退け体に対して支持管を有し、かつ集合室を形成している。このように構成されていると、半径方向外側から内側に向かってキャンドルフィルタの周壁を貫く流れを実現することができる。
【0016】
ポリマ溶融物の供給は、このとき好ましくは、キャンドルフィルタの上側に形成された、押退け体の押退けヘッドによって促進され、この押退けヘッドは、入口プレートと共に入口室を形成している。
【0017】
サンドフィルタを収容するために、本発明の別の態様では、サンドフィルタは、フィルタプレートの凹部内における、好ましくは石英砂または金属粉から成る砂堆積物によって、形成されており、フィルタプレートは、ハウジング内においてノズルプレートの上に保持されている。
【0018】
このときフィルタプレートは、凹部の底部に複数の孔を有していて、これらの孔は、砂堆積物に対して支持織布によって覆われている。このように構成されていると、サンドフィルタの均等な貫流が可能になる。特に、ノズルプレートのノズル開口においてポリマ溶融物を紡糸するための特定の圧力状態を得るために、本発明をさらに改善する好適な態様では、圧力降下プレートが、サンドフィルタとノズルプレートとの間に配置されていて、圧力降下プレートは、少なくとも1つの貫通孔を有している。圧力降下プレートにおける貫通孔の数および形状付与によって、溶融物分配をも好適に、ノズルプレートに前置された弁室において直に実現することができる。
【0019】
本発明に係る紡糸ノズル装置は、基本的には、繊維製造のために汎用のすべてのポリマタイプを紡糸するのに適している。このときノズルプレートにおけるノズル開口は、面形状またはリング形状の配置形式において形成されていてよい。
【0020】
次に図面を参照しながら、本発明に係る紡糸ノズル装置について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る紡糸ノズル装置の第1実施形態を示す断面図である。
図2】本発明に係る紡糸ノズル装置の別の実施形態を示す断面図である。
【0022】
図1には、ポリマ溶融物から多数のフィラメントを溶融紡糸する本発明に係る紡糸ノズル装置の第1実施形態が、断面図で略示されている。紡糸ノズル装置は、中空円筒形のハウジング1を有していて、このハウジング1は、開放端部に固定ねじ山21を有している。
【0023】
ハウジング1はその反対側に位置する端部において、ノズルプレート2によって閉鎖されている。ノズルプレート2は、複数のノズル開口3を有しており、これらのノズル開口3は、ノズルプレート2を好ましくは複数の直径段、つまり段付けされた直径部分において完全に貫通している。
【0024】
ハウジング1の内部において、ノズルプレート2には、フィルタ装置4を収容するフィルタプレート16および保持リング7が支持されている。フィルタ装置4は、ハウジング1の内部において入口アダプタ5とノズルプレート2との間に配置されている。ハウジング1の上側領域における入口アダプタ5は、溶融物入口6を有しており、この溶融物入口6は、入口アダプタ5を完全に貫通している。
【0025】
フィルタ装置4は、複数のフィルタエレメント4.1,4.2を有しており、これらのフィルタエレメント4.1,4.2はハウジング1の内部において相前後して配置されている。溶融物入口6に対応配置された第1のフィルタエレメントは、キャンドルフィルタ4.1として形成されている。このキャンドルフィルタ4.1は、リング形状に形成されていて、その下端部で保持リング7の保持カラー22に支持されている。キャンドルフィルタ4.1はそのために、内側の支持管12を有しており、この支持管12は、プリーツ加工されたフィルタ材料11によって取り囲まれている。
【0026】
リング形状のキャンドルフィルタ4.1の上端部は、押退け体8によって保持されており、この押退け体8は、キャンドルフィルタ4.1の内部において円錐形に形成されていて、支持管12と押退け体8との間において延びる集合室14を形成している。上側領域において押退け体8は押退けヘッド9を有しており、この押退けヘッド9は、リング形状のキャンドルフィルタ4.1の上端部をシールしている。
【0027】
押退けヘッド9と入口アダプタ5との間には、ばね弾性的なスペーサ10が配置されており、これによって入口アダプタ5と押退け体8との間に自由空間が生ぜしめられている。同様に保持リング7とキャンドルフィルタ4.1との間にも、別の自由空間が形成されている。溶融物入口6とキャンドルフィルタ4.1との間に形成された自由空間は、ここでは入口室13と呼ばれる。このとき溶融物入口6を介して供給されるポリマ溶融物の、入口室13内への分配は、主として押退けヘッド9によって確定される。
【0028】
保持リング7の下にはフィルタプレート16が配置されており、このフィルタプレート16は円形の凹部17を有しており、この凹部17の直径は、キャンドルフィルタ4.1の外径よりも大きい。凹部17内には、サンドフィルタ4.2の砂堆積物(Sandaufschuettung)18が収容されている。砂堆積物18はこのとき、石英砂から形成されていても又は択一的に金属粉から形成されていてもよい。凹部17の底部に、サンドフィルタ4.2は支持織布19を有しており、この支持織布19は、フィルタプレート16の凹部17の底部における多数の孔20を覆っている。フィルタプレート16の下側における孔20は、フィルタプレート16とノズルプレート2との間に形成された分配室15に開口している。
【0029】
フィルタプレート16の上側には、押退け体8とサンドフィルタ4.2との間に集合室14が形成されており、この集合室14は、軸方向においてキャンドルフィルタ4.1の上端部にまで延びている。
【0030】
運転中、紡糸ノズル装置は、固定ねじ山21を介して紡糸ノズル収容部に固定され、このとき入口アダプタ5は、溶融物供給装置と圧密に連結される。この状態においてポリマ溶融物は、紡糸ポンプの予め設定された圧力下で、溶融物入口6内に導入され、まず、入口室13内に導かれる。ポリマ溶融物は、半径方向において外側から内側に向かってキャンドルフィルタ4.1を貫流する。このとき溶融物の濾過が行われる。キャンドルフィルタ4.1の濾材11は、そのために好ましくは、プリーツ加工された特殊鋼ワイヤ織布から形成されている。
【0031】
溶融物はその濾過後に、集合室14内に達し、次いでサンドフィルタ4.2を貫通する。サンドフィルタ4.2の内部において、ポリマ溶融物の混合および剪断が行われる。その後でポリマ溶融物は、孔20を介して分配室15内に達する。次いでポリマ溶融物は、ノズル開口3を通して紡糸される。
【0032】
サンドフィルタ4.2の砂堆積物18は、好ましくは石英砂又は金属粉から形成される。キャンドルフィルタ4.1の濾過精度(Filterfeinheit)に応じて、このとき種々様々な砂堆積物18を選択することができる。
【0033】
例えば、キャンドルフィルタ4.1の濾材11は、サンドフィルタ4.2の砂堆積物18よりもより細かい濾過精度を有することができる。このように構成されていると、濾過は実質的にキャンドルフィルタ4.1によって実施される。サンドフィルタ4.2は、ポリマ溶融物の剪断および混合の機能を果たすために設計されている。しかしながらまた択一的に、キャンドルフィルタ4.1の濾過精度を、サンドフィルタ4.2の濾過精度よりも粗く選択することも可能である。このように構成されていると、キャンドルフィルタ4.1とサンドフィルタ4.2とによって行われる、2段式濾過が実施される。
【0034】
キャンドルフィルタ4.1の濾材11は、好ましくは、5μm〜最大200μmの範囲における濾過精度で構成され、その結果これによって、糸番手に関連して、テキスタイルヤーンおよびテクニカルヤーンを紡糸することができる。
【0035】
ポリマ溶融物の紡糸のためには、良好な紡糸可能性を得るために、特に紡糸ノズル装置の内部において、予め設定された圧力降下および温度上昇が望まれている。フィルタ装置とは無関係に追加的な圧力降下を実現できるようにするために、図2には、本発明に係る紡糸ノズル装置の別の実施形態が示されている。
【0036】
図2には、本発明に係る紡糸ノズル装置の別の実施形態が、断面図で略示されている。図2に示した紡糸ノズル装置の実施形態は、図1に示した実施形態とほぼ同じであるので、以下においては相違点についてだけ説明し、その他の点については上の記載を参照するものとする。
【0037】
圧力降下を改善するためおよびポリマ溶融物を混合させるために、図2に示した実施形態では、フィルタプレート16とノズルプレート2との間に、追加的な圧力降下プレート23が配置されており、この圧力降下プレート23は、貫通孔24を有している。圧力降下プレート23は、上側に円錐形状の凹部25を備えて形成されているので、フィルタプレート16の孔20から流出する溶融物は、貫通孔24に向かって均等に導かれる。圧力降下プレート23の下側には、分配室15が形成されており、この分配室15は、ノズル開口3全体にわたって延在している。
【0038】
このような圧力降下プレート23は、業界では、シャーリ・プレート(Shirley-Plate)とも呼ばれ、このとき圧力降下プレート23は、複数の貫通孔24を有することもできる。
【0039】
追加的な圧力降下プレート23によって、最大150バールまでの範囲におけるさらなる圧力降下および最大10ケルビンの範囲における追加的な温度上昇を達成することができる。
【0040】
図1および図2に示した紡糸ノズル装置の構造は、例である。基本的には、紡糸ノズル装置をプレート形状の配置形式で形成することも可能であり、このとき複数のプレートが互いに圧密に結合されている。例えば方形のノズルプレートを実現することも可能である。本発明は、紡糸ノズル装置の丸い形状に制限されるものではない。
図1
図2