(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605481
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】単一カラム設計における吸収/蒸留
(51)【国際特許分類】
B01D 3/14 20060101AFI20191031BHJP
C07C 7/04 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
B01D3/14 Z
C07C7/04
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-547895(P2016-547895)
(86)(22)【出願日】2015年1月24日
(65)【公表番号】特表2017-508604(P2017-508604A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2015012799
(87)【国際公開番号】WO2015112927
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2018年1月17日
(31)【優先権主張番号】61/931,440
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511136887
【氏名又は名称】ジーティーシー テクノロジー ユーエス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バーガバ, マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェントリー, ジョーゼフ シー.
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−057704(JP,A)
【文献】
特表2006−509619(JP,A)
【文献】
特開平09−117602(JP,A)
【文献】
特表2006−502122(JP,A)
【文献】
米国特許第06348637(US,B1)
【文献】
中国特許出願公開第102942439(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D3/00−3/42
C10G1/00−99/00
C07B31/00−63/04
C07C1/00−409/44
F25J1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラムの頂部を第1の側と第2の側とに分割するために、カラムの内側から部分的にカラムを通って延びる分割壁;
第1の側に結合され、第1の側への供給を提供するように構成された供給ライン;
第1の側に配置され、非凝縮性成分を分離するように構成された吸収ユニット;
第2の側に配置され、より重質の液体成分を分離するように構成された蒸留ユニット;
第1の側に結合され、第1の側から塔頂生成物を受け取るように構成された部分凝縮器;及び
第2の側に結合され、第2の側から塔頂生成物を受け取るように構成された全凝縮器
を備えた蒸留カラム。
【請求項2】
部分凝縮器がベント凝縮器である、請求項1に記載のカラム。
【請求項3】
全凝縮器が水冷凝縮器である、請求項1又は2に記載のカラム。
【請求項4】
第1の側が吸収溶媒を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のカラム。
【請求項5】
カラムに結合され、より軽質の非凝縮性成分の除去のための吸収媒体として使用するために塔の底部生成物を第1の側に供給するように構成された底部供給ラインを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のカラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の法の下、参照によりその全内容が完全に本明細書に記載されるかのように本明細書に援用される、2014年1月24日出願の米国特許仮出願第61/931,440号の利益を主張する。
【0002】
分縮器は、蒸留生成物を蒸気流として除去するときに、蒸留カラムにおいて用いられる。この手法は、非常に揮発性の成分を完全に凝縮するために、高いカラム圧力及び低い凝縮器温度が必要とされるであろうカラムへの供給に、非常に軽い、すなわち、揮発性の成分が存在する場合に、一般に採用される。分縮器の使用により、凝縮器での費用のかかる冷凍を回避することができる。分縮器を用いた多くの蒸留スキームは、液体生成物と蒸気生成物の両方を有する。このような事例では、比較的重い成分が蒸気生成物中にかなりの量で溢出し、その逆もまたしかりである。通常の分縮スキームにおいて、液体生成物と蒸気生成物とのはっきりとした分離を維持することは不可能である。この欠点は、蒸気成分と液体成分とのはっきりとした分離をもたらすために、分割壁の両側において吸収技術と蒸留技術の両方を使用する、頂部分割壁カラムの使用によって克服することができる。
【背景技術】
【0003】
芳香族プラント(aromatics complex)には、比較的軽い成分を分離するために分縮器を使用する幾つかの蒸留スキームが存在する。このようなカラムの典型的な例は、C
5スタビライザー又はデヘプタナイザー(dehepatnizer)カラムを含む。
【0004】
図1は通常のC
5スタビライザーの先行技術のシステムを表している。この通常のスタビライザーは、C
1〜C
4成分を塔頂蒸気生成物として、C
5を塔頂液体生成物として、及びC
6+成分をカラムの底部生成物として分離することを目的とする。カラムは、40℃の塔頂温度で8.5kg/cm
2gで作動させる。
【0005】
しかしながら、先行技術のシステムは幾つかの不利点を有する。8.5kg/cm
2gで塔頂生成物中の比較的軽い成分を凝縮すること及び塔頂冷媒として冷却水を使用することは不可能である。塔頂システムは分縮器を有する。比較的軽い成分(オフガスとして用いられる)は、分縮器からの蒸気生成物として取り出される。C
5生成物は分縮器からの液体流である。かなりの量のC
5成分がオフガス蒸気流へと失われる。C
5成分のロスは、塔頂温度を低下させる(例えば、冷凍を利用して)又はカラム圧力を上昇させることによって防ぐことができる。しかしながら、これは、カラムの操業コストを増大させる。先行技術のシステムは、蒸気中のC
1からC
4と液体生成物中のC
5との緩い分離をもたらし、これらの成分の回収もまた、これらの成分がオフガス蒸気流内で失われてしまうことから、低いものとなってしまう。
【0006】
図2は、通常のデヘプタナイザー(dehepatnizer)カラムの先行技術のシステムを表している。この通常のデヘプタナイザー(dehepatnizer)は、塔頂の蒸気生成物としての比較的軽い成分(C
1からC
5)、塔頂の液体生成物としてのC
7及びカラムの底部生成物としてのC
8+成分を分離することを目的とする。カラムは、40℃の塔頂温度で5.0kg/cm
2gで作動させる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施態様は、2つの異なるユニット動作(吸収及び蒸留)が頂部分割壁カラムの両側で生じるプロセスを対象とする。分割壁カラムの一方の側は、吸収を利用して供給物から非凝縮性成分を分離し;分割壁のもう一方の側は蒸留を利用して比較的重い液体成分を分離する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】先行技術に従った通常のC5スタビライザー。
【
図2】先行技術に従った通常のデヘプタナイザー(dehepatnizer)カラム。
【
図3】スタビライザー設計のための本発明の実施態様に従ったプロセススキーム。
【
図4】デヘプタナイザー(deheptanizer)設計のための本発明の実施態様に従ったプロセススキーム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施態様は、2つの異なるユニット動作(吸収及び蒸留)が頂部分割壁カラムの両側で生じるプロセスを対象とする。
【0010】
図3に示される本発明の実施態様では、請求項に係る発明についてのプロセススキームは、頂部が分割した単一のカラムにおいて、軽い成分(非凝縮性)、C
5(頂部液体生成物)、及びC
6+(重いもの)を分離するように設計される。供給流は、最初に、頂部が分割したカラムの予備分画側に送られる。垂直な分割壁はカラムの頂部部分を二等分に分割する。壁の供給側は予備分画区域と呼ばれる。非凝縮性物質(オフガスとして利用される)は、塔頂の蒸気生成物としてベント凝縮器から除去される。本発明のある特定の実施態様では、カラム塔頂圧力は、塔頂蒸気生成物ライン上で圧力制御装置を介して2.7kg/cm
2gに設定される。供給の上の区域は、比較的重い成分のロスを最小限に抑えるために主として用いられる吸収区域としての機能を果たす。予備分画側は、以下の2つの供給源から来る環流を有する:ベント凝縮器からの凝縮された液体流;及び底部のポンプからの重い流れ。
【0011】
本発明のある実施態様では、主区域の塔頂からの蒸気は、空冷式熱交換器内で、続いて水冷式凝縮器で、凝縮かつ40℃まで冷却される。凝縮器の出口は塔頂受槽内に集められる。C
5液体は、ドラムから環流ポンプを介して汲み出される。軽液の一部は環流としてカラムに戻され、残りはC
5生成物として取り出される。
【0012】
本発明のある実施態様では、主カラムの頂部の温度は、環流量制御ループを用いてカスケード制御される。これは、比較的重い成分のカラムの塔頂へ向かう傾向を抑制することにより、C
5生成物の品質に係る制御を可能にする。
【0013】
本発明のある実施態様では、主区域に接続されるリボイラは、加熱媒体として蒸気を利用するサーモサイフォン式蒸気リボイラである。リボイラへの熱注入は、カラム底部トレイ温度制御装置に縦続接続された蒸気量を制御することによって調節される。
【0014】
C
5底部生成物は、底部生成物の流量と縦続接続されたレベル制御ループによって制御される。
【0015】
表1は、通常のスタビライザー設計と請求項に係る発明であるTDWCスタビライザー設計との動作パラメータの比較を表している。
【0016】
図4は、デヘプタナイザー設計のための本発明の実施態様に従ったプロセススキームを表している。カラム圧力は1.8kg/cm
2gまで低下させる。GT−低圧デヘプタナイザーはエネルギー消費を19%低減する。
【0017】
表2は、通常のデヘプタナイザー設計と請求項に係る発明であるTDWCスタビライザー設計との比較を表している。
【0018】
本発明の全般的な態様は、頂部が分割したカラムを使用して、蒸留プロセスにおいてエネルギー効率を向上させる方法、又はより良好な生成物純度のための方法に関する。当業者は、本開示から得られた知識を用いて、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される方法にさまざまな変更がなされうることを認識するであろう。理論的又は観察された現象又は結果を説明するために用いられる機構は、単なる例示として解釈されるべきであり、添付の特許請求の範囲を多少なりとも限定すべきものではない。