(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ここに開示した主題の背景として関連すると考えられる引用文献は以下の通りである。
[1]R.A.Vogel,D.Kirch,M.Lefree,and P.Steele,“A New Method of Multiplanar Emission Tomography Using a Seven Pinhole Collimator and an Auger Scintillation Camera,”J.Nucl.Med.19(6),648−654(1978).
[2]N.U.Schramm,G.Ebel,U.Engeland,T.Schurrat,M.Behe and T.M.Behr,“High−Resolution SPECT Using Multipinhole Collimation,”IEEE Trans.Nucl.Sci.50(3),315−320(2003).
[3]R.H.Dicke,“Scatter−hole cameras for x−rays and gamma rays,”Astrophys.J.153,L101−L106(1968).
[4]L.T.Chang,B.Macdonald,V.Perez−Mendez, L.Shiraishi,“Coded Aperture Imaging of Gamma−Rays Using Multiple Pinhole Arrays and Multiwire Proportional Chamber Detector,”IEEE Trans.Nucl.Sci.NS−22,374−378(1975).
[5]E.E.Fenimore and T.M.Cannon,“Coded aperture imaging:predicted performance of uniformly redundant arrays,”Appl.Opt.17(2),3562−3570(1978).
[6]Mu Z,Hong B,Li S Liu YH,“A noval three−dimensional image reconstruction method for near−field coded aperture single photon emission computerized tomography”.Med Phys.2009:36;1533−1542.
[7]Chen YW,Yamanaka M,Miyanaga N,Yamanaka T,Nakai S,Yamanaka C,“Three−dimensional reconstructions of laser−irradiated targets using URA coded aperture cameras”.Opt Commun.1989:71;249−255.
[8]Koral KF,Rogers WL,Knoll GF,“Digital tomographic imaging with time−modulated pseudorandom coded aperture and anger camera”.J Nucl Med.1974:16;402−413
【0003】
上述の引用文献の確認は、ここに開示した主題の特許性に関連する意味を暗示するものではない。
【0004】
ピンホール光学を撮像技術に使用することは長年知られている。光線はマスクの一方の側にある対象領域から伝搬し、マスクの小さなピンホールを通ってマスクの他方の側に広がり、対象領域の画像の生成に使用することができる。
【0005】
ピンホール光学は、リニア歪の低減、実質的に無限の焦点深度と、広角視野の提供といった、レンズ系の一般的使用を超える様々な利点を提供できる。さらに、ピンホール撮像は、X線、ガンマ線、及び基本的な波動現象あるいは微粒子様現象といった、非光学的電磁波の周波数に利用できる。
【0006】
ピンホール撮像の特性は、一般的に、ピンホールの特に断面寸法(直径)に依存する。大きなピンホールでは、結果としての画像は通常ピンホールの幾何学的影である均一なディスクの形である。非常に小さなピンホールでは、結果としての画像はフレネルパターン又はフラウンホーファー解析パターンである。中間サイズのピンホールは、光景(シーン)の撮像を提供する。最適なピンホール径は、大きなピンホールの大きなスポット画像と、小さなピンホールサイズの広い回析パターンとの妥協点として決めることができる。
【0007】
ピンホールサイズの画像生成範囲内には、画像解像度と光強度間のトレードオフがある。より大きいピンホールは比較的高い放射強度を伝送する、すなわち、時間当たりのフォトンの数が多いが、画像解像度が低くなる。一方、より小さいピンホールは、画像解像度は高いが、放射強度は低くなる。この結果、より暗い画像となる、及び/又は、露出時間がより長くなる。したがって、ピンホールのサイズは、画像解像度、コントラスト、輝度、露出時間、信号対ノイズ比に影響する。
【0008】
複数のピンホールを使用して撮像技術を改善する目的で、輝度及び/又は解像度を改善するいくつかの技術が知られている。
【0009】
国際公開第2010/119,447号は、多数の感光ピクセルを具える所定の光検出面に使用する光学システムについて記載している。この光学システムは、複数のスペースを空けて配置された光透過領域によって形成され、複数の感光ピクセルによって構成された所定の光透過パターンを規定する光学窓を具える。この複数のスペースを空けて配置された光透過領域の
構成は、複数の感光ピクセルに対してこの領域の不規則な配置を規定している。この不規則な配置を有する光学窓は、撮像するシーンからの様々な方向からくる光ビームを回収して、各感光ピクセルの上に、異なる方向から回収された光ビームに対応して区別できる光強度によって形成された光成分を向けるように構成されており、これによって、光検出面上に重なった、異なる方向から回収した光ビームに応じた、空間的に区別された光強度パターンを提供している。
【0010】
米国特許第6,545,265B号は、共焦点画像対を混合する方法と、平行共焦点画像高速発生用の様々な構成と、そのリアルタイムでの組み合わせを記載している。この方法は、共焦点画像のコントラストと解像度を改良するのに使用される。提言されている構成は、多種多様なアプリケーション用、特に、材料検査用にリアルタイムで高解像度の画像を生成する、平行共焦点シングルビーム法又はダブルビーム法において画像を混合する方法の有意なアプリケーションにいくつかの可能性を示唆している。二以上の共焦点画像を組み合わせると、混合画像における対象の優れた構造の解像度が得られる。これに対して、方位分解能と深さ分解能は、位相物体でもありうる検査すべき対象物の混合画像において改善される。さらに、この方法によれば、検査すべき対象物の非常に解像度が高い三次元デジタル画像を生成できる。
【0011】
米国特許出願公開第2006/279,845号は、隣接するレンズ間でピッチが異なる二群のマイクロレンズサブアッセンブリからなる、一のマイクロレンズアレイで構成された光学システムを記載している。サブアッセンブリのピッチ間の比は、光学システムのパラメータ間の所定の関係によって決まり、第1のサブアッセンブリのマイクロレンズが、共通の中間面に並んで配置された複数の独立した中間画像を作る。共通の中間平面は、第2のサブアッセンブリのマイクロレンズによって、互いの上に割り込んだ複数の同じでかつ正確に登録された画像の形で最終画像平面へ転送される。これは、上述のピッチ間の比率によって達成される。
【発明の概要】
【0012】
この分野では、一またはそれ以上のピンホールアレイを用いた高解像度の撮像を可能にする新しい技術が必要とされている。本発明の技術によれば、各アレイが所定の異なるピンホール配置を有する、二またはそれ以上のピンホールアレイを用いて対象となる領域の高品質画像を生成することができる。この二またはそれ以上のアレイにおけるピンホール配置は、二またはそれ以上のピンホールアレイのそれぞれを通る二またはそれ以上の画像取得ステップ間に、放射回収の所望のトータル有効透過関数を提供するように選択される。
【0013】
一般的に、ピンホールベースの撮像は、画像解像度(光学解像度)と、強度(エネルギィ)との間の選択が必要であり、従来の方法によれば、このファクタの一方を改良すると他方のコスト高を避けることができない。しかしながら、本発明の技術によれば、光学的放射並びに非光学的放射による撮像用に、ピンホール撮像の利点を利用できる一方で、達成される解像度を低下させることなくより大きな入力強度を提供することができる。このことは、空間的及び画像マルチプレキシングと時間的画像マルチプレキシングを組み合わせたピンホール撮像の概念を用いて本発明の技術で達成され、効率の良い撮像を提供し、高品質な画像データの再構築を可能とする。
【0014】
本発明の技術によれば、対象領域から伝搬してくる入力放射(光学的又は非光学的)が、所定のトータル露出時間用の画像システムによって回収される。この入力放射は、二またはそれ以上のピンホール(開口)アレイセットを通って、対応する時間
、順次撮像される。各ピンホールアレイは、放射線を透過させる形状を有する所定の寸法の一またはそれ以上のピンホールのあらかじめ選択された配置を有する放射ブロック面によって形成されたマスクである。
【0015】
ピンホールアレイセットは、二またはそれ以上のピンホールアレイ(例えば、所定数のピンホールを有するマスク)を具え、各アレイが、選択した所望の寸法の幾何学的形状の所定数のピンホール配置を具える。各アレイについてピンホールで回収した放射により画像平面(検出器の)上に複数の重なり合った画像となる。本発明の技術によれば、多数のこのような重なり合った画像が所定の露出時間に回収される。したがって、連続する二またはそれ以上の入力画像データピースが、二またはそれ以上のピンホールアレイによる入力放射の回収を介して生成される。各画像データピースは、選択したピンホールアレイと選択した回収(露出)時間に対応する。この画像データピースは、次いで、各アレイにおけるピンホールの配置と、
トータル有効透過関数を規定する露出時間に基づいて処理され、対象領域を表す回復画像データを規定する。
【0016】
一般的に、二またはそれ以上のピンホールアレイを通る放射線透過は、異なるピンホールを通過する放射線部分の干渉によって情報の喪失を生む。これは、ピンホールアレイに関連して、ゼロ伝送を伴う一またはそれ以上の空間周波数を有する空間周波数透過スペクトルにみられる。本発明の技術は、二またはそれ以上のピンホールアレイの一方が、所定の空間周波数についてゼロ又は低い透過率を有していれば、アレイセットの一またはそれ以上の他方のアレイがこの空間周波数においてより高い透過率を有し、トータルでの有効透過関数が、所望の解像度制限内ですべての空間周波数について非空透過を提供するように選択された二またはそれ以上のピンホールアレイセットを使用している。したがって、開口アレイの正しい選択は、このセットの累積透過が所望の解像度限界内で非空値を伴う有効透過関数を形成するようになされる。開口アレイセットのこの選択は、また、入力画像データの比較的簡単で効率の良い後処理を提供し、対象領域の回復画像を生成する。この処理は、トータル有効透過関数と画像構築用のその逆作用についてのデータを使用する。
【0017】
このように、本発明の一つの広い態様によれば、対象領域を撮像する方法が提供されている。この方法は:
(a)対象領域から選択した複数の所定数開口アレイセットを通る入力放射を回収するステップであって、各アレイが所定の開口配置を有し、回収時間ピリオドの間入力放射を回収し、選択された回収アレイセットと対応する回収時間ピリオドが、放射線回収のトータル有効透過関数を規定している、ステップと;
(b)回収した入力放射から画像データを生成するステップであって、この画像データが、各開口アレイを通って回収された入力放射に対応する所定数の画像データピースを含む、ステップと;
(c)この画像データピースを、放射線回収のトータル有効透過関数を用いて処理し、対象領域の回復画像を決定するステップと;
を具える。
【0018】
開口アレイセットは、好ましくは、トータル有効透過関数が、所定の最大空間周波数より低い空間周波数に非空透過を提供するように選択される。一般的に、この最大空間周波数は、最小開口サイズによって決まる。最大空間周波数を規定する最小開口サイズは、画像検出の幾何学的解像度に応じて選択することができる。
【0019】
いくつかの実施例によれば、選択した開口アレイの対応する回収時間ピリオドを選択して、選択した空間周波数についての透過度を最適にする。
【0020】
いくつかの実施例によれば、この方法は、さらに、開口アレイの全回収時間ピリオドについて単一の読み出しモードを用いて画像データピースを検出するステップを具え、これによって、画像デー
タを一体化して一回のスキャン時間に画像データを形成しつつも、異なる開口アレイを選択的に使用できるようにする。代替的に、専用の読み出しセッションを各開口アレイに使用して、結果としての画像データピースを数字として合算するようにしてもよい。
【0021】
対象領域の画像を回復するための画像データピースの処理は:画像データピースの強度マップの和を受信する、あるいは決定するステップと、トータル有効透過関数によって生じる歪効果の反転を利用するステップを具え、これによって回復画像データを生成する。この処理は、有効透過関数のウイナーデコンボリューションを用いるステップを具える。
【0022】
いくつかの実施例では、回復画像データを空間周波数ドメインで決定できる。
【0023】
なお、本発明の方法は、赤外線放射、可視光、紫外線放射、X線放射、及びガンマ線放射のスペクトルの少なくとも一つにおける電磁放射である入力放射と共に使用することができる。
【0024】
いくつかの実施例によれば、回復画像データを決定する画像データピースの処理がさらに、それぞれが開口アレイセットから異なる距離に位置する対象領域の対物面からの入力放射の回収に、対応する二つの異なる深さ解像有効透過関数セットを提供するステップと;各深さ解像有効透過関数について、各対物面に対応する部分的に回復した画像データピースを決定するステップと;対象領域の三次元回復画像を表すデータを生成するステップと;を具える。この少なくとも二つの異なる深さ解像有効透過関数は、選択した対物面から撮像する倍率を変化させることによる仮想開口配置に基づいて決めることができる。
【0025】
いくつかの実施例によれば、開口アレイセットとその対応する開口配置は、所望の放射強度改善(RII)因子に従って選択して、画像輝度を改善した対象領域の撮像を提供することができる。
【0026】
いくつかの実施例では、複数の所定数の開口アレイセットと、その対応する開口配置の選択が:撮像用の所望の解像度と対応する最小開口寸法を決定するステップと;各開口の形状と角度を決定するステップと;開口数を決めて所望の撮像輝度を提供するステップと;アレイの所定数を決定するステップと;各アレイにおける開口配置を決定して、開口アレイセットの非空トータル有効透過関数を提供するステップと、を具える。開口配置の決定は:第1アレイの開口配置を決定するステップと;対応する有効透過関数を決定するステップと;その有効透過関数が所定のしきい値より低い透過を提供する空間周波数を同定するステップと;同定した空間周波数における一またはそれ以上の追加開口配置の透過が所定のしきい値を超えるように、一またはそれ以上の追加開口配置を決定するステップと;を具える。
【0027】
本発明のもう一つの広い態様によれば、撮像システムが提供されており、このシステムは:
(a)回収されている入力放射の空間フィルタリング用放射回収面を規定するマスクであって、複数の開口を具え、マスクの所定数の空間フィルタリングパターンを選択するように構成され作用し、各フィルタリングパターンが回収面の開口の所定の配置によって形成される、マスクと;
(b)フィルタリングコントローラモジュールと;画像取得モジュールと画像処理モジュールとを具える制御ユニットであって、フィルタリングモジュールが選択された露出時間ピリオドの間に様々なフィルタリングパターンによって入力放射を選択的に回収するようにマスクを作動させるように構成されており;画像取得モジュールが選択した露出時間ピリオドの間のそれぞれフィルタリングパターンを介する入力放射の回収に応じた画像データピースを受け取るように構成されており;画像処理モジュールが、この画像データピースを受け取って処理し、マスクを介して放射回収の
トータル有効透過関数を表すデータを利用するとともに、入力放射が回収されている対象領域の回復画像データを決定するように構成されている、制御ユニットと;
を具える。
【0028】
マスクの選択した複数の所定数の空間フィルタリングパターンは、所望のあらかじめ決められた最大空間周波数より小さい空間周波数について非空透過を伴う有効透過関数を提供するようあらかじめ選択することができる。
【0029】
一般的に、マスクは、交換可能なマスクとして構成することができ、これは複数の所定数の空間フィルタリングパターンを具えており、マスクの放射回収面に選択した空間フィルタリングパターンを選択的に配置するようにできる。例えば、マスクは、それぞれが対向するフィルタリングパターンを規定している二またはそれ以上の開口アレイを具える機械的ホイールとして構成できる。追加であるいは代替的に、マスクは、放射透過モジュレータとして構成してもよく、フィルタリングパターンを電気的に変化させるように構成できる。
【0030】
いくつかの実施例によれば、マスクは所定数の空間フィルタリングパターンに対応する多重構成の開口を具えていてもよく、この開口の多重構成は、様々なフィルタリングパターンに対応する開口群を具えており、各開口群が、撮像用のトータル波長レンジの一部である所定の波長レンジを透過するように構成された波長選択フィルタを具えていてもよい。
【0031】
プロセッサユニットは、さらに、所望の解像度と輝度に関するデータを含む入力データに応答して、非空有効透過関数を有する対応するフィルタリングパターンセットを決定するように構成された選択モジュールセットを具えていてもよい。
【0032】
いくつかの実施例によれば、プロセッサユニットはさらに、このフィルタリングパターンセットの開口配列によって深さを改善した有効透過関数を決定するように構成した深さ解像度前処理モジュールを具えていてもよい。画像処理モジュールは、複数の回復した深さ解像画像データピースを決定するよう構成され作動する。各深さ解像回復画像データピースは、対応する深さ解像有効透過関数に応じて対物面に対応しており、これによって、対象領域についての三次元情報を提供している。
【0033】
いくつかの実施例によれば、このシステムは、赤外線放射、可視光放射、UV放射、X線放射、ガンマ線放射の波長範囲の少なくとも一つの入力放射を用いて撮像するように構成できる。
【0034】
本発明のさらにもう一つの広い態様によれば、ピンホールベースの撮像に使用する方法が提供されており、この方法は:対物面の位置、撮像面の位置、及び、所望の最大解像度を決定するステップと;時間ユニット当たりの所望の輝度に基づいて所望する開口の数を選択するステップと;所望の寸法の一またはそれ以上の開口を具える第1開口アレイを選択するステップと;第1の開口アレイの透過が所定のスレッシュホールドより低い第1の空間周波数値セットを決定するステップと;この第1の空間周波数セットにおける透過が、対応する所定のスレッシュホールドより上であることを提供する開口配置を有する少なくとも一つの追加開口アレイを決定するステップと;を具え、アレイの総数で除した開口の総数が、時間ユニット当たりの所望の輝度のファクタを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1A及び1Bを参照すると、対象領域中の対象物2を単一ピンホール撮像システムとマルチピンホール撮像システムを用いたピンホールベースの撮像原理が図に示されている。
図1Aに示すように、対象物2からの入力放射(例えば、対象物から出射されたあるいは対象物から反射された)が、ピンホールベースの撮像システムの放射回収面によって回収され、画像面上に画像8を形成する。この例では、放射回収面が、所定の寸法と形状の開口5を有する放射ブロック面の形のマスク10によって規定されている。この分野で一般的に知られているように、開口5を通る放射透過は、画像面に対象物2の倒立画像8を提供し、これをスクリーン上で見るあるいは検出器によって集めることができる。
【0037】
上述した通り、このようなピンホールベースの撮像システムは、事実上無限焦点深度での撮像を提供することができる。さらに、この画像システムは、対物面2の開口マスク10への距離Zと、画像面(スクリーン、検出器)とマスク10(すなわち、放射回収面)との距離U間の比に基づいて倍率を提供する。したがって、この撮像システムは、
の倍率を提供する。
【0038】
画像解像度、輝度などの更なるパラメータは、使用した放射の波長と、画像面Uまでの距離に対するピンホールの寸法(例えば、直径)によって決まる。
【0039】
一般的に、高解像度の撮像を達成するには、角距離(画像面上で分離されている場合にみることができる二つの特徴の角度方向における最小差)が、できるだけ小さくなるように選択される。しかしながら、幾何学的制限R
2>>λUにおいて大きな半径Rを有する開口では、角距離θ
geometricが小さくなる一方で、より小さな半径では、角距離θ
diffractionが半径の逆数に比例する。
【0040】
遠距離視野に位置する対象領域の撮像に半径
のピンホールを使用し、近距離視野に位置する対象物の撮像に半径
のピンホールを使用すると、高解像度の撮像を提供するであろうことが推測できる。このような解像度は回折限界的であり、画像面(スクリーン)で分離して見える最も小さな特徴は、マスクから遠距離にある対象物を撮像する場合、
のサイズである。あるいは、比較的近い近接又は近視野における対象物の撮像については、ほとんどピンホールの直径(すなわち、1R−1.5R)である。これらの解像限界は、レーリー波型(Rayleigh condition)に基づいている。
【0041】
この点に関して、本出願の目的においては、近距離又は遠距離視野の用語は、光学の分野で一般的に知られているものとは異なって解釈するべきである。ピンホールベースの撮像では、遠距離視野は、開口の対向する端部において回収された放射成分間の位相差が波長より大幅に小さい、すなわち、放射回収面に到達する対物面からの放射の波面がほぼ平面であるように、十分に大きい対象面と放射回収面との間の距離として定義される。このようなピンホールと相互作用する放射成分の個々の距離寄与は、これらがほぼ平行であるかのように扱うことができる。一般的に遠距離視野は、W
2/λより有意に大きく、ここで、λは波長、Wは開口の最大寸法である。フラウンホーファの式を用いて、このような遠距離視野におけるピンホールを通る放射経路の回析効果をモデル化することができる。このように、一般的に、遠距離視野は、対物面からピンホールマスクまでの距離が、使用した放射の波長で分割したマスク内の開口の面積より大きい場合に規定される。同様に、近距離視野の条件は、対物面からマスクまでの距離が、最大開口面積と波長の比より小さい場合に存在する。
【0042】
また、上述したように、開口のサイズが大きいほど、より多くの入力放射がより大きい開口を通過して画像面に届くため、画像輝度が高くなる。このことは、また、検出の信号対ノイズ比を低減する。したがって、従来の方法によるピンホール撮像は、画像解像度と輝度との間にその使用を制限する固有のトレードオフがある。
【0043】
この点に関して、
図1Bは、二つの開口5a及び5bを有するマスク10を通る対象物2の撮像を示す。一般的に、このような撮像システムは、同様の画像解像度を提供するが、回収した強度は2倍である。しかしながら、二つの開口は十分に離れておらず、二つの画像8a及び8bが重なっている。このことは、回収した画像の空間特徴間を区別する能力を低減する。
【0044】
本発明は、ピンホールベースの撮像に使用する新規なアプローチを提供するものであり、解像度を犠牲にする必要なく画像輝度を上げることが可能である。この点に関して、
図2を参照すると、対象領域のピンホールベースの撮像システム100が記載されている。システム100は、対象領域から到達する入力放射の放射回収面を規定している少なくとも一の物理的マスクによって形成されるマスクユニット120と、プロセッサユニット160を具える。
【0045】
本発明によれば、放射回収が、様々なピンホールアレイ(すなわち、様々な空間フィルタリングパターン)を用いて順次あるいは選択的に放射を回収することによって実行される。これは、一般的には、放射回収経路にあるマスク(パターン)を交換することによって実装できる。しかしながら、好ましくは、マスク120は、2またはそれ以上の異なる空間フィルタリングパターンを規定し、一の選択した空間フィルタリングパターンを用いて入力放射を一度に(すなわち、回収セッションの間に)選択的に回収するよう構成され、作動する単一マスクを具えていてもよい。このマスクは、放射回収面内で相隔たる関係に配置された放射透過領域(ピンホール、開口、窓)を有する。なお、このようなブロッキング領域で隔てられた放射透過領域は、不活性マスクあるいは電子マスク(空間放射モジュレータ)として実装できる。なお、以下により詳細に説明するように、光回収面は平面であってもよい。すなわち、放射透過領域はすべて、実質的に同じ面に位置している、あるいは、平面ではなく異なる放射透過領域が異なる面に位置する。後者は、所定の表面レリーフのマスクを提供することによって、あるいは、マスクの異なる深度に放射透過領域を作ることによって実装できる。理解を容易にするために、以下の説明ではこのような放射透過領域を開口又はピンホールと呼ぶ。
【0046】
各空間フィルタリングパターンは、回収面の所定の配置の空間的に離間した開口によって形成される。一般的に、マスク120は、2またはそれ以上のピンホールアレイ(図面には3つのアレイ10a−10cが示されている)を具えており(あるいは、電子マスクの場合はこれを規定するように作動する)、各々が、異なる空間フィルタリングパターンを規定する。また、入力放射アレイ回収用の異なるピンホールアレイの各々を選択的に用いる適宜の機構と関連する。マスク120は、例えば、以下に示すように、面の変位によって2またはそれ以上のパターンのうちの一つが放射回収にかかわるように、すなわち、放射伝達に対するマスクの活性領域内にあるように、開口を作った回転板として構成してもよい。代替的に、空間放射モジュレータ(各開口に適宜のポラライザを具える空間光モジュレータSLMなど)を用いて、領域の透過を電子的に変えるよう操作できるようにしてもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、マスク120が2またはそれ以上の群(アレイ)の複数の開口を有するシングルプレートの形をしていてもよく;各開口群が空間フィルタリングパターンを規定している。例えば、各開口群は、撮像に使用するスペクトルの一部である波長レンジの入力放射を透過させる波長選択フィルタを具えており、入力放射の多重放射を提供するようにしてもよい。
【0048】
なお、一般的に、開口アレイセットを用いて入力放射に選択的空間フィルタリングを適用する適宜の技術は、撮像が2またはそれ以上の選択された開口アレイを介して提供されるように使用することができる。特に、マスク120は、2又はそれ以上のピンホールアレイ、例えば10aと10bを具えており、各アレイは、選択された所定の数及び所定の配置の、所定の寸法と形状のピンホールで構成されている。
【0049】
このように、対象領域からの入力放射は、複数の所定数の開口アレイの選択されたセットを介して回収され、このアレイセットでは、各アレイが所定の配置の開口を有し、回収時間ピリオドの間に入力放射を回収するように動作する。選択された開口アレイセットは、放射回収の所定のトータル有効透過関数を規定する。また、好ましくは、開口アレイについての対応する回収時間ピリオドは、画質をさらに最適化するように選択される。選択された開口アレイを用いて実装した各放射回収セッションについて、画像データピースが作られ、これによって、開口アレイセットを通る累積放射回収セッションの画像データを生成する。画像データは、放射回収のトータル有効透過関数についてのデータを用いて処理され、対象領域の回復画像が決定される。
【0050】
好ましくは、開口アレイセットは、トータル有効透過関数が所定の最大空間周波数より低い空間周波数について非空透過を提供するように選択される。最大空間周波数は、通常、最小開口サイズによって規定される。これは、画像検出の幾何学的解像度に応じて選択することができる。選択した開口アレイの回収時間ピリオドは、選択した空間周波数について透過強度を最適にするように選択される。
【0051】
図2に示すように、プロセッサユニット160は、マスクアッセンブリ120に接続して、入力放射回収用の異なる開口/ピンホールアレイを選択的に用いる動作(例えば、マスクをシフト/回転させて放射回収経路に異なる開口アレイを配置する)を制御することができる。さらに、プロセッサユニット160は、システムの構造的部分である検出器140に接続可能である、あるいは接続しておらず、検出器140の放射検出面にあたる入力放射から発生した画像データピースを表す検出器出力を受信する。
【0052】
プロセッサユニット160は、したがって、マスクアッセンブリ120を、光回収セッションに使用される空間フィルタリングパターンを続いて選択する(例えば、
図2に示すピンホール/開口アレイ10a、10b、又は10cを選択する)ように動作させるように構成した、フィルタリングコントローラモジュール165を具えていてもよい。さらに、プロセッサには、選択した回収時間ピリオドに回収した入力放射に応じて検出器140によって生成した画像データピースを受け取るように構成した画像取得モジュール170が設けられている。プロセッサユニット160は、さらに、画像取得モジュール170から画像データピースを受け取るように構成され、画像データピースを処理して対象領域の回復画像データを決定する、画像処理モジュール180を具えている。
【0053】
このシステムは、プロセッサユニット160の一部であるセット選択モジュール190又は別の制御ユニットを用いて、放射回収セッションで使用する空間フィルタリングパターンのセット(例えば、シーケンス)を表すデータを決めるように構成することができる。セット選択モジュール190は、以下に説明するように、開口アレイのセットを選択して決めるように構成されている。代替的に、開口アレイセットと対応する回収時間ピリオドに関するこのようなデータは、システムへの入力データとしてあらかじめ決定して提供するようにしてもよい。
【0054】
プロセッサユニットは、また、対物面のそれぞれ異なる位置から上述した開口アレイセットを介しての放射回収に対応する、いわゆる深さ解像トータル有効透過関数を決定するように構成した、深さ解像前プロセッサ195を具えていてもよい。これについては、以下により詳細に述べる。
【0055】
図3、
図4A−4C、及び
図5を参照すると、開口アレイによっておのおのが形成された3つのフィルタリングパターンを提供する3つのマスクアッセンブリ構造を例示している。
【0056】
図3は、3つの(通常2又はそれ以上)領域10a、10b、及び10cの単一回転マスク120で形成したマスクアッセンブリを示す。これらの領域は、それぞれ、異なる開口アレイ、すなわち、回収している放射用の異なる空間フィルタリングパターンを提供する異なる開口の配置を具える。マスクは、選択的に回転軸12を中心に回転可能であり、領域10a、10b、及び10cの一つを放射回収経路に選択的に配置する。領域の数と、その中の開口の配置(開口のサイズと相対的な調整を含む)は、上述した所望のトータル有効透過関数を提供するように選択される。
【0057】
図4A−4Cは、フィルタリングマスクアッセンブリ120を示す図であり、このアッセンブリは、通常符号5の位置に複数の離間した開口を規定している。この例では、マスクアッセンブリは、
図4Bに示すように二枚のプレートP1及びP2で形成され、少なくとも一枚のプレートが軸RAを中心に互いに対して回転可能である、シングルマスクを規定している。各プレートには、複数の開口が形成されている。プレートの相対的回転により、プレートの各方向が放射回収用の異なる活性開口アレイ(空間フィルタリングパターン)を作る。この非限定的な例では、プレートの一方、例えばプレートP2が,所望の選択した開口アレイセットを作るのに必要なすべての開口を含むように構成されているが、他方のプレートP1は、同じ開口配置を有するが、同じプレート内の少なくとももう一つのアレイに比べて、少なくとも一方のアレイが異なる角度方向を有するように構成されている。より詳細には、マスクアッセンブリが、二枚のプレートP1及びP2が角度方向φ=0で整列している場合に、プレートP1の開口アレイ10aに対して開口5が、プレートP2の対応する開口と重なっており、したがって、この開口を通って放射が透過するように構成されている(
図4A)。二枚のプレートの内の少なくとも一方が、他方のプレートに対して回転するため、プレート間の角度方向が異なり、開口間に異なる重なりができて、異なる活性開口セットを提供する。
図4Bと4Cは、プレート間の角度方向をそれぞれ30°と60°としたアレイを例示しており、異なる活性開口アレイ10bと10bができている。
【0058】
図5は、マスクアッセンブリ120の別の構成を例示している。ここでは、マスクアッセンブリは、複数の開口のあるマスクと、このマスクに整列し、マスク近傍に配置したスペクトルフィルタを具えている。スペクトルフィルタは、異なる放射回収セッションで、異なるスペクトル透過(ここでは、単純にするために原色R,G,Bが示されている)を有するように操作可能である。スペクトル透過は開口全体が一またはそれ以上のスペクトル帯域を透過させるようになっている。開口の数とその配置(開口のサイズ、相対位置、及びスペクトルフィルタのスペクトル透過の制御されたバリエーションによる開口に関連するスペクトル帯域群を含む)は、上述した通り所望のトータル有効透過関数を提供するように選択される。
【0059】
図6A乃至6Fを参照すると、本発明の異なる実施例の原理が示されている。この例では、開口アレイセットが、開口が光軸に沿って離間して、すなわち、放射回収面の異なる面に位置するように配置されている。換言すると、開口は、いわゆる主回収面U1を含むあらかじめ決められた放射回収面と、主回収面に比べて画像面により近くにあるいはより遠くに位置する少なくとも一つの別の面を規定するように位置している。この例では、3つのこのような回収面が示されている。この構成では、より近い面U2の開口による放射回収のローカル有効透過関数と、より遠い面U3の開口が、それぞれ、主回収面U1の開口の開口に対して空間ドメイン中で伸びたり縮んだりしている。この伸びる/縮む要因は、演繹的に知られている。次いで、回収面U2及びU3の開口による放射回収に対応する画像データピースを、演繹的に知られている伸びる/縮む要因を各ローカル有効透過関数に適用することによって処理して、回収面U1、U2、U3についての結果を足し合わせ、トータル有効透過関数を得る。上述したように、開口の数と配置は、上述した所望のトータル有効透過関数を提供するように選択される。
【0060】
以下は、本発明の上述した撮像技術の動作原理についての記載である。
【0061】
この目的で、N個のピンホールを有する開口アレイを通って回収された入力放射によって検出器140に形成された単一画像ピースは:
ここで、d
n(x)、d
m(y)は、アレイの中心に対するアレイの中のピンホールの一の座標(x、y)であり、S(x,y)は、単一ピンホールで生成した画像であり、S
array(x,y)は、このアレイを通る放射回収によって生成した画像である。一般的に、プロセッサユニット160と画像処理モジュール180は、空間周波数ドメイン内の画像データピースを使用する。このため、画像処理モジュール180は、回収した画像データピースの2次元フーリエ変換(典型的には、分散フーリエ変換)を決定するよう構成されている:
【0062】
このフーリエ変換した画像データピースは、単一ピンホール画像の生成物として表すことができ、アレイ構造は:
ここで、S(u,v)は、単一ピンホールによって生成した画像のフーリエ円環であり、Fは,複数のN個のピンホールを有するピンホールアレイの有効透過関数を規定している:
【0063】
なお、単一アレイのピンホールを通る放射透過は、一般的に、アレイの異なるピンホールを通る放射成分間に干渉を引き起こす。したがって、単一ピンホールより多い、単一ピンホールアレイの有効透過関数F(u,v)は、典型的には所定の空間周波数に対してゼロ透過である。空間周波数の感度の低減を防止するため、本発明の技術は、所定数の2またはそれ以上の開口アレイを使用している。
【0064】
一般的に、フィルタリング制御モジュール165は、第1の開口アレイを選択し、画像取得モジュール170は、露出時間t
1内の放射回収に対応する画像データピースを生成し、第2開口アレイは、露出時間t
2内の同じ対象領域からの放射回収に使用される。追加の開口アレイを使用している場合についても同様である。複数のL個のアレイについては、各々を露出時間t
1間使用し、結果としてのフーリエ変換した画像データは:
である。
【0065】
これに関して、画像データピースの足し合わせが、全露出時間入力放射を回収している検出器140によって行われ(すなわち、すべての開口アレイを通る回収の間入力放射に露出される)、「組み合わせた」露出の読み出しを提供するか、検出器140によって提供される画像データピースの和を決定する画像処理モジュール180によって行われる。
【0066】
全開口アレイの個々の有効透過関数の和は、対応する露出時間とともに、トータル有効透過関数を(TETF)を提供する。
【0067】
このように、本発明によれば、開口アレイセットが、トータル有効透過関数G(u,v)が空間周波数に対する非空透過を所定の限界まで提供するように選択される。このような所定の限界は、対応する直径の単一ピンホールを用いた放射回収によって得られる最大解像度によって決まる。より詳細には、開口アレイ/マスクと対応する露出時間が、
を提供するように選択される。
【0068】
したがって、トータル有効透過関数は、撮像システム100で用いる開口アレイと、対応する露出時間によって決まる。
【0069】
このように、画像処理モジュール180は、
によって、対象領域を表す回復画像データを決定できる。
【0070】
空間座標システムにおける画像データを決定するために、画像処理モジュールは逆フーリエ変換を決定することができる。なお、G(u、v)
−1は、適宜のアルゴリズムによって決まる。一般的に、リニアマトリックスを画像の再構築に用いることができる。この結果、ウイナーデコンボリューションアルゴリズムを用いて、G(u,v)
−1を決めることもできる。
【0071】
一般的には、画像データピースの強度マップの和が決定され、次いで、トータル有効透過関数によって生じる歪効果を逆にして、回復画像データを生成する。
【0072】
ウイナーデコンボリューションは、コンボリューションベースの問題に加わる信号の是正に使用される。一般的に、システムにy(r)=h(r)*x(r)+n(r)が与えられ、ここで*はコンボリューションオペレータ、x(r)は入力信号(通常、対象領域の画像データ)、h(r)はシステムのインパルス応答、n(r)は、ノイズなどの未知の信号、y(r)は観察した/測定した信号である。なお、空間ドメインに関連する本発明の技術として、ここではウイナーアルゴリズムは、rで規定される空間座標を用いて記載されている。
【0073】
ウイナーデコンボリューションは、通常、オペレータg
−1(r)を認識するのに使用して、
が平均平方誤差を最小にするx(r)の推定になるように、推定
を提供する。この周波数ドメインでは、ウイナーデコンボリューションアルゴリズムが:
を提供する。ここで、G
−1とHは、周波数ドメインf(空間周波数)におけるg
−1とhのフーリエ変換であり、S(f)はx(r)の平均パワースペクトル密度であり、N(f)は、ノイズn(r)の平均パワースペクトル密度である。これに関連して、ここで述べているように、式11のG
−1は、本願技術による逆有効透過関数を意味し、したがって、ウイナーアルゴリズムの一般的な用語とは異なり、ここでは添字(−1)が使用されている。
【0074】
また、上述したように、開口アレイセットは所望の解像度制限内の空間周波数についてトータル有効透過関数が非空である条件を満たすように選択される。様々なデコンボリューションアルゴリズムから知られているように、有効透過関数のゼロの(あるいはゼロに近い)値は、回復画像データにおいてノイズを増幅させ、信号対ノイズ比を低くする。
【0075】
図7を参照すると、撮像システム100で使用する開口アレイセットの選択方法が例示されている。まず、システムの所望のパラメータを決定する必要がある。結果としての画像解像度が、マスクから検出器Fまでの距離、対象物からマスクZまでの距離、及び、式2を参照して上述したように使用した放射波長とともに、開口径に応じて決定される(ステップ1010)。いくつかの構成では、最小開口径は、所望の解像度を規定するように選択され、一またはそれ以上の追加の、より大きい径を選択して、画像輝度をさらに高めるたことができる。次の設計ステップ(1020)では、所望のエネルギィの伝達が決定される。エネルギィの伝達は、単一ピンホールシステムに対する、あるいは、標準光学撮像システムに対する改良ファクタとして決定できる。エネルギィ伝達は、放射強度改良(RII)ファクタとして表すことができ、これは、アレイにおける開口数と使用する開口数を決定するのに使用される。最大RIIは、比率:
によって、同じ蓄積時間に決定される。ここで、Nは、使用した開口総数、Lはアレイの数、R
1はアレイの中の開口半径、R
singleは、比較に使用する対応する単一ピンホールシステムの半径である。エネルギィ伝達は、検出器の感度と適宜に蓄積した露出時間に応じて決定される。
【0076】
この段階で、開口アレイの数と各アレイにおける開口の配置に関する一般的決定がなされる(1030)。例えば、2の所望のRIIについて、軸に沿って二つの開口を各々が有する二つの開口アレイを使用することができる。一般的に、開口アレイの数は、できるだけ少ないが、式9の所望の条件を提供するように選択される。さらに、各アレイにおける開口の配置は、一次元、すなわち、軸に沿って開口を配置してもよく、二次元であってもよい。
【0077】
ステップ1040では、第1アレイの開口の配置が決められる。なお、アレイを選択する順番は、撮像セッションにおいては重要ではない。一般的に、第1アレイの開口の配置は、任意に決めることができるが、一般的には、放射回収面の中心に一の開口が単純に配置され、選択した軸に沿ってそこから所定の距離に一の開口が配置されることが好ましい。二次元配置の一般化は、第2の軸に沿った一次元配置及び/又はこのような一次元配置の回転をコピーすることによって行われる。
【0078】
第1の開口が選択されると、対応する有効透過関数が決定され、「問題のある」空間周波数がマークされる(1050)。上述したように、有効透過関数は式6によって決定され、マークした「問題のある」空間周波数は、F
(l)(u
1,v
1)=0を満足しているか、あるいは所定のスレッシュホールドの下(例えば、0.1以下)である。なお、このような空間周波数は、開口径によって規定される解像度制限内でのみマークされる。
【0079】
この段階で、追加の開口アレイを決定し(1060)、開口の数と径が、所望の解像度とエネルギィ伝達に応じて選択される一方、開口の配置が決められて、前のアレイについてマークして空間周波数の対応する有効透過関数の有限値を提供する(1070)。このプロセスは、2、3、あるいはそれ以上の開口アレイについて、適宜の開口アレイセットが選択されるまで行われる(1080)。
【0080】
なお、開口アレイセットは、撮像システムの設計と組み立て用にあらかじめ選択することができる。代替的に、撮像システム100のプロセッサユニット160が、所望の解像度とエネルギィ伝達に関する入力パラメータに応じて適宜の開口アレイセットを決定するように構成したセット選択ユニット(
図2の190)を具えていてもよい。一般的に、前者の方法は、放射ブロックマスクに開けたピンホールの使用に適しており、後者は、電子的に制御されて変化するパターン化マスク120の使用により適している。
【0081】
さらに、適宜の開口アレイセットの選択は、様々な空間周波数についての開口アレイの透過を最適化するように構成される。このため、選択プロセスは、推定したトータル有効透過関数を決定するステップを具えており、すべてに開口アレイについて同じ露出時間を仮定する。推定した有効透過関数は、次いで、ピンホール透過関数(PTF)と比較される。一般的に、開口アレイセットは、解像度制限を用いて空間周波数の透過を最適化するように選択され、これによって、対象領域の撮像を最適化する。このため、開口アレイ、並びに対応する露出時間は、所望の解像度制限内における少なくともいくつかの空間周波数、すなわち、トータル有効透過関数がPTFの伝達より大きい伝達を提供するように選択される。
【0082】
上述した技術は、三次元画像データの取得にも使用できる。特に、この技術によれば、対象領域から画像データピースを得て、取得した画像データピースから深さ情報を決定することができる。
図8を参照すると、画像システム100から異なる距離に位置する対象物を撮像して、深さ情報を決定する方法が記載されている。図に示すように、撮像システム100又はその装置のパターン化したマスク120から異なる距離に位置する対象物は、検出器上に異なる画像を生成する。これは、各開口アレイの複数の開口によるものである。一般的に、対象物をパターン化したマスク間の距離Zが、撮像に使用する2またはそれ以上の開口アレイの開口間の距離のオーダである場合、2またはそれ以上の離間したピンホールを通って撮像した画像は、画像データピースのような立体を提供する。特に、
図8に示すように、撮像システムからそれぞれ距離Z
1およびZ
2に位置する対象物2a及び2bは、実際、異なる角度方向において異なる開口を見ている。したがって、対象物2aを伝達し、最も上のピンホール5bを通る放射は、検出器140に届いて画像8a
1を生成する。これは、一方では、対象物2bから伝達して同じピンホール5bを通る放射が、検出器140上の若干異なる位置に画像8a
2を生成する。この効果は、上述の式1にしたがって異なる対象物について倍率Mを変えた結果と考えることができる。
【0083】
このため、撮像システム100のプロセッサユニット160は、対象領域内の対象物の期待した距離、並びに所望の深さ解像度に関する所定の情報を用いて、異なる距離に応じて異なる有効透過関数を決定する。このような三次元情報は、通常、上述した近距離撮像においてより有効であるが、深さ情報は、遠距離においても本発明のシステムによって取得した画像データピースに基づいて決定することができる。
【0084】
プロセッサユニット160は、したがって、画像データピースから抽出すべき所望の深さ解像にしたがって、有効透過関数の変数を決定するように構成した深さ解像プレプロセッサ195を具えていてもよい。しかしながら、撮像システムの深さ解像に対応する有効透過関数は、あらかじめ構成して、システムに提供する、例えば、対応するストレージユニットに保存するようにしてもよい。
【0085】
一般的に、深さ情報を提供するには、有効透過関数をパターン化したマスク120に対する対象物の様々な位置について決定することができる。開口アレイの開口の実際の位置は、d
n−actualと記載されており、式1に規定されているあらかじめ選択した倍率ファクタM=0(すなわち、無限大の基準対物面)について規定されており、マスクから異なる距離Zに位置して、倍率M=M
1を有する対象物については、アレイ内の開口の有効位置が、
として見られる。
【0086】
したがって、新しい有効深さ透過関数、F
(l)Z(u,v)を各アレイにと各距離Zについて、規定することができ、また、新しいトータル有効深さ透過関数がG’
Z(u,v)も規定できる。
【0087】
画像データピースを検出器140上に回収したのち、画像処理モジュール180は、深さ解像プレプロセッサ195によって提供される深さ解像有効透過関数を用いて、複数の回復画像データセットを決定できる。これは、各々が、対象物距離についての対応する有効透過関数G’
Z(u,v)に関連して、対象物距離Zを表している。このように、画像処理モジュールは、以下の通り、複数の回復画像データを生成する。
【0088】
なお、対応する有効深さ透過関数、G’
Z(u,v)によって取得したZ面の数が、深さ解像度を決定する。さらに、最大の可能な深さ解像度は、三角測量法により、及び検出器ユニット140の幾何学的解像度に応じて決まる。この点に関して、マスクから対象物の距離の変化は、少なくとも一の開口アレイの少なくとも一の開口を通る放射透過によって生成された画像が、基準対物面の距離に対して少なくとも一画素分シフトした場合に検出できる。この条件は、
を提供する。
【0089】
特に、様々な(この場合最大)深さ位置からみられる開口の相対位置の変化は、検出器の画素間の離間より大きい。さらに、深さ位置間を差別化するのに同様の条件が提供される。
【0090】
なお、深さ情報の場合は、画像処理ユニット180は、各Z−面についての画像データを再構築するように構成されている。各再構築したデータについては、対応するZ−面に位置する対象物のみが、正確に再構築され、合焦画像データを提供する。その他のZ−面に位置する対象物は、「焦点外」の画像データと同様のぼやけた再構築画像データを提供するであろう。
【0091】
以下に、撮像における本発明の技術とシステムの使用を例示する。
【0092】
例1:
図9A−9Kは、3つの開口アレイと、対応する有効透過関数及び試験対象物の画像を示す。
図9A−9Cは、直径170μmのピンホールを有する3つの開口アレイの開口構造を示す。
図6Dは、これらの開口の位置と番号を示す。開口アレイセットは、同じ直径の単一ピンホールに比べて5.66倍明るい撮像を提供する。
図9A−9Cに示す3つのアレイ中の開口の配置は、表1に示されており、この表は、検出器の画素サイズとシステム内の距離(すなわち、UとZ)に応じて決定した相対ユニットのものである。
【0093】
図に示すように、開口1、5および9はマスクの中央に位置しており、残りの開口は周りに配置されて、非空有効透過関数を提供する。
図9E及び9Fは、各開口アレイについての有効透過関数と選択された露出時間加重に基づいたトータル有効透過関数の絶対値を示す。
図9E及び9Fに示すように、グラフラインG
0は、マスクの中央に位置しており、同じ寸法の単一ピンホール透過関数である。グラフF
1、F
2、及びF
3は、
図9A−9Cの各開口アレイの有効透過関数である。これらの図からみられるように、単一ピンホールの有効透過関数は、主ローブが解像限界を規定しているsinc(f)関数の形である。
図9Aの開口アレイは、いくつかのゼロ点を有するが、
図9及び9Cは、異なる空間周波数でゼロ値を有するように設計されており、解像限界内での空間解像度について、非空値を伴うトータル有効透過関数G
totalを提供している。なお、ここに示す開口アレイは、実際には、一次元アレイのレプリカとして構成されており、したがって、有効透過関数は、完全に一次元グラフに記載することができる。
【0094】
図9G乃至9Kは、上述した技術の有効性を示す試験結果を示す図である。
図9Gは、直径170μmの単一ピンホールを通る可視光で撮像した試験対象物の画像である。
図9Hは、直径250μmのピンホールを通る同じ対象物の画像である。
図9Iは、直径350μmのピンホールを通る対象物の画像である。
図9Jは、連続露出の後、
図9A−9Cの3つの開口アレイを通り、後処理なしで生成した生画像データである。
図9Kは、後処理後の再構築した画像を示す。
【0095】
図に示すように、ピンホール径が大きくなると、画像の輝度も大きくなるが、解像度は落ちる。これは、上述の技術によって生成した再構築画像は、解像度が低下することなくより高い画像輝度を提供できるが、より大きな信号対ノイズ比を提供する。
【0096】
例2:
図10A−10Eは、
図9A−9Cに例示した構造の一次元及び二次元開口アレイを用いたシミュレーション結果の画像データを示す。一次元開口アレイは、
図9に例示した開口1、2;5、6;および14、9、10を具える開口位置で構成されており、2.33の画像輝度の増加を提供している。
図10Aは、同じ直径の単一ピンホールを通って撮像した画像を示す。
図10Bは、直径が150%大きいピンホールを通って撮像した画像を示す。
図10Cは、一次元開口アレイを用いて上述した技術にしたがって撮像した再構築画像を示す。
図10D及び10Eは、二次元開口アレイを用いて、マルチ開口技術にしたがって撮像した生画像データと再構築画像をそれぞれ示す。
【0097】
図に示すように、開口径が大きくなると、解像度を犠牲にして画像輝度が高くなる。これに対して、本発明による再構築画像は、解像度を低下させることなく輝度を高める。さらに、この技術によって、より小さな開口を使用することができ、これによって、同じ又はより大きな画像輝度に対する解像度を上げることができる。
【0098】
例3:
図11A−11Jは、本発明の技術を用いたガンマ撮像のシミュレーションを示す。
図11Aは、アレイ1−3の構造と対抗する開口寸法を示す。
図11B−11Gは、アレイと対応する有効透過関数を示すグラフである。
図11Hは、単一ピンホールの透過、並びに、アレイの個別及びトータル有効透過関数を示す。
図11I−11Jは、ガリウム67の放射を使用して、骨髄炎の断面スライス(ネガティブカラー)の骨スキャンをエミュレートした、単一ピンホール(
図11I)を用いて撮像したシミュレーション画像と、
図11Aに示すピンホールアレイで本発明の技術を用いた再構築画像(
図11J)を示す。
図11I、11Jともに、特徴部分を拡大して示しており、図に示すように、再構築画像はより高い解像度と信号対ノイズ比を提供しており、したがって、単一ピンホールによって生成した画像で解像できない特徴(矢印で示す)についての情報を提供している。
【0099】
開口アレイは、同じ径の単一ピンホールシステムに対して、輝度が2.33高くなっている。図に示すように、開口アレイは、単一ピンホール寸法の解像度限界内での空間周波数について、トータル有効透過関数(
図11HのG
total)が非空となるように選択されている。以下の表2は、信号とノイズの測定結果を示す。
【0100】
表2に示すように、本発明の技術によって提供される信号対ノイズ比(SNR)は、単一ピンホールシステムに対して優位に高い。この改良は、
より大きく、同じ露出時間内では
より高いが、同じ解像限界を提供している。
【0101】
例4:
図12A−12Cは、表面に異なる密度で複数のリード線を有する、解像度試験対象物のガンマ撮像の実験結果を示す。
図12Aは、直径4.45mmの単一ピンホールを通した試験対象物の画像を示す。
図12Bは、直径2mmの単一ピンホールを用いた試験対象物の画像を示す。
図12Cは、直径2mmのピンホールを用いて、
図12Aに示す開口アレイセットで本発明の技術を用いた試験対象物の再構築画像を示す。
【0102】
図に示すように、
図12Aの画像は、比較的明るいが、対象物の二つの領域の明確なライン間を区別するのに十分な解像度を提供していない。
図12Bのより小さなピンホールの使用により解像度は上がるが、画像輝度が制限されており、領域の一方について、画像の輝度がこの明確なラインを認識するには十分でない。これに対して、本発明の使用によれば、解像度が高くなるとともに、
図12Cにみられるように、試験対象物のすべての領域における明確なラインを認識するのに十分な輝度を提供している。
【0103】
例5:
図13A−13Fは、
図11Aに示す開口アレイを用いて上述した技術に基づいた実験的な深さ解像撮像を示す。
図13Aは、パワーが異なる4つの放射源を有するケースを示しており、これらの放射源は、このケースの前面から異なる距離に配置されている。近い源と遠い源間の距離は60mmである。
図12Bは、撮像スキームとこのケースの源の位置の側面を示しており、これらの源の異なる位置を示している。
図12Cは、直径2mmの単一ピンホールを通して撮像して生成した対象物の画像を示す。この画像においては、4つの放射源すべてを制限された解像度と輝度で見ることができる。さらに、この画像は、マスクに対する源の距離に関するデータを提供していない。これは、ピンホールベースでの撮像の焦点深度が高い(実際には無限大)ことによる。
図13Dは、
図11Aに示す3つの開口アレイを通して放射を回収した生画像を示す。この画像は、ぼやけており、意味のある情報を提供するには再構築する必要がある。このような情報は、
図13E及び13Fに提供されており、これらの図は、距離Z
max及びZ
minのそれぞれについての画像再構築結果を示している。この距離は、画像であり、所望の深さ解像である対象物の既存の厚さに関する知識にしたがって規定される。図に示すように、各回復画像において、はっきりマークされた二つの源と、その他の位置にある源からの入力放射からの複数ポイントがある
【0104】
この技術は、異なる位置から複数の画像を集める必要なく、腫瘍の位置決め用のX線あるいはガンマ線撮像、あるいは、その他の放射線源の使用を可能にする。また、一般的に、放射回収時間を低減し、したがって、より早く減衰する放射線源の使用が可能となり、患者へのダメージが低減する。
【0105】
例6:
図14A−14C並びに
図15A−15Dは、本発明の技術を使用するのに適した代替の開口アレイ配置を示す。上述したように、開口アレイにおける開口の配置は、所望の解像度限界内ですべての空間周波数において非空透過を提供するように選択される。
【0106】
図14A及び14Bは、二つの開口アレイセットを示しており、各々が所定の配置において25の開口を有する。これらは互いに、対応する直径の単一ピンホールの解像度内で、並びにこの解像度を超えて、すべての空間周波数における有限透過を伴う有効透過関数を提供している。トータル有効透過関数の絶対値は
図14Cに示す。このグラフは、同じ直径の単一ピンホールの透過G
0に対するトータル有効透過関数G
totalを示す。このような開口アレイセットは、25のRIIを提供し、したがって、単一ピンホールを通る撮像に対して撮像輝度が25倍になる。代替的に、この技術を用いて、同じ輝度で露出時間を短くすることができる。
【0107】
さらに、
図15A−15Dは、ピンホール径が異なる開口アレイの使用を例示している。
図15Aは、同じ配置の3セットの開口アレイを示す。セットIは、
図9A−9D及び表1で述べた開口配置と同様である。セットIIは、追加の開口で構成されており、セットIIIは、異なる径の開口を提供して輝度をより高くしている。
図15B−15Dは、単一ピンホールの透過に対するそれぞれのトータル有効透過関数を示す。特に、
図15Bは、セットIのトータル有効透過関数を示し、
図15Cは、セットIIのトータル有効透過関数を示し、
図15Dは、セットIIIのトータル有効透過関数を示す。図に示すように、追加の開口を使用することで、より多くの空間周波数について、単一ピンホールの透過に比べてモジュール内でトータル有効透過関数をより大きくしている。このように、輝度とコントラストの両方に関してより高い撮像効率を提供する一方で、解像度及び/又は露出時間を必要とせず、ロスしない。
【0108】
このように、本発明は、2またはそれ以上の開口アレイを通して対象領域を撮像し、取得した画像データを再構築して、対象領域の再構築画像を提供する技術とシステムを提供している。この技術は、限定するものではないが、赤外線放射、可視光放射、紫外線放射、X線放射、ガンマ線放射、あるいはブロック材料を使用できるあらゆるその他の波長を含めて、どのような波長の電磁放射でも使用することができる。また、この技術を用いて、撮像システム又は対象物を移動させる必要なく画像データに基づいて深度情報を提供することができる。