特許第6605510号(P6605510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605510
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】イオン移動度分光計用シャッタ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   G01N27/62 101
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-574008(P2016-574008)
(86)(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公表番号】特表2017-519991(P2017-519991A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】NL2015050427
(87)【国際公開番号】WO2015194943
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年4月24日
(31)【優先権主張番号】2013000
(32)【優先日】2014年6月16日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】516376673
【氏名又は名称】アイ オン エアー ビー ヴィー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】セルゲーイ ヴァシイエヴィシ ミトコ
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−174619(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0084155(US,A1)
【文献】 特開昭47−020272(JP,A)
【文献】 特開平05−242858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60−70、92
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面内に互いに離間して配置された複数の第1の電極要素を有する第1の電極表面と、
前記第1の電極表面に平行に且つ前記第1の電極表面から離間して配置される第2の電極表面であって、第2の平面内に互いに離間して配置された複数の第2の電極要素を有する第2の電極表面と
3の平面内に互いに離間して配置された複数の第3の電極要素を有する第3の電極表面であって、前記第1の電極表面と平行に且つ前記第1の電極表面から離間して配置され、かつ、前記第1の電極表面の、前記第2の電極表面とは反対側に配置された第3の電極表面と、
シャッタを開閉するために、3つの前記電極表面の間の電位差を設定するように構成された回路と、
を備えるイオン移動度分光計用シャッタであり、
前記回路は、前記第1の電極表面の電位を、前記第2の電極表面及び前記第3の電極表面の電位よりも低く設定して、前記シャッタを閉じるように構成され、前記第1の電極表面の前記電位を、前記第2の電極表面及び前記第3の電極表面の前記電位よりも高く設定して、イオンが一時的に前記シャッタを通過できるように構成されることを特徴とするシャッタ。
【請求項2】
前記回路は、前記シャッタが開いている場合及び前記シャッタが閉じている場合に、前記第2の電極表面及び前記第3の電極表面の前記電位を互いに等しく保つように動作する請求項1に記載のシャッタ。
【請求項3】
前記第1の電極要素、第2の電極要素、及び/又は第3の電極要素が細長いことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッタ。
【請求項4】
前記第1の電極要素、第2の電極要素、及び/又は第3の電極要素は、それぞれが配置された前記平面内で相互接続され、格子状電極を形成することを特徴とする請求項に記載のシャッタ。
【請求項5】
前記第1の電極要素間のピッチ間隔は、前記第2の電極要素間のピッチ間隔と等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシャッタ。
【請求項6】
前記第3の電極要素間のピッチ間隔は、前記第1の電極要素間のピッチ間隔の1/3〜1/10であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシャッタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のシャッタであり、
多数の開口部を備えた第1の板状キャリアと、
前記第1の板状キャリアの第1の側に配置され、前記第1の電極要素を形成する導電層と、
前記第1の板状キャリアの前記第1の側とは反対の第2の側に配置され、前記第2の電極要素を形成する導電層と、
多数の開口部を備え、前記第3の電極要素を形成する導電層が両面に設けられた第2の板状キャリアと、
前記第1の板状キャリアと前記第2の板状キャリアとの間に配置されるスペーサと
をさらに備えることを特徴とするシャッタ。
【請求項8】
イオン移動度分光計であり、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のシャッタと、
前記第2の電極表面に平行に且つ前記第2の電極表面から離間して配置され、前記イオンの到達を検出するコレクタプレートと
を備えることを特徴とするイオン移動度分光計。
【請求項9】
前記シャッタと前記コレクタプレートとの間に配置される第2のスペーサを備えることを特徴とする、請求項7に記載のシャッタを有する請求項8に記載のイオン移動度分光計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
第1の平面内に互いに離間して配置された複数の第1の電極要素を有する第1の電極表面と、
前記第1の電極表面に平行に且つ前記第1の電極表面から離間して配置される第2の電極表面であって、第2の平面内に互いに離間して配置された複数の第2の電極要素を有する第2の電極表面と、
前記第1の電極要素と前記第2の電極要素との間に電位差を印加する手段と
を備えるイオン移動度分光計用シャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるシャッタはTyndall-Powellシャッタとして知られている。
【0003】
イオン移動度分光法では、分析用の分子はイオン化された後、分光計の全体の電位差(general potential difference)によってシャッタまで搬送される。第1の電極要素と第2の電極要素との間に全体の電位差とは反対の電位差を印加することにより、イオンがシャッタを通過しないようにすることができる。この第1及び第2の電極要素間の電位差を反転させると、イオンがシャッタを通過してコレクタプレートの方向に進行することが可能となる。
【0004】
第1及び第2の電極要素間の電位差を暫く反転させておくと、イオンのショートバーストがいわゆるドリフト空間を通ってコレクタプレートの方向に放出され得る。
【0005】
このシャッタとコレクタプレートとの間のドリフト空間上に電界又はドリフト電位を印加すると、イオンはコレクタプレートの方向に変位する。ドリフト電位内の移動速度はイオン移動度と呼ばれるが、イオン移動度はイオンの種類によって異なるため、ある種類のイオンスウォーム(ion swarm)は他の種類のイオンスウォームよりも早くコレクタプレートに到達する。
【0006】
シャッタからコレクタプレートまでのイオンスウォームの移動時間はドリフト時間とも呼ばれるが、このドリフト時間に基づいて関与イオンの種類を決定し、したがって関与分子の種類を決定することが可能となる。
【0007】
しかしながら、既知のシャッタには、シャッタを暫く開放した後再び閉鎖したときに、比較的細長いイオンスウォームがコレクタプレートの方向に放出されるという欠点がある。異なるイオンのドリフト時間を測定するには、異なるイオンからなるイオンスウォームがそれぞれ固有のイオン移動度を有する結果、イオンスウォーム同士がドリフト空間の長さにわたって完全に引き離されるようにする必要がある。シャッタを通って放出されるイオンスウォームは細長いため、ドリフト空間には相当の長さが必要となる。この長さは通常少なくとも約4〜20cmである。
【0008】
このようにドリフト空間を長くとることには、空間全体で均一な電位差が得られるようにするために、当該空間を収容するハウジングを非常に特殊な設計要件に適合させなければならなくなる欠点もある。
【0009】
また、既知のシャッタには放出されるイオンスウォームが不規則な形状になる欠点もある。不規則な形状はアカエイ(stingray)にも似た形状となり得る。したがって、コレクタプレート上の特定のイオンスウォームの検出曲線も不規則な形状となり、そのため異なるイオンスウォーム間のドリフト時間差の識別がより困難となる。
【0010】
上述の欠点はいずれも既知のイオン移動度分光計のサイズ縮小を不可能にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は上述の欠点を低減又は解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第3の平面内に互いに離間して配置された複数の第3の電極要素を有する第3の電極表面をさらに備え、該第3の電極表面は、前記第1の電極表面と平行に且つ前記第1の電極表面から離間して配置され、かつ、前記第2の電極表面に対して前記第1の電極表面の反対側に配置されることを特徴とし、請求項プリアンブル部に記載のシャッタを備6える本発明によって、この目的は達成される。
【0013】
本シャッタをイオン移動度分光計に適用すると、イオン化された分子のイオンはまず第3の電極表面に到達することになる。イオンが第3の電極表面を通過すると、それらのイオンは第1及び第2の電極表面に到達する。第1及び第2の電極表面は、少なくともシャッタの閉位置ではTyndall-Powellシャッタの場合と同様に作用する。
【0014】
第1の電極表面と第2の電極表面との間の電位が反転されると、通常のTyndall-Powellシャッタの場合と同様に第3の電極表面の電位は同じに保たれ、第1の電極表面と第3の電極表面との間のイオンは第3の電極表面に引き寄せられ、第1の電極表面と第2の電極表面との間のイオンはドリフト空間の方向に推進される。なおも第3の電極表面の上流に位置するイオンは、第1の電極表面と第2の電極表面との間の電位の反転によりそれ以上移動することができなくなる。
【0015】
その結果、シャッタが長い時間開放されても、ドリフト空間に進むことができるのは第1の電極表面と第2の電極表面との間に位置するイオンだけとなる。これは、追加的なイオンの供給が第3の電極表面で阻止されるためである。
【0016】
第3の電極表面を配置することにより、シャッタの開放直後にイオンが供給されることがなくなるので、通過が許可されたイオンスウォームの長さを短く保つことができる。
【0017】
このようにイオンスウォームの長さを短く保つことができるので、異なるイオンスウォームがより迅速に引き離されるようになり、したがって、異なるイオンスウォームの検出精度を維持しながらコレクタプレートをシャッタにより近付けることが可能となる。
【0018】
また、本発明によるシャッタを経て放出されるイオンスウォームの形状はより均一となり、特にコレクタ表面に対してより直線的且つ平行になり、それにより、ある種類のイオンスウォームを検出する時間も短縮されることが明らかとなった。その結果、スウォームの識別をより簡単に行うことが可能となる。
【0019】
本発明によるシャッタの一実施形態において、第1の電極要素、第2の電極要素、及び/又は第3の電極要素は細長い電極要素である。これらは例えばパラレルワイヤ又は線状導電層であってもよい。
【0020】
本発明によるシャッタの別の実施形態において、第1の電極要素、第2の電極要素、及び/又は第3の電極要素は、それぞれの前記平面内で相互接続され、格子状電極を形成する。
【0021】
線状又は格子状電極を使用して均一な電界を形成することにより、本発明に係るシャッタの開閉時に長さの短いイオンスウォームを得ることが可能となる。
【0022】
本発明によるシャッタの好ましい一実施形態は、第2の電極要素と第3の電極要素の電位を等しく保つ手段を備える。
【0023】
第2の電極要素と第3の電極要素の電位を等しく保つことにより、第3の電極表面の上流の電界及びドリフト空間の電界に対する、本発明によるシャッタの開閉時の影響を最小限に抑えることが可能となる。このことはシャッタの開閉時に第1の電極表面の電位が変化しても保証される。
【0024】
本発明によるシャッタのまた別の実施形態において、第1の電極要素間のピッチ間隔は、第2の電極要素間のピッチ間隔と等しい。
【0025】
ピッチ間隔が同じに保たれるので、イオンの進行が電極によって妨げられることが少なくなり、イオンスウォームの形状均一化をより容易に実現することができる。
【0026】
ピッチ間隔は好ましくは1mm未満、好ましくは400μmであり、電極間の距離は500μm未満、好ましくは200μmである。
【0027】
本発明によるシャッタの好ましい一実施形態において、第3の電極要素間のピッチ間隔は、第1の電極要素間のピッチ間隔の1/3〜1/10である。
【0028】
第1の電極要素間のピッチ間隔を200μmとすると、第3の電極要素間のピッチ間隔は66μm〜20μmとなる。
【0029】
本発明によるシャッタの他の実施形態は、
多数の開口部を備える第1の板状キャリアと、
前記板状キャリアの第1の側に配置され、前記第1の電極要素を形成する導電層と、
前記第1の側とは反対の第2の側に配置され、前記第2の電極要素を形成する導電層と、
多数の開口部を備え、前記第3の電極要素を形成する導電層が両面に設けられた第2の板状キャリアと、
前記第1の板状キャリアと前記第2の板状キャリアとの間に配置されるスペーサと
をさらに備える。
【0030】
電極を導電層として板状キャリア上、例えばガラス層上に配置することにより高い寸法精度を容易に得ることができる。このことは均一な電場に寄与し、したがって均一なイオンスウォームの形成に寄与する。
【0031】
また、本実施形態によれば本発明のシャッタを容易に製造することができる。開口部及び導電層を両側に配置した板状キャリアの製造は実証された技術である。また、例えば板状材料からなるスペーサを併用すれば、上部に電極表面を有する板状キャリアを、正しい間隔で互いに平行に容易に配置することができる。
【0032】
本発明はさらにイオン移動度分光計に関するものであり、該イオン移動度分光計は、
本発明によるシャッタと、
前記第2の電極表面に平行に且つ前記第2の電極表面から離間して配置され、イオンスウォームの到達を検出するコレクタプレートと
を備える。
【0033】
前記シャッタに前記各電極表面用の板状キャリアが形成された、本発明によるイオン移動度分光計の一実施形態は、前記シャッタと前記コレクタプレートとの間に配置される第2のスペーサをさらに備える。
【0034】
イオン移動度分光計のかかる一実施形態は、簡便且つコンパクトな製造が可能である。本発明によれば、多様な物質を高い精度で検出することができるコンパクトな装置を作成することが可能となる。本発明によるイオン移動度分光計の一応用例は、航空機の乗客の手荷物に含まれる不正物質、特に爆発物の検出である。
【0035】
本発明の上記及び他の特徴について添付図面を参照しながら以下詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】従来技術のシャッタの概略図である。
図1B】従来技術のシャッタの概略図である。
図2A】本発明によるシャッタの一実施形態の概略図である。
図2B】本発明によるシャッタの一実施形態の概略図である。
図3図2のシャッタの開放後、ある期間にわたるイオンスウォームを示す概略図である。
図4】本発明によるイオン移動度分光計の一実施形態の分解斜視図である。
図5図4の実施形態の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1A及び図1Bは、上述のTyndall-Powellの原理に従って動作する従来技術のシャッタを概略的に示す。この従来技術のシャッタ1は、互いに離間して配置された複数の細長い第1の電極要素3を有する第1の電極表面2を有する。第1の電極表面2から離間して第2の電極表面4が配置される。この第2の電極表面4も同様に互いに離間して配置された複数の細長い第2の電極要素5を有する。
【0038】
図1Aではシャッタ1が閉位置にあり、第1の電極要素3と第2の電極要素5との間にイオンの供給方向Iと反対方向の電位差が印加される。
【0039】
図1Bでは、第1の電極要素3と第2の電極要素5との間の電位差が反転され、これによって電位差の方向が方向Iと揃うため、イオンがシャッタ1を通過することが可能となる。既述のとおり、シャッタ1が開放され再び閉鎖された直後に、不規則なイオンスウォームが形成される。
【0040】
図2A及び図2Bは、本発明によるシャッタ10の一実施形態の概略図である。シャッタ10は、互いに平行に配置された第1の電極表面11、第2の電極表面12、及び第3の電極表面13を有する。
【0041】
第3の電極表面13の電極要素14は、第1の電極15及び第2の電極16よりもピッチ間隔が小さいことが好ましい。
【0042】
図2Aではシャッタ10が閉位置にあり、第1の電極表面11と第2の電極表面12との間の電位差の方向はイオンの供給方向Iと逆である。
【0043】
図2Bではシャッタが開位置に移動され、第1の電極表面11と第2の電極表面12との間の電位差が反転される。一方、本例では第3の電極表面13の電位は一定であるため、第1の電極表面11と第3の電極表面13との間の電位差の方向は供給方向Iと逆になっている。
【0044】
したがって、シャッタ10が開位置にあっても、イオンは供給方向Iからシャッタ10を自由に通過することはできない。引き続き前進可能なイオンは、第1の電極表面11と第2の電極表面12との間に存在していたイオンの一部のみである。
【0045】
図3は、シャッタ10の開放後、ある期間にわたるイオンスウォームを示す概略図である。
【0046】
0μsで、第1の電極表面11と第2の表面12との間の電位差が反転される。第1の電極表面11と第3の電極表面13との間の電位差の方向はイオンの供給方向Iとは逆になるので、イオンスウォームZの大部分は第3の電極表面13の方に後退する(10μs及び20μs参照)。
【0047】
イオンスウォームZの小部分Zsのみが第2の電極表面12によって方向Iに向かって跳ね飛ばされ、進行を続けることができる。
【0048】
こうして形成されるイオンスウォームZsの形状は均一であり、ほぼ線形となる。さらに、従来技術に比べてI方向の長さは大幅に制限される。
【0049】
シャッタ10は、そうすることが望ましければ基本的に開放状態に維持してもよい。図3の40μsで、第1の電極表面11と第2の電極表面12との間の電位差が再び反転されると、シャッタ10は0μsの状態に戻る。
【0050】
図4は、本発明によるイオン移動度分光計の一実施形態20の分解斜視図である。
【0051】
イオン移動度分光計は、第1の電極表面11、第2の電極表面12、及び第3の電極表面13を有する本発明によるシャッタを備える。
【0052】
第1及び第2の電極表面11、12は、開口部21を備える板状キャリア上の導電層として形成される。第3の電極表面13も、開口22を有する板状キャリア上に設けられる。
【0053】
開口部21を有する第1の板状キャリアと開口部22を有する第2板状キャリアとの間にはスペーサ23が設けられ、スペーサ23は、第1の電極表面11に電位を提供する接続部24も備えることができる。
【0054】
開口22を有する板状キャリア上には、第3の電極表面13に電位を提供するための金属電極25がさらに設けられる。
【0055】
第2の電極表面12の下には、ドリフト空間を形成する第2のスペーサ26が設けられる。このスペーサ26の下には、コレクタグリッドとも呼ばれる開口部29を有する別の板状キャリア27が設けられ、その下に設けられるコレクタ28は、イオンスウォームの到達を検出することができる。
【0056】
図5は、図示の実施形態20の電気回路図である。この電気回路図は、イオン移動度分光計20において適切な電位降下が得られるように、各種電極表面11、12、13とコレクタグリッド27とが互いに電気的に接続されていることを示す。
【0057】
コレクタ28は増幅器30に接続され、イオンスウォームの到達が検出できるようになっている。
【0058】
図5にはイオン供給方向Iの長さzに沿った電位変動Vが示されている。実線はシャッタ11、12、13の閉位置の電位変動V、破線はシャッタ11、12、13の開位置の電位変動を示す。
【0059】
破線のピーク31は、300V、より好ましくは600Vの振幅で、10μs、より好ましくは20μsの電圧パルスに対応することが好ましい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5