(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
グラム陰性菌及びその耐性菌に対して強力な抗菌活性を示すと同時に、ヒトの使用に適う優れた溶解度及び安全性プロファイルを有する新規の抗生剤を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
徹底した研究の結果として、本発明者らは、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩が、グラム陰性菌及びその耐性菌に対して強力な抗菌活性を示し、さらにまた優れた溶解度及び安全性も有するということを見出した。特に、本発明の化合物は、優れた抗菌活性を有するため、グラム陰性菌及びその耐性菌により引き起こされる細菌感染症の治療及び/又は予防に有用である。例えば、本発明の化合物は、複雑性尿路感染症(cUTI)、院内肺炎、腹腔内感染症(IAI)又は菌血症のような疾患の治療及び/又は予防に有用である。
【0014】
したがって、ある形態では、本発明は:
[1] 一般式(I):
【0015】
【化1】
【0016】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち隣接した2つが、ベンゾオキサボロール構造部分と一緒になって、下記式:
【0017】
【化2】
【0018】
で表される三環式構造を形成し、
その一方で、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち三環式構造の形成に関与しない残りの2つが、水素原子を示し、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nは、1又は2の整数を示す。]
で表される化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩に関する。
【0019】
本発明は、さらに、以下に関し得る:
【0020】
[2] 一般式(I)の化合物が、以下の構造を有する[1]に記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩。
【0021】
【化3】
【0022】
[3] 一般式(I)の化合物が、以下の構造を有する[1]に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【0023】
【化4】
【0024】
[4] 一般式(I)の化合物が、以下の構造を有する[1]又は[3]に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【0025】
【化5】
【0026】
[5] X
1及びX
2が、酸素原子を示し、nが、1又は2を示す[1]〜[4]の何れか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩。
【0027】
[6] X
1及びX
2のうち一方が、酸素を示し、他方が、メチレン基を示し、nが、1又は2を示す[1]〜[4]の何れか1つの記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩。
【0028】
[7] X
1及びX
2が、メチレン基を示し、nが、1又は2を示す[1]〜[4]の何れか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩。
【0029】
[8] 化合物が:
3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩、
3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−g][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール塩酸塩、
3−(アミノメチル)−3,6,7,8−テトラヒドロ−1H−インデノ[4,5−c][1,2]オキサボロール−1−オール塩酸塩、
3−(アミノメチル)−6,7,8,9−テトラヒドロナフト[1,2−c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩、
8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩、
(8S)−8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩、
9−(アミノメチル)−2,3−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[4,3−f][1,4]ベンゾジオキシン−7(9H)−オール塩酸塩、
3−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−f][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール塩酸塩、
3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩、
(3S)−3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩、
3−(アミノメチル)−5,6−ジヒドロフロ[3,2−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩、及び
3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロフロ[2,3−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩
からなる群から選ばれる[1]〜[7]の何れか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩。
【0030】
[9] 化合物が、
(8S)−8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩、又は
(3S)−3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩
である[3]又は[4]に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【0031】
[10] 活性成分として治療有効量の[1]〜[9]の何れか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【0032】
[11] 細菌感染症を治療又は予防するために投与する[10]に記載の医薬組成物。
【0033】
[12] 上記細菌感染症が、複雑性及び単純性尿路感染症、院内感染性肺炎、骨髄炎、梅毒、腹腔内感染症、院内肺炎、菌血症、産婦人科感染症、呼吸器感染症、慢性気管支炎の急性増悪、嚢胞性線維症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、カテーテル関連敗血症、クラミジア、市中感染性肺炎、心内膜炎、発熱性好中球減少症、髄膜炎、淋菌性子宮頸管炎、淋菌性尿道炎、膀胱炎及び腎盂腎炎から選ばれる1又は2以上である[11]に記載の医薬組成物。
【0034】
[13] 上記細菌感染症が、腹腔内感染症(IAI)、複雑性尿路感染症(cUTI)、院内肺炎又は菌血症から選ばれる[11]に記載の医薬組成物。
【0035】
[14] 上記細菌感染症が、グラム陰性菌又はその耐性菌により引き起こされるものである[11]に記載の医薬組成物。
【0036】
[15] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ヘモリチカス(Acinetobacter haemolyticus)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides theataioatamicron)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ブルガータス(Bacteroides vulgatus)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、鼻疽菌フソバクテリウム(Burkholderia mallei Fusobacterium)、プレボテラ・コルポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・エンドドンタリス(Prevotella endodontalis)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エドワージエラ・タルダ(Edwarsiella tarda)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、鼻硬腫菌(Klebsiella rhinoscleromatis)、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)、在郷軍人病菌(Legionella penumophila)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)、モルガン菌(Morganella morganii)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ミクソファシエンス(Proteus myxofaciens)、プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、霊菌(Serratia marcescens)、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、モニリフォルミス連鎖杆菌(Streptobacillus moniliformis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、エルシニア・エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・トラコマティス(Chlamydophila trachomatis)、発疹チフスリケッチア(Ricketsia prowazekii)、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetii)、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chafeensis)又はバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella hensenae)から選ばれる1又は2以上の細菌である[14]に記載の医薬組成物。本発明の好ましい実施形態では、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる。
【0037】
[16] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[14]に記載の医薬組成物。
【0038】
[17] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[14]に記載の医薬組成物。
【0039】
[18] 細菌感染症の治療に用いるための[1]〜[9]の何れか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩。
【0040】
[19] 上記細菌感染症が、複雑性及び単純性尿路感染症、院内感染性肺炎、骨髄炎、梅毒、腹腔内感染症、院内肺炎、菌血症、産婦人科感染症、呼吸器感染症、慢性気管支炎の急性増悪、嚢胞性線維症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、カテーテル関連敗血症、クラミジア、市中感染性肺炎、心内膜炎、発熱性好中球減少症、髄膜炎、淋菌性子宮頸管炎、淋菌性尿道炎、膀胱炎及び腎盂腎炎から選ばれる1又は2以上である[18]に記載の使用。
【0041】
[20] 上記細菌感染症が、腹腔内感染症(IAI)、複雑性尿路感染症(cUTI)、院内肺炎又は菌血症から選ばれる[18]に記載の使用。
【0042】
[21] 上記細菌感染症が、グラム陰性菌又はその耐性菌により引き起こされるものである[18]に記載の使用。
【0043】
[22] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ヘモリチカス(Acinetobacter haemolyticus)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides theataioatamicron)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、鼻疽菌フソバクテリウム(Burkholderia mallei Fusobacterium)、プレボテラ・コルポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・エンドドンタリス(Prevotella endodontalis)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エドワージエラ・タルダ(Edwarsiella tarda)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、鼻硬腫菌(Klebsiella rhinoscleromatis)、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)、在郷軍人病菌(Legionella penumophila)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)、モルガン菌(Morganella morganii)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ミクソファシエンス(Proteus myxofaciens)、プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、霊菌(Serratia marcescens)、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、モニリフォルミス連鎖杆菌(Streptobacillus moniliformis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、エルシニア・エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・トラコマティス(Chlamydophila trachomatis)、発疹チフスリケッチア(Ricketsia prowazekii)、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetii)、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chafeensis)又はバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella hensenae)から選ばれる1又は2以上の細菌である[21]に記載の使用。本発明の好ましい実施形態では、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる。
【0044】
[23] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[21]に記載の使用。
【0045】
[24] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[21]に記載の医薬組成物。
【0046】
[25] 治療有効量の[1]〜[9]の何れか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学上の塩を患者に投与することを含む、上記患者における細菌感染症の治療方法。
【0047】
[26] 細菌感染症が、複雑性及び単純性尿路感染症、院内感染性肺炎、骨髄炎、梅毒、腹腔内感染症、院内肺炎、菌血症、産婦人科感染症、呼吸器感染症、慢性気管支炎の急性増悪、嚢胞性線維症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、カテーテル関連敗血症、クラミジア、市中感染性肺炎、心内膜炎、発熱性好中球減少症、髄膜炎、淋菌性子宮頸管炎、淋菌性尿道炎、膀胱炎及び腎盂腎炎から選ばれる1又は2以上である[25]に記載の方法。
【0048】
[27] 細菌感染症が、腹腔内感染症(IAI)、複雑性尿路感染症(cUTI)、院内肺炎又は菌血症から選ばれる[25]に記載の方法。
【0049】
[28] 感染症が、グラム陰性菌又はその耐性菌により引き起こされるものである[25]に記載の方法。
【0050】
[29] グラム陰性菌又はその耐性菌が、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ヘモリチカス(Acinetobacter haemolyticus)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides theataioatamicron)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、鼻疽菌フソバクテリウム(Burkholderia mallei Fusobacterium)、プレボテラ・コルポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・エンドドンタリス(Prevotella endodontalis)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エドワージエラ・タルダ(Edwarsiella tarda)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、鼻硬腫菌(Klebsiella rhinoscleromatis)、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)、在郷軍人病菌(Legionella penumophila)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)、モルガン菌(Morganella morganii)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ミクソファシエンス(Proteus myxofaciens)、プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、霊菌(Serratia marcescens)、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、モニリフォルミス連鎖杆菌(Streptobacillus moniliformis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、エルシニア・エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・トラコマティス(Chlamydophila trachomatis)、発疹チフスリケッチア(Ricketsia prowazekii)、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetii)、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chafeensis)又はバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella hensenae)から選ばれる[28]の記載の方法。本発明の好ましい実施形態では、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる。
【0051】
[30] グラム陰性菌が、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[28]に記載の方法。
【0052】
[31] グラム陰性菌が、大腸菌(Escherichia coli)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[28]に記載の方法。
【0053】
[32] 式(I):
【0054】
【化6】
【0055】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち隣接した2つが、ベンゾオキサボロール構造部分と一緒になって、下記式:
【0056】
【化7】
【0057】
で表される三環式構造を形成し、
その一方で、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち三環式構造の形成に関与しない残りの2つは、水素原子を示し、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nは、1又は2の整数を示す。]
の構造を有するもの、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩である細菌感染症の治療に用いるためのロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0058】
[33] 式(I)の化合物が、以下の構造を有する[32]に記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0059】
【化8】
【0060】
[34] 式(I)の化合物が、以下の構造を有する[32]に記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0061】
【化9】
【0062】
[35] 式(I)の化合物が、以下の構造を有する[34]に記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0063】
【化10】
【0064】
[35] 感染症が、グラム陰性菌又はその耐性菌により引き起こされるものである[32]〜[34]の何れか1つに記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0065】
[36] 感染症が、複雑性及び単純性尿路感染症、院内感染性肺炎、骨髄炎、梅毒、腹腔内感染症、院内肺炎、菌血症、産婦人科感染症、呼吸器感染症、慢性気管支炎の急性増悪、嚢胞性線維症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、カテーテル関連敗血症、クラミジア、市中感染性肺炎、心内膜炎、発熱性好中球減少症、髄膜炎、淋菌性子宮頸管炎、淋菌性尿道炎、膀胱炎及び腎盂腎炎から選ばれる1又は2以上である[32]〜[34]の何れか1つに記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0066】
[37] 上記細菌感染症が、腹腔内感染症(IAI)、複雑性尿路感染症(cUTI)、院内肺炎又は菌血症から選ばれる[36]に記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0067】
[38] 上記細菌感染症が、グラム陰性菌又はその耐性菌により引き起こされるものである[32]〜[34]の何れか1つに記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0068】
[39] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ヘモリチカス(Acinetobacter haemolyticus)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides theataioatamicron)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、鼻疽菌フソバクテリウム(Burkholderia mallei Fusobacterium)、プレボテラ・コルポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・エンドドンタリス(Prevotella endodontalis)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エドワージエラ・タルダ(Edwarsiella tarda)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、鼻硬腫菌(Klebsiella rhinoscleromatis)、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)、在郷軍人病菌(Legionella penumophila)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)、モルガン菌(Morganella morganii)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ミクソファシエンス(Proteus myxofaciens)、プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、霊菌(Serratia marcescens)、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、モニリフォルミス連鎖杆菌(Streptobacillus moniliformis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、エルシニア・エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・トラコマティス(Chlamydophila trachomatis)、発疹チフスリケッチア(Ricketsia prowazekii)、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetii)、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chafeensis)又はバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella hensenae)から選ばれる1又は2以上の細菌である[38]に記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。本発明の好ましい実施形態では、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる。
【0069】
[40] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[39]に記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0070】
[41] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[39]に記載のロイシルtRNAシンテターゼ阻害剤。
【0071】
[42] 細菌感染症の治療剤の製造のための[1]〜[9]の何れか1つに記載の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩の使用。
【0072】
[43] 上記細菌感染症が、複雑性及び単純性尿路感染症、院内感染性肺炎、骨髄炎、梅毒、腹腔内感染症、院内肺炎、菌血症、産婦人科感染症、呼吸器感染症、慢性気管支炎の急性増悪、嚢胞性線維症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、カテーテル関連敗血症、クラミジア、市中感染性肺炎、心内膜炎、発熱性好中球減少症、髄膜炎、淋菌性子宮頸管炎、淋菌性尿道炎、膀胱炎及び腎盂腎炎から選ばれる1又は2以上である[42]に記載の使用。
【0073】
[44] 上記細菌感染症が、腹腔内感染症(IAI)、複雑性尿路感染症(cUTI)、院内肺炎又は菌血症から選ばれる[42]に記載の使用。
【0074】
[45] 上記細菌感染症が、グラム陰性菌又はその耐性菌により引き起こされるものである[42]に記載の使用。
【0075】
[46] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ヘモリチカス(Acinetobacter haemolyticus)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides theataioatamicron)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、鼻疽菌フソバクテリウム(Burkholderia mallei Fusobacterium)、プレボテラ・コルポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・エンドドンタリス(Prevotella endodontalis)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エドワージエラ・タルダ(Edwarsiella tarda)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、鼻硬腫菌(Klebsiella rhinoscleromatis)、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)、在郷軍人病菌(Legionella penumophila)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)、モルガン菌(Morganella morganii)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ミクソファシエンス(Proteus myxofaciens)、プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、霊菌(Serratia marcescens)、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、モニリフォルミス連鎖杆菌(Streptobacillus moniliformis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、エルシニア・エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・トラコマティス(Chlamydophila trachomatis)、発疹チフスリケッチア(Ricketsia prowazekii)、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetii)、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chafeensis)又はバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella hensenae)から選ばれる1又は2以上の細菌である[45]に記載の使用。本発明の好ましい実施形態では、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる。
【0076】
[47] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[45]に記載の使用。
【0077】
[48] 上記グラム陰性菌又はその耐性菌が、大腸菌(Escherichia coli)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる[45]に記載の医薬組成物。
【0078】
本発明の前述の形態及び実施形態、並びにその他の形態、目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及びその添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0079】
他に明確に示されない限り、本明細書で用いられる以下の定義が適用される。
【0080】
「一般式(I)の化合物」とは、反することが明記されていない限り、式(I)で表される任意の化合物及び全ての化合物、その実施形態並びにその全ての塩、立体異性体を含む亜属を言及し且つそれを含むと理解すべきである。また、単数形「a」、「an」及び「the」は、別段明記されていない限り、複数の言及を含むことにも留意すべきである。
【0081】
本発明のある形態では、一般式(I)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を提供する;
【0083】
[式中、記述子は、上記で示した意味を有する。]。
【0084】
本発明の化合物は、三環式構造を有することを特徴とする。この三環式構造は、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち隣接した2つと、ベンゾオキサボロール構造部分とによって形成される。この「隣接した2つ」とは、例えば、R
1及びR
2、R
2及びR
3、又はR
3及びR
4のような組み合わせである。三環式構造の形成に関与しない残りの2つは、水素原子を示す。例えば、R
1及びR
2が三環式構造の形成に選択された場合、R
3及びR
4は、水素原子を示す。本発明は以下の実施形態を含む:
【0086】
好ましい実施形態では、式(Ia)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を提供する;
【0088】
[式中、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nは、1又は2を示す。]。
【0089】
他の好ましい実施形態では、式(Ib)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を提供する;
【0091】
[式中、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nは、1又は2を示す。]。
【0092】
さらに他の好ましい実施形態では、式(Ic)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を提供する;
【0094】
[式中、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nは、1又は2を示す。]。
【0095】
本発明は、背景技術の項で指摘したように本発明を完成させるための様々な好ましい実施形態が第一の形態の範囲内に含まれることを意図する。例えば、好ましい実施形態では、X
1及びX
2の一方が、メチレン基を示し、他方が、酸素原子を示し、nが、1である。
【0096】
他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の一方が、メチレン基を示し、他方が酸素原子を示し、nが、2を示す。
【0097】
他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、酸素原子を示し、nが、1を示す。
【0098】
他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、酸素原子を示し、nが、2を示す。
【0099】
他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、メチレン基を示し、nが、1を示す。
【0100】
さらに他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、メチレン基を示し、nが、2を示す。
【0101】
本発明は、本発明の第一の形態に関連する以下の実施形態のうち1以上を含み得る。例えば、ある実施形態では、X
1及びX
2が、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nが、1又は2を示す式(Ia)の化合物、その立体異性体、その医薬上許容される塩を提供する。
【0102】
他の実施形態では、X
1及びX
2が、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nが、1又は2を示す式(Ib)の化合物、その立体異性体、その医薬上許容される塩を提供する。
【0103】
他の実施形態では、X
1及びX
2が、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子を示し、nが、1又は2を示す式(Ic)の化合物、その立体異性体、その医薬上許容される塩を提供する。
【0104】
好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、酸素原子を示し、nが、1又は2を示す式(Ia)の化合物、その立体異性体、その医薬上許容される塩を提供する。
【0105】
他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、酸素原子を示し、nが、1又は2を示す式(Ib)の化合物、その立体異性体、その医薬上許容される塩を提供する。
【0106】
他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、酸素原子を示し、nが、1又は2を示す式(Ic)の化合物、その立体異性体、その医薬上許容される塩を提供する。
【0107】
他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の一方が、酸素を示し、他方が、メチレン基を示し、nが、1又は2を示す式(Ia)又は(Ib)又は(Ic)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を提供する。
【0108】
さらに他の好ましい実施形態では、X
1及びX
2の両方が、メチレン基を示し、nが、1又は2を示す式(Ia)又は(Ib)又は(Ic)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を提供する。
【0109】
特定の本発明の実施形態によれば:
3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール、
3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−g][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール、
3−(アミノメチル)−3,6,7,8−テトラヒドロ−1H−インデノ[4,5−c][1,2]オキサボロール−1−オール、
3−(アミノメチル)−6,7,8,9−テトラヒドロナフト[1,2−c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オール、
8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール、
(8S)−8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール、
9−(アミノメチル)−2,3−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[4,3−f][1,4]ベンゾジオキシン−7(9H)−オール、
3−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−f][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール、
3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール、
(3S)−3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール、
3−(アミノメチル)−5,6−ジヒドロフロ[3,2−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール、
3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロフロ[2,3−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール、
又はその医薬上許容される塩、例えば、塩酸塩
から選ばれる特定の式(I)の化合物を提供する。
【0110】
本明細書に記載の本発明の化合物は、医薬上許容される塩の形態で単離してもよい。本明細書で用いられる用語「医薬上許容される塩」とは、製剤を含む他の成分と化学的及び/又は物理的に適合する塩、及び/又はその受容者と生理的に適合する塩をいうものであると理解すべきである。本発明の化合物は、アミノ基のような塩基性基を有する。したがって、それらの塩は、無機酸又は有機酸と反応させることにより調製することができる。無機酸塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩又はリン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸塩としては、酢酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、メシル酸塩又はマレイン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いられる用語「医薬上許容される」とは、欧州医薬品庁(EMEA)、米国食品医薬品局(FDA)又はその他の国家規制機関のような規制機関により承認された動物(好ましくはヒト)への投与に適した式(I)の化合物又はその医薬組成物をいう。
【0111】
一般式(I)の化合物又はその医薬上許容される塩としては、立体異性体(光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー)が挙げられる。これらの光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーのそれぞれが、本発明の一部であることを意図する。
【0112】
オキサボロール環の炭素原子は不斉炭素であり、当該炭素原子に基づいて以下のような立体異性体が存在する:
【0114】
より具体的に、以下の構造を有する異性体が、本発明の化合物として存在する:
【0116】
これらの中で、以下の配置の化合物が好ましい;
【0118】
特定の本発明の実施形態によれば:
(8S)−8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩、又は
(3S)−3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩、
又はその医薬上許容される塩、例えば、塩酸塩から選ばれる特定の立体異性の式(I)の化合物を提供する。
【0119】
次に、本発明の化合物の一般的な調製方法を検討する。
【0120】
一般的に、本発明の化合物は、以下の一般スキーム及び以下で説明される実験手順並びに/又は当業者の知識と組み合わせた追加の若しくは別の既知の方法及び手順により調製することができる。以下の一般スキームで示される方法は、例示を目的とするものであり、開示の範囲を限定するものと解釈すべきではないと理解すべきである。多くの場合、出発原料は市販されているが、市販されていない場合は、以下の当業者に周知の1以上の技術により容易に調製することができる。それには、標準的な有機化学技術又は構造的に同様の既知化合物の合成法と同様の技術が含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物の光学活性型は、当業者に周知の任意の技術により得ることができる。それには、例えば、標準的な手法を用いて本発明の化合物又はその中間体のラセミ体を分割することによるもの、ジアステレオマーの分割又は酵素技術によるものが含まれる。
【0122】
工程1:式(Id)の化合物は、市販の出発原料を用いて或いは以下の実験部分に記載の手順を用いて調製することができる。本発明の式(Ie)の化合物は、パラジウム錯体(例えば、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II))及び塩基(例えば、酢酸カリウム、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム)の存在下、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル又はそれらの混合液)中における、式(Id)のアルデヒド化合物とホウ素化剤(例えば、ビス(ピナコラト)ジボロン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン又はビス(カテコラト)ジボラン)とのホウ素化反応を行うことにより製造することができる。このようなホウ素化反応は、約80℃〜約110℃の温度範囲で行うことができる。
【0123】
工程2:式(If)の化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミン)の存在下、適切な溶媒(例えば、水、テトラヒドロフラン又はその混合液)中における、式(Ie)のアルデヒド化合物とニトロメタンのような脂肪族ニトロ化合物との反応を行うことにより調製することができる。また、式(If)の化合物は、以下のスキームにより調製することもできる:
【0125】
上記のスキームにおいて、式(Ig)の化合物を、有機リチウム試薬(例えば、ブチルリチウム)の存在下、適切な溶媒(例えば、水、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン又はそれらの混合液)中においてボロントリイソプロポキシドと反応させることにより、式(Ih)の化合物を得、それを適切な塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム)の存在下、適切な溶媒(例えば、水、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合液)中においてニトロメタンのような脂肪族ニトロ化合物と反応させて、式(Ih)の化合物を得る。
【0126】
工程3:式(I)の化合物は、式(If)のニトロ化合物を還元することにより調製することができる。ニトロ化合物のアミン化合物への還元は、当業者に周知の多くの異なる試薬及び反応条件により促進することができる。それには、触媒(例えば、ラネーニッケル)の存在下、適切な溶媒(例えば、メタノール)中におけるヒドラジン水和物での還元が含まれるが、これには限定されない。
【0127】
一般的に、本発明の化合物は、例えば、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム)の存在下、適切な溶媒(例えば、水、テトラヒドロフラン又はそれらの混合液)中においてアミノ保護基(例えば、tert−ブチルオキシカルボニル)を用いる式(I)の化合物のアミン部分を保護すること、続いて適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中においてアミン保護化合物を酸(例えば、塩酸)と反応させることを含む当業者に周知の任意の方法により精製することができる。
【0128】
ある実施形態では、本明細書に記載の1以上の方法において任意で示された還元剤、溶媒、アミノ保護剤、有機リチウム試薬、及び塩基の代わりに、本明細書に記載のその他の還元剤、溶媒、アミノ保護剤、有機リチウム試薬、及び塩基を用いることもできると理解すべきである。
【0129】
還元剤として、特に記載がない限り、水素化錯化合物、ホウ素含有化合物(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム)を用いることができる。さらに、好ましくは、金属触媒(例えば、パラジウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金又はパラジウム黒)を用いる触媒還元を用いることができる。
【0130】
本発明によれば、溶媒としては、特に記載がない限り、極性非プロトン性溶媒及び極性プロトン性溶媒を含む当技術分野でよく知られた極性溶媒及び非極性溶媒が挙げられる。極性溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、n−ブタノール、酢酸、ギ酸又は水、又は非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム又はピリジン)が挙げられるが、これらに限定されない。極性溶媒には、水と上記の何れかの混合液、又は上記溶媒の何れか2以上の混合液も含まれる。非極性溶媒の例としては、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、キシレン及びヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
本明細書で用いられる用語「保護基」とは、特定の部分/官能基を、分子中の異なる部分/官能基での化学的変換のための調製において、マスク又はブロックするために用いる基をいう。特定の標的又は変換が完結した後或いは合成経路後のいくつかの特定の工程で、当技術分野でよく知られた方法を用いて保護基を除去することができる。アミノ保護基の例としては、アルコキシカルボニル基(例えば、tert−ブトキシカルボニル基)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基)、アシル基(例えば、アセチル基)、アルキル基又はアラルキル基(例えば、tert−ブチル基、ベンジル基)、エーテル(例えば、メトキシメチル基)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基)、アリールスルホニル基(例えば、p−トルエンスルホニル基又はベンゼンスルホニル基)、及びスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
有機リチウム試薬には、特に記載がない限り、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソプロピルリチウム、tert−ブチルリチウム又はフェニルリチウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0133】
本発明によれば、パラジウム錯体には、特に記載がない限り、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン、ジクロロ{ビス−2−(3,5−ジメチルピラゾリル−1−カルボニル)フラン}パラジウム(II)、ジクロロ{ビス−2−(3,5−ジメチルピラゾリル−1−カルボニル)チオフェン}パラジウム(II)、ジクロロ{ビス2−(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル−1−カルボニル)フラン}パラジウム(II)、ジクロロ{ビス−2−(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル−1−カルボニル)チオフェン}パラジウム(II)、ジクロロ{ビス−2−(3−メチルピラゾリル−1−カルボニル)−フラン}パラジウム(II)、ジクロロ{ビス−2−(ピラゾリル−1−カルボニル)フラン}パラジウム(II)、ジクロロ{ビス−2−(3,5−ジフェニルピラゾリル−1−カルボニル)フラン}パラジウム(II)及びジクロロ{ビス−2−(3,5−ジフェニルピラゾリル−1−カルボニル)チオフェン}パラジウム(II)が含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
塩基としては、特に記載がない限り、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、メチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
ある実施形態では、反応生成物を互いに及び/又は出発原料から分離して、精製した形態で目的生成物を得ることが望ましい。このような分離は、当技術分野でよく知られた技術を用いて行うことができる。例えば、多相抽出、溶媒又は溶媒混合液からの結晶化、蒸留、昇華又はクロマトグラフィーである。当業者は、所望の精製ができる可能性が最も高い技術を適用するであろう。
【0136】
ある実施形態では、本発明は、式(I)の同位体標識化合物を含む。指定された任意の特定の原子又は元素の全ての同位体が、本発明の範囲内であると考えられる。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素の同位体(例えば、
2H又は
3H)、炭素の同位体(例えば、
13C又は
14C)、窒素の同位体(例えば、
13N又は
15N)、酸素の同位体(例えば、
15O、
17O又は
18O)、リンの同位体(例えば、
32P又は
33P)、硫黄の同位体(例えば、
35S)、ハロゲンの同位体(例えば、
18F、
36Cl、
123I又は
125I)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の重水素(D又は
2H)化合物を提供する。式(I)の同位体標識化合物は、同位体標識試薬を用いて以下の一般スキーム及びその方法により調製することができる。本発明の同位体標識化合物は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイに有用であり得る。同位体標識化合物のこのような適用は、当業者に周知であり、したがって、本発明の範囲内である。
【0137】
他の実施形態では、本発明は、その範囲内に、本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般的に、このようなプロドラッグは、in vivoで必要な化合物に容易に変換可能であり、切断成分による安全性の懸念がない本発明の化合物の官能性誘導体であり得る。当技術分野で周知の適切なプロドラッグ誘導体の従来の選択及び調製手順を用いることができる。例えば、本明細書で開示された化合物の適切なプロドラッグの選択のために、リン酸エステル及びその塩、エステル及びその塩、アミド及びその塩を用いることができる。
【0138】
次に、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0139】
ヒトを含む動物における細菌感染症の予防又は治療のために、通常、本発明の化合物は、単独で又は医薬組成物の形態で用いることができる。したがって、治療及び予防のために、適切な剤形が必要とされ得る。適切な剤形は、使用法又は投与経路に依存し得る。技術及び製剤は、一般的に、「The Science and Practice of Pharmacy,21
st edition,Lippincott,Willams and Wilkins,Philadelphia,Pa.,2005(参照により本明細書に組み込まれる)」に見出すことができる。
【0140】
したがって、その他の形態において本発明は、式(I)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩、又はそのプロドラッグ、及び1以上の医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0141】
式(I)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩は、1以上の医薬上許容される賦形剤と共に医薬組成物として投与することができる。本明細書で用いられる用語「賦形剤」とは、式(I)の化合物、その医薬上許容される塩又はその立体異性体以外の製剤中の任意の成分をいう。賦形剤の例としては、担体、ビヒクル、溶剤、アジュバント、滑沢剤、界面活性剤、結合剤、緩衝剤、希釈剤、香味剤、着色剤、崩壊剤、乳化剤、懸濁化剤、可溶化剤、フィラー又は充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。賦形剤の選択は、投与様式、溶解度、安定性、及び放出プロファイルに対する賦形剤の効果、並びに剤形の性質のような因子に大きく依存し得る。式(I)の化合物、その医薬上許容される塩又はその立体異性体は、一般的に、医薬組成物における活性成分と呼ぶことができる。
【0142】
式(I)の化合物の送達に適した医薬組成物及びその調製方法は、当業者に容易に明らかになるだろう。このような組成物及びその調整方法は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,19
th ed.,(Mack Publishing Company,1995)」に見出すことができる。
【0143】
化合物は、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内又は経口を含む異なる経路で投与することができる。式(I)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩を、静脈内投与のためには、滅菌溶液、懸濁液又は乳液として、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤(硬質又は軟質充填)、丸剤、散剤、持続又は即時放出製剤、溶液又は懸濁液として製剤化することができる。
【0144】
医薬組成物に存在する活性成分及び賦形剤の量は、様々な因子(化合物のIC
50又は半減期;患者の年齢、サイズ及び体重;患者に関連する病態が挙げられるが、これらに限定されない。)を考慮した標準的な手順により決定することができる。これらの因子及びその他の因子の重要性は、当業者によく知られている。一般的に、用量は、15000mg/日以下であろう。一方で、特定の用量及び投与計画は、本明細書に例示される。しかしながら、これらは、本発明の実施において患者に提供してもよい用量及び投与計画を決して限定するものではない。
【0145】
本発明の化合物は、治療用途を有し、グラム陰性菌及びその耐性菌により引き起こされる細菌感染症の治療又は予防に使用することができる。
【0146】
したがって、その他の形態において、本発明は、治療有効量の式(I)の化合物、その立体異性体、若しくはその医薬上許容される塩、又はそれを含む医薬組成物を患者に投与することを含む上記の患者における細菌感染症の治療又は予防方法を提供する。
【0147】
本発明の他の形態は、細菌感染症の予防及び/又は治療のための医薬製造のための式(I)の化合物、その立体異性体、又はその医薬上許容される塩の使用を提供する。
【0148】
本明細書で用いられる、用語「治療有効量」とは、細菌感染症の治療又は予防のために患者に投与する場合の、このような治療又は予防を達成するのに十分な本発明の化合物の量をいう。
【0149】
本明細書で用いられる、用語「患者」とは、以下に定義されるような細菌感染症に罹患し、このような細菌感染症の治療及び/又は予防のための治療介入を必要とするヒトのような対象をいう。
【0150】
本明細書で用いられる、用語「医薬」とは、本明細書で論じらているような細菌感染症からの回復を促進する特定の製剤形態の医薬又は薬剤をいう。
【0151】
本明細書で用いられる、用語「グラム陰性菌」とは、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ヘモリチカス(Acinetobacter haemolyticus)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides theataioatamicron)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ブルガタス(Bacteroides vulgatus)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、鼻疽菌フソバクテリウム(Burkholderia mallei Fusobacterium)、プレボテラ・コルポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・エンドドンタリス(Prevotella endodontalis)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エドワージエラ・タルダ(Edwarsiella tarda)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、鼻硬腫菌(Klebsiella rhinoscleromatis)、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)、在郷軍人病菌(Legionella penumophila)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)、モルガン菌(Morganella morganii)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロテウス・ミクソファシエンス(Proteus myxofaciens)、プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、霊菌(Serratia marcescens)、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、モニリフォルミス連鎖杆菌(Streptobacillus moniliformis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、エルシニア・エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・トラコマティス(Chlamydophila trachomatis)、発疹チフスリケッチア(Ricketsia prowazekii)、Q熱コクシエラ(Coxiella burnetii)、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chafeensis)又はバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella hensenae)を指すが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる。
【0152】
本発明の他の実施形態では、特に、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から選ばれる病原体により引き起こされる感染症の治療方法を提供する。
【0153】
本発明のさらなる実施形態では、グラム陰性菌又はその耐性菌により引き起こされる感染症の治療方法を提供する。
【0154】
上述のように、本発明の化合物は、細菌感染症の治療又は予防に有用であり得る。したがって、ある実施形態では、細菌感染症として、複雑性及び単純性尿路感染症、院内感染性肺炎、骨髄炎、梅毒、腹腔内感染症、院内肺炎、菌血症、産婦人科感染症、呼吸器感染症、慢性気管支炎の急性増悪、嚢胞性線維症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎、カテーテル関連敗血症、クラミジア、市中感染性肺炎、心内膜炎、発熱性好中球減少症、髄膜炎、淋菌性子宮頸管炎、淋菌性尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎を言及することができるが、これらに限定されない。
【0155】
他の実施形態では、細菌感染症として、腹腔内感染症、複雑性尿路感染症、院内肺炎又は菌血症を言及することができる。
【0156】
本発明の好ましい実施形態では、細菌感染症が、腹腔内感染症である
【0157】
本発明の他の好ましい実施形態では、細菌感染症が、複雑性尿路感染症である。
【0158】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、細菌感染症が、院内肺炎である。
【0159】
オキサボロール化合物はロイシルtRNAシンテターゼ(LRS酵素)の編集部位に結合し、編集部位でのアミノ酸の変化によりオキサボロール化合物に耐性が生じることが明らかとなっている。このような編集欠損変異体は、ロイシンとノルバリンのようなロイシン類似体とを区別することができない。本発明の発明者らは、ノルバリン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、その類似体のようなアミノ酸類又はその塩が、オキサボロール耐性変異体の増殖を阻害することを観察した。したがって、その他の実施形態において、本発明は、上記に記載されたような細菌感染症の治療のための式(I)の化合物と上記アミノ酸類又はその塩とのコンビネーションを提供する。
【0160】
次に、式(I)の化合物及びその中間体の調製のための実験手順を提供する。
【0161】
実験手順
下記に示される手順は、例示を目的としており、開示の範囲を限定するものと解釈するべきではないと理解すべきである。本明細書に記載の手順の任意の改変、その他の合成法及びその改変を、採用又は適用することができる。このような改変及び別の手順すべてが、本願の精神及び範囲内である。後述の実施例において、いくつかの場合の用語中間体としては、最終化合物の合成のための出発原料を指すことができる。
【0162】
示された実施例では、最終化合物の収率を開示するが、これは必ずしも達成可能な最大値ではなく、例としてのみ示される。本発明の最終生成物の構造決定のために、発明者らは、NMR(プロトン磁気共鳴スペクトルをいう)及びESI法のようなマススペクトル、並びにIRスペクトル、旋光度等の様々なその他のデータに依拠した。可能であれば、中間体も精製し、次の反応工程に移る前に構造決定した。本願において、
1H−NMRの化学シフトは、内部標準としてのテトラメチルシランに対してppm(δスケールで)で表され、その一方で、カップリング定数(J)及びピーク多重度は、シングレット(s);ダブレット(d);ダブレットダブレット(dd);トリプレット(t);マルチプレット(m);ブロード(br)及びブロードシングレット(bs)で表される。ACD Labs12.0(バージョン12.5)を、本明細書で開示された化合物及び中間体を命名するために用いた。
【0163】
(実施例1)3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩(化合物1)の合成
【0165】
(工程1)6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサルデヒド(1b)の合成
【0167】
6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサルデヒド(1a,1.0g,4.86ミリモル)の1,4−ジオキサン(25mL)溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.66g,6.54ミリモル)及び酢酸カリウム(1.28g,13.1ミリモル)を攪拌しながら室温で加えた。この混合物を約5〜30分間アルゴンで脱気し、ジクロロメタンと共に1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)錯体(0.284g,0.35ミリモル)を加えた。反応混合物を約80〜100℃で約4〜6時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトパッドでろ過し、酢酸エチルで洗浄した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル;20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、白色固体として1.0g(83%)の標題化合物を得た。
【0168】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:10.51(s,1H),7.46(s,1H),7.31(s,1H),6.05(s,2H),1.36(s,12H).
マススペクトル(ESI):m/z 277.64(M+H).
【0169】
(工程2)3−(ニトロメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール(1c)の合成
【0171】
化合物1b(2.0g,7.24ミリモル)のテトラヒドロフラン及び水(それぞれ10mL)の溶液に、ニトロメタン(1.21mL,21.7ミリモル)を加え、0℃に冷却し、次いで水酸化ナトリウム(0.29g,7.24ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で約5〜6時間攪拌した。塩酸(2N)を加えることにより反応混合物のpHを約3に調整した。黄色固体として析出した標題化合物を、ろ過し、ジエチルエーテル及びヘキサンで洗浄し、1.7g(99%)の標題化合物を得た。
【0172】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.31(s,1H),7.13(s,2H),6.08(s,2H),5.63(dd,1H,J=3.0Hz,10Hz),5.30(dd,1H,J=3Hz,13Hz),4.53−4.47(m,1H).
【0173】
(工程3)3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩の合成
化合物1c(200mg,0.84ミリモル)のメタノール(100mL)溶液に、パラジウム炭素(50mg,10%)を加え、約7〜8時間、室温、約40〜50psiにて、水素雰囲気下、Parrシェーカーで振盪した。反応混合物をセライトでろ過し、減圧下で濃縮し、続いて塩酸(4M)/ジオキサンを室温で加え、数分間攪拌した。ジエチルエーテルを加えて生成物を析出させ、ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥し、白色固体として70mg(34%)の標題化合物を得た。
【0174】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.10(bs,1H),7.12(s,1H),7.04(s,1H),6.05(d,2H,J=4.0Hz),5.02−4.96(m,1H),3.09(dd,1H,J=4.0,14.0Hz),2.68−2.62(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 208.49(M+H).
【0175】
(実施例2)3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−g][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール塩酸塩(化合物2)の合成
【0177】
(工程1)2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボキサルデヒド(2b)の合成
【0179】
化合物2bを、WO2005/105753に開示された手順に従って合成した。
【0180】
(工程2)7−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボキサルデヒド(2c)の合成
【0182】
化合物2b(3.5g,21.3ミリモル)のメタノール(100mL)溶液に、臭素(4.07g,25.6ミリモル)を室温で加えた。反応混合物を同温度で約3時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル及び水で希釈した。酢酸エチル層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,20%酢酸エチル/ヘキサン)に付して、黄色固体として3.3g(64%)の標題化合物を得た。
【0183】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:8.41(s,1H),7.45(s,1H),7.14(s,1H),4.34−4.25(m,4H).
【0184】
(工程3)7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボキサルデヒド(2d)の合成
【0186】
化合物2c(500mg,2.06ミリモル)の1,4−ジオキサン(8mL)溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.04g,4.12ミリモル)及び酢酸カリウム(606mg,6.18ミリモル)を攪拌しながら室温で加えた。この混合物をアルゴンで5〜30分間脱気し、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(134mg,0.165ミリモル)を加えた。得られた反応混合物を約80〜100℃で約3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトパッドでろ過し、酢酸エチルで洗浄した。有機層を、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,0〜10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、白色固体として200mg(34%)の標題化合物を得た。
【0187】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:10.45(s,1H),7.52(s,1H),7.38(s,1H),4.32−4.28(m,4H),1.36(s,12H).
マススペクトル(ESI):m/z 291.96(M+H).
【0188】
(工程4)3−(ニトロメチル)−6,7−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−g][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール(2e)の合成
【0190】
化合物2dのジオキサン及び水(それぞれ1.5mL)の溶液に、トリエチルアミン(0.095mL,0.69ミリモル)及びニトロメタン(0.026mL,0.48ミリモル)を加え、室温で約1時間攪拌した。反応混合物のpHを、塩酸(2N)を加えることにより約3に調整した。反応混合物を、酢酸エチルで抽出し、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,0〜20%酢酸エチル/ヘキサン)に付し、オフ白色固体として70mg(41%)の標題化合物を得た。
【0191】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.19(s,1H),7.06(s,1H),5.63−5.65(m,1H),5.23(m,1H),4.45−4.51(m,1H),4.25−4.26(m,4H).
マススペクトル(ESI):m/z 250(M−H).
【0192】
(工程5)3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−g][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール(2f)の合成
【0194】
化合物2e(170mg,0.68ミリモル)のメタノール(7mL)の懸濁液に、ラネーニッケル(20mg)を加え、0℃に冷却し、続いて、ヒドラジン水和物(99%,0.1mL,2.04ミリモル)を滴下した。泡立ったことを観察して、反応混合物を室温に昇温し、約1時間同温度に保った。ラネーニッケルをセライトでろ過し、メタノールで洗浄し、合したろ液を減圧留去し、粗化合物を得、ジエチルエーテルで粉末化し、乾燥し、100mg(67%)の標題化合物を得た。
この粗生成物をそのまま次工程に用いた。
【0195】
(工程6)tert−ブチル[(1−ヒドロキシ−1,3,6,7−テトラヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4g][1,4]ベンゾジオキシン−3−イル)メチル]カルバメート(2g)の合成
【0197】
炭酸水素ナトリウム(263mg,3.16ミリモル)を、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ1.5mL)に溶解した化合物2f(140mg,0.63ミリモル)に加えた。ジ−tert−ブチルジカーボネート(275mg,1.26ミリモル)を加え、反応混合物を室温で約2時間攪拌した。酢酸エチル及び水を反応混合物に加えた。有機層を分離した。合した有機抽出物を再度水及び食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧留去し、粗化合物を得、このものは分取薄層クロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、59mg(29%)の標題化合物を得た。
【0198】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.16(s,1H),6.86(s,1H),5.01−4.98(m,1H),4.27−4.19(m,4H),3.28(dd,1H,J=4.7Hz,13.9Hz),3.05(dd,1H,J=7.0Hz,13.7Hz),1.36(s,9H).
マススペクトル(ESI):m/z 322(M+H).
【0199】
(工程7)3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−g][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール塩酸塩の合成
化合物2g(55mg,0.171ミリモル)のジクロロメタン溶液に、塩酸(4M)/ジオキサン(2mL)を室温で加えた。反応混合物を約半時間同温度で攪拌した。溶媒を減圧留去し、固体をジエチルエーテルで粉末化し、ジエチルエーテルをデカントした。このようにして得られた固体を真空下で乾燥し、白色固体として18mg(41%)の標題化合物を得た。
【0200】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.25(s,1H),7.03(s,1H),5.21(dd,1H,J=2.6 9.0Hz),4.31−4.21(m,4H),3.47−3.40(m,1H),2.78−2.71(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 222.08(M+H).
【0201】
(実施例3)3−(アミノメチル)−3,6,7,8−テトラヒドロ−1H−インデノ[4,5−c][1,2]オキサボロール−1−オール塩酸塩(化合物3)の合成
【0203】
(工程1)4−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルボキサルデヒド(3b)の合成
【0205】
塩化マグネシウム(5.67g,59.6ミリモル)、パラホルムアルデヒド(2.68g,89.4ミリモル)、トリエチルアミン(6.02g,59.6モル)を、テトラヒドロフラン(20mL)中で混合し、室温で約15分間攪拌した。化合物3a(4g,29.8ミリモル)を反応混合物に加え、75℃で約4時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、塩酸(1N)を加え、続いて酢酸エチルで抽出した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、白色固体として2.6g(54%)の標題化合物を得た。
【0206】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:11.0(s,1H),9.84(s,1H),7.35(d,1H,J=7.6Hz),6.90(d,1H,J=7.6Hz),2.98−2.89(m,4H),2.13(p,2H)
マススペクトル(ESI):m/z 163.06(M+H),161.12(M−H).
【0207】
(工程2)5−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イルトリフルオロメタンスルホナート(3c)の合成
【0209】
化合物3b(2.6g,16ミリモル)のジクロロメタン(30mL)溶液に、ピリジン(3.17g,40ミリモル)を室温で加えた。反応混合物を0℃に冷却し、トリフリン酸無水物(6.38g,22.5ミリモル)を滴下した。反応混合物を0℃で約2時間攪拌した。ジクロロメタン(100mL)を反応混合物に加え、塩酸(1N)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、赤みがかった油状物として5.6gの標題化合物を得た。
この化合物をそのまま次工程に用いた。
【0210】
(工程3)4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−カルボキサルデヒド(3d)の合成
【0212】
化合物3d(8g粗黄色半固体)を、化合物3c(5.6g,19ミリモル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(9.67g,38ミリモル)、酢酸カリウム(5.63g,57ミリモル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(4.67g,5.7ミリモル)を用いて(実施例1,工程1)に記載されたと同様の方法で合成した。薄層クロマトグラフィーに基づき、化合物3dを次工程にそのまま用いた。
【0213】
(工程4)3−(ニトロメチル)−3,6,7,8−テトラヒドロ−1H−インデノ[4,5−c][1,2]オキサボロール−1−オール(3e)の合成
【0215】
化合物3eを、化合物3d(2.0g,7.35ミリモル)、ニトロメタン(1.3g,22.0ミリモル)、水酸化ナトリウム(294mg,7.35モル)、及びテトラヒドロフラン(20mL)及び水(10mL)を用いて(実施例1,工程2)又は(実施例2,工程4)に記載されたと同様の方法で調製したが、化合物をフラッシュクロマトグラフィー(35%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、黄色固体として250mg(15%)の標題化合物を得た。
【0216】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.18(s,1H),7.40−7.35(m,1H),7.30−7.24(m,1H),5.84−5.71(m,1H),5.35−5.27(m,1H),4.64−4.47(m,1H),2.97−2.79(m,4H),2.07−1.94(m,2H)
マススペクトル(ESI):m/z 232.07(M−H).
【0217】
(工程5)3−(アミノメチル)−3,6,7,8−テトラヒドロ−1H−インデノ[4,5−c][1,2]オキサボロール−1−オール塩酸塩の合成
【0219】
化合物3fの塩酸塩(白色固体)を、化合物3f(250mg,1.07ミリモル)の酢酸(5mL)溶液及び20%水酸化パラジウム−炭素(125mg,50%湿潤,2:1w/w基質対触媒)を用いて(実施例1,工程3)に記載されたと同様の方法で調製した。
【0220】
収量:60mg(23%).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:7.40(d,1H,J=7.6Hz),7.24(d,1H,J=7.6Hz),5.30(d,1H,J=6.9Hz),3.5−3.43(m,1H),3.01−2.81(m,4H),2.8−2.72(m,1H),2.09−1.97(m,2H).
マススペクトル(ESI):m/z 204.04(M+H).
【0221】
(実施例4)3−(アミノメチル)−6,7,8,9−テトラヒドロナフト[1,2−c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩(化合物4)の合成
【0223】
化合物4(白色固体)を、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−オール(4g,27ミリモル)から始めて(実施例3)に記載されたと同様の方法で調製した。
【0224】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.22(d,1H,J=7.9Hz),7.17(d,1H,J=7.9Hz),5.22(dd,1H,J=2.8,9.2Hz),3.43((dd,1H,J=2.9,13.2Hz),2.98−2.83(m,2H),2.81−2.61(m,3H),1.80−1.66(m,4H).
マススペクトル(ESI):m/z 217.99(M+H).
【0225】
(実施例5)8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩(化合物5)の合成
【0227】
(工程1)5−ブロモ−4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−1,3−ベンゾジオキソール(5b)の合成
【0229】
化合物5a(500mg,2.18ミリモル)のトルエン(15−20mL)溶液に、エチレングリコール(135.16mg,2.18ミリモル)及びp−トルエンスルホン酸(83mg,0.44ミリモル)を加えた。得られた混合物を、ディーン・スターク装置下で約12時間還流した。反応終了後、トルエンを除去し、残渣を酢酸エチルで希釈した。酢酸エチル層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、分離し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、355mg(60%)の標題化合物を得た。
【0230】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.02(d,1H,J=8.2Hz),6.68(d,1H,J=8.2Hz),6.21(s,1H),6.02(s,2H),4.27−4.15(m,2H),4.09−3.96(m.2H).
【0231】
(工程2)(4−ホルミル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)ボロン酸(5c)の合成
【0233】
化合物5b(350mg,1.3ミリモル)の乾燥テトラヒドロフラン(10mL)溶液に、−78℃でアルゴン雰囲気下、n−ブチルリチウム(94mg,1.47ミリモル)を加えた。得られた懸濁液をこの温度で約1時間攪拌した。次いで、ボロントリイソプロポキシド(722mg,3.84ミリモル)を滴下し、反応混合物を−78℃で約1時間攪拌した。次いで溶液を室温に昇温し、一晩保持した。次いで、この反応混合物を0℃に冷却し、塩酸(2N)を加えた。反応混合物を還流下約1時間加熱した。室温に冷却後、層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。こうして得られた固体をジエチルエーテルで粉末化し、ろ過し、乾燥し、薄茶色固体として100mg(40%)の標題化合物を得た。
【0234】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:10.18(s,1H),7.14(d,1H),7.06(d,1H)and6.16(s,2H).
マススペクトル(ESI):m/z 193(M−H).
【0235】
(工程3)8−(ニトロメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール(5d)の合成
【0237】
化合物5c(100mg,0.5ミリモル)のテトラヒドロフラン及び水(それぞれ1.5mL)の溶液に、ニトロメタン(31.72mg,0.52ミリモル)、炭酸水素ナトリウム(44mg,0.52ミリモル)を加え、反応混合物を約5時間室温で攪拌した。反応混合物のpHを塩酸(2N)を加えることにより約3に調整し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、淡黄色固体として95mg(78%)の標題化合物を得た。
【0238】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.45(s,1H),7.28(d,1H,J=8.5Hz),7.03(d,1H,J=8.9Hz),6.11(ABカルテット,2H,J=,1Hz,Δ=5Hz),5.82(dd,1H,J=2.8,8.4Hz),5.11(dd,1H,J=2.8,13.2Hz)and4.65−4.58(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 236.10(M−H).
【0239】
(工程4)8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール(5e)の合成
【0241】
化合物5e(黄白色固体)を、化合物5d(220mg,0.93ミリモル)、ラネーニッケル(30mg)、ヒドラジン水和物(232mg,4.64ミリモル)を用いて(実施例2,工程5)に記載されたと同様の手順に従って調製した。標題化合物の収量は160mg(83%)であり、次工程にそのまま用いた。
【0242】
(工程5)tert−ブチル[(6−ヒドロキシ−6,8−ジヒドロ[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−8−イル)メチル]カルバメート(5f)の合成
【0244】
化合物5fを、化合物5e(160mg,0.77ミリモル)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(335.72mg,1.54ミリモル)及び炭酸水素ナトリウム(323.4mg,3.85ミリモル)を用いて(実施例2,工程6)に記載された手順に従って合成した。粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(25%酢酸エチル/ヘキサン,ダブルラン)で精製し、オフ白色粘着性固体として153mg(68%)の標題化合物を得、次工程に用いた。
【0245】
(工程6)8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩の合成
化合物5(オフ白色固体,収量:72mg,61%)を、化合物5f(150mg,0.49ミリモル)、塩酸(4M)/ジオキサン(1.0mL)を用いて(実施例2,工程7)に記載された手順に従って合成した。
【0246】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.35(d,1H,J=7.6Hz),7.05(d,1H,J=7.6Hz),6.11−6.09(m,2H,),5.41(dd,1H,J=3.2,9.2Hz),3.40(dd,1H,J=2.6,13.2Hz),2.88(dd,1H,J=8.8,13.2Hz).
マススペクトル(ESI):m/z 208.13(M+H).
【0247】
(実施例6)(8S)−8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩(化合物6)
【0249】
(工程1)tert−ブチル{[(8S)−6−ヒドロキシ−6,8−ジヒドロ[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−8−イル]メチル}カルバメートの合成
以下のように、化合物5f(実施例5,工程5)をキラル分離に付して、キラル純粋なエナンチオマーを得た。
【0251】
所望の異性体(異性体1)を、ヘキサン、ジクロロメタン、イソプロパノール及びトリフルオロ酢酸(90:05:05:0.1)を溶離液として、1.0mL/分の流速にて、CHIRALPAK IC(4.6x250,5μ)カラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィーで単離した(UV:250nm,RT:9.7分)。活性異性体の配置を、WO2008/157726の開示に基づいてアサインした。
【0252】
(工程2)[8S)−8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩の合成
[(8S)−8−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−6(8H)−オール塩酸塩(オフ白色固体)を、tert−ブチル{[(8S)−6−ヒドロキシ−6,8−ジヒドロ[1,3]ジオキソロ[4,5−e][2,1]ベンゾオキサボロール−8−イル]メチル}カルバメート(1.0g,3.25ミリモル)、塩酸(4M)/ジオキサン(1.5mL)、及びジクロロメタン(15mL)を用いて(実施例2,工程7)に記載の手順に従って合成した。反応時間は約2時間であった。
【0253】
収量:790mg.
エナンチオマー純度:99.61%.
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.35(d,1H,J=7.6Hz),7.05(d,1H,J=7.6Hz),6.10−6.08(m,2H),5.46−5.38(m,1H),3.42(d,1H,J=12.8Hz),2.94−2.84(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 208.22(M+H).
【0254】
(実施例7)9−(アミノメチル)−2,3−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[4,3−f][1,4]ベンゾジオキシン−7(9H)−オール塩酸塩(化合物7)の合成
【0256】
(工程1)6−ブロモ−2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド(7b)の合成
【0258】
化合物7a(5.0g,21.6ミリモル)をジクロロメタンに加え、0℃に冷却し、続いて、ボロントリブロミド(10.82g,43.29ミリモル)を滴下した。反応混合物を0℃で約2時間攪拌し、続いてさらに室温で約12時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、続いてジクロロメタンで希釈した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、4.0g(85%)の標題化合物を得、いかなる精製もすることなくそのまま進めた。
【0259】
(工程2)6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−カルボキサルデヒド(7c)の合成
【0261】
化合物7b(2.0g,9.21ミリモル)のジメチルホルムアミド(50mL)溶液に、炭酸セシウム(8.97g,27.63モル)及びジブロモエタン(1.89g,10.13ミリモル)を加えた。反応混合物を70℃で約20時間攪拌した。反応混合物をセライトでろ過し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。このようにして形成した化合物を、カラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,12%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、800mg(36%)の標題化合物を得た。
【0262】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:10.22(s,1H),7.18(d,1H,J=9.3Hz),7.07(d,1H,J=8.7Hz),4.38−4.34(m,2H),4.33−4.29(m,2H).
マススペクトル(ESI):m/z 245.09,243.10(ブロモパターン).
【0263】
(工程3)6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−カルボキサルデヒド(7d)の合成
【0265】
化合物7dを、化合物7c(200mg,0.81ミリモル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(443mg,1.74ミリモル)、酢酸カリウム(511mg,5.22ミリモル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(56mg,0.065ミリモル)を用いて(実施例1,工程1)に記載の手順に従って調製した。カラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,17%酢酸エチル/ヘキサン)により精製を行い、130mg(57%)の標題化合物を得た。
【0266】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:10.42(s,1H),7.06−7.01(m,2H),4.37−4.34(m,2H),4.32−4.29(m,2H),1.41(s,12H).
マススペクトル(ESI):m/z 291.07(M+H).
【0267】
(工程4)9−(ニトロメチル)−2,3−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[4,3−f][1,4]ベンゾジオキシン−7(9H)−オール(7e)の合成
【0269】
化合物7eを、化合物7d(200mg,0.72ミリモル)、ニトロメタン(43.92mg,0.72ミリモル)及び炭酸水素ナトリウム(60mg,0.72ミリモル)を用いて(実施例2,工程4)に記載の手順に従って調製した。反応時間は約2.5時間であり、その一方で、分取薄層クロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製を行い、60mg(37%)の標題化合物を得た。
【0270】
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.37(s,1H),7.18(d,1H,J=7.6Hz),6.92(d,1H,J=7.6Hz),5.72(dd,1H,J=3.0,9.0Hz),5.20(dd,1H,J=3.0,13.2Hz),4.55−4.48(m,1H),4.35−4.27(m,4H).
マススペクトル(ESI):m/z 249.93(M−H).
【0271】
(工程5)9−(アミノメチル)−2,3−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[4,3−f][1,4]ベンゾジオキシン−7(9H)−オール(7f)の合成
【0273】
化合物7fを、化合物7e(330mg,1.31ミリモル)、ラネーニッケル(30mg)、ヒドラジン水和物及びメタノール(10mL)を用いて(実施例2,工程5)に記載の手順に従って調製した。約4時間の反応時間で180mg(62%)の標題化合物を得た。
【0274】
(工程6)tert−ブチル{[(9S)−7−ヒドロキシ−2,3,7,9−テトラヒドロ[1,2]オキサボロロ[4,3−f][1,4]ベンゾジオキシン−9−イル]メチル}カルバメート(7g)の合成
【0276】
化合物7gを、化合物7f(180mg,0.81ミリモル)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(355mg,1.63ミリモル)、炭酸水素ナトリウム(341mg,4.07ミリモル)、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ3mL)を用いて(実施例2,工程6)に記載の手順に従って調製した。反応時間は終夜であり、その一方で、粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、180mg(69%)の標題化合物を得た。
【0277】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.0(s,1H),7.13(d,1H,J=8.0Hz),6.84(d,1H,J=8.0Hz),6.74−6.67(m,1H),5.15−5.05(m,1H),4.35−4.27(m,4H),3.74−3.65(m,1H),2.97−2.87(m,1H),1.35(s,9H).
マススペクトル(ESI):m/z 322.21(M+H).
【0278】
(工程7)9−(アミノメチル)−2,3−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[4,3−f][1,4]ベンゾジオキシン−7(9H)−オール塩酸塩の合成
化合物7を、化合物7g(180mg,0.56ミリモル)、塩酸(4M)/ジオキサン(3mL)及びジクロロメタン(4mL)を用いて(実施例2,工程7)に記載の手順に従って調製した。約3時間の反応時間で、130mg(88%)のオフ白色固体として標題化合物を得た。
【0279】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.25(d,1H,J=7.8Hz),6.96(d,1H,J=7.9Hz),5.33(dd,1H,J=2.5,8.7Hz),4.3(bs,4H),3.52(dd,1H,J=2.8,13.3Hz),2.87−2.77(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 222.15(M+H),219.73(M−H).
【0280】
(実施例8)3−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−f][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール塩酸塩(化合物8)の合成
【0282】
(工程1)2−ブロモ−3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(8b)の合成
【0284】
化合物8bを文献J.Org.Chem.1983,48,2356−2360に記載の方法に従って合成した。
【0285】
(工程2)5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボキサルデヒド(8c)の合成
【0287】
化合物8cを、化合物8b(1.0g,4.60ミリモル)、ジメチルホルムアミド(10mL)、炭酸セシウム(3.0g,9.20ミリモル)、ジブロモエタン(1.73g,9.20ミリモル)を用いて(実施例7,工程1)と同様の方法で調製した。
【0288】
収量:570mg(51%)
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:10.27(s,1H),7.52(d,1H,J=8.0Hz),6.92(d,1H,J=8.5Hz),4.44−4.30(m,4H).
【0289】
(工程3)5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボキサルデヒド(8d)の合成
【0291】
化合物8dを、化合物8c(560mg,2.3ミリモル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.14g,4.6ミリモル)、酢酸カリウム(676mg,6.9ミリモル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)錯体ジクロロメタン錯体(149mg,0.184ミリモル)を用いて(実施例1,工程1)と同様の方法で合成した。反応時間は約9時間であり、その一方で、フラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製を行い、620mg(93%)の標題化合物を得た。
【0292】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:9.77(s,1H),7.32(d,1H,J=8.0Hz),6.95(d,1H,J=8.3Hz),4.32−4.28(m,4H),1.27(s,12H)
マススペクトル(ESI):m/z 206.92{(M−82)−1,脱ボリル化}.
【0293】
(工程4)3−(ニトロメチル)−7,8−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−f][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール(8e)の合成
【0295】
化合物8eを、化合物8d(620mg,2.13ミリモル)、ニトロメタン(104.31mg,1.71ミリモル)、炭酸水素ナトリウム(142.8mg,1.71ミリモル)、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ3.5mL)を用いて(実施例2,工程4)と同様の方法で合成した。反応時間は一晩であり、その一方で、分取薄層クロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製を行い、190mg(35%)の標題化合物を得た。
【0296】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.16(s,1H),7.00(d,1H,J=7.8Hz),6.95(d,1H,J=8.0Hz),5.63(dd,1H,J=3.0,10.0Hz),5.26(dd,1H,J=2.8,13.2Hz),4.54−4.46(m,1H),4.30−4.20(m,4H)
マススペクトル(ESI):m/z 249.94(M−H).
【0297】
(工程5)3−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−f][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール(8f)の合成
【0299】
化合物8fを、化合物8e(190mg,0.76ミリモル)、ラネーニッケル(35mg)、ヒドラジン水和物及びメタノール(7mL)を用いて(実施例2,工程5)と同様の方法で合成した。約1時間の反応時間で、130mg(78%)の標題化合物を得た。
マススペクトル(ESI):m/z 222.09(M+H)
【0300】
(工程6)tert−ブチル[(1−ヒドロキシ−1,3,7,8−テトラヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−f][1,4]ベンゾジオキシン−3−イル)メチル]カルバメート(8g)の合成
【0302】
化合物8gを、化合物8f(130mg,0.59ミリモル)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(255.1mg,1.17ミリモル)、炭酸水素ナトリウム(246mg,2.94ミリモル)、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ2.5mL)を用いて(実施例2,工程6)と同様の方法で合成した。反応時間は、約3時間であり、その一方で、分取薄層クロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製を行い、90mg(48%)の標題化合物を得た。
【0303】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:8.86(s,1H),6.94(d,1H,J=8.8Hz),6.79(d,1H,J=7.0Hz),5.03−4.95(m,1H),4.29−4.17(m,4H),3.34−3.29(m,1H),3.04−2.93(m,1H),1.37(s,9H).
マススペクトル(ESI):m/z 322.09(M+H),320.05(M−H).
【0304】
(工程7)3−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ[1,2]オキサボロロ[3,4−f][1,4]ベンゾジオキシン−1(3H)−オール塩酸塩の合成
化合物8を、化合物8g(90mg,0.28ミリモル)、塩酸(4M)/ジオキサン及びジクロロメタン(それぞれ2mL)を用いて(実施例2,工程7)と同様の方法で合成した。約1時間の反応時間で、オフ白色固体として50mg(69%)の標題化合物を得た。
【0305】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.05(d,1H,J=8.0Hz),6.93(d,1H,J=8.0Hz),5.33(brd,1H,J=8.8Hz),4.34−4.18(m,4H),3.47−3.36(m,1H),2.84−2.69(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 222.15(M+H),220.03(M−H).
【0306】
(実施例9)3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール;塩酸塩(化合物9)の合成
【0308】
(工程1)4−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサルデヒド(9a)の合成
【0310】
化合物9aを、文献J.Org.Chem.1983,48,2356−2360に記載の手順に従って合成した。
【0311】
(工程2)4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサルデヒド(9b)の合成
【0313】
化合物9a(1.2g,5.24ミリモル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.66g,10.48ミリモル)、酢酸カリウム(1.54g,15.72ミリモル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(341mg,0.419ミリモル)を用いて化合物9bを、(実施例1,工程1)に記載の手順に従って合成した。フラッシュクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)で精製を行い、740mg(51%)の標題化合物を得た。
【0314】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:9.86(s,1H),7.39(d,1H,J=7.9Hz),6.89(d,1H,J=7.9Hz),6.07(s,2H),1.44(s,12H).
マススペクトル(ESI):m/z 277.18(M+H)
【0315】
(工程3)3−(ニトロメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール(9c)の合成
【0317】
化合物9cを、化合物9b(600mg,2.17ミリモル)、ニトロメタン(132.37mg,2.17ミリモル)、炭酸水素ナトリウム(182mg,2.17ミリモル)、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ7mL)を用いて(実施例1,工程2)と同様の方法で合成した。
【0318】
収量:200mg(39%).
マススペクトル(ESI):m/z 235.93(M−H)
【0319】
(工程4)3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール(9d)の合成
【0321】
化合物9dを、化合物9c(200mg,0.84ミリモル)、ラネーニッケル(約20mg)、ヒドラジン水和物及びメタノール(10mL)を用いて(実施例2,工程5)の説明と同様の方法で合成した。
【0322】
収量:120mg(69%).
マススペクトル(ESI):m/z 208.03(M+H),205.97(M−H).
【0323】
(工程5)tert−ブチル[(1−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−3−イル)メチル]カルバメート(9e)の合成
【0325】
化合物9eを、化合物9d(120mg,0.58ミリモル)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(251mg,1.15ミリモル)、炭酸水素ナトリウム(222mg,2.64ミリモル)、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ4mL)を用いて(実施例2,工程6)に記載されたと同様の方法で合成した。
【0326】
収量:40mg(23%).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.15(s,1H),6.03(s,2H),5.09−4.98(m,1H),2.91−3.02(m,1H),1.36(s,9H).
マススペクトル(ESI):m/z 308.05(M+H)305.96(M−H).
【0327】
(工程6)3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩の合成
化合物9を、化合物9e(40mg,0.13ミリモル)、塩酸(4M)/ジオキサン及びジクロロメタン(それぞれ2mL)を用いて(実施例2,工程7)に記載されたと同様の方法で合成した。
【0328】
収量:10mg(32%).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.08(bs,1H),6.96(bs,1H),6.05(bs,2H),5.36−5.19(m,1H),3.46−3.36(m,1H),2.87−2.75(m,1H).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.43(s,1H),8.05(s,3H),7.08(d,1H,J=8.0Hz),6.96(d,1H,J=8.0Hz),6.07(dd,2H,J=1.0Hz),5.28(dd,1H,J=2.8,8.0Hz),3.46−3.30(m,1H),2.92−2.75(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 208.04(M+H),205.72(M−H).
【0329】
(実施例10)(3S)−3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩(化合物10)の合成
【0331】
(工程1)以下のように、化合物9cをキラル分離に付して、キラル純粋なエナンチオマーを得た。
【0333】
所望の異性体(異性体1)を、メタノール及びトリフルオロ酢酸(100:0.1)を溶離液として、82.0mL/分の流速にて、CHIRALPAK AD−H(250x50mm 5μ)カラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィーで単離した(UV:305nm,RT:5.1分)。活性異性体の配置を、WO2008/157726の開示に基づいてアサインした。
【0334】
活性異性体1のエナンチオマー純度:99.9%
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δppm:9.46(s,1H),7.09−7.07(d,1H,J=7.9Hz),7.00−6.97(dd,1H,J=0.92,7.9Hz),6.07−6.06(dd,2H,J=0.92,3.3Hz),5.73−5.70(m,1H),5.30−5.26(dd,1H,J=2.8,13.5Hz)4.59−4.54(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 235.94(M−H).
【0335】
(工程2)(3S)−3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール(10a)の合成
【0337】
化合物10aを、対応するニトロ化合物(1.0g,4.22ミリモル)、ラネーニッケル(100mg)、ヒドラジン水和物(3−4mL)及びメタノール(40mL)を用いて(実施例2,工程5)に記載されたと同様の方法で合成した。
収量:850mg(97%).
【0338】
(工程3)tert−ブチル[(3S)−(1−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−3−イル)メチル]カルバメート(10b)の合成
【0340】
化合物10bを、化合物10a(850mg,4.11ミリモル)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.79g,8.22ミリモル)、炭酸水素ナトリウム(1.73g,20.55ミリモル)、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ10mL)を用いて(実施例2,工程6)に記載されたと同様の方法で合成した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(55%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、750mg(60%)の標題化合物を得た。
【0341】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.02(d,1H,J=7.2Hz),6.84(d,1H,J=7.2Hz),6.02(m,2H,),5.11−5.04(m,1H),3.41−3.28(m,1H),3.10−2.96(m,1H),1.36(s,9H).
マススペクトル(ESI):m/z 308.04(M+H),305.98(M−H).
【0342】
(工程4)(3S)−3−(アミノメチル)[1,3]ジオキソロ[4,5−g][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩の合成
化合物10(オフ白色固体)を、化合物10b(4.0g,13.02ミリモル)、塩酸(4M)/ジオキサン(25mL)及びジクロロメタン(25mL)を用いて(実施例2,工程7)に記載されたと同様の方法で合成した。
【0343】
収量:2.58g(81%).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.09(d,1H,J=8.0Hz),6.96(d,1H,J=8.0Hz),6.07(bs,2H),5.29(d,1H,J=8.6Hz),3.42(d,1H,J=11.8Hz),2.87−2.77(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 208.04(M+H),205.83(M−H).
【0344】
(実施例11)3−(アミノメチル)−5,6−ジヒドロフロ[3,2−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩(化合物11)の合成
【0346】
(工程1)6−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルボキサルデヒド(11b)の合成
【0348】
化合物11a(市販,4.5g,33.10ミリモル)のアセトニトリル(100mL)溶液に、室温で、塩化マグネシウム(5.67g,59.56ミリモル)、パラホルムアルデヒド(8.14g,271.43ミリモル)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(19.21g,148.95ミリモル)を加えた。反応混合物を80℃で約5〜6時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、5%塩酸水で洗浄した。有機層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,0〜15%酢酸エチル/ヘキサン)による精製に付して、黄色固体として4.0g(74%)の標題化合物を得た。
【0349】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δppm:11.71(s,1H),9.64(s,1H),7.28(t,1H,J=1.3Hz),6.36(s,1H),4.68(t,2H,J=8.6Hz),3.2−3.14(m,2H)
マススペクトル(ESI):m/z 162.98(M−H).
【0350】
(工程2)5−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−6−イルトリフルオロメタンスルホナート(11c)の合成
【0352】
化合物11cを、化合物11b(4g,24.39ミリモル)、トリエチルアミン(4.93g,48.78ミリモル)、4−ジメチルアミノピリジン(40mg)、1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド(10.44g,29.26ミリモル)及びジクロロメタン(20mL)を用いて(実施例3,工程2)に記載されたと同様の方法で調製した。反応時間は約1時間であり、その一方で、カラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製を行い、1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド不純物と共に9.4gの標題化合物を得た。
【0353】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:10.10(s,1H),7.82(s,1H),6.76(s,1H),4.78(t,2H,J=8.9Hz),3.32−3.24(m,2H).
マススペクトル(ESI):m/z 296.89(M+H).
【0354】
(工程3)6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルボキサルデヒド(11d)の合成
【0356】
化合物11dを、化合物11c(6g,20.27ミリモル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(10.3g,40.54ミリモル)、酢酸カリウム(5.96g,60.81ミリモル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(1.32g,1.62ミリモル)及びジオキサン(75mL)を用いて(実施例1,工程1)に記載されたと同様の方法で合成した。反応時間は約2時間であり、カラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製を行い、ピナコール不純物と共に5.56g(90%)の標題化合物を得た。
【0357】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:10.37(s,1H),7.85(s,1H),7.19(s,1H),4.65(t,2H,J=9.2Hz),3.25(t,2H,J=8.8Hz),1.34(s,12H).
マススペクトル(ESI):m/z 272(M−2).
【0358】
(工程4)3−(ニトロメチル)−5,6−ジヒドロフロ[3,2−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール(11e)の合成
【0360】
化合物11eを、化合物11d(5g,18.24ミリモル)、ニトロメタン(1.11g,18.24ミリモル)、水酸化ナトリウム(729.6mg,18.24ミリモル)、テトラヒドロフラン及び水(それぞれ25mL)を用いて(実施例2,工程4)に記載されたと同様の方法で合成した。反応時間は約5〜6時間であり、カラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュシリカゲル,40%酢酸エチル/ヘキサン)により精製を行い、いくつかのピナコール不純物と共に2.38g(56%)の標題化合物を得た。
【0361】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.38(s,1H),7.03(s,1H),5.76−5.60(m,1H)5.29−5.14(m,1H),4.61−4.43(m,3H),3.21(t,2H,J=8.7Hz).
マススペクトル(ESI):m/z 234(M−H).
【0362】
(工程5)3−(アミノメチル)−5,6−ジヒドロフロ[3,2−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール(11f)の合成
【0364】
化合物11fを、化合物11e(2.38g,10.13ミリモル)、ラネーニッケル(230mg)、ヒドラジン水和物及びメタノール(15mL)を用いて(実施例2,工程5)に記載されたと同様の方法で合成した。
【0365】
標題化合物の収量は、920mg(46%)であった。
【0366】
マススペクトル(ESI):m/z 205.89(M+H).
【0367】
(工程6)3−(アミノメチル)−5,6−ジヒドロフロ[3,2−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩の合成
化合物11f(20mg)のジクロロメタン(2mL)溶液に、塩酸(4M,2滴)/ジオキサンを加えた。反応混合物を室温で約3時間攪拌した。溶媒を留去し、こうして得られた固体を、ジエチルエーテル及びヘキサンで洗浄し、オフ白色固体として9mg(38%)の標題化合物を得た。
【0368】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.34(s,1H),7.07(s,1H),5.23(d,1H,J=7.2Hz) 4.53(t,2H,J=8.4Hz),3.42(brd,1H,J=12.8Hz),3.19(t,2H),2.72−2.66(m,1H).
マススペクトル(ESI):m/z 205.90(M+H)
【0369】
(実施例12)3−(アミノメチル)−6,7−ジヒドロフロ[2,3−f][2,1]ベンゾオキサボロール−1(3H)−オール塩酸塩(化合物12)の合成
【0371】
標題化合物(白色固体)を、(実施例11)に記載された工程に従って合成した。
【0373】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6+D
2O)δppm:7.59(s,1H),6.90(s,1H),5.23(br,1H,J=7.2Hz),4.60(t,2H,J=10.0Hz),3.46(br,1H,J=13.6Hz),3.20(t,2H,J=9.8Hz),2.80−2.66(m,1H).
【0374】
マススペクトル(ESI):m/z 205.92(M+H),204.84(M−H).
【0375】
微生物学的アッセイ
多くの異なるアッセイを利用することができる。以下に言及されるアッセイに加えて、利用することができるその他のアッセイが当業者に知られており、特定の用途のためにアッセイを改変することができる。このようなアッセイやその改変は、本発明の精神及び範囲内にある。
【0376】
(試験例1)ロイシンtRNAシンテターゼ(LRS)酵素阻害アッセイ[IC
50]
大腸菌及び緑膿菌LRS酵素を、社内でクローン化し、発現させ、精製した。IC
50値を、以下のアッセイプロトコルを用いて決定した。
【0377】
試験化合物をミリQ水で希釈した。5μL(マイクロリッター)の試験化合物の希釈液を、100ミリモル濃度のトリス(シグマのトリス塩基)、120ミリモル濃度の塩化カリウム(シグマ)、1モル濃度の塩化マグネシウム(シグマ)、50ミリモル濃度のジチオトレイトール、50mg/mL大腸菌tRNA(ロシュ)、150マイクロモル濃度のロイシン(シグマ)、0.5マイクロキュリーの
3Hロイシン(アマシャム)及び20μLのLRS酵素の適切な希釈液からなる20μLの反応混合物と混合し、シェーカー中、約30℃で20分間インキュベートした。5μLの40ミリモル濃度のATP(シグマ)を加えることにより反応を開始し、シェーカー中、同じ温度でさらに20分間インキュベートした。反応を150μLの氷冷トリクロロ酢酸(10%)でクエンチした。各ウェルの内容物を96ウェルGF/Cプレート(Pall製)に移し、真空マニホールド(Pall製)を用いて150μLのトリクロロ酢酸(5%)で洗浄した。100μLのシンチレーションカクテル(Perkin Elmer’s OptiPhase「SuperMix」)を各ウェルに加えた後、プレートを乾燥し、Microbeta Wallac液体シンチレーションカウンターを用いて読み取った。Graph Pad Prismソフトウエアを用いてバックグラウンド(無酵素対照)を差し引いた後、IC
50を酵素対照に対して計算した。
【0378】
式(I)の化合物は、それぞれ下記の表に示されるように、大腸菌については5μg/mL未満、緑膿菌酵素については10μg/mL未満のIC
50を有するLRSの強力な阻害剤であることが見出された。
【0380】
(試験例2)細菌感受性の試験方法[MIC]
最低阻害濃度(MIC)を、2010年(M100−S20)、2011年(M100−S21)、2012年(M100−S22)及び2013年(M100−S23)においてCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)が推奨したものに軽微な変更を加えて決定した。
【0381】
手短に言えば、細菌培養物を、Muller Hinton Agarプレート上に画線し、35±2℃で約18〜20時間インキュベートした。翌日、コロニー懸濁液を生理食塩水中で調製し、濃度計を用いて0.5マクファーランドに調製した。この培養物を、さらにMuller Hinton Broth又はM9最少培地又は貯留されたヒトの尿で100倍に希釈し、MICの決定に使用した。試験化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)で1mg/mLの濃度に調製し、各培地で32μg/mLに希釈した。さらに、2倍段階希釈液を96ウェルマイクロタイタープレートで調製した。50μLの希釈培養物を全てのウェルに加え、35±2℃で約16〜20時間インキュベートした。
【0382】
肉眼で検出される微量希釈ウェル中の微生物の増殖を完全に阻害する薬剤の最低濃度としてMICを決定した。
【0383】
式(I)の化合物は、下記の表に示すように大腸菌及び肺炎桿菌に対して8μg/mLと同等かそれ未満、又はさらに4μg/mL未満のMICを有した。また、式(I)の化合物は、緑膿菌に対するMICも有し、例えば、化合物5、6、8、9及び10は、それぞれ8、2、4、2及び1μg/mLのMICを有する。
【0385】
(試験例3)治療効果の試験方法
(試験例3a)尿路感染症(UTI)モデルにおけるin vivo有効性
マウス緑膿菌UTI上昇モデルを使用した。全ての動物を、尿道内経路により緑膿菌PAO1に感染させた。無作為化を、治療開始前、感染の18時間後に行った。治療を感染の18時間後に開始した。1日2回3日間、動物を30mg/kg及び60mg/kg体重の試験化合物で治療した。4日目に動物を犠牲にし、腎臓及び膀胱におけるコロニー形成単位(cfu)の量を、薬剤不含TSAプレートに播種した段階希釈液により検出した。
【0386】
化合物10は、腎臓及び膀胱においてカウントすると60mg/kg体重の用量で感染4日目に未治療対照と比べてそれぞれ4.18及び3.83logの減少を示した。
【0387】
(試験例3b)大腸菌マウス好中球減少性大腿部感染モデルにおけるin vivo有効性
試験化合物の有効性を、好中球減少性マウス大腿部感染モデルにおいて大腸菌GK00432に対して皮下(SC)経路により評価した。試験を体重20±2gの雄雌のスイスアルビノマウスで行った。好中球減少症を、感染前に2回(感染4日前に150mg/kg、感染1日前に100mg/kg)のシクロホスファミドの腹腔内注射により誘導した。大腸菌接種液(0.1mL)を、大腿筋に筋肉内注射した。2時間後、30mg/kg及び60mg/kg体重の用量で試験化合物を皮下経路で投与し、1群のマウス(n=5)をと殺し、基準細菌量として大腿部あたりの総生細菌数を評価した。残りの3用量の試験化合物を、感染の2、4、8及び14時間後に皮下経路で投与した。動物を安楽死させ、大腿筋を無菌除去し、リン酸緩衝食塩水(3mL)中にホモジナイズし、段階希釈液を、感染の26時間後にTryptone Soya Agarプレートに播種した。
【0388】
化合物5は、26時間の未治療対照に対して、1日4回(QID)60mg/kg及び30mg/kgの用量でのコロニー形成単位(cfu)の3.8及び3.1logの減少を示した。
【0389】
(試験例3c)緑膿菌PAO1マウス肺感染モデルにおけるin vivo有効性
TSA寒天上で終夜培養した緑膿菌PAO−1の培養物をブレインハートインフュージョンブロス(BHI、DIFCO)に接種し、シェーカーインキュベーター内にて110rpmで振盪しながら35±2℃で終夜増殖させた。培養物を50mLのBHI中で継代培養し、培養物の光学濃度が0.5〜0.7単位に達するまでシェーカーインキュベーターにおいて35±2℃、110rpmで再びインキュベートした。感染のために、動物の体重を測定し、無作為に割り当てて、イソフルランを与えることにより麻酔をかけた。麻酔下の動物を、鼻腔内の経路により50μLの上記のように調製した接種液で感染させた。試験化合物を、感染の1時間及び6時間後に皮下経路により75mg/kg体重で投与した。感染の24時間後に、動物を安楽死させ、肺を無菌除去し、PBS(3mL)でホモジナイズし、TSAプレートに段階希釈液を播種した。
【0390】
化合物6及び10は、1日2回75mg/kgの皮下投与で、24時間の未治療対照に比べてコロニー形成単位(cfu)の4.04及び3.53logの減少を示し、並びに基準に比べてコロニー形成単位(cfu)の2.58及び2.07logの減少を示した。
【0391】
(試験例4)大腸菌及び肺炎桿菌に対するヒトの尿におけるMIC
ヒトの尿は、細菌の増殖を助け、尿道から膀胱への感染を拡大させる。したがって、尿中での活性が最も重要である。フルオロキノロンのような多くの抗菌性化合物は、酸性のpHでヒトの尿において活性が弱まる(酸性の尿は厳密に細菌の増殖を促進する)。MICを、ミューラーヒントンブロス(MHB)及び貯留されたヒトの尿における大腸菌25922に対して、CLSIガイドライン(2011)を用いて行った。
【0392】
式(I)の化合物は、ミューラーヒントンブロスと比べてヒトの尿でMICの有意なシフトを示さなかった。例えば、下記の表に示される化合物は、MICの二倍と同等及びそれ未満のシフトを示した。
【0394】
(試験例5)シュードモナス排出ポンプ変異体に対するMIC
集中治療室(ICU)における院内感染から単離された多剤耐性(MDR)緑膿菌は、多くの場合、緑膿菌株における特定の排出ポンプ及びポーリンの調節の変化に関連する。排出ポンプ過剰生産菌及び実験室株に対して同様の活性を示す試験化合物は、MDR株に感染した院内患者における活性を予測することができる。このような化合物を同定するために、我々は、排出欠損及び過剰生産菌株に対する緑膿菌PAO1に対するMICを決定した。
【0395】
式(I)の化合物は、シュードモナスの排出変異体に対するMICの有意なシフトを示さなかった。例えば、下記の表に示されるような化合物が、MICの2倍と同等及びそれ未満のシフトを示した。
【0397】
(試験例6)治療耐性を決定するためのin vivoモデル
マウス緑膿菌UTI上昇モデルを用いた。全ての動物を、尿道内経路により緑膿菌PAO1に感染させた。無作為化を、治療開始前、感染の18時間後に行った。感染の18時間後に治療を開始した。動物を、3日間1日2回30mg/kg及び60mg/kg体重の試験化合物で治療した。4日目に動物をと殺し、腎臓及び膀胱内のコロニー形成単位(cfu)量を、薬剤不含及び薬剤含有TSAプレートに播種した段階希釈液により検出した。
【0398】
(試験例7)ノルバリン存在下での耐性度(FOR)
FORを、M9最小寒天培地における耐性発生に対する効果を評価するためにサブMIC濃度のノルバリンの存在下で行った。FORを、4〜8倍のMIC濃度の試験化合物及び一定濃度のノルバリンを伴う薬剤含有M9寒天プレート上におよそ10
9−10CFUの細菌培養物を播種することにより決定した。同時に、培養物の段階希釈液を、薬剤不含寒天プレートにも播種し、総コロニー形成単位(cfu)量を決定した。プレートを48時間インキュベートし、得られたコロニー形成単位(cfu)量を、カウントした。FORを、薬剤含有プレートにおけるコロニー形成単位(cfu)/薬剤不含プレートにおけるコロニー形成単位(cfu)量として計算した。
【0399】
両方のXが酸素原子を示す式(I)の化合物と組み合わせた場合に、FORが、サブMIC濃度のノルバリンの存在下で150倍を上回って減少した。
【0400】
(試験例8)ラット及びマウスにおける経口生物学的利用能(BA)の試験方法
(試験例8a)ラットにおける経口生物学的利用能(BA)
雄のSprague Dawleyラット(215±10g)に、2.0mg/mLのミリQ水溶液(pH5.0)として試験化合物を静脈内及び経口経路により投与した。最終用量は4.25mg/kg体重(静脈内)又は8.5mg/kg体重(経口)であった。血漿試料を、LC−MS/MS法を用いて試験化合物について分析した。薬物動態パラメーターの推定を、モーメント解析を用いることにより行った。WinNonlinソフトウエア6.1(Pharsight)をPKパラメーター及び経口生物学的利用能の推定に使用した。化合物6は、Sprague Dawleyラットにおける経口絶対生物学的利用能が72%であった。
【0401】
(試験例8b)マウスにおける経口生物学的利用能(BA)
雌のスイスマウス(23±3g)に、試験化合物を0.5mg/mL静脈内及び1mg/mL経口ミリQ水溶液(pH5.0)として投与した。最終用量は4.25mg/kg体重(静脈内)及び8.5mg/kg体重(経口経路)であった。血漿試料を、LC−MS/MS法を用いて試験化合物について分析した。薬物動態パラメーターの推定を、モーメント解析を用いることにより行った。WinNonlinソフトウエア6.1(Pharsight)を、PKパラメーター及び経口生物学的利用能の推定に使用した。化合物6は、スイスマウスにおける経口絶対生物学的利用能が62%であった。