【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 MINExpo INTERNATIONAL▲R▼ 2016、平成28年9月26日、米国 ネバダ州ラスベガス
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を、図に基づいて説明する。以下、本明細書において、同一機能を有するものは、特に断らない限り同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。以下、作業機械として、油圧ショベル100を例にあげて説明する。
【0010】
本実施形態では、油圧ショベル100の車体に異常が発生した際、運転室のピラーに備えられるモニタに、通常時の表示を邪魔しない態様で、かつ、オペレータが直感的に異常の発生を把握しやすい態様で、警報表示を行う。以下、油圧ショベル100の、本機能を実現する構成に主眼をおいて説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明の実施形態に建設機械の一例である油圧ショベル100の全体構成を示す図である。
【0012】
本図に示すように、本実施形態の油圧ショベル100は、クローラ式の走行体101と、走行体101上に旋回可能に設けられた旋回体102と、旋回装置103と、を備える。また、油圧ショベル100は、
図1(a)には図示はされないが、車体コントローラ230と、センサ240と、をさらに備える(
図2参照)。
【0013】
走行体101は、左右にそれぞれ走行装置110を有する。走行装置110は、サイドフレーム111と、サイドフレーム111の両端に設けられた駆動輪112と従動輪113と、駆動輪112および従動輪113等に巻回された履帯114とを備える。左右のサイドフレーム111は、センターフレームに連結して設けられる。このセンターフレームには、旋回装置103を介して旋回体102が旋回可能に連結される。
【0014】
旋回体102は、上部フレーム120と、フロント作業機構121と、建屋125と、運転室126と、サイドウォーク127と、梯子128と、手すり129と、を備える。
【0015】
フロント作業機構121は、ブーム122と、アーム123と、バケット124とを備える。ブーム122は、上部フレーム120に俯仰動可能に設けられる。アーム123は、ブーム122の先端に上下方向に回動可能に連結される。バケット124は、アーム123の先端に、上下方向に回動可能に連結される。なお、バケット124は、ローダ式である。
【0016】
サイドウォーク127およびその手すり129は、建屋125の左右両外側あるいは運転室126の前等に設けられる。サイドウォーク127は、運転室126への出入りや機器の点検やメインテナンス等のために必要な通路として用いられる。梯子128は、オペレータが、サイドウォーク127を通って、運転室126あるいは建屋125の上等に昇るために用いられる。
【0017】
建屋125には、エンジンや油圧ポンプその他の機器が収納される。車体コントローラ230は、例えば、この建屋125内に設けられ、油圧ショベル100の各種動作を制御する。車体コントローラ230は、油圧ショベル100の各部に配置されたセンサ240から受け取る車体情報を用い、動作の制御を行う。
【0018】
運転室126は、建屋125の前方に設置される。オペレータは、運転室126内において油圧ショベル100全体の作動、つまり、油圧ショベル100の走行、旋回体102の旋回、フロント作業機構121による土砂の掘削等といった作動を制御する。
【0019】
図1(b)は、油圧ショベル100の運転室126の内部を概略的に示す図である。
【0020】
運転室126の内部には、運転席145と、ピラー146と、操作部147と、入力インタフェース148と、が設けられる。また、運転室126内には、モニタ210と、
図1(b)には、図示されないが、モニタ表示コントローラ220とを備えるモニタ表示装置がさらに設けられる。
【0021】
運転席145には、オペレータが着席する。操作部147は、各種操作手段を有し、運転席145の周囲に設けられる。操作部147は、走行体101による走行、旋回体102による旋回、フロント作業機構121による土砂の掘削等といった作業を行うための操作レバー等を含む。入力インタフェース148は、モニタ210への表示に対するオペレータによる各種操作を受け付けるスイッチ等である。入力インタフェース148は、運転席145に着くオペレータの手元位置に配置される。
【0022】
上述のように、本実施形態では、油圧ショベル100の車体に異常が発生した際、モニタ210に警報表示がなされる。以下、これを実現する、油圧ショベル100内の、油圧ショベル100の稼働状態を表示する稼働状態表示システムの構成の詳細について説明する。
【0023】
図2は、本実施形態の稼働状態表示システムの機能ブロック図である。本図に示すように、本実施形態の稼働状態表示システムは、センサ240と、車体コントローラ230と、モニタ表示コントローラ220と、モニタ210とで実現される。
【0024】
なお、ここでは、車体コントローラ230が、3台((A)231、(B)232、(C)233)のコントローラで構成され、センサ240を各々のコントローラが3つずつ、合計9つ(241〜249)備える場合を例示するが、これらの個数は、これに限定されない。
【0025】
センサ240は、上述のように、油圧ショベル100の各部に設けられ、その状態を検出し、車体情報信号として車体コントローラ230に出力する。
【0026】
車体コントローラ230は、上述のように、油圧ショベル100の各種動作を制御する。例えば、外部から入力された信号に、各種の処理を施し、動作信号等を生成し、各部に指示を出す。外部から入力される信号には、例えば、センサ240からの車体情報信号、操作部147を介した操作信号等がある。
【0027】
また、本実施形態では、車体コントローラ230は、センサ240からの情報に基づいて異常の発生を判定する異常判定部としても機能する。車体コントローラ230は、受信した車体情報信号に基づいて、油圧ショベル100の異常を判定し、異常信号をモニタ表示コントローラ220に出力する。
【0028】
本実施形態の異常信号には、例えば、異常が発生したセンサ240を特定する情報(異常発生場所)、異常内容を特定する情報(異常内容)、異常のレベルを示す情報(異常レベル)等が含まれる。
【0029】
すなわち、本実施形態では、車体コントローラ230は、車体各所に取り付けられたセンサ240により、車体各所の状態を監視(モニタ)する。そして、異常が発生したと判別した場合、異常信号をモニタ表示コントローラ220に出力する。
【0030】
ここで、モニタされる車体情報は、例えば、冷却水の水温、燃料の残量、作動油温、エンジン回転数、速度等である。
【0031】
モニタ210は、
図1(b)に示すように、ピラー146に備えられ、例えば、矩形の表示領域211を有する液晶画面(表示部)を有する。モニタ210には、モニタ表示コントローラ220により、油圧ショベル100に関する各種の情報、および、油圧ショベル100を操作するための各種の情報等が表示される。本実施形態では、車体情報および警報が表示される。
【0032】
モニタ表示コントローラ220は、車体コントローラ230から入力される車体情報信号および異常信号を処理し、画像データを生成する。生成した画像データは、モニタ210に出力され、表示される。モニタ表示コントローラ220が生成する画像データは、モニタ210の矩形の表示領域211に表示する矩形の表示画像の画像データである。
【0033】
モニタ表示コントローラ220は、通常時(正常時)は、油圧ショベル100の車体情報等をモニタ210に表示する。以下、通常時に表示される車体情報を計器表示と呼ぶ。
【0034】
また、モニタ表示コントローラ220は、車体コントローラ230から異常信号を受信した場合は、計器表示に加え、異常の発生を示す警報表示を行い、オペレータに警告する。生成される画像データによる表示画像例は、後述する。
【0035】
上記処理を実現するため、本実施形態のモニタ表示コントローラ220は、
図2に示すように、グラフィックインタフェース221と、演算装置222と、CAN(Controller Area Network)インタフェース223と、メモリ224と、記憶装置225と、CAN250と、を備える。
【0036】
CANインタフェース223は、モニタ表示コントローラ220と車体コントローラ230との間の情報の送受信のインタフェースである。両者間の情報の送受信は、CAN250を介したCAN通信により行われる。
【0037】
グラフィックインタフェース221は、演算装置222が生成した画像データを、モニタ210に出力し、表示させる表示出力部として機能する。
【0038】
演算装置222は、モニタ表示コントローラ220の全体の動作を制御する制御部として機能する。また、CANインタフェース223を介して受信した車体情報信号および異常信号から、モニタ210に表示する表示画像の画像データを生成する表示制御部として機能する。
【0039】
メモリ224および記憶装置225は、演算装置222が処理を行うために必要なデータ、処理中および処理により生成されたデータ等を保持する格納部として機能する。本実施形態では、例えば、上記機能を実現するためのプログラム、生成された画像データを記憶する。また、後述するように、異常信号に応じて、アイコンやテキストメッセージが表示される。このため、これらのデータも記憶する。
【0040】
演算装置222は、上記機能を、例えば、予め記憶装置225に格納されたプログラムを、メモリ224にロードして実行することにより、実現する。
【0041】
メモリ224は、例えば、RAMで、記憶装置225は、例えば、ROM、ハードディスク等である。
【0042】
ここで、モニタ表示コントローラ220が生成した画像データにより、モニタ210の表示領域211に表示される表示画像300の例を説明する。
図3(a)および
図3(b)は、本実施形態の表示画像300の例である。
【0043】
なお、ここでは、モニタ210が備える矩形の表示領域211の、長手方向が水平方向になるようピラー146に取り付けられるものとする。以下、説明のために、矩形の表示領域211およびそこに表示される表示画像300の長手方向をX軸(第一の方向)、短手方向をY軸(第二の方向Y軸)とする。また、上下および左右は、モニタ210の前にモニタ210に向かって位置するオペレータが見る場合を基準とする。
【0044】
表示画像300は、車体情報表示領域310と、アイコン表示領域330と、テキスト表示領域340とを備える。
【0045】
車体情報表示領域310は、表示画像300の、上部の領域に配置される。本実施形態の車体情報表示領域310は、計器表示領域350と、警報表示領域320とを備える。
【0046】
このとき、警報表示領域320は、車体情報表示領域310内の、計器表示領域350に重ならず、かつ、オペレータが視認しやすい位置に配置される。
図3(a)の例では、計器表示領域350は、車体情報表示領域310内の中央部に、警報表示領域320は、車体情報表示領域310のY軸方向の両端部に、それぞれ、配置される。警報表示領域320の配置は、これに限定されない。例えば、車体情報表示領域310のY軸方向の両端部のうち、少なくとも一方であってもよい。
【0047】
計器表示領域350には、車体情報信号の信号値が、計器表示として表示される。本実施形態では、例えば、各信号値を、計器を模した図形上に、例えば、例えば、バーグラフ311、針式メータ312等の、信号値の変化を把握可能な態様で表示される。
【0048】
本実施形態では、車体情報信号として、例えば、冷却水の水温、燃料の残量、作動油温、エンジン回転数等、油圧ショベル100の速度等を示す信号を得る。例えば、冷却水の水温、燃料の残量、作動油温等は、計器を模した円上にバーグラフ311で表示される。また、エンジン回転数、速度等は、針式メータ312で表示される。バーグラフ311のバーの高さ方向、すなわち、表示量の増減方向は、例えば、Y軸方向とする。
【0049】
なお、車体情報信号の信号値をバーグラフ311で表示する場合、バーの高さ方向は、
図3(b)の中央のバーグラフ311のように、計器を模した円の、円周に沿ったものとしてもよい。
【0050】
計器表示は、X軸方向に並べて表示される。計器表示の数が多い場合は、複数段に表示されてもよい。また、
図3(a)および
図3(b)に示す例では、針式メータ312が右側に配置されているが、各計器表示の配置は、これに限定されない。また、表示される計器表示の数も問わない。
【0051】
警報表示領域320には、異常信号に含まれる異常レベルに応じたインジケータ321が表示される。インジケータ321は、X軸方向に所定の幅を有し、Y軸方向に所定の長さを有する矩形形状とする。
図3(a)の例では、Y軸方向の長さは、警報表示領域320のY軸方向の長さと略同じ長さである。インジケータ321は、異常レベルに応じた色彩で表示される。また、インジケータ321は、表示画像300のバックグラウンドの色と異なる色彩で彩色される。
【0052】
なお、インジケータ321は、色彩のみで表示され、矩形形状以外に、図形およびテキスト等を含めない。これは、万国共通の表現とするためである。
【0053】
なお、このとき、インジケータ321の長手方向がバーグラフ311の高さ方向と合致するよう、警報表示領域320を配置してもよい。例えば、上記例では、バーグラフ311の高さ方向をY軸方向としている。このため、インジケータ321の長手方向がY軸方向になるよう、警報表示領域320をX軸方向の両端に設ける。しかしながら、バーグラフ311の高さ方向がX軸方向である場合、インジケータ321の長手方向がX軸方向になるように、警報表示領域320を、車体情報表示領域310の、Y軸方向の両端部に設けてもよい。
【0054】
アイコン表示領域330およびテキスト表示領域340は、例えば、表示画像300内で、車体情報表示領域310の下側に配置される。
【0055】
アイコン表示領域330には、異常信号の異常内容に応じて予め用意されたアイコン331が表示される。このとき、インジケータ321同様、異常レベルに応じた色彩のアイコン331が表示される。
【0056】
テキスト表示領域340には、異常信号の異常発生場所および異常内容に応じて、予め用意されたテキストメッセージ341が表示される。
【0057】
また、異常信号を受信しない、すなわち、正常な場合は、計器表示のみ表示され、アイコン331、テキストメッセージ341およびインジケータ321は、
図4(a)に示すように、表示されない。
【0058】
次に、インジケータ321およびアイコン331の色彩について説明する。ここでは、異常のレベルが、「中度」と「重度」との2段階である場合を例にあげて説明する。「中度」は、注意喚起するレベルであり、「重度」は、車体停止を促すレベルである。
【0059】
本実施形態では、例えば、「中度」の場合は黄色、「重度」の場合は赤色で表示する。これらの色は「ISO6405 土工機械?操縦装置及び表示用識別記号」で定義された色である。
【0060】
本実施形態では、例えば、異常内容ごとに設定されたアイコンそれぞれについて、赤色アイコンおよび黄色アイコンを用意する。それぞれ、記憶装置225に設けられた赤色アイコンマップ、黄色アイコンマップに保持する。
【0061】
なお、ISO6405では、正常の場合は緑色と定義されている。本実施形態では、正常時は、インジケータ321は表示しない。これは、夜間の表示画面の眩しさ軽減のため、および、異常発生時の視認性をより高めるためである。しかしながら、正常時に、緑色のインジケータ321を表示するよう構成してもよい。
【0062】
なお、上記例では、異常レベルをオペレータに直感的に示すため、異常レベルに応じてインジケータ321の表示色を変えている。しかし、異常レベルのオペレータへの提示手法は、これに限定されない。例えば、異常レベルに応じて、インジケータ321の表示面積を変更してもよい。すなわち、異常レベルが高いほど、広い表示面積とする。
【0063】
例えば、インジケータ321の高さを変更することにより、表示面積を変更してもよい。例えば、異常レベルが「重度」のとき、
図3(a)のように、警報表示領域320のY軸方向の長さと同じ高さのインジケータ321を表示する。一方、異常レベルが「中度」の時は、
図4(a)に示すように、異常レベルが「重度」の時より高さの低いインジケータ321を表示する。
【0064】
さらに、異常レベルに応じて、インジケータ321の点灯パターンを変更してもよい。例えば、「中度」の場合は点灯表示をして注意を喚起し、「重度」の場合は点滅表示を行う。例えば、異常レベルが3段階以上設定されている場合、最低レベルでは点灯表示を行い、他の異常レベルについては、異常レベルが高いほど、点滅速度を速めるよう構成してもよい。
【0065】
インジケータ321の点灯パターンを変更する場合は、演算装置222は、グラフィックインタフェース221に、決定した表示パターンに従った表示制御を行うよう指示を出す。また、演算装置222は、異常信号を受信した後、オペレータから指示があるまで、あるいは、異常状態が解消されるまで、インジケータ321の表示を継続する。
【0066】
これらのインジケータ表示手法は、組み合わせてもよい。
【0067】
なお、本実施形態では、モニタ表示コントローラ220は、複数の異常信号を受信することがある。このような場合、モニタ表示コントローラ220は、車体異常の緊急度を優先し、1種のインジケータ321を表示する。すなわち、異常レベルが「重度」の異常が1つでも発生している場合は、「重度」を示すインジケータ表示のみを行い、同「中度」の異常のみの場合は、「中度」を示すインジケータ表示を行う。このため、本実施形態では、メモリ224または記憶装置225に、重度フラグを設けてもよい。
【0068】
本実施形態では、表示制御部として機能する演算装置222が、CANインタフェース223を介して車体コントローラ230から受信した車体情報信号および異常信号と、メモリ224および/または記憶装置225に保持されるデータとを用いて、グラフィックインタフェース221を介してモニタ210の表示領域211に表示された際に、上記配置を有する表示画像300となる画像データを生成する。
【0069】
表示制御部として機能する演算装置222は、車体情報信号を受信する毎に、計器表示を含む画像データを生成する。この計器表示は、異常信号を受信した場合であっても、信号値の表示以外は変更しない。すなわち、異常信号受信時であっても、計器表示領域350の計器表示のレイアウト変更はない。
【0070】
ただし、表示制御部として機能する演算装置222は、異常信号受信時は、さらに、警報表示領域320とアイコン表示領域330とテキスト表示領域340とに、それぞれ、インジケータ321、アイコン331、テキストメッセージ341を表示する警報表示処理を行う。
【0071】
ここで、異常信号受信時の、演算装置222による警報表示処理の流れを説明する。
図5は、警報表示処理の処理フローである。以下では、上記同様、異常のレベルは、重度と中度との2段階であり、重度には、赤色が、中度には、黄色が割り当てられている場合を例にあげて説明する。また、さらに、表示パターンの変更も組み合わせる場合を例にあげて説明する。
【0072】
まず、重度フラグをクリアする(ステップS1101)。その後、演算装置222は、受信した全異常信号について、以下の処理を繰り返す(ステップS1101)。
【0073】
まず、演算装置222は、テキスト表示領域340に表示させるテキストを設定する(ステップS1103)。ここでは、異常信号に含まれる異常発生場所および異常内容に対応づけて、記憶装置225に登録されるテキストを抽出し、画像データのテキスト表示領域340に設定する。
【0074】
次に、演算装置222は、アイコン表示領域330に表示するアイコンを設定する。まず、処理対象の異常信号の異常レベルを判別する(ステップS1104)。ここでは、異常信号に含まれる異常レベルにより、重度であるか否かを判別する。そして、重度であれば(Yes)、赤色アイコンマップからアイコンを選択する(ステップS1105)。また、演算装置222は、重度フラグの設定の有無を確認し(ステップS1105)、設定されていなければ(Yes)、重度フラグを設定する(ステップS1106)。その後、選択したアイコンを、アイコン表示領域330に設定する(ステップS1109)。
【0075】
一方、処理対象の異常信号の異常レベルが中度であれば(S1104;No)、演算装置222は、黄色アイコンマップからアイコンを選択する(ステップS1108)。そして、ステップS1109へ移行する。
【0076】
演算装置222は、以上のステップS1103からステップS1109の処理を、受信した全異常信号について行う(ステップS1102、S1110)。
【0077】
次に、演算装置222は、受信した異常信号の中で、1つでも、重度の異常レベルのものがあるか否かを判別する(ステップS1111)。ここでは、重度フラグを確認し、重度フラグが設定されている場合、有と判別する。
【0078】
異常レベルが重度の異常信号がある、と判別された場合(S1111;Yes)、演算装置222は、インジケータ321に赤色を設定する(ステップS1112)。そして、インジケータ321の表示制御として、点滅制御を行うよう設定し(ステップS1113)、処理を終了する。
【0079】
一方、異常レベルが重度の異常信号が無い場合(S1111;No)は、演算装置222は、インジケータ321に黄色を設定する(ステップS1114)。そして、点灯制御を行うよう設定し(ステップS1115)、処理を終了する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の作業機械(油圧ショベル100)の稼働状態を表示する表示システムは、情報を表示するモニタ210と、車体情報信号をもとに油圧ショベル100の異常を判定する異常判定部とを備える。また、モニタ210を運転室126のピラー146に備える。そして、このモニタ210の表示部に表示される表示画像300は、前記作業機械に備えられたセンサ240から受信した車体情報信号の信号値を示す計器表示が配置される計器表示領域350と、前記車体情報信号に基づいて矩形のインジケータ321が表示される警報表示領域320と、を備える。前記警報表示領域320は、前記表示画像300上の、当該表示画像300の一辺に平行な第一の方向の両端部のうち少なくとも一方であって、前記計器表示領域350と重ならない領域に設けられる。
【0081】
また、本実施形態の作業機械は、当該作業機械に備えられたセンサ240から車体情報信号を受信して出力するとともに、前記車体情報信号に基づいて、当該作業機械の異常を検出し、異常信号を出力する車体コントローラ230と、前記車体コントローラ230から出力された前記車体情報信号および前記異常信号に基づき、モニタ210に表示する矩形の表示画像300の画像データを生成し、生成した画像データを前記モニタ210に出力するモニタ表示コントローラ220と、を備える。そして、前記モニタ表示コントローラ220は、前記車体情報信号の信号値を示す計器表示を配置するとともに、前記異常信号を受信した際、前記表示画像300上の、前記矩形の表示画像300の一辺に平行な第一の方向の両端部のうち少なくとも一方であって、前記計器表示と重ならない領域に矩形のインジケータ321を配置して、前記画像データを生成する。
【0082】
このように、本実施形態では、異常発生時に、異常の発生を示すインジケータ321を、車体情報表示と同じ車体情報表示領域310内に警報として表示する。このとき、インジケータ321は、同じ車体情報表示領域310内に表示される計器表示とは重ならない領域に表示され、計器表示のレイアウトの変更はない。
【0083】
このため、本実施形態によれば、警報が、正常時から計器表示領域350に表示されている計器表示を注視しているオペレータの目につきやすく、かつ、表示の主要素である計器表示の視認を阻害することもない。人間の眼球は、左右(水平)に2個配置されていることから、視野中心部を離れている視覚情報は、垂直方向(Y軸方向)よりも水平方向(X軸方向)端部にある方が認識しやすい。したがって、インジケータを車体情報表示領域内に表示する場合は、たとえ優先的に表示する主要な車体情報の周囲に表示する場合であっても、インジケータ表示を領域内の左右両端に離間して設けた方が認識しやすい。
【0084】
すなわち、本実施形態によれば、油圧ショベル100に異常が発生した際、オペレータは、視線移動を最低限に抑えながら、瞬時に異常の発生を把握できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、異常のレベルに応じて、異常を知らせるインジケータ321の表示態様(表示色、表示パターン)を変更する。このため、本実施形態によれば、オペレータは、瞬時かつ容易に、油圧ショベル100の異常の発生を知ることができるだけでなく、その異常レベルを把握できる。
【0086】
さらに、インジケータ321は、図形やテキストデータを含めない。上述のように色彩のみとする。また、この色彩も、上記のようにISOに即したものとする。このため、オペレータが直感的に異常レベルを把握できるだけでなく、油圧ショベル100が使用される国の言語、習慣に依存しない。このため、輸出先ごとに設定を変更する必要がない。
【0087】
また、本実施形態では、さらに、緊急度の高い「重度」の場合、点滅表示を行ってもよい。このように構成することで、緊急度がさらに強調され、緊急時にオペレータの視認性が高まる。
【0088】
また、本実施形態では、例えば、緊急度に応じてインジケータ321の高さを変更する際、信号値のバーグラフ311のバーの高さ方向を、インジケータ321の高さ方向と合致させてもよい。このように構成することで、異常事態の発生をオペレータは、より直感的に把握し易くなる。
【0089】
なお、上記実施形態では、作業機械として油圧ショベル100を例にあげて説明したが、作業機械は油圧ショベル100に限定されない。上記実施形態は、例えば、油圧ショベル100以外の運搬車両、例えば、ダンプトラック、一般的なトラック、ホイールローダ、グレーダ、ドーザ等、任意の車両に適用可能である。
【0090】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。