特許第6605536号(P6605536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605536
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】バスバモジュール及び電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20191031BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20191031BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 S
   H01M2/10 M
   H01M10/48 P
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-113537(P2017-113537)
(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公開番号】特開2018-206699(P2018-206699A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝則
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 拓人
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−220128(JP,A)
【文献】 特開2013−004185(JP,A)
【文献】 特開2011−210710(JP,A)
【文献】 特開2014−233160(JP,A)
【文献】 特開2014−146543(JP,A)
【文献】 特開2016−024962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線的に配列された複数の電池よりなる電池集合体の隣接する2つの電池の電極上に跨がって配置されて前記電極間を電気的に接続する平板状のバスバと、
前記電池の配列方向に沿って延びるように配索され、1本が前記バスバに接続される複数本の電線と、
前記バスバの上面に重ねて配置され、前記複数本の電線を、前記電池の配列方向に沿って延びるように互いに平行に且つ平面状に並べた状態で保持する樹脂製の電線保持プレートと、
を備えることを特徴とするバスバモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバモジュールであって、
前記電線保持プレートは、第1プレートと第2プレートからなる2枚合わせのプレートであって、各プレートの間に前記複数本の電線を平面状に並べて保持するプレートであり、前記第1プレートと前記第2プレートの合わせ面に前記複数本の電線の配索をガイドする複数本の配索溝を有すると共に、前記複数本の電線のうちの1本を前記バスバに接続するために該バスバに向けて案内する接続電線案内部を有する、
ことを特徴とするバスバモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のバスバモジュールであって、
前記第1プレートと前記第2プレートは、これら両プレートの前記配索溝の並び方向の側縁同士がヒンジで回動自在に連結されることにより、両プレートの合わせ面を開閉可能としている、
ことを特徴とするバスバモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のバスバモジュールであって、
前記第1プレートの前記第2プレートとの合わせ面に前記配索溝が形成され、前記第1プレートの前記ヒンジと反対側の側縁に第2のヒンジを介して補助プレートが一体に連設され、前記第1プレート及び前記補助プレートの前記第2のヒンジの近傍に前記接続電線案内部が設けられている、
ことを特徴とするバスバモジュール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のバスバモジュールであって、
前記電線保持プレートは、該電線保持プレートを前記バスバの上面に載せた際に、前記バスバと係合して前記バスバに前記電線保持プレートを固定する係合部を備えている、
ことを特徴とするバスバモジュール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のバスバモジュールであって、
前記バスバは、上面が平面状に形成された前記電池の電極の上に重ねた状態で、該電極に前記バスバの上から溶接されるものである、
ことを特徴とするバスバモジュール。
【請求項7】
直線的に配列された複数の電池で構成された電池集合体と、
前記電池集合体に重ねて取り付けられると共に、前記電池が直列接続されるように、前記各電池を互いに電気的に接続するバスバモジュールと、
を備える電源装置において、
前記バスバモジュールとして、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバスバモジュールが、前記電池の配列方向に沿って複数設けられ、
これら電池の配列方向に設けられた複数の各バスバモジュールの前記複数の電線として、前記複数のバスバモジュールの全個数分の本数の前記電池の配列方向に延びる複数の電圧検出線を備え、これら複数の電圧検出線が、前記各バスバモジュールの電線保持プレートによって保持されており、
前記複数の電圧検出線のそれぞれが、前記複数のバスバモジュールのうち割り当てられた互いに異なる1つのバスバモジュールのバスバに接続されている、
ことを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車や電気自動車などに用いられる電源装置を構成するバスバモジュール、及び該バスバモジュールを含む電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車等の各種車両には、電動モータの動力源として電源装置が搭載されている。この種の電源装置は、一端に正の電極(以下「正極」と記す)、他端に負の電極(以下「負極」と記す)を有する複数の電池を、正極と負極とが交互に隣り合うように直線的に配列した電池集合体を備えている。この電池集合体には、電極が設けられた面に重ねられるように、特許文献1に示すようなバスバモジュールが設けられている。
【0003】
バスバモジュールは、複数のバスバと、複数の電圧検出端子と、複数の電圧検出線と、樹脂ケースと、を備えている。複数のバスバは、複数の電池が直列接続されるように、電池集合体の隣接する電池の正極と負極を電気的に接続する。各バスバや電圧検出端子は、一般的にボルトやナットを用いて電極に締結されている。電圧検出線は、バスバに重ねられる電圧検出端子を介して、電池の電極に電気的に接続される。
【0004】
樹脂ケースには、バスバ及び電圧検出端子を収容するバスバ収容部と、電圧検出線を収容する電線収容部とが設けられている。電線収容部には、複数の電線をばらけた束の状態で収容する樋状の配索溝が設けられている。電線収容部は、複数の電線をばらけた束の状態で収容する関係で、角筒箱状に形成されている。電線収容部は、角筒箱状をなしていること、及び、主に電池の上面でボルトやナットを用いてバスバ等を電極に締結する作業を行う必要があることから、バスバ収容部の横に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−233159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来のバスバモジュールでは、バスバ(バスバ収容部)の横に電線収容部を配置している。そのため、バスバモジュールの寸法が大きくなり、コンパクト化に限界があることが分かった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンパクトな構成のバスバモジュール、及び該バスバモジュールを用いた電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るバスバモジュール及び電源装置は、下記(1)〜(7)を特徴としている。
(1) 直線的に配列された複数の電池よりなる電池集合体の隣接する2つの電池の電極上に跨がって配置されて前記電極間を電気的に接続する平板状のバスバと、
前記電池の配列方向に沿って延びるように配索され、1本が前記バスバに接続される複数本の電線と、
前記バスバの上面に重ねて配置され、前記複数本の電線を、前記電池の配列方向に沿って延びるように互いに平行に且つ平面状に並べた状態で保持する樹脂製の電線保持プレートと、
を備えることを特徴とするバスバモジュール。
(2) 上記(1)の構成のバスバモジュールであって、
前記電線保持プレートは、第1プレートと第2プレートからなる2枚合わせのプレートであって、各プレートの間に前記複数本の電線を平面状に並べて保持するプレートであり、前記第1プレートと前記第2プレートの合わせ面に前記複数本の電線の配索をガイドする複数本の配索溝を有すると共に、前記複数本の電線のうちの1本を前記バスバに接続するために該バスバに向けて案内する接続電線案内部を有する、
ことを特徴とするバスバモジュール。
(3) 上記(2)の構成のバスバモジュールであって、
前記第1プレートと前記第2プレートは、これら両プレートの前記配索溝の並び方向の側縁同士がヒンジで回動自在に連結されることにより、両プレートの合わせ面を開閉可能としている、
ことを特徴とするバスバモジュール。
(4) 上記(3)の構成のバスバモジュールであって、
前記第1プレートの前記第2プレートとの合わせ面に前記配索溝が形成され、前記第1プレートの前記ヒンジと反対側の側縁に第2のヒンジを介して補助プレートが一体に連設され、前記第1プレート及び前記補助プレートの前記第2のヒンジの近傍に前記接続電線案内部が設けられている、
ことを特徴とするバスバモジュール。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれか1項の構成のバスバモジュールであって、
前記電線保持プレートは、該電線保持プレートを前記バスバの上面に載せた際に、前記バスバと係合して前記バスバに前記電線保持プレートを固定する係合部を備えている、
ことを特徴とするバスバモジュール。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか1項の構成のバスバモジュールであって、
前記バスバは、上面が平面状に形成された前記電池の電極の上に重ねた状態で、該電極に前記バスバの上から溶接されるものである、
ことを特徴とするバスバモジュール。
(7) 直線的に配列された複数の電池で構成された電池集合体と、
前記電池集合体に重ねて取り付けられると共に、前記電池が直列接続されるように、前記各電池を互いに電気的に接続するバスバモジュールと、
を備える電源装置において、
前記バスバモジュールとして、上記(1)〜(6)のいずれか1項の構成のバスバモジュールが、前記電池の配列方向に沿って複数設けられ、
これら電池の配列方向に設けられた複数の各バスバモジュールの前記複数の電線として、前記複数のバスバモジュールの全個数分の本数の前記電池の配列方向に延びる複数の電圧検出線を備え、これら複数の電圧検出線が、前記各バスバモジュールの電線保持プレートによって保持されており、
前記複数の電圧検出線のそれぞれが、前記複数のバスバモジュールのうち割り当てられた互いに異なる1つのバスバモジュールのバスバに接続されている、
ことを特徴とする電源装置。
【0009】
上記(1)の構成のバスバモジュールによれば、平板状のバスバの上面に、複数の電線を平面状に並べた状態で保持する電線保持プレートを重ねるので、高さ方向及び幅方向の寸法の縮小が可能であり、コンパクト化することができる。
上記(2)の構成のバスバモジュールによれば、電線保持プレートを2枚合わせのプレートで構成し、両プレートの合わせ面に配索溝を設けている。そのため、複数の電線を容易に、電池の配列方向に沿って延びるように互いに平行に且つ平面状に並べて配索することができ、その状態で確実に保持することができる。また、バスバに接続すべき1本の電線ついては、接続電線案内部によって容易にバスバに向けて案内することができる。
上記(3)の構成のバスバモジュールによれば、第1プレートと第2プレートをヒンジで連結したので、ヒンジを曲げることにより、容易に互いの位置合わせを行いながら両プレートを合わせることができる。また、第1プレートと第2プレートを一体化できるので、部品点数を減らせる。
上記(4)の構成のバスバモジュールによれば、本体側となる第1プレートに配索溝を設け、配索溝に電線を配索した後に、蓋側となる第2プレートを重ねることで、複数の電線を両プレート間に保持することができる。その状態で、第1プレートと補助プレートの第2のヒンジの近傍に設けた接続電線案内部により、バスバに接続する1本の電線を案内することができる。従って、簡単な作業で、複数の電線とバスバに接続する1本の電線の配索を完了することができる。
上記(5)の構成のバスバモジュールによれば、電線保持プレートの係合部によって、複数の電線を保持した状態の電線保持プレートをバスバの上に載せるだけで、容易に電線保持プレートをバスバに固定できる。
上記(6)の構成のバスバモジュールによれば、バスバを電池の電極上に重ねた状態でバスバ上から溶接するだけで、バスバを電極に固定することができる。そのため、電線保持プレートを安定した姿勢でバスバ上に重ねることができる上、バスバモジュールの取り付け部分の高さ寸法を最小に抑えることができる。
上記(7)の構成の電源装置によれば、上記(1)〜(6)のいずれかの構成のバスバモジュールを用いたことにより、上述の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バスバモジュールのコンパクトを図ることができ、電源装置におけるバスバモジュールの取付部分の簡素化に寄与することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態のバスバモジュールの組立前の状態を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態のバスバモジュールの電池への組付途中の状態を示す斜視図である。
図3図3は、図2の状態のバスバモジュールが電池集合体の上に複数配列されている状態を示す斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態のバスバモジュールの電池(不図示)への組付時の状態を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態のバスバモジュールの電池への組付時の状態を示す断面図である。
図6図6は、図5の状態のバスバモジュールが電池集合体の上に複数配列されている状態を示す斜視図である。
図7図7は、比較例の電源装置の外観斜視図である。
図8図8は、比較例の電源装置のバスバモジュールの構成を示す平面図である。
図9図9は、比較例のバスバモジュールにおける電線収納部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
図1は、実施形態のバスバモジュールの組立前の状態を示す斜視図である。図2は、バスバモジュールの電池への組付途中の状態を示す斜視図である。図3は、図2の状態のバスバモジュールが電池集合体の上に複数配列されている状態を示す斜視図である。図4は、バスバモジュールの電池(不図示)への組付時の状態を示す斜視図である。図5は、バスバモジュールの電池への組付時の状態を示す断面図である。図6は、図5の状態のバスバモジュールが電池集合体の上に複数配列されている状態を示す上から見た平面図である。
【0015】
なお、説明の便宜上、各図において、矢印X、矢印Y、矢印Zを用いて、各部材の配設方向等を示す。これら矢印X、矢印Y、矢印Zは互いに直交している。後述するが、X方向は電池の配列方向、Y方向は1つの電池の正負電極の並ぶ方向、Z方向は上下方向にそれぞれ相当する。
【0016】
まず、電源装置の概略構成について述べる。
図3に示すように、電源装置1は、電池集合体2と、この電池集合体2の上部に重ねて取り付けられるバスバモジュールユニットMと、を備えている。バスバモジュールユニットMは、複数のバスバモジュールM1を1列に配列して構成したものである。これら複数のバスバモジュールM1は、必要に応じて隣同士が連結される場合もあるし、単に隣同士が接触しているだけの場合や、単に配列されているだけの場合もある。このバスバモジュールM1を必要個数一列に配列することで、バスバモジュールユニットMが構成されている。
【0017】
この電源装置1は、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータを併用して走行するハイブリッド自動車等に搭載されて用いられ、電動モータに動力を供給するものである。
【0018】
電池集合体2は、一方向(X方向)に沿って直線的に一列に配列され且つ互いに固定された複数の電池3で構成されている。図2に示すように、隣接する電池3の電池本体3aの側面間には、断面T字形のスペーサ4の挿入板部4aが挿入されている。このスペーサ4の働きにより、隣接する電池3間の位置決めが行われると共に、隣接する電池3間に通気のための隙間が確保されている。各電池3は、直方体状の電池本体3aの上面のY方向における一端及び他端に、一対の電極5(5A、5B)を備えている。
【0019】
図2に示すように、一対の電極5(5A、5B)は、ともに同形同サイズの平板状の電極であり、電池本体3aの上面から僅かの高さだけ上方に突出している。これら一対の電極5(5A、5B)のうち一方の電極は正極5A、他方の電極は負極5Bである。各電池3は、一対の電極5A、5Bを備える面(上面)を上に向けて配列されている。しかも、1つの電池3の正極5Aと、隣接する他の電池3の負極5Bとが交互に隣り合うように配列されている。従って、Y方向の一端側及び他端側においてそれぞれ、X方向に沿って正極5Aと負極5Bが交互に並んでいる。
【0020】
図3に示すように、バスバモジュールユニットMは、一列に配列された複数の電池3を直列に接続するものであり、配列した電池3の個数に応じた数のバスバモジュールM1によって構成されている。1個のバスバモジュールM1は、隣り合う2個の電池3の電極5同士を接続するものである。そのため、Y方向の一端側(例えば図3の左側)では、電池3の配列個数の半分の個数のバスバモジュールM1が使用されている。また、Y方向の他端側(例えば図3の右側)では、電池3の配列個数の半分−2の個数のバスバモジュールM1が使用されている。なお、電源装置1の総正極に接続される端子や総負極に接続される端子については、ここでは説明しない。総正極とは、例えば、Y方向の他端側における電池3の配列方向の一端の電極のことである。総負極とは、例えば、Y方向の他端側における電池3の配列方向の他端の電極のことである。
【0021】
次に、図1及び図2を用いて、単体のバスバモジュールM1の構成について説明する。
図1に示すように、バスバモジュールM1は、平板状の金属製のバスバ10と、複数の電圧検出線(電線)20と、一体成形された樹脂製の電線保持プレート80と、を備えている。平板状のバスバ10は、隣接する2つの電池3の電極5(5A、5B上)に跨がって配置されて、電極5(5A、5B上)間を電気的に接続するものである。
【0022】
複数本の電圧検出線20は、電池3の配列方向に沿って延びるように配索され、順番に1本ずつ先端が各バスバモジュールM1のバスバ10に接続される。これら電圧検出線20の他端側は、図示しないECU(Electronic Control Unit)が備える電圧検出回路に接続される。そして、ECUが、電圧検出回路によって検出された各電池3における一対の電極5A、5Bとの電位差(電圧)に基づいて、各電池3の残量や充放電状態等を検出する。
【0023】
複数の電圧検出線20は、X方向に沿って1列に配列された各バスバモジュールM1毎に1本ずつ必要なものである。そのため、バスバモジュールユニットMを構成した際に、電圧検出線20の基端側では、バスバモジュールM1の全個数分の本数の電圧検出線20が存在する。また、その基端側に近いバスバモジュールM1から遠いバスバモジュールM1に向かって順番に1本ずつ電圧検出線20が割り当てられる。そのため、電圧検出線20の延びるX方向の先端側に行くほど、電圧検出線20の本数が少なくなる。つまり、基端側から一番遠いバスバモジュールM1には、1本の電圧検出線20だけが配索されることになる。
【0024】
平板状のバスバ10と電線保持プレート80は、2個の電池3の上面に対応した大きさを有している。但し、電線保持プレート80は、バスバ10の平面サイズよりも大きな平面サイズに形成されている。そして、電線保持プレート80は、バスバ10の上に重ねられたときに、バスバ10を完全に覆い隠せるようになっている。
【0025】
次にバスバ10について説明する。
バスバ10は、電池集合体2の互いに隣り合う2個の電池3の正極5Aと負極5Bとに接合されることで、これら各電池3を直列に接続する。バスバ10は、導電性の金属板にプレス加工が施されるなどして得られるものであり、互いに隣り合う電池3の正極5A及び負極5Bに載る2つの矩形の接合板部11、11を有している。両接合板部11、11の間の部分の上面には、バスバ10に接続する1本の電圧検出線20を挿入する電線挿入溝12が設けられている。電線挿入溝12の深さは、1本の電圧検出線20を配置して半田や溶接にて接合した場合に、それらが溝内から上に突出しないだけの寸法に設定されている。
【0026】
電線挿入溝12は、バスバ10を構成する金属板を上方から下方に凹ませることで形成されている。この電線挿入溝12が形成された部分の下面側は、断面台形状の凸部12aとなっている。この凸部12aは、両接合板部11、11が正極5Aと負極5Bの上面に載った際に、正極5Aと負極5Bとの間の空所に嵌まる。それにより、凸部12aは、バスバ10を、正極5Aと負極5Bに対して位置決めする役目を果たす。
【0027】
バスバ10の両接合板部11、11は、電池3の正極5Aと負極5Bの上面に載せられ、その状態で、バスバ10の上から溶接される部分である。図2中のWで示す部分は、一例としての溶接箇所を示している。溶接されることにより、バスバ10は、電池3の正極5Aと負極5Bに機械的に接合されると同時に、正極5Aと負極5Bとを電気的に接続する。
【0028】
ここで、図3に示す電源装置1のY方向の一端側(例えば、図3の斜め左下側)及び他端側(例えば、図3の斜め右上側)の各バスバモジュールユニットM(MA、MB)における外側と内側の区別について述べる。一端側のバスバモジュールユニットMA(M)については、矢印Y1側を外側、矢印Y2側を内側とする。他端側のバスバモジュールユニットMB(M)についても、矢印Y1側を外側、矢印Y2側を内側とする。一端側のバスバモジュールユニットMAの各バスバモジュールM1と、他端側のバスバモジュールユニットMBの各バスバモジュールM1は、同形状のものを使用するとした場合、点対称の向きで配置される。また、勝手違いのものを使用するとした場合は、線対称の向きで配置される。そして、各電池3の上面の電極5(5A、5B)は、Y1側の位置(外方寄りの位置)に配置されている。
【0029】
また、電圧検出線20の延在方向(X方向)の区別については、電圧検出線20の延在する方向の基端側(ECUへの接続側)をX1側(図1図3中の斜め左上側)とし、先端側をX2側(図1図3中の斜め右下側)とする。
【0030】
図1に示すように、バスバ10の両接合板部11、11は、電線挿入溝12を挟んで、X方向の両側に配置されている。バスバ10の電線挿入溝12には、Y2方向側(内側)から1本の電圧検出線20の先端が挿入される。電圧検出線20は、被覆電線であり、絶縁被覆22が剥がされた先端が、電線挿入溝12の長さ方向の中間近くまで挿入される。そして、その位置で、露出した芯線導体21の先端が、半田や溶接によりバスバ10の電線挿入溝12の内底面に接合される。
【0031】
バスバ10のY2方向側(内側)の端部近傍には、電線挿入溝12に挿入される電圧検出線20を位置決めして押圧固定する電線留め具70の挿入孔15が設けられている。電線留め具70は、樹脂成形された小部材であり、帯板状の頭部71と、その下面中央の押圧凸部73と、を有する。また、電線留め具70は、頭部71の下面で押圧凸部73の両外側に、下向きに突設された2本の差し込みピン72を有する。押圧凸部73は、バスバ10の電線挿入溝12に嵌まる部分として形成されている。押圧凸部73の中央下面には、電圧検出線20の絶縁被覆22の付いた部分の嵌まるV溝73aが形成されている。
【0032】
バスバ10のY2方向側(内側)の端部近傍の挿入孔15は、電線留め具70の差し込みピン72の差し込まれる貫通した孔である。これら挿入孔15は、電線留め具70の2本の差し込みピン72の位置に対応して、電線挿入溝12のX方向の両側に設けられている。
【0033】
次に電線保持プレート80について説明する。
樹脂の一体成形品よりなる電線保持プレート80は、バスバ10の上面に重ねて配置される。電線保持プレート80は、複数の電圧検出線20を、電池3の配列方向(X方向)に沿って延びるように互いに平行に且つ平面状に並べた状態で保持する役目を担う。但し、電圧検出線20の一番先端側に位置するバスバモジュールMの電線保持プレート20には、1本だけしか電圧検出線20は配索されない。
【0034】
電線保持プレート80は、基板として機能する第1プレート30と、中蓋として機能する第2プレート50との間に、複数本の電圧検出線20を平面状に並べて保持する2枚合わせのプレートとして構成されている。図1に示す各上面が、第1プレート30と第2プレート50の合わせ面である。基板として機能する第1プレート30のプレート本体31の合わせ面には、複数本の電圧検出線20の配索をそれぞれガイドする複数本の配索溝42が設けられている。配索溝42は、配索する電圧検出線20の本数だけY方向に並べて配置され、X方向の一端から他端まで互いに平行に延びている。これらの配索溝42に1本ずつ電圧検出線20を挿入することで、フラットケーブルのように、複数本の電圧検出線20を平面状に整列した状態で配索することができる。
【0035】
配索溝42は、第1プレート30のプレート本体31の合わせ面(図1の上面)に凸条のリブ41をY方向に一定間隔で複数設けることにより、隣接するリブ41、41間に設けられている。各リブ41のX方向の長さの中間部には、リブ41の途切れた切欠部41aが設けられている。この各リブ41の切欠部41aがY方向に一列に並ぶことにより、プレート本体31上に、X方向に延びる配索溝42と直交するY方向の電線引出溝41bが形成されている。この電線引出溝41bは、任意の配索溝42に配索されている1本の電圧検出線20を、Y1方向(外側)に向けて引き出すための溝である。なお、電線引出溝41bは、プレート本体31のX方向の長さの中間位置よりもX1側に偏った位置に配置されている。
【0036】
また、配索溝42を形成する各リブ41の上面の電線引出溝41bよりX1方向寄りの位置には、配索溝42に挿入した電圧検出線20の抜け止めのための電線係止凸部41cが突設されている。電線係止凸部41cは、配索溝42の上に張り出した突起部分(図示略)を有している。プレート本体31には、樹脂成形上の必要に応じて、各電線係止凸部41cの突起部分の成形のための型抜き孔41d(図4参照)が設けられている。この型抜き孔41dは、配索溝42に電圧検出線20が挿入されているかどうかを確認する確認窓としても利用可能である。
【0037】
第1プレート30と第2プレート50は、配索溝42の並び方向の一端側(Y2方向側)の側縁同士が第1のヒンジ52で回動自在に連結されることにより、両プレート30、50の合わせ面を開閉可能としている。第1プレート30の第1のヒンジ52側の側縁には、配索溝42を形成するリブ41と同様の端部リブ43が設けられている。この端部リブ43の上面には、上向きに複数の係合爪(係合部)49が間隔をおいて突設されている。これらの係合爪49は、電線保持プレート80をバスバ10の上面に載せたとき、バスバ10の側縁に係合して電線保持プレート80をバスバ10に固定するためのものである。そのため、係合爪49の先端に内向きの(Y1方向を向いた)爪部49aが設けられている。この爪部49aを成形するため、プレート本体31には、型抜き孔49b(図4参照)が設けられている。また、第2プレート50の第1のヒンジ52側の側縁には、第1プレート30と第2プレート50を重ね合わせたときに、第1プレート30の係合爪49の先端が突き抜ける逃がし孔59が設けられている。
【0038】
また、第1プレート30の第1のヒンジ52と反対側(Y1方向側)の側縁には、帯板状の第2のヒンジ32を介して、補助プレート33が回動自在に連設されている。この第2のヒンジ32のY2方向の幅は、後述するように、補助プレート33に対して第1プレート30を折り曲げて重ねたときに、引き出す1本の電圧検出線20に無理な屈曲を与えない余裕寸法に設定されている。
【0039】
第1プレート30の合わせ面(図1中の上面)上の第2のヒンジ32の近傍には、X方向に並べて2つの長方形枠状リブ44、44が設けられている。これら長方形枠状リブ44の高さは、前述した配索溝42を形成するリブ41と同じ高さである。両長方形枠状リブ44、44は、一つの長辺がプレート本体31の側端面に面一となるように形成されている。
【0040】
2つの長方形枠状リブ44、44は、電線引出溝41bの延長線の位置で互いに隣接しており、その隣接した箇所には、電線引出溝41bの溝幅とほぼ同じ間隔の電線引出スペース44sが設けられている。また、両長方形枠状リブ44、44の電線引出スペース44sを挟んで隣接する位置の上面には、接続電線案内部としての一対の位置決めピン45、45が突設されている。これら一対の位置決めピン45、45は、それらの間に1本の電圧検出線20を通すことで、電圧検出線20の位置決め及び電線保持を行う役目を果たす。また、X2方向側の長方形枠状リブ44の内側に位置するプレート本体31上には、後述する補助プレート33側の位置決めピン36の差し込み孔46が設けられている。
【0041】
また、第1プレート30のプレート本体31のX方向の両端には、Y方向の両端に位置させて弾性アーム48が設けられている。これら弾性アーム48は、バスバモジュールM1を隣接配置した際に、互いに接触し合うことで、バスバモジュールM1同士の位置の誤差を吸収する役目を果たす。なお、こられの弾性アーム48を用いて隣接するバスバモジュールM1を連結することも可能である。
【0042】
第2プレート50のプレート本体51は、第1プレート30のプレート本体31と同じ大きさに形成されている。第2プレート50のプレート本体51には、第1プレート30のリブ41、44のような突部は設けられていず、プレート本体51の合わせ面(図1中の上面)は単なる平面として形成されている。第2プレート50のプレート本体51には、第2プレート50を第1プレート30の上に重ね合わせたとき、第1プレート30側の電線係止凸部41cが挿入される逃がし溝57が設けられている。この電線係止凸部41cが挿入される逃がし溝57は、電線係止凸部41cの配列方向であるY方向に延びている。
【0043】
また、第2プレート50のプレート本体51には、更に、電線保持プレート80をバスバ10の上に重ねたときに、電線留め具70の頭部71の挿入される逃がし溝58が設けられている。この電線留め具70の頭部71の逃がし溝58は、第1のヒンジ52から遠い方の側縁の近傍に配置されている。これら2つの逃がし溝57、58は、L字形の溝として連続して形成されている。
【0044】
また、第2プレート50のプレート本体51の第1のヒンジ52から遠い方の側縁の近傍には、X方向に沿って一列に4つの差し込み孔55、55、56、56が設けられている。これら4つのうちX1方向寄りの2つの差し込み孔55、55は、第1プレート30の位置決めピン45、45の差し込み孔である。X1方向寄りの2つの差し込み孔56、56は、後述する補助プレート33の位置決めピン36、36の差し込み孔である。
【0045】
第1プレート30のプレート本体31に対して第2のヒンジ32により回動自在に連結された補助プレート33は、Y方向の幅が小さく、X方向の長さが長い、帯板状のプレートである。補助プレート33のX方向の長さは、バスバ10のX方向の長さとほぼ等しく設定されている。補助プレート33の第2のヒンジ32と反対側の側縁には、バスバ10のX2方向の側縁が位置づけされる。バスバ10は、補助プレート33の側縁に位置づけされた状態で、補助プレート33に仮固定されてもよいし、仮固定されなくてもよい。バスバ10を補助プレート33に仮固定する場合は、補助プレート33の適当な位置に仮固定片などを設けて行うことができる。
【0046】
補助プレート33のプレート本体33aの上面には、バスバ10の2つの接合板部11、11の各X方向の寸法に対応させて、2つのC枠状リブ34、34が突設されている。C枠状リブ34は、X方向の長さのちょうど中間の位置で2つに分かれており、その中間の位置に1本の電圧検出線20を通す電線挿入スペース34sを確保した状態で互いに近接している。両C枠状リブ34、34の電線挿入スペース34sを挟んで隣接する位置の上面には、接続電線案内部としての一対の位置決めピン36、36が突設されている。これらの位置決めピン36、36は、それらの間に1本の電圧検出線20を通すことで、電圧検出線20の位置決め及び電線保持を行う役目を果たす。また、X1方向側のC枠状リブ34の内側に位置するプレート本体33a上には、第1プレート30の位置決めピン45、45の差し込み孔35、35が設けられている。なお、C枠状リブ34は、バスバ10の位置づけされるY1方向の側縁には形成されていない。そのことで、C枠状リブ34は、C字状となっている。
【0047】
次に、バスバモジュールM1の組み立て手順、及び、電池集合体2への組み付け手順について説明する。
なお、以下に述べる手順は一例であって、その他の手順で行っても勿論よい。
【0048】
まず最初に、必要個数及び本数の電線保持プレート80、バスバ10、電圧検出線20を用意する。電圧検出線20の長さは、予め順番に決めてあるものとする。そして、一列に配列すべきバスバモジュールM1に対して順番に1本ずつ電圧検出線20を割り当てる。
【0049】
次に、割り当てに従って順番に、複数の電圧検出線20を、各バスバモジュールM1の電線保持プレート80の配索溝42に配索する。即ち、図1に示すように、第1プレート30と第2プレート50を開いた状態にして、第1プレート30の配索溝42に順番に電圧検出線20を挿入して整列配索する。この際、各バスバモジュールM1に割り当てられた1本の電圧検出線20は、第2のヒンジ32に一番近い位置に配索されている。
【0050】
そこで、その1本の電圧検出線20を、配索溝42の途中から折り曲げて、電線引出溝41bと一対の位置決めピン45、45間に挿入しながら、第1プレート30から補助プレート33側に引き出す。補助プレート33側に引き出した1本の電圧検出線20は、L字形に屈曲させながら、補助プレート33の一対の位置決めピン36、36の間に挿入する。こうすることで、バスバモジュールM1に接続すべき1本の電圧検出線20の先端部を、電線保持プレート80のY1方向に位置決めしながら引き出すことができる。
【0051】
一方、補助プレート33のY1方向の側縁に、バスバ10のY2方向の側縁を位置づけする。この際、必要に応じてバスバ10と補助プレート33を仮固定する。そして、補助プレート33から引き出した電圧検出線20の先端を、バスバ10の電線挿入溝12に導入する。さらに、電線留め具70の2本の差し込みピン72を挿入孔15に挿入して電圧検出線20の絶縁被覆22を電線挿入溝12とV溝73aとによって挟持し、電圧検出線20の先端部を固定する。尚、ここまでの工程では、電圧検出線20を電線保持プレート80の配索溝42に配索した後、電圧検出線20の先端部を電線留め具70によって固定する順序であった。これに代えて、電圧検出線20の先端部を電線留め具70によって固定した後、電圧検出線20を電線保持プレート80の配索溝42に配索する順序であってもよい。
【0052】
この状態で、図2に示すように、第1のヒンジ52を曲げて、第1プレート30の上面に第2プレート50を中蓋として重ねて、電線保持プレート80を閉じる(図1中の矢印A1の閉じ操作)。この際、第1プレート30の電線係止凸部41cは、第2プレート50の逃がし溝57に吸収される。また、第1プレート30の位置決めピン45は、第2プレート50の差し込み孔55に挿入される。
【0053】
次に、図3に示すように、一列分の全数のバスバモジュールM1を電池集合体2の上に載せる。即ち、各バスバモジュールM1のバスバ10を、隣接する電池3の正極5Aと負極5Bの上に跨がるように位置決めして載せる。そして、2枚合わせに閉じた状態の電線保持プレート80をバンド状の保持治具Sで押さえる。
【0054】
この状態で、図2に示すように、バスバ10の両接合板部11、11を隣接する電池3の正極5Aと負極5Bの上面に溶接して固定する。また、バスバ10の電線挿入溝12に導入した電圧検出線20の芯線導体21の先端を、バスバ10に溶接または半田により接合する。なお、このバスバ10に対する電圧検出線20の接合は、バスバモジュールM1を電池集合体2の上に載せる前の段階で行っておいてもよい。
【0055】
バスバ10の電池3への固定が終わったら、図4図6に示すように、第2のヒンジ32を曲げて、電線保持プレート80を、バスバ10及び補助プレート33の上に重ねる((図2中の矢印A2の閉じ操作)。その際、第2プレート50の逃がし孔59から先端が突出した第1プレート30側の係合爪49が、バスバ10のY1方向の側縁に係合する。これにより、電線保持プレート80が、電池3の電極5に接合されたバスバ10に固定され、バスバモジュールM1の取り付けが完了する。完了後は、保持治具Sを外せばよい。
【0056】
このようにバスバ10と補助プレート33の上に電線保持プレート80を重ねた場合、第1プレート30の位置決めピン45は、補助プレート33の差し込み孔35に吸収される。また、補助プレート33の位置決めピン36は、第1プレート30の差し込み孔46を貫通し、第2プレート50の差し込み孔56に吸収される。
【0057】
以上の説明のように、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、平板状のバスバ10の上面に、複数の電圧検出線(電線)20を平面状に並べた状態で保持する電線保持プレート80を重ねることができる。従って、高さ方向の寸法H及び幅方向の寸法Kの縮小が可能であり、コンパクト化することができる。
【0058】
また、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、電線保持プレート80を2枚合わせのプレート(第1プレート30及び第2プレート50)で構成し、両プレートの合わせ面に配索溝42を設けている。そのため、複数の電圧検出線20を容易に、電池3の配列方向に沿って延びるように互いに平行に且つ平面状に並べて配索することができ、その状態で確実に保持することができる。また、バスバ10に接続すべき1本の電圧検出線20ついては、接続電線案内部としての位置決めピン45、45、36、36によって容易にバスバ10に向けて案内することができる。また、第2プレート50を閉じた状態で、電池3に対するバスバ10の接合を行うことができるので、電圧検出線20の配索作業と電池3の接合作業を完全に分けて行うことができる。
【0059】
また、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、第1プレート30と第2プレート50を第1のヒンジ52で連結している。従って、第1のヒンジ52を曲げることにより、容易に互いの位置合わせを行いながら、両プレート(第1プレート30と第2プレート50)を重ね合わせることができる。また、第1プレート30と第2プレート50を一体化できるので、部品点数を減らせる。
【0060】
また、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、基板側(本体側)となる第1プレート30に配索溝42を設け、配索溝42に電圧検出線20を配索した後に、蓋側(中蓋)となる第2プレート50を重ねる。従って、複数の電圧検出線20を、飛び出しの心配なく、両プレート(第1プレート30及び第2プレート50)間に保持することができる。また、その状態で、第1プレート30と補助プレート33の第2のヒンジ32の近傍に設けた接続電線案内部としての位置決めピン36、36により、バスバ10に接続する1本の電圧検出線20を案内することができる。従って、簡単な作業で、複数の電圧検出線20とバスバ10に接続する1本の電圧検出線20の配索を完了することができる。
【0061】
また、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、電線保持プレート80の係合爪(係合部)49により、複数の電圧検出線20を保持した状態の電線保持プレート80をバスバ10の上に載せるだけで、容易に電線保持プレート80をバスバ10に固定できる。
【0062】
また、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、バスバ10を電池3の電極5上に重ねた状態でバスバ10上から溶接するだけで、バスバ10を電極5に固定することができる。そのため、電線保持プレート80を安定した姿勢でバスバ10上に重ねることができる上、バスバモジュールM1の取り付け部分の高さ寸法Hを最小に抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、逃がし溝57、58や逃がし孔59あるいは差し込み孔35、46、55、56を設けることで、プレートを重ね合わせた際の突起部分(差し込みピンど)を吸収するようにしている。そのため、重ね合わせた際の高さ寸法を最小に抑えることができる。
【0064】
次に比較例と比べて本実施形態の利点を述べる。なお、比較例を示す各図において、本実施形態と同一構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
まず、図7図9を参照して、比較例として示すバスバモジュール101について説明する。
図7は、比較例の電源装置の外観斜視図、図8は、比較例のバスバモジュール101の平面図、図9は、比較例のバスバモジュール101の電線収容部110の断面図である。
【0066】
図7及び図8に示すように、電池集合体102は、複数の電池103を一列に配列したものである。各電池3の上面には、円柱状の電極105A、105Bが突設されている。バスバモジュール101は、樹脂ケース108と、隣り合う電池103の正極105Aと負極105Bを接続するバスバ106と、バスバ106に重ねられる電圧検出端子107と、を有している。電圧検出端子107は、それぞれ電圧検出線20(図9参照)に接続されている。
【0067】
この比較例のバスバモジュール101では、樹脂ケース108に、バスバ106及び電圧検出端子107を収容するバスバ収容部109と、電圧検出線20を収容する電線収容部110とが設けられている。バスバ収容部109と電線収容部110は、電池集合体102の電池103の配列方向と直交する幅方向(横方向)に並べて配置されている。電線収容部110は、樋状の本体部110aに蓋体110bをヒンジ結合したもので、電圧検出線20は、樋状の本体部110aの内部にランダムに束になって収容される。
【0068】
このように、比較例のバスバモジュール101では、電圧検出線20がバスバ106の横方向に配索される関係で、幅方向の寸法K1が大きくなる。また、バスバ収容部109や電線収容部110自体に相応の高さがある関係で、バスバモジュール101の取り付け状態での高さH1が大きくなりやすい。
【0069】
これに対して、本実施形態のバスバモジュールM1によれば、図4及び図5に示すように、高さ寸法Hも幅寸法Kも縮小できるので、電池集合体2に組み付けた状態でのコンパクト化を図ることができる。
【0070】
ここで、上述した本発明に係るバスバモジュール及び電源装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
直線的に配列された複数の電池(3)よりなる電池集合体(2)の隣接する2つの電池(3)の電極(5A、5B)上に跨がって配置されて前記電極(5A、5B)間を電気的に接続する平板状のバスバ(10)と、
前記電池(3)の配列方向に沿って延びるように配索され、1本が前記バスバに接続される複数本の電線(電圧検出線20)と、
前記バスバ(10)の上面に重ねて配置され、前記複数本の電線(電圧検出線20)を、前記電池(3)の配列方向に沿って延びるように互いに平行に且つ平面状に並べた状態で保持する樹脂製の電線保持プレート(80)と、
を備えることを特徴とするバスバモジュール(M1)。
[2]
上記[1]に記載のバスバモジュール(M1)であって、
前記電線保持プレート(80)は、第1プレート(30)と第2プレート(50)との間に前記複数本の電線(20)を平面状に並べて保持する2枚合わせのプレートとして構成され、前記第1プレート(30)と前記第2プレート(50)の合わせ面に前記複数本の電線(20)の配索をガイドする複数本の配索溝(42)を有すると共に、前記複数本の電線(20)のうちの1本を前記バスバ(10)に接続するために該バスバ(10)に向けて案内する接続電線案内部(位置決めピン45、36)を有する、
ことを特徴とするバスバモジュール(M1)。
[3]
上記[2]に記載のバスバモジュール(M1)であって、
前記第1プレート(30)と前記第2プレート(50)は、これら両プレート(30、50)の前記配索溝(42)の並び方向の側縁同士がヒンジ(第1のヒンジ52)で回動自在に連結されることにより、両プレート(30、50)の合わせ面を開閉可能としている、
ことを特徴とするバスバモジュール(M1)。
[4]
上記[3]に記載のバスバモジュール(M1)であって、
前記第1プレート(30)の前記第2プレート(50)との合わせ面に前記配索溝(42)が形成され、前記第1プレート(30)の前記ヒンジ(第1のヒンジ52)と反対側の側縁に第2のヒンジ(32)を介して補助プレート(33)が一体に連設され、前記第1プレート(30)及び前記補助プレート(33)の前記第2のヒンジ(32)の近傍に前記接続電線案内部(位置決めピン45、36)が設けられている、
ことを特徴とするバスバモジュール(M1)。
[5]
上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のバスバモジュール(M1)であって、
前記電線保持プレート(80)は、該電線保持プレート(80)を前記バスバ(10)の上面に載せた際に、前記バスバ(10)と係合して前記バスバ(10)に前記電線保持プレート(80)を固定する係合部(係合爪49)を備えている、
ことを特徴とするバスバモジュール(M1)。
[6]
上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のバスバモジュール(M1)であって、
前記バスバ(10)は、上面が平面状に形成された前記電池(3)の電極(5A、5B)の上に重ねた状態で、該電極(5A、5B)に前記バスバ(10)の上から溶接されるものである、
ことを特徴とするバスバモジュール(M1)。
[7]
直線的に配列された複数の電池(3)で構成された電池集合体(2)と、
前記電池集合体(2)に重ねて取り付けられると共に、前記電池(3)が直列接続されるように、前記各電池(3)を互いに電気的に接続するバスバモジュール(M1)と、
を備える電源装置(1)において、
前記バスバモジュール(M1)として、上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のバスバモジュール(M1)が、前記電池(3)の配列方向に沿って複数設けられ、
これら電池(3)の配列方向に設けられた複数の各バスバモジュール(M1)の前記複数の電線として、前記電池(3)の配列方向に延びる複数の電圧検出線(20)を備え、これら複数の電圧検出線(20)が、前記各バスバモジュール(M1)の電線保持プレート(80)によって保持されており、
前記電圧検出線(20)のうちの1本が順番に前記各バスバモジュール(M1)のバスバ(10)に接続されている、
ことを特徴とする電源装置(1)。
【符号の説明】
【0071】
1 電源装置
2 電池集合体
3 電池
5 電極
5A 正極(電極)
5B 負極(電極)
10 バスバ
20 電圧検出線(電線)
30 第1プレート
32 第2のヒンジ
33 補助プレート
36,45 位置決めピン(接続電線案内部)
42 配索溝
49 係合爪(係合部)
50 第2プレート
52 第1のヒンジ
80 電線保持プレート
M1 バスバモジュール
M バスバモジュールユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9