特許第6605575号(P6605575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605575
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】糸群を引き出しかつ処理する装置
(51)【国際特許分類】
   D02J 1/00 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   D02J1/00 Z
   D02J1/00 L
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-501477(P2017-501477)
(86)(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公表番号】特表2017-509810(P2017-509810A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2015055087
(87)【国際公開番号】WO2015144440
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2017年12月22日
(31)【優先権主張番号】102014004527.7
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014018027.1
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ピーパー
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー シェアマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル コハネク
(72)【発明者】
【氏名】マークス シュタメン
(72)【発明者】
【氏名】フィリプ ユングベッカー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス エーファーツ
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534284(JP,A)
【文献】 特表2013−535586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 1/00−3/48
D02J 1/00−13/00
D01D 1/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの駆動されるゴデット(2.1,2.2)と1つの交絡装置(4)とを備えており、該交絡装置(4)は、糸走路において前記ゴデット(2.1,2.2)の間に配置されていて、糸毎に1つの処理通路(5)を有している、溶融紡糸プロセスにおいて糸群(36)を引き出しかつ処理する装置であって、
前記交絡装置(4)の出口側(6)に吸込み管片(9)が配置されており、該吸込み管片(9)は、自由端部に吸込み開口(9.1)を有していて、かつ反対側に位置する端部で、吸込み装置(10)に接続されており、
前記交絡装置(4)の入口側(7)に、第2の吸込み管片(8)が配置されていて、該第2の吸込み管片(8)は、自由端部に吸込み開口(8.1)を有していて、反対側に位置する端部で、前記吸込み装置(10)に接続されていることを特徴とする、糸群(36)を引き出しかつ処理する装置。
【請求項2】
前記出口側(6)における前記吸込み管片(9)の前記吸込み開口(9.1)および/または前記入口側(7)における前記吸込み管片(8)の前記吸込み開口(8.1)は、突出する吸込みトラフ(8.2,9.2)を有しており、該吸込みトラフ(8.2,9.2)は、前記交絡装置(4)の前記処理通路(5)の複数の出口開口(11)に沿ってまたは前記処理通路(5)の複数の入口開口(12)に沿って延びている、請求項記載の装置。
【請求項3】
前記吸込み管片(8,9)は管部材(17.1,17.2)によって形成されていて、該管部材(17.1,17.2)は、前記吸込みトラフ(8.2,9.2)の領域に切欠き(19.1,19.2)を有していて、前記管部材(17.1,17.2)は自由端部において管底部(37)によって画定されている、請求項記載の装置。
【請求項4】
前記吸込みトラフ(9.2)と前記処理通路(5)の前記出口開口(11)との間において、複数の走出側糸ガイド(13)が保持金属薄板(14.2)に保持されており、このとき該保持金属薄板(14.2)は複数の貫通開口(15.2)を有している、請求項記載の装置。
【請求項5】
前記吸込みトラフ(8.2)と前記処理通路(5)の前記入口開口(12)との間において、複数の走入側糸ガイド(16)が保持金属薄板(14.1)に保持されており、このとき該保持金属薄板(14.1)は複数の貫通開口(15.1)を有している、請求項記載の装置。
【請求項6】
前記出口側における前記吸込み管片(9)および/または前記入口側における前記第2の吸込み管片(8)は、吸込みボックス(56.1,56.2)によって形成されており、このとき前記吸込み開口(9.1,8.1)は、前記吸込みボックス(56.1,56.2)の長辺側に形成され、かつ前記吸込み装置(10)に接続された流出開口(50.1,50.2)は、前記吸込みボックス(56.1,56.2)の端面側に形成されている、請求項記載の装置。
【請求項7】
前記吸込み開口(9.1,8.1)の内部に複数の空気案内金属薄板(51)が配置されていて、該空気案内金属薄板(51)は、前記流出開口(50.1,50.2)に対して傾斜して前記吸込みボックス(56.1,56.2)の前記長辺側に分配して保持されている、請求項記載の装置。
【請求項8】
前記吸込みボックス(56.1,56.2)の前記流出開口(50.1,50.2)は、吸込み開口(52.1,52.2)に開口しており、このとき前記流出開口(50.1,50.2)は、前記吸込み開口(52.1,52.2)に比べて小さな開口横断面を有している、請求項または記載の装置。
【請求項9】
前記交絡装置(4)は、ゴデットボックス(22,33)の内部に配置されており、前記交絡装置(4)の周囲が、前記吸込み開口(52.1,52.2)を通して吸込み可能である、請求項記載の装置。
【請求項10】
前記交絡装置(4)は、保持体(53)と、該保持体(53)の上側に配置された縦長のノズルブロック(54)とを有していて、該ノズルブロック(54)は互いに並んで位置する処理通路(5)を有しており、このとき保持体(53)は、前記ノズルブロック(54)の少なくとも1つの側に各1つの流れ輪郭(55)を、前記吸込み管片(9)の前記吸込み開口(9.1)に向かって有している、請求項からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記吸込み開口(9.1)と前記処理通路(5)の前記出口開口(11)との間において、複数の走出側糸ガイド(13)が保持金属薄板(14.2)に保持されており、このとき該保持金属薄板(14.2)は保持体(53)に固定されていて、かつ該保持体(53)の前記流れ輪郭(55)の端部に複数の貫通開口(15.2)を有している、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記吸込み開口(8.1)と前記処理通路(5)の前記入口開口(12)との間において、複数の走入側糸ガイド(16)が保持金属薄板(14.1)に保持されており、このとき該保持金属薄板(14.1)は保持体(53)に固定されていて、かつ該保持体(53)の前記流れ輪郭(55)の端部に複数の貫通開口(15.1)を有している、請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記ゴデット(2.1,2.2)、前記交絡装置(4)および前記吸込み管片(8,9)は、取付け壁(1)に保持されており、このとき前記ゴデット(2.1,2.2)のゴデット周壁(18.1,18.2)、前記交絡装置(4)の前記処理通路(5)および前記吸込み管片(8,9)の前記吸込み開口(8.1,9.1)は、前記取付け壁(1)の前側(20)に保持されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記ゴデット周壁(18.1,18.2)、前記処理通路(5)および前記吸込み管片(8,9)は、前記取付け壁(1)において、カバー(22)によって周囲に対して遮蔽されている、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記カバー(22)は、異形ドア(23)によって形成されており、該異形ドア(23)は前記取付け壁(1)に旋回可能に保持されていて、かつ内側(39)に、糸通過開口(26.1,26.2)を備えた複数の仕切り壁(25.1,25.2)を有している、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記ゴデットのうちの1つのゴデット(2.1)に、糸走入装置(27)が対応配置されていて、該糸走入装置(27)は、前記カバー(22)の内部において前記取付け壁(1)に保持されている、請求項14または15記載の装置。
【請求項17】
前記取付け壁(1)は、巻取り機(28)の機械フレーム(29)に支持されており、このとき前記ゴデットのうちの1つのゴデット(2.2)は、前記巻取り機(28)の端面の領域に保持されている、請求項13から16までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載された、溶融紡糸プロセスにおいて糸群を引き出しかつ処理する装置に関する。
【0002】
溶融紡糸プロセスにおいて糸群を引き出しかつ処理するこのような装置は、独国特許出願公開第10343462号明細書に基づいて公知である。
【0003】
溶融紡糸プロセスにおいて合成糸を製造する場合、ポリマ溶融物から細いフィラメントストランドが押し出され、冷却後にそれぞれ1つのマルチフィラメント糸にまとめられる。このとき通常、複数の糸が1つの糸群として紡糸装置から引き出され、さらなる処理ステップへと案内される。フィラメントを糸にまとめることは、好ましくは冷却直後にフィラメントストランドに塗布される湿潤剤によって保証される。このような油剤によって生ぜしめられる糸束は、しかしながらさらなる加工プロセスのために不十分であるので、糸は、巻取り前に別個の処理ステップにおいて圧縮空気によって交絡される。
【0004】
独国特許出願公開第10343462号明細書に基づいて公知のように、糸を交絡するための処理ステップは、好ましくは駆動される2つのゴデットの間において実施される。そこで交絡装置が、糸走路において駆動される2つのゴデットの間に配置されていて、それぞれのマルチフィラメント糸に対して別個の処理通路を有している。圧縮空気による糸のこのような処理によって、交絡装置のそれぞれの作業圧に関連して、部分的に糸の浮遊成分が吹出し流によって交絡装置の処理通路から外に運び出されることが生じる。
【0005】
従って、周囲に対する極めて強い負荷を回避するために、例えば国際公開第2009/013107号に基づいて公知の交絡装置は、油剤供給装置と一緒に1つのハウジング内に配置されている。ハウジング内において集められた浮遊成分、好ましくは、液体残留物は、吸込み接続部を介して排出される。この公知の装置は、糸を湿潤する処理ステップと糸を交絡する処理ステップとの組合せを必要とするが、両処理ステップはしばしば、溶融紡糸プロセスの完全に異なる箇所において行われる。
【0006】
しかしながら独国特許出願公開第10006196号明細書に基づいて公知の装置では、複数のゴデットおよび複数の交絡装置が一緒に1つのハウジング内に配置されており、このハウジングにおいて、交絡によって発生する浮遊成分が、吸込みによって吸収されて排出されるようになっている。しかしながらこの構成では、ハウジング内に配置されたすべての部材、つまりゴデットも、浮遊成分による負荷を受ける環境に配置されているという問題が発生する。
【0007】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の、糸群を引き出しかつ処理する装置を改良して、交絡装置の近傍周囲において可能な限り汚れが発生しないようにすることである。
【0008】
この課題を解決するために、本発明の構成では、交絡装置の出口側に吸込み管片が配置されており、該吸込み管片は、自由端部に吸込み開口を有していて、かつ反対側に位置する端部で、吸込み装置に接続されている。
【0009】
本発明の別の態様は、各従属請求項に記載の特徴および特徴の組合せによって確定されている。
【0010】
本発明は、処理通路から発生する吹出し空気が交絡装置の出口側において直に吸収されかつ排出されることによって傑出している。吸込み管片の構成に応じて、吸込み管片は糸走路平面の下、上またはその高さに配置することができる。これによって、交絡装置の出口側において発生する吹出し流を、連続的に吸収して排出することができる。
【0011】
処理通路の内部におけるマルチフィラメント糸の圧縮空気処理時には、吹出し空気の一部しか出口側に達しないので、本発明の特に好適な態様では、交絡装置の入口側に、第2の吸込み管片が配置されていて、該第2の吸込み管片は、自由端部に吸込み開口を有していて、反対側に位置する端部で、吸込み装置に接続されている。このように構成されていると、処理通路の、糸走路に向けられた吹出し流を、入口側において吸収して排出することができ、好適である。このような態様においても、吸込み管片の構造上の構成に応じて、糸周囲の吸込みが可能である。
【0012】
多数の糸が存在する場合、ひいては交絡装置における処理通路が多数存在する場合にも、出口側および/または入口側において集中的な吸込み作用を生ぜしめることができるようにするために、本発明の別の態様では、出口側における吸込み管片の吸込み開口および/または入口側における吸込み管片の吸込み開口は、突出する吸込みトラフを有しており、該吸込みトラフは、交絡装置の処理通路の複数の出口開口に沿ってまたは処理通路の複数の入口開口に沿って延びている。このように構成されていると、処理通路の出口開口および入口開口の数によって吸込み作用の調整が可能である。
【0013】
特に好適な態様では、吸込み管片は管部材によって形成されていて、該管部材は、吸込みトラフの領域に切欠きを有していて、前記管端部は自由端部において管底部によって画定されている。このように構成されていると、吸込み開口の直ぐ近傍で吸込みトラフの上に僅かな間隔をおいて位置する糸ガイドを実現することができる。これにより、糸の周囲を特に強力に吸い込むことができる。
【0014】
糸案内のために、処理通路の出口開口には複数の走出側糸ガイドが対応配置されていて、これらの走出側糸ガイドは、一緒に保持金属薄板に配置されている。しかしながら処理通路の出口開口において均一な吸込み作用を得るために、保持金属薄板は、吸込みトラフと出口開口との間において複数の貫通開口を備えて形成されている。
【0015】
相応の構成は、交絡装置の入口側においても実現することができるので、吸込みトラフと処理通路の入口開口との間において、複数の走入側糸ガイドが保持金属薄板に保持されており、このとき該保持金属薄板は複数の貫通開口を有している。
【0016】
交絡装置の出口開口および/または入口開口を通して生ぜしめられる吹出し流を直に吸収するために、本発明の好適な態様では、出口側における吸込み管片および/または入口側における第2の吸込み管片は、ボックス形に吸込みボックスとして形成されており、このとき吸込み開口は、吸込みボックスの長辺側に形成され、かつ吸込み装置に接続された流出開口は、吸込みボックスの端面側に形成されている。
【0017】
吸込み開口を介して吸込み管片に進入する吹出し流を流出開口に向かって変向させる変向装置は、好ましくは複数の空気案内金属薄板によって形成されており、これらの空気案内金属薄板は、傾斜させられて吸込みボックスの長辺側に分配して保持されている。このようにして、直に吸込み開口に進入する吹出し流を流出開口に向かって変向させることができる。
【0018】
可能な限り大きな糸周囲を交絡装置において吸い込むことができるようにするために、本発明の別の態様では、吸込みボックスの流出開口は、吸込み開口に開口しており、該吸込み開口は、流出開口よりも大きな開口横断面を有している。これによって、吸込み開口の一部を、交絡装置の周囲に直に接続することができる。
【0019】
このような態様は、1つのゴデットボックス内に交絡装置が配置されているような場合のために特に好適である。
【0020】
糸運動にもかかわらず、吹出し流の、可能な限り大部分を交絡装置において吸い込むことができるようにするためには、さらに、交絡装置は保持体と、該保持体の上側に配置された縦長のノズルブロックとを有していて、該ノズルブロックは互いに並んで位置する処理通路を有しており、このとき保持体は、ノズルブロックの少なくとも1つの側に各1つの流れ輪郭を、吸込みボックスの吸込み開口に向かって有している。これによっていわゆるコアンダ効果により、吹出し流を好適に吸込み開口に向かって直に変向させることができる。
【0021】
糸の案内および安定化のために、出口側および入口側にはそれぞれ複数の糸ガイドが設けられている。吸込み開口への吹出し流の進入を阻止しないようにするために、さらに、走出側糸ガイドが保持金属薄板に保持されており、該保持金属薄板は保持体に固定されていて、かつ該保持体の流れ輪郭の端部に複数の貫通開口を有している。これによって一方では、自由な糸部分を糸の交絡時に最小長さに制限することができ、かつ他方では、吹出し流を連続的に吸込み開口に供給することができる。
【0022】
入口開口が同様に吸込み管片を通して吸い込まれる場合に対しては、走入側糸ガイドの取付けが等価に形成されており、これにより入口側においても、吹出し流の連続的な吸込みが可能である。
【0023】
糸ガイド周囲と電気式駆動装置との間における切離しを実現する、本発明の好適な態様では、ゴデット、交絡装置および吸込み管片は、取付け壁に保持されており、このときゴデットのゴデット周壁、交絡装置の処理通路および吸込み管片の吸込み開口は、取付け壁の前側に保持されている。このように構成されていると、取付け壁の前側における隔離された糸周囲を、好適に実現することができる。
【0024】
周囲に対する影響を制限するために、さらに別の態様では、ゴデット周壁、処理通路および吸込み管片は、取付け壁において、カバーによって周囲に対して遮蔽されている。
【0025】
このときカバーが異形ドアとして形成されていると、ゴデットと交絡装置との間に個別の室を形成するのに、特に好適であることが判明している。そのために、異形ドアの内側には、糸通過開口を備えた複数の仕切り壁が形成されており、このとき異形ドアは、取付け壁に旋回可能に保持されている。
【0026】
装置のコンパクトさをさらに高めることができる態様では、糸走入装置が、ゴデットのうちの1つのゴデットに、直に対応配置されていて、カバーの内部において取付け壁に保持されている。これによって糸を紡糸装置から直に供給することができる。
【0027】
さらに別の態様では、取付け壁は、巻取り機の機械フレームに直に配置されており、これによって糸を巻取り機の巻取りユニットに直に供給することができる。そのためにゴデットのうちの1つは、巻取り機の端面の領域に保持されている。
【0028】
これによって本発明に係る装置は、溶融紡糸プロセスにおいて複数の糸から成る糸群を、紡糸装置から直に収容し、かつ直に巻取り機へとさらに供給するのに、特に適している。特に、糸の交絡時に発生する周囲に対する負荷要素は、既に発生箇所において直に吸収されて排出されるので、上流側に配置されたアセンブリおよび下流側に配置されたアセンブリに対して影響が及ぶことはない。
【0029】
次に本発明に係る、糸群を引き出しかつ処理する装置を、添付の図面を参照しながら幾つかの実施形態について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る装置の第1実施形態を略示する側面図である。
図2図1に示した実施形態を略示する平面図である。
図3図1に示した実施形態の交絡装置を略示する平面図である。
図4】本発明に係る装置の別の実施形態を略示する側面図である。
図5図4に示した実施形態を略示する平面図である。
図6】本発明に係る装置の別の実施形態を略示する図である。
図7】本発明に係る装置の別の実施形態を略示する側面図である。
図8図7に示した実施形態の交絡装置を略示する平面図である。
図9図7に示した実施形態の交絡装置を略示する横断面図である。
図10】本発明に係る装置の別の実施形態を略示する平面図である。
【0031】
図1図3には、本発明に係る、溶融紡糸プロセスにおいて糸群を引き出しかつ処理する装置の第1実施形態が、複数の方向から見た図で略示されている。図1には、本実施形態が側面図で示され、図2には平面図で示され、図3には交絡装置(Verwirbelungseinrichtung)の部分図が示されている。従って、以下の説明はすべての図に対するものである。
【0032】
本実施形態は、2つのゴデット2.1,2.2を有していて、両ゴデット2.1,2.2は取付け壁1に保持されている。ゴデット2.1,2.2は、それぞれゴデット駆動装置3.1,3.2と、該ゴデット駆動装置3.1,3.2に連結されたゴデット周壁18.1,18.2とを有している。ゴデット2.1,2.2のゴデット周壁18.1,18.2は、取付け壁1の前側20に突出するように保持されている。ゴデット2.1,2.2のゴデット駆動装置3.1,3.2は、取付け壁1の後側21に配置されている。ゴデット周壁18.1,18.2には、糸群36が1回巻き掛けられて案内される。
【0033】
特に図2における図示から明らかなように、糸群36は本実施形態において全部で4つの糸から成っている。糸の数は、一例であり、もっと多数の糸を有することも可能である。
【0034】
図1および図2の図示から明らかなように、糸走路においてゴデット2.1,2.2の間には、交絡装置4が配置されている。この交絡装置4は、糸毎に各1つの処理通路5を有している。これらの処理通路5には、圧縮空気供給路35に連結された各1つのノズル孔(図示せず)が開口している。
【0035】
特に図2および図3における図示から明らかなように、交絡装置4は、糸群36を交絡するために、全部で4つの処理通路5を互いに平行に並べて有している。処理通路5は、入口側7に入口開口12を、かつ出口側6に出口開口11を糸毎に形成している。糸群36を案内するために、交絡装置4の出口側6における出口開口11には、複数の走出側糸ガイド13が対応配置されており、これらの走出側糸ガイド13は、保持金属薄板14.2に保持されている。この保持金属薄板14.2は、出口開口11の下における下側領域に、複数の貫通開口15.2を有している。
【0036】
交絡装置4の入口側7において、処理通路5の入口開口12の前つまり上流側には、複数の走入側糸ガイド16が配置されており、これらの走入側糸ガイド16もまた同様に保持金属薄板14.1に保持されている。この保持金属薄板14.1は、複数の貫通開口15.1を有しており、これらの貫通開口15.1は、保持金属薄板14.1において走入側糸ガイド16の下を延びている。
【0037】
図1図3における図示から明らかなように、糸走路において交絡装置4と出口側6におけるゴデット2.2との間には、吸込み管片9が対応配置されており、この吸込み管片9は、取付け壁1の後側において吸込み装置10に連結されている。吸込み管片9は、本実施形態では、取付け壁1の前側20において突出する管部材17.2によって形成されており、この管部材17.2は端部に切欠き19.2を有している。管部材17.2における切欠き19.2は、隣接する処理通路5をほぼカバーする長さにわたって延びていて、吸込みトラフ9.2を形成しており、この吸込みトラフ9.2は、出口開口11および走出側糸ガイド13によって形成された糸走路平面の下において延びている。吸込みトラフ9.2は、吸込み管片9の吸込み開口9.1に開口している。
【0038】
交絡装置4の入口側7には、各1つの吸込み開口8.1および突出する吸込みトラフ8.2を備えた第2の吸込み管片8が、取付け壁1の前側20に形成されている。吸込み管片8は、本実施形態においても管部材17.1によって形成され、この管部材17.1は吸込みトラフ8.2の領域に切欠き19.1を有している。管部材17.1の自由端部には、吸込みトラフ8.2を画定する管底部37が形成されている。
【0039】
吸込み管片8,9は、取付け壁1の後側21において吸込み装置10に接続されている。
【0040】
図1および図2から分かるように、ゴデット2.1には糸走路において糸走入装置27が対応配置されている。この糸走入装置27には、複数の糸ガイド27.2および複数の油剤供給ピン(Praeparationsstift)27.3が設けられており、これによって紡糸装置から案内された複数の糸を1つの糸群としてまとめ、かつ油剤を供給することができる。さらに糸走入装置27は、糸捕集装置(図示せず)および吸込み開口27.1を有しており、これによって、糸切れ発生時に糸群を切り離して、廃棄容器に導くことができる。
【0041】
運転時に、図1および図2に示した、糸群を引き出しかつ処理する装置は、複数のマルチフィラメント糸を互いに平行に並べて紡糸する紡糸装置の直ぐ下に挿入される。糸群36の糸は、糸走入装置27を介して糸処理間隔に合わせてまとめられ、これによって互いに隣接する糸を互いに平行に並べて案内することができる。糸走入装置27における油剤供給後に、糸は第1のゴデット2.1によって受け取られて、一緒に、前置された紡糸装置から引き出される。糸群36は、ゴデット2.1,2.2のゴデット周壁18.1,18.2において1回巻き掛けられて案内される。ゴデット2.1,2.2の間において、個々のマルチフィラメント糸の交絡が行われ、このとき糸は個別に、交絡装置4の処理通路5内において圧縮空気によって交絡される。
【0042】
糸の交絡によって生ぜしめられる吹出し流を、特に、このとき糸から遊離もしくは剥離した浮遊成分(fluechtige Bestandteile)を、交絡装置4の周囲から吸収できるようにするために、吸込み管片8,9および吸込みトラフ8.2,9.2を介して吸込み流が生ぜしめられ、この吸込み流は、糸群の浮遊成分の連続的な吸収および排出を保証する。特に油剤残留物および毛羽を含むことがある浮遊成分は、吸込み開口8.1,9.1を介して吸収され、かつ吸込み管片8,9を介して排出される。これによって特に、ゴデット2.1,2.2のゴデット周壁18.1,18.2の隣接する表面の汚れが回避される。
【0043】
図1および図2に示した実施形態は、択一的に、吸込み管片のうちの1つ、つまり出口側6における吸込み管片9だけを備えた構成も可能である。処理通路5および圧縮空気供給部(図示せず)の構成に応じて、交絡装置4の出口側6において発生する吹出し流は、優位を占めることができる。このような場合には、周囲の汚れ、特にゴデット周壁18.2の汚れを回避するために、片側において形成された吸込み装置で十分なことがある。
【0044】
図4および図5には、本発明に係る別の実施形態が複数の方向から見た図で示されている。図4には、本実施形態が側面図で示され、図5では平面図で示されている。従って、両方の図のうちの一方を特に指定しない場合には、以下における記載は両方の図に対するものである。
【0045】
図4および図5に示した、本発明に係る、糸群を引き出して処理する装置の実施形態は、既に述べた実施形態とほぼ同じであるので、ここでは、相違点についてだけ説明し、その他については、既に述べた記載を参照するものとする。
【0046】
図4および図5に示した実施形態では、取付け壁1の前側20に糸案内のために設けられた部材は、カバー22によって周囲に対して遮蔽されている。カバー22は、旋回可能な異形ドア(Profiltuer)23として形成されている。この異形ドア23は、複数の旋回軸受24.1,24.2を介して、取付け壁1の前側20に旋回可能に保持されている。異形ドア23は、図4においては閉鎖された状態で示され、図5においては部分的に開放された状態で示されている。異形ドア23の移動は、グリップ38を介して行われ、このグリップ38は、異形ドア23における旋回軸受24.1,24.2とは反対側に位置する端部に形成されている。
【0047】
異形ドア23は、中空異形材として形成されていて、開放した内側39と閉鎖された外側40とを有している。閉鎖された状態において異形ドア23の内側39は、取付け壁1の前側20にシール作用をもって接触している。
【0048】
異形ドア23の内部には、複数の仕切り壁25.1,25.2が配置されており、これらの仕切り壁25.1,25.2はそれぞれ、糸通過開口26.1,26.2を有している。このようにして、異形ドア23の内部には複数のゾーンが形成され、これらのゾーンによって、ゴデット2.1とゴデット2.2と交絡装置4との間における切離しが行われる。図4にはそのためにゴデット周壁18.1,18.2および交絡装置4が破線で示されている。
【0049】
特に図5における記載から分かるように、異形ドア23は上側に糸入口41を有し、かつ下側に糸出口42(破線で図示)を有している。
【0050】
運転時において、ゴデット周壁18.1,18.2、糸走入装置27、交絡装置4および吸込み管片8,9は、異形ドア23によって周囲から遮蔽されている。糸群36は、異形ドア23における糸入口41を介してゴデット周壁18.1に供給される。糸群を案内および処理するためのさらなる機能は、既に述べた実施形態と同じであるので、ここでさらに説明することは省く。最後に糸は、異形ドア23の下側における糸出口42を介して排出され、例えば後続の巻取り機に直に供給される。
【0051】
図6には、好ましくは巻取り機と直に組み合わせることができる、本発明に係る装置の1実施形態が示されている。図6における実施形態は、本発明に係る装置および対応配置された巻取り機を側面図で示している。
【0052】
図6に示した実施形態は、図4および図5に示した実施形態とほぼ同じであり、ただ1つの相違点は、異形ドア23が外側40に複数の覗き窓43を有していることである。このとき取付け壁1は、巻取り機28の機械フレーム29に直に支持されている。本発明に係る装置は、巻取り機28の1つの端面に配置されているので、最後のゴデット2.2から引き出された糸は、ほぼ水平な平面から巻取り機28の巻取りユニットに案内される。
【0053】
巻取り機28は、巻成されたパッケージ44を収容するために、突出した2つの巻取りスピンドル30.1,30.2を有しており、両巻取りスピンドル30.1,30.2は、回転可能に支持された巻取りタレット31に保持されている。パッケージ44を巻成するために保持された巻取りスピンドル30.1は、圧着ローラ32および綾振り装置33と共働し、このとき綾振り装置33は各糸において1つの綾振り手段を、各1つのパッケージ44を巻成するために有している。
【0054】
巻取り機28における糸案内は、変向ローラ34を介して行われ、これらの変向ローラ34は、綾振り装置33の綾振り手段の上流側に配置されている。この場合糸群36の糸は、ここには図示されていないゴデット2.2から直に変向ローラ34に案内される。
【0055】
図7図9には、本発明に係る、溶融紡糸プロセスにおいて糸群を引き出しかつ処理する装置の別の実施形態が示されている。図7には、本実施形態が側面図で示され、図8には、交絡装置が平面図で略示され、かつ図9では、交絡装置が横断面図で示されている。従って以下において、これらの図面のうちの1つを指定しない限り、以下における記載はすべての図に対するものである。
【0056】
本実施形態は、取付け壁1に保持された2つのゴデット2.1,2.2を有している。ゴデット2.1,2.2は、駆動装置に連結された各1つのゴデット周壁18.1,18.2を有している。ゴデット2.1,2.2のゴデット周壁18.1,18.2は、取付け壁1の前側20に突出するように保持されている。ゴデット2.1,2.2のゴデット駆動装置(ここには図示せず)は、取付け壁1の後側21に配置されている。ゴデット周壁18.1,18.2において糸群36は、1回巻き掛けられて案内される。
【0057】
特に図8における図示から明らかなように、糸群36は本実施形態において全部で4つの糸から成っている。糸の数は一例であり、もっと多数の糸を有することも可能である。
【0058】
図7における記載から明らかなように、糸走路においてゴデット2.1,2.2の間には、交絡装置4が配置されている。この交絡装置4は、特に図8および図9の記載から明らかである。交絡装置4は、糸群36を交絡するために、全部で4つの処理通路5を互いに平行に並べて有している。処理通路5はノズルブロック54に配置されており、このノズルブロック54は、保持体53の上側に保持されている。処理通路5は、入口側7に複数の入口開口12を形成し、かつ出口側6に複数の出口開口11を形成している。糸群36を案内するために、出口側6における出口開口11には、複数の走出側糸ガイド13が対応配置されていて、これらの走出側糸ガイド13は保持金属薄板14.2に保持されている。保持金属薄板14.2は、反対側に位置する端部で保持体53に保持されている。保持体53はそのためにノズルブロック54と保持金属薄板14.2との間に流れ輪郭55を備えて形成されている。この流れ輪郭55は、出口開口11と保持金属薄板14.2との間において延びている。保持金属薄板14.2は、周囲への接続部を形成する複数の貫通開口15.2を有している。
【0059】
図7図9の記載から分かるように、糸走路において交絡装置4と出口側6におけるゴデット2.2との間には、吸込み管片9が配置されており、この吸込み管片9は、取付け壁1の後側において吸込み装置10に連結されている。吸込み管片9は、本実施形態では、取付け壁1の前側20に設けられたボックス形の吸込みボックス56.1によって形成されている。この吸込みボックス56.1は、出口開口11に向けられた長辺側に吸込み開口9.1を有している。この吸込み開口9.1は、吸込みボックス56.1の長さにわたって延びていて、出口側において処理通路5の出口開口11に向かい合って位置している。吸込みボックス56.1の高さは、糸群36がさらなる変向なしに走出側糸ガイド13を通して案内可能であるように寸法設定されている。吸込みボックス56.1は、取付け壁1に保持されていて、取付け壁1に向けられた端面側に流出開口50.1を有している。この流出開口50.1は、吸込み開口52.1を介して吸込み装置に接続されている。
【0060】
図8および図9の記載から明らかなように、入口側7には第2の吸込み管片8が設けられており、この第2の吸込み管片8も同様にボックス形に形成されていて、吸込みボックス56.2として、その長辺側は、交絡装置4の入口開口12に対して平行に延びている。入口側7に向けられた長辺側には、吸込み開口8.1が形成されている。この吸込み開口8.1は、ほぼノズルブロック54の全長にわたって延びているので、入口開口12から流出する吹出し流は、直に吸込みボックス56.2内に案内される。
【0061】
空気案内のために保持体53は、入口側7において同様に流れ輪郭55を備えて形成されており、この流れ輪郭55は、ノズルブロック54の入口開口12と走入側糸ガイド16の保持金属薄板14.1との間において延びている。保持金属薄板14.1は、単数または複数の貫通開口15.1を有しているので、流れ輪郭55を介して案内される吹出し空気は、吸込みボックス56.2の吸込み開口8.1内に案内されることができる。
【0062】
吸込みボックス56.2は、取付け壁1に向けられた端面側に流出開口50.2を有しており、この流出開口50.2は、取付け壁1に形成された吸込み開口52.2を介して吸込み装置10に接続されている。
【0063】
図7における記載から明らかなように、糸走路においてゴデット2.1の上流側には、油剤供給装置(Praeparationseinrichtung)57が配置されている。この油剤供給装置57は、複数の油剤供給ピン58を有しており、これらの油剤供給ピン58は、糸群を湿潤させるために各1つの湿潤溝を有している。
【0064】
運転時において交絡装置4には、圧縮空気供給路35を介して圧縮空気が供給される。そのためにノズルブロック54は、各処理通路5に向かってノズル開口60を有しており、このノズル開口60は、圧縮空気を処理通路5内に吹き込むので、処理通路5内において案内されるマルチフィラメント糸は渦動もしくは交絡される。処理通路5内に流入する圧縮空気は、ほぼ出口開口11を介して吹き出される。このとき出口開口11は可能な限り流れ輪郭55の近傍において対応配置されているので、流出する吹出し空気は、コアンダ効果に基づいて糸走路平面から変位させられて、吸込みボックス56.1の、反対側に位置する吸込み開口9.1に供給される。
【0065】
しかしながらまた、吹出し空気の一部は、糸走行方向とは逆向きに入口側において入口開口12を通って吹き出される。ここにおいて同じ効果が発生するので、吹出し空気を、吸込みボックス56.2を介して吸収しかつ排出することができる。
【0066】
出口側6および入口側7において可能な限り僅かな空気乱流を、吹出し空気の吸収および排出時に生ぜしめるために、吸込み開口9.1,8.1に複数の空気案内金属薄板51を配置することが可能である。このとき空気案内金属薄板51は、流出開口50.1,50.2に向かって傾斜して吸込みボックス56.1,56.2の長辺側に配置されている。図8に空気案内金属薄板51は、破線で示されている。
【0067】
図10には、本発明に係る装置の別の実施形態が平面図で略示されている。図10に示した、本発明に係る、糸群を引き出して処理する装置の実施形態は、既に述べた図7に示した実施形態とほぼ同じであるので、ここでは、相違点についてだけ説明し、その他の点については既に述べた記載を参照するものとする。
【0068】
図10に示した実施形態では、糸案内のために取付け壁1の前側20に設けられた部材は、カバー22によって周囲に対して遮蔽されている。カバー22は、旋回可能な異形ドア23として形成されており、この異形ドア23は、複数の旋回軸受24.1,24.2を介して取付け壁1の前側20に旋回可能に保持されている。異形ドア23の移動は、グリップ38を介して行われ、このグリップ38は、旋回軸受24とは反対側に位置する端部において異形ドア23に形成されている。
【0069】
異形ドア23は、中空異形材として形成されていて、開放した内側39と閉鎖された外側40とを有している。閉鎖された状態において、異形ドア23の内側39は、シール作用をもって取付け壁1の前側20に接触している。このとき異形ドア23の上側には糸入口41が設けられ、下側には糸出口42(破線で図示)が設けられている。
【0070】
ゴデット2.1,2.2の間に配置された交絡装置4および吸込み管片9,8の構成は、図7図9に示した既に記載の実施形態と同じである。ただ1つの相違点は、取付け壁1に設けられた吸込み開口52.1,52.2の構成にある。本実施形態では、吸込み開口52.1,52.2は、吸込みボックス56.1,56.2の流出開口50.1,50.2よりも大幅に大きく形成されている。吸込み開口52.1,52.2の自由な部分は、周囲に直に連結されているので、交絡装置4の、カプセル化された周囲に対して追加的に吸込み作用を及ぼすことができる。
【0071】
これによって本発明に係る、糸群を引き出して処理する装置は、多数の合成糸を製造できる、極めてコンパクトな装置を形成するのに、特に適している。これにより、糸を紡績装置から直に糸走入装置27によって収容することができ、かつ処理および案内の後で直に巻取り機に供給することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10