(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605619
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】化粧用製品の塗布用具のジョイント機構、それに関連する用具、塗布方法、および製造方法
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20191031BHJP
A45D 40/26 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
A45D34/04 515A
A45D40/26 Z
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-553963(P2017-553963)
(86)(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公表番号】特表2018-514267(P2018-514267A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】EP2016058415
(87)【国際公開番号】WO2016166327
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】1500790
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギャブリエル・エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ガルデ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンディ・アノネ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ファルジャ
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04370989(US,A)
【文献】
実公昭51−016205(JP,Y1)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0107224(KR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0045268(US,A1)
【文献】
特表平10−502291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A45D 40/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リブ(28)を有する第1のパーツ(22)、および前記リブ(28)を受けるブラケット(60)を担持する第2のパーツ(24)を備え、前記第1のパーツ(22)が、軸(A−A’)の周りで前記第2のパーツ(24)に対して回転運動可能である、化粧用製品の塗布用具(10)のジョイント機構(12)であって、
前記第1のパーツ(22)および前記第2のパーツ(24)のうちの一方が、少なくとも1つの突出ピン(30)を備え、前記第1のパーツ(22)および前記第2のパーツ(24)のうちの他方が、前記突出ピン(30)の案内用の経路(64)を画定し、前記突出ピン(30)が、前記案内用の経路(64)の中に挿入され、前記突出ピン(30)は、前記突出ピン(30)が、前記軸(A−A’)に対して横方向にオフセットされる状態で、前記回転を案内するために、前記案内用の経路(64)の中を周回するように構成されており、前記軸(A−A’)は、前記案内用の経路(64)から離れて置かれている、ジョイント機構(12)。
【請求項2】
前記案内用の経路(64)が、前記軸(A−A’)の周りの回転における前記突出ピン(30)の進路を制限することができる端部当接部(78)を画定する、請求項1に記載のジョイント機構(12)。
【請求項3】
前記第1のパーツ(22)および前記第2のパーツ(24)のうちの一方が、前記ブラケット(60)の中の前記リブ(28)の変位面の両側に置かれている2つの対向する突出ピン(30)を備え、前記リブ(28)は、前記回転中に前記ブラケット(60)に関して前記変位面において変位されるように構成されており、前記第1のパーツ(22)および前記第2のパーツ(24)のうちの他方が、前記突出ピン(30)のうちの1つをそれぞれが受ける、2つの対向する案内用の経路(64)を画定する、請求項1または2に記載のジョイント機構(12)。
【請求項4】
前記案内用の経路(64)が、前記軸(A−A’)の周りで湾曲した楕円形の穴の形状を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のジョイント機構(12)。
【請求項5】
少なくとも1つの角度位置において、前記ブラケット(60)に対する前記リブ(28)を割り出すための前記リブ(28)の角度割り出し機構(82)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のジョイント機構(12)。
【請求項6】
前記ブラケット(60)が、底部を有する、前記リブ(28)を受けるための中央スロット(66)を画定し、前記角度割り出し機構(82)が、前記中央スロット(66)の前記底部に配置された少なくとも1つのノッチ(70)を備え、前記少なくとも1つのノッチ(70)が、前記リブ(28)のレリーフ(46)と協働することができる少なくとも1つのノッチ(70)を備え、前記レリーフ(46)は、前記ノッチ(70)と相補的である、請求項5に記載のジョイント機構(12)。
【請求項7】
前記第1のパーツは、前記突出ピン(30)が前記案内用の経路(64)の中に受けられたとき、前記ブラケット(60)の周りに配置される外側スカート(26)を有し、前記ブラケット(60)が、少なくとも部分的に前記外側スカート(26)の外側に突き出ている、請求項1から6のいずれか一項に記載のジョイント機構(12)。
【請求項8】
前記外側スカート(26)が、前記突出ピン(30)および前記案内用の経路(64)のうちの1つを担持する少なくとも1つの変形可能タブ(40)を画定し、前記変形可能タブ(40)が、前記案内用の経路(64)への前記突出ピン(30)の挿入を可能にするために、前記外側スカート(26)の軸に対して半径方向に変形可能である、請求項7に記載のジョイント機構(12)。
【請求項9】
前記第2のパーツ(24)が、化粧用製品を収容するレセプタクル(20)を受けるための内側空洞(76)を画定するバンド(62)を備え、前記ブラケット(60)が、前記内側空洞(76)の反対側に前記バンド(62)に対して突き出ている、請求項1から8のいずれか一項に記載のジョイント機構(12)。
【請求項10】
前記第1のパーツ(22)が、前記突出ピン(30)またはそれぞれの突出ピン(30)を備え、前記案内用の経路(64)またはそれぞれの案内用の経路(64)が、前記ブラケット(60)中に画定される、請求項1から9のいずれか一項に記載のジョイント機構(12)。
【請求項11】
化粧用製品塗布用具(10)であって、
− ロッドキャリア(16)、および前記ロッドキャリア(16)によって担持されるアプリケータ(18)と、
− 把持部材(14)と、
− 請求項1から10のいずれか一項に記載のジョイント機構(12)と、
を備え、第1のパーツ(22)が、前記把持部材(14)と一体に回転し、第2のパーツ(24)が、前記ロッドキャリア(16)と一体に回転し、前記ロッドキャリア(16)が、前記ジョイント機構(12)を介して前記軸(A−A’)の周りで前記把持部材(14)に対して回転運動可能に取り付けられる、化粧用製品塗布用具(10)。
【請求項12】
化粧用製品を収容するレセプタクル(20)を備え、前記ロッドキャリア(16)が、前記レセプタクル(20)の中に挿入される保管形態から、前記レセプタクル(20)の外側に配置される、化粧用製品を塗布するための形態へ移ることができる、請求項11に記載の化粧用製品塗布用具(10)。
【請求項13】
前記把持部材(14)が、前記第1のパーツ(22)の周りに取り付けられる細長いキャップによって形成される、請求項11または12に記載の化粧用製品塗布用具(10)。
【請求項14】
使用者の身体の表面に化粧用製品を塗布するための方法であって、
− ロッドキャリア(16)および把持部材(14)が、軸(A−A’)の周りで第1の相対角度位置にある状態で請求項11から13のいずれか一項に記載の化粧用製品塗布用具(10)を調達するステップと、
− 前記ロッドキャリア(16)に対して前記把持部材(14)を枢動させて、前記ロッドキャリア(16)および前記把持部材(14)を前記軸(A−A’)の周りで第2の相対角度位置に変位させるステップであって、突出ピン(30)が、前記枢動を案内するための案内用の経路(64)の中を周回する、ステップと、
− 前記化粧用製品塗布用具(10)を使用して身体の表面に前記化粧用製品を塗布するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
化粧用製品の塗布用具(10)のジョイント機構(12)を取り付けるための方法であって、
− リブ(28)を有する第1のパーツ(22)、およびブラケット(60)を担持する第2のパーツ(24)を調達するステップと、
− 前記ブラケット(60)の中に前記リブ(28)を挿入するステップであって、前記リブ(28)が、軸(A−A’)の周りで回転運動可能に取り付けられる、ステップと、
を含み、
前記第1のパーツ(22)および前記第2のパーツ(24)のうちの一方が、少なくとも1つの突出ピン(30)を備え、前記第1のパーツ(22)および前記第2のパーツ(24)のうちの他方が、案内用の経路(64)を画定し、
前記突出ピン(30)は、前記突出ピン(30)が、前記軸(A−A’)に対して横方向にオフセットされる状態で、前記ブラケット(60)への前記リブ(28)の挿入中に、前記案内用の経路(64)の中に挿入され、前記軸(A−A’)は、前記案内用の経路(64)から離れて置かれている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用製品の塗布用具のジョイント機構に関し、このジョイント機構は、リブを有する第1のパーツ、およびリブを受けるブラケットを担持する第2のパーツを備え、前記第1のパーツは、軸の周りで前記第2のパーツに対して回転運動可能である。
【0002】
塗布用具は、化粧用製品をパッケージ化し、使用者の身体の表面、たとえば、使用者の皮膚または髪の毛に正確に塗布するように意図されている。
【0003】
化粧用製品は、有利には、アイライナー、マスカラ、グロス、もしくは口紅などのメーキャップ用またはケア用の製品である。好ましくは、化粧用製品は、流体の形態を有する。
【背景技術】
【0004】
より一般的には、化粧用製品は、化粧用製品に関する2009年11月30日の欧州理事会および議会の非特許文献1において規定されるような製品である。
【0005】
ジョイント機構は、たとえば、特許文献1において知られている。この文献には、ハンドルと、塗布先端部を担持するパーツとの間にジョイントを備えるアイライナーについて記載されている。このジョイントは、塗布先端部を担持するパーツの2つのフランジ間に延びるピンから成る。
【0006】
ジョイントは、ハンドルに対する塗布先端部の枢動を許可して、塗布の操作および正確さを促進する。
【0007】
しかしながら、フランジ間に配置されるピンの存在を、使用者が目にする可能性がある。この機構は、一定の所望の美的基準に対応していない。
【0008】
第1の解決策は、ピンの下方まで延びる外側スカートを備えるバンドを設けることによって、ジョイントを隠すことに存する。そのような場合においては、バンドは、枢動の振幅を制限する当接部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2976166号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】EC規則第1223/2009号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そのため、本発明の目的は、使用が簡単で、正確でありながら、依然として非常に満足のいく外観を有する、化粧用製品の塗布用具のためのジョイント機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この趣旨で、本発明は、目的として、前述のタイプの機構を有し、ここで、第1のパーツおよび第2のパーツのうちの一方は、少なくとも1つの突出ピンを備え、第1のパーツおよび第2のパーツのうちの他方は、ピンの案内用の経路を画定し、ピンは、案内用の経路の中に挿入され、ピンおよび案内用の経路は、軸に対して偏心している。
【0013】
本発明による機構は、単独で、または任意の技術的に可能な組合せで取り入れられる次の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる:
- 案内用の経路は、軸の周りの回転におけるピンの進路を制限することができる端部当接部を画定し、
- 第1のパーツおよび第2のパーツのうちの一方は、ブラケットの中のリブの変位面の両側に置かれている2つの対向するピンを備え、第1のパーツおよび第2のパーツのうちの他方は、前記ピンのうちの1つをそれぞれが受ける、2つの対向する案内用の経路を画定し、
- 案内用の経路は、軸の周りで湾曲した楕円形の穴の形状を有し、この軸は、案内用の経路から離れて置かれ、
- 機構は、少なくとも1つの角度位置において、ブラケットに対するリブの環状割り出し機構(annular indexing arrangement)を備え、
- ブラケットは、底部を有する、リブを受けるための中央スロットを画定し、環状割り出し機構は、スロットの底部に配置された少なくとも1つのノッチを備え、少なくとも1つのノッチは、リブの相補的レリーフと協働することができ、
- 第1のパーツは、ピンが案内用の経路の中に受けられたとき、ブラケットの周りに配置される外側スカートを有し、ブラケットは、少なくとも部分的にスカートの外側に突き出ており、
- スカートは、ピンおよび案内用の経路のうちの1つを担持する少なくとも1つの変形可能タブを画定し、タブは、案内用の経路へのピンの挿入を可能にするために、スカートの軸に対して半径方向に変形可能であり、
- 第2のパーツは、レセプタクルを受けるための内側空洞を画定するバンドを備え、ブラケットは、内側空洞の反対側にバンドに対して突き出ており、
- 第1のパーツは、上記のピンまたはそれぞれのピンを備え、上記の案内用の経路またはそれぞれの案内用の経路は、ブラケットの中に画定される。
【0014】
本発明はまた、目的として、化粧用製品の塗布用具を有し、この塗布用具は、
- ロッドキャリア、およびロッドキャリアによって担持されるアプリケータと、
- 把持部材と、
- 本明細書において上に規定したジョイント機構と
を備え、第1のパーツは、把持部材と一体に回転し、第2のパーツは、ロッドキャリアと一体に回転し、ロッドキャリアは、ジョイント機構を介して軸の周りで把持部材に対して回転運動可能に取り付けられる。
【0015】
本発明による用具は、単独で、または技術的に可能な任意の組合せで考慮される次の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
- この用具は、化粧用製品を収容するレセプタクルを備え、ロッドキャリアは、レセプタクルの中に挿入される保管形態から、レセプタクルの外側に配置される、化粧用製品を塗布するための形態に切り替わることができ、
- 把持部材は、第1のパーツの周りに取り付けられる細長いキャップによって形成される。
【0016】
本発明はまた、目的として、使用者の身体の表面に化粧用製品を塗布するための方法を有し、この方法は、
- ロッドキャリアおよび把持部材が、軸の周りで第1の相対角度位置にある状態で本明細書において上に規定した用具を調達するステップと、
- ロッドキャリアに対して把持部材を枢動させて、ロッドキャリアおよび把持部材を軸の周りで第2の相対角度位置に変位させるステップであって、ピンが、枢動を案内するための案内用の経路の中を周回する、ステップと、
- 身体の表面に化粧用製品を塗布するステップと
を含む。
【0017】
本発明はまた、目的として、化粧用製品の塗布用具のジョイント機構を取り付けるための方法を有し、この方法は、
- リブを有する第1のパーツ、およびブラケットを担持する第2のパーツを調達するステップと、
- ブラケットの中にリブを挿入するステップであって、リブが、枢動軸の周りで回転運動可能に取り付けられる、ステップと
を含み、
第1のパーツおよび第2のパーツのうちの一方は、少なくとも1つの突出ピンを備え、第1のパーツおよび第2のパーツのうちの他方は、案内用の経路を画定し、
ピンは、ブラケットへのリブの挿入中に、案内用の経路の中に挿入され、ピンおよび案内用の経路は、軸に対して偏心している。
【0018】
本発明は、一例としてのみ提供され、かつ添付の図面を参照して、次の説明に鑑みてより容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本明細書によるジョイント機構を備えた塗布用具の分解図である。
【
図3】
図2に示されている用具の
図2の切断平面に垂直な平面III−IIIによる断面図である。
【
図4】
図2および
図3に示されている用具のジョイント機構の第1のパーツの斜視図である。
【
図5】
図2および
図3に示されているジョイント機構の第2のパーツの斜視図である。
【
図6】
図2および
図3に示されているジョイント機構の第2のパーツの側面図である。
【
図7】第1のパーツと第2のパーツとの間の角度の修正後の一実施形態によるジョイント機構を備えた用具のダイヤグラム図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による第1の用具10が、
図1に示されている。
【0021】
用具10は、化粧用製品を調節し、化粧用製品を使用者の身体表面、たとえば、使用者の皮膚、またはケラチン繊維に塗布するように意図されている。
【0022】
化粧用製品は、有利には、アイライナー、マスカラ、グロス、もしくは口紅などのメーキャップ用、またはケア用の製品である。好ましくは、化粧用製品は、流体形態を有する。
【0023】
図1、
図2、および
図3に示されている用具10は、把持部材14と、アプリケータ18を担持するロッドキャリア16と、把持部材14をロッドキャリア16に結合するジョイント機構12とを備える。用具10は、レセプタクル20をさらに備え、この中にロッドキャリア16およびアプリケータ18が導入されるように意図されている。
【0024】
ジョイント機構12は、把持部材14と連携するように回転運動可能な第1のパーツ22と、ロッドキャリア16と連携するように回転運動可能に取り付けられる第2のパーツ24とを備え、第1のパーツ22および第2のパーツ24は、軸A−A'の周りで互いに関して回転運動可能に取り付けられる。
【0025】
図4に具体的に示されている第1のパーツ22は、外側スカート26と、スカート26の中心に取り付けられるリブ28と、少なくとも1つの突出ジョイントピン30と、上側部分32とを備える。
【0026】
外側スカート26は、主軸Bの周りで自由縁部34と上側縁部36との間に延びる。スカート26は、上側縁部36と自由縁部34との間で軸Bから離れている。代替として、スカート26は、軸Bの周りで実質的に円筒形である。
【0027】
スカート26は、中空であり、内側面37の範囲を定める。
【0028】
スカート26は、ノッチ38を画定する。これらのノッチ38は、その自由縁部34から出ている。スカート26は、たとえば4つのノッチ38を備える。スカート26のノッチ38は、中間の少なくとも1つの変形可能タブ40を画定する。変形可能タブ40を、軸Bから離すこと、および/または軸Bにより近づけることが可能である。
【0029】
リブ28は、自由縁部34を越えて外側スカート26の外側に突き出ている。
【0030】
ここでは、リブ28は、スカート26の内側面37に連結され、かつスカート26の両側に置かれている、2つの端部42を有する。2つの端部42は、たとえば、実質的に、円弧または放物線の形状にある突出部分44によって結合されている。
【0031】
リブ28は、実質的には、軸Bを含むスカート26の中央面Pに沿って延びる。
【0032】
示されている実施形態においては、リブ28は、内側凹部を含み、その突出部分44に圧力がかけられた場合には、変形し得る。凹部は、使用される材料に従って、リブの変形を促進する。代替として、リブは、依然として変形可能なままでありながら、完全な状態であってもよい。具体的には、変形は、リブ28の突出部分と内側凹部との間の結果的に生じる厚さに従って変化する。
【0033】
リブ28は、突出部分において、少なくとも1つの割り出しレリーフ46を画定し、その機能については、本明細書において後述するものとする。レリーフ46は、少なくとも1つの歯を備える。
【0034】
ジョイントピン30は、スカート26の内側面37から軸Bまで延びる。ジョイントピン30は、変形可能タブ40によって担持されている。ジョイントピン30は、ピン30上のスカート26の内側面37の接線に実質的に垂直な軸を有する略円筒形の形状を有する。
【0035】
ジョイントピン30は、リブ28が中に延びる平面Pを通らない。
【0036】
各ジョイントピン30は、軸A−A'に平行に延びる。ジョイントピン30は、軸A−A'に関して横方向にオフセットされる。
【0037】
第1のパーツ22は、有利には、2つの対向するピン30を備える。ジョイントピン30は、リブ28が延びる平面Pの両側に置かれている。ピン30は、ここでは、リブ28の2つの端部42から実質的に等しい距離に置かれている。
【0038】
ピン30はそれぞれ、異なる変形可能タブ40によって担持されている。
【0039】
上側部分32は、スカート26の上側縁部36から延びる。上側部分32は、スロット48を含む、軸Bと同一となる軸の円筒形の略形状を有する。スロット48は、具体的には、把持部材14の導入を案内する。スロット48は、組み立て中、把持部材の割り出しを行う。
【0040】
図5および
図6に具体的に示されている第2のパーツ24は、
図5における下から上に、リブ28を受けるためのブラケット60、およびロッドキャリアを取り付けるためのバンド62を備える。第2のパーツ24は、ジョイントピン30を案内するための少なくとも1つの経路64を画定する。
【0041】
ブラケット60は、第1のパーツ22のリブ28の相補的形状を有する中央スロット66の範囲を定める。中央スロット66は、平面P'に沿って延びる。
【0042】
ブラケット60は、ここでは、スロット66を形成する空間によって分離される2つの側方フランジ68を備える。ブラケット60は、実質的には、球の形状を有する。スロット66の平面は、球の中心を通る。
【0043】
中央スロット66は、底部を有する。この底部は、割り出しレリーフ46と協働するための少なくとも1つのノッチ70を備える。各ノッチ70は、リブ28のレリーフ46と相補的である。
【0044】
バンド62は、自由縁部72と、スカート26の自由縁部の反対側に配置されるように意図されている、ブラケット60に連結される縁部74との間に延びる。
【0045】
バンド62は、内側面77によって範囲が定められている、ロッドキャリアの挿入のための内側空洞76を画定する。たとえば、バンド62は、実質的に、ブラケット60の支持プレートを介してブラケット60に連結されているその縁部74において閉じている中空円筒形の形状を有する。
【0046】
ブラケット60は、内側空洞76の反対側に支持プレートにおいてバンド62に対して突き出ている。
【0047】
図6を参照すると、案内用の経路64は、ブラケットの側方フランジ68においてブラケット60の中に配置されている。
【0048】
第2のパーツ24は、第1のパーツ22がピン30を有するのと同じ数の案内用の経路64を有する。
【0049】
案内用の経路64は、
図6に見ることができる端部当接部78を画定し、この端部当接部78は、それが受けるピン30の進路を制限することができる。
【0050】
案内用の経路64は、ここでは、ピン30の幅に対応する一定の幅を有する、軸A−A'を中心とする湾曲した穴である。軸A−A'は、たとえば、案内用の経路64よりもバンド62に近い。
【0051】
軸A−A'の周りの案内用の経路64の角度範囲は、実質的には、軸A−A'の周りの回転における第2のパーツ24に対する第1のパーツ22の所望の進路に対応する。
【0052】
図7に示されている案内用の経路64の中のピン30の行程端(end of travel)における、第1のパーツ22と第2のパーツ24との間の最大角度αは、たとえば、40°未満であり、具体的には、15°から40°の間であり、特には、35°に等しい。
【0053】
案内用の経路64の形状は、第2のパーツ24に対して第1のパーツ22が変位する間、ブラケット60の中のピン30によって掃引される軌道と相補的である。
【0054】
この形状は、ここでは、実質的に、軸A−A'に同軸の軌道を有する豆形または楕円形の穴の形状である。
【0055】
ジョイント機構12は、第1のパーツ22および第2のパーツ24の組立体から形成される。
【0056】
第1のパーツ22のリブ28は、第2のパーツ24のブラケット60のスロット66の中に受けられる。そのとき、リブ28の平面P、および受けるための中央スロット66の平面P'は、実質的には同一である。各ピン30は、案内用の対応する経路64の中に受けられる。
【0057】
次いで、第1のパーツ22のスカート26は、第2のパーツ24のブラケット60の周りに配置される。ブラケット60は、たとえば、バンド62と接触するブラケット60の一部分80において、スカート26の少なくとも部分的に外側に突き出ている。したがって、ブラケット60の形状を見ることができ、それにより、第2のパーツ24に対して第1のパーツ22が回転する際の美的外観および隙間が改善される。
【0058】
第1のパーツ22および第2のパーツ24は、軸A−A'の周りで互いに対して回転運動可能である。
【0059】
図に示されている例においては、ジョイント機構12は、
図3に見ることができるブラケットに対するリブの角度割り出し機構82を含む。角度割り出し機構82は、リブ28のレリーフ46と、レリーフ46とともに協働する、ブラケット60の底部において配置されるノッチ70とを含む。
【0060】
角度割り出し機構82は、たとえば、第2のパーツ24に対する第1のパーツ22の少なくとも3つの割り出し位置を含み、各位置は、所与のノッチ70の中の特定のレリーフ46の存在を特徴とする。
【0061】
角度割り出し機構82のある位置から別の位置への通過は、ブラケット60の中のリブ28の回転によって、および案内用の経路64の中のピン30の変位によって行われる。ある位置から別の位置への通過中、内側凹部は、リブ28の変形を促進して、レリーフ46の通過を可能にする。
【0062】
有利には、3つの割り出し位置のうちの2つは、各ピン30が、案内用の対応する経路64の端部当接部78に置かれている形態に対応する。第3の位置は、案内用の経路64内のピン30の真ん中の位置に対応する。
【0063】
角度割り出し機構82は、ブラケット60内の位置にリブ28を維持する。ある割り出し位置から別の割り出し位置に通過させるため、使用者は、ブラケット60内のリブ28の角度位置を修正することを可能にする変位力を手動でかけることができる。しかしながら、角度割り出し機構82は、ピン30が、案内用の対応する経路64の1つの端部当接部78に置かれたとき、戻り防止機能を有する。
【0064】
把持部材14は、使用者によって把持されるように意図されている。把持部材14は、たとえば、軸Bと同一となる主軸に沿う細長いキャップである。一実施形態においては、把持部材14の表面の一部分は、滑り止め付きである。
【0065】
把持部材14は、第1のパーツ22と一体に回転するように取り付けられる。把持部材は、たとえば、接着によって固定される。
【0066】
把持部材14は、第1のパーツ22を受ける空洞を有する。把持部材14は、上側部分32、および少なくとも部分的に第1のパーツ22のスカート26をカバーする。
【0067】
スカート26に、少なくとも1つの変形可能タブ40を画定するノッチ38が設けられる場合、把持部材14の空洞は、変形可能なタブまたは複数のタブ40が、軸Bにより近づけられたとき、上側部分32の外側面、およびスカート26の少なくとも一部分と相補的な形状を有する。
【0068】
図2を参照すると、ロッドキャリア16は、締結部分84および支持部材86を含む。
【0069】
ロッドキャリア16は、第2のパーツ24と一体に回転する。締結部分84は、バンド62によって画定される内側空洞76と相補的な形状である。
【0070】
締結部分84は、たとえば、レセプタクルにおいて係合可能なねじピッチを形成する内側面90を有する。
【0071】
ここでは、ロッドキャリア16は、レセプタクルの閉止を可能にする。代替として、ロッドキャリア16の形態によれば、レセプタクル20の閉止機能は、バンド62によって直接的に行うことができ、その場合、レセプタクル20に係合可能なねじ切りを有する。
【0072】
担持部材86は、締結部分84から延びる。担持部材86は、自由端92を有し、この自由端92からアプリケータ18が延びる。アプリケータ18は、主軸Cに沿って延びる。
【0073】
アプリケータ18は、担持部材86の中に部分的に挿入される。アプリケータ18は、製品を塗布することを可能にする外側有効部分(outer active portion)98を備える。代替として、アプリケータ18は、ロッドキャリア16の担持部材86の中に完全に挿入され、機構、たとえば、プッシュ機構が、ロッドキャリア16からアプリケータ18の一部分を出すことを可能にする。
【0074】
アプリケータ18は、たとえば、アイライナー先端部、マスカラ先端部、またはグロス用の発泡体先端部(foam tip)である。
【0075】
把持部材14およびアプリケータ18を担持するロッドキャリア16は、ジョイント機構12のいずれかの側に取り付けられる。把持部材14およびロッドキャリア16は、ジョイント機構12を介して軸A−A'の周りで回転運動可能に取り付けられる。
【0076】
この例においては、軸CおよびBが同一であるなど、角度割り出し機構82の1つの位置が存在する。角度割り出し機構の3つの可能な位置が存在する場合には、そのうちの2つは、案内用の経路64の端部当接部78に対応し、軸CおよびBが同一となる位置は、真ん中の位置である。
【0077】
レセプタクル20は、ボトル100および絞り出し具102を備える。
【0078】
ボトル100は、ネック112を介して開く、化粧用製品を受けるための容積部104を画定する。
【0079】
ネック112は、ロッドキャリア16のねじピッチに対して相補的なねじピッチを備える。レセプタクル20は、着脱自在な形で、ロッドキャリア16と一体に作製され得る。
【0080】
したがって、ロッドキャリア16は、レセプタクル20の中に挿入されることによる保管形態から、レセプタクル20の外側に配置されることによる化粧用製品を塗布するための形態へと移ることができる。
【0081】
絞り出し具102は、ネック112においてボトル100に固定される。
【0082】
ロッドキャリア16の取出し中、アプリケータ18は、実質的には、それが担持する余分な製品を取り除くために絞り出し具102に接触する。
【0083】
次に、本発明によるジョイント機構12を取り付けるための方法について説明する。
【0084】
リブ28を有する第1のパーツ22、およびブラケット60を担持する第2のパーツ24が用意される。第1のパーツ22は、少なくとも1つの突出ジョイントピン30を備え、第2のパーツ24は、ピン30を案内するための経路64を画定する。
【0085】
第1のパーツ22および第2のパーツ24は、位置合わせされる。次いで、リブ28は、ブラケット60の中に挿入される。
【0086】
リブ28をブラケット60の中に挿入する間、ピン30は、案内用の経路64の中に入る。ピン30および案内用の経路64は、軸A−A'に対して偏心している。ピン30は、案内用の経路64に沿って可動である。
【0087】
変形可能タブ40は、ピン30を案内用の経路64の中に挿入するために、スカート26から軸Bからの弾性変形によって離れ、次いで、一旦、挿入されると、その形態に戻る。代替として、変形可能タブ40は、ピン30を案内用の経路64の中に挿入するのを可能にするために、最初に、スカート26の軸から離間されて、一旦、ピン30が案内用の経路64の中に挿入されると、ピン30が、案内用の経路64の中に維持されるように締め付けられる。
【0088】
次いで、把持部材14は、リブ28を依然としてアクセス可能なままにすることによって、第1のパーツ22の周りに取り付けられる。把持部材14は、タブ40の半径方向の変形を防止することによって、案内用の経路64内にピン30を維持する。
【0090】
次に、本明細書において上述したジョイント機構12を実装する、化粧用製品の塗布用具10を用いて化粧用製品を塗布する方法について説明する。
【0091】
最初に、本明細書において上述した塗布用具10が、用意される。把持部材14の主軸は、実質的にスカートの軸Bと同一である。アプリケータ18の軸および把持部材の軸Bは、互いに関して位置合わせされることによって、枢動軸の周りで第1の相対角度位置にある。
【0092】
塗布用具10の美的外観は、非常に満足のいくものである。
【0093】
使用者は、把持部材14、ジョイント機構12、ロッドキャリア16、およびアプリケータ18によって形成されるユニットをレセプタクル20から取り出す。アプリケータ18は、絞り出し具102の中を通り、製品が絞り出される。
【0094】
次いで、使用者は、割り出し機構によって供給される保持力に打ち勝つことによって、ロッドキャリア16に対して把持部材14を枢動させる。ピン30は、枢動を案内するための案内用の経路64の中で変位する。したがって、ロッドキャリア16と把持部材14との間の角度αは、修正される。次いで、把持部材14およびロッドキャリア16は、枢動軸の周りで第2の相対角度位置にあり、ここで、アプリケータ18の軸Cおよび把持部材14の軸Bは、非ゼロ角度αだけ傾斜している。
【0095】
使用者は、アプリケータを使用して、用意された身体表面に化粧用製品を塗布し、それは、軸Bと軸Cとの間の相対傾斜のおかげで簡単に行われる。
【0096】
代替形態(図示せず)においては、第2のパーツ24は、少なくとも1つのピン30を備え、第1のパーツ22は、少なくとも1つの案内用の経路64を備える。ピン30は、たとえば、ブラケット60によって担持され、案内用の経路64は、変形されたタブ40上の外側のスカート26の中に画定される。
【符号の説明】
【0097】
10 用具
12 ジョイント機構
14 把持部材
16 ロッドキャリア
18 アプリケータ
20 レセプタクル
22 第1のパーツ
24 第2のパーツ
26 スカート
28 リブ
30 ジョイントピン
32 上側部分
34 自由縁部
36 上側縁部
37 内側面
38 ノッチ
40 タブ
42 端部
44 突出部分
46 レリーフ
48 スロット
60 ブラケット
62 バンド
64 経路
66 中央スロット
68 側方フランジ
70 ノッチ
72 自由縁部
74 縁部
76 内側空洞
77 内側面
78 端部当接部
80 一部分
82 角度割り出し機構
84 締結部分
86 支持部材、担持部材
90 内側面
92 自由端
98 外側有効部分
100 ボトル
102 絞り出し具
104 容積部
112 ネック
A−A' 軸
B 軸
C 軸
P 中央面
P' 平面
α 角度