特許第6605641号(P6605641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6605641エアサスペンションシステムの空気バルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605641
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】エアサスペンションシステムの空気バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   F16K31/06 305H
   F16K31/06 305M
   F16K31/06 385A
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-20666(P2018-20666)
(22)【出願日】2018年2月8日
(65)【公開番号】特開2018-128141(P2018-128141A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2018年2月8日
(31)【優先権主張番号】62/456,784
(32)【優先日】2017年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/859,032
(32)【優先日】2017年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510288840
【氏名又は名称】ベイジンウェスト・インダストリーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJINGWEST INDUSTRIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド フレドリック ロイター
(72)【発明者】
【氏名】インコ グラジェダ
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−105754(JP,A)
【文献】 実開平03−020775(JP,U)
【文献】 実開昭60−024984(JP,U)
【文献】 特開2006−189140(JP,A)
【文献】 特開平10−089527(JP,A)
【文献】 特開2011−256951(JP,A)
【文献】 特開2010−223364(JP,A)
【文献】 特表2010−520979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部と第二端部とを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記第一端部内において前記第一端部に固定されるとともに、バネ・ポケットを有するステータと、
を備える空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリであって、
前記ハウジングの前記第二端部は弁座内に保持されており、
空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリは、
全体的に前記ハウジングの内部にかつ前記ステータと前記第二端部との間に配置され、前記ハウジング内において摺動可能であり、バネ・ポケットを有しているアーマチュアと、
前記ステータの前記バネ・ポケット内及び前記アーマチュアの前記バネ・ポケット内に配置されるアーマチュア戻しバネであって、前記戻しバネが前記アーマチュアを前記ステータから離間する方向に付勢して、前記ステータと前記アーマチュアとの間にエアギャップを形成しているアーマチュア戻しバネと、
前記ステータの前記バネ・ポケット内に配置される減衰要素であって、前記減衰要素は、前記ステータの前記バネ・ポケット内において前記戻しバネを囲繞するとともに、前記ステータの前記バネ・ポケットから前記エアギャップ内へと延設されており、ソレノイドにエネルギーが供給されたとき、前記アーマチュアは前記エアギャップにわたって移動し、前記ステータと接触する前に前記減衰要素と接触し、前記減衰要素は前記エアギャップにわたる前記アーマチュアの移動運動を減衰させる減衰要素と、
を備えている、
空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項2】
前記減衰要素は、エラストマーの中空な円筒である、
請求項1に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項3】
前記円筒は、前記バネ・ポケットから前記エアギャップ内へと前記エアギャップの幅の50〜70%の距離で延設される、
請求項2に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項4】
前記円筒は、70〜90デュロメーター・ショアAの硬度特性を有するゴム材料で形成される、
請求項2又は3に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項5】
前記減衰要素は外側スプリングであり、前記外側スプリングは、前記ステータの前記バネ・ポケット内において前記戻しバネを囲繞しており、前記ステータの前記バネ・ポケットから前記エアギャップ内へと延設されている、
請求項1に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項6】
前記弁座は上側部分と下側部分とを有し、前記上側部分は複数のリブを有しており、それぞれのリブが隣接するリブからあるギャップで離れており、前記ギャップにより前記上側部分を通る空気の流れが許容される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項7】
前記下側部分は複数のリブを有しており、それぞれのリブが隣接するリブからあるギャップで離れており、前記ギャップにより前記下側部分を通る空気の流れが許容される、
請求項6に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項8】
前記ハウジングの前記第二端部が前記下側部分内に受けられたとき、前記ハウジングと前記弁座との間でシールが形成されて前記ハウジングと前記弁座との間に漏れが生じないように、前記下側部分がある内径を有するとともに前記ハウジングの前記第二端部がある外径を有する、
請求項6又は7に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項9】
前記下側部分は、Oリング・シール又は一方向バイパスバルブ機能を有するリップシールの一方である、下側シールをさらに有する、
請求項6から8のいずれか1項に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブ。
【請求項10】
前記弁座は射出成型プラスチックで形成される、
請求項6から9のいずれか1項に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項11】
前記上側部分及び前記下側部分は一体部品である、
請求項6から10のいずれか1項に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【請求項12】
前記下側部分は下側シールを位置決めし保持する、
請求項6、7、8、10及び11のいずれか1項に記載の空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してエアサスペンションシステムの空気ソレノイド・ポペットバルブに関し、特にノイズ抑制及び弁座(valve seat)特性を向上した空気ソレノイド・ポペットバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のエアサスペンション又はエアリフトシステムが、多くの車両における従来のスチール・サスペンションシステムに代わって又は追加して使用されている。これらのエアベースのシステムにおいて、ソレノイド作動ポペットバルブが空気バネにおける圧力を制御するために用いられている。車両においてエアサスペンションシステムを、リヤ(後)アクスルシステムにのみ、前後アクスルの両方に独立して、又は車両の四輪すべてに独立して使用することができる。ソレノイド・ポペットバルブは、システムフロー、圧力、温度及び電圧仕様に適うよう設計しなければならない。これらの基準のために、ポペットバルブには多くのことが要求される。ソレノイドが係合しないときすなわち作動しないとき、典型的にはバルブが閉じるように設計されている。圧力がバルブを開かせようとするとき及び圧力がバルブを閉じているときの両方において、バルブはほとんどゼロ・リークレートとなるよう設計されている。これらの課題を達成するために、ソレノイド・ポペットバルブはエラストマーのシール部材と大きいアーマチュア戻しバネ(armature return spring)とを有する。既存のソレノイド・ポペットバルブの一つの問題は、アーマチュアの作動の際、アーマチュアがポペットバルブにおけるステータとぶつかったときに大きな「クリック(clicking)」ノイズが発生することにある。さらに、現在の弁座設計は、そのモジュレータ・ボア(円筒空間部)にソレノイド・ポペットバルブを受けるものであるが、コスト低減や使用の融通性に関しては最適でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
使用時におけるノイズを低減するとともに、より効率的な弁座設計を有するエアサスペンションシステムのソレノイド・ポペットバルブを提供することが望まれよう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、本発明は、減衰要素と空気を流れさせることができる弁座(valve seat)とを有する空気ソレノイド・ポペットバルブを提供する。第一の態様では、空気ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリは、ハウジングと、ステータと、アーマチュアと、アーマチュア戻しバネ(armature return spring)と、減衰要素とを備える。ハウジングは、第一端部と第二端部とを有する。ステータは、ハウジングの第一端部内において第一端部に固定されるとともに、バネ・ポケットを有する。ハウジングの第二端部は、弁座内に保持される。アーマチュアは、全体的にハウジングの内部に(fully inside the housing)かつステータと第二端部との間に配置され、ハウジング内で摺動可能である。アーマチュアは、バネ・ポケットを有する。アーマチュア戻しバネは、ステータのバネ・ポケット内及びアーマチュアのバネ・ポケット内に配置される。戻しバネは、アーマチュアをステータから離間する方向に付勢して、ステータとアーマチュアとの間にエアギャップを形成する。減衰要素は、ステータのバネ・ポケット内に配置される。減衰要素は、ステータのバネ・ポケット内において戻しバネを囲繞するとともに、ステータのバネ・ポケットからエアギャップ内へと延設される。ソレノイドにエネルギーが供給されたとき、アーマチュアは、エアギャップにわたって移動し、ステータと接触する前に減衰要素と接触し、減衰要素はエアギャップにわたるアーマチュアの動きを減衰させる
【0005】
発明のこれらの及び他の特徴ならびに利点は、好ましい実施形態の詳細な説明から当業者にはより明瞭となろう。本明細書に添付する図面を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に基づいて設計されたソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る減衰要素を示す図1のソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリの一部の断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る減衰要素を示す図1のソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリの一部の断面図である。
図4】本発明に係る図1のポペットバルブ・アッセンブリの弁座の斜視図である。
図5】本発明に係る図4の弁座の断面図である。
図6A】下側シールのない、本発明に係るハウジング及び弁座の斜視図である。
図6B】Oリング・シールを有する、図6Aと同様の図を示す。
図6C】リップシールを有する、図6Aと同様の図を示す。
図6D図6Cの一部の拡大図である。
図7】モジュレータ・ボア(円筒空間部)における定位置にある、本発明に基づいて設計された、バイパス機能を有する図1のソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリの断面図である。
図8】モジュレータ・ボアにおける定位置にある、本発明に基づいて設計された、バイパス機能がない図1のソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリの断面図である。
図9】弁座が一連の保持機能を有する図1のソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリの一部の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、多くの新規な特徴を有するソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリに対してなされたものである。図1は、本発明に係るソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ10の断面図である。バルブアッセンブリ10は、深絞り加工で形成されたハウジング12と、フランジ14と、を有する。好ましくは、フランジ14は、気密状態にあるレーザ溶接部(図示せず)によってハウジング12に固定される。図示されるように、ステータ16は、ハウジング12の第一端部に配置され、ハウジング12の外部に延設される。ステータ16は、好ましくは、気密レーザ溶接部18によってハウジング12内における定位置に固定される。バルブアッセンブリ10は、ハウジング12内において摺動可能なアーマチュア20をさらに有する。ステータ16及びアーマチュア20の両方のそれぞれは、それぞれがアーマチュア20の戻しバネ(return spring)26を収容するバネ・ポケット22,24を有する。バネ26は、アーマチュア20をステータ16から離間する方向に付勢し、アーマチュア20とステータ16との間にエアギャップ30を形成する。ソレノイドコイルは図面には示していないが、当業者にはよく知られているものである。減衰要素28は、ステータ16のバネ・ポケット22内に配置され、戻しバネ26を囲繞している。図1に示す通り、ソレノイドコイルが通電(energized)されていないとき、エアギャップ30がステータ16とアーマチュア20との間に形成される。周囲のソレノイドコイル(図示せず)が通電されたとき、アーマチュア20は、磁気逆二乗則(magnetic inverse square law)に従って、エアギャップ30にわたってステータ16に向かって引っ張られる。本発明ではない典型的なソレノイド・ポペットバルブにおいては、つまり、減衰要素28を有していないソレノイド・ポペットバルブにおいては、通電されたソレノイドコイルはステータ16に向かってアーマチュア20を引っ張り、そして、アーマチュア20がステータ16をぶつかったとき、望ましくない大きな「クリック(clicking)」ノイズが発生する。シーリング・ディスク31は、アーマチュア20の一方の端部に配置される。バルブアッセンブリ10は、フランジ14と弁座34との間に配置される上側シール32をさらに備える。上側シール32は、フランジ14と協働して、ハウジング12を弁座34に対して封止(シール)する。
【0008】
ハウジング12の第二端部は、弁座34に受けいれられる。弁座34は、弁座保持器36と、弁座34を貫通して延びる制御オリフィス38と、を有する。図1に示す通り、ソレノイドコイルが通電されていないとき、シーリング・ディスク31はバネ26によって制御オリフィス38に向かって付勢され、これにより、制御オリフィスを封止する。バルブアッセンブリ10は、下側シール40をさらに備える。この図においては、下側シールをOリングとして示す。バルブアッセンブリ10のソレノイド・コア(図示せず)が通電されたとき、アーマチュア20は、エアギャップ30にわたってステータ16に向かって移動する。
【0009】
図2は、本発明の一実施形態に係る減衰要素28を示す図1のバルブ・アッセンブリ10の一部の断面図である。本実施形態において、減衰要素28は、ポケット22内に配置されるエラストマーの中空の円筒42である。円筒42は、ポケット22内においてバネ26を囲繞するとともに、ステータ16のポケット22からエアギャップ30内へと延設される。円筒42は、エアギャップ30全体にわたっては延設されない。図2に示す通り、エアギャップ30は、ソレノイドコイルが通電されたときにアーマチュア20が移動する「全移動」距離を定義する。そして、円筒42は、「減衰移動」距離として図2に示す全移動距離未満の距離を定義する。好ましくは、「減衰移動」距離は、「全移動」距離の70〜50%である。中空のエラストマーの円筒42を、任意のエラストマー材料で形成することができ、好ましくはゴム材料で形成される。好ましくは、エラストマーの円筒42のゴム材料は、70〜90デュロメーター・ショアA(Durometer Shore A)の硬度特性を有する。バルブアッセンブリ10のソレノイドコイルが通電されたとき、アーマチュア20は、エアギャップ30にわたってステータ16へと迅速に移動する。アーマチュア20は、エアギャップ30にわたって移動するとき、円筒42と接触し、そして、円筒42は、エアギャップ30にわたるアーマチュア20の動きを減衰して遅くさせ、アーマチュア20がステータ16に強くぶつかるのを防止して大きなクリックノイズの発生を防止する。一方、アーマチュア20はステータ16に向かって引き寄せられるが、その移動の最後の70〜50%は円筒42によって減衰される。
【0010】
図3は、本発明の他の実施形態に係る減衰要素28を示す、本発明に基づいて設計されたソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ10の一部の断面図である。図3における減衰要素28は、ステータ16のポケット22内のアーマチュア戻しバネ26の周囲に配置される外側スプリング44である。外側スプリング44は硬い材料で形成される。また、外側スプリング44の端部46は、ポケット22の外部にまで延設されている。外側スプリング44は、アーマチュア20がステータ16に近づくときにアーマチュア20の移動速度を減速させるのに十分な特定の高さでポケット22に嵌入されるよう精密研削(precision ground)されているが、円筒42と同じ減衰を与えない。
【0011】
図4は、本発明に係る弁座34の斜視図である。また、図5は、弁座34の断面図である。弁座34は、複数のリブ52を有する上側部分50を有する。それぞれのペアのリブ52間には、ギャップ54が形成される。上側部分50におけるこれらのリブ52は、フランジ14に対してOリングの上側シール32を位置決めし、フランジ14とモジュレータ・ボア82とに対する適切な封止を形成するよう定位置に上側シール32を保持する(図7及び図8を参照)。弁座34は、また複数のリブ58を有する下側部分56を有する。それぞれのペアのリブ58間には、ギャップ60が形成される。また、下側部分56は、一体化された弁座保持器36を有する。上側部分50及び下側部分56は、弁座34において一体部品として結合されている。図1に示す通り、ハウジング12の一方の端部は、上側部分50を通じて挿入され、弁座保持器36を囲繞する環状溝62内に支持される。好ましくは、ハウジング12は、下側部分56の内径と協働してハウジング12と下側部分56との間に密封を形成するとともに、ハウジング12と弁座34との間の漏れを防止する外径を有する。好ましくは、弁座34はプラスチックで形成されており、好ましくは射出成型部品である。ギャップ54,60により、弁座34とハウジング12とを通る空気の流れが許容される。一体設計における弁座34と弁座保持器36との一体化により、弁座34を非常にコスト効率良く生産することが可能である。さらに、以下に説明する通り、シーリング・ディスク31によってモジュラーボアにおいて良好な封止を保証できる。また、下側部分56の設計により、弁座34をモジュレータ・ボア82に適切に配置することが保証される(後述の図7の記載を参照)。
【0012】
図6Aは、下側シール40が定位置にない、本発明に係るハウジング12及び弁座34の斜視図である。図6Bは、下側シール40としてOリング・シール70を有する、図6Aと同様の図を示す。図6Cは、下側シール40としてリップシール72を有する、図6Aと同様の図を示す。このように、下側部分56は下側シール40を定位置に保持する。図6Dは、図6Cの一部の拡大図であり、以下で説明するバイパス設計におけるさらなる気流の形成を可能にする一体的フロー・チャネル74を示している。弁座34におけるリブ52の設計により、バルブアッセンブリ10の予定されている動作圧で、Oリング70又はリップシール72のいずれかの下側シール40が弁座34から押し出されることが防止される。
【0013】
図7は、モジュレータ・ハウジング80における定位置にある、本発明に基づいて設計されたソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ10の断面図である。モジュレータ・ハウジング80は、内部にバルブアッセンブリ10を受けるモジュレータ・ボア82を有する。図7に示す実施形態では、一方向にはバルブアッセンブリ10を通る流れを遮断しない一方向のバイパスバルブ機能をバルブアッセンブリ10において実現可能な下側シール40として、リップシール72が備えられる。ギャップ60は、ギャップ60を通過しリップシール72下のハウジング12のボア内へと向かうさらなる空気の流れを可能にするよう、リップシール72と協働する。ギャップ60は、所定の動作圧において弁座34からリップシール72が押し出されるのを防止するように、十分に狭くかつ図6Dに示す幾何学的な形状をしている。
【0014】
図8は、モジュレータ・ハウジング80における定位置にある、本発明に基づいて設計されたソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ10の断面図である。モジュレータ・ハウジング80は、内部にバルブアッセンブリ10を受けるモジュレータ・ボア82を有する。図8に示す実施形態では、図7に示したバルブアッセンブリ10におけるバイパスバルブ機能を果たさない下側シール40として、Oリング70が備えられる。このように、本願の弁座34の簡単な設計により、下側シール40としてリップシール72又はOリング70を使用するかを変更するだけで、全く同じバルブアッセンブリ10及び弁座34の設計を用いて、バイパスバルブ機能を実現することも実現しないこともできる。これにより、コストを低減できるとともに、様々な環境においてバルブアッセンブリ10の実用性を大幅に向上できる。所望の場合にバイパスバルブ機能設計を採用したい場合に、バルブアッセンブリ10、弁座34、モジュレータ・ハウジング80、又はモジュレータ・ボア82の設計を変更する必要はない。
【0015】
図9に、保持機能を有する本発明に係るソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ10の一部の断面図を示す。モジュレータ・ハウジング80のモジュレータ・ボア82にほぼ完全に取り付けられたバルブアッセンブリ10を示す。弁座34は、この設計において、複数の押し潰すことが可能なリブ90を有する。リブ90のそれぞれは、弁座34がモジュレータ・ボア82に取り付けられたときに、モジュレータ・ボア82における段差部92に対して反発する。弁座34が完全に取り付けられたとき、段差部92はリブ90を内側に向かって押し潰す。これにより、ハウジング12の底部に向かって弁座保持器36を押し上げて互いの積極的な接触を確実に行う、積極的な力が生じる。リブ90の設計は、押し潰し可能な量及び作用する保持力の適正化が確実に行われるよう、変更可能である。
【0016】
上述の発明は関連する法律的な基準に則って説明したものであり、したがって、この説明は本質的に限定するものではなく例示的なものである。開示した実施形態に対する変形及び変更は、当業者には明らかであり、本発明の範囲内で行うことができる。したがって、本発明に与えられる法的保護の範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によってのみ定義することができる。
【符号の説明】
【0017】
10 ソレノイド・ポペットバルブ・アッセンブリ
12 ハウジング
14 フランジ
16 ステータ
18 気密レーザ溶接部
20 アーマチュア
22 バネ・ポケット
24 バネ・ポケット
26 アーマチュア戻しバネ
28 減衰要素
30 エアギャップ
31 シーリング・ディスク
32 上側シール
34 弁座
36 弁座保持器
38 制御オリフィス
40 下側シール
42 円筒
44 外側スプリング
46 端部
50 上側部分
52 リブ
54 ギャップ
56 下側部分
58 リブ
60 ギャップ
62 環状溝
70 Oリング・シール
72 リップシール
74 一体的フロー・チャネル
80 モジュレータ・ハウジング
82 モジュレータ・ボア
90 リブ
92 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9