(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メイン偏光と、該メイン偏光に比べて小パワーで、偏光方位が前記メイン偏光に対して90度傾いたマイナー偏光とを含むレーザ光を出射する少なくとも1つのレーザ素子と、
前記メイン偏光と前記マイナー偏光とを分岐させて異なる方向に伝搬させるビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタで分岐した前記メイン偏光に光結合して前記メイン偏光を外部に出力する光ファイバと、
前記少なくとも1つのレーザ素子を収容するパッケージ筐体であって、前記ビームスプリッタで分岐した前記マイナー偏光に照射されることとなるマイナー偏光照射領域が内壁に含まれるパッケージ筐体と、
前記パッケージ筐体に対して取り付けられ、前記マイナー偏光照射領域の温度変化を検知する少なくとも1つの温度測定素子と
を備える、レーザモジュール。
前記少なくとも1つの温度測定素子は、前記ビームスプリッタで分岐した前記マイナー偏光の伝搬方向において、前記マイナー偏光照射領域を基準として前記ビームスプリッタの反対側に取り付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
前記少なくとも1つの温度測定素子は、前記ビームスプリッタで分岐した前記マイナー偏光の伝搬方向に沿って前記マイナー偏光照射領域から延びる線上に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
前記光学部品群には、前記複数のレーザ素子のそれぞれからの前記レーザ光を前記ビームスプリッタに導光する複数のミラーが含まれる、請求項7に記載のレーザモジュール。
前記光学部品群には、前記複数のレーザ素子の少なくとも1つからの前記レーザ光の偏光方位を90度回転させる1/2波長板が含まれる、請求項7又は8に記載のレーザモジュール。
前記複数のレーザ素子のそれぞれからの前記レーザ光の前記メイン偏光を集光して前記光ファイバに光結合させる集光レンズをさらに備える、請求項7から9のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
前記残寿命算出部は、前記駆動時点において前記レーザモジュールに供給された電流値から定まる前記複数のレーザ素子の平均故障時間Tと、前記累積故障数nと、前記レーザモジュールの許容レーザ素子故障数Nとに基づいて、前記残寿命Dを、
D=(N−n)×T
の式から算出する、請求項11に記載のレーザ装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るレーザモジュールの実施形態について
図1から
図6を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図6において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図6においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態におけるレーザ装置100を模式的に示す部分平面断面図である。
図1に示すように、レーザ装置100は、レーザモジュール1と、レーザモジュール1に接続された処理部2と、処理部2に接続されたモニタ3とを備えている。
【0021】
レーザ装置100のレーザモジュール1は、複数のレーザ素子からのレーザ光を外部に出力するとともに、サーミスタによりモジュールの温度変化を検知する。レーザ装置100の処理部2は、上記サーミスタからのデータに基づいてレーザモジュール1の残寿命を算出する。レーザ装置100のモニタ3は、処理部2で算出されたレーザモジュール1の残寿命を表示する。
【0022】
図1に示すように、レーザモジュール1は、レーザ光を+Y方向に出射する複数の(本実施形態では5つの)レーザ素子20と、レーザ光を−Y方向に出射する複数の(本実施形態では5つの)レーザ素子30と、レーザ光の伝搬方向及び偏光方位を変える光学部品群40と、レーザ光の2つの偏光(メイン偏光及びマイナー偏光)を異なる方向に分岐させるビームスプリッタ50と、レーザ素子20,30などを実装して内部に収容するパッケージ筐体10と、ビームスプリッタ50で分岐したメイン偏光を集光する集光レンズ70と、集光レンズ70で集光されたメイン偏光に光結合して該メイン偏光を外部に出力する光ファイバ60と、ビームスプリッタ50で分岐したマイナー偏光の光路上に配置されたレーザ光吸収部材80及びサーミスタ90(温度測定素子)と、を備えている。
【0023】
5つのレーザ素子20は、パッケージ筐体10の−Y方向側の部分に、X方向に沿って一直線上に配置されており、第1のレーザ素子群23を構成している。第1のレーザ素子群23のうち最も−X方向側に位置するレーザ素子20と、最も+X方向側に位置するレーザ素子20とには、それぞれリード線24がボンディングワイヤ26を介して接続されている。また、5つのレーザ素子20は、図示しないボンディングワイヤを介して互いに接続されている。このような構成により、リード線24を介して電力が供給されると、第1のレーザ素子群23からレーザ光L1が+Y方向に出射される。このレーザ光L1は、メイン偏光であるTEモードと、マイナー偏光であるTMモードとを含んでいる。なお、本実施形態において、レーザ光L1のTMモード(マイナー偏光)は、TEモード(メイン偏光)のおよそ1%〜5%のパワーとなっている。
【0024】
5つのレーザ素子30は、パッケージ筐体10の+Y方向側の部分に、X方向に沿って一直線上に配置されており、第2のレーザ素子群33を構成している。第2のレーザ素子群33のうち最も−X方向側に位置するレーザ素子30と、最も+X方向側に位置するレーザ素子30とには、それぞれリード線34がボンディングワイヤ36を介して接続されている。また、5つのレーザ素子30は、図示しないボンディングワイヤを介して互いに接続されている。このような構成により、リード線34を介して電力が供給されると、第2のレーザ素子群33からレーザ光L2が−Y方向に出射される。このレーザ光L2は、レーザ光L1と同様に、メイン偏光であるTEモードと、マイナー偏光であるTMモードとを含んでいる。なお、本実施形態において、レーザ光L2のTMモードは、TEモードのおよそ1%〜5%のパワーとなっている。
【0025】
ここで、
図2は、
図1に示すレーザモジュール1のA−A線断面の一部を模式的に示す図である。なお、
図2では、理解を容易にするために、リード線やボンディングワイヤなどの図示が省略されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、パッケージ筐体10は、
図1の平面視において略長方形に形成された底板11と、底板11の外縁部上に固定された枠体12とを備えている。このパッケージ筐体10は、熱伝導性に優れた銅などの金属から形成されている。パッケージ筐体10の底板11は、基底部14と、基底部14の−X方向側縁部14Aよりも−X方向側に位置する階段部13とを含んでいる。この階段部13は、−X方向に行くに従い高くなるようにZ方向に段差を付けて5段の実装面15A〜15E(+X方向側から−X方向側に向かって、実装面15A,15B,15C,15D,15E)が設けられている。そして、実装面15A〜15Eのそれぞれの+Y方向側端部近傍には、レーザ素子20がサブマウント21を介して実装されている。一方、実装面15A〜15Eのそれぞれの−Y方向側端部近傍には、レーザ素子30がサブマウント31を介して実装されている。
【0027】
図1に示すように、第1のレーザ素子群23から出射されたレーザ光L1の出射方向(+Y方向)前方には、複数の(本実施形態では5つの)反射ミラー41が配置されている。すなわち、実装面15A〜15Eのそれぞれに、反射ミラー41が配置されている。これらの反射ミラー41のそれぞれは、
図1の平面視においてX方向及びY方向に対して45°傾いた状態で固定されている。したがって、レーザ素子群23から出射されたレーザ光L1は、反射ミラー41で90°方向転換して+X方向に伝搬することとなる。
【0028】
なお、半導体レーザ素子20の出射端と反射ミラー41との間にはコリメートレンズ(図示せず)が配置されている。したがって、レーザ光L1は、反射ミラー41に到達する前にコリメートされ、その広がりが抑制される。後述する第2の実施形態においても同様である。
【0029】
反射ミラー41で方向転換したレーザ光L1の伝搬方向(+X方向)前方には、1/2波長板44が配置されている。この1/2波長板44は、底板11の基底部14に固定されており、レーザ光L1の偏光方位を90°回転させるものである。したがって、レーザ光L1が1/2波長板44を通過すると、レーザ光L1のメイン偏光(TEモード)及びマイナー偏光(TMモード)のそれぞれの偏光方位が90°回転することとなる。
【0030】
1/2波長板44の前方に位置する基底部14の部分には、ビームスプリッタ50が配置されている。したがって、1/2波長板44を通過したレーザ光L1は、このビームスプリッタ50に入射する。本実施形態におけるビームスプリッタ50は、2つの直角プリズムから構成されており、2つの直角プリズムのそれぞれは、X方向及びY方向に対して45°の角度をなす傾斜面を有している。ビームスプリッタ50は、これら2つの直角プリズムの傾斜面同士が接合されることにより構成される。そして、これらの傾斜面の一方には、誘電体多層膜や金属薄膜などからなる光学薄膜51が形成されている。このような構成によれば、光学薄膜51に対して水平な偏波は光学薄膜51で反射して90°方向転換することとなり、一方、光学薄膜51に対して垂直な偏波は光学薄膜51を透過することとなる。
【0031】
上述のように、1/2波長板44を通過したレーザ光L1のメイン偏光(TEモード)の偏光方位は90°回転しているため、このメイン偏光は、光学薄膜51に対して水平になっている。したがって、レーザ光L1のメイン偏光は光学薄膜51で反射して90°方向転換し、−Y方向に伝搬することとなる。一方、1/2波長板44を通過したレーザ光L1のマイナー偏光(TMモード)の偏光方位は90°回転しているため、このマイナー偏光は、光学薄膜51に対して垂直になっている。したがって、レーザ光L1のマイナー偏光は光学薄膜51を透過し、+X方向に伝搬することとなる。
【0032】
図1に示すように、第2のレーザ素子群33から出射されたレーザ光L2の出射方向(−Y方向)前方には、複数の(本実施形態では5つの)反射ミラー42が配置されている。すなわち、実装面15A〜15Eのそれぞれに、反射ミラー42が配置されている。これらの反射ミラー42のそれぞれは、
図1の平面視においてX方向及びY方向に対して45°傾いた状態で固定されているが、傾き方向は反射ミラー41と逆になっている。したがって、レーザ素子群33から出射されたレーザ光L2は、反射ミラー42で90°方向転換して+X方向に伝搬することとなる。
【0033】
なお、半導体レーザ素子30の出射端と反射ミラー42との間には、コリメートレンズ(図示せず)が配置されている。したがって、レーザ光L2は、反射ミラー42に到達する前にコリメートされ、その広がりが抑制される。
【0034】
反射ミラー42で方向転換したレーザ光L2の伝搬方向(+X方向)前方には、反射ミラー42と同一方向に傾いた反射ミラー43が配置されている。この反射ミラー43は、基底部14に固定されており、Y方向においてビームスプリッタ50と一直線上に並んでいる。したがって、レーザ光L2は、反射ミラー43で反射すると、90°方向転換して−Y方向に伝搬し、伝搬方向(−Y方向)前方に配置されたビームスプリッタ50に入射する。
【0035】
上述のように、レーザ光L2のメイン偏光はTEモードであり、ビームスプリッタ50の光学薄膜51に対して垂直になっている。したがって、レーザ光L2がビームスプリッタ50に達すると、レーザ光L2のメイン偏光は光学薄膜51を透過して−Y方向に伝搬することとなる。一方、レーザ光L2のマイナー偏光はTMモードであり、光学薄膜51に対して水平になっている。したがって、レーザ光L2がビームスプリッタ50に達すると、レーザ光L2のマイナー偏光は光学薄膜51で反射して90°方向転換し、+X方向に伝搬することとなる。
【0036】
このように、第1のレーザ素子群23からのレーザ光L1及び第2のレーザ素子群33からのレーザ光L2がビームスプリッタ50に入射すると、光学薄膜51で反射したレーザ光L1のメイン偏光と、光学薄膜51を透過したレーザ光L2のメイン偏光とが合波し、−Y方向に伝搬する合波メイン偏光L3となる。一方、光学薄膜51を透過したレーザ光L1のマイナー偏光と、光学薄膜51で反射したレーザ光L2のマイナー偏光とが合波し、+X方向に伝搬する合波マイナー偏光L4となる。
【0037】
図1に示すように、合波メイン偏光L3の伝搬方向(−Y方向)前方には、集光レンズ70が配置されており、さらにその前方には、光ファイバ60が配置されている。したがって、合波メイン偏光L3は、集光レンズ70で集光された上、光ファイバ60の端部に光結合してパッケージ筐体10の外部に出力される。
【0038】
一方、合波マイナー偏光L4の伝搬方向(+X方向)前方には、枠体12の+X方向側壁部12Aが位置している。そして、この+X方向側壁部12Aの内壁のうち合波マイナー偏光L4に照射されることとなる領域(マイナー偏光照射領域17)には、レーザ光吸収部材80が取り付けられている。なお、後述するが、必ずしもパッケージ筐体の内壁にレーザ光吸収部材80を取り付ける必要はない。
【0039】
なお、本明細書において「マイナー偏光照射領域」とは以下のような領域をいう。
(1)パッケージ筐体の内壁にレーザ光吸収部材等が取り付けられている場合:
レーザ光吸収部材等が取り付けられていないと仮定した場合に、パッケージ筐体の内壁のうち、ビームスプリッタで分岐したマイナー偏光によって照射される領域をいう。
(2)パッケージ筐体の内壁にレーザ光吸収部材等が取り付けられていない場合:
パッケージ筐体の内壁のうち、ビームスプリッタで分岐したマイナー偏光によって照射される領域をいう。
【0040】
上述のレーザ光吸収部材80は、レーザ吸収率が高い(すなわち、熱抵抗が高い)材料からなり、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)からなるプラスチック、黒色メッキされたSUS(ステンレス鋼材)、或いは黒アルマイト処理されたアルミニウムなどから形成される。
【0041】
図1に示すように、合波マイナー偏光L4の伝搬方向において、マイナー偏光照射領域17を基準としてビームスプリッタ50の反対側には、温度測定素子としてのサーミスタ90が取り付けられている。より具体的には、+X方向側壁部12Aの外壁のうちレーザ光吸収部材80に対向する部分には、ザグリ穴が形成されている。サーミスタ90は、このザグリ穴に埋設されており、熱伝導性の高い樹脂を介して固定されている。なお、樹脂によってサーミスタ90を固定する代わりに、例えば、上記外壁にタップ穴を形成し、サーミスタ90をネジ止めしてもよい。
【0042】
以上のような構成により、+X方向に伝搬する合波マイナー偏光L4は、レーザ光吸収部材80へ照射されて熱に変換され、この熱による温度変化がサーミスタ90を介して検知される。
【0043】
次に、レーザモジュール1の動作について説明する。レーザモジュール1に電力が供給されると、第1のレーザ素子群23からレーザ光L1が+Y方向に出射される。このレーザ光L1は、反射ミラー41で反射し、90°方向転換して+X方向に伝搬する。そして、1/2波長板44を通過することによって偏光方位が90°回転し、レーザ光L1はこの状態でビームスプリッタ50に入射する。レーザ光L1のメイン偏光はビームスプリッタ50の光学薄膜51で反射し、90°方向転換して−Y方向に伝搬する。一方、マイナー偏光は光学薄膜51を透過して+X方向に伝搬する。
【0044】
また、レーザモジュール1に電力が供給されると、第2のレーザ素子群33からレーザ光L2が−Y方向に出射される。このレーザ光L2は、反射ミラー42で反射し、90°方向転換して+X方向に伝搬する。そして、反射ミラー43でさらに反射し、−Y方向に伝搬してビームスプリッタ50に入射する。レーザ光L2のメイン偏光はビームスプリッタ50の光学薄膜51を透過して−Y方向に伝搬する。一方、マイナー偏光は光学薄膜51で反射し、90°方向転換して+X方向に伝搬する。
【0045】
レーザ光L1のメイン偏光が光学薄膜51で反射し、レーザ光L2のメイン偏光が光学薄膜51を透過することで、これらのメイン偏光が合波して合波メイン偏光L3となる。この合波メイン偏光L3は、集光レンズ70で集光された後、光ファイバ60に結合して外部に出力される。一方、レーザ光L1のマイナー偏光が光学薄膜51を透過し、レーザ光L2のマイナー偏光が光学薄膜51で反射することで、これらのマイナー偏光が合波して合波マイナー偏光L4となる。この合波マイナー偏光L4は、+X方向側壁部12Aのマイナー偏光照射領域17に取り付けられたレーザ光吸収部材80へ照射される。
【0046】
以上のように、レーザ光の伝搬方向及び偏光方位を変える上述の光学部品群40は、レーザ光L1,L2をビームスプリッタ50に導光する反射ミラー41,42,43と、レーザ光L1の偏光方位を90°回転させる1/2波長板44とを含んでいる。本実施形態によれば、反射ミラー41,42,43と、1/2波長板44と、ビームスプリッタ50とによって、レーザ光L1,L2のメイン偏光とマイナー偏光とが分岐及び合波され、合波メイン偏光L3の外部への出力と、合波マイナー偏光L4のレーザ光吸収部材80への導光とが両立される。
【0047】
そして、合波マイナー偏光L4がレーザ光吸収部材80へ照射されることで、レーザ光吸収部材80の温度が上昇する。例えば、各レーザ素子20,30の出力が10W、各レーザ素子20,30のマイナー偏光のパワーがメイン偏光の1%、レーザ光吸収部材80の熱抵抗が10℃/Wの場合、1つのレーザ素子からのマイナー偏光の照射によって、レーザ光吸収部材80の温度が約1℃上昇することとなる。合波マイナー偏光L4は、10個のレーザ素子20,30からのマイナー偏光が合波したものであるため、合波マイナー偏光L4によってレーザ光吸収部材80が照射されると、レーザ光吸収部材80の温度は約10℃上昇することとなる。なお、例えば、レーザ素子20,30が1個故障した場合、レーザ光吸収部材80の温度が約9℃上昇し、5個故障した場合、約5℃上昇することとなる。
【0048】
ここで、本実施形態によれば、レーザ光吸収部材80とサーミスタ90との間には、+X方向側壁部12A、すなわち、熱伝導性に優れた金属(銅)が介在しているため、レーザ光吸収部材80の熱がサーミスタ90に伝わることとなる。本実施形態によれば、サーミスタ90がレーザ光吸収部材80と対向するように配置されているため、レーザ光吸収部材80からの熱がサーミスタ90に効果的に伝わる。特に、本実施形態によれば、
図1に示すように、平面視においてサーミスタ90の全幅がレーザ光吸収部材80に対向しているため、レーザ光吸収部材80からの熱がより効果的にサーミスタ90に伝わる。
【0049】
そして、このサーミスタ90からは、レーザ光吸収部材80から伝わった熱に対応する電流が導線91を介して処理部2に流れる。処理部2は、この電流(信号)に基づいてレーザ素子の累積故障数やレーザモジュール1の残寿命などを算出する。
【0050】
以下、この処理部2の動作について説明する。ここで、
図3は、処理部2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、処理部2は、故障数算出部121と、故障時間算出部122と、許容故障数記憶部123と、残寿命算出部124とを含んでいる。
【0051】
故障数算出部121は、サーミスタ90及び残寿命算出部124に接続されている。この故障数算出部121は、サーミスタ90から信号を入力し、レーザモジュール1のある駆動時点tにおけるレーザ素子20,30の累積故障数nを算出する。例えば、駆動時点tにおいてレーザ素子が1個故障した場合、上述の例に従えば、レーザ光吸収部材80からサーミスタ90に伝わる熱は、レーザ素子が故障していない場合に比べて約1℃低下するが、この温度変化に対応する電流がサーミスタ90から故障数算出部121に流れることで、故障数算出部121は、駆動時点tにおけるレーザ素子の累積故障数nが1個であると算出する。また、駆動時点tにおいてレーザ素子が5個故障した場合、上述の例に従えば、レーザ光吸収部材80からサーミスタ90に伝わる熱は、レーザ素子が故障していない場合に比べて約5℃低下するが、この温度変化に対応する電流がサーミスタ90から故障数算出部121に流れることで、故障数算出部121は、駆動時点tにおけるレーザ素子の累積故障数nが5個であると算出する。以上のように、故障数算出部121は、サーミスタ90から流れる電流(信号)に基づいて、駆動時点tにおけるレーザ素子の累積故障数nを算出する。
【0052】
故障時間算出部122は、残寿命算出部124に接続されている。この故障時間算出部122は、レーザモジュール1の上記駆動時点tにおいてレーザモジュール1に供給された電流値に基づいて、10個のレーザ素子20,30の平均故障時間Tを算出する。より具体的には、レーザ素子のランダム故障率は、レーザ素子の光出力とジャンクション温度とよって決まることが一般的に知られている。ここで、10個のレーザ素子20,30の設計が同じである場合(すなわち、IL特性が同じである場合)、光出力及びジャンクション温度の個体差は小さいため、レーザモジュール1の冷却水の温度と流量とを一定にすることにより、レーザ素子20,30のIL特性と、レーザモジュール1の冷却能力と、駆動時点tにおける駆動電流とに基づいて、レーザ素子20,30の光出力とジャンクション温度とが推定され、その結果、各半導体レーザ素子のランダム故障率が算出される。故障時間算出部122は、このようにして算出したランダム故障率に基づいてレーザ素子20,30の平均故障時間Tを算出し、この平均故障時間Tのデータを残寿命算出部124に出力する。
【0053】
許容故障数記憶部123は、残寿命算出部124に接続されている。この許容故障数記憶部123は、レーザモジュール1におけるレーザ素子20,30の許容レーザ素子故障数Nを記憶している。ところで、ファイバレーザシステムは冗長性を持って設計されており、レーザ素子の最大定格電流より低い電流で最大定格出力が出せるようになっている。したがって、ある半導体レーザ素子が故障しても、駆動電流を上げることで、そのパワーダウン分を補償することが可能である。しかしながら、システムの累積駆動時間がある長さに達すると、駆動電流を上記最大定格電流まで引き上げた場合でも、ファイバレーザの出力が最大定格出力に達しない状況となる(すなわち、故障したレーザ素子のパワーダウン分が完全に補償されない状況となる)。本明細書では、この累積駆動時点(すなわち、パワーダウン分が完全に補償されなくなった時点)におけるレーザ素子の故障数を「許容レーザ素子故障数N」と定義する。許容故障数記憶部123は、この許容レーザ素子故障数Nのデータを残寿命算出部124に出力する。
【0054】
残寿命算出部124は、故障数算出部121、故障時間算出部122、許容故障数記憶部123、及びモニタ3に接続されている。この残寿命算出部124は、故障数算出部121からの累積故障数nのデータ、故障時間算出部122からの平均故障時間Tのデータ、及び許容故障数記憶部123からの許容レーザ素子故障数Nのデータを入力すると、
D=(N−n)×T
の式に基づいて、駆動時点tにおけるレーザモジュール1の残寿命Dを算出(予測)する。残寿命算出部124は、算出した残寿命Dのデータをモニタ3に出力する。なお、その他のアルゴリズムから残寿命Dを算出してもよいことは言うまでもない。
【0055】
そして、モニタ3は、処理部2の残寿命算出部124から残寿命Dのデータを入力すると、このデータを処理してディスプレイに表示する。
【0056】
以下、本実施形態におけるレーザモジュール1及びレーザ装置100の効果について説明する。
【0057】
本実施形態におけるレーザモジュール1によれば、複数のレーザ素子からのマイナー偏光を一か所(マイナー偏光照射領域17)に集めることができるため、マイナー偏光照射領域17からの熱が伝わる位置(本実施形態では、マイナー偏光照射領域に対向する位置)に1つのサーミスタを配置することで、レーザ素子の故障や不具合を正確に検知することが可能となる。
【0058】
なお、1つのサーミスタでマイナー偏光照射領域の熱を十分に検知できない場合には、複数のサーミスタを取り付けてもよい。ただし、このような場合でも、マイナー偏光照射領域の熱を検知できれば、レーザ素子の故障数を正確に検知することができるため、複数の半導体レーザ素子をパッケージ筐体の広範囲に配置する必要がない。したがって、従来のレーザモジュールに比べて少数のサーミスタでレーザ素子の故障を正確に検知することができる。
【0059】
また、本実施形態におけるレーザモジュール1によれば、マイナー偏光照射領域17にレーザ光吸収部材80が設けられているため、合波マイナー偏光L4が効率的に熱に変換される。したがって、レーザ素子の故障等による温度変化をより正確に検知することができる。
【0060】
なお、他の実施形態では、このようなレーザ光吸収部材を必ずしも設ける必要はない。レーザ光吸収部材を設けない場合には、マイナー偏光照射領域のレーザ吸収率を高めるために、該領域をマスクして非メッキ部分としたり、マイナー偏光照射領域を黒アルマイト処理したりすることが好ましい。
【0061】
さらに、本実施形態におけるレーザモジュール1によれば、サーミスタ90が熱伝導性に優れた金属(銅)を介してレーザ光吸収部材80に対向しているため、レーザ光吸収部材80からの熱が効果的にサーミスタ90に伝わる。また、このサーミスタ90は、パッケージ筐体10の外壁から内側に埋設されているため、該外壁上に取り付けられる場合と比較してレーザ光吸収部材80に接近している。したがって、レーザ光吸収部材80からの熱がより効果的にサーミスタ90に伝わる。
【0062】
そして、以上のようなレーザモジュール1を備えるレーザ装置100によれば、サーミスタ90を介してレーザ光吸収部材80(マイナー偏光照射領域17)からの熱(温度変化)が正確に検知され、これにより、レーザ素子の故障が正確に検知されるため、レーザモジュールの残寿命が高精度で算出(予測)される。また、本実施形態におけるレーザ装置100によれば、1つのサーミスタからのデータに基づいて残寿命を算出することができるため、複数のサーミスタを取り付ける場合と比較して、残寿命の算出アルゴリズムを簡易にすることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態におけるレーザモジュール201について説明する。ここで、
図4は、レーザモジュール201を模式的に示す部分断面平面図である。
図4に示すように、レーザモジュール201はパッケージ筐体210を備えている。このパッケージ筐体210は、底板211と、底板211の外縁に固定された枠体212とを含んでいる。底板211は、第1の実施形態の底板11に比べて約半分の寸法に形成されており、基底部214と、階段部213とを有している。階段部213には、−X方向に行くに従って次第に高くなるように5段の実装面215A〜215Eが形成されており、これらの実装面215A〜215Eのそれぞれに、レーザ素子20と反射ミラー41とが固定されている。すなわち、レーザモジュール201は、第1の実施形態におけるレーザモジュール1と異なり、第1のレーザ素子群23のみを有している。
【0064】
第1のレーザ素子群23から出射されたレーザ光L1は、反射ミラー41で反射して90°方向転換し、+X方向に伝搬する。そして、この伝搬方向(+X方向)前方に配置されたビームスプリッタ50に入射する。ここで、レーザ光L1のメイン偏光は上述のようにTEモードであり、ビームスプリッタ50の光学薄膜51に対して垂直である。したがって、光学薄膜51を透過し、+X方向に伝搬する透過メイン偏光L23となる。そして、この透過メイン偏光L23は、伝搬方向前方に固定された集光レンズ70で集光され、さらに前方に配置された光ファイバ60に光結合して+X方向に出力される。
【0065】
一方、レーザ光L1のマイナー偏光は、上述のようにTMモードであり、ビームスプリッタ50の光学薄膜51に対して水平である。したがって、光学薄膜51で反射して90°方向転換し、−Y方向に伝搬する反射マイナー偏光L24となる。この反射マイナー偏光L24の伝搬方向(−Y方向)前方には枠体212の−Y方向側壁部212Aが位置している。そして、該壁部212Aの内壁のうち反射マイナー偏光L24に照射されることとなる領域(マイナー偏光照射領域217)には、レーザ光吸収部材80が設けられている。さらに、このレーザ光吸収部材80と対向するように、サーミスタ90が−Y方向側壁部212Aに埋設されている。このような構成により、反射マイナー偏光L24がレーザ光吸収部材80へ照射されて熱に変換され、この熱がサーミスタ90に効果的に伝わる。特に、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、平面視においてサーミスタ90の全幅がレーザ光吸収部材80と対向しているため(
図4参照)、熱がサーミスタ90により効果的に伝わる。
【0066】
以上のように、本実施形態におけるレーザモジュール201によれば、第1の実施形態におけるレーザモジュール1と同様に、複数のレーザ素子からのマイナー偏光が一か所(マイナー偏光照射領域217)に集まるため、この領域217からの熱が伝わる位置にサーミスタを配置することにより、少数の(本実施形態では1つの)サーミスタでレーザ素子の故障や不具合を正確に検知することができる。
【0067】
なお、本実施形態におけるレーザモジュール201によれば、上述した1/2波長板を配置する必要はない。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態におけるレーザモジュール301について説明する。ここで、
図5は、レーザモジュール301を模式的に示す部分平面断面図である。
図5に示すように、レーザモジュール301は、パッケージ筐体310を備えている。パッケージ筐体310は、平坦な底板311と、底板311の外縁に固定された枠体312とを含んでいる。底板311には、サブマウント21を介して5つのレーザ素子20(すなわち、上記第1のレーザ素子群23)が実装されている。さらに、この底板311には、5つの反射ミラー341と、1/2波長板44と、ビームスプリッタ50と、集光レンズ70とがさらに実装されている。
【0069】
5つの反射ミラー341は、互いにY方向に所定のピッチで位置をずらして配置されている。なお、最も−X方向側に位置する反射ミラー341は、対応するレーザ素子に最も近接しており、最も+X方向側に位置する反射ミラー341は、対応するレーザ素子から最も離間している。
【0070】
なお、半導体レーザ素子20の出射端と反射ミラー341との間には、半導体レーザ素子20から出射されたレーザ光をコリメートレンズ(図示せず)が配置されている。したがって、レーザ光L1は、反射ミラー341に到達する前にコリメートされ、その広がりが抑制される。
【0071】
各反射ミラー341は、対応するレーザ素子20から出射されたレーザ光の伝搬方向を1組のミラーによって方向転換するものである。本実施形態では、第1のレーザ素子群23から+Y方向に出射されたレーザ光L1が、5つの反射ミラー341によって+X方向に方向転換される。なお、レーザ光L1の出射時点において、レーザ光L1のメイン偏光はTEモードであり、マイナー偏光はTMモードである。
【0072】
図6に示すように、反射ミラー341は、跳ね上げミラー346と、跳ね上げミラー346に載置された折り返しミラー348とを備えている。跳ね上げミラー346は、XY平面の形状が台形状になっており、XY平面上で+X方向に対して45°の角度をなす反射面346Aを有している。したがって、あるレーザ素子20から出射され、+Y方向に伝搬するレーザ光Laは、跳ね上げミラー346の反射面346Aで反射して+Z方向に伝搬するレーザ光Lbとなる。
【0073】
また、
図6に示すように、折り返しミラー348は、XZ平面上で+X方向に対して45°の角度をなす反射面348Aを有している。したがって、跳ね上げミラー346の反射面346Aで反射して+Z方向に伝搬するレーザ光Lbは、折り返しミラー348の反射面348Aで反射して+X方向に向かうレーザ光Lcとなる。このように、あるレーザ素子20から+Y方向に出射されたレーザ光Laは、反射ミラー341で2段階の反射をして90°方向転換され、+X方向に伝搬するレーザ光Lcとなる。そして、このような2段階反射により、レーザ光Lcのメイン偏光(TEモード)及びメイン偏光(TMモード)の偏光方位がそれぞれ90°回転する。すなわち、レーザ素子群23から+Y方向に出射されたレーザ光L1は、5つの反射ミラー341によって、90°方向転換して+X方向に伝搬していくが、この段階におけるレーザ光L1の偏光方位は、出射時点から90°回転している。
【0074】
図5に戻って、+X方向に伝搬するレーザ光L1の前方には、1/2波長板44が配置されている。そのため、この1/2波長板44を透過することにより、レーザ光L1のメイン偏光(TEモード)及びマイナー偏光(TMモード)の偏光方位が、出射時点の偏光方位に戻る。
【0075】
1/2波長板44を透過したレーザ光L1の伝搬方向前方には、ビームスプリッタ50が配置されている。したがって、レーザ光L1がビームスプリッタ50の光学薄膜51に達すると、レーザ光L1のメイン偏光は、光学薄膜51を透過してさらに+X方向に伝搬していく(透過メイン偏光L33)。一方、レーザ光L1のマイナー偏光は、光学薄膜51で反射して90°方向転換し、−Y方向に伝搬する反射マイナー偏光L34となる。
【0076】
透過メイン偏光L33の伝搬方向(+X方向)前方には、集光レンズ70及び光ファイバ60が配置されている。したがって、透過メイン偏光L33は、集光レンズ70で集光された上、集光レンズ70の前方に位置する光ファイバ60に光結合して外部に出力される。
【0077】
一方、反射マイナー偏光L34の伝搬方向(−Y方向)前方には枠体312の−Y方向側壁部312Aが位置している。この−Y方向側壁部312Aのうち反射マイナー偏光L34に照射されることとなる領域(マイナー偏光照射領域317)上には、レーザ光吸収部材80が設けられている。さらに、このレーザ光吸収部材80に対向するように、サーミスタ90が−Y方向側壁部312Aに埋設されている。このような構成によれば、反射マイナー偏光L34がレーザ光吸収部材80へ照射されて熱に変換され、この熱がサーミスタ90に効果的に伝わる。特に、本実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様に、平面視においてサーミスタ90の全幅がレーザ光吸収部材80と対向しているため(
図5参照)、熱がより効果的にサーミスタ90に伝わる。
【0078】
以上のように、本実施形態におけるレーザモジュール301によれば、第1の実施形態におけるレーザモジュール1や第2の実施形態におけるレーザモジュール201と同様に、複数のレーザ素子からのマイナー偏光が一か所(マイナー偏光照射領域317)に集まるため、この領域317からの熱を検知できる位置にサーミスタを配置することにより、少数の(本実施形態では1つの)サーミスタでレーザ素子の故障や不具合を正確に検知することができる。
【0079】
なお、上述の第3の実施形態において、必ずしも1/2波長板44を設ける必要はない。1/2波長板44を設けない実施形態では、光学薄膜51に達したレーザ光L1のメイン偏光及びマイナー偏光の偏光方位は反射ミラー341で90°回転したままである。したがって、この実施形態におけるメイン偏光は、光学薄膜51で反射して−Y方向に方向転換する。一方、この実施形態におけるマイナー偏光は、光学薄膜51を透過して枠体312の+X方向側壁部312Bに向かって伝搬する。そのため、+X方向側壁部312Bにサーミスタを設け、−Y方向側壁部312Aに光ファイバ60が設けることで、第1ないし第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
さてこれまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいものである。以下、他の実施形態の一例を説明する。
【0081】
例えば、上述の第1ないし第3の実施形態では、レーザ素子が出射するレーザ光のメイン偏光がTEモードであり、マイナー偏光がTMモードである例を説明したが、レーザ光のメイン偏光とマイナー偏光との偏光方位が90°異なればよい。例えば、半導体レーザ素子が出射するレーザ光のメイン偏光がTMモードかつマイナー偏光がTEモードであってもよい。
【0082】
また、上述の第1ないし第3の実施形態では、複数のレーザ素子が実装されたレーザモジュールに本発明を適用した例を説明したが、単一のレーザ素子が実装されたレーザモジュールに本発明を適用してもよい。この場合、単一のレーザ素子から出射されたレーザ光のマイナー偏光が、ビームスプリッタで分岐してパッケージ筐体の特定の領域(すなわち、マイナー偏光照射領域)に導光されることとなる。したがって、この特定の領域の熱(温度変化)を検知できるように1つ又は少数のサーミスタを配置することで、単一のレーザ素子の故障やパワー減退などの不具合を確実に(正確に)検知することができる。
【0083】
また、上述の第1ないし第3の実施形態では、サーミスタがマイナー偏光照射領域に対向するようにパッケージ筐体に埋設されている例を説明したが、マイナー偏光照射領域における熱がサーミスタに伝わるようにサーミスタがパッケージ筐体に対して取り付けられるのであれば、サーミスタの設置位置や設置方法を適宜変更することが可能である。以下、この点について説明する。
【0084】
例えば、サーミスタを、マイナー偏光照射領域に取り付けてもよい。この場合、ビームスプリッタで分岐したマイナー偏光にサーミスタがダイレクトに照射されることとなり、検知精度が向上する。また、他の例では、ビームスプリッタで分岐したマイナー偏光の伝搬方向に沿ってマイナー偏光照射領域から延びる線上にサーミスタを配置してもよい。この場合、サーミスタがマイナー偏光照射領域に対向して配置されるため、検知精度が向上する。
【0085】
また、他の例では、サーミスタを、ビームスプリッタで分岐したマイナー偏光の伝搬方向において、マイナー偏光照射領域を基準としてビームスプリッタの反対側に取り付けてもよい。この場合、例えば
図1の平面視において、サーミスタを配置する位置をマイナー偏光照射領域に対向する位置から+Y方向側又は−Y方向側にずらしてもよい。さらに言えば、レーザ光吸収部材にサーミスタを取り付けてもよい。
【0086】
また、サーミスタを設置個所に直接取り付けてもよいし、樹脂や熱伝導性部材などを介してサーミスタを設置個所に間接的に取り付けてもよい。
【0087】
なお、本明細書において使用した用語「下」、「上」、「底」、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。