(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラの前記複数の可視カラー成分出力に結合され、前記第1の信号と前記第2の信号とを受け取るディスプレイデバイスであって、前記取得される蛍光画像と合成されたモノクロ画像を表示するように構成され、前記取得される蛍光画像は前記モノクロ画像に対してハイライトされ、前記取得される蛍光画像と合成された前記モノクロ画像は、前記受け取られた第1の信号と前記受け取られた第2の信号の組み合わせであるディスプレイデバイスをさらに有する、
請求項1に記載の手術システム。
照明部であって、少なくとも2つの出力照明成分を同時に出力するように構成され、前記少なくとも2つの出力照明成分のうち一方の出力照明成分は蛍光励起照明成分であり、前記少なくとも2つの出力照明成分のうち他方の出力照明成分は第1の可視カラー照明成分と第2の可視カラー照明成分とであり、前記少なくとも2つの出力照明成分は前記カメラが画像を取得するサイトを照明するのに用いられる、照明部をさらに有する、
請求項1に記載のシステム。
前記コントローラは、前記第2の信号の各々を、前記取得される第1の可視カラー成分画像と取得される第2の可視カラー成分画像との組み合わせとして生成するようにさらに構成され、
前記コントローラは、前記第1の信号を、前記取得される第1の可視カラー成分画像と、前記取得される第2の可視カラー成分画像と、前記取得される蛍光画像との組み合わせとして生成するように構成され、前記取得される第2の可視カラー成分画像は前記カメラによって取得される、
請求項3に記載のシステム。
前記コントローラはさらに、前記複数の可視カラー成分入力の第3の入力において、取得される第2の可視カラー成分画像を受け取るように構成され、前記取得される第2の可視カラー成分画像は、前記取得される第1の可視カラー成分画像及び前記取得される蛍光画像と同時にキャプチャされる、
請求項8に記載の手術システム。
前記コントローラはさらに、前記取得される第2の蛍光画像を、前記第1の可視カラー成分画像を表す前記第2の信号のうちの1つの第2の信号のみと合成するように構成される、
請求項11に記載の手術システム。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、電子的立体視画像化には2つの画像化チャンネル(すなわち、左画像のチャンネルと右画像のチャンネル)の使用を含む。
【0027】
ここで、立体視光経路には組織からの光を伝搬する内視鏡中の2つのチャンネル(左画像のチャンネルと右画像のチャンネル)を含む。各チャンネルで伝搬される光は、組織の異なるビューを表す。光は1つまたは複数の画像を含み得る。一般性や適用可能性を失うことなく、以下により詳細に説明する態様は、フィールドシーケンシャルステレオ取得システムやフィールドシーケンシャルディスプレイシステムの場合にも用いることができる。
【0028】
ここで、照明経路は、組織に照明を提供する内視鏡中の経路を含む。
【0029】
ここで、可視電磁放射スペクトルでキャプチャした画像は取得可視画像と呼ぶ。
【0030】
ここで、白色光は、赤可視色成分、緑可視色成分、及び青可視色成分等の3つ(又はそれ以上)の可視色成分よりなる可視白色光である。このように、白色光は複数の可視色成分を有する。照明装置により可視色成分が供給される場合、その可視色成分は可視色照明成分と呼ぶ。また白色光は、熱したタングステンフィラメントから発するような可視スペクトル中のより連続的なスペクトルも指す。
【0031】
ここで、白色光の複数の可視色照明成分の一部を供給する照明装置を用いて発生される白黒画像は、限定帯域幅画像と呼ぶ。
【0032】
ここで、蛍光の結果としてキャプチャした画像は取得蛍光画像と呼ぶ。蛍光画像化モダリティには様々なものがある。蛍光は注入色素、蛍光タンパク質、蛍光標識抗体などの使用により生じる。蛍光はレーザその他のエネルギー源による励起などによっても起きる。蛍光画像により、病理学情報(腫瘍蛍光など)や人体構造情報(腱蛍光標識など)などの、外科手術に欠かせない重要な生体情報が得られる。
【0033】
本発明の態様により、立体通常可視画像と、蛍光画像をスーパーインポーズされた代替的な立体視限定帯域幅可視画像との両方を組み込むことにより、カリフォルニア州サニーベール市のインテュイティブ・サージカル社により商品化されたダ・ヴィンチ(登録商標)最低侵襲遠隔外科手術システムなどの最低侵襲遠隔外科手術システムの立体視ビデオキャプチャリング・ビューイング機能が増強される。(ダ・ヴィンチはカリフォルニア州サニーベール市のインテュイティブ・サージカル社の登録商標である。)蛍光画像をスーパーインポーズしてハイライトした立体視限定帯域幅可視画像により、外科医のためにハイライトした病理情報及び/又は人体構造情報を有する手術部位の立体視画像が得られる。ハイライトされた蛍光画像は臨床的関心組織を識別する。
【0034】
ハイライトされた蛍光画像をスーパーインポーズした立体視限定帯域幅画像は、最低侵襲遠隔外科手術システムを用いて外科手術をしている外科医にリアルタイムで提供される。シーケンシャル取得アプローチ(時間スライシングとしても知られている)は、一フレームで立体視画像をキャプチャし、他の一フレームで蛍光画像をキャプチャし、異なる時点で撮った2つのフレームを用いて1つのフレームを作り、外科医に表示することに伴い遅延が生じる。よって、ここに説明するシステムによるメモリと処理に対する要求は、時間スライシングを利用して蛍光画像を立体視カラー可視画像にスーパーインポーズするシステムに関しては、小さくなる。
【0035】
立体視限定帯域幅可視画像は、白色光を構成する複数の可視カラー照明成分の一部(less than all)を用いて構成されるので、限定帯域幅可視画像中の色情報は失われるが、詳細に見ると損失はほとんど又はまったくない。立体視限定帯域幅可視画像は、人体構造、組織ランドマーク、及び手術器具を識別するのには十分であり、この画像により手術器具の安全な操作が行える。限定帯域幅可視画像を使うと、可視カラー照明画像による干渉による、蛍光画像のコントラストの喪失が無い。
【0036】
蛍光画像は、限定帯域幅可視画像にオーバーレイされ、看者を傷つけるリスクを低減し、手術を効率化する手術部位に関する情報コンテンツを改善するためカラー強調される。立体視限定帯域幅可視画像とハイライトされた蛍光画像とをこのように組み合わせることにより、外科医がリアルタイムで患部を切除する腫瘍境界を識別したり、腱などのその他の組織を必要以上に切らないように、その組織を識別したりできるという利益が生じる。
【0037】
立体視限定低域幅画像と蛍光画像との組合せは、外科医に継続的に表示できる。あるいは、(例えば、ダ・ヴィンチ(登録商標)外科手術システムの外科医コンソールで、フットペダルを用いたり、マスターフィンガーグリップをダブルクリックしたりすることにより)2つの画像のオーバーレイをオンしたりオフしたりできる。
【0038】
図1は、拡大立体視可視化システムを含む、ダ・ヴィンチ(登録商標)外科手術システムなどの最低侵襲遠隔外科手術システム100を示す図である。この例では、外科医は、外科医用コンソール114を用いて、ロボティックマニピュレータアーム113に取り付けられた内視鏡112を遠隔操作する。ダ・ヴィンチ(登録商標)外科手術システムには他のパーツやケーブルなどがあるが、開示を損ねないように、これらは
図1には示していない。最低侵襲外科手術システムに関する情報は、例えば、米国特許出願第11/762,165号(2007年6月13日出願、発明の名称「Minimally Invasive Surgical System」)と米国特許第6,331,181号(2001年12月18日出願、発明の名称「Surgical Robotic Tools, Data Architecture, and Use」)にさらに記載されている。両文献はここに参照援用する。
【0039】
以下により詳しく説明するように、(図示しない)照明システム(照明装置と呼ぶこともある)が内視鏡112に結合している。照明システムは、(a)白色光照明と(b)白色光の一部(less than all)の可視カラー照明成分及び少なくとも一つの蛍光励起照明成分との一方を選択的に供給する。照明システムからの光は、光ファイバーバンドルにより内視鏡112中の少なくとも1つの照明経路に結合されている(
図2の光ファイバーバンドル216を参照)。光は、内視鏡112中の少なくとも1つの照明経路を通り、患者111の組織103を照明する。
【0040】
また、内視鏡112は、一態様では、組織からの光、例えば反射白色光を通す、又は可視カラー照明成分と蛍光による反射光を通す2つの光チャンネルも含む。反射白色光は通常の可視画像の形成に用いられる。以下により詳しく説明するように、可視カラー照明成分の反射光は、限定帯域幅可視画像の形成に用いられる。
【0041】
組織103から反射された白色光は、照明ソースが白色光照明を供給している場合、画像キャプチャシステム120において、通常に取得された可視カラー立体視画像としてキャプチャされる。しかし、外科医は、拡大画像を見たい場合、ビューイングモードを拡大ビューイングモードに変更する。
【0042】
拡大ビューイングモードにおいて、照明ソースが白色光の可視カラー照明の一部を供給するように、白色光の複数の可視カラー照明成分のうちの少なくとも1つがオフにされる。例えば、白色光の3つの可視カラー照明成分を用いる場合、照明ソースにより、多くても2つの可視カラー照明成分が供給される。このように、拡大ビューイングモードのこの態様では、組織103は、1つ又は2つの可視カラー照明成分で照明され、例えば、白色光の複数の可視カラー照明成分の一部と蛍光励起照明成分とで、照明される。
【0043】
拡大ビューイングモードでは、取得された左右の可視カラー成分画像は、照明装置により供給される各可視カラー成分に対して要素121によりキャプチャされ、蛍光は左右の蛍光画像として要素122によりキャプチャされる。画像キャプチャシステム120は、蛍光をブロックするフィルタが無いことを除き、従来の画像キャプチャシステムであり、フィルタは蛍光励起ソースからの直接光又は反射光のキャプチャをブロックするのに用いられる。
【0044】
ディスプレイ画像コントローラ130は、画像キャプチャシステム120からの取得情報を受け取る。取得情報が通常の可視カラー立体視画像である場合、ディスプレイ画像コントローラ130は、取得画像のカラー補整を含め通常取得可視カラー立体視画像を処理し、画像を表示する外科医のコンソール114のビュアーにカラー補正済み取得可視カラー立体視画像を送る。
【0045】
同様に、拡大ビューイングモードでは、ディスプレイ画像コントローラ130は画像キャプチャシステム120から取得情報を、すなわち照明ソースにより供給されて各可視カラー成分の取得可視ステレオカラー成分画像と取得左右蛍光画像とを受け取る。拡大ビューイングモードでは、ディスプレイ画像コントローラ130は、通常カラー補正プロセスの替わりに拡大画像補整プロセスを用いる。
【0046】
拡大画像補整プロセスは、取得したステレオカラー成分画像を用いて限定帯域幅画像を生成する。例えば、照明ソースが2つの可視カラー照明成分すなわち第1の可視カラー照明成分と第2の可視カラー照明成分とを供給する場合、取得される可視カラー成分画像は、取得された第1の可視カラー成分画像と取得された第2の可視カラー成分画像の組合せである。
【0047】
ディスプレイ画像コントローラ130における拡大画像補整プロセスは、取得された第1と第2の可視カラー成分画像を組合せ、その組合せを外科医用コンソール114のディスプレイの各カラー成分入力に提供する。ディスプレイは限定帯域幅画像を生成する。画像は、第3の可視カラー照明成分に対する取得された可視カラー成分画像を含まないので、画像は限定帯域幅画像である。
【0048】
また、拡大画像補整プロセスは、取得された蛍光画像を、ディスプレイのカラー成分入力の1つに加え、カラー成分入力の1つが蛍光画像と取得された第1と第2の可視カラー成分画像の組合せとを受け取るようにする。ディスプレイへの他の2つのカラー成分入力は、取得された第1と第2の可視カラー成分画像の組合せのみを受け取る。蛍光画像が緑成分に加えられると、この例では、外科医は、手術部位の立体的白黒状画像とともに、緑色でハイライトされた蛍光を発生する組織又は人体構造的特徴を見る。
【0049】
ここで、
図2乃至
図4を参照して、
図2は
図1の最低侵襲外科手術システムの一例の態様を示す。
図3は、
図2のシステムの動作のプロセスフロー図であり、
図4は、
図2のシステムにおける組織の照明と画像のキャプチャを示すタイミング図である。
【0050】
図2の実施形態では、最低侵襲遠隔外科手術システム200は組合せ光源210である照明装置を含む。組合せ光源210は可視カラー成分ソース211と蛍光励起ソース212とを含む。組合せ光源210が以下により詳細に説明する機能を有する限り、ソース211と212の具体的な実装は重要ではない。
【0051】
組合せ光源210は、立体視内視鏡201の少なくとも1つの照明経路と共に用いられ、組織照明プロセス302(
図3)において組織203を照明する。この例では、組合せ光源210は、2つの動作モードすなわち通常ビューイングモードと拡大ビューイングモードを有する。
【0052】
通常ビューイングモードでは、可視カラー成分ソース211は、白色光で組織203を照明する照明を提供する。すなわち、光源211のすべての可視カラー照明成分ソースが使われる。蛍光励起ソース212は通常ビューイングモードでは使われない。
【0053】
拡大ビューイングモードでは、可視カラー成分ソース211は、白色光中の組織203を照明するのに必要な一部の(less than all)可視カラー成分を供給する。例えば、白色光の可視カラー成分の1つ又は複数は照明に含まれない。ある態様では、例えば、拡大ビューイングモードで白色光のすべての可視カラー照明成分であるが可視カラー照明成分の1つ又は複数からの照明が弱いものと、残りの可視カラー成分照明ソースからの拡大ビューイングモード照明とを用いることは可能である。弱い照明とは、可視カラー照明成分ソースにより供給される照明が弱く、共通取得画像として弱い照明の画像と蛍光とが一緒に取得された場合、取得された弱い照明の画像が取得された蛍光画像を損なわない(not degrade)ことを意味する。このように、1つ以上の可視カラー照明成分の弱い照明を供給することは、白色光の一部の可視カラー成分で組織を照明することと実質的に同じである。
【0054】
一態様では、3つの可視カラー成分が白色光照明を構成する。すなわち、白色光は、第1の可視カラー成分、第2の可視カラー成分、及び第3の可視カラー成分を含む。3つの可視カラー成分のそれぞれは、異なる可視カラー成分であり、例えば赤成分、緑成分、及び青成分である。白色光照明を構成する3つの可視カラー成分の使用は、複数のかかる成分の例示であり、本発明を限定するものではない。
【0055】
拡大ビューイングモードでは、蛍光励起ソース212は、組織203からの蛍光を励起する蛍光励起照明成分を供給する。例えば、蛍光励起ソース212からの狭い帯域の光を用いて、組織ごとの蛍光を励起し、組織203内の特定組織の蛍光画像をキャプチャする。
【0056】
拡大ビューイングモードでは、可視カラー成分ソース211により供給される可視カラー照明成分の数は、キャプチャする蛍光画像の数に依存する。1つの蛍光画像をキャプチャする場合、この例では、可視カラー成分ソース211により1つ又は2つの可視カラー照明成分が供給される。2つの蛍光画像をキャプチャする場合、可視カラー成分ソース211により1つの可視カラー照明成分が供給される。
【0057】
一態様では、可視カラー成分ソース211は、白色光の複数の可視カラー照明成分中の各可視カラー照明成分に対して1つのソースを含む。赤・緑・青を実装する場合、一実施例では、ソースは発光ダイオード(LED)であり、赤LED、2つの緑LED、及び青LEDである。表1はこの実施例で用いられるLEDの各々の出力波長の範囲を示す。
【0058】
【表1】
可視カラー成分ソース211におけるLEDの使用は、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。可視カラー成分ソース211は、例えば、LEDではなく複数のレーザ源で実施することもできる。あるいは、可視カラー成分ソース211は、放物面背面反射鏡を有し、バンドパスフィルタコーティングしたキセノンランプを用いて、可視画像用の広帯域白色照明光を発生してもよい。キセノンランプの使用は単なる例示であって、本発明を限定するものではない。例えば、高圧水銀放電ランプ、その他の放電ランプ、その他の広帯域光源をもちいてもよい。拡大ビューイングモードでのかかるソースからの1つ以上のカラー照明成分を無くすため、バンドパスフィルタやプリズムなどを組合せ光源210に組み込んでもよい。
【0059】
また、拡大ビューイングモードでは、蛍光励起波長が可視スペクトルで生じる場合、可視カラー成分ソース211(
図3B)は、可視カラー照明成分のソースと蛍光励起照明成分のソースとの両方として用いることができる。蛍光励起波長が可視スペクトルの外側(例えば、近赤外(NIR))にあれば、蛍光励起ソース212としてレーザモジュール(または発光ダイオードやフィルタ白色光などの他のエネルギー源)を用いる。
【0060】
このように、一態様では、蛍光は蛍光励起ソース212のレーザモジュールからの光によりトリガーされる。一例として、525nmレーザを用いて、Medarex社から入手した抗体物質を励起した。
【0061】
組合せ光源210に用いる具体的な励起ソースは、用いる蛍光物質に依存する。生体で用いられるFDAが承認した様々な蛍光色素の励起及び放射の最大値を表2に示す。
【0062】
【表2】
表3は、生物系で用いられる一般的なタンパク蛍光色素分子の例である。
【0063】
【表3】
**複合体の近似的励起及び蛍光放射最大値
当業者には言うまでもなく、蛍光色素分子はエージェントに結合して、それが看者の特定の組織に結合する。具体的な蛍光色素分子が選択されると、組合せ光源210は、その蛍光色素分子の励起最大化波長の光を供給する蛍光励起ソース212を含む。このように、関心蛍光色素分子と用いられる蛍光色素分子の数が与えられると、適当な光源を組合せ光源210に含めることができる。
【0064】
表2と表3の上記の例は単なる例示であって、この態様を説明した具体的な実施例に限定するものではない。この開示を考慮して、組織の別の画像化特性を選択し、利用する蛍光に基づき適当な光源を選択できる。
【0065】
通常ビューイングモード又は拡大ビューイングモードにおいて、光源からの光は光ファイバーバンドル216に向けられる。光ファイバーバンドル216は、立体視内視鏡201の照明経路に光を供給し、照明経路はその光を組織203に導く。
【0066】
立体視ディスプレイ241のビデオ出力は、例えば、フットスイッチ、手術器具を制御するマスターグリップのダブルクリック、音声制御、及びその他のスイッチング方法などを用いて、通常ビューイングモードと拡大ビューイングモードの間でトグルできる。2つのビューイングモード感のスイッチをするトグルは、
図2にディスプレイモードセレクト250として表されている。
【0067】
ディスプレイモードセレクト250からのユーザ入力に応じて、信号はユーザインタフェース260のビューイングモードチェックプロセス301(
図3)に供給され、次に通常ビューイングモードが選択されると、組織照明プロセス302に供給される。一態様では、ユーザインタフェース260は、コンピュータコードにより生成される。このコンピュータコードはメモリ132に格納され、プロセッサ131で実行される(
図1)。
【0068】
一態様では、通常ビューイングモードがデフォルトモードである。この態様では、外科医が通常ビューイングモードから拡大ビューイングモードに、又は拡大ビューイングモードから通常ビューイングモードにビューイングモードを変更しようとするまで、ディスプレイモードセレクト250は使用されない。
【0069】
通常ビューイングモードでは、組織照明プロセス302は、通常ビューイングモード動作信号を、組合せ光源210のパワー及びレベルコントローラ215に送る。パワー及びレベルコントローラ215は便宜上組合せ光源210に示したが、これはパワー及びレベルコントローラ215の一をこの具体的な位置に限定するものではない。
【0070】
パワー及びレベルコントローラ215は、通常ビューイングモード動作信号に応じて、蛍光励起ソース212がオンであればそれをオフにし、白色光を組織203に供給するよう、可視カラー成分ソース211を起動する。例えば、可視カラー成分ソース211は3つの可視カラー照明成分ソースを含み、各ソースにパワーが供給される。当業者には言うまでもなく、コントローラ215は、光源210中の様々なソースへの電源をオン・オフするのではなく、電源は常にオンにしておいて、そのソースからの出力を光ファイバーバンドル216に向けたりそらしたりして、同じ結果を得ることができる。
【0071】
このように、通常ビューイングモードでは、組織照明プロセス302により組織203が白色光で照明される。
図4に示した照明のグラフでは、水平軸は時間であり、垂直軸はソースの出力レベルを表す。3つの可視カラー照明成分のそれぞれの通常ビューイングモード動作中のソース出力を100%とする。そのため、
図4では、時刻t1の前では、3つの可視カラー照明成分のそれぞれからの出力レベルは100%であり、蛍光励起照明成分の出力レベルはゼロである。
【0072】
組織203(
図2)からの可視光は、内視鏡201の立体視光経路により画像キャプチャシステム220に進む。画像キャプチャシステム220は、この態様では、左画像電荷結合デバイス(CCD)221Aと右画像CCD222Aとを含む従来の立体視カメラを含む。
【0073】
このように、画像キャプチャプロセス303(
図3)において、通常ビューイングモードでは、左画像CCD221Aは可視左画像421A(
図4)をキャプチャし、右画像CCD222Aは可視右画像422Aをキャプチャする。左画像CCD221Aは、可視左画像421Aの赤、緑、及び青の画像をキャプチャする。すなわち、取得される左画像はカラー画像である。同様に、右画像CCD222Aは、可視右画像422Aの赤、緑、及び青の画像をキャプチャする。
【0074】
左画像CCD221Aと右画像CCD222Aは、例えば、それぞれが異なる可視カラー成分をキャプチャする複数のCCDであってもよいし、1つのCCDであってその異なる領域が特定の可視カラー成分をキャプチャするものであってもよい。3チップCCDセンサは単なる例である。カラーフィルタアレイを有する1つのCMOS画像センサや、3つのCMOSカラー画像センサのアセンブリを使うこともできる。
【0075】
通常ビューイングモードにおいて、取得された通常可視左画像421Aと取得された通常可視右画像422A(
図4)は、ディスプレイ画像コントローラ230(
図2)に供給される。ディスプレイ画像コントローラ230は、画像処理プロセス304(
図3)を実行する。画像処理プロセス304において、カラー画像補正プロセス231では、取得した通常可視左画像421Aと取得した通常可視右画像422Aとの両方を処理する。カラー補正された取得された通常可視左画像とカラー補正された取得された通常可視右画像は立体視ディスプレイ241に送られ、組織の立体視ビデオ表示プロセス305において立体視カラー画像が表示される。
【0076】
通常ビューイングモードにおける処理は、従来の最低侵襲外科手術システムにおける処理と同じであり、当業者には知られている。また、外科医が組織203のリアルタイム画像を見られるように、プロセス301乃至305は各フレームに対して行われる。
【0077】
通常ビューイングモードにおいて、外科医には組織203Aの通常3次元カラービュー500A(
図5A)が提供される。しかし、外科医が、組織203Aの3次元ビューにおいてハイライトされた組織203A中の関心領域を見ることを欲する場合がある。例えば、外科医は、組織203Aの病変部分及び/又は特定組織(例えば、腱や器官など)を見ることを欲する場合がある。そのため、時刻t1(
図4)において、外科医はディスプレイモードセレクト250を用いて、ビューイングモードを拡大ビューイングモードに変更する。
【0078】
ディスプレイモードセレクト250からのユーザ入力に応じて、拡大表示選択信号がユーザインタフェース260のビューイングモードチェックプロセス301に送られる。拡大表示選択信号に応じて、チェックプロセス301は、拡大画像化制御信号を、組織照明プロセス302と画像処理プロセス304に送る。
【0079】
拡大表示制御信号に応じて、組織照明プロセス302は、拡大表示信号を、組合せ光源210のパワー及びレベルコントローラ215に送る。拡大ディスプレイ信号に応じて、パワー及びレベルコントローラ215は、蛍光励起ソース212をオンにし、この例では、可視カラー成分ソース211の第3の可視カラー照明成分をオフにして、第1と第2の可視カラー照明成分と蛍光励起照明成分とが光ファイバーバンドル216に供給されるようにする。
【0080】
これにより、組織203は、第1と第2の可視カラー照明成分で照明されるが、第3の可視カラー照明成分では照明されない。また、組織203は蛍光励起照明成分212により照明される。
【0081】
また、一実施形態では、パワー及びレベルコントローラ215は、第1と第2の可視カラー照明成分の出力レベルを低減する。例えば、出力レベルを1/10にする。このように、
図4に示したように、時刻t1の後、第1と第2の可視カラー照明成分の出力レベルは、時刻t1前の出力レベルに対して低減され、第3の可視カラー成分照明出力レベルはゼロである。また、蛍光励起照明成分がオンにされる。
【0082】
この例では、蛍光励起照明成分により励起された蛍光が、第3の可視カラー成分用のCCD又はその一部によりキャプチャされる。例えば、蛍光が近赤外である場合、第3の可視カラー成分は赤色カラー成分であり、第1と第2の可視カラー成分は青色と緑色のカラー成分である。
【0083】
あるいは、蛍光が緑色の可視カラー成分の範囲にある場合、第3の可視カラー照明成分は緑色可視カラー成分であり、ソース211でオフにされ、第1と第2の可視カラー成分は赤色及び青色の成分である。あるいは、蛍光が紫色の範囲にある場合、第3の可視カラー照明成分は青色可視カラー成分であり、ソース211でオフにされ、第1と第2の可視カラー成分は赤色及び緑色の成分である。
【0084】
ここで、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」とは、可視カラー成分を区別するために用いている。よって、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」は、可視波長スペクトルにおける可視カラー成分の何らかの順序を示唆するものではない。
【0085】
一態様では、オフにされた可視カラー照明成分の波長の又はその近くの、組織203への入射光が無いように、オフにした可視カラー照明成分の波長に近い又はそれに重なる隣接カラー可視カラー照明成分の波長は、何らかの方法でブロックされる。これにより、蛍光画像をキャプチャするCCDによりキャプチャされた可視光により、取得された蛍光画像が劣化しないようになる。例えば、可視カラー成分ソース211が表1に示した4つのソースを有し、第3の可視カラー照明成分が赤色可視カラー成分である場合、拡大ビューイングモードでは、赤色ソースの波長に隣接する波長を有する緑色ソースもオフにされる。
【0086】
組織203(
図2)からの光は、内視鏡201の立体視光経路により画像キャプチャシステム220に送られる。一態様では、フィルタ221B、222Bを用いて、画像をキャプチャする前に、蛍光励起ソース212からの反射又は直接光をフィルタする。
【0087】
画像キャプチャプロセス303(
図3)において、拡大ビューイングモードでは、左画像CCD221Aが、取得される左の第1と第2の可視カラー成分画像と、取得される左の蛍光画像421B(
図4)とをキャプチャし、右画像CCD222Aが、取得される右の第1と第2の可視カラー成分画像と、取得される右の蛍光画像422Bとをキャプチャする。例えば、第3の可視カラー成分が赤色可視カラー成分である場合、左画像CCD221A中の青色及び緑色のCCDが、それぞれ左画像の青色及び緑色の左可視カラー成分画像をキャプチャする。左画像CCD221A中の赤色CCDは、左蛍光画像をキャプチャする。同様に、右画像CCD222A中の青色及び緑色CCDは、それぞれ右画像の青色及び緑色可視カラー成分画像をキャプチャする。右画像CCD222A中の赤色CCDは、右蛍光画像をキャプチャする。
【0088】
この例では、第3の可視カラー成分照明ソースは無く、そのため組織203から反射される第3の可視カラー成分光はない。このため、通常は画像の第3の可視カラー成分光をキャプチャするCCD又はその一部は、蛍光画像のキャプチャに利用できる。よって、カメラ、内視鏡中の光経路、又は追加的内視鏡が無くても、可視カラー成分画像と蛍光画像とを両方とも取得できる。ここで、画像中の可視カラー成分画像が可視カラー成分照明ソースと関連すると言うとき、それは可視カラー成分照明ソースが画像中のその可視カラー成分画像を生じる光を供給することを意味する。
【0089】
拡大ビューイングモードでは、取得される左の第1及び第2可視カラー成分画像と、取得される左の蛍光画像は、取得される右の第1及び第2可視カラー成分画像と、取得される右の蛍光画像とともに、画像処理プロセス304を実行するディスプレイ画像コントローラ230に供給される。上記の通り、画像処理プロセス304は拡大ディスプレイ信号を受け取っていることを思い出して欲しい。よって、画像処理プロセス304は、カラー画像補正プロセス231から拡大画像補正プロセス232に変わる。
【0090】
拡大画像補正プロセス232は、左右画像の両方に同じプロセスを実行するので、本説明では左右の区別は考慮しない。
図6は、この例における、拡大画像補正プロセス232Aへの入力情報と拡大画像補正プロセス232Aからの出力情報とを示すブロック図である。
【0091】
拡大画像補正プロセス232Aは、第1のカラー成分入力で、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1を受け取り;第2のカラー成分入力で、取得された第2の可視カラー成分画像AVC2を受け取り;第3のカラー成分入力で、取得された蛍光画像AFを受け取る。拡大画像補正プロセス232Aは、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1と取得された第2の可視カラー成分画像AVC2とを結合して、例えば、限定帯域幅可視画像の生成用に、2つの取得された成分画像の平均を構成する。限定帯域幅画像の各カラー成分は、2つの取得された可視カラー成分画像の平均である。
【0092】
拡大画像補正プロセス232は、この例では、取得された蛍光画像AFを、(取得された第1の可視カラー成分画像AVC1と取得された第2の可視カラー成分画像AVC2の結合である)帯域幅限定画像の第2の可視カラー成分に加える。加えた結果は、第2の可視カラー成分出力に供給される。この例では、第2の可視カラー成分出力は、実験的研究により外科医により好まれることが示された可視カラー成分、例えば緑色のカラー成分の出力である。
【0093】
この例では、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1と取得された第2の可視カラー成分画像AVC2との結合は、第1と第3の可視カラー成分出力のそれぞれに送られる。取得された蛍光画像AFと、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1と取得された第2の可視カラー成分画像AVC2との結合とは、第2の可視カラー成分出力に送られる。当業者には言うまでもないが、拡大画像補正プロセス232に関して説明した動作は、フレームのサブユニットに対して、例えばピクセルごとに行われ、「加える」というのはシンボリックであり、例えばクリアな画像を得るためにガンマ補正を元に戻したり繰り返したりする必要があるかも知れない。
【0094】
拡大画像補正プロセス232からの出力は、組織の立体視ビデオ表示を生成プロセス305(
図3)の立体視ディスプレイ241(
図2)に表示される。拡大ビューイングモードでは、外科医が組織203のリアルタイムの拡大画像を見られるように、プロセス301乃至305は繰り返し実行される。
【0095】
拡大ビューイングモードの間、外科医は関心領域503(
図5B)がある色でハイライトされた組織203の3次元限定帯域幅画像を提供される。2つの可視カラー成分照明ソースが使われるこの例では、組織203の限定帯域幅画像は単色の限定帯域幅画像である。
【0096】
図5Aの画像203Aはフルカラーであり、画像203Bは限定帯域幅モノクロ画像であるが、2つの画像の詳細度と情報のレベルは同等であり、画像203Bが追加的にハイライトされた情報503を含む。画像203Aと203Bのビューイングモード間の切り替えは高速であり、リアルタイムで行われる。
【0097】
拡大表示の処理によってはレイテンシを生じず、フレームを格納して、後のフレームとの処理をする必要はない。処理はリアルタイムで行われるため、3次元画像のハイライトされた部分は常に3次元画像の限定帯域幅モノクロ部分と常に同期している。対照的に、蛍光画像を含むフレームが格納され、時間的に後のフレームとレジストレーションされる場合、ハイライトされた組織の位置は変わっているかもしれないので、ハイラトされる画像は表示される時に実際の位置からずらされる。
【0098】
外科医は、時刻t2(
図4)に、ビューイングモードを通常の立体視カラー画像に戻したい場合、ディスプレイモードセレクト250(
図2)を用いて、ビューイングモードを通常ビューイングモードに変更する。変更に応じて、蛍光励起ソース212はオフされ;第3の開始カラー照明成分はオンされ;第1と第2の可視カラー照明成分はフル出力レベルにされる。表4を参照。この処理は通常ビューイングモードについて上で説明したのと同じであるので、繰り返さない。
【0099】
一態様では、画像処理プロセス304(
図3)は、メモリ132に格納された画像補正モジュールを、プロセッサ131上で実行することにより行われる。この例では、画像補正モジュール135は、カラーモジュール136と拡大モジュール137とを含む。カラーモジュール136がプロセッサ131上で実行されると、カラー画像補正プロセス231が実行される。拡大モジュール137がプロセッサ131上で実行されると、拡大画像補正プロセス232が実行される。2つのモジュール136、137を使用するのは例である。当業者には言うまでもなく、2つのモジュールは、例えば1つのモジュールとして実施することもできる。
【0100】
ここでは、プロセス304はプロセッサ上でのモジュールの実行を含むと説明したが、言うまでもなく、プロセス304は、プロセス231、232とともに、実際には、ハードウェア、プロセッサ上で実行されるソフトウェア、及びファームウェアの任意の組合せにより実施してもよい。また、ここに説明する機能は1つのユニットにより実行でき、又は異なるコンポーネント間で分割され、そのコンポーネントの各々がハードウェア、プロセッサ上で実行されるソフトウェア、及びファームウェアの任意の組合せにより実施できる。異なるコンポーネント間に分割された場合、そのコンポーネントはある場所に集中していても、分散処理を目的としてシステム100中に分散していてもよい。
【0101】
上記の実施例は単なる例示であり、限定するものではない。拡大ビューイングモードでは、蛍光励起ソースと可視カラー成分照明ソースの様々な組合せを用いることができる。例えば、外科医は、蛍光を発する腫瘍などの病変組織と、蛍光標識を付けた腱などのその他の組織とを両方とも見て、その組織を切らないようにすることを欲する。そのため、蛍光励起ソース212(
図2)中に2つの異なる蛍光励起ソース(
図7参照)を必要とする2つの異なる蛍光色素分子を用いる。
【0102】
時刻t3における拡大表示制御信号に応じて、組織照明プロセス302は、拡大表示信号を、組合せ光源210のパワー及びレベルコントローラ215に送る。拡大ディスプレイ信号に応じて、パワー及びレベルコントローラ215は、蛍光励起ソース212の2つの蛍光励起照明成分をオンにし、この例では、可視カラー成分ソース211の第2と第3の可視カラー照明成分をオフにして、第1の可視カラー照明成分、第1の蛍光励起照明成分、及び第2の蛍光励起照明成分とが光ファイバーバンドル216に供給されるようにする。
【0103】
組織203は、第1の可視カラー照明成分で照明されるが、第2及び第3の可視カラー照明成分では照明されない。また、組織203は第1と第2の蛍光励起照明成分により照明される。
【0104】
また、一実施形態では、パワー及びレベルコントローラ215は、第1の可視カラー照明成分の出力レベルを低減する。例えば、出力レベルを1/10にする。このように、
図7に示したように、時刻t3の後、第1の可視カラー照明成分の出力レベルは、時刻t3前の出力レベルに対して低減され、第2と第3の可視カラー成分照明出力レベルはゼロである。また、第1と第2の蛍光励起照明成分がオンにされる。
【0105】
組織203(
図2)からの光は、内視鏡201の立体視光経路により画像キャプチャシステム220に送られる。一態様では、フィルタ221B、222Bを用いて、蛍光画像をキャプチャする前に、蛍光励起ソース212の2つの蛍光励起照明成分からの反射又は直接光をフィルタする。
【0106】
このように、画像キャプチャプロセス303(
図3)では、拡大ビューイングモードにおいて、左画像CCD221Aが取得される左第1可視カラー成分画像と、取得される肥大第1蛍光画像と、取得される左第2蛍光画像721B(
図7)をキャプチャする。右画像CCD222Aは、取得される右第1可視カラー成分画像と、取得される右第1蛍光画像と、取得される右第2蛍光画像722B(
図7)をキャプチャする。
【0107】
例えば、第3の可視カラー成分が赤色可視カラー成分であり、第2の可視カラー成分が青色である場合、左画像CCD221Aの緑色CCDは、左画像の緑色左可視カラー成分画像をキャプチャする。左画像CCD221Aの赤色CCDは、左第2蛍光画像をキャプチャし、左画像CCD221の青色CCDは左第1蛍光画像をキャプチャする。同様に、右画像CCD222A中の緑色CCDは、右画像の緑色可視カラー成分画像をキャプチャする。右画像CCD222Aの赤色CCDは、右第2蛍光画像をキャプチャし、右画像CCD222Aの青色CCDは右第1蛍光画像をキャプチャする。
【0108】
この例では、第2可視カラー成分照明ソースも第3可視カラー成分照明ソースもない。そのため、第2と第3の可視カラー照明成分に関連する光は、組織203からの光に含まれない。このため、通常は画像の第2と第3の可視カラー成分の光をキャプチャするCCD又はその一部は、蛍光画像のキャプチャに利用できる。
【0109】
上記の通り、画像処理プロセス304は拡大ディスプレイ信号を受け取っていることを思い出して欲しい。よって、画像処理プロセス304は、画像721B、722Bのカラー画像補正プロセス231から拡大画像補正プロセス232に変わる。
【0110】
再度、拡大画像補正プロセス232は、左右画像の両方に同じプロセスを実行するので、本説明では左右の区別は考慮しない。
図8は、拡大画像補正プロセス232Aへの入力情報と拡大画像補正プロセス232Aからの出力情報とを示すブロック図である。
【0111】
拡大画像補正プロセス232Bは、第1のカラー成分入力で、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1を受け取り;第2のカラー成分入力で、取得された第1の蛍光画像AF1を受け取り;第3のカラー成分入力で、取得された第2蛍光画像AF2を受け取る。拡大画像補正プロセス232は、再び、限定帯域幅可視画像を生成するために、取得された可視カラー成分画像の平均を求めるが、1つの可視カラー成分画像のみが取得されているので、平均は取得された第1可視カラー成分画像AVC1である。限定帯域幅画像の各カラー成分は、この例では、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1である。
【0112】
拡大画像補正プロセス232Bは、この例では、取得された第1蛍光画像AF1を、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1である限定帯域幅可視画像の第2のカラー成分に加え、結果を第2の可視カラー成分の出力に送る。また、拡大画像補正プロセス232Bは、取得された第2蛍光画像AF2を、取得された第1の可視カラー成分画像AVC1である限定帯域幅可視画像の第3のカラー成分に加え、結果を第3の可視カラー成分の出力に送る。この実施形態では、画像AF1からの画素データと画像AF2からの画素データの両方を含む画素は、中間カラーとなる。
【0113】
この例では、取得された第1可視カラー成分画像AVC1は、第1の可視カラー成分出力に送られる。取得された第1可視カラー成分画像AVC1と取得された第1蛍光画像AF1は、第2の可視カラー成分出力に送られる。取得された第1可視カラー成分画像AVC1と取得された第2蛍光画像AF2は、第3の可視カラー成分出力に送られる。
【0114】
拡大画像補正プロセス232からの出力は、組織の立体視ビデオ表示を生成プロセス305(
図3)の立体視ディスプレイ241(
図2)に表示される。拡大ビューイングモードでは、外科医が組織203のリアルタイムの拡大画像を見られるように、プロセス301乃至305は繰り返し実行される。
【0115】
このように、拡大ビューイングモードでは、外科医は、第1の関心領域がある色でハイライトされ、第2の関心領域が他の色でハイライトされた、組織203の3次元限定帯域幅画像を提供される。
【0116】
再び、拡大表示の処理によってはレイテンシを生じず、フレームを格納して、後のフレームとの処理をする必要はない。処理はリアルタイムで行われるため、画像のハイライトされた部分は画像の限定帯域幅モノクロ部分と常に同期している。
【0117】
外科医は、時刻t4(
図7)に、ビューイングモードを通常の立体視カラー画像に戻したい場合、ディスプレイモードセレクト250(
図2)を用いて、ビューイングモードを通常ビューイングモードに変更する。変更に応じて、蛍光励起ソース212の2つの蛍光励起照明成分はオフされ;第2と第3の可視カラー照明成分はオンされ;第1の可視カラー照明成分はフル出力レベルにされる。表7を参照。この処理は通常ビューイングモードについて上で説明したのと同じであるので、繰り返さない。
【0118】
上記の説明で、カメラは内視鏡の近位に取り付けられていた。しかし、これは単なる例示であり、限定するものではない。本プロセスは、カメラが光学系からの光から有用な画像を取得できる限り、光学系とカメラと相対的な位置関係にかかわらず同様に機能する。例えば、ここに説明したプロセスと構成は、チップ・オン・スティック内視鏡でも利用できる。チップ・オン・スティック内視鏡は、短い光学セグメントを有し、カメラは内視鏡の先端に近い光学系のすぐ後に配置されている。
【0119】
また、立体視内視鏡を一例として用いた。しかし、これは単なる例示であり、限定するものではない。上記の実施例では、立体視内視鏡の替わりにモノスコーピック内視鏡を使うこともできる。モノスコーピック内視鏡では、左右画像の一方のみが取得され、上記の通り処理される。
【0120】
本発明の態様と実施形態とを例示する上記の説明と添付図面は、限定と解してはならず、特許請求の範囲が保護される発明を画定する。この説明と特許請求の範囲の精神と範囲から逸脱することなく、様々な機械的、構成的、構造的、電気的、動作的変更をできる。ある場合には、本発明を不必要に分かりにくくしないよう、周知の回路、構造、手法は図示せず、または詳細に説明していない。
【0121】
さらに、この説明の用語は本発明を限定するものではない。例えば、「beneath」、「below」、「lower」、「above」、「upper」、「proximal」、「distal」などの空間的な関係を示す用語を、図に示したように、ある要素または特徴の、他の要素または特徴との関係を記述するのに用いた。これらの空間的関係を示す用語は、図視した位置と方向に加え、使用する又は動作させるデバイスの異なる位置(すなわちロケーション)と方向(すなわち回転による配置)を含む。例えば、図中のデバイスがひっくり返されれば、他の要素または特徴の「below」または「beneath」にあるとして説明した要素は、他の要素または特徴の「above」または「over」になる。このように、例えば「below」をいう用語は、上下の位置と方向を両方とも含むものである。デバイスは他の方向を向いていても(90°回転してもその他の方向でも)良く、ここで用いる空間的関係を示す言葉は適宜解釈される。同様に、様々な軸に沿った又はその回りの運動の説明は、様々な空間的なデバイスの位置と方向とを含む。
【0122】
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、文脈に反しない限り、複数の場合も含む。「comprises」、「comprising」、「includes」などの用語は、記載した特徴、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントがあることを示すが、他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。結合していると説明したコンポーネントは、電気的又は機械的に直接結合していてもよいし、1つ以上の中間的コンポーネントを介して間接的に結合していてもよい。
【0123】
メモリは揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはこれらの任意の組合せを言う。プロセッサは、それにより実行される命令を含むメモリに結合される。これは、コンピュータシステム内で実現でき、あるいはモデムとアナログラインを介して、又はデジタルインタフェースとデジタルキャリアラインを介して、他のコンピュータとの接続を介して実現できる。
【0124】
ここで、コンピュータプログラム製品は、拡大表示システムについて説明した動作の1つ又は任意の組合せに必要なコンピュータ読み取り可能コードを格納するように構成された非一時的媒体を含み、または拡大表示システムについて説明した動作の1つ又は任意の組合せ用のコンピュータ読み取り可能コードが格納された非一時的媒体を含む。コンピュータプログラム製品の例には、CD−ROMディスク、DVDディスク、フラッシュメモリ、ROMカード、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、コンピュータハードディスクドライブ、ネットワーク上のサーバ、ネットワークで送信されたコンピュータ読み取り可能コードを表す信号を含む。非一時的有体コンピュータプログラム製品は、拡大表示システムについて説明した動作の1つ又は任意の組合せに必要なコンピュータ読み取り可能命令を格納するように構成された非一時的有体媒体を含み、または拡大表示システムについて説明した動作の1つ又は任意の組合せ用のコンピュータ読み取り可能命令が格納された非一時的有体媒体を含む。非一時的有体コンピュータプログラム製品は、CD−ROMディスク、DVDディスク、フラッシュメモリ、ROMカード、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、コンピュータハードディスクドライブ、その他の非一時的物理的機能媒体である。
【0125】
本開示を考慮して、拡大表示システムについて説明した動作の1つ又は任意の組合せで用いられる命令は、ユーザの関心のあるオペレーティングシステムとコンピュータプログラミング言語を用いた幅広いコンピュータシステム構成で実現できる。
【0126】
すべての実施例と例示は、本発明を限定するものではなく、特許請求の範囲をここに説明した具体的な実施形態及びその等価物に限定するものではない。表題は、形式上のものであり、本主題を限定するために用いるべきではない。ある表題の下の文章は、1つ又は複数の表題の下の文書を相互参照し、又は当てはまるからである。最後に、この開示を考慮して、特に図面に示し文章で説明していなくても、一態様又は実施形態に関して説明した特徴は、本発明の他の開示した態様又は実施形態にも適用できる。
次の付記を記す。
(付記1) 最低侵襲外科手術システムであって、
(i)第1の取得成分画像と、前記第1の取得成分画像とは異なる第2の取得成分画像とをキャプチャするカメラと、
(ii)前記カメラに接続されたコントローラであって、
前記コントローラは前記第1の取得成分画像を含む限定帯域幅画像の第1の可視カラー成分を生成し、
前記コントローラは、前記第1の取得成分画像を含む前記限定帯域幅画像の第2の可視カラー成分を生成し、前記第2の取得成分画像を前記限定帯域幅画像の前記第2の可視カラー成分に加えて、前記限定帯域幅画像の前記第2の可視カラー成分が前記第1の取得成分画像と前記第2の取得成分画像との両方を含むようにし、
前記コントローラは前記第1の取得成分画像を含む前記限定帯域幅画像の第3の可視カラー成分を生成し、
さらに、前記限定帯域幅画像は白色光の一可視カラー成分から求まる取得可視カラー成分画像を含まない、前記コントローラと、
(iii)前記コントローラに接続され、前記限定帯域幅画像の前記第1、第2及び第3の成分を受け取るディスプレイであって、前記ディスプレイは前記限定帯域幅画像を含む画像を表示し、前記第2の取得成分画像を含む前記画像の一部は前記第2の取得成分画像を含まない前記画像の部分に対してハイライトされる、前記ディスプレイとを有する、システム。
(付記2) 少なくとも2つの照明成分を同時に供給し、前記照明成分の1つが蛍光励起照明成分であるとき、他の照明成分は白色光の可視カラー成分の一部を含む照明装置を更に有する、付記1に記載のシステム。
(付記3) 前記他の照明成分は第1の可視カラー照明成分を含み、
前記第1の取得成分画像は取得第1可視カラー成分画像であり、前記第2の取得成分画像は前記蛍光励起照明成分により励起された蛍光画像である、
付記2に記載のシステム。
(付記4) 前記他の照明成分は、前記第1の可視カラー照明成分と第2の可視カラー照明成分とを含む、付記2に記載のシステム。
(付記5) 前記カメラは第3の取得成分画像をキャプチャし、前記第1の取得成分画像は取得された第1の可視カラー成分画像であり、前記第2の取得成分画像は取得された蛍光画像であり、前記第3の取得成分画像は取得された第2の可視カラー成分画像である、
付記4に記載のシステム。
(付記6) 前記コントローラは、前記取得された第1と第2の可視カラー成分画像から前記限定帯域幅画像の第1、第2及び第3のカラー成分を生成する、
付記5に記載のシステム。
(付記7) 前記第1可視カラー成分は青色カラー成分であり、前記第2可視カラー成分は緑色カラー成分である、付記6に記載のシステム。
(付記8) 前記限定帯域幅画像の第2のカラー成分は緑色カラー成分である、
付記6に記載のシステム。
(付記9) 前記他の照明成分は第1の可視照明成分と第2の蛍光励起照明成分である、
付記2に記載のシステム。
(付記10) 前記カメラは第3の取得成分画像をキャプチャし、前記第1の取得成分画像は取得された第1の可視カラー成分画像であり、前記第2の取得成分画像は取得された第1の蛍光画像であり、前記第3の取得成分画像は取得された第2の蛍光画像である、
付記9に記載のシステム。
(付記11) 前記コントローラは、前記第3の取得画像を、前記限定帯域幅画像の前記第3の可視カラー成分に加える、
付記10に記載のシステム。
(付記12) 前記照明装置は、
第1の可視カラー照明成分ソースと、
第2の可視カラー照明成分は前記第1の可視カラー照明成分とは異なる第2の可視カラー照明成分ソースと、
第3の可視カラー照明成分は前記第2の可視カラー照明成分とは異なり、前記第1の可視カラー照明成分とも異なる、第3の可視カラー照明成分ソースと、
蛍光励起照明ソースとを有し、
前記システムは、さらに、
前記第1、第2及び第3の可視カラー成分照明ソースに、及び前記蛍光励起照明ソースに接続されたパワーレベル及び電源コントローラと、
前記パワーレベル及び電源コントローラに結合した、第1の状態と第2の状態を有するモード変更部とを有し、
前記モード変換部が前記第1の状態のとき、前記パワーレベル及び電源コントローラは、(a)前記第1、第2及び第3の可視カラー照明成分ソースに電力を供給し、前記蛍光励起ソースには供給せず、(b)前記第1、第2及び第3の可視カラー照明成分ソースは第1の照明レベルを有し、
前記モード変換部が前記第2の状態のとき、前記パワーレベル及び電源コントローラは、(a)前記第1の可視カラー照明成分ソースに電力を供給し、前記第2の可視カラー照明成分ソースの少なくとも一部に電力を供給し、前記蛍光励起ソースに電力を供給し、前記第3の可視カラー照明成分ソースには電力を供給せず、(b)前記第1の可視カラー照明成分ソースと前記第2の可視カラー照明成分ソースの照明レベルを低減する、付記2に記載のシステム。
(付記13) 最低侵襲外科手術システムにおける拡大画像表示を生成する方法であって、
コントローラが、第1の取得成分画像を含む限定帯域幅画像の第1の可視カラー成分を生成するステップと、
前記コントローラが、前記第1の所得成分画像を含む前記限定帯域幅画像の第2の可視カラー成分を生成し、第2の取得成分画像を前記第2の可視カラー成分に加えるステップであって、前記第2の取得成分は第1の蛍光励起照明ソースからの照明により励起された蛍光を表すステップと、
前記コントローラが、前記第1の取得成分画像を含む前記限定帯域幅画像の第3の可視カラー成分を生成するステップであって、前記限定帯域幅画像は白色光の可視カラー照明成分の1つにより求まる取得される可視カラー成分画像を含まないステップと、
ディスプレイ画面に、前記限定帯域幅画像を含む画像を表示するステップであって、前記第2の取得成分画像を含む前記画像の一部は、前記第2の取得成分画像を含まない前記画像の部分に対してハイライトされるステップとを有する方法。
(付記14) 前記第1の取得成分画像は取得された第1の可視カラー成分画像である、
付記13に記載の方法。
(付記15) 前記第1の取得成分画像は取得された第1の可視カラー成分画像であり、
前記方法は、
前記コントローラが、第3の取得成分画像を受け取るステップであって、前記第3の取得成分画像は取得された第2の可視カラー成分画像であるステップをさらに有する、
付記13に記載の方法。
(付記16) 第1の可視カラー成分を生成するステップは、前記第3の取得成分画像を含めるステップをさらに有し、
第2の可視カラー成分を生成するステップは、前記第3の取得成分画像を含めるステップをさらに有し、
前記第3の可視カラー成分を生成するステップは、前記第3の所得成分画像を含めるステップをさらに有し、前記限定帯域幅画像は限定帯域幅モノクロ画像である、
付記15に記載の方法。
(付記17) 前記第1の取得成分画像は取得された第1の可視カラー成分画像であり、
前記方法は、
前記コントローラが、第3の取得成分画像を受け取るステップであって、前記第3の取得成分画像は取得された第2の蛍光画像であるステップをさらに有する、
付記13に記載の方法。
(付記18) 前記コントローラは、前記第3の取得画像を、前記限定帯域幅画像の前記第3のカラー成分に加える、
付記17に記載の方法。
(付記19) 手術部位を白色光の複数の可視カラー照明成分の一部で照明する、
付記13に記載の方法。
(付記20) プロセッサで拡大画像補正モジュールを実行するステップを有する方法であって、前記実行するステップは、
複数の可視カラー成分入力の第1の可視カラー成分入力で、取得した第1の可視カラー成分画像を受け取るステップと、
前記複数の可視カラー成分入力の第2の可視カラー成分入力で、取得した蛍光画像を受け取るステップと、
第1の可視カラー成分出力に、前記取得した第1の可視カラー成分画像を含む第1の信号を生成するステップと、
第2の可視カラー成分出力に、前記取得した第1の可視カラー成分画像と前記取得した蛍光画像との組合せを含む第2の信号を生成するステップと、
第3の可視カラー成分出力に、前記取得した第1の可視カラー成分画像を含む第3の信号を生成するステップであって、前記第1、第2及び第3の信号の組合せは、限定帯域幅画像と前記蛍光画像とを含む画像を含む、ステップとを有する方法。
(付記21) 前記複数の可視カラー成分入力の第3の可視カラー成分入力で、取得した第2の可視カラー成分画像を受け取るステップをさらに有し、
前記第1の信号は、前記取得した第1の可視カラー成分画像と前記取得した第2の可視カラー成分画像との組合せを含み、
前記第2の信号は、前記取得した蛍光画像と、それにプラスして、前記取得した第1の可視カラー成分画像と前記取得した第2の可視カラー成分画像との組合せとを含み、
前記第3の信号は、前記取得した第1の可視カラー成分画像と前記取得した第2の可視カラー成分画像との組合せを含む、
付記20に記載の方法。
(付記22) 前記複数の可視カラー成分入力の第3の可視カラー成分入力で、取得した第2の蛍光画像を受け取るステップをさらに有し、
前記第3の信号は、前記取得した第1の可視カラー成分画像と前記取得した第2の蛍光画像との組合せである、
付記19に記載の方法。