【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、衣料または履物の物品用の編組構成要素を編組機で形成する方法に関し、方法は、(a)複数の編組糸を編組して、管状構造の編組構成要素を形成するステップと、(b)編組の間に複数の軸糸を統合して管状構造とするステップであって、少なくとも2つの異なるタイプの軸糸が編組構成要素へと統合される、ステップとを含む。
【0018】
編組とは、3本以上の糸を互いに交絡させ、非平行の編成で共に撚るようにして織り合わせて、平らなまたは管状の構造の幅が狭いストリップを形成することである。編組によって、織成または編成では不可能な三軸の編組の幾何学的構成が可能になる。
【0019】
経糸(standing yarn)としても知られている場合がある軸糸、または長手方向糸は、管状構造の軸線方向(長手方向とも呼ばれる)に沿って通る。各タイプの軸糸は1つ以上の軸糸を含む。ここで、管状構造またはチューブは、数学的に完全な円筒からの偏差を含んでもよい円筒状構造を意味するものと解釈される。前記偏差は、意図的に組み込まれることがあり、または製造プロセスの技術的な不完全さに基づくことがある。編組糸は軸糸を結合して管状構造にする。結果として得られるチューブは、軸線方向ではかなり剛性であることができるが、チューブの径方向に沿って伸長可能および弾性であってもよい。
【0020】
チューブはまた、応力−ひずみ応答の少なくとも2つの異なるレジームを提供するように特別設計することができる。第1のレジームでは、チューブは実質的に線形の応力−ひずみ関係に従い、ここでは、材料は実質的に弾性または柔軟性であり、チューブが引っ張られたとき、回復力は均衡状態からの伸長に実質的に比例する。第1のレジームでは、チューブは、フックの法則に従うばねと実質的に同様に挙動する。第2のレジームでは、チューブは実質的に非線形の応力−ひずみ関係に従い、回復力は、均衡状態からの伸長に対して第1のレジームの場合よりも急速に増加する。これら2つのレジーム間の遷移点は「ロックアウト」と呼ばれる場合がある。この挙動は、衣料または履物において有利な技術的効果を有する場合がある。例えば、第1のレジームは、特別設計されたチューブを備える靴にプレーヤーが足を快適に入れることができ、プレーヤーが快適に走れるようにチューブが十分な弾性を有する一方で、プレーヤーが方向転換したいときに靴が剛性であり、プレーヤーの足に対して十分な支持レベルを提供するようにチューブが特別設計されるように、特別設計することができる。
【0021】
この方法に対して他の重要な利益がある。第一に、少なくとも2つの異なるタイプの複数の軸糸を編組構成要素に組み込むことで、別の方法で達成できるよりも高度な編組構成要素の性質の調整可能性をもたらすことができる。軸糸は、例えば異なるモデルの編組構成要素に対して、単純な方法で変化させることができる。編組構成要素の製造安定性を妨げることなく、完全に異なるタイプの軸糸を互いに近接させて使用することが可能である。完全に異なる軸糸とは、性質が著しく異なる軸糸である。これらの性質としては、例えば、組成、テックス値、弾性、曲げ剛性、コーティング、断面積、および溶融糸含量(melt yarn content)を含む。これは、このことが不可能であろう織成または編成を上回る明確な利点である。織成または編成の場合、完全に異なる糸の使用によってしわなどの欠陥が起こることがある。更に、編成プロセスでは糸自体が曲げられるので、編成の場合は糸がより柔軟でなければならない。編組では、編組プロセスの間に糸は曲げられないので、糸がより剛性であることができ、したがってより多様な糸を使用することができる。更に、織成および編成の場合、糸の選択は針のゲージまたはおさの密度によって決定される場合が多い。したがって、細糸と太糸を混合するのが難しくなる。編組では、各パッケージが完全に独立しており、糸が貫通する必要がある共通のアイレットまたは「ゲージ」がない。唯一の要件は、糸がある程度の摩擦接触で互いの上下を通過できることである。第二に、編組プロセス中に履物物品のアッパーを形成する成形マンドレルまたは足型が不要になるように、編組構成要素の性質を特別設計することができる。したがって、編組アッパーの作成速度を向上することができ、既存の方法を用いて作成されるアッパーに対して編組アッパーのコストを減少させることができる。
【0022】
足型の上に編組することと比較した別の利点は、作成プロセスのモジュール性が向上することである。例えば、1つ以上の編組構成要素をスプールに巻き付け、別の場所で更に組み立てるために搬送することができる。この方法はまた、アッパーの一部のみを、例えば径方向で高い剛性を有する管状領域を作成するのに使用することもできる。
【0023】
この作成方法の適合性および利点は、履物物品のアッパーの作成に限定されない。この方法を使用して作成される編組構成要素は、例えば袖または靴下などの衣料に等しく使用することができる。
【0024】
編組セットアップに使用する糸の選択およびボビンの数によって、結果として得られる編組チューブの既定の直径が決まり、チューブの圧潰が防止されるであろう。所与の編組角度に対して、必要な糸の直径と利用されるボビンの数は互いに依存し、反比例する。編組に使用されるボビンの数が少ないほど、必要な糸のテックス値またはデニール数が多くなる。逆もまた真であり、チューブの同じ休止直径を確立するためには、細い糸ほど多くのボビンを必要とする。例えば、編組用に64個のボビンと軸糸用に32個のボビンを有する機械セットアップでは、好ましくは少なくとも12テックス、より好ましくは少なくとも18テックスの編組糸を使用することが必要であろう。糸は、例えば、レンズ状としても知られる非円形の断面を有してもよく、糸は、第1の直径の第1軸および第2の直径の第2軸を有する楕円形の断面を有してもよい。糸の代わりに、または糸に加えて、リボンまたはテープも使用することができる。
【0025】
糸の充填空間(filling space)またはカバーファクタは糸の体積である。この充填空間はチューブ壁の密度を表す。充填空間が小さすぎる場合、チューブの密度が小さすぎ、成形マンドレルが必要である。充填空間が十分に大きければ、特別設計のチューブは、編組の間に既に(またその後、更なる処理を要することなく)その形状を維持することができるので、成形マンドレルが不要になる。
【0026】
第1のタイプの軸糸は、第2のタイプの軸糸とは異なる組成を有してもよい。ここでは、異なる組成は、綿、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、エラステーン、セルロース系材料、ケブラー、他のポリアミド類、PET、またはそれらの組み合わせなどの異なる材料を含むことができる。前記材料は軽量であり、編組機での処理が簡単である。異なる組成はまた、一方ではマルチフィラメント、他方ではモノフィラメント糸を意味する場合がある。これにより、編組構成要素の性質を特別設計できる程度が改善される。異なる組成は、例えば、通気性または耐水性のレベルにしたがって編組構成要素の性質を修正するのに使用することができる。
【0027】
第1のタイプの軸糸は、第2のタイプの軸糸とは異なるテックス値を含んでもよい。これは、編組構成要素の性質を特別設計できる代替または追加の方法である。例えば、特定の性質、例えば摩擦が同じである材料で構成された糸を使用するのが有益なことがあるが、異なるテックス値を使用することによって、編組構成要素の性質を特別設計する方法がまだ残っている。テックス値の変化によって、編組構成要素の安定性および強度を調整することが可能になる。
【0028】
第1のタイプの軸糸は、第2のタイプの軸糸とは異なる弾性および/または曲げ剛性を含んでもよい。これは、編組構成要素の性質を特別設計できる別の代替または追加の方法である。例えば、第1のタイプの糸が弾性の低い糸を含み、第2のタイプの糸が弾性の高い糸を含んで、材料の弾性を調整するのを可能にすることができる。別の方法として、またはそれに加えて、実質的に剛性である編組構成要素の一部分と、実質的に可撓性である別の部分とを特別設計するために、第1のタイプの軸糸は第2のタイプの軸糸よりも高い曲げ剛性を有してもよい。
【0029】
軸糸の構成は管状構造の円周にわたって変化してもよい。かかる構成によって、履物または衣料物品の特に良好なフィット性および快適さを達成する方法が可能になる。例えば、弾性の糸をチューブの片側に使用し、弾性の低い糸を反対側に使用することによって、編組張力が解放され、弾性糸が収縮して形状を変形させたときに、非円筒状の構造がもたらされる。機械的性質も、管状構造の円周にわたって、例えばそれらの曲げ剛性によって、他の方法で付加的または代替的に変化することができる。軸糸の密度も編組構成要素の円周の周りで変化することができる。これによって編組構成要素が、例えば、左右および/または上下の曲がりを展開して、足型などの任意の成形物を要することなく、例えば左足または右足など、身体部分の解剖学的構造に適合することが可能になる。更に、編組構成要素の各部分に対して所望のレベルの構造的支持を達成して、最終製品の性能および/または運動選手が経験する反応を改善することができる。
【0030】
編組糸は軸糸を結合して管状構造となり、軸糸よりも細くてもよい。編組糸の組成、弾性、テックス値、または曲げ剛性などの性質を選択することによって、管状構造の径方向弾性の程度を特別設計し、着用の快適さおよび機能性を改善することが可能である。
【0031】
編組角度は編組構成要素の軸線方向に沿って変化してもよい。編組角度は、編組糸の方向と軸線編組方向との間の角度である。編組角度の変化によって、チューブの長さ全体を通して異なる機械的性質がもたらされる。好ましくは15°〜45°の小さい編組角度の領域は、径方向に拡張しやすく、動的移動の間に適合するように拡張可能にすることができる。他方で、好ましくは46°〜80°の大きい編組角度の領域は、径方向に伸長しにくく、より剛性である。非常に大きい編組角度では、編組糸が非軸線方向で詰まる。詰まりは、編組の構造的観点からそれ以上自然に拡張しなくなり、更なる拡張がフィラメントとその中の糸のひずみに結び付けられる地点である。靴のアッパーの場合、この詰まりを安定性が必要な領域に使用して、補強構造を補足するかまたはそれに置き換えることができる。
【0032】
編組糸および/または軸糸は、少なくとも1つの溶融糸を含んでもよい。溶融糸は、好ましくは編組構成要素の他の糸の分解温度よりも低い、特定の温度で溶融する。溶融糸を含むことには、選択された糸が特定の温度で溶融し融合するのが可能になるという利点がある。
【0033】
第1のタイプの軸糸は、編組構成要素の第2の範囲ではなく第1の範囲に配置されてもよく、第2のタイプの軸糸は、第1の範囲ではなく第2の範囲に配置される。特定の範囲に1つのタイプの軸糸を、別の範囲に別のタイプを選択的に選ぶことによって、編組構成要素の性質を局所的に修正することが可能である。このように、履物または衣料物品の特に良好なフィット性、快適さ、および改善された機能性を達成することができる。
【0034】
編組構成要素の編組は、本質的に円筒状の形態の上で実施されてもよい。本質的に円筒状の形態は、円筒を大まかに模倣した任意の形態であり、数学的に完全な円筒形状に限定されない。形態は、製造プロセスの不完全さによる完全な円筒からの偏差を含んでもよく、または完全な円筒からの意図的な変形を含んでもよい。本質的に円筒状の形態の上に編組することによって、使用される糸全体の空間によって決定される天然の空隙よりも大きくてもよい、所望の編組直径を達成することが可能である。編組は、好ましくは、本質的に円筒状の形態の長手方向(または軸線方向)に沿って行われる。
【0035】
本質的に円筒状の形態は、溶融可能な構成要素を含んでもよく、方法は、前記溶融可能な構成要素の上に編組構成要素を編組した後に、前記溶融可能な構成要素を溶融することによって、編組構成要素および溶融可能な構成要素が1つの統合単位体を形成するステップを更に含んでもよい。このように、編組構成要素とも呼ばれる、形成された統合単位体の安定性が改善される。更に、編組構成要素はより防水性が高い。
【0036】
編組機は、一組の糸が時計方向に回転し、第2の組の糸が反時計方向に回転する、クリールに配置された複数の糸キャリアを含んでもよい。編組糸が合わされ、糸の重なり合いによって編組構造が作られる。糸パッケージが回転を通して移動する速度が編組速度である。編組機は、編組糸と同じパッケージ構成から、または別のクリール構成から来てもよい軸糸を含む能力を有する。
【0037】
編組構成要素は、ある速度(「巻取り速度」)で機械的デバイス(「巻取りデバイス」としても知られる)によって引っ張ることができる(「巻取り」としても知られる)。巻取りデバイスは、ローラもしくはプーリーシステム、または多軸制御を備えたロボットデバイスであることができる。巻取り対編組速度の比の変化が可能である。これと糸の張力とを併せて、編組角度に影響を与え、結果としてチューブの領域の機械的性質に影響を与えることができる。巻取りデバイスは、切断の間の構造を固定し、編組の解れを防ぐために、編組の特定の領域を溶融するいくつかの直接加熱された表面を含んでもよい。巻取りデバイスはまた、張力が長手方向に伝達されるのを防ぐ一方で編組角度の変化をもたらす、編組形成区域付近に配設されたニップローラを含んでもよい。
【0038】
チューブを構築するのに異なる編組機を使用することができる。パッケージが編組アパーチャの周りでリング状に装填される、いわゆる「メイポール編組機」を使用することができる。この構成では、軸糸を従来のクリールに装填して、大きい糸パッケージを装填することを可能にすることによって、パッケージ交換時間を最小限に抑えることができる。あるいは、編組糸および軸糸のパッケージが編組区域の周りで径方向に装填される、「径方向編組機」を使用することができる。かかる構成によって、デバイスの総フットプリントが最小限に抑えられる。
【0039】
編組機は3D編組機であってもよい。3D編組機は、糸の方向が必ずしも線形ではないデカルト格子の構成で糸パッケージを装填することを伴う。3D編組機では、糸パッケージは、糸パッケージの運動が編組区域周りの規定の軌道に拘束されるメイポールまたは径方向編組機とは反対に、二次元位置で自由に動くことができる。この構成では、編組の形状および構造が、糸のプログラム可能な動きに強く影響を受ける場合がある。これには、径方向編組機または軸線方向(メイポール)編組機などの他の編組機では不可能な方法で、糸を配置することができるという利点がある。また、3D編組機を使用することで、経糸が所与の地点で編組糸となるように、またはその逆に交絡し始めることが可能になる。また、この方法によって、編組の一部でなくなる位置に糸の経路を「一時的に置く」ことが可能であることによって、編組構成要素の異なる領域に色を導入し、続いて色を隠すことが可能になる。このように、軸糸がチューブの長手方向に沿ったある地点で始まり、または終わることが可能である。これによって、例えば、第1のタイプの軸糸を、第2のタイプの軸糸を含む第2の領域とは長手方向で、即ち軸線方向で分離された、第1の領域に配置することが可能になる。色付きの糸と共に、剛性の領域も、ケブラーまたは他のポリアミド類などの剛性要素に編組することによって、この方法で導入することができる。
【0040】
方法は更に、本明細書に記載するように製造された編組構成要素を備える履物物品のアッパーを形成するステップを含んでもよい。前記編組構成要素から形成されたアッパーは、特に良好なフィット性を提供し、良好な機械的性質を有し、軽量である。
【0041】
第1の範囲はアッパーの下側部分に配置されてもよく、第2の範囲はアッパーの足甲部分に配置されてもよい。かかる構成では、下側部分および足甲部分のアッパーの異なる要件に簡単に適合する。例えば、ソールは足の下側に耐水性をもたらす主要な要素なので、アッパーの底部分は必ずしも特に防水性でなくてもよい。実際は、着用者の快適さのため、高い通気性が望ましいことがある。他方で、足甲部分では、アッパーは足をほこりおよび雨から保護する主要な要素であり、したがって良好なレベルの耐水性が求められることがある。同様に、アッパーは着用者の足を足甲領域で支持する主要な要素であり、したがって安定しているが可撓性のある編組部分が足甲領域に求められることがある。アッパーの下側部分は履物物品のソールに取り付けられるので、アッパーの下側部分は着用者の足を支持する必要はなく、したがって安定性が低くてもよく、着用者の快適さを改善する緩衝性の柔軟な材料を含むことができる。
【0042】
第1の範囲はアッパーの外側および/または内側部分に配置されてもよく、第2の範囲はアッパーの足甲部分に配置されてもよい。かかる構成では、一方ではアッパーの外側および/または内側部分の、他方では足甲部分の異なる要件に簡単に適合する。例えば、足は、一般的に、足甲部分で要するよりも外側または内側部分でより一層の支持を要する。
【0043】
第1の範囲はアッパーの外側部分に配置されてもよく、第2の範囲はアッパーの内側部分に配置されてもよい。かかる構成では、一方ではアッパーの外側部分の、他方では内側部分の異なる要件に簡単に適合する。例えば、弾性糸をアッパーの内側部分に、非可撓性の糸をアッパーの外側部分に使用することによって、編組張力が解放されたときに人間の足に本質的に適合する、自然な曲がりがもたらされる。
【0044】
方法は更に、編組構成要素を足型上に配置するステップと、ラスティングした編組構成要素を圧密化するステップとを含んでもよい。本明細書の別の箇所で言及した利点に加えて、本明細書に記載するように特別設計した編組構成要素は、ラスティング段階の間、足型は標準化した足型であることができ、あらゆる靴のスタイルまたはサイズ、例えば欧州式の40、40.5、41、41.5など、または米国式の8、8.5、9、9.5などを網羅する必要はないという利点を有する。その代わりに、編組構成要素の特別設計された性質によって、使用される更に標準化された足型は、例えば、ある範囲の靴のスタイルおよびサイズ、例えば欧州式の40〜42、または米国式の8〜10を網羅することが可能になる。特別設計された編組構成要素を足型上に配置し、ラスティングした編組構成要素を圧密化することによって、快適な着用特性のための特に良好なフィット性を達成することが可能である。また、ラスティングおよび/または圧密化は、顧客用に個別にカスタマイズされた足型に基づいて、店舗内で行うことが可能である。
【0045】
圧密化のステップは、結合剤、ポリマーコーティング、および/または編組構成要素の少なくとも一部の加熱を使用することを含んでもよい。この方法によって、十分な弾性を維持すると共に、好ましいレベルの耐水性および通気性を提供しながら、編組構成要素をラスティングした形態で恒久的に固定することが可能になる。編組構成要素を加熱することによって、例えば、溶融糸が編組構成要素に統合された場合に、全体の軽量性と優れた通気性を維持しながら、構造を重要な位置で圧密化することが可能である。
【0046】
圧密化のステップは更に、積層技術を適用することを含んでもよい。積層技術は、防水性および均等な圧密化を提供するのに有用であり、したがって積層されたアッパーは魅力的な視覚的外観を有する。
【0047】
積層技術は、ポリウレタン、TPU、ポリアミド類、ポリオレフィン類、またはビニル系フィルムを使用することを含んでもよい。これらの材料は、良好な接着性および封止性を有し、工業規模で処理がしやすく、毒性が低い。ケブラーなどのポリアミド類は、それらの熱抵抗および構造的強度により、特に有用である。
【0048】
積層技術は真空成形を含んでもよい。真空成形によって、特に魅力的な視覚的外観を有する、著しい防水性および均等な積層を達成することが可能である。
【0049】
本発明は更に、本明細書に記載するように製造されている編組構成要素を備える、履物物品用のアッパーに関する。
【0050】
本発明は更に、管状構造を有する衣料または履物物品用の編組構成要素に関し、編組構成要素は複数の統合された軸糸を備え、少なくとも2つの異なるタイプの軸糸が編組構成要素へと統合される。
【0051】
経糸としても知られている場合がある軸糸、または長手方向糸は、管状構造の軸線方向(長手方向とも呼ばれる)に沿って通る。各タイプの軸糸は1つ以上の軸糸を含む。ここで、管状構造またはチューブは、数学的に完全な円筒からの偏差を含んでもよい円筒状構造を意味するものと解釈される。前記偏差は、意図的に組み込まれることがあり、または製造プロセスの技術的な不完全さに基づくことがある。編組糸は軸糸を結合して管状構造にする。結果として得られるチューブは、軸線方向ではかなり剛性であることができるが、チューブの径方向に沿って伸長可能および弾性であってもよい。
【0052】
チューブはまた、応力−ひずみ応答の少なくとも2つの異なるレジームを提供するように特別設計することができる。第1のレジームでは、チューブは実質的に線形の応力−ひずみ関係に従い、ここでは、材料は実質的に弾性または柔軟性であり、チューブが引っ張られたとき、回復力は均衡状態からの伸長に実質的に比例する。第1のレジームでは、チューブは、フックの法則に従うばねと実質的に同様に挙動する。第2のレジームでは、チューブは実質的に非線形の応力−ひずみ関係に従い、回復力は、均衡状態からの伸長に対して第1のレジームの場合よりも急速に増加する。これら2つのレジーム間の遷移点は「ロックアウト」と呼ばれる場合がある。この挙動は、衣料または履物において有利な技術的効果を有する場合がある。例えば、第1のレジームは、特別設計されたチューブを備える靴にプレーヤーが足を快適に入れることができ、プレーヤーが快適に走れるようにチューブが十分な弾性を有する一方で、プレーヤーが方向転換したいときに靴が剛性であり、プレーヤーの足に対して十分な支持レベルを提供するようにチューブが特別設計されるように、特別設計することができる。
【0053】
前記編組構成要素の他の重要な利益がある。第一に、少なくとも2つの異なるタイプの複数の軸糸を編組構成要素に組み込むことで、別の方法で達成できるよりも高度な編組構成要素の性質の調整可能性をもたらすことができる。軸糸は、例えば異なるモデルの編組構成要素に対して、単純な方法で変化させることができる。編組構成要素の製造安定性を妨げることなく、完全に異なるタイプの軸糸を互いに近接させて使用することが可能である。完全に異なる軸糸とは、性質が著しく異なる軸糸である。これらの性質としては、例えば、組成、テックス値、弾性、曲げ剛性、コーティング、断面積、および溶融糸含量を含む。これは、このことが不可能であろう織成または編成を通して作成される編組構成要素を上回る明確な利点である。織成または編成の場合、完全に異なる糸の使用によってしわなどの欠陥が起こることがある。更に、編成プロセスでは糸自体が曲げられるので、編成の場合は糸がより柔軟でなければならない。編組では、編組プロセスの間に糸は曲げられないので、糸がより剛性であることができ、したがってより多様な糸を使用することができる。更に、織成および編成の場合、糸の選択は針のゲージまたはおさの密度によって決定される場合が多い。したがって、細糸と太糸を混合するのが難しくなる。編組では、各パッケージが完全に独立しており、糸が貫通する必要がある共通のアイレットまたは「ゲージ」がない。唯一の要件は、糸がある程度の摩擦接触で互いの上下を通過できることである。第二に、編組プロセス中に履物物品のアッパーを形成する成形マンドレルまたは足型が不要になるように、編組構成要素の性質を特別設計することができる。したがって、編組アッパーの作成速度を向上することができ、既存の方法を用いて作成されるアッパーに対して編組アッパーのコストを減少させることができる。足型の上に編組することと比較した別の利点は、作成プロセスのモジュール性が向上することである。例えば、1つ以上の編組構成要素をスプールに巻き付け、別の場所で更に組み立てるために搬送することができる。編組構成要素はまた、アッパーの一部のみを、例えば径方向で高い剛性を有する管状領域を作成するのに使用することもできる。
【0054】
編組構成要素は、例えば袖または靴下などの衣料に等しく使用することができる。
【0055】
編組セットアップに使用する糸の選択およびボビンの数によって、結果として得られる編組チューブの既定の直径が決まり、チューブの圧潰が防止されるであろう。所与の編組角度に対して、必要な糸の直径と利用されるボビンの数は互いに依存し、反比例する。編組に使用されるボビンの数が少ないほど、必要な糸のテックス値またはデニール数が多くなる。逆もまた真であり、チューブの同じ休止直径を確立するためには、細い糸ほど多くのボビンを必要とする。例えば、編組用に64個のボビンと軸糸用に32個のボビンを有する機械セットアップでは、好ましくは少なくとも12テックス、より好ましくは少なくとも18テックスの編組糸を使用することが必要であろう。
【0056】
糸の充填空間またはカバーファクタは糸の体積である。この充填空間はチューブ壁の密度を表す。充填空間が小さすぎる場合、チューブの密度が小さすぎ、成形マンドレルが必要である。充填空間が十分に大きければ、特別設計のチューブは、編組の間に既に(またその後、更なる処理を要することなく)その形状を維持することができるので、成形マンドレルが不要になる。
【0057】
第1のタイプの軸糸は、第2のタイプの軸糸とは異なる組成を有してもよい。ここでは、異なる組成は、綿、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、エラステーン、セルロース系材料、ケブラー、他のポリアミド類、PET、またはそれらの組み合わせなどの異なる材料を含むことができる。前記材料は軽量であり、編組機での処理が簡単である。異なる組成はまた、一方ではマルチフィラメントを、または他方ではモノフィラメント糸を意味する場合がある。これにより、編組構成要素の性質を特別設計できる程度が改善される。異なる組成は、例えば、通気性または耐水性のレベルにしたがって編組構成要素の性質を修正するのに使用することができる。
【0058】
第1のタイプの軸糸は、第2のタイプの軸糸とは異なるテックス値を含んでもよい。これは、編組構成要素の性質を特別設計できる代替または追加の方法である。例えば、特定の性質、例えば摩擦が同じである材料で構成された糸を使用するのが有益なことがあるが、異なるテックス値を使用することによって、編組構成要素の性質を特別設計する方法がまだ残っている。テックス値の変化によって、編組構成要素の安定性および強度を調整することが可能になる。
【0059】
第1のタイプの軸糸は、第2のタイプの軸糸とは異なる弾性および/または曲げ剛性を含んでもよい。これは、編組構成要素の性質を特別設計できる別の代替または追加の方法である。例えば、第1のタイプの糸が弾性の低い糸を含み、第2のタイプの糸が弾性の高い糸を含んで、材料の弾性を調整するのを可能にすることができる。別の方法として、またはそれに加えて、実質的に剛性である編組構成要素の一部分と、実質的に可撓性である別の部分とを特別設計するために、第1のタイプの軸糸は第2のタイプの軸糸よりも高い曲げ剛性を有してもよい。
【0060】
軸糸の構成は管状構造の円周にわたって変化してもよい。かかる構成によって、履物または衣料物品の特に良好なフィット性および快適さを達成する方法が可能になる。例えば、弾性の糸をチューブの片側に使用し、弾性の低い糸を反対側に使用することによって、編組張力が解放され、弾性糸が収縮して形状を変形させたときに、非円筒状の構造がもたらされる。機械的性質も、管状構造の円周にわたって、例えばそれらの曲げ剛性によって、他の方法で付加的または代替的に変化することができる。軸糸の密度も編組構成要素の円周の周りで変化することができる。これによって編組構成要素が、例えば、左右および/または上下の曲がりを展開して、足型などの任意の成形物を要することなく、例えば左足または右足など、身体部分の解剖学的構造に適合することが可能になる。更に、編組構成要素の各部分に対して所望のレベルの構造的支持を達成して、最終製品の性能および/または運動選手が経験する反応を改善することができる。
【0061】
編組糸は軸糸を結合して管状構造となり、軸糸よりも細くてもよい。編組糸の組成、弾性、テックス値、または曲げ剛性などの性質を選択することによって、管状構造の径方向弾性の程度を特別設計し、着用の快適さおよび機能性を改善することが可能である。
【0062】
編組角度は編組構成要素の軸線方向に沿って変化してもよい。編組角度は、編組糸の方向と軸線編組方向との間の角度である。編組角度の変化によって、チューブの長さ全体を通して異なる機械的性質がもたらされる。好ましくは15°〜45°の小さい編組角度の領域は、径方向に拡張しやすく、動的移動の間に適合するように拡張可能にすることができる。他方で、好ましくは46°〜80°の大きい編組角度の領域は、径方向に伸長しにくく、より剛性である。非常に大きい編組角度では、編組糸が非軸線方向で詰まる。詰まりは、編組の構造的観点からそれ以上自然に拡張しなくなり、更なる拡張がフィラメントとその中の糸のひずみに結び付けられる地点である。靴のアッパーの場合、この詰まりを安定性が必要な領域に使用して、補強構造を補足するかまたはそれに置き換えることができる。
【0063】
編組糸および/または軸糸は、少なくとも1つの溶融糸を含んでもよい。溶融糸は、好ましくは編組構成要素の他の糸の分解温度よりも低い、特定の温度で溶融する。溶融糸を含むことには、選択された糸が特定の温度で溶融し融合するのが可能になるという利点がある。
【0064】
第1のタイプの軸糸は、編組構成要素の第2の範囲ではなく第1の範囲に配置されてもよく、第2のタイプの軸糸は、第1の範囲ではなく第2の範囲に配置される。特定の範囲に1つのタイプの軸糸を、別の範囲に別のタイプを選択的に選ぶことによって、編組構成要素の性質を局所的に修正することが可能である。このように、履物または衣料物品の特に良好なフィット性、快適さ、および改善された機能性を達成することができる。
【0065】
本発明は更に、本明細書に記載するような編組構成要素を備える、履物物品のアッパーに関する。前記編組構成要素から形成されたアッパーは、特に良好なフィット性を提供し、良好な機械的性質を有し、軽量である。
【0066】
第1の範囲はアッパーの下側部分に配置されてもよく、第2の範囲はアッパーの足甲部分に配置されてもよい。かかる構成では、下側部分および足甲部分のアッパーの異なる要件に簡単に適合する。例えば、ソールは足の下側に耐水性をもたらす主要な要素なので、アッパーの底部分は必ずしも特に防水性でなくてもよい。実際は、着用者の快適さのため、高い通気性が望ましいことがある。他方で、足甲部分では、アッパーは足をほこりおよび雨から保護する主要な要素であり、したがって良好なレベルの耐水性が求められることがある。同様に、アッパーは着用者の足を足甲領域で支持する主要な要素であり、したがって安定しているが可撓性のある編組部分が足甲領域に求められることがある。アッパーの下側部分は履物物品のソールに取り付けられるので、アッパーの下側部分は着用者の足を支持する必要はなく、したがって安定性が低くてもよく、着用者の快適さを改善する緩衝性の柔軟な材料を含むことができる。
【0067】
第1の範囲はアッパーの外側および/または内側部分に配置されてもよく、第2の範囲はアッパーの足甲部分に配置されてもよい。かかる構成では、一方ではアッパーの外側および/または内側部分の、他方では足甲部分の異なる要件に簡単に適合する。例えば、足は、一般的に、足甲部分で要するよりも外側または内側部分でより一層の支持を要する。
【0068】
第1の範囲はアッパーの外側部分に配置されてもよく、第2の範囲はアッパーの内側部分に配置されてもよい。かかる構成では、一方ではアッパーの外側部分の、他方では内側部分の異なる要件に簡単に適合する。例えば、弾性糸をアッパーの内側部分に、非可撓性の糸をアッパーの外側部分に使用することによって、編組張力が解放されたときに人間の足に本質的に適合する、自然な曲がりがもたらされる。
【0069】
アッパーは、足型上に配置され圧密化された編組構成要素を備えてもよい。本明細書の別の箇所で言及した利点に加えて、本明細書に記載するように特別設計した編組構成要素は、ラスティング段階の間、足型は標準化した足型であることができ、あらゆる靴のスタイルまたはサイズ、例えば欧州式の40、40.5、41、41.5など、または米国式の8、8.5、9、9.5などを網羅する必要はないという利点を有する。その代わりに、編組構成要素の特別設計された性質によって、使用される更に標準化された足型は、例えば、ある範囲の靴のスタイルおよびサイズ、例えば欧州式の40〜42、または米国式の8〜10を網羅することが可能になる。特別設計された編組構成要素を足型上に配置し、ラスティングした編組構成要素を圧密化することによって、快適な着用特性のための特に良好なフィット性を達成することが可能である。また、ラスティングおよび/または圧密化は、顧客用に個別にカスタマイズされた足型に基づいて、店舗内で行うことが可能である。
【0070】
圧密化のステップは、結合剤、ポリマーコーティング、および/または編組構成要素の少なくとも一部の加熱を使用することを含んでもよい。したがって、完成したアッパーは、十分な弾性を維持すると共に、好ましいレベルの耐水性および通気性を提供しながら、ラスティングした形態の編組構成要素を備える。編組構成要素を加熱することによって、例えば、溶融糸が編組構成要素に統合された場合に、全体の軽量性と優れた通気性を維持しながら、構造を重要な位置で圧密化することが可能である。
【0071】
アッパーは積層されてもよい。積層された編組構成要素を備えるアッパーは、特に防水性であり、均等な表面を有し、製造プロセスによる不完全さのレベルはわずかであり、したがって魅力的な視覚的外観を有する。
【0072】
積層材料は、ポリウレタン、TPU、ポリアミド類、ポリオレフィン類、またはビニル系フィルムを含んでもよい。これらの材料は、良好な接着性および封止性を有し、工業規模で処理がしやすく、毒性が低い。ケブラーなどのポリアミド類は、それらの熱抵抗および構造的強度により、特に有用である。
【0073】
積層のステップは真空成形を含んでもよい。真空成形によって、著しい防水性および均等な積層を達成し、したがって特に魅力的な視覚的外観を有することが可能である。
【0074】
本発明は更に、本明細書に記載するようなアッパーとアウトソールとを備える靴に関する。本明細書に記載するアッパーを備える靴、例えば運動靴は、特に軽量であり、特定のタイプの活動または更には顧客の個々の解剖学的構造に合わせて、製造プロセスで簡単に修正することができる、優れた機械的性質を有する。
【0075】
本発明は以下の実施形態を含む。
【0076】
[1]衣料または履物の物品用の編組構成要素を編組機で形成する方法であって、
(a)複数の編組糸を編組して、管状構造の編組構成要素を形成するステップと、
(b)編組の間に複数の軸糸を統合して管状構造とするステップであって、少なくとも2つの異なるタイプの軸糸が編組構成要素へと統合される、ステップとを含む方法。
【0077】
[2]第1のタイプの軸糸が第2のタイプの軸糸とは異なる組成を有する、[1]に記載の方法。
【0078】
[3]第1のタイプの軸糸が第2のタイプの軸糸とは異なるテックス値を含む、[1]または[2]に記載の方法。
【0079】
[4]第1のタイプの軸糸が第2のタイプの軸糸とは異なる弾性および/または曲げ剛性を含む、[1]から[3]のうち1つに記載の方法。
【0080】
[5]軸糸の構成が編組構成要素の管状構造の円周にわたって変化する、[1]から[4]のうち1つに記載の方法。
【0081】
[6]編組角度が編組構成要素の軸線方向に沿って変化する、[1]から[5]のうち1つに記載の方法。
【0082】
[7]編組糸および/または軸糸が少なくとも1つの溶融糸を含む、[1]から[6]のうち1つに記載の方法。
【0083】
[8]第1のタイプの軸糸が、編組構成要素の第2の範囲ではなく第1の範囲に配置され、第2のタイプの軸糸が、第1の範囲ではなく第2の範囲に配置される、[1]から[7]のうち1つに記載の方法。
【0084】
[9]編組構成要素の編組が本質的に円筒状の形態の上で実施される、[1]から[8]のうち1つに記載の方法。
【0085】
[10]本質的に円筒状の形態が溶融可能な構成要素を含み、方法が、前記溶融可能な構成要素の上に編組構成要素を編組した後に、前記溶融可能な構成要素を溶融することによって、編組構成要素および溶融可能な構成要素が1つの統合単位体を形成するステップを更に含む、[1]から[9]のうち1つに記載の方法。
【0086】
[11]編組機が3D編組機である、[1]から[10]のうち1つに記載の方法。
【0087】
[12][1]から[11]のうち1つにしたがって製造された編組構成要素を備える、履物物品のアッパーを形成するステップを更に含む、[1]から[11]のうち1つに記載の方法。
【0088】
[13]第1の範囲がアッパーの下側部分に配置され、第2の範囲がアッパーの足甲部分に配置される、[8]または[12]に記載の方法。
【0089】
[14]第1の範囲がアッパーの外側および/または内側部分に配置され、第2の範囲がアッパーの足甲部分に配置される、[8]または[12]に記載の方法。
【0090】
[15]第1の範囲がアッパーの外側部分に配置され、第2の範囲がアッパーの内側部分に配置される、[8]または[12]に記載の方法。
【0091】
[16]編組構成要素を足型上に配置するステップと、ラスティングした編組構成要素を圧密化するステップとを更に含む、[1]から[15]のうち1つに記載の方法。
【0092】
[17]圧密化のステップが、結合剤、ポリマーコーティング、および/または編組構成要素の少なくとも一部の加熱を使用することを含む、[1]から[16]に記載の方法。
【0093】
[18]圧密化のステップが積層技術の適用を含む、[16]または[17]に記載の方法。
【0094】
[19]積層技術が、ポリウレタン、TPU、ポリアミド、ポリオレフィン類、またはビニル系フィルムの使用を含む、[1]から[18]のうち1つに記載の方法。
【0095】
[20]積層技術が真空成形を含む、[18]または[19]に記載の方法。
【0096】
[21][1]から[20]のうち1つの方法にしたがって製造されている編組構成要素を備える、履物物品用のアッパー。
【0097】
[22]管状構造を有する衣料または履物物品用の編組構成要素であって、編組構成要素が複数の統合された軸糸を備え、少なくとも2つの異なるタイプの軸糸が編組構成要素へと統合される、編組構成要素。
【0098】
[23]第1のタイプの軸糸が第2のタイプの軸糸とは異なる組成を有する、[22]に記載の編組構成要素。
【0099】
[24]第1のタイプの軸糸が第2のタイプの軸糸とは異なるテックス値を含む、[22]または[23]に記載の編組構成要素。
【0100】
[25]第1のタイプの軸糸が第2のタイプの軸糸とは異なる弾性および/または曲げ剛性を含む、[22]から[24]のうち1つに記載の編組構成要素。
【0101】
[26]前記軸糸の構成が編組構成要素の管状構造の円周にわたって変化する、[22]から[25]のうち1つに記載の編組構成要素。
【0102】
[27]編組角度が編組構成要素の軸線方向に沿って変化する、[22]から[26]のうち1つに記載の編組構成要素。
【0103】
[28]編組糸および/または軸糸が少なくとも1つの溶融糸を含む、[22]から[27]のうち1つに記載の編組構成要素。
【0104】
[29]第1のタイプの軸糸が、編組構成要素の第2の範囲ではなく第1の範囲に配置され、第2のタイプの軸糸が、第1の範囲ではなく第2の範囲に配置される、[22]から[28]のうち1つに記載の編組構成要素。
【0105】
[30][22]から[29]のうち1つに記載の編組構成要素を備える、履物物品用のアッパー。
【0106】
[31]第1の範囲がアッパーの下側部分に配置され、第2の範囲がアッパーの足甲部分に配置される、[30]に記載のアッパー。
【0107】
[32]第1の範囲がアッパーの外側および/または内側部分に配置され、第2の範囲がアッパーの足甲部分に配置される、[30]または[31]に記載のアッパー。
【0108】
[33]第1の範囲がアッパーの外側部分に配置され、第2の範囲がアッパーの内側部分に配置される、[30]または[31]に記載のアッパー。
【0109】
[34]編組構成要素が足型上に配置され、圧密化された、[30]から[33]のうち1つに記載のアッパー。
【0110】
[35]編組構成要素が、結合剤、ポリマーコーティング、および/または編組構成要素の少なくとも一部の加熱を使用して圧密化された、[30]から[34]のうち1つに記載のアッパー。
【0111】
[36]編組構成要素が積層技術の適用によって圧密化された、[34]または[35]に記載のアッパー。
【0112】
[37]積層技術が、ポリウレタン、TPU、ポリアミド、ポリオレフィン類、またはビニル系フィルムの使用を含む、[30]から[36]のうち1つに記載のアッパー。
【0113】
[38]積層技術が真空成形を含む、[36]または[37]に記載のアッパー。
【0114】
[39](a)[30]から[38]のうち1つに記載のアッパーと、
(b)アウトソールとを備える、靴。
【0115】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して記載する。