(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605668
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】可動の重量体構造を備えた調整可能なメタルウッド・ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/06 20150101AFI20191031BHJP
A63B 60/04 20150101ALI20191031BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20191031BHJP
【FI】
A63B53/06 B
A63B60/04
A63B102:32
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-137586(P2018-137586)
(22)【出願日】2018年7月23日
(65)【公開番号】特開2019-25323(P2019-25323A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2018年9月28日
(31)【優先権主張番号】15/658,751
(32)【優先日】2017年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰 隆行
(72)【発明者】
【氏名】辻 圭
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ルウェリン
【審査官】
宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−057832(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0306474(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0321055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 − 53/14
A63B 60/02 − 60/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能なゴルフクラブヘッドであって、
クラウン、トゥ、ホーゼルおよびソールと、
前記ソール上に位置する1つ以上の開口端トラックと、
前記ソール上に位置する前記1つ以上のトラックの各々の上に固定された1つ以上の重量体とを備え、前記1つ以上の重量体の各々は、
上方ボアが内部を貫通している上方重量体部分と、
下方ボアが内部を貫通している下方重量体部分と、
ねじとを含み、前記ねじは、前記上方ボアおよび前記下方ボアを貫通することによって前記上方重量体部分および前記下方重量体部分に隣接するように位置決めされており、前記ねじは上方端部および下方端部を有し、前記1つ以上の重量体の各々はさらに、
クリップを含み、前記クリップは、前記クリップが前記上方ボアおよび前記下方ボア内で前記ねじを保持するように前記下方端部において前記ねじに留め付けられており、前記1つ以上の重量体の各々はさらに、
位置合わせ部分および位置合わせ受け部を含み、前記位置合わせ部分は、前記上方重量体部分および前記下方重量体部分のうちの一方上に位置し、前記位置合わせ受け部は前記上方重量体部分および前記下方重量体部分のうちの他方上に位置しており、
前記位置合わせ部分は、前記上方重量体部分および前記下方重量体部分の回転を妨げるために前記位置合わせ受け部と協働し、前記1つ以上の重量体の各々はさらに、
前記上方重量体部分上に設けられた上方面取り部、および、前記下方重量体部分上に設けられた下方面取り部を含み、
前記ねじは、据付けられた位置では、前記トラックまたは前記ソールのいずれの部分にも接触しないように位置決めされている、調整可能なゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ソール上に位置する前記1つ以上のトラックの各々はさらに、第1のトラックレールおよび第2のトラックレールを含む、請求項1に記載の調整可能なゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記上方面取り部および前記下方面取り部の各々の高さは、前記第1のトラックレールおよび前記第2のトラックレールの高さに実質的に等しい、請求項2に記載の調整可能なゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1のトラックレールおよび前記第2のトラックレールは、前記1つ以上の重量体における前記上方重量体部分と前記下方重量体部分との間に位置決めされる、請求項3に記載の調整可能なゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ねじの回転により、前記下方重量体部分を前記上方重量体部分に向かって移動させる、請求項4に記載の調整可能なゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ねじの回転により、前記下方重量体部分および前記上方重量体部分を前記第1のトラックレールおよび前記第2のトラックレールに当接させる、請求項5に記載の調整可能なゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
ゴルフクラブであって、
クラウン、トゥ、ホーゼルおよびソールを有する調整可能なゴルフクラブヘッドと、
前記ホーゼルに接続されたシャフトと、
前記ソール上に位置する1つ以上の開口端トラックと、
前記ソール上に位置する前記1つ以上のトラックの各々の上に固定された1つ以上の重量体とを備え、前記1つ以上の重量体の各々は、
上方ボアが内部を貫通している上方重量体部分と、
下方ボアが内部を貫通している下方重量体部分と、
ねじとを含み、前記ねじは、前記上方ボアおよび前記下方ボアを貫通することによって前記上方重量体部分および前記下方重量体部分に隣接するように位置決めされており、前記ねじは上方端部および下方端部を有し、前記1つ以上の重量体の各々はさらに、
クリップを含み、前記クリップは、前記クリップが前記上方ボアおよび前記下方ボア内で前記ねじを保持するように前記下方端部において前記ねじに留め付けられており、前記1つ以上の重量体の各々はさらに、
位置合わせ部分および位置合わせ受け部を含み、前記位置合わせ部分は前記上方重量体部分および前記下方重量体部分のうちの一方上に位置し、前記位置合わせ受け部は前記上方重量体部分および前記下方重量体部分のうちの他方上に位置しており、
前記位置合わせ部分は、前記上方重量体部分および前記下方重量体部分の回転を妨げるために前記位置合わせ受け部と協働し、前記1つ以上の重量体の各々はさらに、
前記上方重量体部分上に設けられた上方面取り部、および、前記下方重量体部分上に設けられた下方面取り部を含み、
前記ねじは、据付けられた位置では、前記トラックまたは前記ソールのいずれの部分にも接触しないように位置決めされている、ゴルフクラブ。
【請求項8】
前記ソール上に位置する前記1つ以上のトラックの各々はさらに、第1のトラックレールおよび第2のトラックレールを含む、請求項7に記載のゴルフクラブ。
【請求項9】
前記上方面取り部および前記下方面取り部の各々の高さは、前記第1のトラックレールおよび前記第2のトラックレールの高さに実質的に等しい、請求項8に記載のゴルフクラブ。
【請求項10】
前記第1のトラックレールおよび前記第2のトラックレールは、前記1つ以上の重量体における前記上方重量体部分と前記下方重量体部分との間に位置決めされる、請求項9に記載のゴルフクラブ。
【請求項11】
前記ねじの回転により、前記下方重量体部分を前記上方重量体部分に向かって移動させる、請求項10に記載のゴルフクラブ。
【請求項12】
前記ねじの回転により、前記下方重量体部分および前記上方重量体部分を前記第1のトラックレールおよび前記第2のトラックレールに当接させる、請求項11に記載のゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、概して、ゴルフクラブに関し、より特定的には、調整可能なメタルウッド・ゴルフクラブのための重量体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
ゴルファーのスイングには多くの異なるタイプがある。このようにスイングタイプに多様性があるということは、さまざまなゴルファーがさまざまな方法でボールにコンタクトすることを意味する。スイングが異なっていれば、異なるスピンおよび/または異なる飛行軌道をボールに与えることができる。ボールは、たとえば、ゴルファーが用いるスイングのタイプに基づいて「ドロー」または「フェード」する可能性がある。同様に、ボールは、コンタクト後にボールのスピン速度に応じて変化する軌道を描く可能性がある。スピン速度が低いボールよりもスピン速度が高いボールの方が、コンタクト後により高く上昇し得る。このような異なる軌道は、意図される場合には望ましいが、意図されない場合には望ましくない可能性がある。
【0003】
ゴルファーのストロークは、時間とともに変化することもあり得る。たとえば、以前にはボールが上昇してドローするようにボールにコンタクトしていたゴルファーが、ボールがさほど上昇せずフェードするようにボールにコンタクトするように、自身のスイングまたはスタンスを変更する可能性もある。ゴルファーのクラブが特定のスイングを修正するように設定されており、これによりゴルファーのスイングが変化してしまう場合、そのクラブはもはやゴルファーにとって適したものではない可能性がある。クラブを調整する機能を追加することにより、ゴルファーのスイングに応じてクラブを変化させて、所望のコンタクトおよび軌道をもたらすことが可能となる。
【0004】
ゴルファーのスイングに加えて、クラブヘッドの物理的仕様または固有の特性も軌道に影響を及ぼす可能性がある。一般には、メタルウッドヘッドの場合、重心(center of gravity:COG)がシャフト軸から遠ければ遠いほど、そのクラブではフェードになり易くなる。逆に、COGがシャフト軸に近ければ近いほど、そのヘッドではドローになり易くなる。同様に、COGがフェースに近ければ近いほど、スピンが減って、ボールに対する揚力の作用が低下する傾向があるため、ボールがより低空飛行になってしまう可能性がある。COGがより後方に(フェースからより遠くに)位置する場合、これとは逆のことが当てはまる。
【0005】
ゴルファーは、自身のショットの軌道上の距離をより伸ばしたいと考える場合がある。ゴルフのルールではフェースからばね様作用を得ることが制限されているので、より長い距離を得るための代替的方法として、スピンや打ち出し角度に対してボールの打ち出しを最適化することが挙げられる。この条件では、空力性能の向上により、ボールをより遠く、かつより真直ぐに飛ばすことが可能となる。改善されたCOG位置を個々のゴルファーごとに最適化することにより、ボールの打ち出し条件を向上させることができる。このため、調整可能な重量体/COGメタルウッドを備えていれば、プレーヤーが容易かつ直観的に自身の適切な重量体設定を見出すことができた場合には、距離をさらに伸ばすことができる。従来のゴルフクラブは、重量が予め定められているため、COG位置が固定されてしまっている。このため、これら従来のクラブは、たとえば、意図しないドローまたはフェードといったゴルファーのスイングに関する問題点を補うために容易に改造することができない。
【0006】
この問題に対処するためのこれまでのいくつかの試みでは、重みねじを利用した調整可能な重みドライバが必要であった。このようなシステムの欠点の1つは、質量Aの第1のねじの位置を質量Bの別のねじの位置と入れ替えることでA−Bの正味質量移動を招くため、重みねじが重量体移動には効率的ではないという点である。この非効率性により、かなりの重量をクラブに付加したりクラブから引いたりすることが必要となることが多く、クラブの性能のうち他の特性に対して望ましくない作用を及ぼす可能性がある。
【0007】
この問題に対処するための他の試みとして、シングルトラックシステムがある。これらのシステムでは、重量体の置換えのために重みねじを使用するよりも効率的となるように、トラックがドライバのスカートに追従し得るが、これらのシステムは、依然として前後方向とトゥ・ヒール方向とで重量体移動を分離させることができず、このため、自己最適化をそれほど直観的に行なうことができない。フェースに平行であるとともにフェースに近接しているいくつかのシングルトラックシステムは、COG深度を調整することがほとんどまたは全くできず、トラックの質量のせいで真正面が重み付けされる傾向がある。このため、前後方向へのCOG調整によってスピンおよび軌道高さを増大させることができない。このシングルトラックシステムは、閉鎖端トラックを有する傾向もある。しかしながら、閉鎖端を有するトラックでは、ゴルファーがより重い重量体をヘッドの所与の区域に必要とする場合、あるトラックから別のトラックに重量体を容易に移動させることができない。加えて、閉鎖端トラックの製造はより難しく、より費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ゴルフクラブヘッドの重量体をヒール・トゥ方向および前後方向に独立して移動させることを可能にする調整可能なゴルフクラブが、近年、ゴルフクラブ市場に現われた。これらのクラブは、一般に、スピンおよびフェード/ドローの特徴を独立して調整することができるように調整可能である。付加的には、重量体は、クラブヘッドと容易かつ確実に係合させることができる。しかしながら、これらの調整可能なゴルフクラブの多くは、止めねじ重量体設計を利用する重量体構造を用いている。このような重量体構造は、典型的には、トラックの底面を直接押圧する止めねじを重量体に備えることを必要とする。トラックのこの底面がクラブヘッドのソールの一部を形成しているので、その表面は、重量体の調整時に当該表面に止めねじまたは複数の止めねじを繰返し留め付けるのにかかる応力に耐えることができるように補強されていなければならない。この補強により、クラブヘッドの重量および製造コストが増えてしまう。
【0009】
止めねじの応力に耐えるようにソールを補強する必要がなくなるようにクラブヘッドのトラック面に対する応力を低減するクラブヘッドおよび重量体構造が必要とされる。このようなゴルフクラブヘッドおよび重量体構造が、本発明の実施形態の主たる対象となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本開示の実施形態は、調整可能なゴルフクラブヘッドおよび関連する重量体構造に関する。いくつかの実施形態においては、クラブは、クラブのソール上に位置するトラック内で重量体を移動させることによって調整することができる。本開示に従った調整可能なゴルフクラブヘッドは、クラウン、トゥ、ホーゼルおよびソールを有し得る。ゴルフクラブヘッドのソールは、各々のトラックが1つ以上の重量体を収容することができるようにソール上に位置する1つ以上の開口端トラックを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態においては、1つ以上の重量体は上方重量体部分および下方重量体部分を含み得る。上方重量体部分および下方重量体部分の各々にはボアが貫通している。いくつかの実施形態においては、1つ以上の重量体は各々、ねじを含む。当該ねじは、上方ボアおよび下方ボアを貫通することによって上方重量体部分および下方重量体部分に隣接するように位置決めされている。重量体は、ねじがトラックまたはソールのいずれの部分にも直接接触しないように構成される。いくつかの実施形態においては、1つ以上の重量体はさらにクリップを含む。当該クリップは、上方重量体部分および下方重量体部分のそれぞれのボア内でねじを保持するためにねじの下方端部に留め付けられる。いくつかの実施形態においては、1つ以上の重量体はまた、位置合わせ部分および位置合わせ受け部を含み得る。位置合わせ部分および位置合わせ受け部は、上方重量体部分および下方重量体部分の回転を防ぐために位置合わせ部分が位置合わせ受け部と協働するように配置されている。
【0012】
いくつかの実施形態においては、クラブヘッドのソール上に位置するトラックは、2つのレールを当該トラックの両側に1つずつ含み得る。1つ以上の重量体がクラブヘッドに据付けられている場合、2つのレールは上方重量体部分と下方重量体部分との間に位置決めすることができる。ねじを回転させることにより、下方重量体部分を上方重量体部分の方に移動させて、上方重量体部分および下方重量体部分を2つのレールに当接させて当該2つのレール上に嵌め込むことができる。
【0013】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面に関連付けて以下の明細書を読むことでより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に従った、調整可能なゴルフクラブヘッドおよび重量体構造を示す図である。
【
図2】
図1に示される調整可能なゴルフクラブヘッド重量体構造の分解図である。
【
図3】
図2に示される、調整可能なゴルフクラブヘッド重量体構造の断面図である。
【
図4】調整可能なゴルフクラブヘッドに据付けられるような、
図2に示される調整可能なゴルフクラブヘッド重量体構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態は概してゴルフクラブに関し、より特定的には、調整可能なメタルウッド・ゴルフクラブのための重量体構造に関する。いくつかの実施形態においては、ゴルフクラブは、クラブヘッドのソール上においてヒールに近接して位置するトラックに位置決めされた重量体を移動させることによって調整することができる。重量体はねじを備える。ねじは、重量体をソール上のトラックまたは複数のトラックに沿って所望のとおりに位置決めするように当該重量体を締付けたり緩めたりすることを可能にする。このようにして、ユーザはクラブを調整することができる。
【0016】
説明を単純かつ明確にするために、本発明はこの明細書中において調整可能なゴルフクラブと記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明がそのように限定されるものではないことを認識するだろう。
【0017】
本発明のさまざまな要素を構成するものとして以下に記載される材料は、限定ではなく例示的なものとして意図されている。本明細書中に記載される材料と同一または類似の機能を果たすであろう多くの好適な材料が、本発明の範囲内に包含されるよう意図されている。本明細書中に記載されていないこのような他の材料としては、本発明の開発後に開発される材料を含み得るが、それらに限定されるものではない。
【0018】
上述のとおり、従来の調整可能なゴルフクラブの一般的な問題は、通常用いられている重量体構造では、トラックの底面を直接押圧する止めねじを重量体に備える必要がある点である。これにより、止めねじによって加えられる応力に確実に抵抗するために、より厚い壁および/または支持リブでソールおよびトラックを補強することが必要となる可能性がある。これにより、不所望な重量体が追加されてしまい、COGを所望のとおりに配置する機能が制限されてしまう可能性がある。さらに、これにより、ゴルファー自身の特定のスイングタイプに応じて所望のフェード、ドローおよびスピンを得るようにCOG位置を設定するゴルファーの能力が制限されてしまう可能性がある。
【0019】
図1から
図4に示されるように、本開示の実施形態は調整可能なゴルフクラブヘッドを含み得る。より具体的には、本開示の実施形態は、調整可能なゴルフクラブヘッドおよび重量体構造を含み得る。重量体構造は、ソール上に位置決めされたトラックを補強することを必要とはせず、トラックの範囲全体にわたって重量体を容易に調整することを可能にする。
【0020】
いくつかの実施形態においては、
図1に示されるように、調整可能なゴルフクラブヘッド100は、クラウン110、トゥ120、ソール130およびホーゼル140を含み得る。ヘッド100のソール130は、1つ以上のトラック300に沿って固定された1つ以上の重量体200を有し得る。重量体200は、たとえば、約3gから約9gの重量であり得るがこれに限定されない。いくつかの実施形態においては、重量体200の重量は約6gである。当然ながら、他の重量体サイズおよび重量が使用可能であり、この明細書中において企図されている。
【0021】
重量体アセンブリ200の分解図を
図2に示す。重量体200は、上方重量体部分210、下方重量体部分220、およびねじ230を有し得る。ねじ230は、これら重量体部分におけるボア内を貫通して位置決めされており、上方重量体部分と下方重量体部分との間の距離を調整するように螺合される。上方重量体部分と下方重量体部分とを分離させる恐れのあるねじ230の過度の緩みを防止するために、ねじの下方端部にクリップ240を留め付けることができる。本開示に従ったいくつかの実施形態においては、ねじ230は、重量体200の構成要素同士が互いから分離するのを防止するために、クリップ240と協働するように、またはクリップ240と実質的に同じ目的を果たすように一体的に形成された特徴を有していてもよい。
【0022】
図2に示されるように、重量体200は、上方重量体部分および下方重量体部分の互いに対する位置合わせおよびトラック300に対する位置合わせを維持するために、1つ以上の位置合わせ特徴を有してもよい。いくつかの実施形態においては、上方重量体部分210は位置合わせ部分250を備え得るとともに、下方重量体部分220は位置合わせ受け部260を備え得る。位置合わせ部分250および位置合わせ受け部260を協働および/または当接させることにより、上方重量体部分および下方重量体部分がねじ230の軸を中心として回転することを防止することができ、上方重量体部分および下方重量体部の相対移動を、ねじ230の回転方向に応じて上方重量体部分と下方重量体部分とが互いに近づいたり互いから離れたりする移動に制限することができる。この位置合わせは重量体200の構造および機能のために重要である。なぜなら、ねじ230の軸を中心とした回転は、重量体200がクラブヘッド100のトラック300に適切かつ確実に係合することを妨げる可能性があるからである。重量体200とトラック300との間の係合が不適当であるかまたは緩んでいれば、結果として、重量体200がクラブヘッド100から離れてしまい、ゴルフ場、プレーヤーまたはクラブ自体に破損または損傷をもたらす可能性がある。
【0023】
ユーザが重量体200をクラブヘッド100に据付けるのを助けるために、重量体200は、上方面取り部270および下方面取り部280を備えてもよい。据付け過程中にユーザが重量体200をトラック300と完璧に位置合わせしなくても済むように、上方面取り部270および下方面取り部280をトラック300の寸法および特徴と協働するように形作ることができる。重量体を据付けるための位置合わせにこのような付加的な余裕を設けることにより、たとえば、ユーザがゴルフ場にいる間および/またはユーザがグローブを着用している間に重量体200を確実に据付けて調整することが可能となる。一方向または両方向へのより容易な据付けを可能にするために、面取り部270および280を重量体200の一方側または両側に設けることができる。
【0024】
図3に示されるように、重量体200は、ねじ230が上方重量体部分210および下方重量体部分220の各々のボアを貫通している状態で上方重量体部分210および下方重量体部分220が実質的に平行な向きに維持されるように組立てられている。ねじ230が上方重量体部分および下方重量体部分の一方または両方に螺合することにより、重量体200をトラック300に沿って固定することができるようにこれら上方重量体部分と下方重量体部分との間の距離を調整することが可能となる。
【0025】
図4は、トラック300に沿った据付け位置にある重量体200の断面を示す。トラック300は、その両側に、重量体200が上から嵌め込まれるレール310を含み得る。据付けられた位置にある重量体200は、上方重量体部分210および下方重量体部分220がレール310の対向面に圧力を加えるようにねじ230を締めることによって、トラック300に沿って固定することができる。ねじ230が適切に締められると、上方重量体部分210および下方重量体部分220とトラック300のレール310との間の摩擦が、トラック300に沿って所望の位置に重量体200を保持するように作用する。重量体200は、ねじ230がソール130に接触しないように、またはソール130に対して直接力を加えないように設計されている。レール310は、上方面取り部270および下方面取り部280の各々の高さに実質的に等しい高さを有し得る。この幾何学的形状は、上方面取り部270および下方面取り部280が、レール310とより適切に協働すること、および、重量体200をトラック300上に据付ける際にユーザを支援すること、を可能にし得る。
【0026】
実際には、重量体200は、初めに、上方重量体部分210と下方重量体部分220との間にレール310の厚さよりも広い距離が空けられている緩められた状態に調整することができる。ユーザは、次いで、重量体200をトラック300の開口端内に摺動させて、重量体200をトラック300に沿って所望の位置に摺動させ得る。次いで、ユーザはねじ230を締めることにより、上方重量体部分210および下方重量体部分220がレール310の対向面に当接して圧力を加えるまで上方重量体部分210および下方重量体部分200を互いに向かって移動させ得る。次いで、ユーザはクラブヘッド100の重量バランスを評価して、当該重量バランスを確実にプレーに適したものにし得るかまたは単にプレーを開始し得る。
【0027】
本開示によって企図されたいくつかの実施形態においては、クラブヘッド100は、重量体200の位置を正確に測定および/または調整することを可能にするためにソール130上のトラック300に沿って複数の印を有し得る。これらの印は、定規上の目盛り、提案された設定(すなわち、一連の推奨された設定に基づいている)、またはこれらの何らかの組合せなどの形を取ってもよい。
【0028】
いくつかの実現可能な実施形態が上に開示されているが、本発明の実施形態はそのように限定されるものではない。たとえば、いくつかの実現可能な構成(たとえば、さまざまに配置された複数のトラックを有する実施形態)が開示されているが、発明の実施形態の精神から逸脱することなく、他の好適なトラック構成および重量体が選択されてもよい。加えて、本発明の実施形態のさまざまな特徴に使用される場所および構成は、たとえばゴルフクラブの寸法もしくは構成、ユーザ、またはコスト問題により、若干の変更を必要とする特定のゴルフクラブに応じて変更することができる。このような変更は、発明の範囲内に包含されるよう意図されている。
【0029】
特定の構成、材料の選択、ならびにさまざまな要素の寸法および形状は、発明の原理に従って構成された装置、システムまたは方法を必要とする特定の設計仕様または制約に従って変更することができる。このような変更は、発明の範囲内に包含されるように意図されている。したがって、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、限定的なものではないと考えられる。本発明の範囲は上述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれるように意図されている。
【符号の説明】
【0030】
100 ゴルフクラブヘッド、110 クラウン、120 トゥ、130 ソール、140 ホーゼル、200 重量体、300 トラック。