(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記共振コンデンサに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記二次コイルに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記共振回路に流れる共振電流の位相情報を前記一次コイルから検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記共振コンデンサに流れる共振電流の波形、前記二次コイルに流れる共振電流の波形、または前記一次コイルに流れる共振電流の波形のいずれかの波形と、前記いずれかの波形を反転し積分した波形とを重畳合成して得た波形をもとに共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、前記二次コイルと近接し、又は前記二次コイルをオートトランスとして含み、前記二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルとを備え、前記一次コイルと前記二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルを介して第三のコイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記共振コンデンサに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、前記二次コイルと近接し、又は前記二次コイルはオートトランスであり、前記二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルが前記オートトランスに含まれる関係にあり、前記一次コイルと前記二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記二次コイルに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、前記二次コイルと近接し、又は前記二次コイルはオートトランスであり、前記二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルが前記オートトランスに含まれる関係にあり、前記一次コイルと前記二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記共振回路に流れる共振電流の位相情報を前記一次コイルから検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、前記二次コイルと近接し、又は前記二次コイルはオートトランスであり、前記二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルが前記オートトランスに含まれる関係にあり、前記一次コイルと前記二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、前記一次コイルから前記二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、
前記二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、前記共振コンデンサに流れる共振電流の波形、前記二次コイルに流れる共振電流の波形、または前記一次コイルに流れる共振電流の波形のいずれかの波形と、前記いずれかの波形を反転し積分した波形とを重畳合成して得た波形をもとに共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、
補正された前記位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、
伝達された前記位相情報に基いて、前記一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が前記一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて前記一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、
前記二次コイルの漏れインダクタンスと前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k2で定まる値以上の値に設定することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
【背景技術】
【0002】
近年、磁界共振(磁気共鳴)方式のワイヤレス電力伝送(非接触給電)が提唱されて以来、その応用が急速に広がっている。特に、一次コイルと二次コイルとの間の結合係数kが小さく、しかも、その結合係数kも大幅に変化する場合におけるコイル間の電力伝達に関しては大きな関心が集まっている。
【0003】
図24は、従来の磁界共振方式のワイヤレス電力伝送装置の構成を示すブロック図であり、
図25はその等価回路図を示している。
ワイヤレス電力伝送装置200は、一次側回路(Source Electronics)210と二次側回路(Device Electronics)230とから構成されている。
【0004】
一次側回路210は、交流(AC)電源(AC Mains)211から供給される交流を直流に変換するAC/DC変換回路213と、この直流(DC)を所定の高周波(RF)に変換し、増幅して出力する高周波駆動回路215と、この高周波が駆動電力として供給される一次側共振器(Source Resonator)219と、この一次側共振器219との間でインピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路(Impedance Matching Networks)217とで構成されている。
【0005】
二次側回路230は、二次側共振器(Device Resonator)231とインピーダンス整合回路(IMN)233と高周波(RF)を直流に変換し、整流して出力するRF/DC整流回路(RF/DC Rectifier)235と、整流された直流電力が供給される負荷(Load)237とから構成されている。
一次側共振器219は一次コイルと一次共振コンデンサとで構成され、二次側共振器231は二次コイルと二次共振コンデンサとで構成される。
【0006】
磁界共振方式のワイヤレス電力伝送においては、一次側共振器219と二次側共振器231の共振周波数を合わせ、双方の共振器同士を共鳴させることによって、距離が離れたコイル間であっても高効率な電力伝送が実現されるとされている。
また、磁界共振方式では、インピーダンス整合回路(IMN)217及び233を用いてそれぞれインピーダンス条件を整合させることによりそれぞれの共振器219及び231を制御するとされている。
【0007】
図25に示す等価回路図において、一次側回路210のVg,Rg,Cs,Ls,Rsはそれぞれ、高周波駆動電圧、高周波駆動回路の等価抵抗、共振コンデンサのキャパシタンス、一次コイルの自己インダクタンス、一次コイルの等価抵抗を示し、二次側回路のRL,Cd,Ld,Rdはそれぞれ、負荷の等価抵抗、共振コンデンサのキャパシタンス、二次コイルの自己インダクタンス、二次コイルの等価抵抗を示している。また、Mは一次コイルと二次コイルとの間の相互インダクタンスを示している。
ここで、磁界共振方式においては、
図24に示す一次側共振器219を備えることが必須であり、これが磁界共振方式の最大の特徴となっている。このため、
図25に示すように、一次共振コンデンサCsが必須の構成要素となる。
【0008】
ワイヤレス電力伝送を原理的に考察すると、一次コイルと二次コイルとで構成される漏洩磁束トランスの結合係数kが変化し、かつ負荷も同時に変化するものであるということができる。また、ワイヤレス電力伝送は、それを構成する電子回路に着眼すると変化する磁気パラメータが多く、そのために高効率と安定度、信頼性、などを同時に実現することが非常に困難であるといえる。さらに、近年のEMC(Electro-Magnetic Compatibility)規制下では、雑音電力(雑音電界強度)を減らすためのソフトスイッチング方式であるZVS(Zero Voltage Switching)技術も取り入れる必要性もある。
【0009】
このため電力制御の観点から、駆動回路の構成要素のパラメータの最適値を求めたいと思っても、それぞれのパラメータ値は必ずしも協調せず、トレードオフの関係となり互いに競合することも多いので、各パラメータの最適値の同時実現が著しく困難である。
そこで、従来のワイヤレス電力伝送では、いずれかのパラメータを犠牲にすることにより電力制御を実現している。また、ワイヤレス電力伝送において伝送される電力の大きさに関しては、現在、実用的な値が得られているが、駆動する一次コイルでの発熱が大きいことが問題となっている。この発熱はほとんどが銅損によるものであり、この銅損の克服が課題となっている。
【0010】
ワイヤレス電力伝送においては、一次側と二次側と双方に共振回路を持たせた場合、一次側の共振周波数はコイル間の距離にかかわらず一定であるが、二次側の共振周波数はコイル間の距離が変わり、結合係数が変化した場合に共振周波数も変わる。これを式で表すと、二次コイルのインダクタンスをL2とし、共振コンデンサをCpとし、結合係数をkとすれば、
【0011】
【数1】
となる。
このため、従来の磁界共振方式では、コイル間の距離が予め定められた距離の場合にだけ一次側と二次側との共振周波数が一致し、それ以外のコイル間距離では共振周波数が不一致になる。
【0012】
したがって、一次コイルと二次コイルとが定まった位置関係にある場合には実用上十分な効率が得られるが、コイル間距離が予め決められた一定の距離関係から遠ざかったり、一次コイルと二次コイルの中心軸がずれたりすると、一次コイルからみた力率が急激に悪化する。この場合、電力伝送はできるものの効率が悪く、一層発熱が増加するという問題がある。
【0013】
さらに、一次コイルを駆動するスイッチング素子のZVS動作を確保するためには、一次コイルと二次コイルとの位相関係は特定の範囲内におさまっていなければならず、非常に限られた条件でのみしかZVS動作にはならないという問題もある。
そこで従来のワイヤレス電力伝送では、恒常的にZVS動作を確保するために、負荷の状態を見ながら一定のプログラムに従って駆動周波数を可変するなどの対処を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、従来の磁界共振方式に伴う、上述の種々の課題の一部を解決することを目的とする。
特に、コイル間距離が変化したり、一次コイルと二次コイルの中心軸がずれるなどの条件変化においても、一次コイルの駆動手段側と一次コイルの双方から見た力率を同時に良好な関係に維持し、効率的な電力伝送を実現できるワイヤレス電力伝送装置を提供することを目的とする。
また、効率的な電力伝送を行うのに最適な駆動周波数を自動的に得ることにより、簡易な回路で銅損とスイッチング損失を共に減らしてロバスト性が高く高効率な駆動を行うワイヤレス電力伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、共振コンデンサに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、二次コイルに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0018】
本発明の第3の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、共振回路に流れる共振電流の位相情報を一次コイルから検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0019】
本発明の第4の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、共振コンデンサに流れる共振電流の波形、二次コイルに流れる共振電流の波形、または一次コイルに流れる共振電流の波形のいずれかの波形と、いずれかの波形を反転し積分した波形とを重畳合成して得た波形をもとに共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0020】
本発明の第5の形態では、第1乃至第4のいずれかの形態において、共振電流の波形に含まれる歪みを除去し基本波のみを抽出するフィルタを備えたことを特徴とする。
本発明の第6の形態では、第1乃至第5のいずれかの形態において、駆動回路は一次コイルを駆動するスイッチング手段を含み、スイッチング手段はON−OFFのデューティ比を可変し、位相情報に基づいてスイッチング手段をONにし、一定の時間後にスイッチング手段をOFFにすることにより電力制御を行うことを特徴とする。
本発明の第7の形態では、第1または第4の形態において、共振電流位相検出手段は、共振コンデンサに並列接続された小容量コンデンサに流れる電流から位相情報を検出することを特徴とする。
【0021】
本発明の第8の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、二次コイルと近接し、又は二次コイルをオートトランスとして含み、二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルとを備え、一次コイルと二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルを介して第三のコイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、共振コンデンサに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0022】
本発明の第9の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、二次コイルと近接し、又は二次コイルはオートトランスであり、二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルがオートトランスに含まれる関係にあり、一次コイルと二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、二次コイルに流れる共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0023】
本発明の第10の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、二次コイルと近接し、又は二次コイルはオートトランスであり、二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルがオートトランスに含まれる関係にあり、一次コイルと二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、共振回路に流れる共振電流の位相情報を一次コイルから検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0024】
本発明の第11の形態では、高周波電源に接続された一次コイルと、負荷に接続された二次コイルと、二次コイルと近接し、又は二次コイルはオートトランスであり、二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回された第三のコイルがオートトランスに含まれる関係にあり、一次コイルと二次コイルとを結合係数kで離隔して配置し、一次コイルから二次コイルに非接触で電力を供給するワイヤレス電力伝送装置において、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成し、共振コンデンサに流れる共振電流の波形、二次コイルに流れる共振電流の波形、または一次コイルに流れる共振電流の波形のいずれかの波形と、いずれかの波形を反転し積分した波形とを重畳合成して得た波形をもとに共振電流の位相情報を検出し、検出した位相情報を位相が進むようにデジタル的に処理して補正する共振電流位相検出手段と、補正された位相情報を、高周波キャリアの電磁波を使用して無線伝達する位相情報伝達手段と、伝達された位相情報に基いて、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する駆動回路とを設け、二次コイルの漏れインダクタンスと共振コンデンサのキャパシタンスと二次コイル側の等価負荷抵抗とで決定されるQ値を、Q=2/k
2で定まる値以上の値に設定することを特徴とする。
【0025】
本発明の第12の形態では、第8乃至第11のいずれかの形態において、共振電流の波形に含まれる歪みを除去し基本波のみを抽出するフィルタを備えたことを特徴とする。
本発明の第13の形態では、第8乃至第12のいずれかの形態において、駆動回路は一次コイルを駆動するスイッチング手段を含み、スイッチング手段はON−OFFのデューティ比を可変し、位相情報に基づいてスイッチング手段をONにし、一定の時間後にスイッチング手段をOFFにすることにより電力制御を行うことを特徴とする。
本発明の第14の形態では、第8または第11の形態において、共振電流位相検出手段は、共振コンデンサに並列接続された小容量コンデンサに流れる電流から位相情報を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明では一次コイルには共振回路を設けないほうがよりよい結果が得られる。二次コイルのみに共振コンデンサを結合して共振回路を設けた場合、一次コイルには共振電流が流れないので一次コイルでの発熱が抑制される。可変コンデンサなどの技術を併用するなどして、一次側共振を利用することは任意である。
また、一次コイルの共振周波数に縛られないため、一次コイルの側から見た力率の最も良い周波数を駆動周波数として自動的に選択できるので、ロバスト性が大きく向上する。
さらに、本発明では常にZVS動作が維持されるため、駆動回路としてハーフブリッジの回路構成が採用でき、従来のワイヤレス電力伝送装置に比較して簡易な回路構成で装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るワイヤレス電力伝送装置の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るワイヤレス電力伝送装置100の一実施例の要部の構成を示すブロック図である。
一次側は、一次コイル(Primary coil)110とコンデンサCcを介して接続された駆動回路120から構成されており、駆動回路120は駆動手段(Driving means)122とスイッチング手段(Switching means)124とから構成されている。なおスイッチング手段124はトランジスタ素子Q1〜Q4で構成されるブリッジ回路として構成されている。
【0029】
二次側は、一次コイル110に結合係数kで離隔して配置された二次コイル(Secondary coil)140と、この二次コイル140に結合して共振回路を構成する共振コンデンサ(Cp)150と、この共振コンデンサ(Cp)150に流れる共振電流の位相情報を検出する共振電流位相検出手段(Resonance current phase detection means)160とから構成されている。本発明では、共振電流位相検出手段160により検出された位相情報を位相遅延なく駆動回路120に伝達する位相情報伝達手段170を備えており、駆動回路120はこの位相情報に基いて駆動周波数を定めて一次コイル110を駆動する。位相情報伝達手段170は位相情報送信手段(Phase information Transmitter)172と位相情報受信手段(Phase information Receiver)174とから構成される。
なお、二次側は図示しない負荷に接続される。
【0030】
本発明においては、共振回路は二次コイル140に共振コンデンサ(Cp)150を結合して構成された共振回路のみを本質とし、一次コイル110に直列共振コンデンサは設けなくても十分効率のよい電力伝送ができるというものである。
図1に示されるコンデンサCcは単に直流を遮断する目的で設けられているものであり、共振コンデンサとして設けられているものではない。
より詳細には、本発明に対して改良手段として一次側共振を設けることもできるが、それは本発明においては任意であって本質ではない。
また、スイッチング手段124の駆動タイミングを精密に制御でき、各トランジスタ素子Q1〜Q4に流れる電流のバランスを保つことが出来るのであればコンデンサCcを省略することも出来る。
【0031】
本発明では、二次コイル140と並列または直列に接続される共振コンデンサ(Cp)150とで構成される共振回路に流れる共振電流の位相情報を、共振電流位相検出手段160によって検出し、その位相情報を二次側にある位相情報送信手段172から一次側にある位相情報受信手段174に送り、その位相情報に基いて駆動手段122の駆動タイミングを決定する。
【0032】
本発明では一次側に共振回路を設けない構成となっているため、一次コイル110の巻数は従来の一次側共振回路を必要とする磁界共振方式に比べて巻数が異なる。
なお、位相情報伝達手段170は共振電流位相検出手段160によって検出された位相情報を「位相遅延なく」伝達するものであるが、あらゆる検出手段や伝達手段には必然的に位相遅延が存在するものであるから、ここで「位相遅延なく」とは、位相遅延を可能な限り小さくするという意味であり、目的として一次側駆動手段と二次側とが絶対時間を共有できればよい。
【0033】
次に、
図1のブロック図に示された各構成要素について説明する。
駆動手段122は、位相情報伝達手段170から伝達された位相情報に基いて、一次コイル110に流れる駆動電流の電流位相が一次コイル110に印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するように駆動周波数を定め、スイッチング手段124を駆動する。その詳細な動作については後述する。
スイッチング手段124は2又は4個のトランジスタなどのスイッチング素子(Q1〜Q4)で構成され、直流遮断コンデンサCcを介して一次コイル110を駆動する。
【0034】
図2は、スイッチング手段124の一例を示す回路図で、Aはフルブリッジ回路を、Bはハーフブリッジ回路を示している。本発明では、スイッチング手段124はフルブリッジ回路で構成してもハーフブリッジ回路で構成しても良い。
従来のワイヤレス電力伝送においては、スイッチング手段124側からみた一次コイル110に印加される駆動電圧と一次コイル110に流れる駆動電流の位相関係は駆動周波数によって大きく変化するため、種々の条件の下でZVSを保ち、ハードスイッチングを防ぐことが困難であった。そこで、ハードスイッチングが起こっても異常電圧が発生しにくいという理由でフルブリッジ回路が好んで採用されていた。
【0035】
本発明では、従来であればハードスイッチングが起こって難しいと言われるハーフブリッジ回路を安心して採用することができる。何故なら、本発明においては、種々の条件下でZVSを保つことが可能であるからである。詳細については後述する。もっとも、フルブリッジ回路は電源の利用効率が高いという利点があるだけであって、本発明において必須の条件ではないので、以下ではスイッチング手段124としてフルブリッジ回路を使用した場合を用いて説明する。
【0036】
図3は本発明の共振電流位相検出手段160を含む検出部の構成を示す図である。
二次コイル140には共振コンデンサ(Cp)150と小容量のコンデンサ(Cps)155とが並列接続されている。
共振電流検出手段160は、
図1に示すように直接に共振コンデンサ(Cp)150に流れる電流の位相情報を検出するものであっても良いし、
図3に示すように並列に接続された小容量コンデンサ(Cps)155に流れる電流の位相情報を検出するもの(160a)であっても良い。なぜならば、共振コンデンサ(Cp)150にかかる電圧も、これと並列に接続された小容量コンデンサ(Cps)155にかかる電圧も同一であるから、それぞれのコンデンサに流れる電流の位相情報も同じであるからである。多くの場合、共振コンデンサ(Cp)150に流れる電流は非常に大きいので、この電流を直接検出しようとすると共振電流検出手段160は大容量の部品で構成しなくてはならなくなるが、小容量コンデンサ(Cps)に流れる電流を検出するのであれば、小容量の部品で構成することができる。
【0037】
共振電流位相検出手段160によって検出された共振電流の位相情報は、共振電流位相伝達手段170によって一次側の駆動回路120に伝達される。
共振電流位相伝達手段170の構成は種々のものが考えられるが、LEDとフォトトランジスタを用いた光的な結合であっても良く、位相情報をデジタル化した信号で磁気回路を変調して伝達するようにしても良いし、高周波キャリアの電磁波を使用した無線的手段でも良い。ただし、受光部としてフォトトランジスタを用いた場合は蓄積電荷による遅延が大きく、フォトトランジスタを飽和させて用いる手段は好ましくない。したがって、フォトトランスジスタは非飽和動作が好ましく、さらにミラー効果を抑制するための定電圧的動作がさらに好ましい。またPinフォトダイオードを用いたり、さらにそれを逆バイアスで使用したりして高速動作を図るなどがより好ましい。
【0038】
また、共振電流位相検出手段160は、
図4に示すように二次コイル140に流れる電流を検出するもの(160b)であっても良い。ただし、この場合には、検出される位相情報に負荷に流れる電流の位相成分も含んで合成されている。負荷に流れる電流の位相成分は共振電流位相よりも90°遅延するので、それらのベクトルが合成されて位相情報には若干の位相遅延が生じる。この位相情報に基いて一次コイル110を駆動するとZVS動作でなくなり、ハードスイッチングが生じ易くなる。
ハードスイッチングを生じると、スイッチング手段124の素子(Q1〜Q4)に高周波の寄生振動が発生したりするが、この場合EMI(Electro-Magnetic Interference:電磁妨害)、特に雑音電力/雑音電界強度(輻射)が多くなる。従って対策が必要となるが、これについては後述する。
【0039】
共振電流位相検出手段160は、
図5に示すように一次コイル110に流れる電流を検出するもの(160c)であっても良い。Aは二次コイル140から負荷Rに電力を取り出すタイプ、Bは二次コイルにオートトランスとして第三のコイル190が含まれ、第三のコイル190から負荷Rに電力を取り出すタイプ、Cは二次コイル140に近接し、独立したコイルとして設けた第三のコイル190から負荷Rに電力を取り出すタイプをそれぞれ示している。なお、二次側に第三のコイル190を設けたB、Cのタイプについての詳細は後述する。これらの場合は多くの場合でハードスイッチングが生じるので、別途、位相の補正が必要となるが、これについては後述する。
また、共振電流位相情報の遅延の原因として検出された共振電流に歪みが生じている場合がある。このような歪みは共振電流位相情報を狂わせ、一次コイル110の駆動タイミングが不正確となり、共振周波数のピークを正しく検出出来ない結果となる。
【0040】
図6は共振電流に三次高周波が含まれている場合の例で、この歪みによって位相情報が狂うことを説明する説明図である。このような場合には、適切なフィルタ手段により基本成分のみを取り出して共振電流位相情報とすることにより、位相情報の精度を上げることができる。またフィルタを使用せず、共振電流をデジタル的に級数展開して基本波の位相情報のみを用いることも出来る。
【0041】
図7は、共振電流位相検出手段160に基本波のみを抽出するフィルタ(Fundamental waveform filter)165を設けて共振電流位相波形から高調波歪みを除去することを示す概念図である。
【0042】
次に、本発明で重要となる二次側共振回路のQ値の設定について説明する。
ワイヤレス電力伝送は、一般のリーケージトランスによる給電とは大きく異なる。リーケージトランスによる給電の場合、一次コイルと二次コイルとの間の結合係数(k)はあらゆる駆動条件においてほぼ一定であるのに対し、ワイヤレス電力伝送においては結合係数(k)が大きく変化する。従来のリーケージトランスによる給電においては、二次側共振回路のQ値はそれほど高くする必要はない。
一方、ワイヤレス電力伝送の場合は結合係数(k)が変化するので、結合係数(k)が小さい場合には高いQ値が必要になる。
【0043】
Q値が低い場合、使用される条件が大きく変化した場合において、一次コイルの力率を良好に維持することが難しくなるし、Q値が高く過ぎるとやはり使用される条件が大きく変化した場合に、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するよう駆動周波数を定めて一次コイルを駆動する条件(即ちZVS動作条件)を満たすことが困難となるからである。
【0044】
本発明においてはロバスト性を高めようとした場合には高いQ値が必要になる。しかし、高いQ値になればなるほど半値幅が非常に狭くなり、わずかな周波数の狂いが問題となる。したがって、共振電流位相情報の伝送手段中での位相遅延(または時間的遅延)を極力小さくしなくてはならない。共振電流位相情報の伝達手段中での遅延が生ずると、以下のようなことが起こる。
【0045】
図8は、共振電流位相情報に位相遅延が生じた場合の各種波形の変化を示す概念図である。
aは共振回路の共振電流の波形、bは共振電流位相検出手段160によって検出された位相情報の波形、cは位相情報受信手段174から出力される位相情報の波形、dは一次コイル11を流れる電流の電流波形である。位相情報受信手段174から出力される波形cは、波形bより遅延しており、ほとんどそのままスイッチング手段124の駆動波形となる。
【0046】
図9は、共振電流位相情報の位相遅延が小さい場合にZVS動作が行なわれている場合のスイッチング手段124に流れる電流の波形を示す図である。
位相情報受信手段174の波形に遅延がない場合、または極めて小さい場合(c)には、スイッチング手段124のスイッチングタイミングと比較して、一次コイル110に流れる電流のタイミングが少しだけ早くなるので(d)、スイッチング手段124のスイッチング素子Q1,Q2の電流波形(e,f)はZVS動作となる。この場合、スイッチング手段124のセンタータップ電圧はきれいな方形波となる(g)。
【0047】
これに対し、
図10は共振電流位相情報の位相遅延が大きい場合にZVS動作が行なわれていない場合のスイッチング手段124に流れる電流の波形を示す図である。
スイッチング手段124のスイッチングタイミングと比較して、一次コイル110に流れる電流のタイミングが遅くなるので(d)、スイッチング素子Q1,Q2の電流波形(e,f)はZVS動作とならず、スイッチング手段124のセンタータップ電圧にはリバウンドによる特有のパルス波形が生じる(g)。このリバウンド波形が生じるとスイッチング素子Q1,Q2や駆動手段122を破壊したり、またEMIの発生の原因になったりもする。
以上のことから、本発明においては位相情報伝達手段170における位相遅延は極力小さくしなければならない。位相遅延が避けられない場合は、次のような位相補正手段を用いる。
【0048】
図11は、共振電流位相情報の位相を補正する回路の一例を示す図である。
共振電流位相検出手段160内に共振電流波形検出回路162と検出された共振電流の波形を反転して積分または積分して反転する反転積分回路164と共振電流波形検出回路162からの出力と反転積分回路164からの出力を重畳合成する加算回路166とを設ける。反転し積分した波形は元の共振電流の波形よりも位相が90度進む。これによって、元の共振電流の波形と、これを反転し積分した波形とを適宜の割合で重畳合成して得た波形をもとに共振電流の位相情報を検出することで位相が進む方向に補正された共振電流位相情報を得ることができる。そして、これを位相情報送信手段172を介して位相情報受信手段174に送る。
【0049】
図12A、Bは上述した位相情報の補正を説明する図である。
aは元の共振電流波形情報であり、bはこれを反転積分したものである。cはaとbとを重畳合成した合成波形である。これにより位相が進む方向に補正された位相情報dは元の共振電流波形情報aを遅延なく伝達する波形となっている。
なお反転積分回路164は演算増幅器(オペアンプ)を用いて構成することも出来、トランスを用いて反転したあとにコンデンサ(C)と抵抗(R)とを用いて積分するように構成することも出来る。
【0050】
図13は位相補正を行う場合の共振電流位相検出手段160aの具体的な回路図を示す図である。
共振電流波形情報aはバッファアンプを介して反転積分回路164により反転積分され、合成回路166によって合成されることにより位相が進み、補正が行われた波形cが得られる(
図12A参照)。
図14は共振電流位相検出手段160bの他の具体的な回路図を示す図で、共振コンデンサCp150の両端電圧が共振電流波形に対して積分波形となっていることに着目し、これを適宜分圧して反転して位相補正を行うようにしたものである。
共振電流波形情報aは反転した共振コンデンサ電圧と合成回路166によって合成されることにより位相が進み、補正が行われた波形cが得られる(
図12B参照)。
【0051】
図15は共振電流位相検出手段160cのさらに他の具体的な回路図を示す図である。この例では、一次コイル110から電流トランス167を介して検出される共振電流波形とその反転積分波形とを合成して位相補正を行うようにしている。一次側で検出される共振電流位相波形はaであり、反転積分された共振電流位相波形はbであり、これらが合成されることにより補正が行われた波形cが得られる。
なお、反転せずに積分ではなく微分波形を使うことも出来、これは本発明における適宜な設計事項として反転積分の意味に含まれる。しかし、微分波形には多くの場合、高調波成分が強調されて重畳されるので積分波形を使用した場合に比べて好ましいとは言えない。また位相の補正手段はさらに、160a、160b、160cのそれぞれの共振電流位相波形aとその反転積分波形bを適宜別個に組み合わせてもよいし、電流検出手段160a、160bのそれぞれの回路を入れ替えてもよい。
上記では共振電流波形情報や共振電流位相情報をアナログ的に扱う場合を説明したが、本発明における位相の伝達手段とは一次側駆動手段と二次側とが絶対時間を共有することが目的であって、本発明における位相補正手段とは、共振電流位相情報を含む波形をもとに結果として位相が進んだ補正波形が得られればよいわけである。
また、何らかの手段で絶対時間の共有が得られれば、その絶対時間との差から補正された位相情報を得て補正された位相波形を得ることもできる。即ち、これらの知見を基礎にしてデジタル的に処理することが可能であることは言うまでもない。
【0052】
次に本発明で重要となる二次側に構成される共振回路のQ値の設定について説明する。
前述のように、ワイヤレス電力伝送の場合には、結合係数(k)が変化するので、結合係数(k)が低い場合には共振回路に特に大きなQ値が必要になる。Q値が低い場合、使用される条件が大きく変化した場合、一次コイルに流れる駆動電流の電流位相が一次コイルに印加される駆動電圧の電圧位相よりわずかに遅延するような条件を満たして一次コイルを駆動することが困難となる。
【0053】
これを解決するためには、駆動周波数は固定(いわゆる固定周波数方式または他励方式とも言われる)は好ましくなく、二次側の共振回路の共振コンデンサに流れる共振電流、二次コイルに流れる共振電流、又は一次コイルに反映された共振電流の位相情報に基いて駆動回路を制御することが必須となってくる。その結果、駆動周波数は可変とせざるを得ない。磁界共振方式のワイヤレス電力伝送において、負荷の抵抗成分に応じて駆動周波数を変化させることは特許文献1に記載されている。
【0054】
特許文献1に記載されている発明では、負荷抵抗の検出を行うことにより予めプログラムされた予測情報または計算、および可飽和インダクタにより最適な駆動周波数を得て駆動手段を駆動している。しかし、この方法では一次コイルを駆動する駆動回路のスイッチング手段から見た力率が1に近づくだけであって一次コイルから見た力率が1に近づくわけではないので、スイッチング手段の発熱は抑制されるものの一次コイルの側から見た力率は非常に悪く、一次コイルが発熱する原因となる。
【0055】
本発明では、一次コイル側の共振回路を排除し、一次コイルから見た力率を1に近づけるための条件を導き出すために、二次コイル側の共振回路のQ値の設定を通常よりも高く設定する。
【0056】
図16は二次コイルに結合された共振コンデンサの電流位相と一次コイルの電流位相との関係を説明する図であり、結合係数(k)を変化させた場合に必要なQ値をシミュレーションで求めたものである。
aは一次コイルの電流位相で、縦軸は位相角、横軸は駆動周波数である。bは二次側共振コンデンサの電流位相で縦軸は位相角、横軸は駆動周波数である。cは伝達比であり、縦軸は伝達比、横軸は駆動周波数である。伝達比はこれに一次コイルの巻数と二次コイルの巻数との比を掛ければ概ね昇圧比となる。
【0057】
結合係数(k)が0.5の場合、Q値を8以上とすることにより、一次コイルに流れる電流位相が、一次コイルを駆動する駆動回路の駆動電圧の位相よりわずかに遅延するという条件を満たすことがわかる。
図16の例では結合係数(k)が0.5の場合、伝達比が最も高くなる周波数は85kHzである。この周波数において一次コイルに流れる電流の遅延角Δθは25deg.以下であり、cosθ、即ち力率は0.9以上となるので85kHzが最適な駆動周波数ということができる。
【0058】
この最適な駆動周波数において、二次側の共振コンデンサを流れる共振電流位相は0deg.になっている。つまりこの共振電流位相情報を位相遅延なく位相情報伝達手段を通じて駆動回路に伝達して、駆動回路を駆動すれば自動的に最適な駆動周波数でスイッチング手段を駆動することができる。また、このスイッチング条件はZVS動作でもあるため、スイッチング手段をハーフブリッジ構成にしても安定したZVS動作が可能となる。
【0059】
このように本発明では、共振電流の位相情報に基いて決定される駆動周波数において駆動回路が駆動され自動的にZVS動作となる。ただしワイヤレス電力伝送においては高いQ値が必要とされるため、わずかでも位相遅延(又は時間遅延)があるとZVS動作とならないため位相補正が必要となる。
【0060】
次に目標とするQ値の設定について説明する。
共振回路のQ値は二次コイルの漏れインダクタンス(短絡インダクタンス)(L)、共振コンデンサのキャパシタンス(C)、及び二次コイル側の等価負荷抵抗(R)によって次のように定まる。
【0062】
本発明においては二次コイルと共振コンデンサの接続に、直列接続、並列接続のいずれも利用することができるが、以下並列接続の例で説明する。なぜならば、本発明の一つである、二次コイルに並列に共振コンデンサを設ける共振は、駆動側から見た場合に直列共振、負荷側から見た場合に並列共振となる変形された共振回路だからである。これはSerial Parallel-Loaded Resonanceとかその他の様々な名称で呼ばれる。この場合のQの計算式は並列共振が適用される。つまり、Q値を所定の高い値に設定するためには等価負荷抵抗Rに較べて共振コンデンサのキャパシタンスCを大きく、二次コイルの漏れインダクタンス(短絡インダクタンス)Lを小さくする。
なお、本発明における漏れインダクタンス(短絡インダクタンス)Lscの定義は以下の式で確定する。
【0064】
ここでL2は二次コイルのインダクタンスである。
漏れインダクタンスに関しては各国の工業会、または学会により、
【0066】
で定めるLeを漏れインダクタンスとしている場合もあり様々であって、統一されていない。
なお本発明において二次コイルと共振コンデンサとを結合して二次側に構成される共振回路は、二次コイルに対して共振コンデンサが並列、又は直列に接続されて構成されるもののいずれかを含むものである。なお、第三のコイルから負荷に接続する電力を取り出す構成については後述する。
【0067】
本発明では、目標とする二次側の共振回路のQ値を、kを結合係数としてQ=2/k2を満たす値以上の値に設定する。
図17は一次コイルから見て力率を得るために必要な最小限必要なQ値をシミュレーションによって求めた図である。横軸は駆動周波数である。縦軸に、aは一次コイルのスイッチング電圧に対する一次コイルの電流位相、bは二次側の共振コンデンサの共振電流位相、cは伝達比(伝達係数)をそれぞれ示している。
【0068】
図18は、一次コイルから見て力率1を得るために最小限必要なQ値が結合係数kの低下とともにk2・Q=2の関係に漸近していくことを説明する図である。
図18から明らかなように、k2・Qの値はkが小さくなると次第に2に漸近し、2を超えることはない。これは、ワイヤレス電力伝送において、一次コイルと二次コイルとの距離が離れ、結合係数kが十分に小さい場合には、一次コイルから見て力率1を得るための二次側の共振回路のQ値は、
【0070】
に従うということになる。
ここで、二次側の共振回路に流れる共振電流の位相情報を一次コイルから検出する動作を考えた場合、一次コイルの電流位相曲線は必ず0deg.の横軸を横切らなければならず、その場合に、駆動周波数が増加するとともに位相はプラス、即ち容量性からマイナス、即ち誘導性になるように横切らなければならない。
【0071】
そこで最低限のQ値を[数式1]を上回るQ値とした場合には、一次コイルの電流位相曲線は必ず0deg.の横軸を横切るということになる。これを説明したのが
図19である。
図19において、a,b,cはそれぞれ
図17に対応している。
図19において結合係数k=0.7の場合、一次コイルの電流位相曲線はaに示すように、駆動周波数が増加するとともにプラス、即ち容量性からマイナス、即ち誘導性になるように0deg.の横軸を横切っている。
【0072】
なお上述の説明はk=0.7の場合であったが、kが他の値であっても同様である。ここで力率を丁度1にした場合には、一次コイルの電流位相がわずかに早くなるだけでハードスイッチングが起きるので、通常の動作点は少し誘導性、即ち一次コイルの電流位相が少し遅れた点を動作点とする。これはZVS動作条件として知られている。
この場合、位相の遅延角は0deg.〜−30deg.の範囲であれば力率は十分に良く、効率は非常に良好であると言える。なお、共振コンデンサに流れる共振電流からの位相情報を用いる場合には、この位相情報に位相遅延または時間遅延がなければ、この位相情報に従って一次側のスイッチング手段を駆動すれば結合係数の小さい場合にも高いQ値の状態で自動的にZVSの動作点において動作する。
【0073】
次に本発明における電力制御について説明する。
一般に電力制御はスイッチング手段のデューティ比を50%より小さくなるよう可変して行なわれる。
図20は本発明による電力制御の一例を説明する図である。aは共振電流の位相情報、bは一次コイルの電流波形、c,dはスイッチング手段(Q2,Q1)をFETやIGBTなどにした場合のゲート制御電圧を示している。
【0074】
本発明での電力制御は、共振電流の位相情報に基いて、一次コイルを駆動する駆動回路のスイッチング手段をONにし、一定の時間後にOFFにすることで行なわれる。この場合、一般的に心配されるのがハードスイッチングであるが、本発明では一次コイルの電流位相がスイッチング位相よりも既に遅れている(b参照)のであるから、デューティ制御を行った場合の電流位相はON位相よりもさらに遅れる(c,d参照)ことになるのでハードスイッチングは起きない。その際、(Q2,Q1)が同時にONにならないように若干のデッドタイム(Dead time)を必要とすることは一般的に行われるものなので、この説明では省略してある。
【0075】
図21は本発明による電力制御の他の例を説明する図である。この電力制御では、デューティを制御する側をスイッチング手段の一方または同時にONになる一方の対のみとし、他方または他方の対は反転信号によって制御するようにする。その際、反転信号によって制御される側にはやはり若干のデッドタイム(Dead time)を必要とする(d参照)。
このような制御方法は不均等ハーフブリッジまたは不均等フルブリッジ制御と言われている。この制御方法では二次コイルに偶数次の高調波電圧が発生し易いが、本発明ではQ値を非常に高く設定するので、二次コイルの電圧はほぼ正弦波に近くなるため問題はない。
【0076】
図22は本発明の電力制御を行った場合の一次コイルの電流位相との関係を説明する図である。
本発明の制御方法では制御した場合の駆動周波数も上がり、
図22からも明らかなように周波数が上がると共振電流の位相情報の位相よりも駆動電圧のON位相の方がさらに遅れることが分かる。また力率は低下するが、同時に伝達比も低くなるので制御可能な電力の範囲は非常に広くなる。
【0077】
以上説明したワイヤレス電力伝送装置においては、二次コイルに共振コンデンサを結合して共振回路を構成しているが、電磁誘導方式を用いる例えばQi規格においては本発明におけるような二次側の共振回路を必須とはしていない。そこでQi規格との互換性を採りつつ、本発明を適用するために
図5Cのように二次コイルに並置して第三のコイルを設け、この第三のコイルから負荷に接続する電力を取り出す場合について説明する。
【0078】
図23はQi規格との互換性を保ちつつ効率改善を行うことの出来る回路の一例を示す図である。第三のコイル190は
図5Cのように二次コイル140に近接し、独立したコイルとして設けても良いが、
図23や
図5Bに示すように二次コイル140中にオートトランスとして第三のコイルが含まれ、二次コイル140に誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回して第三のコイル190としても良い。
【0079】
二次コイル140には共振コンデンサ(Cp)150が結合され、Qi互換規格の際には、スイッチ181によりOFFとされ、効率改善を行う場合にはONされてCpが共振コンデンサ150として動作する。それと同時に二次コイル140側のスイッチ183がOFFとなりスイッチ185がONとなる。スイッチ183とスイッチ185には二次側GNDとの間に図示されない負荷が接続される。スイッチ181がONになると共振回路のQ値が高くなる。
【0080】
そのように動作させると、一次コイル110には力率の良い周波数が生ずるので、一次側に設けた共振電流位相検出手段160cで検出される共振電流波形とその反転積分波形とを合成して位相補正を行い、その共振電流位相情報に基いて高周波電源の駆動回路を駆動すれば良い。なお、
図23の回路図ではスイッチ181,183,185はダイオードを介してFETまたはトランジスタを使用しているが、スイッチ動作可能な素子であればこれに限定されず何でも使用可能である。
【0081】
図5C、または、
図5B、
図23のように第三のコイルを二次コイルに誘起される電圧に対して降圧する関係に巻回しておくと、第三のコイルに接続された負荷抵抗は降圧比の自乗に反比例してインピーダンス変換され、二次コイルには仮想的に高い値の等価負荷抵抗が接続されたことになるため、この比に従って共振回路のQ値が高く設定できる。そしてこの降圧比の設定によって、所望のQ=2/k2で定まる値以上のQ値に設定することも容易になる。
またさらに、共振電流は巻数に反比例するので、共振電流による銅損が電流の自乗に比例して少なくなって発熱を減らすことができ、効率が向上する。