(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信制御部は、前記通信端末が停止中であると前記移動検出部が判定した場合、前記デバイスデータが、送信頻度が所定の閾値よりも大きい前記所定属性を有するときは、前記消去モードを実行する、
請求項1に記載の通信端末。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[通信システムSの構成]
図1は、実施の形態に係る通信システムSの構成を示す図である。通信システムSは、複数の通信デバイス1(
図1においては通信デバイス1a,1b,1cを例示)と、通信端末2と、データ管理装置3と、データ取得装置4(
図1においてはデータ取得装置4a,4b,4cを例示)とを有する。通信端末2は、通信網N1及び中継網N2を介して、複数の通信デバイス1から受信したデバイスデータをデータ管理装置3に送信することができる。
【0015】
通信網N1は、携帯電話網であり、複数の基地局5(
図1においては基地局5a,5b,5c)を備える。複数の基地局5のそれぞれは、例えばLTE(Long Term Evolution)におけるeNodeBである。複数の基地局5のそれぞれは、複数の通信端末2との間で無線通信回線により接続されている。通信端末2は、基地局5から提供される無線通信回線を利用して、通信デバイス1から受信したデバイスデータをデータ管理装置3に送信することができる。
【0016】
中継網N2は、LTEのPGW(Packet Data Network Gateway)又はMME(Mobility Management Entity)等のEPC(Evolved Packet Core)を含むネットワークである。中継網N2には、複数の基地局5が接続される。中継網N2は、例えばインターネットを介してデータ管理装置3と接続されている。
【0017】
通信デバイス1は、例えばセンサーを有しており、センサーの出力信号に基づくデバイスデータを通信端末2に送信する。通信デバイス1は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等のように比較的近距離での通信に適した無線通信チャネルにより通信端末2との間でデータを送受信する。
【0018】
通信デバイス1は、自動車、列車、航空機等のように移動が可能な設備に設置されており、設置された場所において収集できる各種の情報を含むデバイスデータを、通信端末2を経由して、データ管理装置3に送信する。通信デバイス1が、例えば自動車に設置されている場合、通信デバイス1は、ガソリンの残量、バッテリーの残量、走行距離、各部の温度等に関する情報を収集し、収集した情報を含むデバイスデータを通信端末2に送信する。
【0019】
通信デバイス1が送信するデバイスデータの容量は、スマートフォンやタブレット等の通信端末において送受信される音声や画像のデータの容量に比べて小さく、1つのデバイスデータの長さは、例えば100バイト以下である。通信デバイス1が送信するデバイスデータには、通信デバイス1ごとに割り当てられた識別情報であるデバイスIDと、収集した情報を含むデータとが含まれている。
【0020】
通信端末2は、複数の通信デバイス1から複数のデバイスデータを受信する。通信端末2は、受信したデバイスデータを一時的に蓄積し、蓄積したデバイスデータを通信網N1に送出することにより、デバイスデータをデータ管理装置3に転送する。通信端末2は、複数の通信デバイス1が設置された設備と同じ設備に搭載されており、本実施の形態においては、自動車に搭載されているものとする。通信端末2は、移動中であるか否かによって、一時的に蓄積したデバイスデータを送信するタイミングを決定する。
【0021】
詳細については後述するが、通信端末2は、移動中である場合には、デバイスデータを受信してから第1の時間が経過した時点でデバイスデータを送信し、停止中の場合には、デバイスデータを受信してから第1の時間よりも長い第2の時間が経過した時点でデバイスデータを送信したり、デバイスデータを送信しないで消去したりする。このようにすることで、通信端末2は、自身が搭載された自動車が停止している間に、同じ基地局5を使用する他の通信端末2と同時にデバイスデータを送信する確率を下げることができる。
【0022】
データ管理装置3は、例えば、通信網N1を用いたサービスを提供する通信キャリアが管理するサーバである。データ管理装置3は、通信網N1及び中継網N2を介して、通信端末2から受信したデバイスデータをデータ取得装置4に提供する。
【0023】
データ管理装置3は、通信端末2及び通信網N1を介して、複数の通信デバイス1から送信されるデバイスデータを収集する。データ管理装置3は、受信したデバイスデータをハードディスク等の記憶媒体に蓄積し、データ取得装置4(4a,4b,4c)からの要求に応じて、デバイスデータ自体、又はデバイスデータに基づいて生成した情報をデータ取得装置4に送信する。
【0024】
データ取得装置4は、データ管理装置3にアクセス可能なコンピュータである。データ取得装置4は、例えば、通信デバイス1からデータ管理装置3に送信されたデバイスデータにアクセスするデータ取得者が使用するPC(Personal Computer)であり、データ取得者は、自身のPCにおいて、通信デバイス1が送信したデバイスデータの内容を閲覧することができる。
【0025】
ここで、通信デバイス1が自動販売機に設置されている場合、データ取得者は、例えば自動販売機の管理会社、自動販売機の商品を製造する飲料メーカー、マーケティング情報を提供する会社等である。データ取得者は、データ管理装置3を管理する通信キャリアとの間で、所望の通信デバイス1の所望のアプリケーションが出力するデバイスデータを取得するための契約を締結している。データ管理装置3は、各データ取得者の取得者IDと、各データ取得者が選択した一以上の通信デバイス1のデバイスIDと、各データ取得者が選択した一以上のアプリケーションのアプリIDとを関連付けて記憶している。
【0026】
図2は、通信システムSにおけるデータの流れを模式的に示す図である。一つの通信デバイス1は、複数の種類の情報に対応する複数のアプリケーションを実行することができる。
図2に示す通信デバイス1は自動車に搭載されており、燃料管理アプリ11、電池管理アプリ12、走行管理アプリ13及び異常監視アプリ14を実行することができる。
【0027】
燃料管理アプリ11は、ガソリンの残量及び燃費に関する情報のような燃料に関する情報を送信することができる。電池管理アプリ12は、電池の残量及び電流消費量のような電池に関する情報を送信することができる。走行管理アプリ13は、走行距離及び走行速度等のような走行に関する情報を送信することができる。異常監視アプリ14は、車両内の各部の温度の異常等の異常の有無を示す情報を送信することができる。
【0028】
各アプリケーションが送信する情報は、データ管理装置3によって、予め登録されたデータ取得装置4に割り振られる。
図2に示す例の場合、燃料管理アプリ11が出力する情報は、通信端末2の位置から所定の範囲にあるガソリンスタンドのデータ取得装置4aに送信される。電池管理アプリ12が出力する情報は、車両用のバッテリーを販売しているガソリンスタンドのデータ取得装置4aや、車両を管理している会社等のデータ取得装置4bに送信される。走行管理アプリ13が出力する情報は、データ取得装置4b、及び車両の製造者のデータ取得装置4cに送信される。異常監視アプリ14が出力する情報は、データ取得装置4cに送信される。
【0029】
[通信端末2の構成]
続いて、通信端末2の構成及び動作について説明する。
図3は、通信端末2の構成を示す図である。通信端末2は、デバイス通信部21と、ネットワーク通信部22と、センサー23と、記憶部24と、制御部25とを有する。制御部25は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより、移動検出部251及び通信制御部252として機能する。
【0030】
デバイス通信部21は、通信デバイス1が送信したデバイスデータを受信するための無線通信インターフェースである。
ネットワーク通信部22は、通信デバイス1から受信したデータを通信網N1に送信するための無線通信インターフェースである。ネットワーク通信部22は、例えばLTE規格に則って、通信網N1の基地局5との間でデータを送受信することができる。
【0031】
センサー23は、例えば加速度センサーであり、通信端末2が移動中であるか停止中であるかを検出するための加速度を示す検出信号を出力する。センサー23は、検出信号を移動検出部251に通知する。
【0032】
記憶部24は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部24は、通信制御部252の制御に基づいて、通信デバイス1から受信したデバイスデータを、通信デバイス1のデバイスID及び通信デバイス1から受信した日時に関連付けて記憶する。
【0033】
移動検出部251は、センサー23から通知された検出信号に基づいて、通信端末2が移動中であるか否かを検出する。移動検出部251は、通信端末2が移動中であるか停止中であるかを示す移動情報を生成し、移動情報を通信制御部252に通知する。移動検出部251は、例えば、通信端末2の移動速度が時速10km以上である場合に移動中であると判定し、移動速度が時速10km未満である場合に停止中であると判定する。
【0034】
通信制御部252は、デバイス通信部21が受信したデバイスデータを一時的に記憶部24に蓄積させる。そして、通信制御部252は、移動検出部251から通知された移動情報に基づいて、通信端末2の移動状態に適したタイミングで、記憶部24に蓄積させたデバイスデータを、ネットワーク通信部22を介してデータ管理装置3に送信する。
【0035】
通信制御部252は、通信端末2が移動中であると移動検出部251が判定した場合に、通信デバイス1が送信したデバイスデータを受信してから第1時間が経過した後にデバイスデータを送信する。通信制御部252は、通信端末2が停止中であると移動検出部251が判定した場合に、デバイスデータを受信してから第1時間よりも長い第2時間が経過した後にデバイスデータを送信する遅延モードを実行する。第2時間は、例えば、通信端末2が移動を再開するまでの時間である。第1時間及び第2時間は、予め記憶部24に記憶されていてもよく、通信制御部252がデータ管理装置3から受信してもよい。このように、通信制御部252が、通信端末2の停止中に、移動中と異なるタイミングでデバイスデータを送信することで、通信端末2が搭載された自動車が信号待ちで停止していたり、渋滞で低速運転をしていたりして、周辺に多数の通信端末2が存在する可能性が高い場合に、多数の通信端末2が同時にデータを送信してしまうことを未然に防ぐことができる。
【0036】
通信制御部252は、通信端末2が停止中である場合、遅延モードの代わりに、デバイスデータの送信を中止する消去モードを実行してもよい。通信制御部252は、消去モードを実行する場合、例えば、通信端末2が停止中の状態になってから所定の時間が経過した時点で消去モードを実行する。
【0037】
通信制御部252は、通信端末2が停止中であると移動検出部251が判定した場合、デバイスデータが第1属性を有するときは、遅延モードを実行し、デバイスデータが第1属性と異なる第2属性を有するときは、消去モードを実行してもよい。第1属性のデバイスデータは、例えば、定常的に発生しないデータ、又は全てのデバイスデータを送信する必要があるデータであり、異常を示すデータが該当する。第2属性のデバイスデータは、例えば、定常的に発生するデータであり、燃料や電池の残量を示すデータが該当する。
【0038】
例えば、通信制御部252は、通信端末2が停止中であると移動検出部251が判定した場合、デバイスデータが、送信することが不可欠な第1属性を有するデータであるときは、遅延モードを実行し、デバイスデータが、送信することが不可欠ではない第2属性を有するデータであるときは、消去モードを実行する。通信制御部252は、デバイスデータが、送信頻度が所定の閾値以下の第1属性を有するときは、遅延モードを実行し、デバイスデータが、送信頻度が所定の閾値よりも大きい第2属性を有するときは、消去モードを実行してもよい。このように、通信制御部252が、デバイスデータの属性に基づいて、デバイスデータを消去するか否かを判定することで、消去することが望ましくないデバイスデータを消去することなく、通信端末2が停止している状態でのデータ送信量を低減させることができる。
【0039】
通信制御部252は、通信網N1を介して通信端末2を管理するデータ管理装置3から指示を受けたことを条件として、遅延モード又は消去モードを実行してもよい。例えば、移動検出部251が、通信端末2が移動中であると判定した場合であっても、一つの基地局5のセクタ内に多数の通信端末2が存在している場合には輻輳が発生する可能性がある。そこで、データ管理装置3は、輻輳が発生する可能性がある場合に、通信端末2に遅延モード又は消去モードで動作するように指示し、通信制御部252は、指示に従って遅延モード又は消去モードで動作する。逆にデータ管理装置3は、輻輳が発生する可能性がない場合には、通信端末2に遅延モード又は消去モードで動作しないように指示し、通信制御部252は、通信端末2の停止中にも移動中と同じように動作する。
【0040】
ところで、通信端末2が移動することによって所属するセクタが切り替わると、無線通信回線の混雑度が変化する。そこで、通信制御部252は、通信網N1において通信端末2が属するセクタが切り替わった場合に、通信端末2が移動中であると移動検出部251が判定したときと、通信端末2が停止中であると移動検出部251が判定したときとで処理を切り替えるか否かを決定してもよい。
【0041】
例えば、通信制御部252は、セクタが切り替わった時点でデータ管理装置3に、切り替わった後のセクタの混雑度を問い合わせる。通信制御部252は、切り替わった後のセクタの混雑度が所定の閾値以上である場合に、通信端末2が移動中である場合と停止中である場合とで処理を切り替え、混雑度が所定の閾値未満である場合には、移動中と停止中とで処理を切り替えないようにする。このようにすることで、通信端末2が混雑していないセクタにいる場合に、デバイスデータをできるだけ早くデータ管理装置3に送信し、通信端末2が混雑しているセクタにいる場合に、輻輳が発生することを未然に防止できる。
【0042】
通信制御部252は、通信端末2が属する通信網N1のセクタを特定するための情報(例えば、基地局5の識別情報)を含む位置情報をデータ管理装置3に送信してもよい。この際、セクタが頻繁に切り替わる状況でないことをデータ管理装置3が確認できるように、通信端末2の移動方向に関する情報を送信してもよい。
【0043】
なお、通信制御部252は、セクタが切り替わってから所定の時間が経過した後に、データ管理装置3に位置情報を送信してもよい。また、通信制御部252は、セクタが切り替わった後に、所定の期間にわたって一定の方向に移動していることを条件として位置情報を送信してもよい。このようにすることで、通信端末2が、セクタが頻繁に切り替わるような位置にいる場合に、通信制御部252が、混雑度を問い合わせるためのデータを頻繁に送信してしまうことを防止できる。
【0044】
データ管理装置3は、受信した情報に基づいて、通信端末2がデバイスデータを送信するタイミングを決定し、決定したタイミングを示すタイミング情報を通信端末2に送信する。そして、通信制御部252は、通信端末2が属する通信網N1のセクタが切り替わった場合に、データ管理装置3から受信した、セクタの切り替え後に使用するためのタイミング情報が示すタイミングでデバイスデータを送信する。このようにすることで、データ管理装置3が、通信端末2が移動する予定の位置を正確に把握することができるので、通信端末2の移動予定に適した送信タイミングを決定することができる。
【0045】
通信制御部252は、通信網N1の混雑度を管理するデータ管理装置3に対して通信端末2の現在位置及び移動する向きを含む位置情報を送信し、データ管理装置3から、位置情報に基づいて特定される、通信端末2の移動先における無線通信回線の混雑度を示す情報を取得してもよい。そして、通信制御部252は、通信端末2が停止中であると移動検出部251が判定した場合、データ管理装置3から受信した、混雑度を示す情報に基づいて、遅延モードを実行するか消去モードを実行するかを決定してもよい。
【0046】
例えば、通信制御部252は、混雑度が閾値未満である場合、遅延させた後にデバイスデータを送信しても輻輳が発生する可能性が低いと判定し、遅延モードを実行する。通信制御部252は、混雑度が閾値以上である場合、遅延させた後にデバイスデータを送信すると輻輳が発生する可能性があると判定し、消去可能なデータを消去して送信するデータ量を減らすために消去モードを実行する。このようにすることで、通信端末2が搭載された自動車の移動先における無線通信回線の混雑度を考慮した制御ができるので、輻輳の発生を効果的に防ぐことができる。
【0047】
通信制御部252は、データ管理装置3に対して通信端末2の現在位置及び移動する向きを含む位置情報を送信し、データ管理装置3から、デバイスデータを送信するタイミングに関する指示を含むタイミング情報を取得してもよい。そして、通信制御部252は、通信端末2が停止中であると移動検出部251が判定した場合、位置情報を送信したことに応じてデータ管理装置3から送信されたタイミング情報が示すタイミングでデバイスデータを送信してもよい。このようにすることで、データ管理装置3は、多数の通信端末2の移動予定位置を用いて将来の混雑度を推定した結果に基づいて、輻輳が発生しないように、各通信端末2がデバイスデータを送信するタイミングを制御することができる。
【0048】
この場合、通信制御部252は、送信する予定のデバイスデータの属性、又はデバイスデータを出力するアプリケーションの識別情報をデータ管理装置3に送信してもよい。通信制御部252は、例えばデバイスデータのリアルタイム性の有無をデータ管理装置3に送信することで、データ管理装置3は、リアルタイム性を有するデバイスデータの送信が予定されている通信端末2の送信タイミングを、リアルタイム性を有するデバイスデータの送信が予定されていない通信端末2の送信タイミングよりも早くすることができる。
【0049】
[データ管理装置3の構成]
図4は、データ管理装置3の構成を示す図である。データ管理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。
【0050】
通信部31は、第1通信部311及び第2通信部312を有する。第1通信部311は、通信網N1を介して通信端末2との間でデータを送受信するための通信インターフェースであり、例えば携帯電話網の終端インターフェースを有する。第1通信部311は、携帯電話網の終端装置と接続するためのLAN(Local Area Network)インターフェースを有してもよい。
【0051】
第2通信部312は、中継網N2を介してデータ取得装置4との間でデータを送受信するための通信インターフェースを有する。第2通信部312は、例えばLANインターフェースである。
【0052】
記憶部32は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部32は、基地局5の識別情報(以下、基地局IDという)と、それぞれの基地局5が収容している通信端末2の数と、基地局5が収容している通信端末2の識別情報である通信端末IDとを関連付けた基地局データベース(以下、基地局DBという)を記憶している。
【0053】
図5は、基地局DBの一例を示す図である。収容端末数は、それぞれの基地局5が提供する無線通信回線を使用する状態の通信端末2の数である。収容端末数は、後述する記憶制御部335の制御に基づいて、例えば通信端末2の移動に応じて変化する。
【0054】
また、記憶部32は、通信端末IDと、それぞれの通信端末2が基地局5を介することなく直接通信可能な通信デバイス1の識別情報であるデバイスIDとが関連付けられた通信端末データベース(以下、通信端末DBという)を記憶している。
図6は、通信端末DBの一例を示す図である。通信端末DBにおいては、通信端末IDに関連付けて、通信端末2が通信可能な通信デバイス1が実行可能なアプリケーションの識別情報であるアプリIDと、それぞれのアプリケーションが1回のデータ送信時に送信する送信データ量とを記憶している。
【0055】
図6に示す例において、通信端末IDが9001の通信端末2は、デバイスIDが1001の通信デバイス1a及びデバイスIDが1002の通信デバイス1bが出力するデータを受信することを示している。通信デバイス1aは、送信データ量が10バイトであるアプリIDがa51のアプリケーション、及び送信データ量が20バイトであるアプリIDがa52のアプリケーションを実行することができる。通信デバイス1bは、送信データ量が10バイトであるアプリIDがa51のアプリケーション、及び送信データ量が45バイトであるアプリIDがa53のアプリケーションを実行することができる。
【0056】
また、記憶部32は、通信端末2から受信した複数の通信デバイス1が送信したデータを、通信デバイス1のデバイスIDに関連付けて記憶する。さらに、記憶部32は、データ取得装置4を介してデータ管理装置3にアクセスするデータ取得者の取得者IDと、データ取得者がデータを取得する対象として登録した通信デバイス1及びアプリケーションのデバイスID及びアプリIDとが関連付けられたデータ提供用データベース(以下、データ提供用DBという)を記憶していてもよい。
【0057】
制御部33は、例えばCPUであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、各通信端末2がデータを送信するタイミングを決定する。
制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、通信制御部331、混雑度特定部332、タイミング決定部333、要求受付部334及び記憶制御部335として機能する。
【0058】
通信制御部331は、通信端末2との間のデータの送受信を制御する。通信制御部331は、データ取得装置4に提供するデータを出力する通信デバイス1と通信可能な通信端末2に対して、通信網N1のゲートウェイのアドレスであるAPN(Access Point Name)を通知することにより、通信端末2からのデータの受信を開始する。通信制御部331は、通信端末2から、通信端末2の位置を示す位置情報を取得する。通信制御部331は、通信端末2が移動する向きを示す情報を含む位置情報を取得してもよい。通信制御部331は、タイミング決定部333が決定した第1時間及び第2時間を示すタイミング情報を、第1通信部311を介して通信端末2に送信する送信部として機能する。
【0059】
混雑度特定部332は、通信制御部331から取得した通信端末2の位置を示す位置情報に基づいて通信網N1の混雑度を特定する。混雑度特定部332は、例えば通信端末DBを参照することにより、通信端末2が属するセクタに対応する基地局5における通信端末2の収容数に基づいて、混雑度を特定する。混雑度特定部332は、特定した混雑度をタイミング決定部333に通知する。
【0060】
タイミング決定部333は、通信端末2がデバイスデータを送信するタイミングを決定する。タイミング決定部333は、例えば、通信端末2が移動中である場合に、通信端末2がデバイスデータを受信してから送信するまでの時間である第1時間の長さを決定する。また、タイミング決定部333は、通信端末2が停止中である場合に、通信端末2がデバイスデータを受信してから送信するまでの時間である第2時間の長さを決定する。タイミング決定部333は、混雑度特定部332が特定した、通信端末2の現在位置又は移動予定先の位置の混雑度に基づいて第1時間及び第2時間を決定する。
【0061】
要求受付部334は、データ取得装置4から、データを取得する対象の通信デバイス1及びアプリケーションを選択する要求を受け付ける。要求受付部334は、第2通信部312を介して、データ管理装置3がデータを収集する対象となっている通信デバイス1及びアプリケーションの一覧をデータ取得装置4に送信する。
【0062】
データ取得者が、データ取得装置4を介して表示される通信デバイス1及びアプリケーションの一覧から、データを取得したい通信デバイス1及びアプリケーションを選択すると、データ取得装置4は、選択された通信デバイス1及びアプリケーションを特定するための情報(例えば、デバイスID及びアプリID)、並びに取得者IDを含むデータ取得要求をデータ管理装置3に送信する。要求受付部334は、データ取得装置4からデータ取得要求を受信すると、データ取得要求に含まれる取得者ID、デバイスID及びアプリIDを記憶制御部335に通知することにより、記憶部32内のデータ提供用データベースに登録する。
【0063】
要求受付部334は、データ取得装置4からデータを取得するための要求を受け付けた場合に、通信網N1を介して受信した、記憶部32に記憶されたデータ提供用データベースを参照して、要求が示すアプリケーションが送信したデータを、データ取得装置4に送信することにより提供する。データ提供用データベースにおいては、データ取得要求を送信したデータ取得装置4に対応する取得者IDと、取得者IDのデータ取得装置4にデータを提供する対象となる通信デバイスのデバイスIDが関連付けられている。データ提供用データベースにおいては、取得者IDのデータ取得装置4にデータを提供する対象となるアプリケーションのアプリIDがさらに関連付けられていてもよい。
【0064】
要求受付部334は、複数のデータ取得装置4から、同一の通信デバイス1が実行する同一のアプリケーションを選択する要求を受け付けてもよい。通信制御部331は、要求受付部334が複数のデータ取得装置4から、同一の通信デバイス1が実行する同一のアプリケーションを選択する要求を受け付けた場合に、通信網N1を介して受信したデータのうち、要求が示すアプリケーションが送信したデータを、複数のデータ取得装置4に提供する。
【0065】
記憶制御部335は、通信制御部331、混雑度特定部332、タイミング決定部333及び要求受付部334からの指示に基づいて、記憶部32にデータを書き込んだり、記憶部32に記憶されたデータを読み出したりする。例えば、タイミング決定部333は、通信制御部331が通信端末2から受信したデバイスデータを、デバイスID及びアプリIDに関連付けて記憶部32に記憶させる。
【0066】
[通信システムSの通信シーケンス]
図7は、通信システムSにおける通信シーケンスを示す図である。
まず、通信デバイス1は、収集した情報を送信するタイミングになると(S11においてYES)、送信データを生成して(S12)、通信端末2に対して送信データを送信する。通信端末2は、送信データを受信すると、受信した送信データを記憶部24に蓄積する(S13)。
【0067】
続いて、通信端末2は、データ管理装置3にデータを送信するタイミングであるかどうかを確認する(S14)。ステップS14の処理の詳細については後述する。通信端末2は、データを送信するタイミングになると(S14においてYES)、蓄積していたデータをデータ管理装置3に送信する。通信制御部331は、データを受信すると、受信したデータを通信端末IDに関連付けて記憶部32内のデータ提供用DBに登録する。
【0068】
[通信端末2の動作フローチャート]
図8は、通信端末2がデータを送信するタイミングを確認する動作のフローチャートである。通信制御部252は、通信デバイス1からデバイスデータを受信すると(S21)、受信したデバイスデータを記憶部24に一時的に蓄積する(S22)。
【0069】
続いて、通信制御部252は、移動検出部251が検出した結果に基づいて、通信端末2が移動中であるか否かを判定する(S23)。通信制御部252は、通信端末2が移動中であると判定した場合(S23においてYES)、デバイスデータを受信してから第1時間が経過したかどうかを監視する(S24)。通信制御部252は、第1時間が経過すると(S24においてYES)、記憶部24に蓄積していたデバイスデータをデータ管理装置3に送信する(S25)。
【0070】
通信制御部252は、ステップS23において、通信端末2が移動中でないと判定した場合(S23においてNO)、デバイスデータを受信してから第2時間が経過したかどうかを監視する(S26)。通信制御部252は、第2時間が経過した場合、送信する対象となるデバイスデータの属性が第1属性であるか否かを判定する(S27)。
【0071】
通信制御部252は、送信する対象となるデバイスデータが、例えば全データを送信する必要がある第1属性である場合(S27においてYES)、デバイスデータをデータ管理装置3に送信する(S25)。通信制御部252は、送信する対象となるデバイスデータが第1属性のデータでない場合(S27においてNO)、記憶部24に蓄積していたデバイスデータを消去する(S28)。通信制御部252は、通信端末2の電源をオフにする操作が行われたかどうかを監視し(S29)、電源がオフになるまでの間(S29においてNO)、ステップS21からS28までの処理を繰り返す。
【0072】
[通信システムSによる効果]
以上説明したように、通信システムSにおいては、通信端末2が、自身が移動中であるか否かを検出する移動検出部251を有する。そして、通信制御部252は、通信端末2が移動中であると移動検出部251が判定した場合に、通信デバイス1が送信したデバイスデータを受信してから第1時間が経過した後にデバイスデータを送信する。また、通信制御部252は、通信端末2が停止中であると移動検出部251が判定した場合に、デバイスデータを受信してから第1時間よりも長い第2時間が経過した後にデバイスデータを送信する遅延モード又は前記デバイスデータの送信を中止する消去モードを実行する。
【0073】
このようにすることで、通信端末2は、停止中にデータを送信する確率を下げることができる。したがって、通信システムSにおいては、通信端末2が自動車に搭載されている場合に、信号待ちや渋滞の間に多数の通信端末2が同時にデータを送信することで通信網N1又は中継網N2に輻輳が発生する確率を低減することができる。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。