(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605708
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】5ミラーアフォーカル広視野光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 17/00 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
G02B17/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-508183(P2018-508183)
(86)(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公表番号】特表2018-528465(P2018-528465A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】US2016042047
(87)【国際公開番号】WO2017058336
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年2月15日
(31)【優先権主張番号】14/871,407
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】クック,レイシー,ジー.
【審査官】
堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06178047(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0087028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5ミラー全反射アフォーカル光学システムであって、
前記アフォーカル光学システムの入射瞳を介して、コリメートされた電磁放射線を受け取り、反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第1ミラーと、
前記第1ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第2ミラーと、
前記第2ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第3ミラーと、
前記第3ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、さらに、中間画像を形成するために反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第4ミラーと、
前記第4ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、再コリメートするように構成され、かつ、前記アフォーカル光学システムの出射瞳を通じて前記再コリメートされた電磁放射線を反射するように構成されている正のパワーの第5ミラー、
から構成される、5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項2】
前記システムの円形視野は、概ね6度から10度の範囲にある、
請求項1に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項3】
前記システムの倍率は、概ね4.0倍である、
請求項2に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項4】
前記入射瞳は、概ね5.0インチの直径を有する、
請求項3に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項5】
前記第1ミラー、前記第2ミラー、前記第3ミラー、前記第4ミラー、および前記第5ミラーのそれぞれは、非球面形態を有する、
請求項1に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項6】
システム入射瞳を介して受け取った電磁放射線を互いに順次反射するように構成されており、システム出射瞳において前記電磁放射線のコリメートされた出力ビームを生成する、5つのミラーから構成され、
前記5つのミラーは、3つの正のパワーのミラーと2つの負のパワーのミラーから成り、
前記5つのミラーは、メルセンヌ望遠鏡と後続のアフォーカル瞳リレーにおいて配置されており、
前記メルセンヌ望遠鏡は、前記3つの正のパワーのミラーのうち第1のミラーと、後続の前記2つの負のパワーのミラーのうち第1のミラーから成り、かつ、
前記アフォーカル瞳リレーは、前記3つの正のパワーのミラーのうち第2のミラーと第3のミラーとの間に置かれた前記2つの負のパワーのミラーのうち第2のミラーから成り、
前記システムは、+ − + − +の光学的パワー分布を有している、
5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項7】
前記5つのミラーの光学的パワーは、前記システム出射瞳においてゼロのペッツバール湾曲を提供するようにバランスが取れている、
請求項6に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項8】
前記入射瞳は、概ね5.0インチの直径を有し、かつ、
前記システムは、概ね4.0倍の倍率、および、概ね6度から10度の範囲の円形視野を有する、
請求項7に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項9】
前記5つのミラーのそれぞれは、非球面形態を有する、
請求項6に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項10】
前記5つのミラーは、
前記入射瞳から前記電磁放射線を受け取り、反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第1ミラーと、
前記第1ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第2ミラーと、
前記第2ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第3ミラーと、
前記第3ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、さらに、中間画像を形成するために反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第4ミラーと、
前記第4ミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、再コリメートするように構成され、かつ、コリメートされた出力ビームを提供するために前記出射瞳を通じて前記コリメートされた電磁放射線を反射するように構成されている正のパワーの第5ミラー、
から構成される、請求項6に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項11】
システム入射瞳を介して電磁放射線を受け取り、かつ、前記電磁放射線を反射するように構成されている第1の正のパワーのミラー、および、前記第1の正のパワーのミラーから反射された前記電磁放射線を受け取り、さらに反射するように構成されている第1の負のパワーのミラー、から成る2ミラーメルセンヌ望遠鏡と、
前記2ミラーメルセンヌ望遠鏡からの前記電磁放射線を受け取るように構成され、かつ、システム出射瞳において前記電磁放射線のコリメートされた出力ビームを提供するために前記電磁放射線を反射し、コリメートするように構成されている、3ミラーアフォーカル瞳リレー、から構成され、
前記3ミラーアフォーカル瞳リレーは、第2の正のパワーのミラー、第2の負のパワーのミラー、および、第3の正のパワーのミラーから成り、
前記第2の負のパワーのミラーは、前記第2の正のパワーのミラーと前記第3の正のパワーのミラーとの間に置かれている、
5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項12】
前記第1の正のパワーのミラー、前記第1の負のパワーのミラー、前記第2の正のパワーのミラー、前記第2の負のパワーのミラー、および、前記第3の正のパワーのミラーの光学的パワーは、前記システム出射瞳においてゼロのペッツバール湾曲を提供するようにバランスが取れている、
請求項11に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項13】
前記第1の正のパワーのミラー、前記第1の負のパワーのミラー、前記第2の正のパワーのミラー、前記第2の負のパワーのミラー、および、前記第3の正のパワーのミラーのそれぞれは、非球面形態を有する、
請求項12に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【請求項14】
前記入射瞳は、概ね5.0インチの直径を有し、かつ、
前記システムは、概ね4.0倍の倍率、および、概ね6度から10度の範囲の円形視野を有する、
請求項13に記載の5ミラー全反射アフォーカル光学システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
反射アフォーカル望遠鏡(reflective afocal telescopes)といった、広視野(WFOV)光学システムは、様々なアプリケーションにおいて使用されている。例えば、マルチスペクトルアプリケーションおよび所定の空間センサシステム、といったものである。全反射光学システム(all-reflective optical systems)は、屈折が波長に依存する屈折システム(refractive systems)とは異なり、入射光に係る全ての波長を等しく反射するので、多くの広帯域光学アプリケーションに好ましいものである。オブジェクト空間(object space)の視野は、焦点面アレイ(focal plane array)といった、イメージング(フォーカル)光学システムと検出器を含む様々なタイプのセンサによって出射瞳(exit pupil)において観察され得る。
【0002】
従来のアフォーカルなWFOV反射光学システム(afocal WFOV reflective optical systems)は、3ミラーアナスチグマート(three mirror anastigmat、TMA)望遠鏡および4ミラーアナスチグマート(4MA)望遠鏡を含んでいる。3ミラーアフォーカルデザインは、2つの別個の状態において使用可能なオブジェクト空間の視野(field of view、FOV)カバレージを提供する。1)高倍率(>10倍)で、軸上の主ミラー(on-axis primary mirror)を利用し、使用可能なFOVは約1.0−1.5度に制限されるもの、および、2)適度な倍率(4−5倍)で、軸外の(off-axis)主ミラーを利用し、使用可能なFOVが約2.0−2.5度に制限されるもの、である。米国特許第3674334号は、全反射アフォーカル3ミラーアナスチグマートの例を提供している。4ミラーアフォーカルデザインは、TMAの改善を提供する。しかし、画質、歪み、および瞳孔収差(pupil aberrations)といったパフォーマンスメトリクス(performance metrics)が、その有用性を約5−6度の円形視野(circular FOV)に制限する。加えて、ほとんどの4ミラーアフォーカルアナスチグマート光学デザインは、サイズが大き過ぎる可能性がある。米国特許第4804258号は、全反射アフォーカル4ミラーアナスチグマートの例を提供している。
【発明の概要】
【0003】
態様および実施形態は、従来のアフォーカル光学形態に関連する所定の欠点を克服する新規、かつ、改良された5ミラーアフォーカル光学デザインへ向けられている。そして、例えば、5度の円形FOVを超える、より高く使用可能な視野を提供する。そして、所定の例においては、約6−8度の円形FOVの範囲、または、さらに概ね10度までの円形FOVを提供する。加えて、これらのパラメータ内で、所定の実施形態は、また、コンパクトなサイズ、そして、優れた画像品質、視野歪み、および瞳孔収差も提供する。
【0004】
本発明の態様および実施形態に従った新規で改良されたアフォーカル光学システムは、5ミラーアフォーカル反射望遠鏡を用いた技術を提供する。アフォーカル光学システムは、システム入射瞳(entrance pupil)を介して受け取った電磁放射線を互いに順次反射するように構成されており、システム出射瞳(exit pupil)において電磁放射線のコリメートされた出力ビーム(collimated output beam)を生成する。一つの例において、5ミラーは、3つの正のパワーの(positive-powered)ミラーおよび2つの負のパワーの(negative-powered)ミラーから成り、ここで、5つのミラーの光学的パワーは、システム出射瞳においてフラットなフィールド状況(field condition)を達成するようにバランスが取れている。一つの例において、5つのミラーは、+ − + − +の光学的パワー分布を有するように配置されている。一つの例では、第1の4つのミラーが協働して第4と第5ミラーの間に位置する中間画像を形成する。本システムは、中間画像位置に置かれた視野絞り(field stop)を含み得る。
【0005】
一つの実施形態において、5ミラー全反射アフォーカル光学システムは、アフォーカル光学システムの入射瞳を介して、コリメートされた電磁放射線を受け取り、反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第1ミラーと、第1ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第2ミラーと、第2ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第3ミラーと、第3ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、さらに、中間画像を形成するために反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第4ミラーと、第4ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、再コリメートするように構成され、かつ、アフォーカル光学システムの出射瞳を通じて再コリメートされた電磁放射線を反射するように構成されている正のパワーの第5ミラーと、を含む。
【0006】
一つの例において、システムの円形視野は概ね6度から10度の範囲にある。別の例において、システムの倍率は、概ね4.0倍である。別の例において、入射瞳は、概ね5.0インチの直径を有する。一つの例において、第1ミラー、第2ミラー、第3ミラー、第4ミラー、および第5ミラーのそれぞれは、非球面形態を有する。
【0007】
別の実施形態に従って、5ミラー全反射アフォーカル光学システムは、システム入射瞳を介して受け取った電磁放射線を互いに順次反射するように構成されており、システム出射瞳において電磁放射線のコリメートされた出力ビームを生成する、5つのミラーを含む。5つのミラーは、3つの正のパワーのミラーと2つの負のパワーのミラーから成り、5つのミラーの光学的パワーは、システム出射瞳においてフラットなフィールド状況を達成するようにバランスが取れている。
【0008】
一つの例において、5つのミラーは、メルセンヌ望遠鏡と後続のアフォーカル瞳リレーにおいて配置されている。メルセンヌ望遠鏡は、3つの正のパワーのミラーのうち第1のミラーと、後続の2つの負のパワーのミラーのうち第1のミラーとを含み、かつ、アフォーカル瞳リレーは、3つの正のパワーのミラーのうち第2のミラーと第3のミラーとの間に置かれた2つの負のパワーのミラーのうち第2のミラーを含む。その結果、システムは、+ − + − +の光学的パワー分布を有している。一つの例において、入射瞳は、概ね5.0インチの直径を有し、かつ、システムは、概ね4.0倍の倍率、および、概ね6度から10度の範囲の円形視野を有する。一つの例において、5つのミラーのそれぞれは、非球面形態を有する。別の例において、5つのミラーは、入射瞳から電磁放射線を受け取り、反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第1ミラー、第1ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第2ミラー、第2ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、さらに反射するように配置され、かつ、構成されている正のパワーの第3ミラー、第3ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、さらに、中間画像を形成するために反射するように配置され、かつ、構成されている負のパワーの第4ミラー、および、第4ミラーから反射された電磁放射線を受け取り、再コリメートするように構成され、かつ、コリメートされた出力ビームを提供するために出射瞳を通じてコリメートされた電磁放射線を反射するように構成されている正のパワーの第5ミラー、を含む。
【0009】
別の実施形態に従って、5ミラー全反射アフォーカル光学システムは、システム入射瞳を介して電磁放射線を受け取り、かつ、電磁放射線を反射するように構成されている第1の正のパワーのミラー、および、第1の正のパワーのミラーから反射された電磁放射線を受け取り、さらに反射するように構成されている第1の負のパワーのミラー、から成る2ミラーメルセンヌ望遠鏡、および、2ミラーメルセンヌ望遠鏡からの電磁放射線を受け取るように構成され、かつ、システム出射瞳において電磁放射線のコリメートされた出力ビームを提供するために電磁放射線を反射し、コリメートするように構成されている、3ミラーアフォーカル瞳リレー、を含み、3ミラーアフォーカル瞳リレーは、第2の負のパワーのミラーを含んでいる。
【0010】
一つの例において、3ミラーアフォーカル瞳リレーは、第2の正のパワーのミラー、第2の負のパワーのミラー、および、第3の正のパワーのミラーから成り、第2の負のパワーのミラーは、第2の正のパワーのミラーと第3の正のパワーのミラーとの間に置かれている。一つの例において、第1の正のパワーのミラー、第1の負のパワーのミラー、第2の正のパワーのミラー、第2の負のパワーのミラー、および、第3の正のパワーのミラーの光学的パワーは、システム出射瞳においてフラットなフィールド状況を達成するようにバランスが取れている。別の例において、第1の正のパワーのミラー、第1の負のパワーのミラー、第2の正のパワーのミラー、第2の負のパワーのミラー、および、第3の正のパワーのミラーのそれぞれは、非球面形態を有する。別の例において、入射瞳は、概ね5.0インチの直径を有し、かつ、システムは、概ね4.0倍の倍率、および、概ね6度から10度の範囲の円形視野を有する。
【0011】
これらの例示的な態様および実施形態に係るさらに他の態様、実施形態、および利点が、以下に詳しく説明される。ここにおいて開示される実施形態は、ここにおいて開示される原理の少なくとも1つと一貫性がある任意の方法と組み合わされてよい。そして、「一つの実施形態("one embodiment")」、「いくつかの実施形態("some embodiments")」、「代替的な実施形態("an alternative embodiment")」、「様々な実施形態("various embodiments")」、等に対する参照は、必ずしも相互に排他的なものではなく、かつ、記載された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すように意図されている。ここにおけるそうした用語の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
少なくとも1つの実施形態に係る様々な態様が、添付図面を参照して以下に説明される。図面は、縮尺通り描かれるように意図されてはいない。図面は、様々な態様および実施形態の例示およびさらなる理解を提供するために含まれており、そして、本明細書の中に組み込まれ、かつ、一部を構成するが、本発明の限界を定めるものとして意図されてはいない。図面においては、様々な図に示されている同じ又はほぼ同一なコンポーネントは、同様な番号によって表わされている。明確にする目的のために、全てのコンポーネントが全ての図においてでラベル付けされてはいない。
【
図1】
図1は、従来の全反射リレーフォーカル光学システム(all-reflective, relayed focal optical system)の一つの例に係る(マイナー視野平面(minor field of view plane)における)模式的な立面図である。
【
図2】
図2は、本発明の態様に従った、アフォーカル5ミラー全反射光学システムの一つの例に係る光線トレースである。
【
図3A】
図3Aは、
図2に示される光学システムについて光学処方(optical prescription)の一つの例を提供する表である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの光学処方に対応するゼルニケ項(Zernike terms)を示す表である。
【
図3C】
図3Cは、
図3Bで提供されるゼルニケ項を計算するために使用されるゼルニケ数字項を示す表である。
【
図4】
図4は、従来の4ミラーアフォーカル光学システムに係る比較例の光線トレースである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
態様および実施形態は、5ミラー全反射アフォーカル光学形態へ向けられている。特には、従来の3ミラーまたは4ミラーアナスチグマートデザインに比べて使用可能な視野(FOV)を拡張するアフォーカル5ミラーアナスチグマート(5MA)であり、一方で、また、他の追加的な利点も提供している。上述のように、従来のアフォーカル4ミラーアナスチグマートは、3ミラーデザインと比べて強化された性能および能力を提供するが、画質、歪み、および瞳孔収差といった、パフォーマンスメトリクスによって、例えば、約5−6度の使用可能な円形FOVに制限されている。いくつかのアフォーカル4ミラーアナスチグマートデザインに係る全FOVカバレージはより大きくあり得るが、最も実用的なアプリケーションについて有用なFOVが制限されている。加えて、あるアフォーカル4ミラーデザインは、サイズが過度に大きい。ここにおいて開示されるアフォーカル5MAの実施形態は、広帯域スペクトルカバレッジといった、全反射光学形態の有用性を、例えば10度の円形FOVに近づく、より大きな視野まで拡張し、改善された性能メトリクス、および、所定の例においては、比較可能なパラメータについて低減された物理的サイズを伴っている。ここにおいて開示されるアフォーカル5MAは、以下でより詳細に説明されるように、数多くの利点を有する基本的に新しいアフォーカル光学デザイン形態を伴う技術を提供する。
【0014】
従来、アフォーカル全反射光学デザイン形態は、上述のように、4つ又はより少ないミラーに限定されてきた。特定のフォーカル(focal)(イメージング(imaging)としても参照されるもの)5ミラー光学システムが存在している。しかしながら、フォーカル光学システムは、アフォーカル光学システムとは配置、構造、及び機能において大きく異なるものである。従って、これらの2つのタイプの光学システム(フォーカルおよびアフォーカル)のデザイン原理および目的は基本的に異なるものであり、そして、一方のタイプのシステムから他方のタイプのシステムへすぐには移行できない。
【0015】
米国特許第6902282号は、5ミラー全反射リレーフォーカル光学システムの例を提供している。
図1は、米国特許第6902282号に開示されている全反射リレー光学システム20の一つの例に係る(マイナー視野平面における)模式的な立面図である。フォーカル光学システム20は、実際の入射瞳25からビーム経路22を受け取る第1ミラー24、および、第1ミラー24から反射されたビーム経路22を受け取る第2ミラー26を含んでいる。第1ミラー24と第2ミラー26は、第2ミラー26からビーム経路22が反射された後で中間画像(intermediate image)を形成するマルチミラー反射オブジェクティブ(objective)光学コンポーネント30として一緒に機能する。フォーカル光学システム20は、さらに、中間画像28を反射する第3ミラー32、第3ミラー32によって先に反射されたビーム経路22を反射する第4ミラー34、および、第4ミラー34によって先に反射されたビーム経路22を画像位置38に対して反射してフォーカスする第5ミラー36、を含んでいる。第5ミラー36と画像位置38との間における再画像瞳孔位置(re-imaged pupil location)44において実際の入射瞳25の実像が形成される。システム開口絞り46が、この再画像瞳孔位置44に配置されてよい。第3ミラー32、第4ミラー34、および第5ミラー36は、ビーム経路22において中間画像28を最終的な画像位置38へリレーするマルチミラーリレー光学コンポーネント40として一緒に機能する。このように、システム20の5ミラーデザインは、2ミラーフォーカル又はイメージングオブジェクティブ30(中間画像28を生成するもの)および画像位置38において最終的な画像を生成する3ミラーフォーカルリレー40を含むものと考えられる。
図1に示されるように、無給電平面ミラー42がビーム経路22の中に含まれてよい。ビーム経路をリダイレクト(redirect)するための折畳みミラーとして働くが、5ミラーリレーフォーカル光学システムに係る5つのミラーのうちの1つであるとは考えられない。
【0016】
フォーカル光学システムの特性を画定するのは、出力として特定の像平面においてフォーカスされた画像を生成することである。例えば、
図1のシステム20は、入射瞳25において入力としてコリメートされた光を受け取り、そして、出力として画像位置28において画像を生成する。対照的に、アフォーカル光学システムは、コリメートされた入力からコリメートされた出力を生成することによって画定される。このように、フォーカルシステム対アフォーカルシステムを構成するミラーのデザイン及び配置は非常に異なっている。フォーカル光学システムにおいて光学的パワー(optical power)とミラー配置の組み合わせは、出力画像を達成するように選択されることを要するからである。一方、アフォーカル光学システムにおいて光学的パワーとミラー配置の組み合わせは、コリメートされた出力(つまり、無限遠にフォーカスされ、または、平行な光線を有しているもの)を達成するように選択されることを要する。加えて、2つのシステム(イメージ対コリメート)の出力に係る基本的に異なる特性のため、光学収差に対する補償を達成するために考慮される必要がある様々なミラーについての光学設計パラメータ(例えば、表面形状、円錐形の特徴、光学的パワー、など)も、また、著しく異なっている。
【0017】
上述のように、アフォーカル光学システムは、しばしば、システム全体についてフロント光学素子(front optics)としてしばしば使用され、そして、コリメートされた出力が、観察または分析のための出力画像を生成する後続のフォーカル(イメージング)光学システムに対する入力として提供される。
図1のフォーカルシステム20のリレーされた形態は、このタイプのアプリケーションに特に良好に適している。実際の開口絞りの像である実際の入射瞳25により、光学システム20は、別の光学システム(高倍率アフォーカル望遠鏡といったもの)に従うことができ、そして、理想的にマッチングされた瞳孔から瞳孔(pupil-to-pupil)になり得るからである。
【0018】
図2を参照すると、一つの実施形態に従った、アフォーカル5ミラーアナスチグマート(5MA)の一つの例に係る光線トレースが示されている。アフォーカル5MA 200は、5つの非球面ミラーを含むリレーアフォーカル光学システムである。アフォーカル5MA 200は、入射瞳270を介して、ビーム経路260としても参照される、電磁放射線260を受け取る第1ミラー210を含んでいる。図示された例において、第1ミラー210は、正の光学的パワー(positive optical power)を有し、そして、第2ミラー220に向けて電磁放射線260を反射する。第2ミラー220は負の光学的パワー(negative optical power)を有している。第2ミラー220は、第1ミラー210から反射された電磁放射線を受け取り、そして、第3ミラー230に向けて電磁放射線を反射する。第3ミラー230は、正の光学的パワーを有している。第3ミラー230は、第2ミラー220から反射された電磁放射線を受け取り、そして、さらに第4ミラー240に向けて電磁放射線を反射する。第4ミラー240は、負の光学的パワーを有している。第4ミラー240は、第3ミラー230から反射された電磁放射線を受け取り、そして、さらに、正の光学的パワーを有している第5ミラー250に向けて電磁放射線を反射する。第5ミラー250は、第4ミラー240から反射された電磁放射線を受け取り、そして、無限遠にフォーカスするように電磁放射線を反射し再コリメートして、出射瞳280においてコリメートされた出力ビームを提供する。
図2を参照して分かるように、出力ビームにおける対応する光線ペア、例えば、光線260aと260bは、コリメートされた出力ビームの画定(無限遠にフォーカスされている)と一致して平行である。アフォーカル5MA 200は、従って、入射瞳270において電磁放射線260のコリメートされた入力ビームを受け取り、そして、出射瞳280において電磁放射線のコリメートされた出力ビームを生成する。図示された例において、アフォーカル5MAは、+ − + − +の光学的パワー分布を有するシステムを有している。
【0019】
一つの実施形態に従って、第1、第2、第3、および第4ミラー210、220、230、および240は、第4ミラー240と第5ミラー250との間に位置する中間画像を協働して形成する。上述のように、第5ミラー250は、出射瞳280においてコリメートされた出力ビームを提供するために、中間画像からの電磁放射線を再コリメートする。このように、アフォーカル5MA 200は、4つのミラーオブジェクティブ(中間画像に先行する第1、第2、第3、および第4ミラーによって形成されるもの)と後続の再コリメートアイピース(recollimating eyepiece)(第5ミラー250)を含むものと考えられてよい。代替的に、アフォーカル5MAは、2ミラーアフォーカルメルセンヌ(Mersenne)望遠鏡(第1ミラー210と第2ミラー220に係る+ −の光学的パワー分布によって画定されるもの)と後続の3ミラーアフォーカル瞳リレー(第3、第4、および第5ミラー230、240、および250によって形成されるもの)として考えられてよい。上述のように、一つの例において、この3ミラーアフォーカル瞳リレーは、+ − +の光学的パワー分布を有している。3つの正のミラーの光学的パワーは、2つの負のミラーの光学的パワーによってバランスされ、出射瞳280においてゼロのペッツバール湾曲(Petzval curvature)またはフラットなフィールド状況を提供する。さらに、第2ミラー220と第4ミラー240両方の負の光学的パワーは、他の3つのミラーのフィールド湾曲をバランスするように利用可能であり、有利なことには、以下でさらに説明するように、パフォーマンスメトリクスにおける改善を可能にしている。
【0020】
さらに
図2を参照すると、入射瞳270が第1ミラー210の前方に置かれており、そして、この入射瞳はシステム光軸から垂直にオフセットされている。開口絞り(aperture stop)が、入射瞳270に配置されてよい。一つの実施形態において、システムは開口においてだけ軸外れ(off axis)であり、または、別の実施形態においては、第1ミラー210と出射瞳280の反射表面の位置を生成または画定するように、開口とフィールドの両方において軸外れである。いずれの例においても、入射瞳260および出射瞳280のいずれも光軸上にセンタリングされていない。第2、第3、第4、および第5ミラーのうちいずれか又は全ては、システム200の光学的パフォーマンスを向上させるために、傾けられ、かつ、偏心されてよい。
【0021】
所定の例においては、5つのミラー210−250の全てが、回転対称な非球面ミラー形状を有し得る。他の例においては、5つのミラー210−250のうちの1つまたはそれ以上が、より進化した、非回転対称な(例えば、ゼルニケ記載の)非球面ミラー形状を有し得る。非回転対称の非球面ミラー形状の使用は、波面品質(wavefront quality)、フィールド歪み、および瞳孔収差に関して改善されたパフォーマンスを提供することができる。
【0022】
図3A−
図3Cに示されるテーブルは、ここにおいて開示される態様および原理に従った、アフォーカル5MA 200の一実施形態について光学処方の一つの例を提供している。この例の光学処方は、業界標準であり、または、当業者に知られている等式を用いて生成されてよい。しかしながら、
図3Aと
図3Bにおいて与えられる処方は、単に例示的なものであり、かつ、アフォーカル5MA 200の様々な実施形態の処方は、光学システムおよび所望のシステム特性によって実行される意図されたタスクによって画定されることが理解されよう。
【0023】
この例についてシステムパラメータは以下のとおりである。
4.0倍アフォーカル倍率;
6.0度の円形FOV入力;
5.0インチ入射瞳;
9.243インチ入射瞳オフセット;
1.24インチ出射瞳直径;
(−)2.302インチ出射瞳オフセット;および
24.0度の円形FOV出力
【0024】
図3Aにおいて、第3列(column)は、インチ単位で測定された、それぞれの表面の半径を提供している。マイナス記号は、曲率中心が鏡面の左側にあることを示している。CCと示される列は、円錐部分(二重円錐面(double sheeted conic surface)を通る平面カット)の偏心(eccentricity)の負の二乗値に等しい円錐定数(conic constant)である。Ad、Ae、Af、およびAgと示される列は、特定の鏡面の非球面定数(aspheric constant)である。「厚さ("Thickness")」と示される列は、インチ単位で測定された、それぞれの面の厚さ提供する。「材料("Material")」と示される列は、それぞれの表面の材料を提供する。用語「Refl.」は、反射性の材料/表面を示している。
【0025】
図3Bは、
図3Aの処方に対応して、関連する各表面に対するゼルニケ多項式係数項(Zernike polynomial coefficient terms)を含んでいる。当業者に知られているように、ゼルニケ多項式は、光学表面および波面位相関数の記述において、歴史的に重要および非常に重要の両方である一連の多項式である。
図3Bに示されるゼルニケ係数項は、
図3Cで提供される、極座標およびデカルト座標の両方の、項の定義に従って計算されている。
【0026】
約2倍の性能低下レベルでは、
図3Aおよび
図3Bの光学処方は、そこに示されているゼルニケ(Zernike)の鏡面図を使用せずに実施することができる。そうした実施形態において、ミラーは、回転対称な非球面デパーチャ(aspheric departures)によってのみ記載される、Rの4乗(R^4)からRの12乗(R^12)までの非球面の項を意味するものである。当業者であれば、この結果は鏡形態変数(mirror figure variables)の再最適化を必要とすること、そして、所与の処方からゼルニケ項を単純に削除するだけではないことを理解するであろう。
【0027】
上述のように、ここにおいて開示される態様および実施形態に従った新しいアフォーカル5MA光学形態は、2つの負のパワーのミラー(
図2に示される例においける第2ミラー220および第4ミラー240)を有している。これにより、負のパワーのミラー1つだけを有する、従来のアフォーカル4ミラーアナスチグマートと比較した場合に、パワーのより好ましい分布を可能になる。
【0028】
図4は、上述したアフォーカル5MA 200の例と同様な基本パラメータを有している従来のアフォーカル4MA 400の比較例に係る光線トレースである。特に、アフォーカル4MA 400は、5.0インチの入射開口(entrance aperture)を用いてデザインされており、
図3Aおよび
図3Bにおいて与えられる光学処方に対応しているアフォーカル5MA 200の上述の例と同じである。
【0029】
図4を参照すると、アフォーカル4MA 400は、リレーされ、電磁放射線/ビーム経路480を順次に反射する4つの非球面ミラーを含んでいる再イメージング全反射アフォーカル光学システム(reimaging all-reflective afocal optical system)である。アフォーカル4MA 400は、正の光学的パワーを有する、第1ミラー410を含み、負の光学的パワーを有する第2ミラー420へと反射している。第2ミラー420は、正の光学的パワーを有する第3ミラー430へと反射し、次いで、また、正の光学的パワーを有する、第4ミラー440へと反射する。第1ミラー410、第2ミラー420、および第3ミラー430は、中間画像450を形成するオブジェクティブ(objective)を構成している。この中間画像は、出射瞳460を通じてコリメートされたビームを方向付ける(単一ミラー再コリメートアイピースを構成している)第4ミラー440によって無限遠にフォーカスされている。出射瞳460は、入射瞳470の投影画像である。アフォーカル4MA 400は、また、アフォーカル2ミラーメルセンヌ望遠鏡(+ −のパワー分布;ミラー410および420)と後続のアフォーカル2ミラー瞳リレー(+ +のパワー分布;ミラー430および440)としても考えられてよい。
【0030】
ここにおいて開示される態様および実施形態に従ったアフォーカル5MA 200に第2の負のパワーのミラーを含むことによって提供される汎用性およびデザインの柔軟性によって、アフォーカル5MAは、1つの負のパワーのミラーだけを有する従来のアフォーカル4MA 400よりも多くの利点および改善されたパフォーマンスを有することができる。例えば、5.0インチの入射開口デザインについて、アフォーカル5MA 200は、4.0倍の倍率と6.0インチの円形FOVを達成することができる。一方で、アフォーカル4MA 400は、3.75倍の倍率と5.6インチの円形FOVしか達成できない。加えて、
図2と
図4の比較は、新しいアフォーカル5MAが、比較できるようにデザインされた4MAより少なくとも15%コンパクトであること、および、サイズ縮小は、示されたスケールでの全体的な高さ減少において2.5インチ以上を占めることを示している。
【0031】
全反射アフォーカル光学デザインの分野における従来の知見では、デザインにおいてより多くのミラーを含むことは、より大きな物理的サイズおよび同様なデザインパラメータについて増加した複雑性を望ましくなく導くものであるが、所定のアプリケーションにおいては、光学的パフォーマンスの理由で必要とされるものである。例えば、5.0インチの入口開口サイズを用いたデザインについて、アフォーカル4MAシステムは、アフォーカル3MAシステムよりも大きく、かつ、より複雑であるが、上述のように、4MA形態(4MA form)は、3MA形態よりも向上した光学的パフォーマンス(例えば、より大きいFOV)を提供することができる。驚くべきことに、そして当該分野における従来の知見と対照的に、ここにおいて開示されるアフォーカル5MAの実施形態は、比較可能な従来の4MAと比較して低減された物理的サイズを有することができ、一方で、また、著しく改善された光学的パフォーマンスも達成している。例えば、
図2および
図4を参照すると、アフォーカル5MA 200は、同じ入射開口サイズを有するデザインについて、アフォーカル4MAより小さく、かつ、よりコンパクトであることが分かる。上述され、かつ、
図3Aと
図3Bにおいて提供される5.0インチ入射開口の例について、アフォーカル5MA 200は、概ね16.3インチの「高さ」である(
図2において、第1ミラー210の上隅部から第5ミラー250の下隅部まで測定したもの)。一方、
図4のアフォーカル4MA 400は、18.9インチの高さである(
図4において、第1ミラー410の上隅部から第4ミラー440の下隅部まで測定したもの)。加えて、この例において、アフォーカル5MA 200は、21.0インチのオブジェクティブ(ミラー210−240によって形成されるもの)における有効焦点距離(EFL)、および、5.22インチのアイピース(ミラー250によって形成されるもの)におけるEFLを有している。一方で、
図4のアフォーカル4MA 400は、オブジェクティブ(ミラー410−430によって形成されるもの)における28.9インチのEFL、および、アイピース(ミラー250によって形成されるもの)における7.82インチのEFLを有している。
【0032】
さらに、上述のように、アフォーカル5MA 200の実施形態は、従来のアフォーカル4MAまたは3MAデザインと比較して著しく向上した光学的パフォーマンスを達成することができる。例えば、上述のように、アフォーカル5MAの実施形態は、より広い使用可能なFOVを達成することができる。例えば、6−8度の円形FOVの配置において、6度より大きい円形FOV、または、さらに10度の円形FOVに近づくものである。一方で、4MAデザインの使用可能なFOVは、典型的には6度の円形FOVより小さく制限されている。加えて、
図3Aおよび
図3Bで提供される光学処方に対応しているアフォーカル5MA 200の例は、0.7μmにおいて回折限界(diffraction limited)である。比較として、
図4の従来のアフォーカル4MA 400は、ずっと長い波長において回折限界である。
【0033】
ここにおいて開示される態様に従って、特定の実施形態に応じたアフォーカル5MAの低減された物理的サイズ、および光学的パフォーマンスの向上は、単一の負のパワーのミラーだけを有する従来のアフォーカル3MAまたは4MAデザインと比較して、デザインにおいて2つの負のパワーのミラーを有することによって、少なくとも部分的に達成されている。上述のように、アフォーカル5MAは、2ミラーメルセンヌ望遠鏡(ミラー210および220)と後続の3ミラーアフォーカル瞳リレー(ミラー230、240、および250)で構成されているものと考えることができる。メルセンヌ望遠鏡(例えば、第2ミラー220)およびアフォーカル瞳リレー(例えば、第4ミラー240)の両方において負のパワーのミラーを有することによって、全体的なシステムの両方の部分を個別に最適化することができ、そして、それにより、比較的に低減された物理的サイズを有するよりコンパクトなシステムを達成している。例えば、メルセンヌ望遠鏡とアフォーカル瞳リレーのそれぞれによって提供される倍率が、個別に最適化され得る。全体的なシステムの倍率が4倍である一つの例において、メルセンヌ望遠鏡(ミラー210および220)は2.77倍の倍率でデザインされ、そして、アフォーカル瞳リレー(ミラー230−250)は1.44倍の倍率でデザインされ得る。これら2つの倍率の積が、4.0倍の全体的なシステム倍率である。各部分の倍率は、このように、相対的にバランスが取れており、システムにおける無駄なスペースを低減することができ、よりコンパクトな形態を導いている。上述のように、第2ミラー220および第4ミラー240両方の負の光学的パワーが、他の3つのミラーの光学的パワーおよびフィールド湾曲をバランスするように利用可能であるので、大きなデザインの柔軟性を達成することができ、より有能で(改善された光学的パフォーマンス)コンパクトなシステムを導いている。対照的に、
図4の従来のアフォーカル4MA 400は、単一の負のパワーを有するミラー420だけを有し、残り3つのミラーのフィールド湾曲のバランスを取る必要があり、そして、システムデザインは、従って、はるかに多く制限されている。例えば、上記の例のように、3.75倍の倍率を達成するために、メルセンヌ望遠鏡(ミラー410および420)は3.67倍の倍率を有し、かつ、瞳リレー(ミラー430および440)はたった1.02倍の倍率を有するので、はるかにバランスが悪く、そして、従って、上述の新たなアフォーカル5MAについて達成され得る構成よりは最適なものでない。
【0034】
このように、態様および実施形態は、優れた光学的パフォーマンスを達成するために2つの負のパワーのミラーを(3つの正のパワーのミラーと組み合わせて)含むことを有利に利用する新たな5ミラーアフォーカル光学的形態を提供する。より大きな使用可能なFOVおよび改善された回折限界パフォーマンスの両方、および、既存の全反射アフォーカルシステムと比較してよりコンパクトな物理的サイズを含んでいるものである。
【0035】
少なくとも1つの実施形態に係る上記のいくつかの態様を説明してきたが、当業者にとっては様々な変更、修正、および改良を容易に思い付くであろうことが理解されるべきである。そうした変更、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図されており、そして、本発明の範囲内にあることが意図されている。従って、前述の説明および図面は単なる例である。特に、ここにおいて説明される方法および装置の実施形態は、アプリケーションにおいて、前述の説明で明らかにされ、または、添付の図面に示されたコンポーネントの構成および配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本方法および装置は、他の実施形態において実施することができ、かつ、様々な方法で実践または実行することができる。特定の実施形態に係る例は、ここにおいては説明目的のためだけに提供されるものであり、そして、限定することを意図するものではない。また、ここにおいて使用される表現および用語は、説明を目的とするものであり、限定的であるとみなされるべきではない。「含む("including"、"comprising"、"having"、"containing”、"involving")」及びそれらの変形のここにおける使用は、それ以降に列挙されるアイテム及びその等価物ならびに追加のアイテムを包含することを意味する。「または("or")」に対する参照は、「または」を使用して記載されるあらゆる用語が、単一、1つ以上、および全ての記載された用語のうちいずれかを示し得るように包括的なものであると理解されてよい。表と裏、左と右、上面と底面、上部と下部、および、垂直と水平に対するあらゆる参照は、説明の便宜のために意図されたものであり、本システムおよび方法またはそれらのコンポーネントをいずれか1つの位置的または空間的な方向に限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求項およびその等価物の適切な構成から決定されるべきである。