特許第6605754号(P6605754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6605754自動車用のキーレスアクセスシステムおよびアクセスシステムの信号発生器の位置を特定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605754
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】自動車用のキーレスアクセスシステムおよびアクセスシステムの信号発生器の位置を特定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 11/06 20060101AFI20191031BHJP
   G01S 19/51 20100101ALI20191031BHJP
   G01S 19/16 20100101ALI20191031BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20191031BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20191031BHJP
   B60R 25/33 20130101ALI20191031BHJP
【FI】
   G01S11/06
   G01S19/51
   G01S19/16
   E05B49/00 J
   B60R25/24
   B60R25/33
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-548164(P2018-548164)
(86)(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公表番号】特表2019-519752(P2019-519752A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2017052303
(87)【国際公開番号】WO2017162359
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】102016204838.4
(32)【優先日】2016年3月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヘアマン
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−202750(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/231421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 11/00−11/16
G01S 5/00− 5/14
G01S 19/00−19/55
B60R 25/00−99/00
E05B 1/00−85/28
H03J 9/00− 9/06
H04M 1/00
H04M 1/24− 1/82
H04M 99/00
H04Q 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)用のキーレスアクセスシステム(1)であって、
前記自動車(10)の1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスのための携帯型信号発生器(20)を含み、
前記携帯型信号発生器(20)は、前記自動車(10)に搭載された受信ユニット(11)に近距離無線接続を用いてイネーブル信号を伝送し、
前記受信ユニット(11)は、前記イネーブル信号の有効性が確定されかつ前記信号発生器(20)と前記自動車(10)との間の距離尺度を表す距離基準が満たされている場合に、前記1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスを許可し、
前記距離基準は、前記信号発生器(20)と前記受信ユニット(11)との間の前記近距離無線接続の重み付けされた受信電界強度と閾値との比較から結果として生じ、
前記受信電界強度は、前記信号発生器(20)と前記自動車(10)との間の距離値で重み付けされており、
前記距離値は、前記信号発生器(20)の第1の位置データと前記自動車(10)の第2の位置データとから算出することができ、
前記第1および第2の位置データは、複数の衛星から各GNSS受信器(15,25)までの信号の伝搬時間差に基づいている、キーレスアクセスシステム。
【請求項2】
前記信号発生器(20)から送信された信号の受信電界強度は、前記受信ユニット(11)によって求めることが可能である、請求項1記載のキーレスアクセスシステム。
【請求項3】
前記信号発生器(20)は、前記第1の位置データおよび前記第2の位置データを、特に異なった時点において、特定可能であるGNSS受信器(25)を備える、請求項1記載のキーレスアクセスシステム。
【請求項4】
前記信号発生器(20)は、該信号発生器(20)の前記第1の位置データを特定可能であるGNSS受信器(25)を備え、前記自動車(10)は、該自動車(10)の前記第2の位置データを特定可能であるGNSS受信器(15)を備える、請求項1記載のキーレスアクセスシステム。
【請求項5】
前記重み付けされた受信電界強度は、前記距離値によって除算された、測定された受信電界強度である、請求項1から4までのいずれか1項記載のキーレスアクセスシステム。
【請求項6】
前記測定された受信電界強度が電界強度の対数表示である場合、前記重み付けされた受信電界強度は、前記距離値の対数を差し引いた前記測定された受信電界強度である、請求項1から4までのいずれか1項記載のキーレスアクセスシステム。
【請求項7】
前記距離基準は、バイナリ変数である、請求項1から6までのいずれか1項記載のキーレスアクセスシステム。
【請求項8】
前記受信ユニット(11)および前記信号発生器(20)は、ブルートゥース規格802.15による通信インターフェース(12,26)を備え、前記受信ユニット(11)と前記携帯型信号発生器(20)との間の通信は、前記通信インターフェース(12,26)を介して行われる、請求項1から7までのいずれか1項記載のキーレスアクセスシステム。
【請求項9】
自動車(10)用のキーレスアクセスシステムの携帯型信号発生器(20)の位置を特定する方法であって、
前記携帯型信号発生器(20)は、前記自動車の1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスのために用いられ、
前記携帯型信号発生器(20)から近距離無線接続を介して送信された信号の受信電界強度を、前記自動車(10)に搭載された受信ユニット(11)によって測定し、
前記測定された受信電界強度を重み付けし、
前記信号発生器(20)と前記受信ユニット(11)との間の前記近距離無線接続の前記重み付けされた受信電界強度と、閾値との比較から距離基準を求め、
前記受信電界強度は、前記信号発生器(20)と、前記自動車(10)との間の距離値で重み付けされ、
前記距離値は、前記信号発生器(20)の第1の位置データと、前記自動車(10)の第2の位置データとから算出され、
前記第1および第2の位置データは、複数の衛星から各GNSS受信器(15,25)までの信号の伝搬時間差に基づいている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のキーレスアクセスシステムに関し、このキーレスアクセスシステムは、車両の1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスのための携帯型信号発生器を含み、携帯型信号発生器は、車両に搭載された受信ユニットに近距離無線接続を用いてイネーブル信号を伝送し、ここで受信ユニットは、イネーブル信号の有効性が確定されかつ信号発生器と自動車との間の距離尺度を表す距離基準が満たされている場合に、1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスを許可する。さらに本発明は、自動車用のそのようなキーレスアクセスシステムの携帯型信号発生器の位置を特定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キーレスアクセスシステムは、例えば、権限のない人が車両にアクセスすること、もしくは車両内に侵入することを困難にするために、または権限のあるアクセスですら完全に阻止するために、自動車において使用される。他方では、権限のある人達にとってのアクセスは、従来のキーを扱うときのケースであるように、できるだけ簡単に構成されるべきである。
【0003】
欧州特許第0570761号明細書からは、パッシブキーレスアクセスシステムが公知である。このパッシブキーレスアクセスシステムは、符号化された発生器信号を伝送するセンサを有する携帯型信号発生器を含んでいる。符号化された発生器信号は、車両に割り当てられた受信器とのクロックコードを含む。受信器は、携帯型信号発生器が車両周囲の所定の範囲内に存在する場合に、符号化された発生器信号を受信するためのアンテナを有している。受信器は、発生器信号を復号化しかつ所定の機能、詳細には車両ドアの開閉を作動化させる制御手段を含む。
【0004】
そのようなキーレスアクセスシステムの場合、いくつかの機能にとって、信号発生器と車両との相対的な距離を知ることは必要である。信号発生器が所定の限界距離を下回って存在している場合にのみ、所定の機能を実施することが可能である。そのような機能とは、例えば、信号発生器を用いた自動車のウインドウおよび/またはサンルーフの快適な閉鎖であってもよい。安全上の理由から、この限界距離は、車両の監視が信号発生器を操作する人によって保証されるように選択されている。
【0005】
125ないし130kHzのLF周波数で動作するキーレスアクセスシステムでは、測定された電界強度を処理することで、信号発生器と車両との相対的な距離を特定する際の十分な精度が可能である。なぜなら、LF電界強度は、距離の3乗に依存しているからである。
【0006】
携帯電話の普及がますます加速していることにより、これをキーレスアクセスシステムの信号発生器として使用することが望ましい。車両へのパッシブアクセスは、例えば、車両と携帯電話との間の、例えばブルートゥース規格に準拠した近距離無線接続を用いて実施することが可能である。ギガヘルツ領域のより高い周波数と、電界としての伝搬とに基づき、RF電界強度(RF,RSSI-Received Signal Strength Indicator)の特定によって、信号発生器としての携帯電話と、車両との間の距離の十分な精度を求めることはできない。これは、RF電界強度が距離の2乗に依存していることによる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、近距離無線接続を使用する信号発生器の利用のもとで、RF無線遠隔制御区間を用いて距離依存性の機能の実現を可能にする、機能的に改善されたキーレスアクセスシステムを提供することにある。さらに本発明の課題は、そのようなキーレスアクセスシステムの携帯型信号発生器の位置を特定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、請求項1の特徴部分によるキーレスアクセスシステムならびに請求項11の特徴部分による方法によって解決される。
【0009】
本発明は、車両の1つ以上のドアまたはリッドにアクセスするための携帯型信号発生器を含み、信号発生器は、自動車に搭載された受信ユニットに近距離無線接続を用いてイネーブル信号を伝送し、ここで受信ユニットは、イネーブル信号の有効性が確定されかつ信号発生器と自動車との間の距離尺度を表す距離基準が満たされている場合に、1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスを許可する、自動車用のキーレスアクセスシステムを提案する。本発明によれば、距離基準は、信号発生器と受信ユニットとの間の近距離無線接続の重み付けされた受信電界強度と、閾値との比較から結果として生じる。
【0010】
近距離無線接続とは、900MHzと2.5GHzとの間の周波数領域内の周波数を使用する無線接続を意味するものと理解されたい。
【0011】
近距離無線接続の受信電界強度を重み付けすることにより、LF電界強度測定を使用するキーレスアクセスシステムに匹敵し得る、信号発生器の位置特定を達成することが可能になる。これにより、LF電界強度を使用するキーレスアクセスシステムから公知の機能を、RF通信チャネルのもとでも同様に使用することができる。これらは、例えば、信号発生器を用いたウインドウおよび/またはサンルーフの閉鎖である。
【0012】
携帯用信号発生器は、移動端末である。特に、この移動端末は、例えばスマートフォンのような移動無線端末である。そのような移動端末は、自動車の受信ユニットと通信することができるだけでなく、その上さらに位置特定を行うこともでき、それらを用いて距離基準を求めることが可能である。これによって、信号発生器として、一方では自動車の受信ユニットとの近距離無線接続用のためのインターフェースを有し、他方では位置特定を実施することができるあらゆる移動端末を使用することができる。
【0013】
一実施形態では、信号発生器から送信された信号の受信電界強度は、受信ユニットによって求めることが可能である。受信電界強度は、ワイヤレス通信分野の受信電界強度の指標を表す「受信信号強度インジケータ」(RSSI:Received Signal Strength Indicator)としても公知である。この受信電界強度の特定は、携帯電話によって公知であり、この場合、この指標は、通信のために使えるチャネルを見つけるために使用される。受信電界強度の測定は当業者には従来技術から公知なものなので、受信電界強度を求めることに関する説明は本明細書では省く。本発明のキーレスアクセスシステムでは、受信電界強度は、説明したように受信ユニットによって求められる。
【0014】
合目的には、受信電界強度は距離値で、すなわち信号発生器と自動車との間の求められた距離で重み付けされている。この距離値は、信号発生器の第1の位置データと車両の第2の位置データとから算出することができ、ここでは第1および第2の位置データは、複数の衛星から各GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器までの信号の伝搬時間差に基づいている。当業者には既知であるように、距離差は時間差に比例するという事実が利用される。この場合実際には、不精度が生じる。なぜなら、衛星までの信号速度が時間的におよび空間的にわずかに変化するからである。さらに、衛星の軌道誤差およびクロック誤差は受信器には正確に知られていない。いずれにせよ、この作用の影響は、密に隣接する受信器にとって、すなわち車両および信号発生器にとって、正確に同じである。そのため、位置差は正確に測定可能である。したがって、距離値の正確な特定も可能である。
【0015】
第1の実施形態では、信号発生器は、第1の位置データおよび第2の位置データを、異なる時点で特定可能であるGNSS受信器を備えることができる。そのため、例えば、信号発生器の測定による車両の位置を、エンジンが切られた場合には後で使用するために記憶させることができる。その後、信号発生器を用いて、その実行に距離尺度が必要となるキーレスアクセスシステムの所定の機能を作動させるべき場合には、信号発生器の位置は、他の時点で求めることができる。次いで、事前に測定された車両の位置データと、信号発生器の第1の位置データとを用いた計算により、距離値を求めることができる。この実施形態は、車両が固有のGNSS受信器を有していないかまたはGNSS受信器が例えばパーキングビル内での駐車のような不利な状況に基づいて、一時的に機能できない場合であっても、距離値を求めることが可能である。
【0016】
代替的な実施形態では、信号発生器は、信号発生器の第1の位置データを特定可能であるGNSS受信器を備え、自動車は、自動車の第2の位置データを特定可能であるGNSS受信器を備える。この実施形態では、これらの位置データは、異なるGNSS受信器により、車両によっても信号発生器によっても求められる。
【0017】
この手順によれば、位置特定の精度と共に距離値の特定も保証される。なぜならディファレンシャルグローバルポジショニングシステム(Differential Global Positioning System,略してDGPS)の場合に類似して、自動車と信号発生器との僅かな距離に基づき相互の測定誤差が消去されるからである。したがって、位置を求める精度と共に距離値を求める精度も、信号発生器とこの信号発生器によって実施される位置特定とによって提供される。
【0018】
距離値を求めることは、例えば車両の計算ユニットによって行うことができ、この場合はこの目的のために、信号発生器が自信によって求められた位置データを自動車に評価のために伝送することが必要である。
【0019】
重み付けされた受信電界強度は、距離値によって除算された、測定された受信電界強度であってもよい。測定された受信電界強度がRSSIであるならば、重み付けされた受信電界強度RSSIgewichtetは、RSSIgewichtet=RSSI/距離値である。
【0020】
測定された電界強度RSSIが電界強度の対数表示である場合には、重み付けされた受信電界強度RSSIgewichtetは、距離値の対数log10(距離値)を差し引いた、測定された受信電界強度、すなわち、RSSIgewichtet=RSSI−log10(距離値)である。
【0021】
距離値との比較により、距離基準がバイナリ変数として得られる。これによって、この距離基準は、キーレスアクセスシステムの所定の機能を実施するのに距離が十分な短さかどうか、すなわち、実行可能かどうかについての見通しのみを示唆する。絶対距離はこの方法によって提供されない。
【0022】
さらなる合目的な実施形態によれば、受信ユニットおよび信号発生器は、ブルートゥース規格802.15による通信インターフェースを備え、ここで受信ユニットと携帯型信号発生器との間の通信は、通信インターフェースを介して行われる。ブルートゥース規格の利用は有利である。なぜなら、この規格は移動端末として構成された信号発生器において広く普及しているからである。
【0023】
しかしながら、基本的には、他の近距離無線規格も使用可能である。
【0024】
本発明は、さらに、自動車用のキーレスアクセスシステムの携帯型信号発生器の位置を特定する方法を提供しており、ここで携帯型信号発生器は、自動車の1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスのために用いられる。この方法では、携帯型信号発生器から近距離無線接続を介して送信された信号の受信電界強度が、自動車に搭載された受信ユニットによって測定される。測定された受信電界強度は重み付けされる。信号発生器と受信ユニットとの間の近距離無線接続の重み付けされた受信電界強度と、閾値との比較から、距離基準が求められる。
【0025】
受信電界強度は、特に、信号発生器と自動車との間の距離値で重み付けされる。
【0026】
特に、距離値は、信号発生器の第1の位置データと、車両の第2の位置データとから算出され、ここで第1および第2の位置データは、複数の衛星から各GNSS受信器までの信号の伝搬時間差に基づいている。
【0027】
以下では、本発明を図面の実施例に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明によるキーレスアクセスシステムの実施例の概略図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明によるキーレスアクセスシステム1を示す。このアクセスシステム1は、図1中に詳細には示されていない1つ以上のドアまたはリッドへのアクセスに、または詳細には示されていない自動車10の始動に用いられる。キーレスアクセスシステム1は、その上さらに携帯型信号発生器20を含み、この携帯型信号発生器20は、移動端末21の形態で存在している。例えば、この移動端末21は、例えばスマートフォンのような移動無線端末であってもよい。これは、スマートフォンに対する典型例としてディスプレイ23と、1つ以上のキー形態の入力手段24とを備える。その上さらに、移動端末21として、それが以下で説明するインターフェースおよび特性を有する限り、他のあらゆる移動電子機器も使用可能である。
【0030】
移動端末21は、短い到達範囲にわたってデータを伝送するように構成された通信インターフェース26を有する。この通信インターフェース26は、例えばブルートゥースインターフェースとして構成されていてもよい。その上さらに、移動無線端末は、移動端末が複数の衛星からの信号の伝搬時間差に基づいて、位置特定を実施することができるGNSS受信器25を有する。当業者には既知であるように(ゆえにより詳細には説明しないが)、位置特定のもとでは距離差は時間差に比例していることが前提とされる。
【0031】
移動端末21は移動無線端末であることを仮定すると、移動端末21は、その上さらに、例えば公知のGSM規格またはUMTS規格に準拠するさらなる通信インターフェース27を備えている。しかしながら、この通信インターフェース27は本発明にとっては重要ではないので、このような移動無線端末の機能およびさらなる機能についてより詳細には説明しない。
【0032】
より詳細には示されていない自動車10は、近距離通信(例えばブルートゥース)用の通信インターフェース12を有する受信ユニット11を有し、通信インターフェース12に接続され、通信インターフェース12から受信した信号を処理し、ならびに通信インターフェース12を介して送信されるべき信号を提供する計算ユニット13を有する。受信ユニット11は、例えばトランシーバである。さらに、この受信ユニットは、移動端末21から送信された信号の受信電界強度を特定する手段14を有する。その上さらに、この車両10は、任意のGNSS受信器を有する。
【0033】
受信ユニット11の通信インターフェース12と、移動端末21の通信インターフェース26との間の通信は、通信パスK1を介して、近距離無線接続、好ましくはブルートゥースを介して行われる。
【0034】
移動端末21の位置特定のために、手段14により、移動端末21から送信された信号のRF電界強度(RSSI)が測定される。加えて、距離値、すなわち、移動端末21と自動車10との間の距離が求められる。これは、それぞれ、自動車10のGNSS受信器15の位置および移動端末21のGNSS受信器25の位置の特定と計算とによって行うことができる。複数の衛星を用いた位置特定は従来技術から公知であるので、これについてはここではより詳細には説明しない。移動端末21によって求められた位置は、距離値の特定のために、通信パスK1を介して受信ユニット11に伝送することができる。
【0035】
自動車10がGNSS受信器15を有していない場合、自動車10の位置特定は、移動端末11を用いて行うこともできる。この目的のために、位置特定は、例えば自動車のエンジンを切るときに行われる。ここでは、この時点で求められた位置は、後からの使用のために記憶される。この手順では、移動端末21は、自動車10のエンジンが切られた時点では、自動車10内に存在し、それに伴い自動車10の位置に相応することが前提とされる。次いで、後の時点では、自動車10と移動端末21との間の距離値が求められるべき場合に、移動端末21によってその位置が特定され、この位置値が通信パスK1を介して自動車10の受信ユニット11に伝送される。
【0036】
移動端末21の位置特定のために、測定された電界強度RSSIは、距離値(すなわち、自動車10と移動端末21との間の距離)で重み付けされる。この重み付けは、例えば、以下の関係式、すなわち、
RSSIgewichtet=RSSI/距離値
のように行うことができる。測定されたRF電界強度RSSIが電界強度の対数表示である場合には、以下の関係式、すなわち、
RSSIgewichtet=RSSI−log10(距離値)
で表される重み付けされた電界強度を使用することができる。
【0037】
次いで、重み付けされた電界強度RSSIgewichtetは、定性的距離決定のために使用される。例えばこの目的のために、例えば事前に試行によって確定された閾値との比較が行われる。この比較の結果は、単なるバイナリ自然数である。すなわち、移動端末の所定の位置が距離限界値の範囲内にあるか否かの情報が存在する。前者の場合にのみ、移動端末から自動車に伝送される信号を、所定の機能の実行、例えば、自動車10のウインドウまたはサンルーフの閉鎖に結び付けることができる。
【0038】
測定されたRF電界強度を重み付けすることにより、従来のキーレスアクセスシステムから公知の機能性を使用することが可能となる。ここでの従来のキーレスアクセスシステムとは、その通信の枠内でLF周波数を使用するようなアクセスシステムを意味するものと理解されたい。
【0039】
距離値を求めるための前述した手順によれば、GNSS測定の精度も、この方法において考慮される。その上さらに、求められた車両位置および車両までの移動端末の距離は、例えば車両探索のようなさらなる機能のために使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 キーレスアクセスシステム
10 自動車
11 受信ユニット
12 通信インターフェース(ブルートゥースなど)
13 計算ユニット
14 受信電界強度測定手段
15 GNSS受信器
20 携帯型信号発生器
21 送信ユニット(移動無線端末)
23 ディスプレイ
24 入力手段
25 GNSS受信器
26 通信インターフェース(ブルートゥースなど)
27 通信インターフェース
図1