特許第6605763号(P6605763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605763
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】キノリン誘導体のエタンスルホン酸塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20191031BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   A61K31/4709
   A61P35/00
   A61P37/00
   A61P9/00
   A61P35/02
   A61P43/00 111
【請求項の数】14
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2018-564622(P2018-564622)
(86)(22)【出願日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】JP2018002250
(87)【国際公開番号】WO2018139527
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-11835(P2017-11835)
(32)【優先日】2017年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】根門 孝裕
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 秀臣
(72)【発明者】
【氏名】小野 静香
(72)【発明者】
【氏名】西山 敏彦
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−519698(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/012298(WO,A1)
【文献】 BERGE,S. M., et al.,JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES,米国,AMERICAN PHARMACEUTICAL ASSOCIATION,1977年,Vol. 66,No. 1,pp. 1-19
【文献】 川口洋子ら,医薬品と結晶多形,生活工学研究,2002年,Vol.4, No.2,p.310-317
【文献】 新医薬品の規格及び試験方法の設定について,医薬審発第568号,2001年
【文献】 大島寛,結晶多形・擬多形の析出挙動と制御,PHARM STAGE,2007年 1月15日,Vol.6, No.10,p.48-53
【文献】 高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,2007年 1月15日,Vol.6, No.10,p.20-25
【文献】 山野光久,医薬品のプロセス研究における結晶多形現象への取り組み,有機合成化学協会誌,2007年 9月 1日,Vol.65, No.9,p.907(69)-913(75)
【文献】 BYRN S,PHARMACEUTICAL SOLIDS: A STRATEGIC APPROACH TO REGULATORY CONSIDERATIONS,PHARMACEUTICAL RESEARCH,米国,KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS,1995年 7月 1日,V12 N7,P945-954
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/14
A61K 31/4709
A61P 9/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 37/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩。
【請求項2】
N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶。
【請求項3】
粉末X線回折スペクトルにおいて、7.3、7.9、9.1、10.7、11.2、12.5、13.4、15.6、16.2、16.5、17.7、18.0、18.4、19.1、20.1、20.8、21.2、21.5、22.4、23.0、23.6、および24.0度2θにピークを有する、請求項2記載の結晶。
【請求項4】
図1に示される粉末X線回折スペクトルチャートを特徴とする請求項2または3に記載の結晶。
【請求項5】
示差走査熱量測定において、オンセット温度が283℃またはピーク温度が286℃である吸熱ピークを有する、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項6】
図2に示される示差走査熱量測定チャートを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の結晶。
【請求項7】
N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩又は請求項2ないし6のいずれか1項に記載の結晶と、薬学的に許容される担体とを含有してなる医薬組成物。
【請求項8】
Axl阻害剤である請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
Axl関連疾患の予防および/または治療剤である請求項7記載の医薬組成物。
【請求項10】
Axl関連疾患が、癌、免疫系疾患、または循環器系疾患である請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
癌が、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、メラノーマ、ブドウ膜悪性黒色腫、頭頸部癌、食道癌、食道腺癌、胃癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰部癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、皮膚癌、神経膠腫、脳腫瘍、胸膜中皮腫、または原発不明癌である請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩又は請求項2ないし6のいずれか1項に記載の結晶を含有してなるAxl関連疾患の予防および/または治療剤。
【請求項13】
Axl関連疾患が、癌、免疫系疾患、または循環器系疾患である請求項12記載の剤。
【請求項14】
癌が、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、メラノーマ、ブドウ膜悪性黒色腫、頭頸部癌、食道癌、食道腺癌、胃癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰部癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、皮膚癌、神経膠腫、脳腫瘍、胸膜中皮腫、または原発不明癌である請求項13記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Axl阻害活性を有し、免疫系疾患、癌等の予防および/または治療薬として有用な、N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドのエタンスルホン酸塩(エシル酸塩とも言う)、その結晶(以下、本発明化合物と略記することがある。)およびその医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Axl(別名:UFO、ARK、Tyro7)は、腫瘍細胞からクローニングされたTAMファミリー(Axl、MerおよびTyro3)に属する受容体型チロシンキナーゼである。細胞増殖停止時に特異的に発現する遺伝子としてクローニングされたGas6(growth-arrest-specific protein 6)が、Axlのリガンドとして知られている。Gas6の結合により活性化されたAxlは、リン酸化を介してシグナルを伝達する。そのシグナルは、Erk1/2経路やPI3K/Akt経路を活性化するため、Axlの活性化は、癌、免疫系疾患、循環器系疾患等の病態に関与することが知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
特に、Axlと各種癌との関連はよく知られており、例えば、Axlの発現が、乳癌の転移や予後に関与していること(非特許文献2参照)、Axlが急性骨髄性白血病(AML; acute myeloid leukemia)の病態に関与していること(非特許文献3参照)等が知られている。したがって、Axlの活性化を阻害する化合物は、各種癌、免疫系疾患、循環器系疾患の治療に有用であると考えられる。
【0004】
本発明化合物の先行技術として、一般式(A)
【化1】
(式中、AAはC−R10A、Nを表し;BAはC−R11A、Nを表し;DAは以下のヘテロ環
【化2】
等を表し;R1A、R4A、R88Aは独立して、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−NH2、−OCH3、−OC25等を表し;R2AおよびR3Aは独立して、−R88A等を表し;R5AおよびR6Aは同じでも異なってもよく、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−CH3等を表し;R7A、R8A、R10AおよびR11Aは同じでも異なってもよく、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−CH3等を表し;R9Aは−H等を表し;R12Aは−CN、フェニル等を表し;R13Aは−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CH3等を表し;R14Aは−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN等を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、Axl阻害剤であることが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、一般式(B)
【化3】
(式中、EBおよびGBは独立して、水素原子、1〜6個のR19Bで置換されていてもよいC1〜6のアルキル基、1〜6個のR19Bで置換されていてもよいC6〜11のアリール基等を表し;XBはNまたはC−R4Bを表し;YBはNまたはC−R1dBを表し;DBは−O−、−S−、−NH−等を表し;WBはCHまたはNを表し;RaB、RbB、RcB、RdB、R1aB、R1bB、R1cB、R1dBおよびR4Bは独立して、水素原子、−OR110B等を表し;R19Bはハロゲン原子、−CN等を表し;R110Bは水素原子、1〜6個のR129Bで置換されていてもよいC1〜6のアルキル基等を表し;R129BはC1〜6のアルキル基、C1〜6のハロアルキル基等を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、Axl阻害剤であることが知られている(特許文献2参照)。
【0006】
一方、キノリン骨格を有する、式(C)
【化4】
で示される化合物が、ASK1阻害活性を有し、筋委縮性側索硬化症(ALS)の予防および/または治療剤として知られている(特許文献3参照)。
【0007】
さらに、一般式(D)
【化5】
(式中、RD
【化6】
等を表し;TDはフェニル等を表し;ZDはNまたはCR7Dを表し;WDは置換または非置換のフェニル、置換または非置換の6員の窒素含有ヘテロアリール等を表し;XDはO、S、S(=O)等を表し;YDは−NRaDC(=O)−(CR3D4DpD−等を表し;RaDは、水素原子、アルキル基等を表し;R1D
【化7】
等を表し;J2DはOまたはCR4aD4aDを表し;QDは1〜5員の飽和された、または部分的に不飽和なアルキル鎖等を表し;R1Dは置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよい5〜6員のヘテロ環と縮合してもよい;R3DおよびR4Dはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル、アリール基等を表し;R4aDは存在しないか、水素原子、ハロゲン原子等を表し;R8Dは水素原子、シアノ基、水酸基等から独立して選択される1つ以上の置換基を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、c−Met阻害剤であることが知られている(特許文献4参照)。
【0008】
また、特許文献5には、本発明化合物の遊離塩基であるN−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(以下、化合物Aと略記することがある。)が実施例5として記載されている。また、特許文献5には、化合物AがAxl選択的な阻害活性を有し、CYP阻害作用が低い化合物であることが記載されている。一方、特許文献5には、化合物Aの酸付加塩に関する具体的な実施例の記載はない。ましてや、化合物Aのエタンスルホン酸塩に関し、当該エタンスルホン酸塩がAxl選択的な阻害活性を有し、CYP阻害作用が低いことに加え、化合物Aの各種酸付加塩の中でも吸湿性が低く、湿度および光に対して安定であることについて記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2012/028332号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2013/074633号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2012/011548号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/116713号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2015/012298号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】クリニカル・サイエンス(Clinical Science)、第122巻、361−368ページ、2012年
【非特許文献2】プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the national academy of sciences of the United States of America)、第107巻、第3号、1124−1129ページ、2010年
【非特許文献3】ブラッド(Blood)、第121巻、2064−2073ページ、2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、Axlの発現が関与する疾患、例えば、癌等の予防および/または治療剤を提供するため、Axl選択的な阻害活性を有し、CYP阻害作用が低いことに加え、化合物Aの各種酸付加塩の中でも吸湿性が低く、湿度および光に対して安定な塩を医薬品原薬として提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明化合物が、化合物Aの各種酸付加塩の中でも吸湿性が低く、湿度および光に対して安定な塩であることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
本発明は、例えば、下記の実施態様を提供する。
[1] N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩、
[2] N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶、
[3] 粉末X線回折スペクトルにおいて、約7.3、約7.9、約9.1、約10.7、約11.2、約12.5、約13.4、約15.6、約16.2、約16.5、約17.7、約18.0、約18.4、約19.1、約20.1、約20.8、約21.2、約21.5、約22.4、約23.0、約23.6、および約24.0度2θにピークを有する、前記[2]記載の結晶、
[4] 図1に示される粉末X線回折スペクトルチャートを特徴とする前記[2]または[3]に記載の結晶、
[5] 示差走査熱量測定において、オンセット温度が約283℃またはピーク温度が約286℃である吸熱ピークを有する、前記[2]ないし[4]に記載の結晶、
[6] 図2に示される示差走査熱量測定チャートを特徴とする前記[2]ないし[5]に記載の結晶、
[7] N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩又は前記[2]ないし[6]のいずれか1つに記載の結晶と、薬学的に許容される担体とを含有してなる医薬組成物、
[8] Axl阻害剤である前記[7]記載の医薬組成物、
[9] Axl関連疾患の予防および/または治療剤である前記[7]記載の医薬組成物、
[10] Axl関連疾患が、癌、免疫系疾患、または循環器系疾患である前記[9]記載の医薬組成物、および
[11] 癌が、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、メラノーマ、ブドウ膜悪性黒色腫、頭頸部癌、食道癌、食道腺癌、胃癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰部癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、皮膚癌、神経膠腫、脳腫瘍、胸膜中皮腫、または原発不明癌である前記[10]記載の医薬組成物、
[12] N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩又は前記[2]ないし[6]のいずれか1つに記載の結晶の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、Axl関連疾患の予防および/または治療方法、
[13] Axl関連疾患の予防および/または治療のための、N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩又は前記[2]ないし[6]のいずれか1つに記載の結晶、
[14] Axl関連疾患の予防および/または治療剤の製造のための、N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩又は前記[2]ないし[6]のいずれか1つに記載の結晶の使用、
等の実施態様が挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明化合物は、Axl選択的な阻害活性を有し、CYP阻害作用が低いことに加え、化合物Aの各種酸付加塩の中でも吸湿性が低く、湿度および光に対して安定な塩であるため、癌等のAxlの発現が関与する疾患の安全性に優れた予防および/または治療剤の医薬品原薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図1中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図2】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶の示差走査熱量測定(DSC)チャートを表す。
図3】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(C型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図3中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図4】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(C型結晶)の示差走査熱量測定(DSC)チャートを表す。
図5】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(D型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図5中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図6】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(D型結晶)の示差走査熱量測定(DSC)チャートを表す。
図7】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(E型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図7中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図8】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(E型結晶)の示差走査熱量測定(DSC)チャートを表す。
図9】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(F型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図9中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図10】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(F型結晶)の示差走査熱量測定(DSC)チャートを表す。
図11】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(G型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図11中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図12】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(H型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図12中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図13】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミドの結晶(H型結晶)の示差走査熱量測定(DSC)チャートを表す。
図14】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 塩酸塩(C型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図14中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図15】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩(A型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図15中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図16】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩(C型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図16中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図17】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 硫酸塩(A型結晶)の粉末X線回折スペクトルチャートを表す。(図17中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図18】N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(E型結晶)の粉末X線−DSCスペクトルチャートを表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明において、「Axl選択的な阻害活性を有する」とは、Axl以外のチロシンキナーゼ、特にKDR、DDR1、FLT4、ROSに対してAxl選択的な阻害活性を有することを意味する。この特性により、これらAxl以外のチロシンキナーゼを阻害することによって引き起こされる予期できない副作用を回避できる。
【0018】
本発明において、N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(化合物A)とは、以下の構造式
【化8】
で示される化合物を意味する。
【0019】
[化合物Aの酸付加塩の検討]
後記する実施例5で製造した化合物Aと種々の酸性カウンターを用いて、後記する実施例に記載の方法で化合物Aの各種酸付加塩を製造した。結晶が得られた場合には、下記の条件で物性データを測定した。
【0020】
[1]粉末X線回折スペクトル
<測定条件>
装置:BRUKER axs製BRUKER D8 DISCOVER with GADDS、
ターゲット:Cu、
フィルター:なし、
電圧:40kV、
電流:40mA。
【0021】
[2]示差走査熱量測定(DSC)
<測定条件>
装置:METTLER TOLEDO製DSC 822e、
試料量:1〜2mg、
試料セル:アルミパン40μL、
窒素ガス流量:40mL/min、
昇温速度:10℃/min(25〜240℃)。
【0022】
[3]吸湿性(DVS;Dynamic Vapor Sorption)評価
<測定条件>
装置:TAインスツルメント社製SGA-100、
試料量:10〜20mg、
測定温度:25℃、
測定前乾燥:60℃、1時間、
開始湿度:0%RH、
最大湿度:90%RH、
ステップ:10%RH、
平衡基準:5分間で重量変化率が0.01%以下、
サンプリング間隔:30秒間、
データ記録間隔:2分間あるいは重量変化率が0.01%以上となった時間。
【0023】
[4]PXRD−DSC同時測定の条件
<測定条件>
装置:リガク製 Rint Ultima、
ターゲット:Cu、
電圧:40kV、
電流:50mA、
走査速度:10°/min、
昇温速度:2℃/min(室温〜200℃)。
【0024】
本発明化合物の粉末X線回折スペクトルを図1に、示差走査熱量測定(DSC)チャートを図2にそれぞれ示す。また、本発明化合物の粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θ(度)および相対強度(%)を以下の表1に示す。
【表1】
【0025】
また、図2に示す通り、本発明化合物は、約282.7℃のオンセット温度および約286.1℃のピーク温度で示される吸熱ピークを示した。
【0026】
化合物Aの結晶(実施例5(1)記載のC晶、実施例5(2)記載のD晶、実施例5(3)記載のE晶、実施例5(4)記載のF晶、実施例5(5)記載のG晶、および実施例5(6)記載のH晶)の粉末X線回折スペクトルを図3図5図7図9図11および図12にそれぞれ示した。また、化合物Aの結晶(実施例5(1)記載のC晶、実施例5(2)記載のD晶、実施例5(3)記載のE晶、実施例5(4)記載のF晶、および実施例5(6)記載のH晶)の示差走査熱量測定(DSC)チャートを図4図6図8図10および図13にそれぞれ示す。また、そのうち、化合物AのC晶の粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θ(度)および相対強度(%)を以下の表2に示す。
【表2】
【0027】
図4に示す通り、化合物AのC晶は、約160.3℃のオンセット温度および約175.8℃のピーク温度で示される融解に対する吸熱ピークを示した。
【0028】
また、化合物Aの各種酸付加塩の製造方法を実施例にて後記するが、本発明化合物以外の酸付加塩は結晶多形が存在し、結晶の多形制御が困難であることがわかった。
【0029】
本発明において、化合物A、または化合物Aの各種酸付加塩の各結晶形は、本明細書に記載された物理化学データによって特定されるものであるが、各スペクトルデータは、その性質上多少変わり得るものであるから、厳密に解されるべきではない。
【0030】
例えば、粉末X線回折スペクトルデータは、その性質上、結晶の同一性の認定においては、回折角(2θ)や全体的なパターンが重要であり、相対強度は結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によって多少変わり得る。
【0031】
また、DSCデータにおいても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
【0032】
したがって、本発明化合物において、粉末X線回折スペクトルまたはDSCとパターンが、それぞれ全体的に類似するものは、本発明化合物に含まれるものである。
【0033】
本明細書中、粉末X線回折パターンにおける回折角(2θ(度))及びDSC分析における吸熱ピークのオンセット温度(℃)の記載は、当該データ測定法において通常許容される誤差範囲を含むことを意味し、おおよそその回折角及び吸熱ピークのオンセット値であることを意味する。例えば、粉末X線回折における回折角(2θ(度))の「約」は、ある態様としては±0.2度であり、さらに別の態様としては、±0.1度である。DSC分析における吸熱ピークのオンセット温度(℃)の「約」は、ある態様としては±2℃である。
【0034】
本発明の一実施形態において、化合物A、または化合物Aの各種酸付加塩の各結晶形は実質的に純粋である。「実質的に純粋である」への言及は、特定の結晶形が、存在する化合物のうちの少なくとも50%を占めることを意味する。また、別の一実施形態において、各結晶形は、存在する化合物Aのうちの少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または約94%〜98%を占める。
【0035】
本発明において、化合物A、または化合物Aの各種酸付加塩は、例えば後記する実施例、これらに準ずる方法に従って製造することが出来る。なお、再結晶を行う際、種晶は、使用しても、または使用しなくてもよい。
【0036】
本発明化合物は、溶媒和物に変換することもできる。溶媒和物は低毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)との溶媒和物が挙げられる。
【0037】
[毒性]
本発明化合物の毒性は十分に低いものであり、医薬品として安全に使用することができる。
【0038】
[医薬品への適用]
本発明化合物は、Axl阻害活性を有するので、哺乳動物、特にヒトにおいて、Axl関連疾患の予防および/または治療剤として使用することができる。
【0039】
本発明において、Axl関連疾患としては、例えば、癌、腎臓疾患、免疫系疾患、循環器系疾患が挙げられる。
【0040】
本発明において、癌としては、例えば、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病)、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、成人T細胞白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫))、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、頭頸部癌、食道癌、食道腺癌、胃癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(例えば、扁平上皮非小細胞肺癌、非扁平上皮非小細胞肺癌)、小細胞肺癌)、乳癌、卵巣癌(例えば、漿液性卵巣癌)、子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰部癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、尿路上皮癌(例えば、膀胱癌、上部尿路癌)、前立腺癌、精巣腫瘍(例えば、胚細胞腫瘍)、骨・軟部肉腫、皮膚癌(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫、悪性黒色腫(メラノーマ)、メルケル細胞癌)、神経膠腫、脳腫瘍(例えば、膠芽腫)、胸膜中皮腫および原発不明癌が挙げられる。
【0041】
本発明において、腎臓疾患としては、例えば、糸球体腎炎、慢性腎炎、IgA腎炎、続発性(二次性)腎炎、ネフローゼ腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、糖尿病性腎症、痛風腎、間質性腎炎、腎盂腎炎が挙げられる。
【0042】
本発明において、免疫系疾患としては、例えば、乾癬、関節リウマチが挙げられる。
【0043】
本発明において、循環器系疾患としては、例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症が挙げられる。
【0044】
また、本発明化合物は、Axl阻害活性を有するので、腫瘍細胞の転移抑制剤としても使用することができる。
【0045】
本発明化合物は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または
3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬物と組み合わせて、併用薬として投与してもよい。
【0046】
本発明化合物と他の薬物の併用薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明化合物を先に投与し、他の薬物を後に投与してもよいし、他の薬物を先に投与し、本発明化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0047】
上記併用薬により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
【0048】
本発明化合物の癌に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、例えば、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗癌性抗生物質、植物性アルカロイド薬、ホルモン薬、白金化合物、免疫チェックポイント阻害剤、抗CD20抗体、抗CD52抗体、G−CSF製剤、急性前骨髄性白血病分化誘導薬、キナーゼ阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、アロマターゼ阻害薬、その他の抗癌剤が挙げられる。
【0049】
本発明化合物の腎臓疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、例えば、ステロイド、免疫抑制薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗血小板薬、抗凝固薬が挙げられる。
【0050】
本発明化合物の免疫系疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、例えば、免疫抑制薬、ステロイド、疾患修飾型抗リウマチ薬、プロスタグランジン類、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテアーゼ阻害薬、抗TNF−α製剤、抗IL−1製剤、抗IL−6製剤等の抗サイトカインタンパク製剤、サイトカイン阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬が挙げられる。
【0051】
本発明化合物の循環器系疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、例えば、抗血小板薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、チアゾリジン誘導体が挙げられる。
【0052】
アルキル化薬の例としては、例えば、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、チオテパ、カルボコン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ダカルバジン、ラニムスチン、カルムスチン、クロラムブシル、ベンダムスチン、メクロレタミンが挙げられる。
【0053】
代謝拮抗薬の例としては、例えば、メトトレキサート、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル、カルモフール、ドキシフルリジン、シタラビン、エノシタビン、テガフール・ギメスタット・オタスタットカリウム、塩酸ゲムシタビン、シタラビンオクホスファート、塩酸プロカルバジン、ヒドロキシカルバミドが挙げられる。
【0054】
抗癌性抗生物質の例としては、例えば、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、ネオカルチノスタチン、塩酸ピラルビシン、(塩酸)エピルビシン、塩酸イダルビシン、クロモマイシンA3、(塩酸)ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、テラルビシン、ジノスタチン・スチマラマー、ゲムツズマブオゾガマイシン等が挙げられる。
【0055】
植物性アルカロイド薬の例としては、例えば、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、塩酸イリノテカン、エトポシド、フルタミド、酒石酸ビノレルビン、ドセタキセル水和物、パクリタキセルが挙げられる。
【0056】
ホルモン薬の例としては、例えば、リン酸エストラムスチンナトリウム、メピチオスタン、エピチオスタノール、酢酸ゴセレリン、ホスフェストロール(リン酸ジエチルスチルベストロール)、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、塩酸ファドロゾール水和物、酢酸メドロキシプロゲステロン、ビカルタミド、酢酸リュープロレリン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、アンドロゲンビカルタミド、フルベストラントが挙げられる。
【0057】
白金化合物の例としては、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチンが挙げられる。
【0058】
免疫チェックポイント阻害剤としては、免疫チェックポイント分子の機能を阻害する物質である。免疫チェックポイント阻害剤としては、免疫チェックポイント分子の機能(シグナル)を抑制しうる物質であれば特に限定されない。
【0059】
免疫チェックポイント阻害剤として好ましくは、ヒト免疫チェックポイント分子の阻害剤であり、さらに好ましくは、ヒト免疫チェックポイント分子に対する中和抗体である。
【0060】
免疫チェックポイント阻害剤の例としては、例えば、CTLA−4、PD−1、PD−L1、PD−L2、LAG−3、TIM3、BTLA、B7H3、B7H4、2B4、CD160、A2aR、KIR、VISTAおよびTIGITからなる群から選択される免疫チェックポイント分子の阻害剤が挙げられる。以下に免疫チェックポイント阻害剤の例を挙げるが、免疫チェックポイント阻害剤はこれらに限定されない。
【0061】
免疫チェックポイント阻害剤としては、例えば、抗CTLA−4抗体(例えば、Ipilimumab(YERVOY(登録商標))、Tremelimumab、AGEN−1884)、抗PD−1抗体(例えば、ニボルマブ(オプジーボ(登録商標))、REGN−2810、Pembrolizumab(KEYTRUDA(登録商標))、PDR−001、BGB−A317、AMP−514(MEDI0680)、BCD−100、IBI−308、JS−001、PF−06801591、TSR−042)、抗PD−L1抗体(例えば、Atezolizumab(RG7446、MPDL3280A)、Avelumab(PF−06834635、MSB0010718C)、Durvalumab(MEDI4736)、BMS−936559、CA−170、LY−3300054)、抗PD−L2抗体(例えば、rHIgM12B7)、PD−L1融合タンパク質、PD−L2融合タンパク質(例えば、AMP−224)、抗Tim−3抗体(例えば、MBG453)、抗LAG−3抗体(例えば、BMS−986016、LAG525)、抗KIR抗体(例えば、Lirilumab)等である。また、上記既知の抗体の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体も免疫チェックポイント阻害剤の一態様である。例えば、抗PD−1抗体の更なる一態様としては、例えばニボルマブの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体が挙げられる。
【0062】
抗CD20抗体の例としては、例えば、リツキシマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、オクレリズマブが挙げられる。
【0063】
抗CD52抗体の例としては、例えば、アレムツズマブが挙げられる。
【0064】
G−CSF製剤の例としては、例えば、ペグフィルグラスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチムが挙げられる。
【0065】
急性前骨髄性白血病分化誘導薬としては、例えば、タミバロテン、トレチノイン、三酸化ヒ素製剤が挙げられる。
【0066】
キナーゼ阻害薬の例としては、例えば、EGFR阻害薬であるエルロチニブ塩酸塩、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、HER2阻害薬であるラパチニブ、トラスツズマブ、BCR−ABL阻害薬であるイマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、マルチキナーゼ阻害薬であるスニチニブ、バンデタニブ、クリゾチニブ、ソラフェニブが挙げられる。
【0067】
トポイソメラーゼ阻害薬の例としては、例えば、トポテカン、テニポシド、イリノテカン、ソブゾキサンが挙げられる。
【0068】
アロマターゼ阻害薬の例としては、例えば、エキセメスタンが挙げられる。
【0069】
その他の抗癌剤の例としては、例えば、L−アスパラギナーゼ、酢酸オクトレオチド、ポルフィマーナトリウム、ミトキサントロン酢酸、アセグラトン、ウベニメクス、エリブリンメシル酸、クラドリビン、クレスチン、ベキサロテン、デニロイキン・ジフチトクス、テモゾロミド、ネララビン、フルダラビン、ベバシズマブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ボルテゾミブ、レナリドミド、ホリナートカルシウムが挙げられる。
【0070】
免疫抑制薬の例としては、例えば、アザチオプリン、アスコマイシン、エベロリムス、サラゾスルファピリジン、シクロスポリン、シクロホスファミド、シロリムス、タクロリムス、ブシラミン、メトトレキサート、レフルノミドが挙げられる。
【0071】
ステロイドの例としては、例えば、アムシノニド、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、メチルコハク酸プレドニゾロンナトリウム、シクレソニド、ジフルプレドナート、プロピオン酸ベタメタゾン、デキサメタゾン、デフラザコート、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ハルシノニド、パルミチン酸デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、ブチル酢酸プレドニゾロン、ブデソニド、硫酸プラステロン、フロ酸モメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルドロキシコルチド、フルニソリド、プレドニゾロン、プロピオン酸アルクロメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸デキサメタゾン、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、吉草酸ジフルコルトロン、吉草酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酢酸コルチゾン、酢酸ジフロラゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸トリアムシノロン、酢酸パラメサゾン、酢酸ハロプレドン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、酪酸クロベタゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾンが挙げられる。
【0072】
アンジオテンシンII拮抗薬としては、例えば、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、テルミサルタンが挙げられる。
【0073】
アンジオテンシン変換酵素阻害薬としては、例えば、アラセプリル、塩酸イミダプリル、塩酸キナプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、マレイン酸エナラプリル、リシノプリルが挙げられる。
【0074】
抗血小板薬の例としては、例えば、ジピリダモール、ジラゼプ塩酸塩水和物が挙げられる。
【0075】
抗凝固薬の例としては、例えば、ワーファリン、ヘパリンが挙げられる。
【0076】
疾患修飾型抗リウマチ薬の例としては、例えば、D−ペニシラミン、アクタリット、オーラノフィン、サラゾスルファピリジン、ヒドロキシクロロキン、ブシラミン、メトトレキサート、レフルノミド、ロベンザリットナトリウム、オーロチオグルコース、マレイン酸オーロチオナトリウムが挙げられる。
【0077】
プロスタグランジン類(以下、PGと略記する。)としては、例えば、PGE1製剤(例:アルプロスタジルアルファデクス、アルプロスタジル等)、PGI2製剤(例:ベラプロストナトリウム等)、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。PG受容体としては、PGE受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(DP、CRTH2)、PGF受容体(FP)、PGI2受容体(IP)、TX受容体(TP)が挙げられる。
【0078】
プロスタグランジン合成酵素阻害薬の例としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オルサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パルサルミド、ナプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムシンナメート、ザルトプロフェン、プラノプロフェンが挙げられる。
【0079】
ホスホジエステラーゼ阻害薬の例としては、例えば、ロリプラム、シロミラスト、Bay19−8004、NIK−616、ロフルミラスト(BY−217)、シパムフィリン(BRL−61063)、アチゾラム(CP−80633)、ONO−6126、SCH−351591、YM−976、V−11294A、PD−168787、D−4396、IC−485が挙げられる。
【0080】
抗TNF−α製剤の例としては、例えば、抗TNF−α抗体、可溶性TNF−α受容体、抗TNF−α受容体抗体、可溶性TNF−α結合タンパク質が挙げられ、特に、インフリキシマブ、エタネルセプトが挙げられる。
【0081】
抗IL−1製剤の例としては、例えば、抗IL−1抗体、可溶性IL−1受容体、抗IL−1Raおよび/またはIL−1受容体抗体が挙げられ、特に、アナキンラが挙げられる。
【0082】
抗IL−6製剤の例としては、例えば、抗IL−6抗体、可溶性IL−6受容体、抗IL−6受容体抗体が挙げられ、特に、トシリズマブが挙げられる。
【0083】
サイトカイン阻害薬の例としては、例えば、トシル酸スプラタスト、T−614、SR−31747、ソナチモドが挙げられる。
【0084】
HMG−CoA還元酵素阻害薬としては、例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンが挙げられる。
【0085】
チアゾリジン誘導体としては、例えば、ピオグリタゾン、シグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾンが挙げられる。
【0086】
また、本発明化合物と組み合わせる併用薬としては、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0087】
本発明化合物は、通常、薬学的に許容される担体とともに適当な医薬組成物として製剤化したうえで、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。経口剤としては、例えば、内服用液剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤)、内服用固形剤(例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、ゼラチンカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、トローチ剤)等が挙げられる。非経口剤としては、例えば、液剤(例えば、注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等)、点眼剤(例えば、水性点眼剤(水性点眼液、水性懸濁点眼液、粘性点眼液、可溶化点眼液等)、非水性点眼剤(非水性点眼液、非水性懸濁点眼液等))等)、外用剤(例えば、軟膏(眼軟膏等))、点耳剤等が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤、徐放性製剤などの放出制御剤であってもよい。これらの製剤は公知の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
【0088】
経口剤としての内服用液剤は、例えば、本発明化合物を一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化させることにより製造される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0089】
経口剤としての内服用固形剤は、例えば、本発明化合物を賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合し、常法に従って製剤化される。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。
【0090】
非経口剤としての外用剤は公知の方法または通常使用されている処方により製造される。例えば、軟膏剤は本発明化合物を基剤に研和、または溶融させて製造される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0091】
非経口剤としての注射剤には溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤が包含される。注射剤は、例えば本発明化合物を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0092】
本発明化合物の投与量は症状、年令、剤型等によって適宜選択できるが、経口剤であれば、好ましくは1〜100mg、より好ましくは5〜30mgを1日1〜数回(例えば、1〜3回)投与すればよい。または、一回につき、50μgから500mgの範囲で一日1〜数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
【0093】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【実施例】
【0094】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。
【0096】
NMRデータは特に記載しない限り、1H−NMRのデータである。
【0097】
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示す。
【0098】
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、Advanced Chemistry Development社のACD/Name(登録商標)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0099】
実施例1:4−[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]−6,7−ジメトキシキノリン
窒素気流下、100mLの4つ口フラスコに、4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(1.00g)(CAS登録番号:35654-56-9)のクロロベンゼン(9mL)溶液、6−クロロピリジン−3−オール(0.65g)、トリエチルアミン(11.3mL)を加え、バス温(140℃)で5日間撹拌した。室温まで放冷した後、水、酢酸エチルを加えて分液した。水層を酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:8)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(1.16g)を得た。
TLC:Rf 0.22 (ヘキサン:酢酸エチル=1:3);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 8.52, 8.48, 7.87 - 7.85, 7.66, 7.49, 7.43, 6.65, 3.95, 3.93。
【0100】
実施例2:5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジナミン
窒素気流下、200mLの4つ口フラスコに、実施例1で製造した化合物(1.15g)のテトラヒドロフラン(THF)(18mL)溶液、1.0mol/Lのリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHDMS)(5.45mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.19g)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(0.15g)を加え、バス温(80℃)で16.5時間撹拌した。さらに6mol/Lの塩酸(10mL)を加え、バス温(80℃)で2時間撹拌した。室温まで放冷後、飽和重炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えて分液した。水層を酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル→酢酸エチル:メタノール=9:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(0.80g)を得た。
TLC:Rf 0.51 (酢酸エチル:メタノール=4:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 8.45, 7.89, 7.51, 7.38 - 7.36, 6.56, 6.42, 6.05, 3.94。
【0101】
実施例3:エチル 2,5−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−クロメン−3−カルボキシラート
室温において1,3−シクロヘキサンジオン(CAS登録番号:504-02-9)(13.25g)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(200mL)に溶解し、tert−ブトキシカリウム(13.26g)、エチル (E)−2−シアノ−3−エトキシ−2−プロペノエート(CAS登録番号:94-05-3)(20.00g)を加え、21時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、2mol/Lの塩酸水溶液を加え撹拌した。さらに酢酸エチル、水を加え有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、下記物性値を有する標題化合物(23.62g)を得た。
TLC:Rf 0.35 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.37, 2.19, 2.61, 2.92, 4.36, 8.63。
【0102】
実施例4:2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボン酸
室温において実施例3で製造した化合物(10.00g)をエタノール(200mL)に溶解し、アニリン(3.94g)を加え、6時間撹拌した。反応液中から析出した固体を桐山ロートでろ取、エタノールで洗浄し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥した。下記物性値を有する標題化合物(4.01g)を得た。
TLC:Rf 0.37 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.11, 2.60, 7.25, 7.63, 9.21。
【0103】
実施例5:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(化合物A)
【化9】
室温において実施例4で製造した化合物(105mg)、およびO−(7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)(192mg)をDMF(2mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.17mL)、および実施例2で製造した化合物(100mg)を加え、21時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=30:70→0:100→酢酸エチル:メタノール=70:30)によって精製し、下記物性値を有する標題化合物(116mg)を得た。
TLC:Rf 0.76 (酢酸エチル:メタノール=5:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.13, 2.60, 4.05, 6.44, 7.25, 7.42, 7.53, 7.63, 8.22, 8.48, 8.51, 9.32, 11.93。
【0104】
実施例5(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(C型結晶)
1.5mLのバイアルに実施例5で製造した化合物A(10mg)を入れ、17%含水アセトニトリル(0.9mL)を加えて60〜80℃で撹拌した。この反応液を室温まで冷却して、得られた結晶をろ取、室温で一晩乾燥することで、標題化合物(4mg)を白色結晶として得た。
【0105】
実施例5(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(D型結晶)
10mLの試験管に実施例5に準ずる方法で製造した化合物A(60mg)を入れ、アセトニトリル(3mL)を加えて60〜80℃で撹拌した。この反応液を室温まで冷却して、得られた結晶をろ取、室温で一晩乾燥することで、標題化合物(15mg)を白色結晶として得た。
【0106】
実施例5(3):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(E型結晶)
1.5mLのバイアルに実施例5で製造した化合物A(10mg)を入れ、33%含水アセトン(0.75mL)を加えて45〜55℃で撹拌した。この反応液を室温まで冷却して、得られた結晶をろ取、室温で一晩乾燥することで、標題化合物(3mg)を白色結晶として得た。図18の結果から、55〜70℃付近で、結晶構造変化に伴う、脱水に伴う吸熱ピーク、およびX線回折スペクトルチャートにおけるパターンの変化が認められ、本実施例化合物は、化合物Aの水和物である可能性が示唆された。
【0107】
実施例5(4):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(F型結晶)
実施例5と同様の手順で製造した化合物A(23.7g)にアセトン(80mL)を加えて40℃で1時間撹拌した後ろ取して得られた粉末にメタノール(120mL)を加えて60℃で1時間撹拌した。放冷後、得られた結晶をろ取、80℃で一晩乾燥することで、標題化合物(21.4g)を白色結晶として得た。
【0108】
実施例5(5):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(G型結晶)
1.5mLのバイアルに実施例5(4)で製造した化合物(10mg)を入れ、33%含水アセトン(0.75mL)を加えて45〜55℃で撹拌した。この反応液を室温まで冷却して、得られた結晶をろ取、室温で一晩乾燥することで、標題化合物(7mg)を白色結晶として得た。
【0109】
実施例5(6):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド(H型結晶)
10mLの試験管に実施例5(4)で製造した化合物(60mg)を入れ、アセトニトリル(3mL)を加えて60〜80℃で撹拌した。この反応液を室温まで冷却して、得られた結晶をろ取、室温で一晩乾燥することで、標題化合物(40mg)を白色結晶として得た。
【0110】
実施例6:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩
50mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(9g)を入れ、アセトン(270mL)を加えて40〜50℃で撹拌した。この反応液にエタンスルホン酸(1.31mL)を加えて撹拌し、得られた結晶をろ取、60℃で一晩乾燥することで、下記物性値を有する標題化合物(11g)を白色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.04, 1.93 - 2.05, 2.36, 2.45 - 2.59, 4.02, 4.03, 7.01, 7.43 - 7.50, 7.53, 7.57 - 7.69, 7.74, 7.99, 8.44 - 8.53, 8.81, 8.98, 12.04。
【0111】
実施例7:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 塩酸塩(C型結晶)
50mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(0.5g)を入れ、アセトニトリル(80mL)を加えて、15〜25℃で撹拌した。この反応液に2mol/Lの塩酸水溶液(0.93mL)を加えて撹拌した。溶媒を減圧留去、75℃で一晩乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(0.53g)を白色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.93 - 2.06, 2.46 - 2.55, 4.02, 4.04, 6.99, 7.44 - 7.50, 7.57, 7.58 - 7.69, 7.75, 8.00, 8.45 - 8.53, 8.81, 8.99, 12.05。
【0112】
実施例7(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 塩酸塩
実施例5で製造した化合物を、溶媒(例えば、ジオキサン)または混合溶媒(例えば、アセトニトリルと水の混合溶媒)ならびに塩酸水溶液または有機溶媒溶液に加え、25〜90℃にした後、溶媒を減圧留去、乾燥することで、標題化合物を非晶質として得た。
【0113】
実施例7(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 塩酸塩(D型結晶)
10mLの試験管に実施例7(1)で製造した化合物(40mg)を入れ、メタノール(1.2mL)を加えて40〜60℃で撹拌した。この反応液を室温まで冷却して、得られた結晶をろ取し、60℃で一晩乾燥することで、標題化合物(10mg)を白色結晶として得た。
【0114】
実施例7(3):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 塩酸塩(B型結晶)
10mLの試験管に実施例7(1)で製造した化合物(5mg)を入れ、アセトン(0.6mL)を加えて40〜60℃で撹拌した。この反応液を室温まで冷却して、得られた結晶をろ取し、60℃で一晩乾燥することで、標題化合物(3mg)を白色結晶として得た。
【0115】
実施例8:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩(A型結晶)
10mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(100mg)を入れ、アセトン(3mL)を加えて、40〜55℃で撹拌した。この反応液にメタンスルホン酸(12μL)を加えて撹拌し、得られた結晶をろ取、75℃で一晩乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(112mg)を白色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.94 - 2.06, 2.31, 2.47 - 2.55, 4.03, 4.05, 7.04, 7.44 - 7.51, 7.55, 7.58 - 7.70, 7.76, 8.01, 8.46 - 8.54, 8.84, 8.99, 12.05。
【0116】
実施例8(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩(B型結晶)
実施例8で製造した化合物を混合溶媒(例えば、メタノールとジオキサンの混合溶媒)に加え、40〜80℃で溶解し、その後冷却し、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0117】
実施例8(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩(C型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、メタンスルホン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば、メタノール)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0118】
実施例9:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩(C型結晶)
300mLのフラスコに実施例5で製造した化合物(5g)を入れ、アセトン(135mL)を加えて、40〜55℃で撹拌した。この反応液にp−トルエンスルホン酸一水和物(1.86g)のアセトン(15mL)溶液を加えて撹拌した。得られた結晶をろ取、乾燥することにより、粗結晶を得た。この粗結晶(1g)に10%含水アセトン(12mL)を加え、40〜55℃で撹拌した。得られた結晶をろ取、75℃で一晩乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(0.7g)を白色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.93 - 2.06, 2.28, 2.40 - 2.59, 4.03, 4.04, 7.02, 7.10, 7.43 - 7.50, 7.52, 7.56 - 7.69, 7.76, 8.00, 8.45 - 8.53, 8.83, 8.99, 12.05。
【0119】
実施例9(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩(A型結晶)
実施例9で製造した化合物を混合溶媒(例えば、テトラヒドロフランと水の混合溶媒)に加え、50〜70℃で溶解し、その後冷却し、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0120】
実施例9(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩(B型結晶)
実施例5で製造した化合物Aに溶媒(例えば、アセトン)、p−トルエンスルホン酸一水和物を加えて30〜50℃に加温して撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0121】
実施例9(3):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩(G型結晶)
実施例9で製造した化合物を混合溶媒(例えば、エタノールと水の混合溶媒)に加え、60〜80℃に加温して12時間以上撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0122】
実施例9(4):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩(H型結晶)
実施例5で製造した化合物Aに混合溶媒(例えば、アセトンと水の混合溶媒)、p−トルエンスルホン酸一水和物を加えて30〜50℃で溶解し、その後冷却し、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0123】
実施例10:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 硫酸塩(A型結晶)
100mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(0.9g)を入れ、アセトン(27mL)を加えて、40〜55℃で撹拌した。この反応液に0.25mol/Lの硫酸水溶液(370μL)を加えて撹拌し、得られた結晶をろ取、75℃で一晩乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(107mg)を白色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+;
1H−NMR(DMSO−d6):δ 1.94−2.06,2.41−2.61,4.00−4.08,6.98−7.05,7.43−7.55,7.57−7.70,7.73−7.78,7.96−8.04,8.44−8.54,
【0124】
実施例10(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 硫酸塩(B型結晶)
実施例10で製造した化合物を混合溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドと水の混合溶媒)に加え70〜90℃で溶解し、その後冷却し、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0125】
実施例10(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド 硫酸塩(C型結晶)
実施例5で製造した化合物Aに溶媒(例えば、アセトン)、硫酸を加えて30〜50℃に加温して撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0126】
実施例11:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド リン酸塩(A型結晶)
10mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(0.10g)を入れ、アセトン(3mL)および85%リン酸(22mg)を加えて、40〜55℃で撹拌し、得られた結晶をろ取、90℃で1時間乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(0.11g)を白色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.95 - 2.04, 2.47 - 2.56, 3.93, 3.95, 6.55, 7.41, 7.45 - 7.49, 7.52, 7.56 - 7.68, 7.87, 8.34 - 8.37, 8.40 - 8.45, 8.49, 8.98, 11.97。
【0127】
実施例11(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド リン酸塩(B型結晶)
実施例5で製造した化合物Aに溶媒(例えば、メタノール)、リン酸を加えて30〜50℃に加温して撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0128】
実施例11(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド リン酸塩(C型結晶)
実施例5で製造した化合物Aに溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)、リン酸を加えて40〜60℃に加温して撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0129】
実施例11(3):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド リン酸塩(D型結晶)
実施例5で製造した化合物Aに溶媒(例えば、2−プロパノール)、リン酸を加えて60〜80℃に加温して撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0130】
実施例11(4):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド リン酸塩(E型結晶)
実施例5で製造した化合物Aに溶媒(例えば、エタノール)、リン酸を加えて50〜70℃に加温して撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0131】
実施例12:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド ベンゼンスルホン酸塩(A型結晶)
10mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(0.10g)を入れ、アセトン(3mL)およびベンゼンスルホン酸(30mg)を加えて40〜55℃で撹拌し、得られた結晶をろ取、90℃で1時間乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(0.11g)を白色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.95 - 2.05, 2.47 - 2.56, 4.03, 4.05, 7.04, 7.28 - 7.34 , 7.45 - 7.49, 7.53, 7.57 - 7.62, 7.62 - 7.68, 7.77, 8.01, 8.47 - 8.52, 8.84, 9.00, 12.06。
【0132】
実施例12(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド ベンゼンスルホン酸塩(B型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、ベンゼンスルホン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば、エタノール)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0133】
実施例12(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド ベンゼンスルホン酸塩(C型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、ベンゼンスルホン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0134】
実施例12(3):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド ベンゼンスルホン酸塩(D型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、ベンゼンスルホン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば,アセトニトリル)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0135】
実施例13:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンジスルホン酸塩(A型結晶)
30mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(0.8g)を入れ、アセトン(24mL)およびエタンジスルホン酸(386mg)のアセトン(2mL)溶液を加えて40〜55℃で撹拌し、得られた結晶をろ取、90℃で一晩乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(1.1g)を淡黄褐色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.94 - 2.06, 2.45 - 2.55, 2.68, 4.04, 4.06, 7.08, 7.44 - 7.50, 7.56 - 7.70, 7.78, 8.02, 8.47 - 8.53, 8.87, 8.99, 12.06。
【0136】
実施例13(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンジスルホン酸塩(B型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、エタンジスルホン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば,アセトニトリル)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0137】
実施例13(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンジスルホン酸塩(C型結晶)
実施例13で製造した化合物を溶媒(例えば、酢酸エチル)に加え、60〜80℃で加温し、20分以上撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0138】
実施例13(3):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンジスルホン酸塩(D型結晶)
実施例13で製造した化合物を溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド)に加え、60〜80℃で加温し、20分以上撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0139】
実施例13(4):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンジスルホン酸塩(E型結晶)
実施例13で製造した化合物を溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)に加え、40〜60℃で加温し、20分以上撹拌した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0140】
実施例14:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド イセチオン酸塩(A型結晶)
100mLのフラスコに実施例5で製造した化合物A(0.3g)を入れ、アセトニトリル(48mL)、イセチオン酸(96mg)および水(3mL)を加えて、室温で撹拌した。この反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、少量のアセトニトリルを加えてさらに濃縮した後、室温で一晩乾燥することにより、下記物性値を有する標題化合物(375mg)を淡黄色結晶として得た。
LC−MS:563(M+H)+
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.95 - 2.06, 2.47 - 2.53, 2.60, 3.62, 4.03, 4.05, 7.02, 7.44 - 7.50, 7.53, 7.56 - 7.69, 7.76, 8.00, 8.46 - 8.53, 8.83, 9.00, 12.05。
【0141】
実施例14(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド イセチオン酸塩(B型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、イセチオン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば,エタノール)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0142】
実施例14(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド イセチオン酸塩(C型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、イセチオン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば,アセトニトリル)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0143】
実施例14(3):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド イセチオン酸塩(D型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、イセチオン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えばメタノール)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0144】
実施例14(4):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド イセチオン酸塩(E型結晶)
実施例5で製造した化合物Aを溶媒(例えば、メタノール)に溶解し、イセチオン酸を加えた後、溶媒を濃縮し、残渣に溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を加えて30〜50℃に加温して4時間静置した後、生成した結晶を単離、乾燥することにより、標題化合物を結晶として得た。
【0145】
[実験例]
以下に物理化学的実験例を示し、これらの実験方法に基づいて、本発明化合物の効果を確認した。
【0146】
物理化学的実施例1:吸湿性(DVS)評価
実施例で製造した化合物Aの各種酸付加塩(実施例7、実施例8、実施例9、実施例10、実施例11、実施例12、実施例13および実施例14)と本発明化合物(実施例6)について、吸湿性評価を行った。前記[化合物Aの酸付加塩の検討][3]で示した測定条件にしたがって吸湿性評価を行った。10%毎に設定した相対湿度における試料の重量が平衡になった後に試料重量を記録した。乾燥後、相対湿度0%における重量を基準に変化量(%)に換算した。その結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0147】
その結果、化合物Aの各種酸付加塩の中でも、本発明化合物、すなわち化合物Aのエタンスルホン酸塩のみが吸湿に伴う重量変化率がより小さく、医薬品原薬として安定性が高く有用であることが分かった。
【0148】
物理化学的実施例2:光安定性評価
(1)原薬の安定性評価
実施例6で製造した化合物Aのエタンスルホン酸塩、および実施例9で製造した化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩について、光安定性評価を行った。各酸付加塩をラボチューブに約1.8〜2.2mg秤量し、プラスチック製のキャップをしてパラフィルムを巻いた。透明ラボチューブに入れたものを曝光サンプル、褐色ラボチューブに入れたものを遮光サンプル、褐色ラボチューブに入れたものをさらにアルミホイルを覆ったものをアルミ箔完全遮光サンプルとした。各サンプルは、25℃の条件下、2500LuxのD65ランプ下に20日間曝すことで,総照度として120万Lux・h以上、および総近紫外放射エネルギーとして200W・h/m2以上の光に曝した。
【0149】
(測定条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215nm)、
カラム:Imtakt Unison UK-C18(3μm、内径4.6mm×150mm)、
カラム温度:40℃、
移動相:A液:20mM KH2PO4aq.(pH3.0)、B液:CH3CN、
A/B=80/20(0分)→20/80(60分)、
流速:1.0 mL/分、
面積測定範囲:60分
注入量:5μL、
試料濃度:0.5mg/mL。
【0150】
光に曝していない−20℃保存の化合物Aのエタンスルホン酸塩と化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩、および上記光安定性試験に付した化合物Aの各酸付加塩の面積百分率を上記測定条件下で算出した。次に、化合物Aの各酸付加塩について、光に曝していない−20℃保存の化合物Aの酸付加塩の面積百分率の割合(20日間光に曝した化合物Aの酸付加塩の面積百分率/光に曝していない−20℃保存の化合物Aの酸付加塩の面積百分率×100)を各化合物の残存率として算出した。その結果を表4に示す。
【表4】
【0151】
(2)簡易製剤の安定性評価
実施例6で製造した化合物Aのエタンスルホン酸塩、および実施例9で製造した化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩について、化合物Aの各酸付加塩をセオラス(登録商標)PH−301(旭化成株式会社)と混合比=1:5(重量比)の配合割合で薬包紙上スパーテルで混合し、簡易製剤を作製した。簡易製剤をラボチューブに約3mg秤量し、プラスチック性のキャップをしてパラフィルムを巻いた。以下、化合物の曝光条件、測定条件は上記(1)の原薬の安定性評価に準じて行った。その結果を表5に示す。
【表5】
【0152】
以上の結果より、化合物Aのエタンスルホン酸塩は、化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩に比べて光に対する安定性も優れていることがわかった。
【0153】
[製剤例]
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得られる。
・N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩 … 100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) … 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) … 10g
・微結晶セルロース … 870g
【0154】
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得られる。
・N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩 …200g
・マンニトール … 20g
・蒸留水 … 50L
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明化合物は、Axl選択的な阻害活性を有し、CYP阻害作用が低いことに加え、化合物Aの各種酸付加塩の中でも吸湿性が低く、湿度に対して安定な塩であるため、Axlの発現が関与する疾患の予防および/または治療剤の医薬品原薬として有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図18