特許第6605772号(P6605772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6605772
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】欠陥検査装置および欠陥検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   G01N21/952
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-15542(P2019-15542)
(22)【出願日】2019年1月31日
【審査請求日】2019年1月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003015
【氏名又は名称】株式会社野毛電気工業
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100142701
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 晋寿
(72)【発明者】
【氏名】貞木 誠
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−011837(JP,A)
【文献】 特開2017−173234(JP,A)
【文献】 特開2013−024809(JP,A)
【文献】 特開2016−212060(JP,A)
【文献】 特表平11−508039(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0192243(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0126061(US,A1)
【文献】 特開2002−139441(JP,A)
【文献】 特開2001−41896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
G01B 11/00 − G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の部材の表面の欠陥検査装置であって、前記部材の軸心方向と平行に検査部位を撮像するラインカメラと、前記検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とを有し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が25〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が10〜30度の角度で、前記角度(θ1)は前記角度(θ2)よりも大きく、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が5〜40度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが撮像する像において、正常部の輝度を高く、欠陥の輝度を低くする欠陥検査装置。
【請求項2】
柱状の部材の表面の欠陥検査装置であって、前記部材の軸心方向と平行に検査部位を撮像するラインカメラと、前記検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とを有し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が10〜30度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が20〜90度の角度で、前記角度(θ1)は前記角度(θ2)よりも小さく、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが撮像する像において、正常部の輝度を高く、欠陥の輝度を低くする欠陥検査装置。
【請求項3】
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸に向かってみたとき、前記部材の軸心方向と、前記第二の照明の照射する軸とのなす角度が、20〜60度の方向から照射するものである請求項記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記部材を周方向に回転させる部材の回転手段を有する請求項1〜のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記ラインカメラが撮像した像を画像解析する画像解析部を有し、
前記ラインカメラが前記部材を回転させながら撮像することで前記部材の周面を撮像する請求項1〜のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記ラインカメラが撮像した像の輝度を、前記部材の欠陥の有無を判別するための輝度の閾値と比較して欠陥の有無を判別する判別部を有する請求項1〜のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
柱状の部材の表面の欠陥検査方法であって、
前記部材の軸心方向と平行に検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とにより照射する照射工程と、
前記照射工程で照射された検査部位をラインカメラにより撮像する撮像工程とを有し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が25〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が10〜30度の角度で、前記角度(θ1)は前記角度(θ2)よりも大きく、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜50度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが撮像する像において、正常部の輝度を高く、欠陥の輝度を低くする欠陥検査方法。
【請求項8】
柱状の部材の表面の欠陥検査方法であって、
前記部材の軸心方向と平行に検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とにより照射する照射工程と、
前記照射工程で照射された検査部位をラインカメラにより撮像する撮像工程とを有し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が10〜30度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が20〜90度の角度で、前記角度(θ1)は前記角度(θ2)よりも小さく、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが撮像する像において、正常部の輝度を高く、欠陥の輝度を低くする欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像検査により欠陥を検査する欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等のシリンダや走行系部品、電子写真式画像形成装置等の感光体ドラムや定着ローラ等、工業用の部材等において円筒状や柱状等の形状の部材が広く利用されている。これらの部材は、鋳造や切削等し、機能性の付与や装飾の目的で適宜めっき処理等して製造されており、光沢を有していたり、地合ともよばれる表面の質感等を有している。これらの部材は、その形状や質感から表面検査等が難しく、訓練された検査者による目視検査等が行われている。
【0003】
目視検査等による場合、訓練の程度や体調等によって判定がばらつく恐れがある。このため、自動検査する装置等が検討されている。このような検査装置等に関して、例えば、特許文献1の円筒ころ軸受の検査方法およびその検査装置や、特許文献2の欠陥検査装置等、特許文献3の表面欠陥検査装置及び方法等の文献が開示されている。これらは部材に照明を照射して表面を観察しその観察結果から欠陥等を検査する光学的手段による検査を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−209197号公報
【特許文献2】特開2004−264054号公報
【特許文献3】特開2006−226900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
円柱や円筒、多角柱などの柱状部材は、その表面形状が曲面や角部等を有することから光学的手段で検査するとき、撮像手段が検出する輝度等に角度依存性等があり、照明の照射角度や照射強度、検査に適した撮像手段等の位置との調整が難しい場合がある。
【0006】
柱状部材は、鋳造や切削、表面処理等を適宜組み合わせて製造される場合がある。このような柱状部材は、地合と呼ばれるような一定のムラがあるなかから微細なムラは排除し過検出を避けて欠陥のみを検出することが求められる場合がある。また、表面処理等がされ光沢が高く反射・散乱光が強いものから、欠陥と判断されるべき傷のみ検出しなければならない場合がある。さらに、部材において欠陥の向きによって、周方向に平行なキズや、軸心方向に平行なキズ、斜めに入ったキズ等のキズの向きや深さ、幅、先鋭さなど形状等によっても検出しにくい場合がある。特許文献1〜3等の従来の検査装置等は、このような欠陥を検出できない場合があった。
係る状況下、本発明の目的は、柱状部材の欠陥を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0008】
<1> 柱状の部材の表面の欠陥検査装置であって、前記部材の軸心方向と平行に検査部位を撮像するラインカメラと、前記検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とを有し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が10〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が10〜90度の角度で、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜50度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射する欠陥検査装置。
<2> 前記角度(θ1)が25〜60度であり、前記角度(θ2)が10〜30度であり、前記角度(θ1)は前記角度(θ2)よりも大きく、前記角度(Δθ)が5〜40度である前記<1>記載の欠陥検査装置。
<3> 前記角度(θ1)が、10〜30度であり、前記角度(θ2)が、20〜90度であり、前記角度(θ1)は前記角度(θ2)よりも大きく、前記角度(Δθ)が、10〜60度である前記<1>記載の欠陥検査装置。
<4> 前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸に向かってみたとき、前記部材の軸心方向と、前記第二の照明の照射する軸とのなす角度が、0〜60度の方向から照射するものである前記<3>記載の欠陥検査装置。
<5> 前記部材を周方向に回転させる部材の回転手段を有する前記<1>〜<4>のいずれかに記載の欠陥検査装置。
<6> 前記ラインカメラが撮像した像を画像解析する画像解析部を有し、
前記ラインカメラが前記部材を回転させながら撮像することで前記部材の周面を撮像する前記<1>〜<5>のいずれかに記載の欠陥検査装置。
<7> 前記ラインカメラが撮像した像の輝度を、前記部材の欠陥の有無を判別するための輝度の閾値と比較して欠陥の有無を判別する判別部を有する前記<1>〜<6>のいずれかに記載の欠陥検査装置。
<8> 柱状の部材の表面の欠陥検査方法であって、
前記部材の軸心方向と平行に検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とにより照射する照射工程と、
前記照射工程で照射された検査部位をラインカメラにより撮像する撮像工程とを有し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が10〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が10〜90度の角度で、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜50度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射する欠陥検査方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、柱状部材の欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施形態の概略図である。
図2】本発明に係る欠陥検査装置の第一の光学系を示す概略図である。
図3】本発明に係る欠陥検査装置の第一の光学系の位置関係の詳細を示す平面図である。
図4】本発明に係る欠陥検査装置の第二の光学系を示す概略図である。
図5】本発明に係る欠陥検査装置による欠陥検査工程の一例を示すフロー図である。
図6】本発明で検査するキズの概要を示す図である。
図7】柱状部材の表面の欠陥検査結果を面情報として処理して表示した一例を示す図である。
図8】柱状部材の欠陥部の輝度の一例を示す図である。
図9】本発明の実施例により、柱状部材の表面の欠陥検査結果を面情報として処理して表示した一例を示す図である。
図10】本発明の実施例により、柱状部材の欠陥部の輝度の一例を示す図である。
図11】柱状部材の表面の欠陥検査結果を面情報として処理して表示した一例を示す図である。
図12】本発明の実施例により、柱状部材の表面の欠陥検査結果を面情報として処理して表示した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0012】
[本発明の欠陥検査装置]
本発明の欠陥検査装置は、柱状の部材の表面の欠陥検査装置であって、前記部材の軸心方向と平行に検査部位を撮像するラインカメラと、前記検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とを有し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が10〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、
前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が10〜90度の角度で、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜50度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射する。このような構成とすることで柱状部材の欠陥を検出することができる。また、この欠陥の検出は、画像を用いて検出するため、部材を非破壊で検出することができ、また検査によりキズが付くおそれもない検査である。よって、検査後の部材はそのまま利用することができる。
【0013】
[本発明の欠陥検査方法]
本発明の欠陥検査方法は、柱状の部材の表面の欠陥検査方法であって、前記部材の軸心方向と平行に検査部位を照射する第一の照明と、前記検査部位を前記第一の照明と異なる角度から照射する第二の照明とにより照射する照射工程と、前記照射工程で照射された検査部位をラインカメラにより撮像する撮像工程とを有し、前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ1)が10〜60度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射し、前記ラインカメラが前記検査部位を撮像する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(θ2)が10〜90度の角度で、前記第一の照明が前記検査部位を照射する軸と、前記第二の照明が前記検査部位を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜50度の角度で、前記部材の高さ方向に沿って線状に照射する。このような構成とすることで柱状部材の欠陥を検出することができる。
本発明の欠陥検査方法は、本発明の欠陥検査装置を用いて行うことができ、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
【0014】
本発明者は、従来目視で評価されていた円筒や円柱などの柱状の金属部材等を光学的手段による欠陥検査の検討を行った。その結果、後述する実施例等にも詳述するが、一つの照明で検査部位を照射した場合、欠陥が検出されなかったり、欠陥とその他の部位との輝度差が小さく判別が非常に難しい場合があることが分かった。これは、柱状部材に光を照射したとき、反射する光が様々な角度に散乱するため散乱光を検出する撮像手段の位置と照明の位置、それらの向きといった光学系の配置によって、輝度差が大きくなることが影響すると考えられる。さらに、比較的輝度差を検出しやすい配置を見出しても欠陥とそれ以外の部位との輝度差が小さく欠陥の判別がしにくい場合がある。また、地合とよばれるような欠陥ではない微細な凹凸等でも輝度差が生じて、なおさら欠陥の判別が難しい場合がある。
【0015】
本発明者らは、このような柱状の部材の欠陥検査にあたって、ラインカメラを用いることで柱状部材からの散乱光の輝度が比較的安定した部位で撮像できることを見出した。また、検査部位を照射する第一の照明に加えて、第二の照明により第一の照明とは異なる角度から検査部位を照射することで地合等の影響を低減し、欠陥が存在する部分を選択的に輝度差が大きい状態にできることを見出した。
【0016】
[欠陥検査装置(100)]
本発明に係る欠陥検査装置の第一の実施形態を、図1等を用いて説明する。図1は、欠陥検査装置100の構成の概要を示す図である。欠陥検査装置100は、第一の照明11と、第二の照明21と、ラインカメラ31とを有する。欠陥検査装置100は、部材4の欠陥を検査する装置である。部材4は、部材4の固定手段51に固定され、固定手段51は回転手段52上に設けられている。ラインカメラ31で撮像した像は、画像検出部60に検出され、画像解析部70で解析や、欠陥の有無の判別がされ、その結果は表示部80に表示される。撮像された画像や、解析された画像、欠陥の判別結果などは、適宜メモリ90に保存される。以下、図1における部材4をラインカメラ31で撮像する方向をX方向、X方向と水平面内で直交する方向をY方向、X方向およびY方向の水平面と直交する方向をZ方向として説明する。
【0017】
[第一の光学系(101)]
図2図3は欠陥検査装置における光学系の配置の具体的な構成例を示す図である。第一の照明11および第二の照明21が部材4の検査部位41を照射し、ラインカメラ31は部材4の検査部位41を撮像する。この欠陥検査装置における第一の照明11および、第二の照明21、ラインカメラ31を本願において光学系とよぶ。図2は、第一の光学系101の一例を示す図である。図2(a)は、第一の光学系101を平面視した(Z方向からみた)図である。図2(b)は、第一の光学系101をラインカメラ31の撮像方向(X方向)から見た図である。図3は第一の光学系101の配置をより詳しく説明するための図である。
【0018】
[第一の照明(11)]
第一の照明11は、部材4の検査部位41を照射する照明である。第一の照明11は、部材4の高さ方向に沿って検査部位41をラインカメラ31によって撮像するため、この検査部位41を照明するために、線状に照射する照明であることが好ましい。第一の照明11は、線状に配置したLEDなどの光源を用いて、さらに適宜集光手段により線状に集光して疑似的に平行光を照射するLEDのライン照明やこれに相当する照度となるように光学系が設計された照明が好ましい。LEDのライン照明等を用いることで、適度に明るく広く照射するため、微細な凹凸による輝度差が生じにくいものとすることができる。
第一の照明11は、ラインカメラ31の撮像と部材4やその欠陥の状態等に応じて適宜選択できる。光の波長は、近紫外線程度から近赤外線程度の波長の光の単一波長でもよいし、混合色や白色でもよい。特に低波長350〜650nm付近にピーク波長を有する光が好ましい。高波長側にピークがある場合、欠陥付近で光が回り込んで照射し、輝度差が低下し欠陥検出しにくい場合がある。また、直線偏光や楕円偏光等の偏光を照射してもよいし、自然光を照射してもよい。
【0019】
[第二の照明(21)]
第二の照明21は、第一の照明11とは異なる角度から部材4の検査部位41を照射する照明である。第二の照明21には、第一の照明と同様の照明を用いることができる。検査部位41を照射するとき、第一の照明11とは異なる照度としてもよい。地合などの影響を低減するために、第一の照明11よりも強い照度の照明とすることが好ましい。
【0020】
[ラインカメラ(31)]
ラインカメラ31は、部材4の検査部位41を撮像する。ラインカメラ31は、フォトダイオードを直列に配置したもので対象を線状に撮像するものである。ラインカメラはCCDやCMOS等を適宜用いることができる。ラインカメラ31が検査部位41を撮像することで、部材4の表面が曲面等であっても検出される輝度差を低減して撮像することができる。
ラインカメラ31の撮像画素数やスキャンレート等は、部材4の大きさや種類、観察するキズの種類、回転手段による回転速度等に応じて、適宜設定することができる。例えば、撮像画素数は500画素以上や1000画素以上、2000画素以上とすることができる。特に、部材4が金属部材のときの鋳巣やヘアラインと呼ばれるような欠陥を検出し、これらの欠陥の大きさを判別できるように、ラインカメラ31は画素当たり15μm角程度撮像することができることが好ましく、10μm角や8μm角程度のより微細な画素サイズで撮像できることがさらに好ましい。
【0021】
[部材(4)]
部材4は、欠陥検査の対象となる柱状の部材である。部材4は中空部材や中実部材等いずれでもよく、円筒や円柱、多角柱などの形状である。部材4の材質は特に制限がなく、金属や樹脂、セラミック、ガラス管などを用いることができる。また、適宜、表面加工されていてもよく、メッキ塗工などされたものを用いてもよい。部材4は各材質や用途に応じて鋳造や切削、射出成形等を適宜組み合わせて成形されたものを用いることができる。特に鋳巣やヘアラインと呼ばれるような欠陥が生じやすく、地合と呼ばれる表面の質感が生じる金属部材などを好適な検査対象とすることができる。
検査部位41は、ラインカメラ31が撮像する線状の部分である。部材4の高さ方向に検査部位41は設定される。部材4は後述する回転手段等により周方向に回転させながらラインカメラ31で撮像することで、その側面全体の欠陥を検査することができる。
【0022】
[第一の光学系(101)]
図3は第一の光学系101の配置をより詳しく説明するための図である。光学系101は、部材4の検査部位41を検査するものである。第一の光学系101は、ラインカメラ31と、第一の照明11と、第二の照明21とが所定の位置となるように配置されている。第一の光学系101は、角度θ1が角度θ2よりも大きい。すなわち、第一の照明11よりも鋭角で第二の照明21は検査部位41を照射する構成である。また、第一の照明11、第二の照明21、ラインカメラ31は、水平に配置されている。
【0023】
[第二の光学系(102)]
また、図4は欠陥検査装置における光学系の配置の他の具体的な構成例を示す図である。第一の照明11および第二の照明21が部材4の検査部位41を照射し、ラインカメラ31は部材4の検査部位41を撮像する。図4(a)は、第二の光学系102を平面視した(Z方向からみた)図である。図4(b)は、第二の光学系102をラインカメラ31の撮像方向(X方向)から見た図である。
【0024】
第二の光学系102は、ラインカメラ31と、第一の照明11と、第二の照明21とが所定の位置となるように配置されている。第二の光学系102は、角度θ2が角度θ1よりも大きい。すなわち、第二の照明21よりも鋭角から第一の照明11により検査部位41を照射する構成である。また、第一の照明11、ラインカメラ31は、部材4と水平面内に配置されているが、第二の照明21は部材4の高さ方向(Z方向)に斜め方向から検査部位41を照射する。このため第二の光学系102に用いる第二の照明21は、より指向性が高い高指向性の照明を用いることが好ましい。
【0025】
[角度(θ1)]
角度θ1は、ラインカメラ31が検査部位41を撮像する軸x0と、第一の照明11が検査部位41を照射する軸x1とのなす角度である。この角度θ1は、10〜60度の角度であることが好ましい。角度θ1が小さすぎる場合、第一の照明11とラインカメラ31とが設置しにくかったり、欠陥と正常部との輝度差が小さく欠陥を検出しにくい。一方、角度θ1が大きすぎる場合、ラインカメラ31が撮像する軸x0方向に十分な輝度の散乱光が生じなかったり、散乱光が強すぎて欠陥を検出しにくい。
【0026】
[角度θ2]
角度θ2は、ラインカメラ31が検査部位41を撮像する軸x0と、第二の照明21が検査部位41を照射する軸x2とのなす角度である。この角度θ2は10〜90度の角度であり、角度θ1と異なる角度となるように配置される。角度θ2が小さすぎる場合、第二の照明21とラインカメラ31とが設置しにくかったり、欠陥と正常部との輝度差が小さく欠陥を検出しにくい。一方、角度θ2が大きすぎる場合、ラインカメラ31が撮像する軸x0方向に十分な輝度の散乱光が生じなかったり、散乱光が強すぎて欠陥を検出しにくい。角度θ2は、角度θ1と異なる角度である。角度θ2を角度θ1と異なるものとすることで、欠陥と正常部の輝度差がより大きく安定して高精度で欠陥を検出することができる。
【0027】
[角度(Δθ)]
角度Δθは、第一の照明11が検査部位41を照射する軸x1と、第二の照明21が検査部位41を照射する軸x2とのなす角度である。これは角度θ1と角度θ2との差である。角度Δθは、10〜30度の角度であることが好ましい。角度Δθがこの範囲から外れる場合、欠陥と正常部との輝度差が小さく欠陥を検出しにくい場合がある。
これらの角度θ1、角度θ2、角度Δθは、Z方向(平面視)から見た第一の照明11、第二の照明21、ラインカメラ31、検査部材4の位置関係における角度である。
【0028】
第一の光学系101において、角度θ1は25〜60度が好ましく、角度θ2は10〜30度が好ましく、角度θ1は角度θ2よりも大きく、角度Δθが、5〜40度であることが好ましい。このような配置とすることで、特に、部材4の周方向に平行なキズ(平行キズ)を効率よく検出することができる。
この平行キズをより効率よく検出するために、角度θ1は、30〜55度がより好ましく、35〜45度が特に好ましい。角度θ2は、10〜28度がより好ましく、12〜26度が特に好ましい。角度Δθはこれらの差であればよいが、8〜35度がより好ましく、10〜30度が特に好ましい。
【0029】
[角度(θz1)]
第二の光学系102において、第二の照明21は、部材4の検査部位41を斜めから照射する。部材4の高さ方向を軸z0として、第二の照明21から照射される光の中心を軸z1としたとき、この軸z0と軸z1とのなす角度は、角度θz1である。第二の照明21も水平面内に配置するものとしてもよいが、例えば、角度θz1は20〜60度のように異なる角度とすることもできる。第二の光学系102のように、角度θ2が角度θ1よりも大きく、角度θz1として第二の照明21を照射することで、特に、部材4の表面に周方向から高さ方向にかけて斜めのキズ(斜めキズ)を効率よく検出することができる。
【0030】
第二の光学系102の角度θ1は、10〜30度が好ましく、角度θ2は20〜90度が好ましい。角度Δθは10〜60度が好ましい。また、角度θz1は20〜60度が好ましい。
この斜めキズをより効率よく検出するために、角度θ1は、10〜20度がより好ましく、12〜18度が特に好ましい。角度θ2は、20〜45度がより好ましく、25〜35度が特に好ましい。角度Δθはこれらの差であればよいが、10〜30度がより好ましく、15〜25度が特に好ましい。角度θz1は、25〜50度がさらに好ましい。
【0031】
[固定手段(51)]
固定手段51は、部材4を固定する手段である。部材4が筒状などで底面や天面に開口部を有する場合、内部から内爪で把持してもよいし、上部にテーパー部を有する錘状部材などに部材4の開口部を配置することで、開口部の内径と錘の径が一致する部位で留まる構造としてもよい。また、外爪により部材4の表面側を固定してもよいし、上下を押さえて固定するものでもよい。固定手段51により、所定の検査部位41を検査する間等に、部材4を措定の位置に固定する。
【0032】
[回転手段(52)]
固定手段51は回転手段52上に設けられている。回転手段52は、固定手段51に固定されている部材4の周方向に回転する手段である。回転ローラや歯車等により、固定手段51を回転させることができる。回転手段52の回転は、部材4の検査範囲に対応した回転ができればよく、全周を検査する場合、周方向に360度以上回転可能なものとすることができる。また、回転する位置を制御したり、検出したりして、部材4の周方向の位置を特定できるものであることが好ましい。
【0033】
[画像検出部(60)]
画像検出部60は、ラインカメラ31が撮像した情報を検出する部分である。ラインカメラ31が撮像した像に関する情報は、適宜、有線や無線により電気情報等として画像検出部60に送信される。この情報に基づき、画像として検出する。画像検出部60は、ラインカメラ31が撮像した同一の検査部位41の輝度データなどを積分処理したものとして画像としてもよい。
【0034】
[画像解析部(70)]
画像解析部70は、画像検出部60が検出した画像を解析する部分である。適宜、回転手段52を回転させながらラインカメラ31や画像検出部60を介して、輝度データ等として検出された線状の像を、検査範囲に対応した周方向の情報として解析して検査範囲全体の像とすることができる。画像解析部70は、ラインカメラ31が撮像した像の輝度に基づき、欠陥の有無を判別するための閾値により欠陥の有無を判別する判別部を有するものとしてもよい。
【0035】
[表示部(80)]
表示部80は、画像解析部70で解析した像や解析結果等を表示する部分である。例えば、画像検出部60で検出した像を画像解析部70で輝度補正等のみを行い、特定の線状の検査部位41に関する像として表示してもよい。また、回転手段52を回転させながら撮像したものを解析して、検査範囲の像としての撮像結果を表示してもよい。また、欠陥の有無を判別するための閾値により欠陥の有無を判別して、その判別結果を表示してもよい。また、その評価条件や、部材の情報等を合わせて表示するものとしてもよい。
【0036】
[メモリ(90)]
メモリ90は、撮像された画像や、解析された画像、欠陥の判別結果などを、適宜保存する手段である。
【0037】
[欠陥検査方法(S100)]
図5は、欠陥検査装置100を用いた欠陥検査方法の検査フローの一例を示す図である。
まず、第一の照明11と、部材4の検査部位41を第一の照明11と異なる角度から照射する第二の照明21とにより照射する照射工程S11を行う。
この照射を維持した状態で、検査部位41をラインカメラ31で撮像する撮像工程S21を行う。撮像した像は、適宜画像検出部60で検出し、メモリ90に保存する。
撮像を行った後、欠陥検査を行う所定の範囲を撮像したかの判定工程S22を行う。所定の範囲を撮像していない場合、回転手段52を回転させて検査部位41を周方向に移動させて、次の検査部位41が検査対象となるように配置する回転工程S23を行う。この状態で、撮像工程S21を行う。所定の範囲を撮像するまでこれを繰り返す。所定の範囲を撮像し終えた場合、撮像と回転を終了する。
撮像完了後、撮像されて検出された像を、画像解析手段70で解析する画像解析工程S31を行う。この解析は、部材4の表面の撮像結果を面状に配置したものとして、検出された像の輝度に応じて濃淡や色がつくものとして処理したり、所定の検査部位41での輝度のチャートとする。解析結果に基づいて、欠陥を検出する所定の閾値と対比して、欠陥の有無の判別を行う判別工程S41を行う。この閾値は、正常部の輝度が高く、欠陥が輝度が低いものとなる検査を行ったとき、所定の輝度よりも低いものを欠陥と、所定の輝度以上のものを正常部と判別するものとすることができる。判別結果は、表示部80に表示する表示工程S51を行い、部材4の欠陥検査を終了する。
【0038】
柱状部材の欠陥は、視覚的や物理的に検出される、線状や面状の色や光沢のムラ、凹凸などの表面の異常部である。欠陥の代表的なものとして、図6に示すような線状のキズがあげられる。図6(a)は、柱状部材の高さ方向に沿ったキズである。図6(b)は、柱状部材の周方向に沿ったキズである(平行キズ)。図6(c)は、柱状部材の斜め方向のキズである(斜めキズ)。特に平行キズや斜めキズは、単独の照明により照射するとキズの段差に沿って照射光が入り込み影となりにくくなり、良品部である周囲との輝度差が生じにくい場合があったが、本発明によれば、このようなキズを検査することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
第一の実施形態に準じる構成で欠陥検査装置を構成し、部材の表面を評価した。
白色(色温度:6500K)の疑似平行光を照射するLEDのライン照明を、第一の照明および第二の照明として用いた。また、ライン状に約8000画素検出するラインカメラを用いて画像を検出した。ラインカメラは、1画素あたり約7μmを撮像するものとなるように、部材との距離や撮影範囲、レンズ倍率を設定した。
角度θ1:45°、角度θ2:15°、角度Δθ:30°となるように配置した。
・部材:金属を用いて鋳造後、切削して直径15mm、高さ20mmの円筒状とした部材。複数製造した部材から、平行方向にキズがついたものを選別して評価対象とした。
【0041】
[比較例1]
実施例1の構成において、第二の照明を消灯し、第一の照明のみで照明し、撮像された像を図7に示す。また、欠陥部位の輝度チャート図を、図8に示す。図7(a)は目視したとき、太くて大きいキズが確認される部位で、輝度をマップ化した図でも確認し得る。しかし、地合の凹凸との判別が行いにくい。また、図7(b)は小さいキズが確認される部位であり、輝度をマップ化した図からは判断が難しい。
また、図8は、図7(a)に示す大きいキズに相当する部位での線状(図7(a)の縦方向)の輝度分布を示した図である。キズに相当する部位の輝度は他の正常部よりも低く、輝度により判別できる可能性があるが、正常部の地合による輝度が低い部分との差が小さく、閾値の設定が難しい。
【0042】
[実施例1]
実施例1の構成において、第一の照明、第二の照明を用いて検査部位を照射し、撮像された像を図9に示す。図9(a)は太いキズを示すものであり、図9(b)は小さいキズを示すものである。実施例1の構成により、第二の照明を設けることで、地合の影響を低減し、キズのみ顕著に濃い陰影として撮像することができた。また、小さいキズもキズと判別しやすい像を得ることができた。これは、軽微な凹凸差である地合の影は第一の照明とは異なる角度からの第二の照明の照射により低減され、大きな凹凸であるキズは、第二の照明を照射しても影が明確に残るためと考えられる。また、そのとき、部材の表面からの反射光がラインカメラに検出されることも防止できる判別に適した配置となっているためと考えられる。
また、図10(a)は、図9(a)に示す大きいキズに相当する部位での線状(図9(a)の縦方向)の輝度分布と、図10(b)は図9(b)の小さいキズの部位の輝度分布を示した図である。キズに相当する部位の輝度は他の正常部よりも低く、輝度により判別できる。また、正常部の地合による輝度が低い部分との差が大きく、欠陥と判別する閾値の設定も行いやすい。
【0043】
[実施例2]
第二の実施形態に準じる構成で欠陥検査装置を構成し、部材の表面を評価した。
白色(色温度:6500K)の疑似平行光を照射するLEDのライン照明を、第一の照明および第二の照明として用いた。第二の照明はより高指向性の照射光を用いた。また、ライン状に約8000画素検出するラインカメラを用いて画像を検出した。ラインカメラは、1画素あたり約7μmを撮像するものとなるように、部材との距離や撮影範囲、レンズ倍率を設定した。
角度θ1:20°、角度θ2:40°、角度Δθ:20°、角度θz1:30°
・部材:金属を用いて鋳造後、切削して直径15mm、高さ20mmの円筒状とした部材。複数製造した部材から、斜め方向にキズがついたものを選別して評価対象とした。
【0044】
[比較例2]
実施例2の構成において、第二の照明を消灯し、第一の照明のみで照明し、撮像された像を図11に示す。図11(a)は撮像された像を示すものであり、図11(b)は欠陥部分の輝度チャートを抽出したものである。全体的に輝度が低く、欠陥部分と、正常部との判別が難しい。また、欠陥部位の輝度チャートを確認すると、欠陥部分の輝度は他の正常部より低いものの、地合の影響による正常部との輝度差が小さく、欠陥判別の閾値の設定が難しい。
良品部であるキズ周辺の輝度は、38〜80である。一方、キズ部分の最小輝度は18であり、良品部の下限と、キズ部分の最小値との輝度差が約20である。このため、欠陥判別の閾値を設定しにくく、例えば「輝度30以下は欠陥」と設定しても、良品部の下限と近く誤検出となったり、キズであるにも関わらず検出できない場合がある。
【0045】
[実施例2]
実施例2の構成において、第一の照明と第二の照明を照射し、撮像された像を図12に示す。図12(a)は撮像された像を示すものであり、図12(b)は欠陥部分の輝度チャートを抽出したものである。全体的に輝度が高く、正常部は地合の影響も低減した明るい像が得られ、キズは顕著に濃いものとなる像が得られ判別しやすい。また、欠陥部位の輝度チャートを確認すると、欠陥部分の輝度は他の正常部より著しく低く、地合の影響による正常部との輝度差も大きく、欠陥判別の閾値の設定が行いやすい。
良品部であるキズ周辺の輝度は、80〜190である。一方、キズ部分の最小輝度は31であり、良品部と輝度差が約50以上の差がある。このため、欠陥判別の閾値を、例えば「輝度50以下は欠陥」と設定しても、キズは良品部の下限となる80程度よりも大幅に低い輝度であるため、誤検出等が生じにくく、判別しやすいものとできる。
これは、第二の照明を斜めから照射することで、地合の凹凸による影を低減できることに加えて、斜めのキズの凹凸の影を強調するものとなったためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、柱状部材等の欠陥の検査に利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0047】
100 欠陥検査装置
101 第一の光学系
102 第二の光学系
11 第一の照明
21 第二の照明
31 ラインカメラ
4 部材
41 検査部位
51 固定手段
52 回転手段
60 画像検出部
70 画像解析部
80 表示部
90 メモリ
【要約】
【課題】
従来、目視で検査されていた柱状部材の欠陥を検出する欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】
柱状の部材4の表面の欠陥検査装置100であって、部材4の軸心方向と平行に検査部位41を撮像するラインカメラ31と、検査部位41を、照射する第一の照明11と、検査部位41を、第一の照明11と異なる角度から照射する第二の照明21とを有し、ラインカメラ31が検査部位を撮像する軸と、第一の照明11が検査部位41を照射する軸とのなす角度(θ1)が10〜60度の角度で照射し、ラインカメラ31が検査部位41を撮像する軸と、第二の照明21が検査部位41を照射する軸とのなす角度(θ2)が10〜90度の角度で照射し、第一の照明11が検査部位41を照射する軸と、第二の照明21が検査部位41を照射する軸とのなす角度(Δθ)が10〜50度の角度で照射する欠陥検査装置100。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12