(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記濃度計測手段は、前記供給流路を流通する透析液に含有される個別成分の濃度に加え、その透析液の浸透圧、pH、電導度を計測し得ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の血液浄化システム。
前記透析液供給手段から各血液浄化手段に洗浄液又は消毒液を供給可能とされるとともに、前記濃度計測手段は、当該洗浄液又は消毒液に含有される個別成分の濃度を計測し得ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化システム。
前記濃度計測手段は、前記供給流路を流通する透析液に含有される炭酸成分の濃度を計測し得るとともに、その計測された炭酸成分の濃度に基づいて前記供給流路に当該炭酸成分を注入し得る注入手段を具備したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の血液浄化システム。
【背景技術】
【0002】
一般に、血液浄化システムは、病院等医療現場における機械室に透析液供給手段を設置しておき、透析室(治療室)に血液浄化手段(透析用監視装置)を設置するとともに、これら透析液供給手段と血液浄化手段とを配管で連結させて構成されている。透析液供給手段は、所定濃度の透析液を作製するとともに、血液浄化手段は、患者に透析治療を施すための血液浄化器(ダイアライザ)を有しつつ複数設置され、透析液供給手段で作製された透析液を配管を介して導入し、血液浄化器に供給することにより血液浄化治療(透析治療)が行われるようになっている。
【0003】
すなわち、機械室に設置された透析液供給手段から透析室に設置された複数の血液浄化手段に分配して透析液を送液し、それぞれの血液浄化手段においてダイアライザに透析液を供給して治療が行われるよう構成されているのである。このように透析液供給手段で作製された透析液を各透析用監視装置に供給する血液浄化システムは、通常、「透析治療用セントラルシステム」と称される。
【0004】
しかるに、従来の血液浄化システムとして、透析液供給装置から供給される透析液の電導度を計測し得る電導度計が配設され、その電導度計で計測された電導度に基づいて治療に用いられる透析液(ダイアライザに供給される透析液)の濃度が適正か否か判断させ得るものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。すなわち、透析液は、電解質物質であるため、その電導度を計測することによりおおよその濃度の適否を判断することができるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の血液浄化システムにおいては、透析液の電導度を計測して透析液の濃度の適否を判定し得るものの、透析液に含有される個別成分(例えば、ナトリウム、カリウム又はカルシウム等)の濃度自体を計測するものではないため、例えば電導度が適正値でも個別成分の濃度は不適切である可能性もあり、透析液の適正判定の精度が十分でないという問題があった。なお、血液浄化治療前において、透析液供給手段で作製された透析液を作業者がシリンジ等で抜き取り、その抜き取ったサンプリングとしての透析液の個別成分を計測することも考えられるが、その場合、作業が煩わしく、血液浄化治療中に濃度の計測が困難であるという問題がある。また、透析中に機器の故障等で個別成分の濃度変化が発生しても、仮に電導度の変化が小さければ、それに気づかずに透析を続けてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、血液浄化治療中において透析液供給手段から血液浄化手段に供給される透析液の濃度を精度よく且つ自動的に計測でき、透析液の濃度の適否をより正確に判定させることができる血液浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、患者に血液浄化治療を施すための血液浄化器が取り付けられる複数の血液浄化手段と、該血液浄化手段のそれぞれに透析液を供給可能な透析液供給手段と、前記透析液供給手段から各血液浄化手段に透析液を流通させて供給するための供給流路とを具備した血液浄化システムにおいて、血液浄化治療中、前記供給流路を流通する透析液に含有される個別成分の濃度を経時的に計測し得る濃度計測手段を具備
するとともに、前記供給流路は、前記血液浄化手段と透析液供給手段とを連結し、前記供給流路から前記血液浄化手段の内部に配管が引き込まれ、且つ、前記濃度計測手段は、前記供給流路を流通する透析液を引き込む引込み流路と、前記引込み流路に引き込まれた透析液を収容しつつ前記個別成分の濃度を計測する濃度計測部とを含むことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の血液浄化システムにおいて、前記濃度計測手段は
、前記引込み流路に配設されて前記濃度計測部に透析液を送り込むための注入ポンプ又は遮断
弁を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の血液浄化システムにおいて、前記濃度計測手段は、前記供給流路を流通する透析液に含有される個別成分の濃度に加え、その透析液の浸透圧、pH、電導度を計測し得ることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化システムにおいて、前記透析液供給手段から各血液浄化手段に洗浄液又は消毒液を供給可能とされるとともに、前記濃度計測手段は、当該洗浄液又は消毒液に含有される個別成分の濃度を計測し得ることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の血液浄化システムにおいて、前記濃度計測手段は、前記供給流路を流通する透析液に含有される炭酸成分の濃度を計測し得るとともに、その計測された炭酸成分の濃度に基づいて前記供給流路に当該炭酸成分を注入し得る注入手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、血液浄化治療中、供給流路を流通する透析液に含有される個別成分の濃度を経時的に計測し得る濃度計測手段を具備したので、血液浄化治療中において透析液供給手段から血液浄化手段に供給される透析液の濃度を精度よく且つ自動的に計測でき、透析液の濃度の適否をより正確に判定させることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、濃度計測手段は
、引込み流路に配設されて濃度計測部に透析液を送り込むための注入ポンプ又は遮断
弁を有するので、血液浄化治療中において透析液供給手段から血液浄化手段に供給される透析液の濃度をより精度よく且つ円滑に計測することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、濃度計測手段は、供給流路を流通する透析液に含有される個別成分の濃度に加え、その透析液の浸透圧、pH、電導度を計測し得るので、供給流路を流通する透析液の濃度の適否に加え、浸透圧、pH及び電導度の適否も判定させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、透析液供給手段から各血液浄化手段に洗浄液又は消毒液を供給可能とされるとともに、濃度計測手段は、当該洗浄液又は消毒液に含有される個別成分の濃度を計測し得るので、洗浄中又は消毒中において透析液供給手段から血液浄化手段に供給される洗浄液又は消毒液の濃度の適否を精度よく判定させることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、濃度計測手段は、供給流路を流通する透析液に含有される炭酸成分の濃度を計測し得るとともに、その計測された炭酸成分の濃度に基づいて供給流路に当該炭酸成分を注入し得る注入手段を具備したので、透析液が供給流路を流通する過程で炭酸成分が減少しても注入手段で補充することができ、炭酸成分の濃度を常時一定に保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る血液浄化システムは、透析液原液から所定濃度の透析液を作製するとともに、その透析液を複数の血液浄化手段に供給するためのものであり、
図1に示すように、病院等医療現場における透析室(治療室)に設置された複数の血液浄化手段1と、当該医療現場における機械室に設置された透析液供給装置2、各血液浄化手段1と透析液供給手段2とを連結する供給流路Hと、濃度計測手段(M1〜M3)と、注入手段12とから主に構成される。
【0020】
血液浄化手段1は、監視装置と称されるもので、患者に血液浄化治療(血液透析治療)を施すためのダイアライザ3(血液浄化器)が取り付けられ、透析液供給装置2から供給された透析液を当該ダイアライザ3に供給するためのもので、供給流路Hに沿って複数設置されている。かかる血液浄化手段1は、血液透析治療や他の制御内容(洗浄又は消毒)の指示及び所定の表示を行わせ得るタッチパネルが配設されている。
【0021】
より具体的には、透析室に設置された複数の血液浄化手段1の各々は、
図2に示すように、透析液供給装置2から延設された供給流路Hから配管L1が引き込まれるとともに、図示しない排液手段に接続された配管L2を具備し、これら配管L1、L2に跨って複式ポンプ8が配設されて構成されている。このうち血液浄化手段1内における配管L1には、当該配管L1を流れる透析液等の電導度を測定する電導度センサ5や当該液体の給液圧を検出する液圧検出センサ6等が配設されている。なお、同図中符号7は、制御手段を示しており、当該制御手段7により血液浄化治療を行わせるための種々制御が行われる。
【0022】
また、複式ポンプ8からは、配管L1と連通した透析液導入ラインL4と、配管L2と連通した透析液排出ラインL5が延設されており、カプラCを介して当該透析液導入ラインL4の先端をダイアライザ3の透析液導入口3aに接続し得るとともに、カプラCを介して当該透析液排出ラインL5の先端をダイアライザ3の透析液排出口3bに接続し得るよう構成されている。このように、各血液浄化手段1には、それぞれ患者に応じたダイアライザ3が取り付けられるようになっており、当該ダイアライザ3には、患者の血液を体外循環させる血液回路4が接続されることとなる。
【0023】
複式ポンプ8のポンプ室は、図示しない単一のプランジャにより、配管L1に接続された送液側ポンプ室と、配管L2に接続された排出側ポンプ室とに隔成されており、当該プランジャが往復動することにより、送液側ポンプ室に送られた透析液又は洗浄液をダイアライザ3に供給するとともに、ダイアライザ3内の透析液を排出側ポンプ室に吸入するよう構成されている。さらに、血液浄化手段1内には、複式ポンプ8をバイパスしつつ配管L2と透析液排出ラインL5とを連通する配管L3が形成されており、この配管L3の途中に除水ポンプ9が配設されている。かかる除水ポンプ9を駆動させることにより、ダイアライザ3内を流れる患者の血液に対して除水を行わせることが可能とされる。
【0024】
なお、複式ポンプ8に代えて、所謂チャンバ形式のものとしてもよいとともに、電導度センサ5や液圧検出センサ6等のセンサ類は、任意のものを配設してもよく若しくは他の汎用的なものを加えるようにしてもよい。さらに、本実施形態においては、当該センサ類を配管L1に配設するようにしているが、他の配管(例えば配管L4)に配設するものとしてもよい。例えば電導度センサ5や液圧検出センサ6等のセンサ類を配管L1又は配管L4の何れか一方に配設させたもの或いは両方に配設させたものとしてもよい。
【0025】
透析液供給手段2は、例えば水処理装置(不図示)で得られた清浄水及び溶解装置(不図示)で作製された透析液原液を用いて所定濃度の透析液を作製し得るとともに、血液浄化手段1のそれぞれに作製した透析液を供給可能なものである。すなわち、透析液供給手段2は、供給流路Hを介して複数の血液浄化手段1のそれぞれと接続されており、かかる供給流路Hを介して血液浄化手段1のそれぞれに透析液、洗浄水及び消毒液等の所望の液体を供給し得るよう構成されているのである。なお、本実施形態で適用される透析用原液は、粉末状の重炭酸ナトリウムを含まない薬剤(A剤)を清浄水で溶解することによりA原液を、粉末状の重炭酸ナトリウムから成る薬剤(B剤)を清浄水で溶解することによりB原液を得るものとされているが、液体として提供されるA原液、B原液をタンク等に収容してそのまま使用するものであってもよい。すなわち、透析液供給手段2は、上記の如く得られたA原液、B原液と清浄水とを混合、希釈して透析液を得ることができ、その得られた透析液を血液浄化手段1のそれぞれに供給可能とされているのである。
【0026】
さらに、本実施形態に係る透析液供給手段2は、後で詳述する濃度計測手段(M1〜M3)と電気的に接続されており、これら濃度計測手段(M1〜M3)の計測値に基づいて供給流路Hを流通する透析液の個別成分の濃度が適正か否かを判定する判定手段10と、判定手段10による判定の結果、透析液の個別成分の濃度が適正範囲を超える場合、表示による報知や音の出力による報知等を行う報知手段11とを有している。
【0027】
供給流路Hは、透析液供給手段2から各血液浄化手段1に透析液(洗浄液及び消毒液も含む)を流通させて供給するための配管から成り、終端に排液弁Vが接続されており、当該排液弁Vを開いた状態とすることで、透析液送液開始時に供給流路H2に残った水を押し出して排液し、供給流路H2内を素早く透析液に置換する、或いは透析終了後の洗浄消毒の際に、供給流路H2に残った透析液や消毒液を素早く押し出して排出するようになっている。なお、供給流路Hの途中を分岐させて、その分岐した供給流路Hのそれぞれに血液浄化手段1を配設するようにしてもよい。
【0028】
また、本実施形態に係る供給流路Hは、終端から透析液を排出し得るようになっているが、
図7に示すように、循環加温ユニットYを介して無端状に形成し、透析液を循環させつつ各血液浄化手段1に供給するものとしてもよい。かかる循環加温ユニットYは、循環する透析液を加温しつつ循環させるためのもので、本実施形態においては、循環する透析液を外部に排出するための排出管Hdが延設されている。
【0029】
ここで、本実施形態に係る供給流路Hには、血液浄化治療中、供給流路Hを流通する透析液に含有される個別成分の濃度(組成濃度)を経時的に計測し得る濃度計測手段(M1〜M3)が接続されている。濃度計測手段M1は、供給流路Hにおける最も上流側に配設された血液浄化手段1より更に上流側(透析液供給手段2と最上流に位置する血液浄化手段1との間)に接続されるとともに、濃度計測手段M2、M3は、供給流路Hにおける注入手段12を挟んだ位置に接続されている。
【0030】
より具体的に説明すると、濃度計測手段M1(濃度計測手段M2、M3も同様)は、
図3に示すように、供給流路Hを流通する透析液を引込み得る引込み流路h1と、該引込み流路h1で引込まれた透析液を収容しつつ個別成分の濃度を計測し得る濃度計測部Nと、引込み流路h1に配設されて濃度計測部Nに透析液を送り込むための注入ポンプPaと、濃度計測部Nで個別成分の濃度が計測された後の透析液を外部に排出する排出流路h2とを有している。
【0031】
濃度計測部Nにて計測される個別成分の濃度は、透析液に含有される個別成分の濃度とされ、例えばナトリウム(Na)イオン、カリウム(K)イオン、カルシウム(Ca)イオン、重炭酸(CO
3)イオン、ブドウ糖(C
6H
12O
6)等の濃度が挙げられる。また、濃度計測手段M1は、供給流路Hを流通する透析液に含有される個別成分の濃度に加え、その透析液の浸透圧、pH、電導度を計測し得るものとしてもよく、その場合、供給流路Hを流通する透析液の濃度の適否に加え、浸透圧、pH及び電導度の適否も判定させることができる。
【0032】
さらに、濃度計測手段(M1〜M3)は、全て同一の個別成分の濃度を計測するよう構成してもよく、それぞれ異なる個別成分の濃度を計測するようにしてもよい。またさらに、本実施形態においては、引込み流路h1に配設されて濃度計測部Nに透析液を送り込むための注入ポンプPaが配設されているが、かかる注入ポンプPaに代えて、
図4に示すように、遮断弁Vaを配設するようにしてもよい。また、本実施形態においては、濃度計測部Nで個別成分の濃度が計測された後の透析液を外部に排出する排出流路h2が延設されているが、かかる排出流路h2に代えて、濃度計測部Nで個別成分の濃度が計測された後の透析液を再び供給流路Hに戻す流路としてもよい。
【0033】
しかして、血液浄化治療中(透析治療中)、注入ポンプPaを駆動(遮断弁Vaを開状態としてもよい)させると、供給流路Hを流通する透析液の一部が引込み流路h1に引込まれて濃度計測部Nに至り、当該濃度計測部Nにて流れが止まった状態で貯留されつつ個別成分の濃度が計測され、計測された後の透析液が排出流路h2を流れて排出されることとなる。かかる動作が血液浄化治療中において連続的又は間欠的に繰り返し行われることにより、供給流路Hを流通する透析液に含有される個別成分の濃度を経時的に計測することができる。ここで計測された個別成分の濃度の情報は、透析液供給手段2の判定手段10に送信され、個別成分の濃度が適正か否か判定される。なお、判定手段10は必ずしも透析液供給手段2に配設される必要はなく、例えば濃度計測手段(M1〜M3)のそれぞれに配設されていてもよく、或いは独立して配設されていてもよい。
【0034】
さらに、本実施形態においては、血液浄化治療前又は血液浄化治療後、透析液供給手段2から各血液浄化手段1に洗浄液又は消毒液を供給可能とされており、濃度計測手段(M1〜M3)は、当該洗浄液又は消毒液に含有される個別成分(例えば塩素(Cl)等)の濃度を計測し得るよう構成するのが好ましい。この場合、洗浄中又は消毒中において透析液供給手段2から血液浄化手段1に供給される洗浄液又は消毒液の濃度の適否を精度よく判定させることができる。
【0035】
またさらに、本実施形態においては、濃度計測手段(M1〜M3)は、供給流路Hを流通する透析液に含有される炭酸成分(CO
2)の濃度を計測し得るとともに、その計測された炭酸成分の濃度に基づいて供給流路Hに当該炭酸成分を注入し得る注入手段12を具備している。この注入手段12は、炭酸成分であるB剤の原液を収容する収容手段Dと、該収容手段D内のB剤の原液を供給流路Hに注入し得る注入流路Lと、注入流路Lに配設されて収容手段D内のB剤の原液を供給流路Hに送液するための注入ポンプPとを有して構成されている。
【0036】
しかして、濃度計測手段M2又は濃度計測手段M3にて計測された炭酸成分の濃度が濃度計測手段M1にて計測された炭酸成分の濃度(個別成分の濃度)より低い場合、透析液の流通過程で炭酸成分が低下したと判定し、注入ポンプPを駆動して、低下した分の炭酸成分を注入して補充することができる。なお、注入手段12は、自重にて収容手段D内のB剤の原液(炭酸成分)を注入するものとしてもよく、その場合、注入ポンプPに代えて遮断弁を接続するのが好ましい。
【0037】
次に、本実施形態に係る血液浄化システムにおける制御内容(個別成分の濃度の適正の判定)の一例について、
図5のフローチャートに基づいて説明する。
血液浄化治療(透析治療)が開始されると、透析液供給手段2から供給流路Hにて透析液を流通させて各血液浄化手段1に供給し(S1)、濃度計測手段(M1〜M3)にて供給流路Hを流れる透析液の個別成分の濃度が計測される(S2)。その後、濃度計測手段(M1〜M3)の計測値が判定手段10に送信され、透析液の個別成分の濃度が適正か否か判定される(S3)。そして、S3にて透析液の個別成分の濃度が適正(適正範囲内)であると判定されると、透析液供給手段2による透析液の供給が継続される(S4)とともに、S3にて透析液の個別成分の濃度が適正でない(適正範囲外)と判定されると、濃度計測手段(M1〜M3)のうち何れか1つのみ適正でない濃度が計測されたか否かが判定される(S5)。
【0038】
S5にて濃度計測手段(M1〜M3)のうち何れか1つのみ適正でない濃度が計測された(他の濃度計測手段(M1〜M3)で計測された濃度は適正)と判定された場合、S6に進み、報知手段11にて報知した後、透析液供給手段2による透析液の供給が継続される(S4)、あるいは操作者の入力を待ち(S7)、操作者により透析液の供給を継続させる旨の入力がある場合は、透析液供給手段2による透析液の供給が継続される(S4)。一方、S5にて全ての濃度計測手段(M1〜M3)、または2つの濃度計測手段で計測された濃度が適正でないと判定された場合、S8に進み、透析液供給手段2による透析液の供給を停止した後、当該透析液供給手段2にて透析液を再度作製し(再調製)(S9)、S1に戻って以降の制御を再び行う。
【0039】
次に、実施形態に係る血液浄化システムにおける制御内容(炭酸成分の減少の判定)の一例について、
図6のフローチャートに基づいて説明する。
血液浄化治療(透析治療)が開始されると、透析液供給手段2から供給流路Hにて透析液を流通させて各血液浄化手段1に供給し(S1)、濃度計測手段(M1〜M3)にて供給流路Hを流れる透析液の個別成分の一つである炭酸成分の濃度が計測される(S2)。その後、濃度計測手段(M1〜M3)の計測値が判定手段10に送信され、透析液に含有される炭酸成分の濃度が適正か否か判定される(S3)。そして、S3にて透析液の炭酸成分の濃度が適正(適正範囲内)であると判定されると、透析液供給手段2による透析液の供給が継続される(S4)とともに、S3にて透析液の炭酸成分の濃度が適正でない(適正範囲外)と判定されると、S5に進み、注入手段12における注入ポンプPを制御させ、変化した分(減少した分)の炭酸成分を注入して透析液の炭酸成分の濃度が適正値となるよう駆動させた後に、S2に戻って以降の制御を再び行う。なお、濃度計測手段(M1〜M3)の故障を発見するために、濃度計測手段M1の計測値≧濃度計測手段M2の計測値≧濃度検出手段M3の計測値であるか否かの判定を行ったり、或いは各濃度計測手段(M1〜M3)に2系統のセンサを設けて両者を比較するようにしてもよい。
【0040】
上記実施形態によれば、血液浄化治療中、供給流路Hを流通する透析液に含有される個別成分の濃度を経時的に計測し得る濃度計測手段(M1〜M3)を具備したので、血液浄化治療中において透析液供給手段2から血液浄化手段1に供給される透析液の濃度を精度よく且つ自動的に計測でき、透析液の濃度の適否をより正確に判定させることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る濃度計測手段(M1〜M3)は、供給流路Hを流通する透析液を引込み得る引込み流路h1と、該引込み流路h1で引込まれた透析液を収容しつつ個別成分の濃度を計測し得る濃度計測部Nと、引込み流路hに配設されて濃度計測部Nに透析液を送り込むための注入ポンプPa又は遮断弁Vaとを有するので、血液浄化治療中において透析液供給手段2から血液浄化手段1に供給される透析液の濃度をより精度よく且つ円滑に計測することができる。
【0042】
またさらに、本実施形態に係る濃度計測手段(M1〜M3)は、供給流路Hを流通する透析液に含有される炭酸成分の濃度を計測し得るとともに、その計測された炭酸成分の濃度に基づいて供給流路に当該炭酸成分を注入し得る注入手段12を具備したので、透析液が供給流路Hを流通する過程で炭酸成分が減少しても注入手段12で補充することができ、炭酸成分の濃度を常時一定に保つことができる。
【0043】
以上、本実施形態に係る血液浄化システムついて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば濃度計測手段を血液浄化手段1内の供給流路(
図2における配管L1又は透析液導入ラインL4等)に接続するものとしてもよく、上記とは異なる個別成分の濃度を血液浄化治療中、経時的に計測し得るものとしてもよい。また、濃度計測手段(M1〜M3)の配設位置及び配設個数は、他の形態としてもよい。なお、本実施形態においては、血液透析治療を行うシステムとされているが、他の血液浄化治療を行う血液浄化システムに適用するようにしてもよい。