(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マスキング用粘着テープをステンレス板に貼着し200℃で1時間放置した後、23℃でのステンレス板に対する180度引き剥がし粘着力が、10N/20mm以下となる、請求項1または2に記載のマスキング用粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.マスキング用粘着テープの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態によるマスキング用粘着テープの概略断面図である。マスキング用粘着テープ100は、基材10と、基材10の片側に配置された粘着剤層20とを備える。図示していないが、本発明の粘着テープは、使用に供するまでの間、粘着面を保護する目的で、粘着剤層の外側に剥離ライナーが設けられていてもよい。なお、以下、本明細書において、マスキング用粘着テープを単に粘着テープということもある。
【0010】
本発明のマスキング用粘着テープをステンレス板に貼着した際の23℃における180度引き剥がし粘着力は、好ましくは0.4N/20mm以上であり、より好ましくは0.5N/20mm以上である。このような範囲であれば、電子部品のマスキング用として好適な粘着テープを得ることができる。より詳細には、貼着した後に減圧されるような環境であっても、剥離し難い粘着テープを得ることができる。本発明のマスキング用粘着テープは、電子部品の凹凸面(例えば、バンプ形成用の凹部を有する面)に貼着しても、剥離し難い。マスキング用粘着テープをステンレス板に貼着した際の23℃における180度引き剥がし粘着力の上限は、例えば、6N/20mmである。なお、180度引き剥がし粘着力は、JIS Z 0237:2000に準じて測定される。具体的には、2kgのローラーを1往復により粘着テープをステンレス板(算術平均表面粗さRa:50±25nm)に貼着し、23℃下で30分間放置した後、剥離角度180°、剥離速度(引張速度)300mm/minの条件で、粘着テープを引きはがして測定される。
【0011】
1つの実施形態においては、後述のように、粘着剤層がアクリル系粘着剤から構成される。この実施形態において、マスキング用粘着テープをステンレス板に貼着した際の23℃における180度引き剥がし粘着力は、0.5N/20mm〜2.5N/20mmであることが特に好ましい。別の実施形態においては、後述のように、粘着剤層がシリコーン系粘着剤から構成される。この実施形態において、マスキング用粘着テープをステンレス板に貼着した際の23℃における180度引き剥がし粘着力は、0.4N/20mm〜5N/20mmであることが特に好ましい。
【0012】
上記のような粘着力を有する本発明のマスキング用粘着テープは、電子部品の表面の一部に真空製膜法により金属層を形成する工程において、金属層の形成を要さない面(例えば、電極形成面)をマスキングするために好適に用いられ得る。本発明のマスキング用粘着テープは、上記のとおり、減圧処理下においても、剥離しがたく、貼着面において隙間が生じない。そのため、本発明のマスキング用粘着テープを用いれば、マスキング用粘着テープがマスキングした面(以下、マスキング面ともいう)、すなわち、金属層の形成を要さない面において、真空製膜法による金属層が形成されることが防止され得る。上記真空製膜法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられ、好ましくはスパッタリング法である。
【0013】
上記粘着剤層の厚みは、5μm以上であり、好ましくは6μm以上であり、より好ましくは6μm〜70μmであり、さらに好ましくは6μm〜50μmである。このような範囲であれば、電子部品に貼着した際、電子部品のエッジ部において、粘着剤層による応力緩和作用が十分に働き、また、電子部品のエッジが粘着剤層に食い込み得る粘着テープを得ることができる。このような粘着テープを用いれば、真空製膜処理時に、マスキング面における金属層の形成を防止することができる。また、粘着剤層の厚みを70μm以下とすることにより、被着体への糊残りが抑制された粘着テープを得ることができる。
【0014】
上記基材の厚みは、好ましくは5μm〜100μmであり、より好ましくは10μm〜75μmである。このような範囲であれば、取り扱い性に優れるマスキング用粘着テープを得ることができる。
【0015】
本発明のマスキング用粘着テープは、該マスキング用粘着テープをステンレス板に貼着し200℃で1時間放置した後、23℃でのステンレス板に対する180度引き剥がし粘着力が、10N/20mm以下となることが好ましく、8N/20mm以下となることがより好ましく、1N/20mm〜8N/20mmとなることがさらに好ましい。このような範囲であれば、所定の工程後(例えば、真空製膜処理後)、電子部品から剥離する際の剥離性に優れ、糊残りの少ないマスキング用粘着テープを得ることができる。なお、上記粘着力は、200℃で1時間放置した後、常温下で自然冷却した後に、測定される。
【0016】
B.粘着剤層
上記粘着剤層は、任意の適切な粘着剤から形成される。粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、エポキシ系粘着剤等が挙げられる。なかでも好ましくは、耐熱性の観点から、シリコーン系粘着剤またはアクリル系粘着剤である。
【0017】
上記シリコーン系粘着剤は、ベースポリマーとして、シリコーン系ポリマーを含む。シリコーン系ポリマーとしては、例えば、ジメチルシロキサンを構成単位として含むポリマー等が挙げられる。また、シリコーン系粘着剤の具体例としては、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤等が挙げられる。このような粘着剤として、市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、東レダウコーニング(株)製:SDシリーズ、信越シリコーン(株)製:KR−3700シリーズ、X−40シリーズ、信越化学工業(株)製:K−100シリーズが挙げられる。
【0018】
上記アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとして、アクリル系ポリマーを含む。アクリル系ポリマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート(好ましくは、C1−C20アルキル(メタ)アクリレート)の単独または共重合体;該アルキル(メタ)アクリレートと他の共重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。他の共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸モルホリルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー等が挙げられる。上記共重合性モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは15重量部以下であり、さらに好ましくは0.1重量部〜10重量部である。
【0019】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは20万〜150万であり、より好ましくは40万〜140万である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定され得る。
【0020】
上記粘着剤は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。該添加剤としては、例えば、架橋剤、触媒(例えば、白金触媒)、粘着付与剤、可塑剤、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤、溶剤(例えば、トルエン)等が挙げられる。
【0021】
1つの実施形態においては、上記粘着剤は、架橋剤をさらに含む。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤等が挙げられる。架橋剤の含有割合は、粘着剤に含まれるベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜15重量部であり、より好ましくは0.5重量部〜10重量部である。このような範囲であれば、適度な粘着力を有し、凹凸面への粘着性に優れ、かつ、剥離時の糊残りが少ない粘着テープを得ることができる。
【0022】
上記粘着剤層の5%重量減少温度は、好ましくは250℃以上である。このような範囲であれば、所定の工程後(例えば、真空製膜処理後)、電子部品から剥離する際の剥離性に優れ、糊残りの少ないマスキング用粘着テープを得ることができる。なお、5%重量減少温度とは、下記の条件にて熱重量(TG)測定を行い、粘着剤層の重量が初期重量に対して5%減少した時点の温度を意味する。
(TG測定条件)
測定温度域:室温〜850℃
昇温温度:10℃/分
雰囲気ガス:大気
ガス流量:200ml/分
【0023】
上記粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’は、好ましくは5×10
4〜5×10
6であり、より好ましくは8×10
4〜9×10
5であり、さらに好ましくは1×10
5〜8×10
5である。このような範囲であれば、適度な粘着力を有し、凹凸面への粘着性に優れ、かつ、剥離時の糊残りが少ない粘着テープを得ることができる。なお、貯蔵弾性率G’は、粘着剤層を1.5mm〜2mmの厚みで作製した後、これを直径7.9mmのポンチで打ち抜いて得た試料を、Rheometric Scientific社製の粘弾性スペクトロメーター(ARES)を用いて、チャック圧100g重、周波数1Hzに設定して測定することによって求めた値である。
【0024】
C.基材
上記基材を構成する材料としては、任意の適切な樹脂が用いられる。当該樹脂としては、例えば、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アラミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。また、液晶ポリマーから構成される基材、アルミ等の金属箔から構成される基材を用いてもよい。なかでも、ポリイミド系樹脂から構成される基材が好ましく用いられる。
【0025】
上記基材を構成する樹脂のガラス転移温度は、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは260℃以下である。このような範囲であれば、耐熱性に優れる粘着テープを得ることができる。なお、「ガラス転移温度」とは、DMA法(引っ張り法)において、昇温速度5℃/min、サンプル幅5mm、チャック間距離20mm、周波数10Hzの条件において確認される損失正接(tanδ)のピークを示す温度を意味する。
【0026】
D.マスキング用粘着テープの製造方法
上記マスキング用粘着テープは、任意の適切な方法により製造され得る。マスキング用粘着テープは、例えば、基材上に、上記粘着剤を塗工して得られ得る。塗工方法としては、バーコーター塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、グラビアリバース塗工、リバースロール塗工、リップ塗工、ダイ塗工、ディップ塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷など種々の方法を採用することができる。また、別途、剥離ライナーに粘着剤層を形成した後、それを基材に貼り合せる方法等を採用してもよい。
【0027】
1つの実施形態においては、上記粘着剤層は、任意の適切な硬化処理を経て、形成され得る。この実施形態において、粘着剤層は、例えば、上記B項で説明したベースポリマーおよび架橋剤を含む粘着剤組成物を基材に塗布した後、該粘着剤組成物を加熱して形成される。用いる粘着剤の種類に応じて、該粘着剤組成物は、さらなる添加剤を含み得る。例えば、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記粘着剤組成物は、白金触媒をさらに含み得る。
【0028】
E.電子部品の製造方法
本発明の別の局面によれば、マスキング用粘着テープを用いた、電子部品の製造方法が提供される。この電子部品の製造方法は、例えば、電子部品の一方の面にマスキング用粘着テープを貼着し、電子部品のマスキング用粘着テープが貼着された面以外の表面に、真空製膜法により、金属層を形成することを含む。
【0029】
上記電子部品としては、例えば、NANDフラッシュメモリ、パワーアンプ、Bluetooth(登録商標)モジュール等の電磁波の影響を受けやすい電子部品があげられる。
【0030】
上記電子部品のマスキング面は、例えば、電子部品の電極面である。1つの実施形態においては、上記電子部品のマスキング面は、バンプ形成用電極が形成される。バンプ形成用電極部分は、バンプ形成を容易にするために、凹形状となっている。該凹形状の深さは、例えば、10μm〜20μmである。また、該凹形状の直径は、例えば、5mm〜7mmである。本発明のマスキング用粘着テープは、このような凹凸面に対しても、良好な粘着性を示す。
【0031】
上記マスキング用粘着テープを貼着する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。ひとつの実施形態においては、マスキング面と所定の間隔をおいてマスキング用粘着テープを配置した後、減圧処理を行うことにより、電子部品にマスキング用粘着テープを貼着する(いわゆる、真空貼り)。このような方法により、凹凸面を有するマスキング面に粘着テープを貼着すれば、粘着テープと電子部品との間に生じる空隙を小さくすることができる。
【0032】
マスキング用粘着テープを貼着した後、マスキング用粘着テープが貼着された面以外の表面に、真空製膜法により、金属層を形成する。真空製膜法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられ、好ましくはスパッタリング法である。本発明においては、マスキング面が凹凸面である場合など、マスキング用粘着テープとマスキング面の間に空隙が生じ、減圧処理の際に該空隙が膨張するような場合であっても、マスキング用粘着テープがマスキング面から剥離しがたく、その結果、マスキング面に不要な金属層が形成されること防止し得る。
【0033】
1つの実施形態においては、上記金属層は、電磁波シールドとして機能し得る層である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
【0035】
[製造例1]粘着剤Aの調製
アクリル酸ブチル100重量部と、アクリル酸10重量部と、エポキシ系架橋剤(三菱瓦斯化学社製、商品名「テトラッドC」)1重量部とを混合して、粘着剤Aを調製した。
【0036】
[製造例2]粘着剤Bの調製
アクリル酸ブチル100重量部と、アクリル酸10重量部と、エポキシ系架橋剤(三菱瓦斯化学社製、商品名「テトラッドC」)0.5重量部とを混合して、粘着剤Bを調製した。
【0037】
[製造例3]粘着剤Cの調製
シリコーン系粘着剤(信越シリコーン社製、商品名「KR−3704」)65重量部と、シリコーン系粘着剤(信越シリコーン社製、商品名「KRX−40−3237−1」)35重量部と、白金触媒1.5重量部と、トルエン200重量部とを混合して、粘着剤Cを調製した。
【0038】
[製造例4]粘着剤Dの調製
シリコーン系粘着剤(信越シリコーン社製、商品名「KR−3704」)13重量部と、シリコーン系粘着剤(信越シリコーン社製、商品名「KRX−40−3237−1」)87重量部と、白金触媒1.5重量部と、トルエン200重量部とを混合して、粘着剤Dを調製した。
【0039】
[実施例1]マスキング用粘着テープの作製
基材としてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」、厚み:25μm)に、製造例1で調製した粘着剤Aを塗布し、厚みが7μmの粘着剤層を形成して、マスキング用粘着テープを得た。
【0040】
[実施例2]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0041】
[実施例3]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0042】
[実施例4]マスキング用粘着テープの作製
基材としてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」、厚み:25μm)に、製造例2で調製した粘着剤Bを塗布し、厚みが5μmの粘着剤層を形成して、マスキング用粘着テープを得た。
【0043】
[実施例5]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例4と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0044】
[実施例6]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例4と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0045】
[実施例7]マスキング用粘着テープの作製
基材としてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」、厚み:25μm)に、製造例3で調製した粘着剤Cを塗布した。その後、120℃、3分間の硬化処理を施し、厚みが8μmの粘着剤層を形成して、マスキング用粘着テープを得た。
【0046】
[実施例8]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例7と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0047】
[実施例9]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例7と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0048】
[実施例10]マスキング用粘着テープの作製
基材としてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」、厚み:25μm)に、製造例4で調製した粘着剤Dを塗布した。その後、120℃、3分間の硬化処理を施し、厚みが5μmの粘着剤層を形成して、マスキング用粘着テープを得た。
【0049】
[実施例11]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例10と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0050】
[実施例12]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例10と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0051】
[比較例1]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを4μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0052】
[比較例2]マスキング用粘着テープの作製
粘着剤層の厚みを4μmとしたこと以外は、実施例7と同様にして、マスキング用粘着テープを得た。
【0053】
<評価>
実施例および比較例で得られたマスキング用粘着テープを以下の評価に供した。結果を表1に示す。
(1)粘着力測定
JIS Z 0237:2000に準じて、得られたマスキング用粘着テープの粘着力を測定した。具体的には、2kgのローラーを1往復により粘着テープをステンレス板(算術平均表面粗さRa:50±25nm)に貼着し、23℃下で30分間放置した後、剥離角度180°、剥離速度(引張速度)300mm/minの条件で、粘着テープを引きはがして、マスキング用粘着テープの粘着力を測定した。
【0054】
(2)加熱処理後の粘着力測定
得られたマスキング用粘着テープをステンレス板(算術平均表面粗さRa:50±25nm)に貼着して、200℃の環境に1時間放置した。その後、粘着テープ付きステンレス板を常温下で自然冷却し、上記(1)と同様の方法で、加熱処理後のマスキング用粘着テープの粘着力を測定した。
【0055】
(3)スパッタリングによる評価
電子部品として、縦12mm×横17mm×厚さ0.5mmのサイズであり、片面に深さ20μm、直径7mmの凹部(バンプ形成用電極)を複数有する、NANDフラッシュメモリを100個用意した。
8インチリングフレームに得られたマスキング用粘着テープを取り付け、該粘着テープの粘着剤層面に上記電子部品の電極面(上記凹部を有する面)を、真空貼りにより貼着した。ひとつの8インチリングフレームにおいては、上記電子部品50個を貼着して測定用試料とし、該測定用試料を2個(電子部品50個が載った測定用試料×2)準備した。
スパッタリング装置のチャンバー内に、上記測定用試料を設置し、銅系合金の薄膜(厚み6μm)を形成させた。さらに、銅系金属の薄膜上に、ニッケル系合金の薄膜(1μm)を形成させた。スパッタリング時、チャンバー内の真空度を10
−5Pa以下とした後、アルゴンガスを流して2Paの真空度を維持した。
その後、電子部品をマスキング用粘着テープから剥離して、光学顕微鏡(100倍)にて、マスキング面を観察し、マスキング面に侵入して形成された金属薄膜の有無を確認した。凹部(バンプ形成用電極)に対して金属薄膜の侵入が全くなかったものを合格、1個以上の凹部(バンプ形成用電極)に対して金属薄膜の侵入が確認されたものを不合格とした。表1においては、電子部品100個に対する合格品の数を示す。
【0056】
【表1】