(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、基板上にレジスト液が塗布されたもの(塗布基板と称す)が使用されている。この塗布基板は、基板を搬送しつつ塗布装置により基板上にレジスト液が均一に塗布されることによって塗布膜が形成される。その後、さらに基板搬送装置により搬送され、乾燥装置等により塗布膜が乾燥されることにより生産される。
【0003】
最近の基板搬送装置では、塗布基板の裏面(塗布面と反対側)の損傷を回避するため、エア浮上や超音波浮上等、基板を浮上させながら基板を搬送させる基板浮上搬送装置が使用されている。この基板浮上搬送装置は、
図7に示すように、基板Wを浮上させる浮上ステージ部100と、浮上した状態の基板Wを保持する基板保持部102とを有しており、基板保持部102を搬送方向に移動させることにより基板Wが浮上ステージ部100上を浮上した状態で搬送されるようになっている。
【0004】
例えば、エア浮上搬送の場合には、
図8(a)に示すように、浮上ステージ部100における基板Wを浮上させる基板浮上面101に、エアを噴出させる噴出口とエアを吸引する吸引口とが一定の割合で配置されており、基板浮上面101から所定の高さ位置に基板Wを浮上させることができるようにエアの噴出力とエアの吸引力とが調整される(
図8の矢印はエアの流れを示す)。そして、基板Wの搬送方向と直交する方向(以下、川幅方向という)の両端部は、基板保持部102の吸着部102aで吸着されることによって保持され、この状態で基板保持部102が搬送方向に走行することにより基板Wが搬送方向に搬送される。すなわち、浮上ステージ部100は、基板Wに対して川幅方向に小さく形成されており、浮上ステージ部100の基板浮上面101に基板Wを載置した状態では、川幅方向両端部に基板Wを吸着できる程度の吸着代(はみ出し領域T)を有する程度に形成されている。そして、基板保持部102を浮上ステージ部100に近接させて設置することでエア浮上が作用しない領域を極力少なくすることにより、川幅方向両端に亘って基板Wを均一に浮上させることができ、基板Wの平面姿勢(以下、平面度という)を高精度に維持した状態で搬送することができる。これより、基板浮上搬送装置と組み合わされる塗布装置103や乾燥装置において、基板Wの姿勢の影響による塗布ムラや乾燥ムラを抑えることができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、基板Wの多種多様化に伴い、サイズの異なる塗布基板Wを要求される場合がある。すなわち、最終製品の基板サイズの多様化により、通常よりも川幅方向に寸法が大きい基板W(以下、幅広基板Wという)が要求される場合がある。ところが上記の基板浮上搬送装置で幅広基板Wを搬送しようとすると、
図8(b)に示すように、塗布すべき基板有効領域αが浮上ステージ部100を超えて基板保持部102に跨ってしまうことにより、基板Wの平面度を維持できないという問題があった。すなわち、基板有効領域αが基板保持部102に跨ると、浮上ステージ部100と基板保持部102とで基板有効領域α内に浮上状態が異なるため、基板浮上搬送装置と組み合わされる塗布装置103や乾燥装置において、基板Wの姿勢変化による塗布ムラや乾燥ムラが発生するという問題があった。
【0007】
このような場合には、川幅方向に寸法に僅かでも寸法が大きい幅広基板Wは、上記基板浮上搬送装置では搬送することができず、幅広基板Wを搬送させるために新たな基板浮上搬送装置を別途用意する必要があるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、川幅方向に寸法の大きい幅広基板でも平面度を高精度に維持しつつ搬送することができる基板浮上搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の基板浮上搬送装置は、搬送方向に延び、基板浮上面上に基板を浮上させる浮上ステージ部と、前記基板浮上面上に浮上した基板を保持する基板保持部と、を備え、前記基板浮上面上に浮上した状態の基板を保持した状態で前記基板保持部が前記搬送方向に沿って移動することにより、基板が基板浮上面上に浮上した状態で搬送される基板浮上搬送装置において、前記浮上ステージ部と前記基板保持部との間には、基準サイズの基板よりも搬送方向と直交する川幅方向寸法が大きい幅広基板を搬送する場合に、前記基板浮上面から川幅方向にはみ出す前記幅広基板のはみ出し領域を浮上させる補助浮上支持部を備えており、前記補助浮上支持部は、前記基板保持部に設けられており、
前記補助浮上支持部には、前記基準サイズの基板が吸着されて保持される吸着面が前記基板保持部の吸着面よりも川幅方向内側に設けられ、前記基準サイズの基板が搬送される際には、前記補助浮上支持部の吸着面で前記基準サイズの基板が吸着保持され、前記幅広基板が搬送される際には前記基板保持部の吸着面で前記幅広基板が吸着保持されることを特徴としている。
【0010】
上記基板浮上搬送装置によれば、浮上ステージ部と基板保持部との間に補助浮上支持部を備えているため、川幅方向に寸法の大きい幅広基板でも平面度を高精度に維持しつつ搬送することができる。すなわち、幅広基板のうち、浮上ステージ部よりも川幅方向にはみ出す領域は、補助浮上支持部による浮上機構により、浮上ステージ部上に位置する基板と同じ浮上状態に設定することにより、川幅方向に亘って浮上状態を均一にすることができる。したがって、従来の基板浮上搬送装置に比べて、幅広基板の平面度を高精度に維持して基板有効領域に塗布ムラが発生する問題を抑えることができ、幅広基板のために新たな基板浮上搬送装置を別途用意する設備コストを抑えることができる。
【0011】
また、前記補助浮上支持部は、その浮上機構が前記浮上ステージ部と同じ浮上機構を有している構成が好ましい。
【0012】
この構成によれば、補助浮上支持部は、浮上ステージ部と同じ浮上機構(例えば、エア浮上、超音波浮上等)を有しているため、補助浮上支持部における浮上状態を浮上ステージ部における浮上状態と同じ状態にすることができ、幅広基板の浮上状態を川幅方向に亘って均一にすることができる。
【0018】
そして、基準サイズの基板、幅広基板、いずれを搬送する場合であっても、装置構成を組み替えることがなく、段取り作業を簡略化することができる。
【0019】
また、前記基板保持部の吸着
面は、前記補助浮上支持部の吸着
面よりも高さ位置が高く設定されており、前記基板保持部の吸着
面により幅広基板が保持された状態では、前記補助浮上支持部の浮上機構により、前記浮上ステージ部における浮上状態と同じ浮上状態に維持される構成にしてもよい。
【0020】
この構成によれば、幅広基板を保持する場合において、浮上ステージ部及び補助浮上支持部のいずれにおいても浮上状態が同じ状態に維持されるため、川幅方向に亘って幅広基板の平面度を高精度に維持することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の基板浮上搬送装置によれば、川幅方向に寸法の大きい幅広基板でも平面度を高精度に維持しつつ搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態における基板浮上搬送装置と組み合わされる塗布装置を示す斜視図である。
【
図2】上記一実施形態における基板浮上搬送装置と組み合わされる塗布装置の正面図である。
【
図3】上記一実施形態における基板浮上搬送装置において基板を保持した状態を示す拡大図であり、(a)は標準基板を保持した状態を示す図、(b)は幅広基板を保持するために浮上ステージ部に補助浮上支持部を取り付けた状態を示す図である。
【
図4】上記一実施形態における基板浮上搬送装置の基板保持部を示す図であり、(a)は標準基板を保持した状態を示す図、(b)は補助浮上支持部を取り付けた場合に幅広基板を保持した状態を示す図である。
【
図5】上記一実施形態における基板浮上搬送装置の基板保持部の吸着パッドを示す図であり、(a)は吸着する前の状態を示す図であり、(b)は吸着した状態を示す図である。
【
図6】他の実施形態における基板浮上搬送装置の基板保持部を示す図であり、(a)は標準基板を保持した状態を示す図であり、(b)は幅広基板を保持した状態を示す図である。
【
図7】従来の基板浮上搬送装置と組み合わされる塗布装置を示す斜視図である。
【
図8】従来の基板浮上搬送装置において基板の保持状態を示す図であり、(a)は標準基板を保持した状態を示す図であり、(b)は幅広基板を保持した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の基板浮上搬送装置に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
図1は、本発明の基板浮上搬送装置1と組み合わされる塗布装置2を概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1における基板浮上搬送装置1と組み合わされる塗布装置2の正面図である。
【0025】
図1、
図2において、基板Wを搬送させる基板浮上搬送装置1は、搬送される基板Wに塗布膜を形成する塗布装置2の塗布ユニット21と組み合わされており、一連の基板処理装置を形成している。この基板浮上搬送装置1は、一方向に延びる浮上ステージ部10を有しており、この浮上ステージ部10の延びる方向に沿って基板Wが搬送される。
図1の例では、浮上ステージ部10は、X軸方向に延びて形成されており、基板WがX軸方向に上流側(前工程側)から下流側(後工程側)に搬送されるようになっている。そして、塗布ユニット21から塗布液を吐出することにより、基板W上に塗布膜が形成される。具体的には、基板Wが浮上ステージ部10に浮上された状態でX軸方向に搬送されつつ、塗布ユニット21から塗布液が吐出されることにより、基板W上に均一厚さの塗布膜が形成されるようになっている。なお、以下の説明では、基板Wが搬送される方向をX軸方向とし、X軸方向が搬送方向に相当する。また、X軸方向(搬送方向)と水平面上で直交する方向をY軸方向とし、特にY軸方向を川幅方向ともいう。そして、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0026】
塗布ユニット21は、基板Wに塗布液を塗布するものであり、フレーム部22と口金部23とを有している。フレーム部22は、浮上ステージ部10のY軸方向両側にそれぞれ配置される支柱22aを有しており、この支柱22aに口金部23が設けられている。具体的には、支柱22aは、Y軸方向(川幅方向)両側に固定して設けられており、後述する基板保持部30の走行を妨げることのないように、基板保持部30の走行経路よりも外側に配置されている。そして、これらの支柱22aに口金部23が架け渡されて設けられており、口金部23が浮上ステージ部10を横切る状態で取り付けられている。また、支柱22aには昇降機構が設けられており、昇降機構を作動させることにより口金部23がZ方向に移動できるようになっている。すなわち、昇降機構により口金部23が浮上ステージ部10に対して接離動作できるようになっている。
【0027】
口金部23は、塗布液を吐出するものであり、一方向に延びて形成されている。この口金部23は、一方向に延びるスリットノズル23a(
図2参照)が形成されており、口金部23内に貯留された塗布液をスリットノズル23aから吐出できるようになっている。具体的には、スリットノズル23aは、浮上ステージ部10と対向する面に形成されており、口金部23はスリットノズル23aが川幅方向に延びる状態で設置されている。そして、搬送される基板Wに対して口金部23を昇降させて基板Wとスリットノズル23aとの距離を所定の距離に合わせた状態で、スリットノズル23aから塗布液を吐出することにより、川幅方向に一様な塗布膜が搬送方向に連続的に形成されるようになっている。
【0028】
また、基板浮上搬送装置1は、基板Wを浮上させつつ特定方向に搬送させるものである。基板浮上搬送装置1は、基板Wを浮上させる浮上ステージ部10と、浮上ステージ部10に浮上させた基板Wを保持し搬送させる基板搬送ユニット3とを有している。
【0029】
浮上ステージ部10は、基板Wを浮上させるものであり、本実施形態ではエア浮上機構を有している。浮上ステージ部10は、基台11上に平板部12が設けられて形成されており、複数枚の平板部12がX軸方向に沿って配列されて形成されている。すなわち、平板部12は、平滑な基板浮上面12a(
図3参照)を有しており、それぞれの基板浮上面12aが均一高さになるように配列されている。そして、基板浮上面12aには、搬送させる基板Wとの間に空気層が形成されることにより基板Wを所定高さ位置に浮上させることができるようになっている。具体的には、平板部12には、基板浮上面12aに開口する微小な噴出口(不図示)と吸引口(不図示)とが形成されており、噴出口とコンプレッサとが配管で接続され、吸引口と真空ポンプとが配管で接続されている。そして、噴出口から噴出されるエアと吸引口に発生する吸引力とをバランスさせることにより、基板Wが基板浮上面12aから所定高さに水平の姿勢で浮上させることができるようになっている。これにより、基板Wの平面姿勢(平面度という)を高精度に維持した状態で搬送できるようになっている。
【0030】
また、浮上ステージ部10の平板部12は、そのY軸方向寸法が基準サイズの基板W(標準基板W)のY軸方向寸法よりも小さく形成されており、基板浮上面12a上に基板Wを載置すると、基板浮上面12aから基板WのY軸方向端部がはみ出した状態となる。このはみ出した部分(はみ出し領域T)を後述の基板搬送ユニット3で保持することにより、基板Wを搬送できるようになっている。この平板部12のY軸方向寸法は、はみ出し領域Tが基板保持部30で保持できる必要最小限の寸法になるように設定されている。すなわち、はみ出し領域Tのはみ出し量は、基板保持部30で基板Wのはみ出し領域Tを保持した場合に、基板保持部30と平板部12との間に互いに接触することのない僅かな隙間が形成される程度に設定されている。なお、基準サイズの基板Wとは、基板浮上搬送装置1を設計する際に基準となる大きさの基板Wのことをいい、後述の川幅方向寸法が大きい幅広基板Wに対して標準基板Wと呼ぶこととする。
【0031】
また、平板部12は、補助浮上支持部4が取り付けできるようになっている。この補助浮上支持部4は、標準基板Wに対して川幅方向寸法が大きい幅広基板Wを搬送させる場合に、幅広基板Wの姿勢を川幅方向に亘って水平に維持させるものである。
【0032】
本実施形態の補助浮上支持部4は、補助ブロック40であり、幅広基板Wを搬送させる場合に、平板部12のY軸方向(川幅方向)側面に取り付けて固定されるようになっている。具体的には、補助ブロック40は、直方体形状を有しており、搬送方向寸法は平板部12と同じ寸法に形成され、川幅方向寸法は、幅広基板Wが基板浮上面12aに載置された場合に、幅広基板WのY軸方向端部が川幅方向にはみ出した状態となる寸法に形成されている。すなわち、はみ出し量は、標準基板Wと同様に、基板保持部30で基板Wを保持した場合に、基板保持部30が補助ブロック40に接触せず走行するのに最低限必要となる寸法、すなわち、基板保持部30と補助ブロック40との間に互いに接触することのない僅かな隙間が形成される寸法に設定されている。また、補助ブロック40が取り付けられた状態では、補助ブロック40の上面が平板部12の基板浮上面12aと同じ高さになるように設定されている。これにより、平板部12と補助ブロック40によって一回り大きい平坦で一様な基板浮上面12aが形成されるようになっている。
【0033】
また、補助ブロック40(補助浮上支持部4)は、浮上ステージ部10と同じ浮上機構(本実施形態ではエア浮上機構)を有している。具体的には、補助ブロック40の基板浮上面12aを形成する面には、平板部12と同様に、噴出口(不図示)と吸引口(不図示)とが形成されており、平板部12の噴出口及び吸引口と同じ態様で形成されている。すなわち、平板部12の出口及び吸引口と同じ割合、同じ位置関係を有するように形成されており、平板部12における基板Wの浮上状態と、補助ブロック40における基板Wの浮上状態とを同じ状態にすることができるようになっている。したがって、補助ブロック40が取り付けられた状態では、幅広基板Wであっても、川幅方向に亘って均一に浮上させることができ、基板Wの平面度を高精度に維持した状態で浮上させることができる。
【0034】
また、基板搬送ユニット3は、浮上状態の基板Wを搬送させるものであり、基板Wを保持する基板保持部30と、基板保持部30を走行させる搬送駆動部31とを有している。
【0035】
搬送駆動部31は、基板保持部30を搬送方向に移動させるように構成されており、浮上ステージ部10に沿って搬送方向に延びる搬送レール部31aと、この搬送レール部31a上を走行する搬送本体部31bとで形成されている。具体的には、搬送方向に延びるように設けられた基台11が浮上ステージ部10の川幅方向両側に配置されており、それぞれの基台11上に搬送レール部31aが設けられている。すなわち、搬送レール部31aが浮上ステージ部10に沿って途切れることなく連続して設けられている。また、搬送本体部31bは、凹形状に形成された板状部材であり、
図4(a)に示すように、搬送レール部31aの上面を覆うように設けられている。具体的には、搬送本体部31bは、エアパッド32を介して搬送レール部31aに覆うように設けられており、図示しないリニアモータを駆動させることにより、搬送本体部31bが搬送レール部31a上を走行するようになっている。すなわち、リニアモータを駆動制御することにより、搬送本体部31bが搬送レール部31a上を接触することなく走行し、適切な位置で停止できるようになっている。
【0036】
また、基板保持部30は、基板Wを保持するものであり、搬送本体部31bに取り付けられている。具体的には、
図4(a)に示すように、基板保持部30は、ほぼ直方体のブロック状に形成されており、浮上ステージ部10の平板部12に接触しない程度の隙間を介して取り付けられている。また、基板保持部30は、その上面(吸着面33)が浮上させた基板Wの下面の高さ位置と面位置になるように設定されている。そして、
図5に示すように、吸着面33には、開口部34が形成されており、その開口部34内に弾性変形可能な蛇腹形状の吸着パッド35が埋設されている。この吸着パッド35は、吸引力を発生させて基板Wを吸着保持するものであり、通常状態(基板Wがない状態)では、その先端が開口部34から僅かに突出した状態で待機するように設定されている(
図5(a)参照)。そして、基板浮上面12aに基板Wが載置されると基板浮上面12aから川幅方向にはみ出した部分が吸着パッド35に当接する。この状態で吸着パッド35に吸引力を発生させると、基板Wの下面が吸着パッド35で吸引されつつ、その吸引状態を保ったまま、吸着パッド35自体が開口部34内に収縮して基板Wの下面が吸着面33に当接し基板Wが保持されるようになっている(
図5(b)参照)。これにより、浮上ステージ部10で浮上された基板Wが、川幅方向に亘って同じ浮上高さ位置を維持した状態で保持される。
【0037】
また、基板保持部30は、位置調節機構を有している。すなわち、基板保持部30は、搬送本体部31bにリニアガイド36を介して設けられており、川幅方向に移動できるようになっている。具体的には、搬送本体部31bには、川幅方向に移動可能なリニアガイド36が取り付けられており、このリニアガイド36に基板保持部30が取り付けられている。そして、リニアガイド36を駆動制御することにより基板保持部30が川幅方向に移動し、適切な位置で停止できるようになっている。
【0038】
本実施形態では、標準基板Wを搬送させる場合には、基板保持部30が浮上ステージ部10に近接する位置に移動し固定される(
図4(a)参照)。すなわち、基板保持部30と浮上ステージ部10との間に、基板保持部30が搬送方向に走行しても浮上ステージ部10の平板部12に接触しない程度の隙間を有するように、基板保持部30が浮上ステージ部10に極力接近する位置に固定される。これにより、基板Wに浮上機構が作用しない領域を極力少なくすることができ、基板Wの浮上状態を川幅方向に亘って均一にすることができる。
【0039】
また、幅広基板Wを搬送させる場合には、補助ブロック40が存在する分だけ川幅方向外側に移動し、基板保持部30が補助ブロック40に近接した位置に固定される(
図4(b)参照)。この場合においても、基板保持部30と補助ブロック40との間に、基板保持部30が搬送方向に走行しても補助ブロック40に接触しない程度の隙間を有するように固定され、基板Wに浮上機構が作用しない領域を極力少なくして、基板Wの浮上状態を川幅方向に亘って均一にすることができるようになっている。
【0040】
このように、本実施形態における基板浮上搬送装置1では、浮上ステージ部10と基板保持部30との間に補助浮上支持部4(補助ブロック40)を備えているため、川幅方向に寸法の大きい幅広基板Wでも平面度を高精度に維持しつつ搬送することができる。すなわち、幅広基板Wのうち、浮上ステージ部10よりも川幅方向にはみ出す領域は、補助浮上支持部4による浮上機構により、浮上ステージ部10上に位置する基板Wと同じ浮上状態に設定することにより、川幅方向に亘って浮上状態を均一にすることができる。したがって、従来の基板浮上搬送装置1に比べて、幅広基板Wの平面度を高精度に維持して基板W有効領域に塗布ムラが発生する問題を抑えることができ、幅広基板Wのために新たな基板浮上搬送装置1を別途用意する設備コストを抑えることができる。
【0041】
また、補助ブロック40には、浮上ステージ部10と同じエア浮上機構を使用しているため、補助ブロック40における浮上状態を浮上ステージ部10における浮上状態と同じ状態にすることができるため、幅広基板Wの浮上状態を川幅方向に亘って均一にすることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、補助浮上支持部4が浮上ステージ部10に取り付けられる補助ブロック40である場合について説明したが、補助浮上支持部4が基板保持部30に設けられるものであってもよい。
図6に示す例では、基板保持部30の吸着面33aが補助浮上支持部4の一部をなすように構成されている。すなわち、基板保持部30には、吸着ブロック37が設けられ、川幅方向内側に補助浮上支持部4が形成され、川幅方向外側に基板保持部30が形成され、これらが一体的に構成されている。具体的には、基板保持部30の吸着面33aが、川幅方向外側に位置し、補助浮上支持部4の吸着面33bよりも一段高い位置に形成されている。そして、それぞれの吸着面33(吸着面33a及び吸着面33b)には、開口部34が形成されており、その開口部34に上述した吸着パッド35が埋設され、基板Wを吸着して保持できるようになっている。すなわち、吸着ブロック37における補助浮上支持部4は、浮上ステージ部10の平板部12に近接する位置に配置されており、浮上ステージ部10に標準基板Wが載置されると基板浮上面12aからはみ出したはみ出し領域Tを吸着パッド35で吸着できるようになっている(
図6(a))。すなわち、吸着ブロック37の補助浮上支持部4は、上記実施形態と同様に、基板保持部30が搬送方向に走行しても浮上ステージ部10の平板部12に接触しない程度の隙間を有するように配置され、川幅方向に亘って均一に浮上させ、基板Wの平面度を高精度に維持した状態で浮上させることができる。
【0043】
また、基板保持部30における吸着パッド35は、浮上ステージ部10に載置された幅広基板Wのはみ出し領域Tを吸着できる位置に配置されている。また、補助浮上支持部4の吸着面33bには、噴出口(不図示)と吸引口(不図示)とが形成されており、平板部12の噴出口及び吸引口と同じ態様で形成されている。すなわち、浮上ステージ部10に幅広基板Wが載置されると、浮上ステージ部10からはみだす部分は、吸着ブロック37の補助浮上支持部4に設けられた浮上機構により浮上される。また、吸着面33bと基板浮上面12aの高さ位置は共通の高さに設定されている。これにより、幅広基板Wのはみ出し領域Tは、浮上ステージ部10に設けられた浮上機構と同じ構成の浮上機構で浮上させることができるため、基板保持部30が浮上ステージ部10から川幅方向外側に離れた位置に配置されていても、基板Wの浮上状態を川幅方向に亘って均一にすることができる。そして、本実施形態では、上記実施形態のように、標準基板Wと幅広基板Wを搬送する際に、補助ブロック40を付け替える必要がないため、上記実施形態に比べて、段取り作業を簡略化することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、浮上ステージ部10の浮上機構としてエア浮上機構を使用する例について説明したが、超音波浮上等、他の浮上機構を用いるものであってもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、補助浮上支持部4において、浮上ステージ部10と同じ浮上機構を用いる例について説明したが、異なる浮上機構を用いるものであってもよい。例えば、浮上ステージ部10に超音波浮上機構を使用し、補助浮上支持部4においてエア浮上機構を使用してもよい。いずれの浮上機構を使用しても、浮上ステージ部10及び補助浮上支持部4での浮上高さを共通にして川幅方向に亘って均一な浮上状態を形成できればよい。
【0046】
また、上記実施形態では、基板浮上搬送装置1を塗布装置2に組み合わせる例について説明したが、基板浮上搬送装置1を乾燥装置に組み合わせてもよく、さまざまな基板処理装置に組み合わせて使用することができる。