(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと多価アルコールを含むジェル状化粧料であって、多価アルコールとしてジグリセリンと、ソルビトール及び/又はマルチトールを含有することを特徴とするジェル状化粧料に係るものである。
以下に、本発明の構成成分について詳細に説明する。
<(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー>
本発明で用いる(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとは、ヒドロキシエチルアクリル酸とアクリルジメチルタウリンナトリウムの共重合体であり、市販されているものを使用することができる。例えば、SEPPIC社(フランス)製のSIMULGEL NS、SEPINOV EMT10等を使用することができる。SIMULGEL NSは、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー37.5質量%、スクワラン25.5質量%、ポリソルベート60が5.5質量%、水30質量%、イソステアリン酸ソルビタン1.5質量%からなる混合原料である。SEPINOV EMT10は、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー100質量%である。
本発明のジェル状化粧料は、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを0.5〜1質量%、より好ましくは0.5〜0.9質量%、さらにより好ましくは0.5〜0.7質量%配合することが好ましい。
本発明において、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと下記に述べる特定の多価アルコールとを組み合わせることで、本化粧料に必要な粘度(80000〜200000mPa・s)を付与できる。1質量%を超えて配合する必要はない。
【0009】
<多価アルコール>
本発明のジェル状化粧料は、多価アルコールとして、ジグリセリンと、ソルビトール及び/又はマルチトールを含む。
(1)ジグリセリン
ジグリセリンは、グリセリン2分子を脱水縮合反応させ、蒸留、精製してつくられ、4つの水酸基を持つ多価アルコールである。阪本薬品工業(株)製のジグリセリン801等市販されている化粧料規格の製品を入手して用いることができる。
【0010】
(2)ソルビトール
ソルビトールは、グルコースを還元し、アルデヒド基をヒドロキシ基に変換して得られる糖アルコールの一種である。ソルビットまたはグルシトールともいう。三菱商事フードテック(株)製のソルビットD−70等市販されている製品を入手して用いることができる。ソルビットD−70は、ソルビトール70質量%と水30質量%から成る混合原料である。
【0011】
(3)マルチトール
マルチトールは、酵素糖化法によって澱粉からつくられる二糖類のマルトースを原料として高圧下で接触還元して得られる糖アルコールの一種である。三菱商事フードテック(株)製のアマルティシロップ等の市販されている製品を入手して用いることができる。アマルティシロップは、マルチトール75質量%と水25質量%から成る混合原料である。
なお、本発明においては、これら3成分の他にも、本発明の効果を損なわない範囲で多価アルコールを含有させることができる。このような多価アルコールとして、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等を例示できる。
【0012】
本発明のジェル状化粧料は、化粧料の全質量に対し多価アルコールを80〜95質量%配合することが好ましい。任意で配合する1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールは、この配合量に含める。このうち必須成分であるジグリセリンは組成物全量に対し45〜80質量%配合することが好ましい。「ジグリセリン」と、「ソルビトール及び/又はマルチトール」の配合比率が7:1〜1:1であることが好ましい。この範囲の配合比率をとると、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとともに組成物を著しく増粘させるので好ましい。
【0013】
本発明のジェル状化粧料を透明なジェル状化粧料とするためには、油剤を含有しないか1質量%未満にすることが好ましい。この透明なジェル状化粧料は、配合する多価アルコールの作用により油剤を含まない場合であっても、十分な保湿効果を有する保湿化粧料となる。また、透明性を減らしてもよい場合や使用感のバリエーション化を目的として、任意で1質量%以上の油剤を配合しても構わない。
【0014】
本発明において水の配合量は、15質量%以下とすることが好ましい。水の配合量が多いと本発明のジェル状化粧料の増粘効果が減じる恐れがある。
【0015】
本発明のジェル状化粧料は、B型粘度計を用い、4号ローター、回転速度6rpm、30秒、25℃の条件で測定するときの粘度が、80000〜200000mPa・sを示す。この粘度範囲を示すジェル状化粧料は、ジャー容器に充填する化粧料として好ましい。
【0016】
<任意成分>
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、植物油のような油脂類、炭化水素類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーンを含有させることができる。アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー以外の水溶性高分子、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、香料、pH調整剤、乾燥剤等を含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、抗癌剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【0017】
油脂類としては、例えばツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類が挙げられる。
【0018】
炭化水素類としては、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0019】
高級脂肪酸として、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等が挙げられる。
【0020】
高級アルコールとして、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0021】
シリコーンとして、例えば、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0022】
アニオン界面活性剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
【0023】
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤として、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0025】
非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体が挙げられる。
【0026】
防腐剤として、例えばメチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
【0027】
金属イオン封鎖剤として、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
【0028】
水溶性高分子としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子のいずれでもよいが、たとえば、天然高分子としては、トラガントガム、カラヤガム、キサンタンガム、グアガム、カチオン化グアガム、アニオン化グアガム、タラガム、アラビアガム、タマリンドガム、ジュランガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、クインスシード、デキストラン、等が例示できる。半合成高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト等が例示できる。合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ジアルキルポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、合成スメクタイト、等を挙げることができる。
【0029】
粉体成分としては、酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、タルク、カオリン、窒化ホウ素、マイカ、結晶セルロース粉体、シルク粉体、ポリアクリル酸アルキル粉体、ナイロン粉体、ポリエチレン粉体、ポリスチレン粉体等を例示できる。また、シリコーン処理やフッ素処理等を施した表面処理粉体を用いてもよい。また、複数種の不溶性粉体からなる複合粉体を用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、等を挙げることができる。
【0030】
薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD2、コレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。
また、プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ぶなの木エキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。
さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を挙げることができる。
【0031】
本発明のジェル状化粧料は、保湿ジェル、美白ジェル、パック化粧料、ジェルマスク等の皮膚用化粧料、口唇用化粧料とすることができる。また、医薬品、医薬部外品とすることができる。
【0032】
本発明の化粧料は常法により製造することができる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例、比較例を示し本発明について具体的に説明する。
表1に実施例1〜6の組成、表2に比較例1〜8の組成を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
表1、表2に示す実施例及び比較例の組成の化粧料を、常法により調製した。なお、配合量の単位は組成物全量に対する質量%で表示している。
【0037】
また、各化粧料の粘度および、糸引き評価を以下のように行った。
[粘度の測定]
化粧料を直径約3cmのガラス容器に充填後25℃に保存して、製造翌日の粘度をB型粘度計(4号ローター、6rpm、30秒)にて測定した。
【0038】
[糸引き]
化粧料を指にとり、親指と人差し指に挟んで、両指の間を広げることを繰り返した時の指の間に糸を引くかを専門パネラーにより目視観察した。
評価基準は以下のとおりとした。
○:糸引きがほとんどみられない(10mm未満の糸引きは、○の評価に含めた)
△:糸引きがわずかにある(5回に1回程度の低頻度で10mm以上の糸引きが認められる)
×:糸引きがある(10mm以上の糸引きが、いつも認められる)
【0039】
[結果]
実施例1〜6の化粧料の粘度は、105300〜148000mPa・sであった。この粘度は、ジャー容器に充填して使用するのに適した粘性である。
糸引きについては、実施例1〜4は「〇」評価であり殆ど糸引きは観察されなかった。実施例5、6はわずかに糸引きが観察されたがいずれも5回に1回程度の頻度の糸引きであり、実用上問題はなかった。また、実施例1〜6の化粧料は、いずれも透明な外観の美しいジェル状を呈していた。
【0040】
比較例1は、実施例1と同様に(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの配合量を0.6質量%、補助的増粘剤としてキサンタンガムを0.1質量%含有し、多価アルコールを全く含まず水を98.3質量%含む組成である。この化粧料の粘度は6770mPa・sと低く、ジャー容器への充填使用には不適であった。また明らかな糸引きも認められた。
【0041】
比較例2〜6は、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコール90質量%(比較例2)、グリセリン90質量%(比較例3)、マルチトール67.5質量%(比較例4)、ソルビトール63質量%(比較例5)、ジグリセリン90質量%(比較例6)を含む組成である。
比較例2は増粘せずジェル状の化粧料とはならなかった。また比較例3、5、6の化粧料は、いずれも粘度がジャー容器に充填して使用するために必要な80000mPa・s以下であり目的に合致しなかった。比較例4は粘度が81300mPa・sを示したものの、強い糸引きが観察され、本発明の目的に合致しなかった。糸引きがあると、例えばジャー容器からジェルをすくい取るときに、取り出しにくく使用性が悪い。また、使用時に不快な印象を与えるので、化粧料の設計品質上好ましくない。
【0042】
比較例7は、グリセリン90質量%と、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー0.56質量%を含み、キサンタンガムを含まない組成であるが、粘度が低く糸引きの評価も悪かった。
比較例8は、ジグリセリンと併用する多価アルコールとしてグリセリンを使用した組成であるが、本発明が必要とする粘度にならなかった。
【0043】
実施例、比較例の粘度及び糸引きの評価から、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとジグリセリンと、ソルビトール及び/又はマルチトールを配合することでジャー容器に充填するのに適した好ましい粘度を持つジェル状化粧料となることが明らかとなった。また実施例の化粧料は糸引きがないか又は殆ど発生しないことから、使用性が良好であり、また、配合した(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーやキサンタンガムなどによる高分子特有のべたつきやぬるつきのない、使用感が良好なジェル状化粧料になることがわかった。
【0044】
次に、本発明の優れた増粘効果について、再度、実施例、比較例の結果から説明する。
(本願の増粘効果)
比較例1は、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの配合量が0.6質量%であり、補助的増粘剤としてキサンタンガムを0.1質量%含有し、多価アルコールを全く含まず水を98.3質量%含む組成であるが、組成物の粘度は6770mPa・sであった。これに対して、実施例1および2は、比較例1の組成から、水を多価アルコールであるジグリセリンと、ソルビトール(市販されている70%水溶液)又はマルチトール(市販されている75%水溶液)に置き換えた組成であるが、粘度は148000mPa・s(実施例1)、128400mPa・s(実施例2)となり、高い粘性の組成物が得られた。計算すると、実施例1の組成物は比較例1の組成物の約22倍の粘度であり、実施例2の組成物は比較例1の組成物の約19倍の粘度である。このことから、本発明の構成をとることにより、著しく増粘した組成物が得られることが分かった。また、実施例3〜6は、補助的増粘剤としてのキサンタンガムを配合していない組成であるが、123600mPa・s(実施例3)、105300mPa・s(実施例4)、115700mPa・s(実施例5)、133000mPa・s(実施例6)と、いずれも高い粘性が得られている。このことから、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと、ジグリセリンと、ソルビトール及び/又はマルチトールという構成をとることで、補助的増粘剤を配合しなくても、著しい増粘組成物が得られることが確認できた。また、グリセリンは特に必要ないことが確認された。
一方、多価アルコールを実施例とほぼ同量含むが、本発明の構成とするジグリセリンと、ソルビトール又はマルチトールを組み合わせて配合していない比較例2〜8の組成物は、増粘しないか(比較例2)、増粘の程度が低かった。具体的には、31300mPa・s(比較例3)、51700mPa・s(比較例5)、73300mPa・s(比較例6)、29200mPa・s(比較例7)、48800mPa・s(比較例8)であり、実施例で得られた100000mPa・sを超えるものは無かった。比較例4は81300mPa・sと本試験の中では比較的高めの粘性であったが、糸引きが認められ、使用性が悪く(評価×)、化粧料の品質としては不適合であった。
なお、前述したとおり、実施例1〜6の組成物に「糸引き」はほとんどみられないか(評価○)、わずかに認められる程度(評価△)であり、実使用では問題とならない使用性であった。さらに、実施例1〜6に、べたつき・ぬるつきはなく、使用感も全く問題なかった。
以上のことから、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと、ジグリセリンと、ソルビトール及び/又はマルチトールの一種以上を組み合わせると著しく増粘した組成物となること、またこの組成物は糸引きがなく使用性が良好であること、また高分子特有のべたつきやぬるつきの少ない、使用感が良好なジェル状化粧料になることがわかった。
【0045】
以上のとおり、水溶性高分子を多量に配合しなくても、組成物を適切に増粘できるので、ぬるついたり、べたついたりせずに、使用感の良好な化粧料が提供が可能となった。また本発明のジェル状化粧料は、糸引きがなく、また保湿効果の高い多価アルコールを高配合しているため、保湿効果が求められる口唇用途の化粧料として最適である。
以下に、本発明のジェル状化粧料の処方例を例示する。
【0046】
処方例1
美白・保湿ジェル
(配合成分) (質量%)
1.SEPINOV EMT10(SEPPIC社) 0.6
2.ジグリセリン 60
3.ソルビトールD−70(70%水溶液) 30
4.1,2−ペンタンジオール 1
5.ソウハクヒエキス 1
6.精製水 残余
1〜6の成分を混合し美白・保湿ジェルを得た。ジャー容器に充填した処方例1の美白・保湿ジェルは透明で美しく、ぬるつきやべたつきや糸引きがなく、保湿性の高い優れた使用感であった。
【0047】
処方例2
口唇用保湿ジェル
(配合成分) (質量%)
1.SIMULGEL NS(SEPPIC社) 1.5
2.ジグリセリン 50
3.ソルビトールD−70(70%水溶液) 27
4.1,2−ペンタンジオール 1
5.メチルグルセス 5
6.ジプロピレングリコール 2
7.キサンタンガム 0.2
8.ヒアルロン酸Na 0.1
9.精製水 残余
1〜9の成分を混合し口唇用保湿ジェルを得た。ジャー容器に充填した処方例2の口唇用保湿ジェルは透明で美しく、ぬるつきやべたつきや糸引きがなく、優れた使用感であった。また保湿効果に優れていた。
【0048】
処方例3
粒子含有保湿パック化粧料
(配合成分) (質量%)
1.SIMULGEL NS(SEPPIC社) 1.6
2.ジグリセリン 70
3.マルチトール(75%水溶液) 23
4.1,2−ペンタンジオール 1
5.1,3−ブチレングリコール 1
6.ポリエチレン末 0.12
7.精製水 残余
1〜7の成分を混合し粒子含有保湿パック化粧料を得た。ジャー容器に充填した処方例3の粒子含有パック化粧料はジェル状であり、透明で美しく、ぬるつきやべたつきや糸引きがなく、優れた使用感であった。また保湿効果に優れていた。