(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔成分(A):N,N-ジメチルアクリルアミド由来の繰返し単位を有するオルガノポリシロキサングラフトポリマー〕
成分(A)としては、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサングラフトポリマーが好ましい。
【0013】
〔式中、
R
1は同一でも異なってもよく炭素数1〜8のアルキル基を示し、
R
2は同一でも異なってもよく、水酸基、又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、
R
3はヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基を示し、
R
4は水素原子又はメチル基を示し、
R
5は同一でも異なってもよく、水素原子、又は水酸基、アミノ基若しくはモノ若しくはジC
1-4アルキルアミノ基が置換していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基を示し、
pは50以上2,000以下の数を示し、qは3以上50以下の数を示し、mは10以上100以下の数を示す。
ただし、m個の繰り返し単位中、2つのR
5が共にメチル基である繰り返し単位の比率が50質量%以上100質量%以下である。〕
【0014】
成分(A)は、主鎖であるオルガノポリシロキサンセグメント(a)の側鎖にN,N−ジメチルアクリルアミド由来が50質量%以上である不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)を有し、オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)の質量比(a/b)が10/90以上70/30以下であるオルガノポリシロキサングラフトポリマーである。成分(A)として上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサングラフトポリマーを用いる場合、上記不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)とは、一般式(1)中のm個のカッコで囲まれた繰り返し単位からなる部分をいい、オルガノポリシロキサンセグメント(a)とは、一般式(1)中の不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)を除く全体をいう。
【0015】
一般式(1)において、R
1は炭素数1〜8のアルキル基であり、アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられる。成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0016】
R
2は、水酸基、又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、炭素数1〜22の炭化水素基としては、飽和でも不飽和でもよく、また直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。R
2としてより好ましくは、水酸基、又は炭素数1〜8の炭化水素基であり、炭素数1〜8の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。それらの中でも、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマー製造時の原料の入手性の観点から、水酸基、又はメチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0017】
R
3は、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基であり、その炭素数は、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマー製造時の原料の入手性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
【0018】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
31CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されていてもよい。すなわち、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、「−(アルキレン基部分1)−(上記の原子又は官能基)−(アルキレン基部分2)−」という構造であってもよく、この場合、アルキレン基の炭素数とは、アルキレン基部分1の炭素数及びアルキレン基部分2の炭素数の和、すなわちアルキレン基を分断している上記の原子又は官能基以外の部分の炭素数の和をいう。ここでR
31は、炭素数1以上3以下のアルキル基である。ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が上記原子又は官能基によって分断されている場合は、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造の容易さの観点から、−NHCO−によって分断されていることが好ましい。
【0019】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基、及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよい。この場合、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の炭素数には、これら置換基の炭素数を含まない。成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマー製造時の原料入手性の容易さの観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、及びアミノ基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していることが好ましい。
【0020】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、−O−、−S−、−NH−、−NR
32−、及び−COO−から選ばれる、2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が置換していてもよい。ここでR
32はジメチルアミノ基が置換していてもよいアルキル基(炭素数1以上3以下)である。該ヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基は、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が不飽和単量体由来の重合体セグメントとの連結基として働く場合には、不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合している。その他の場合は水素原子と結合している。成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造の容易性の観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、−S−が置換していることが好ましい。
【0021】
ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R
3)は、該ヘテロ原子、好ましくは窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子、より好ましくは硫黄原子を介して不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合していることが好ましい。
したがって、R
3で表される「ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基」には、
(ア)無置換のアルキレン基、
(イ)酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
31CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されたアルキレン基、
(ウ)水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換しているアルキレン基、
(エ)−O−、−S−、−NH−、−NR
32−及び−COO−から選ばれる2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が置換したアルキレン基
のほか、上記(イ)、(ウ)、(エ)の2以上の組合せからなるアルキレン基が該当する。
【0022】
R
3のヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の具体例としては、下記式(i)〜(xii)が例示される。中でも成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造上の容易さの観点から、下記式(xi)及び(xii)が好ましい。
【0024】
式(i)〜(xii)中、*は、前記一般式(1)におけるケイ素原子に結合する部位を表し、**は、不飽和単量体由来の重合体セグメントに結合する部位を表す。
式(xii)中、X
31は−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、−NHCO−から選ばれる一種以上であり、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造上の容易さの観点から−CONH−又は−NHCO−が好ましく、−NHCO−がより好ましい。
【0025】
また、式(xii)中、R
33は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよいアルキレン基である。置換基としては、製造時の原料入手性の観点から、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、及びアミノ基であることが好ましい。R
33で表されるアルキレン基の炭素数は、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造上の容易さの観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。
R
33の具体例としては、下記式(xiii)〜(xv)が挙げられる。
【0027】
式(xiv)中、X
-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、酢酸イオン、アルキル(炭素数1以上3以下)硫酸イオン等のアニオンを表す。
【0028】
R
4は、水素原子又はメチル基を示すが、その中でも水素原子が好ましい。
【0029】
R
5は同一でも異なってもよく、水素原子、又は水酸基、アミノ基若しくはモノ若しくはジC
1-4アルキルアミノ基が置換していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基を示す。R
5における炭素数1〜8の炭化水素基としては、飽和でも不飽和でもよく、また直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。R
5としては、製造時の原料入手性の観点から、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ジメチルアミノプロピル基が好ましい。このうち水素原子、メチル基、tert-ブチル基がより好ましい。
【0030】
R
1〜R
5は、R
1、R
2がメチル基であり、R
3が式(xii)であり、R
4が水素原子であり、R
5が同一でも異なっていてもよい水素原子、メチル基及びtert-ブチル基から選ばれるものであるポリマーがより好ましい。更にはポリシリコーン-28のINCI名を有するポリマーが好ましい。
【0031】
ただし、一般式(1)中のm個の繰り返し単位中、2つのR
5が共にメチル基である繰り返し単位の比率は、成分(A)の良好な水分散性の観点より、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、また、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0032】
pは、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点より、50以上、好ましくは80以上、より好ましくは100以上であり、また、2,000以下、好ましくは1,300以下、より好ましくは700以下である。qは、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点より、3以上、好ましくは5以上であり、また、50以下、好ましくは30以下である。mは、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの良好な水分散性の観点より、10以上、好ましくは15以上、より好ましくは20以上であり、また、100以下、好ましくは70以下、より好ましくは50以下である。
【0033】
また、成分(A)の泡の持続性を向上し液だれを抑制すると共に、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)の質量比(a/b)は、10/90以上であって、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは35/65以上であり、また、70/30以下であって、好ましくは60/40以下である。
【0034】
なお、本明細書において、前記質量比(a/b)は、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」と、「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」から「製造時に生成するオルガノポリシロキサンに結合していない不飽和単量体由来の重合体の総質量(e)」を差し引いた値」との比(c/(d−e))と同一であるとみなす(下式(I))。
【0036】
また、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマー分子において、隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNg)(以下、「グラフト点間分子量」ということがある)は、泡の持続性を向上し液だれを抑制すると共に、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、更に好ましくは1,000以上、更に好ましくは1,500以上であり、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは1万以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは3,000以下、更に好ましくは2,500以下である。
【0037】
ここで、「隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式に示すように、不飽和単量体由来の重合体セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR
1SiO単位と、1つのR
3と、y+1個のR
12SiO単位とから構成されるセグメントをいう。
【0039】
式中、R
1及びR
3は前記一般式(1)と同じ意味を示し、−W−R
6は不飽和単量体由来の重合体セグメントを示し、Wは不飽和単量体由来の重合体を示し、R
6は重合開始剤の残基又は水素原子を示し、yは正の数を示す。
【0040】
グラフト点間分子量は、上記式において破線で囲まれた部分の分子量の平均値であって、不飽和単量体由来の重合体セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。グラフト点間分子量は、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合であって、かつすべてのラジカル反応性官能基と不飽和単量体由来の重合体とが結合している場合には、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性官能基モル数(mol/g)の逆数の値と同一とみなされる。
【0041】
また、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は、泡の持続性を向上し液だれを抑制すると共に、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは1万以上、更に好ましくは15,000以上である。MWsiは、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である。
【0042】
成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、オルガノポリシロキサンセグメントは、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWra)と略同一であり、本発明においては同一と見なす。なお、MWraは、実施例に記載の測定条件によるゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)で測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0043】
成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの重量平均分子量(MWt)は、泡の持続性を向上し液だれを抑制すると共に、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは10,000以上、より好ましくは14,000以上、更に好ましくは17,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは160,000以下、更に好ましくは130,000以下、更に好ましくは95,000以下である。
本明細書において、MWtは、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0044】
また、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーをラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造する場合に、MWraと前述の質量比(a/b)の逆数から下式(II)を用いて得られる成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの計算上の重量平均分子量(MWtcalc)は、泡の持続性を向上し液だれを抑制すると共に、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは10,000以上、より好ましくは14,000以上、更に好ましくは17,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは160,000以下、更に好ましくは130,000以下、更に好ましくは95,000以下である。
【0045】
MWtcalc = MWra × {1+質量比(b/a)} (II)
【0046】
(オルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造)
成分(A)のオルガノシロキサングラフトポリマーを製造する方法としては、特許文献1に記載の方法が挙げられる。具体的には、下記一般式(1a)で表されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンに、(メタ)アクリルアミド系単量体をラジカル重合させるグラフト−フロム法が挙げられる。
【0048】
〔式中、R
1、R
2、p及びqは前記一般式(1)と同じ意味を示し、R
7はラジカル反応性官能基を有するアルキル基(以下「ラジカル反応性基含有アルキル基」ともいう)を表す。〕
【0049】
ここで、ラジカル反応性官能基とは、ラジカルを発生し得る官能基のことをいい、例えば、エチレン性不飽和基、クロロ基やブロモ基等のハロゲノ基、スルファニル基(メルカプト基)等が挙げられる。これらの中では不飽和単量体との反応性、分子量制御の観点から、スルファニル基が好ましい。
【0050】
一般式(1a)において、R
7で示されるラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの入手の容易性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
なお、本発明において、ラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数には、ラジカル反応性官能基が炭素を有する場合であってもラジカル反応性官能基の炭素数は含まれず、またラジカル反応性基含有アルキル基が前述の1価の基が置換したものであった場合も、該1価の基の炭素数は含まれない。
【0051】
一般式(1a)において、R
7で示されるラジカル反応性基含有アルキル基には、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよい。これら置換基のうち、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの製造時の原料入手の容易さの観点から、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基が好ましい。
【0052】
一般式(1a)において、R
7で示されるラジカル反応性基含有アルキル基は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
71CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されていてもよい。ここでR
71は、炭素数1以上3以下のアルキル基である。ラジカル反応性基含有アルキル基が上記原子又は官能基によって分断されている場合は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの入手性又は製造の容易さの観点から、−NHCO−によって分断されていることが好ましい。
【0053】
本発明におけるラジカル反応性基含有アルキル基の具体例としては、下記式(xvi)〜(xix)で表される基が挙げられ、中でもラジカル反応性オルガノポリシロキサンの製造上、又は入手の容易さの観点から、下記式(xviii)、(xix)が好ましい。式(xix)中のX
71及びR
72、並びにそれらの好ましい様態は、それぞれ前記式(xii)中のX
31及びR
32、並びにそれらの好ましい様態と同様である。
【0055】
ラジカル反応性基がスルファニル基であるラジカル反応性オルガノポリシロキサンは市
販品としても入手することができ、例えば「KF-2001」(信越化学工業(株)製)等がある。また、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンは、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、及びエポキシ基から選ばれる1種以上の反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、ラジカル反応性付与剤とを反応させて得ることもできる。反応性官能基としては、入手性の観点から、水酸基、アミノ基、及びエポキシ基が好ましく、反応性及び取扱い性の観点から、アミノ基が好ましい。
【0056】
一般式(1a)で表されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWra)は、泡の持続性を向上し液だれを抑制すると共に、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上、更に好ましくは15,000以上であり、また、成分(A)の良好な水分散性の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは60,000以下、更に好ましくは50,000以下である。
【0057】
一般式(1a)で表されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性基のモル数は、泡の持続性を向上し液だれを抑制すると共に、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは1/500mol/g以下、より好ましくは1/700mol/g以下、更に好ましくは1/1,000mol/g以下であり、また、成分(A)の良好な水分散性の観点から、好ましくは1/10,000mol/g以上、より好ましくは1/5,000mol/g以上、更に好ましくは1/3,000mol/g以上である。
【0058】
一般式(1a)で表されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンとラジカル反応させる(メタ)アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。本発明においては、この(メタ)アクリルアミド系単量体のうち、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドが、成分(A)の良好な水分散性の観点から、50質量%以上であって、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、また、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、100質量%以下であって、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0059】
ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体を重合させる方法は特に限定されず、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、特に溶液重合法が好ましい。
【0060】
重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系開始剤等が挙げられる。また光照射等によりラジカルを発生させることにより重合を開始してもよい。重合開始剤としては、反応性の観点から、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)が好ましい。
【0061】
原液中における成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの含有量は、泡の持続性を向上し液だれを抑制する観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.04質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上であり、また、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下である。
【0062】
〔成分(B):水〕
原液中における成分(B)の水の含有量は、成分(A)及び任意成分を除いた残量である。
【0063】
〔成分(C):炭酸ガス〕
本発明のエアゾール型皮膚処理剤中における成分(C)の炭酸ガスの含有量は、泡の持続性の向上、安定性の向上、及び液だれ防止の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0064】
本発明のエアゾール型皮膚処理剤中における成分(A)に対する成分(C)の質量比(C)/(A)は、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を与える観点から、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、更に好ましくは3.5以上、更に好ましくは4.0以上であり、また、泡の持続性の向上、適用時の液だれ防止の観点から、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、更に好ましくは25以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは15以下、更に好ましくは10以下である。
【0065】
〔成分(D):エタノール〕
原液中には、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を与える観点から、更に成分(D)としてエタノールを含有することが好ましい。原液中における成分(D)のエタノールの含有量は、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を与える観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、泡の持続性を向上し液だれを抑制する観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
【0066】
原液中における成分(A)に対する成分(D)の質量比(D)/(A)は、皮膚への塗布後に手でなじませる際にぬるつかず、適用後の皮膚にサラサラ感を付与する観点から、好ましくは30以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは100以上、更に好ましくは200以上であり、また、泡の持続性を向上し液だれを抑制する観点から、好ましくは700以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは450以下、更に好ましくは400以下である。
【0067】
〔成分(E):育毛成分〕
本発明のエアゾール型皮膚処理剤を頭皮用化粧料とする場合、原液中には、更に成分(E)として育毛成分を含有することが好ましい。育毛成分としては、血行促進剤、毛包賦活剤、抗男性ホルモン剤が挙げられる。
【0068】
血行促進剤としては、ニコチン酸アミド、アセチルコリン、センブリエキス、ニンジンエキス、イチョウエキス、塩化カルプロニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、γ-オリザノール、サークレチン、ビタミンE及びその誘導体、カンファー、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、オランダカラシ、カンタリスチンキ、サンショウエキス、ハッカ油、ワサビ大根エキス、ミノキシジル及びその誘導体、クロマカリム、ジアゾキシド及びその誘導体、ニコランジル、ピナシジル、フタリド類、キナエキス、トウヒエキス等が挙げられる。
【0069】
毛包賦活剤としては、トランス-3,4'-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノン、N-アセチル-L-メチオニン、タマサキツヅラフジ、セファランチン、クジンエキス、アデノシン三リン酸ジナトリウム、アスパラギン酸カリウム、感光色素301、ペンタデカングリセリド、ヒノキチオール、チクセツニンジン、フラバノノール及びその誘導体、オトギリソウエキス、マイカイ花エキス、コレウスエキス、ブドウエキス、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、黄杞エキス、酵母エキス、ニンニク成分、タイソウエキス、プラセンタエキス、ボタンピエキス、ローヤルゼリー等が挙げられる。
【0070】
抗男性ホルモン剤としては、サイプロテロンアセテート、11-α-ハイドロキシプロゲステロン、フルタマイド、3-デオキシアデノシン、酢酸クロルマジノン、エチニルエストラジオール、スピロノラクトン、エピテステロン、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、チョウジエキス、アロエエキス、サンショウエキス、クアチャララーテエキス等が挙げられる。
【0071】
成分(E)は、単独で又は2種以上を使用することができる。本発明のエアゾール型皮膚処理剤中における成分(E)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.07質量%以上であり、また、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0072】
〔水溶性増粘剤〕
本発明のエアゾール型皮膚処理剤は、水溶性増粘剤を用いることなく液だれを抑制することができるため、手でなじませる際のぬるつきのなさ、塗布後の皮膚のサラサラ感等の観点から、水溶性増粘剤を含有しないことが好ましい。ここで「含有しない」とは、実質的に含有しないことも含めるものとする。なお「実質的に」とは、意図せずに成分(A)又は任意成分から、不可避的に含有される場合を除くことを意味する。液だれを更に抑制するために水溶性増粘剤を微量含有させる場合であっても、原液中における水溶性増粘剤の含有量は、0.05質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下が更に好ましい。
【0073】
本発明のエアゾール型皮膚処理剤には、以上の成分のほかに、通常の化粧料に用いられる種々の添加成分を、目的に応じて含有させることができる。例えば、界面活性剤;トリクロサン、トリクロロカルバニリド等の殺菌剤;ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;ユーカリエキス、グリセリン等の保湿剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;エチレンジアミン四酢酸又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩等のキレート剤;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;塩化ナトリウム等の塩類;その他パール化剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含有させることができる。
【0074】
本発明のエアゾール型皮膚処理剤を製造するには、成分(C)の炭酸ガス以外の成分を混合し原液を調製してエアゾール用耐圧容器に入れ、これに高圧炭酸ガスを封入する方法、耐圧容器に炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩を含ませた炭酸ガスを発生する成分を入れ、これに適当なpH調整剤を加えて炭酸ガスを発生させ、直ちに密封する方法、ドライアイスペレットを容器内に入れて密封する方法等を採用することができるが、高圧炭酸ガスを封入する方法が好ましい。
【0075】
炭酸ガスの一部は原液中に溶解して配合され、また一部は容器中に気体として存在する。本発明においては清涼感の持続性や配合された薬効成分の薬効の点から、炭酸ガスが原液中に溶けて配合されていることが重要であり、皮膚に噴射された内溶液中の炭酸ガス濃度が60ppm以上であることが好ましい。炭酸ガスの配合量の調節は、炭酸ガスの注入(圧入)量によって行うことができ、一般に容器中の圧力が35℃の温度で1.2〜10kg/cm
2(ゲージ圧)になるようにするのが好ましく、更には4.5〜10kg/cm
2(ゲージ圧)になるようにするのが好ましい。
【0076】
本発明のエアゾール型皮膚処理剤は、人体の皮膚であれば特に限定なく適用することが可能である。中でも、毛髪が生えている場合が多い頭皮に対しては、組成物の粘度を上げずに泡持ちを向上することによって液だれを防ぐことができるという本発明の効果により、頭皮への適用がより容易となり、有効成分を配合した場合にその効果を十分に発揮させることが可能となる。そのため、本発明のエアゾール型皮膚処理剤は、頭皮用エアゾール型皮膚処理剤とすることが好ましい。
【実施例】
【0077】
合成例1 ポリシリコーン-28(成分(A)の一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサングラフトポリマー)の合成
(1) ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの合成
還流冷却管、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとして、側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン(重量平均分子量30,000、単位質量当たりのアミノ基のモル数;1/2,030mol/g、東レ・ダウコーニング社製)を100g、N-アセチル-DL-ホモシステインチオラクトンを8g仕込んだ。窒素雰囲気下で、100℃に昇温し、3時間撹拌し、スルファニル基を有するラジカル反応性オルガノポリシロキサンを合成した。電位差滴定測定によりアミノ基の残存量を測定したところ、原料とした側鎖一級アミノイソプロピル変性オルガノポリシロキサンのアミノ基の99%がN-アセチル-DL-ホモシステインチオラクトンと反応していた(アミノ基転化率99%)。したがってラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数は1/2,210mol/gである。GPC測定により求めたラジカル反応性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWra)は、30,000であった。
【0078】
(2) オルガノポリシロキサングラフトポリマーの合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール101.0gを仕込んだ。エタノールを窒素雰囲気下80℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)及び溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)76.8g、N-tert-ブチルアクリルアミド(tBuAAm)19.2g、エタノール96.0gを混合した溶液。
溶液(b):前記(1)にて合成したラジカル反応性オルガノポリシロキサン 64.0g、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)「V-65B」(和光純薬工業(株)製、アゾ系重合開始剤)0.03g、エタノール43.0gを混合した溶液。
【0079】
滴下終了後、反応混合物を80℃で3時間撹拌したのち冷却した。反応時間は計4時間である。反応混合物から室温(25℃)、減圧下(20kPa)で4時間かけてエタノールを除去し、オルガノポリシロキサングラフトポリマーを含む混合物を白色固体として得た。上記方法でスルファニル基の残存率を測定したところ、3%であった。
得られた混合物について後述する方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、29質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ、56/44であった。また、後述する条件で測定した重量平均分子量(MWt)は63,000、グラフト点間分子量(MNg)は2,000であった。
なお、このオルガノポリシロキサングラフトポリマーは、一般式(1)において、R
1とR
2が共にメチル基、R
3が式(xii)(X
31が−NHCO−で、R
33が式(xv)で表されるアルキレン基)で表されるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基、R
4が水素原子、2つのR
5が共にメチル基又は片方がtert-ブチル基でもう片方が水素原子であり、pが380、qが15、mが27のものである。
【0080】
なお、合成例1によって得られたポリマーの重量平均分子量(MWt)は、以下の条件を用いてGPC測定を行うことにより求めた。
<GPC測定条件>
カラム:「K-804L」(東ソー(株)製)2つを直列につないで使用。
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム溶液
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル濃度及びサンプル量:5mg/mL,500μL
【0081】
また、スルファニル基の残存率は以下の方法で求めた。
10mLのスクリュー管に、オルガノポリシロキサングラフトポリマーの50質量%エタノール溶液を0.6g、N-エチルマレイミド(シグマアルドリッチ製)の10質量%エタノール溶液を0.15g、エタノールを0.55g入れ、室温で2時間撹拌した。撹拌終了後、エタノール1gを加え、その溶液をガスクロマトグラフィーにて分析し、N-メチルマレイミド量を定量した。N-メチルマレイミドの消費率からスルファニル基の残存量を算出し、この値とスルファニル基変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数から、スルファニル基の残存率を算出した。
【0082】
また、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量の測定は以下のように行った。
重合反応終了後、溶媒を除去した後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含む混合液中における該不飽和単量体由来の重合体の含有量(質量%)を液体クロマトグラフィにより測定した。測定条件を以下に示す。
【0083】
[液体クロマトグラフィの測定条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
カラム:ODSカラム「L-column ODS」(一般財団法人 化学物質評価研究機構製、サイズ:4.6×150mm、5μm)
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相A:2%リン酸水溶液、移動相B:2%リン酸エタノール溶液
流速:0.5mL/min
サンプル濃度とサンプル量:1〜2mg/mL、10.0μL
【0084】
実施例1〜5、比較例1〜6
表1及び2に示す処方に従って原液を調製し、炭酸ガスと共にエアゾール用耐圧容器に充填してエアゾール型皮膚処理剤を得た。
これらのエアゾール型皮膚処理剤について、下記方法に従い、泡持続時間(泡の持ち)を測定し、皮膚へ吐出後の液だれのしにくさ、塗布後の皮膚のサラサラ感、手でなじませる際のぬるつきについて官能評価した。この結果を表1及び2に併せて示す。
【0085】
(泡持続時間・泡の持ち)
実験室雰囲気下で各組成物を皮膚上へ1g吐出して組成物中の泡の状態を目視観察し、吐出直後から組成物中の泡が消えるまでの時間を測定した。
【0086】
(液だれのしにくさ)
実験室雰囲気下で各組成物を頭皮上へ0.2g吐出した後の液だれのしにくさについて官能評価を行った。評価は8名のパネラーに「液だれしにくい」/「やや液だれしにくい」/「液だれする」のいずれであるのかを択一的に選択させることにより行った。「液だれしにくい」/「やや液だれしにくい」/「液だれする」と答えたパネラーの人数を順に示す。
【0087】
(乾燥後の皮膚のサラサラ感)
耐圧容器から吐出した各組成物を皮膚上へ1g塗布し、なじませて3分経過した後の皮膚のサラサラ感について官能評価した。評価は8名のパネラーに「サラサラする」/「どちらともいえない」/「べたつきがある」のいずれであるのかを択一的に選択させることにより行った。「サラサラする」/「どちらともいえない」/「べたつきがある」と答えたパネラーの人数を順に示す。
【0088】
(適用時の手のぬるつきのなさ)
耐圧容器から吐出した各組成物を皮膚上へ1g塗布し、なじませている際の手のぬるつきについて官能評価した。評価は8名のパネラーに「ぬるつかない」/「どちらともいえない」/「ぬるつく」のいずれであるのかを択一的に選択させることにより行った。「ぬるつかない」/「どちらともいえない」/「ぬるつく」と答えたパネラーの人数を順に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】