特許第6605993号(P6605993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6605993-コンロ用天板 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6605993
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】コンロ用天板
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/10 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   F24C15/10 B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-41037(P2016-41037)
(22)【出願日】2016年3月3日
(65)【公開番号】特開2017-156036(P2017-156036A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】倉地 大修
【審査官】 谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−36947(JP,A)
【文献】 特開2005−147660(JP,A)
【文献】 特開2006−17351(JP,A)
【文献】 特開2013−160424(JP,A)
【文献】 特開2005−172250(JP,A)
【文献】 特開2006−10281(JP,A)
【文献】 特開2005−345036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00 − 15/36
H05B 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の天板本体と、天板本体の上面の前縁部、左右両側縁部及び後縁部を覆う前辺部、左右両側辺部及び後辺部を有する額縁状の板金製外枠とを備えるコンロ用天板であって、外枠後辺部の天板本体よりも後方に位置する部分に、コンロに設けられるグリルの排気筒が臨む排気口が開設されるものにおいて、
外枠後辺部の排気口の前縁部上面に当接する上片部と、天板本体の後部下面に当接する下片部と、排気口内で上片部と下片部とを連結する後端の折返し部とを有するバネ材から成る係止具を備え、当該係止具により天板本体と外枠後辺部とが挟持されることを特徴とするコンロ用天板。
【請求項2】
前記外枠後辺部に、前記排気口の前縁で下方に折返された折返し縁部が設けられ、前記下片部に、折返し縁部の前端に係合して前記係止具を抜け止めする爪部が設けられることを特徴とする請求項1記載のコンロ用天板。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコンロ用天板であって、前記係止具が前記排気筒への前記折返し部の当接で抜け止めされることを特徴とするコンロ用天板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の天板本体と、天板本体の上面の前縁部、左右両側縁部及び後縁部を覆う前辺部、左右両側辺部及び後辺部を有する額縁状の板金製外枠とを備えるコンロ用天板に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンロ用天板であって、外枠後辺部の天板本体よりも後方に位置する部分に、コンロに設けられるグリルの排気筒が臨む排気口を開設したものでは、外枠後辺部が排気筒からの熱影響で上方に反るように変形し、外枠後辺部と天板主体との間に隙間を生じてしまうことがある。
【0003】
かかる不具合を防止するため、従来、外枠後辺部の下面にブラケットを取付け、このブラケットに、天板主体の後部下面に当接する押え板を下方からネジ止めしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、押え板とブラケットとを介して外枠後辺部に下方への押し付け力が作用し、外枠後辺部が上方に反るように変形することを防止できる。
【0004】
ここで、外枠後辺部の下面に押え板を直接ネジ止めすることも考えられるが、これではネジが外枠後辺部の上面に露出して体裁を損なう。そこで、上記従来例では、外枠後辺部の下面に取付けたブラケットに押え板をネジ止めして、ネジが外枠後辺部の上面に露出しないようにしているのである。然し、これでは、ブラケットの分だけ部品点数が増加して、コストアップを招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−17351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、外枠後辺部が上方に反るように変形することを防止して、且つ、コストダウンを図ることができるようにしたコンロ用天板を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、平板状の天板本体と、天板本体の上面の前縁部、左右両側縁部及び後縁部を覆う前辺部、左右両側辺部及び後辺部を有する額縁状の板金製外枠とを備えるコンロ用天板であって、外枠後辺部の天板本体よりも後方に位置する部分に、コンロに組み込まれるグリルの排気筒が臨む排気口が開設されるものにおいて、外枠後辺部の排気口の前縁部上面に当接する上片部と、天板本体の後部下面に当接する下片部と、排気口内で上片部と下片部とを連結する後端の折返し部とを有するバネ材から成る係止具を備え、当該係止具により天板本体と外枠後辺部とが挟持されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、係止具により天板本体と外枠後辺部とが挟持されるため、天板本体に対し外枠後辺部が上方に反るように変形することが防止され、外枠後辺部と天板本体との間に隙間は生じない。そして、係止具を付加するだけであるため、ブラケットと押え板とが必要になる上記従来例のものに比し、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。尚、一般的に、外枠後辺部には、排気口を覆う排気ガードが載置されるため、係止具は排気ガードで目隠しされて外観に現れず、体裁を損なうことはない。
【0009】
また、本発明においては、外枠後辺部に、排気口の前縁で下方に折返された折返し縁部が設けられ、係止具の下片部に、折返し縁部の前端に係合して係止具を抜け止めする爪部が設けられることが望ましい。更に、係止具が排気筒への折返し部の当接で抜け止めされるようにしてもよい。これにより、係止具が脱落して、外枠後辺部の変形防止の効果が得られなくなることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のコンロ用天板を具備するコンロの斜視図。
図2図1のコンロの平面図。
図3図2のIII−III線で切断した拡大断面図。
図4】実施形態のコンロ用天板の要部の分解状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、コンロ本体1と、コンロ本体1の上面を覆う本発明の実施形態のコンロ用天板2とを備えるコンロを示している。コンロ本体1には、コンロ用天板2の左右2箇所に介設したバーナ用開口を通して天板2上に露出する左右2個のコンロバーナ3,3と、コンロ本体1の横方向中央部のグリル4とが設けられている。
【0012】
図2乃至図4も参照して、コンロ用天板2は、金属厚板やガラス板から成る天板本体21と、天板本体21の上面の前縁部、左右両側縁部及び後縁部を覆う前辺部221、左右両側辺部222,222及び後辺部223を有する額縁状のプレス成形された板金製外枠22とを備えている。天板本体21の前縁部と左右両側縁部は、図示しないが、コンロ本体1の前面板部と左右両側板部の上端に形成した内曲げフランジの複数個所に取付けたパッキンに着座している。また、外枠22の前辺部221、左右両側辺部222,222及び後辺部223は、天板本体21の上面の前縁部、左右両側縁部及び後縁部にコーキング剤224(図3参照)で接着されている。
【0013】
ここで、外枠後辺部223は天板本体21の後方に幅広く張出している。そして、外枠後辺部223の天板本体221よりも後方に位置する部分に、グリル4の排気筒41が臨む排気口225が開設されている。また、外枠後辺部223上に、排気口225を覆う網状の排気ガード23を載置している。
【0014】
ところで、外枠後辺部223には、排気筒41からの熱影響で熱応力が作用する。そのため、このままでは、外枠後辺部223が天板本体21に対しコーキング剤224による接着力に抗して上方に反るように変形し、外枠後辺部223と天板主体21との間に隙間を生じてしまうことがある。
【0015】
そこで、本実施形態では、外枠後辺部223の排気口225の前縁部上面に当接する上片部241と、天板本体21の後部下面に当接する下片部242と、排気口225内で上片部241と下片部242とを連結する後端の折返し部243とを有するバネ材から成る係止具24を設けて、この係止具24により天板本体21と外枠後辺部223とが挟持されるようにしている。尚、係止具24は、排気口225の左右の両端部寄りに位置させて左右一対に設けられている。
【0016】
本実施形態によれば、係止具24の挟持力により天板本体21に対し外枠後辺部223が上方に反るように変形することが防止され、外枠後辺部223と天板本体21との間に隙間は生じない。そして、係止具24を付加するだけであるため、部品点数の増加を抑えてコストダウンを図ることができる。更に、係止具24は、排気ガード23で目隠しされて外観に現れず、体裁を損なうことはない。
【0017】
また、本実施形態では、外枠後辺部223に、排気口225の前縁で下方に折り返された折返し縁部226が設けられている。そして、係止具24の下片部242に、折返し縁部226の前端に向けて斜め後上方に立上る左右一対の爪部244を設けている。爪部244と折返し縁部226との間には若干の隙間が空いているが、係止具24の後方へのずれで上片部241が排気口225の前縁部上面から離脱する前に、爪部244が折返し縁部226の前端に係合して、係止具24が抜け止めされる。
【0018】
ところで、排気筒41の上端は、排気口225の若干下方に位置していてもよいが、本実施形態では、排気筒41の上端を排気口225を通してその上方に少許突出させている。そして、爪部244がその加工誤差で折返し縁部226の前端に係合しなくても、係止具24の折返し部243が排気筒42に当接して、係止具24が抜け止めされるようにしている。何れにしても、係止具24が抜け止めされることにより、係止具24の脱落で外枠後辺部223の変形防止の効果が得られなくなることを回避できる。
【0019】
尚、コンロ用天板2をコンロ本体1上に載置していない状態では、係止具24を排気筒41で抜け止めすることはできない。そのため、コンロ用天板2をコンロ本体1上に載置していない状態で係止具24を抜け止めするには、下片部242に爪部244を設けることが必要である。
【0020】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、係止具24を左右一対に設けているが、比較的幅広の係止具を1個だけ設けることも可能である。
【符号の説明】
【0021】
2…コンロ用天板、21…天板本体、22…外枠、221…前辺部、222…側辺部、223…後辺部、225…排気口、226…折返し縁部、24…係止具、241…上片部、242…下片部、243…折返し部、244…爪部、4…グリル、41…排気筒。
図1
図2
図3
図4