(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る空調装置100について説明する。
【0010】
図1に示すように、空調装置100は、冷媒が循環する冷凍サイクル2と、空調に利用される空気が通過するHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)ユニット5と、空調装置100の動作を制御する制御部としてのコントローラ10と、を備える。空調装置100は、冷暖房可能なヒートポンプシステムである。空調装置100は、車両(図示省略)に搭載されて車室(図示省略)内の空調を行う。
【0011】
冷凍サイクル2は、圧縮機としてのコンプレッサ21と、室外熱交換器22と、内部熱交換器35と、蒸発器としての冷却用熱交換器23と、加熱器としての加熱用熱交換器24と、膨張弁としての温度式膨張弁25と、絞り機構としての固定絞り26と、気液分離器27と、これらを冷媒が循環可能となるように接続する冷媒流路30と、を備える。冷媒流路30には、第1流路切換弁28と、第2流路切換弁29と、が設けられる。冷凍サイクル2内を循環する冷媒は、例えば、HFO−1234yfである。
【0012】
コンプレッサ21は、ガス状(気相)冷媒を吸入し圧縮する。これにより、ガス状冷媒は高温高圧になる。
【0013】
室外熱交換器22は、例えば車両のエンジンルーム(電気自動車においてはモータルーム)3内に配置され、冷媒と外気との間で熱交換を行う。室外熱交換器22は、冷房時には凝縮器として機能し、暖房時には蒸発器として機能する。室外熱交換器22には、車両の走行や室外ファン4の回転によって、外気が導入される。
【0014】
冷却用熱交換器23は、HVACユニット5内に配置される。冷却用熱交換器23は、ヒートポンプ運転モードが冷房運転である場合に、車室に導かれる空気の熱を冷媒に吸収させて冷媒を蒸発させる。冷却用熱交換器23にて蒸発した冷媒は、内部熱交換器35を介して気液分離器27へと流れる。
【0015】
加熱用熱交換器24は、HVACユニット5内に配置される。加熱用熱交換器24は、ヒートポンプ運転モードが暖房運転である場合に、コンプレッサ21を通過した後の冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。加熱用熱交換器24は、車室内に導かれる空気に冷媒の熱を吸収させて加熱する。加熱用熱交換器24によって凝縮した冷媒は、固定絞り26へと流れる。
【0016】
温度式膨張弁25は、内部熱交換器35と冷却用熱交換器23との間に配置され、室外熱交換器22から気液分離器27及び内部熱交換器35を介して導かれた液状(液相)冷媒を減圧膨張させる。温度式膨張弁25は、冷却用熱交換器23を通過した冷媒の温度、すなわちガス状冷媒の過熱度に応じて開度を自動的に調節する。
【0017】
冷却用熱交換器23の負荷が増加した場合には、ガス状冷媒の過熱度が増加する。そうすると温度式膨張弁25の開度が大きくなって過熱度を調節する様に冷媒量が増加する。一方、冷却用熱交換器23の負荷が減少した場合には、ガス状冷媒の過熱度が減少する。そうすると温度式膨張弁25の開度が小さくなって過熱度を調節する様に冷媒量が減少する。このように、温度式膨張弁25は、冷却用熱交換器23を通過したガス状冷媒の温度をフィードバックして、ガス状冷媒が適切な過熱度となるように開度を調節する。
【0018】
内部熱交換器35は、温度式膨張弁25の上流の冷媒と冷却用熱交換器23の下流の冷媒との間で、温度差を利用して熱交換させる。
【0019】
固定絞り26は、加熱用熱交換器24と室外熱交換器22との間に配置され、コンプレッサ21にて圧縮されて加熱用熱交換器24にて凝縮した冷媒を減圧膨張させる。固定絞り26には、例えば、オリフィスやキャピラリーチューブが用いられる。固定絞り26の絞り量は、予め使用頻度の高い特定の運転条件に対応するように設定される。固定絞り26に代えて、例えば、段階的に又は無段階に開度を調節できる電磁弁を可変絞り(絞り機構)として用いてもよい。
【0020】
気液分離器27は、冷媒流路30を流れる冷媒を一時的に溜めると共に、ガス状冷媒と液状冷媒とに気液分離する。気液分離器27は、暖房運転時には、室外熱交換器22から流入するガス状冷媒をコンプレッサ21に導く。気液分離器27からコンプレッサ21へは、分離したガス状冷媒のみが流れる。気液分離器27は、冷房運転時には、室外熱交換器22から流入する液状冷媒を内部熱交換器35を介して温度式膨張弁25に導く。気液分離器27から温度式膨張弁25へは、分離した液状冷媒のみが流れる。気液分離器27は、タンク部41と、配管接続部42と、を有する。
【0021】
タンク部41は、内部に冷媒を溜めて、重力によってガス状冷媒と液状冷媒とを分離させる。タンク部41は、その中心軸が鉛直になるように設けられる。タンク部41内では、下側に液状冷媒が溜まり、液状冷媒の上側の空間にガス状冷媒が溜まる。
【0022】
配管接続部42は、タンク部41の上部に設けられて、タンク部41からの冷媒の出入口を形成する。配管接続部42は、第1流路切換弁28と、差圧弁43と、を有する。配管接続部42には、気液分離器27に接続されるすべての配管が集約される。よって、第1流路切換弁28や差圧弁43を外部に設ける場合に必要な配管を省略することができると共に、気液分離器27と他の構成要素とを接続する配管を簡素化することができる。
【0023】
差圧弁43は、冷房運転時に温度式膨張弁25に導かれる冷媒の圧力が設定圧力を超えると開く。この設定圧力は、暖房運転時には差圧弁43が開かず、冷房運転時にのみ差圧弁43が開くような圧力に設定される。差圧弁43が設けられることによって、暖房運転時に気液分離器27から温度式膨張弁25を介して冷却用熱交換器23に冷媒が流れることを防止できる。
【0024】
第1流路切換弁28は、開閉によって冷媒の流れを切り換える。第1流路切換弁28は、コントローラ10によって制御されるソレノイド28aを有する電磁弁である。第1流路切換弁28を配管接続部42内に一体に設けることで、配管を簡素にできると共に、空調装置100全体の構成を簡素にできる。
【0025】
冷房運転時には、第1流路切換弁28が閉じられる。これにより、室外熱交換器22にて凝縮した冷媒は、気液分離器27に流入し、液状冷媒が内部熱交換器35,温度式膨張弁25,及び冷却用熱交換器23を通過して再び気液分離器27に戻る。気液分離器27に戻ったガス状冷媒は、第1流路切換弁28が閉じられているため、気液分離器27のタンク部41内には流入せずに、配管接続部42内を流れて直接コンプレッサ21に導かれる。一方、暖房運転時には、第1流路切換弁28が開かれる。これにより、室外熱交換器22にて蒸発した冷媒は、気液分離器27に流入し、第1流路切換弁28を通過してコンプレッサ21に導かれる。よって、暖房運転時には、冷媒は、内部熱交換器35,温度式膨張弁25,及び冷却用熱交換器23をバイパスして流れる。
【0026】
第1流路切換弁28が開かれている状態では、タンク部41内から第1流路切換弁28を通過して流れる冷媒は、タンク部41内から内部熱交換器35,温度式膨張弁25,及び冷却用熱交換器23を通過して再び気液分離器27へと戻る冷媒よりも流路抵抗が小さい分だけ流れやすい。よって、差圧弁43を設けない場合でも、タンク部41内から内部熱交換器35,温度式膨張弁25,及び冷却用熱交換器23を通過して再び気液分離器27へと戻る冷媒の流れは発生しない。このように、第1流路切換弁28は、冷媒が流れやすい方の流路を開閉するだけで、冷媒の流れを切り換えている。よって、冷媒の流れを切り換えるために三方弁を設けたり、複数の開閉弁を用いたりしないので、配管を簡素にすることができると共に、空調装置100全体の構成を簡素にできる。
【0027】
第2流路切換弁29は、開閉によって冷媒の流れを切り換える。冷房運転時には、第2流路切換弁29が開かれ、コンプレッサ21によって圧縮された冷媒は、加熱用熱交換器24及び固定絞り26をバイパスして、室外熱交換器22へ直接流入する。一方、暖房運転時には、第2流路切換弁29が閉じられ、コンプレッサ21によって圧縮された冷媒は、加熱用熱交換器24及び固定絞り26を通過して室外熱交換器22へ流入する。
【0028】
HVACユニット5は、空調に利用する空気を冷却又は加熱する。HVACユニット5は、空気を送風するブロワ52と、加熱用熱交換器24を通過する空気の量を調整するエアミックスドア53と、これらを空調に利用する空気が通過可能となるように囲うケース51と、を備える。HVACユニット5内には冷却用熱交換器23と加熱用熱交換器24とが配置される。ブロワ52から送風された空気は、冷却用熱交換器23内を流れる冷媒や加熱用熱交換器24内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。
【0029】
エアミックスドア53は、HVACユニット5内に配置された加熱用熱交換器24のブロワ52側に設置される。エアミックスドア53は、暖房時に加熱用熱交換器24側を開き、冷房時に加熱用熱交換器24側を閉じる。エアミックスドア53の開度によって、空気と加熱用熱交換器24内の冷媒との間の熱交換量が調節される。
【0030】
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成され、ROMに記憶されたプログラムをCPUによって読み出すことで、空調装置100に各種機能を発揮させる。
【0031】
コントローラ10は、冷凍サイクル2の制御を実行する。具体的には、コントローラ10は、
図1に破線で示すように、コンプレッサ21の出力を設定すると共に、第1流路切換弁28及び第2流路切換弁29の開閉制御を実行する。また、コントローラ10は、図示しない出力信号を送信することで、HVACユニット5の制御を実行する。
【0032】
次に、
図2及び
図3を参照して、空調装置100のヒートポンプ運転モードの冷房運転と暖房運転とについてそれぞれ説明する。
【0033】
<冷房運転>
冷房運転では、冷媒流路30の冷媒は、
図2に太実線で示すように循環する。
【0034】
コントローラ10は、第1流路切換弁28を閉じた状態にすると共に、第2流路切換弁29を開いた状態にする。これにより、コンプレッサ21で圧縮されて高温高圧になった冷媒は、第2流路切換弁29を通ってそのまま室外熱交換器22へと流れる。
【0035】
室外熱交換器22へ流れた冷媒は、室外熱交換器22に導入される外気と熱交換を行い冷却された後、気液分離器27を通って気液分離される。気液分離器27の下流側に接続される温度式膨張弁25には、気液分離器27にて気液分離された冷媒のうち液状冷媒が内部熱交換器35を介して流通する。
【0036】
その後、液状冷媒は、温度式膨張弁25で減圧膨張して冷却用熱交換器23へ流通し、冷却用熱交換器23を通過する際に空調に利用する空気の熱を吸収することで蒸発する。冷却用熱交換器23にて蒸発したガス状冷媒は、気液分離器27のタンク部41には入らず、配管接続部42内を通過して再びコンプレッサ21へと流れる。
【0037】
ここで、気液分離器27から内部熱交換器35に流通する液状冷媒は、高圧の流体であり、気液分離器27にて気液分離されることで、過冷却度がほぼ0℃の略飽和液状態となっている。一方、冷却用熱交換器23から内部熱交換器35に流通するガス状冷媒は、温度式膨張弁25を通過する際に減圧膨張して低温の流体になっている。そのため、液状冷媒は、内部熱交換器35を流通する際に低温のガス状冷媒との間で熱交換を行い、ガス状冷媒により過度に冷却されて飽和液状態から過冷却度をもった過冷却状態となる。また、ガス状冷媒は、内部熱交換器35を流通する際に、液状冷媒によって加熱されることで過熱度を持った加熱状態となる。
【0038】
冷却用熱交換器23にて冷媒によって冷却された空気は、HVACユニット5の下流に流されて冷房風として用いられる。
【0039】
<暖房運転>
暖房運転では、いわゆる外気吸熱ヒートポンプ運転が実行される。暖房運転では、冷媒流路30の冷媒は、
図3に太実線で示すように循環する。
【0040】
コントローラ10は、第2流路切換弁29を閉じた状態にすると共に、第1流路切換弁28を開いた状態にする。これにより、コンプレッサ21で圧縮されて高温高圧になった冷媒は、加熱用熱交換器24へと流れる。加熱用熱交換器24へ流れた冷媒は、加熱用熱交換器24の内部で空気を加熱する際に熱を奪われて低温になった後、固定絞り26を通って減圧膨張することで更に低温となって室外熱交換器22へ流れる。
【0041】
室外熱交換器22へ流れた冷媒は、室外熱交換器22に導入される外気との間で熱交換を行い吸熱した後、気液分離器27のタンク部41内へ流れて気液分離される。そして、気液分離器27にて気液分離された冷媒のうちガス状冷媒が、第1流路切換弁28を通過して再びコンプレッサ21へと流れる。
【0042】
加熱用熱交換器24に流れたガス状冷媒は、加熱用熱交換器24の周囲の空気を加熱する。加熱された空気は、HVACユニット5の下流へ流されて暖房風として用いられる。
【0043】
次に、
図4及び
図5を参照して、空調装置100における各構成要素の配置について説明する。
図4では、上側が車両の前方であり、下側に車室が位置する。
図5では、右側が車両の前方であり、左側に車室が位置する。
【0044】
図4及び
図5に示すように、室外熱交換器22は、冷媒と外気との間で熱交換を行うので、エンジンルーム3の前端部に配置される。一方、冷却用熱交換器23及び加熱用熱交換器24は、HVACユニット5内に設けられて車室内に導かれる空気を冷却又は加熱するので、車室に近いエンジンルーム3の後端部に配置される。
【0045】
気液分離器27の配管接続部42は、蒸発器配管接続部としての第1接続部42aと、圧縮機配管接続部としての第2接続部42bと、室外熱交換器配管接続部としての第3接続部42cと、第1流路切換弁28のソレノイド28aが取り付けられるソレノイド装着部42dと、を有する。
【0046】
第1接続部42aは、車両の後方に向けて形成される平面である。第1接続部42aには、温度式膨張弁25に冷媒を導く第1接続配管31と、温度式膨張弁25及び冷却用熱交換器23を通過した冷媒が戻る第2接続配管32と、が接続される。第1接続部42aには、第1接続配管31と第2接続配管32との端部を一体に連結する単一のフランジ部が接続される。これにより、配管の接続を容易にすることができる。
【0047】
冷却用熱交換器23は、気液分離器27よりもエンジンルーム3内の後方に配設される。よって、第1接続部42aが冷却用熱交換器23と対向するように形成されるので、第1接続配管31及び第2接続配管32を最短にできる。
【0048】
第2接続部42bは、車両の側方に向けて形成される平面である。第2接続部42bには、気液分離器27とコンプレッサ21とを接続する第3接続配管33が接続される。第2接続部42bには、第3接続配管33の端部に形成されるフランジ部が接続される。
【0049】
第1接続部42aが車両の後方に向き第2接続部42bが車両の側方に向くので、第3接続配管33は、第2接続配管32に対して直角になるように設けられる。そのため、冷媒の流れ方向は、配管接続部42内で直角に転換される。これにより、コンプレッサ21に向けて後方に曲げられる第3接続配管33が車両の側方に向けて接続されるので、配管の取り回しを簡素にできる。なお、配管接続部42は、冷房運転時に第1流路切換弁28が作動することによって、第2接続配管32と第3接続配管33とをタンク部41内を介さずに直接連通させる。
【0050】
第3接続部42cは、配管接続部42の上端に形成される平面である。第3接続部42cには、室外熱交換器22と気液分離器27とを接続する第4接続配管34が接続される。第3接続部42cには、第4接続配管34の端部に形成されるフランジ部が接続される。
【0051】
ソレノイド装着部42dは、車両の前方に向けて形成される平面である。ソレノイド装着部42dには、第1流路切換弁28の弁体(図示省略)が配管接続部42内に挿入されるようにソレノイド28aが取り付けられる。
【0052】
図4に示すように、気液分離器27は、室外熱交換器22よりもエンジンルーム3内の後方に配設される。コンプレッサ21は、気液分離器27よりも更にエンジンルーム3内の後方に配設される。よって、室外熱交換器22と気液分離器27とコンプレッサ21とが車両の前後方向に沿って順に接続されるので、各々を接続する配管の長さを最短にすることができる。したがって、簡素な配管の構成で各構成要素を接続することができると共に、冷媒の封入量を抑えることができる。
【0053】
図5に示すように、室外熱交換器22は、冷媒入口22aと比較して冷媒出口22bが上に位置する。気液分離器27は、室外熱交換器22の高さ方向寸法内に収まる。これにより、室外熱交換器22と気液分離器27とを接続する配管を短くできると共に、空調装置100全体としての高さを抑えることができる。
【0054】
また、室外熱交換器22の冷媒出口22bは、配管接続部42よりも上に配設される。コンプレッサ21の冷媒吸入口21aは、気液分離器27からコンプレッサ21に冷媒を導く配管接続部42の第2接続部42bよりも下に配設される。これにより、気液分離器27からコンプレッサ21まで冷媒が順に下に導かれることで、配管の構成を簡素にできると共に、室外熱交換器22内や配管内に潤滑油が溜まることを抑制できる。
【0055】
ここで、第4接続配管34は、冷房運転時には、液相に近い状態の冷媒が流れ、暖房時には、気相に近い状態の冷媒が流れる。圧損を考慮すると、暖房運転時を優先させて、管路径を大きくすることが考えられる。しかしながら、第4接続配管34の管路径を大きくし、かつ管路を長くした場合には、液状冷媒の流れる配管が長くなるため、封入冷媒量が増加する。これを避けるためには、第4接続配管34を短く形成することが望ましい。
【0056】
また、内部熱交換器35は、第1接続配管31内の冷媒と第2接続配管32内の冷媒との間で熱交換を行うために、ある程度の長さが必要である。仮に、気液分離器27をコンプレッサ21よりもエンジンルーム3内の後方に配設した場合には、内部熱交換器35の長さが足りなくなるおそれがある。そのため、気液分離器27は、室外熱交換器22よりもエンジンルーム3内の後方に配設され、コンプレッサ21は、気液分離器27よりも更にエンジンルーム3内の後方に配設されている。
【0057】
なお、
図6及び
図7に示すように、第2接続部42bを、車両の前方に向けて形成してもよい。
図6では、上側が車両の前方であり、下側に車室が位置する。
図7では、右側が車両の前方であり、左側に車室が位置する。
【0058】
第2接続部42bには、気液分離器27とコンプレッサ21とを接続する第3接続配管33が接続される。よって、第3接続配管33は、第2接続配管32と直線上に配設される、これにより、配管接続部42内で冷媒が方向を転換せずに、第3接続配管33内で方向を転換するため、冷媒をスムーズに流すことができる。なお、この場合、第1流路切換弁28のソレノイド28aが取り付けられるソレノイド装着部42dは、車両の側方に向けて形成される。
【0059】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0060】
空調装置100は、液状冷媒とガス状冷媒とを分離させ、暖房運転時には室外熱交換器22から流入するガス状冷媒をコンプレッサ21に導き、冷房運転時には室外熱交換器22から流入する液状冷媒を温度式膨張弁25に導く気液分離器27を備える。気液分離器27は、室外熱交換器22よりも車両内の後方に配設され、コンプレッサ21は、気液分離器27よりも車両内の後方に配設される。
【0061】
これにより、室外熱交換器22と気液分離器27とコンプレッサ21とが車両の前後方向に沿って順に接続されるので、各々を接続する配管の長さを最短にすることができる。したがって、簡素な配管の構成で各構成要素を接続することができると共に、冷媒の封入量を抑えることができる。
【0062】
また、空調装置100では、室外熱交換器22の冷媒出口22bは、配管接続部42よりも上に配設され、コンプレッサ21の冷媒吸入口21aは、気液分離器27からコンプレッサ21に冷媒を導く配管接続部42の第2接続部42bよりも下に配設される。
【0063】
これにより、気液分離器27からコンプレッサ21まで冷媒が順に下に導かれることで、配管の構成を簡素にできると共に、室外熱交換器22内や配管内に液状冷媒及び潤滑油が留まることを抑制できる。
【0064】
また、空調装置100では、室外熱交換器22は、冷媒入口22aと比較して冷媒出口22bが上に位置し、気液分離器27は、室外熱交換器22の高さ方向寸法内に収まる。
【0065】
これにより、室外熱交換器22と気液分離器27とを接続する配管を短くできると共に、空調装置100全体としての高さを抑えることができる。
【0066】
また、空調装置100では、温度式膨張弁25及び冷却用熱交換器23は、気液分離器27よりもエンジンルーム3内の後方に配設され、第1接続部42aは、車両の後方に向けて形成される。
【0067】
これにより、第1接続部42aが温度式膨張弁25及び冷却用熱交換器23と対向するように形成されるので、第1接続配管31及び第2接続配管32を最短にできる。
【0068】
また、空調装置100では、第2接続部42bは、車両の側方に向けて形成される。
【0069】
これにより、コンプレッサ21に向けて後方に曲げられる第3接続配管33が車両の側方に向けて接続されるので、配管の取り回しを簡素にできる。
【0070】
なお、第2接続部42bを、車両の前方に向けて形成し、第3接続配管33を第2接続配管32と直線状に配設してもよい。この場合、配管接続部42内で冷媒が方向を転換せずに、第3接続配管33内で方向を転換するため、冷媒をスムーズに流すことができる。
【0071】
また、空調装置100では、配管接続部42は、冷房運転時に第1流路切換弁28が作動することによって第2接続配管32と第3接続配管33とをタンク部41内を介さずに直接連通させる。
【0072】
これにより、第1流路切換弁28を配管接続部42内に一体に設けることで、配管を簡素にできると共に、空調装置100全体の構成を簡素にできる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。