特許第6606072号(P6606072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606072
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20191031BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   H02K3/52 E
   H02K5/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-528383(P2016-528383)
(86)(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公表番号】特表2016-525338(P2016-525338A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2014063127
(87)【国際公開番号】WO2015010838
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年4月28日
(31)【優先権主張番号】102013214386.9
(32)【優先日】2013年7月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ラーウフ・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ツィンマー・マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ブリュックナー・クリスティアン
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−014410(JP,A)
【文献】 特開2010−057355(JP,A)
【文献】 特開2006−187175(JP,A)
【文献】 米国特許第04132460(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02805675(FR,A1)
【文献】 特開2010−259271(JP,A)
【文献】 特開2013−024217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械(4)であって、
ロータ(6)と、
ステータ巻線(22)が配設されたステータ(10)と、
導体保持部(30)及び当該導体保持部に配設された接続導体(26)を有する配線装置(24)とを備え、
前記接続導体が、前記ステータ巻線(22)の巻線端部と配線領域(25)内で配線されており、
前記配線領域(25)は、絶縁を行う注入成形材料によって充填され、充填された注入成形材料により注入成形体が形成され、リング状のステータの閉じた内部空間が形成されている電気機械(4)において、
前記注入成形体は、内部空間と当該内部空間に対して半径方向に配置されたステータの外部空間との間をつなげるために、当該注入成形体を半径方向に貫くケーブル、導線或いはホースのための通路部である空きスペース形態のケーブル貫通構造(34)を備え、ケーブル、導線或いはホースをケーブル貫通構造内に通しかつ配設することが可能とされ、ケーブル貫通構造(34)が、ケーブル、導線或いはホースを、ステータの外部空間から内部空間に導くために用いられることを特徴とする電気機械。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通構造(34)は、前記接続導体(26)に対向する位置にある注入成形体表面に設けられていることを特徴とする電気機械。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通構造(34)は、ケーブルを通す方向に視て、開放された或いは少なくとも部分的に開放された側を有して形成された窪んだ半円形状に形成されていることを特徴とする電気機械。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気機械(4)において、
電気機械内に組み込まれるセンサおよびアセンブリの少なくともいずれかとの接続に必要な電気的なケーブル(44)が、前記ケーブル貫通構造(34)内に配設されていることを特徴とする電気機械。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気機械(4)において、
ケーブル貫通部材(60)が前記ケーブル貫通構造(34)を形成することを特徴とする電気機械。
【請求項6】
請求項5に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通部材(60)には、前記ケーブル貫通部材(60)の前記空きスペース内に突出する留め具(64)が設けられていることを特徴とする電気機械。
【請求項7】
請求項6に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通部材(60)は、保持保証部(66)を備えることを特徴とする電気機械。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通部材には、取付部(68)が設けられていることを特徴とする電気機械。
【請求項9】
請求項8に記載の電気機械(4)において、
請求項6に記載の前記留め具(64)及び前記取付部(68)は、略一平面上に配置されており、前記平面は、前記注入成形体の表面である注入成形体表面に対して略平行に揃えられていることを特徴とする電気機械。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれか一項に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通部材(60)は、前記導体保持部(30)に固定されていることを特徴とする電気機械。
【請求項11】
請求項5乃至10のいずれか一項に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通部材(60)は、前記注入成形材料の融解温度まで形状が安定な材料から製造されていることを特徴とする電気機械。
【請求項12】
請求項5乃至11のいずれか一項に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通部材(60)は、プラスチック部品として構成されていることを特徴とする電気機械。
【請求項13】
請求項5乃至12のいずれか一項に記載の電気機械(4)において、
前記ケーブル貫通部材(60)は、電磁的に遮蔽するように構成されていることを特徴とする電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係る電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電気機械は、とりわけ自動車に使用されており、特許文献1から公知である。電気機械は、今日、より複雑でより小型の形態のものへと発展し続けている。したがって、例えば温度センサ及び磁気センサ等、より多くのセンサ、さらに摩擦継手用のアクチュエータ等の新たなアセンブリが組み込まれ続けている。こういったことから、電気機械内で必要なケーブル、導線、ホース等を全体構造の中にスペースを取らないようにしながら組み入れる必要が生じるところ、とりわけ困難なのは、これらを外からリング状ステータ内部の閉じた収容スペース内に導入する点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2139094号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、ケーブル、導線、ホース等をできるだけスペースを節約しながら電気機械に配設することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この上記課題は、独立請求項に係る電気機械により解決される。
【0006】
本発明により、上位概念の電気機械において、注入成形材料が、空きスペースに形成されたケーブル貫通構造を備え、空きスペースが注入成形材料を貫く通路部である電気機械が提供される。
【0007】
このように形成された電気機械により、電気機械内のケーブル、導線及びホースを、スペースを節約して配設することが可能である。通常の注入成形を行う場合にはないこの特別に作られた空きスペースにより、ケーブル、導線或いはホースをケーブル貫通構造内に通しかつ配設することが可能になる。ステータの周方向におけるケーブル貫通構造の位置は、必要に応じて自由に選択できる。例えば、接続導体の出力接続部から十分離されることで、電磁的な影響ができる限り低減される。提示された電気機械は、他の解決手段と比較すると組立スペースが省けるものである。
【0008】
特に断りの無い限り、以下でケーブルという概念は、導線及びホースを表すためにも用いられる。
【0009】
有利な実施形態では、ケーブル貫通構造は、接続導体とは反対側に位置する注入成形体表面に設けられている。この実施例の長所は、組立時にケーブルをケーブル貫通構造内に差し込む必要がなく、代わりに側面において入れることができる点である。これは、ケーブル貫通構造内にケーブルが配設され或いは位置決めされる前に、既にケーブルに、そのケーブルに対応したセンサや部材が接続されている或いはこれらに連結されている場合には特に有利である。これにより、組立が簡単になる。
【0010】
ケーブル貫通構造がたらい状、つまりは開放された或いは少なくとも部分的に開放された側を有して形成されていることが有利である。
【0011】
好ましくは、ケーブル貫通構造内に電気的なケーブルが配設されている。しかしながら、例えば水冷用のホースがケーブル貫通構造内に配設されていてもよい。さらに、ケーブル貫通方向に視て、ケーブルないしホースの断面の一部だけがケーブル貫通構造の窪み、特にたらいの中に設けられていてもよい。
【0012】
有利な実施形態では、ケーブル貫通構造は、ケーブル貫通部材により形成されている。ケーブル貫通部材は、このとき、導体保持部の配線領域上或いは配線領域内に設けられ、注入成形後にケーブル貫通構造の空きスペースを形成する。これにより、簡単で再現可能且つ均一なケーブル貫通構造の作製が可能である。
【0013】
有利には、ケーブル貫通部材に留め具(Lasche)が設けられ、この留め具が空きスペース内に突出している。注入成形体表面にケーブル貫通部材を設けるとき、留め具によって、少なくとも組立の間、ケーブル貫通構造内におけるケーブルを動かないように位置決めすることができる。
【0014】
さらに他の形態では、ケーブル貫通部材に、特に好ましくは留め具に、保持保証部が設けられている。この保持保証部は、例えば保持リブとして形成されていてもよく、これが好ましくはケーブル貫通部材の内側の空間の方に向かっている。この保持リブは、ケーブル貫通部材内におけるケーブルないしホースが動かないようにできる。動かないようにすることで、ケーブルが組立中或いは運転中にケーブル貫通構造から外に飛び出したり外に外れたりする可能性が確実に回避される。このように動かないようにすることは、特に組立中に利点がある。というのも、外に外れたり外に飛び出したりしたケーブルは、ケーブル貫通構造の中或いは上において所望の位置には配設されていないのであって、さらに他の部材を組み付けることで剪断されたり損傷を受けたりする可能性があるからである。
【0015】
さらに他の実施形態によれば、留め具は、ケーブル貫通部材の一部分に亘ってのみ形成されていることがよいことが分かった。これが有利であるのは、例えば、さらに他の部材が一方側且つ部分的にケーブル貫通構造の部分に入り込み、例えばアームを用いて、ケーブルをケーブル貫通部材でそのまま受け取り且つケーブルをさらにその先に案内するようにするときである。
【0016】
他の有利な実施例において、ケーブル貫通部材は、導体保持部に固定されている。固定は、一つには導体保持部の二つの壁部の間でケーブル貫通部材を挟持することにより実現することができるが、例えば、クリップにより固定したり貼り付けたりするといったような他の固定の仕方もあり得る。導体保持部が相応の収容部を備え、その中にケーブル貫通部材が嵌め込まれており、さらに凹部を備え、これを通してケーブルが案内されることが有利であることが分かった。従って、ケーブル貫通部材の位置は、注入成形材料を入れる間、さらにまたその後も変わらずに固定されている。ケーブル貫通部材の位置を固定することは、必ずしも強要されているのではない。ケーブル貫通部材が、注入成形材料を入れる間に予め決められた位置に例えば保持アームを用いて位置決めされるときには、その後はケーブル貫通部材が注入成形により固定される。ケーブル貫通部材が注入成形体表面に設けられているときには、ケーブル貫通部材が例えば振動により外れる可能性があるので、少なくとも一つの他の部材を設けてケーブル貫通部材がその所定位置に追加的に固定されていることが、例えば組立スペースの理由からも有意義に思われる。
【0017】
有利には、複数の取付部がケーブル貫通部材の側方に設けられており、これらの取付部が空きスペースとは逆方向を向いている。好ましい態様において、これらの取付部は、概ね互いに平行且つ概ね一平面上にあり、この平面もまた、概ね注入成形体表面に対して平行に揃えられている。取付部は、導体保持部内にケーブル貫通部材を位置決めすること及び押し入れ或いは嵌め込みを行うことを簡単にするために、留め具と一緒になって大きな支持面を形成する。取付部の他の構成及び取付部と留め具との他の組み合わせも十分に考えられ得る。さらに好ましいのは、取付部が、相応に形成された導体保持部の切欠部に係合するように形成されており、これによりケーブル貫通部材の正しい嵌め込み位置が唯一可能とされている場合である。これは、特に、他の部材がケーブル貫通部材に入り込み、そのために嵌め込み位置が予め決められている場合に有利となる。
【0018】
少なくとも注入成形材料の融解温度までは形状が安定しているような材料からケーブル貫通部材が製造されていることが有利であることが判明した。これにより、注入成形材料を注入する間及びその後におけるケーブル貫通部材の変形や損傷が排除されている。
【0019】
ケーブル貫通部材がプラスチック部品として構成可能とされていると特に有利である。
【0020】
さらに好ましい他の実施例によれば、ケーブル貫通部材が電磁的に遮蔽するように構成されている構成とされている。これは、例えば、ケーブル貫通部材が金属製で、例えば銅やアルミニウムから形成されているときに実現できる。これにより、接続導体と貫通されたケーブルとの間に発生する電磁的な影響が最小化される。配線装置内に剥き出しの導電性の部材を使用することは望ましいことではないので、金属製のケーブル貫通部材は、例えばプラスチックやセラミックからなる絶縁層により被覆されていてもよい。
【0021】
以下に、本発明を添付の図に基づいて例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ケーブル貫通構造を有する電気機械のステータを示す図である。
図2】ケーブル貫通部材を有する図1のステータの部分図である。
図3a】ケーブル貫通部材を異なる観点で視た図である。
図3b】ケーブル貫通部材を異なる観点で視た図である。
図3c】ケーブル貫通部材を異なる観点で視た図である。
図3d】ケーブル貫通部材を異なる観点で視た図である。
図4】導体保持部の凹部を有する図1のステータの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、ステータ10と、ここでは概略的にのみ示されたロータ6とを有するアウターローター型の電気機械4が示されている。
本発明は、さらに、例えばインナーローター型の機械といった他の実施形態の電気機械を含んでもよい。
【0024】
ステータ10は、ステータ保持部12を備え、これにステータ板積層体14が配設されている。ステータ板積層体14は、ヨーク部16と、半径方向外側に均等に配分されるようにしてヨーク部16に配設されている複数のステータ歯18(見えないものの、ステータに配置されていることが簡略的に示されている。)とを備える。さらに、ステータ10は、ステータ巻線22がそれぞれ巻き付けられている絶縁体20を備え、絶縁体20とステータ巻線22との組み合わせが巻線体を構成する。絶縁体20は、特に複数部分で形成されていてもよい。一つの巻線体は、それぞれ一つのステータ歯18に設けられている。ステータ巻線22の巻線端部は、配線装置24に導かれており、当該装置内で、ステータ巻線22は、配線領域25において接続導体26を介して出力電子回路28(Leistungselektronik)に配線されている。接続導体26は、注入成形体32のための特に注入成形型となる導体保持部30内に埋設されている。ステータ10には、さらに蓋板8(部分的に図示)が設けられており、この蓋板がステータ10に蓋をして閉鎖し、電気機械の軸線方向の寸法ができるだけ小さくなるようにしている。
【0025】
注入成形体32は、空きスペースとして形成されたケーブル貫通構造34を備え、この空きスペースに対して、導体保持部30の凹部36が対応するように設けられている。ケーブル貫通構造34と凹部36とは、内部空間40と当該内部空間に対して半径方向に配置されたステータの外部空間42との間の接続部38を形成する。この接続部38は、とりわけケーブル、導線或いはホース44を、ステータ10の内部空間40に導くために用いることができる。
【0026】
本実施形態の場合、ケーブル貫通構造34は、接続導体26に対向して位置する注入成形体表面に設けられている。しかし、ケーブル貫通構造34は、注入成形体32により完全に包囲されているようにして注入成形体32の内部に設けられてもよい。
【0027】
ケーブル貫通構造34は、この実施例では、たらい形状に形成され、特に半円状に形成されており、このケーブル貫通構造34内に電気的なケーブル及び導線44が配設されている。
【0028】
第二の実施例において、図2に示されているが、ケーブル貫通構造34は、ケーブル貫通部材60として形成されている。このケーブル貫通部材60は、導体保持部30上に配置され或いは固定され、さらに注入成形材料により部分的に包囲されている。これが有利であるのは、ケーブル貫通構造34が注入成形体32に関係なく均質に再生産可能とされているからである。ケーブル貫通部材60は、特に、配線領域25に向かって内側に十分に傾けられている導体保持部30の側壁部48,50の間に挟持されている。
【0029】
ケーブル貫通部材60は、本実施例ではたらい形状、特に半円形状の本体62を備えている。図2及び図3a乃至dに示されている。この本体62に、本用例に有利な以下のさらなる部材が設けられている。本実施形態にいずれが有利であるかは、具体的な使用態様に依存する。
【0030】
本体62には、留め具64が設けられており、この留め具がケーブル貫通部材の空きスペースに突出している。留め具64は、特にカバーとしての機能を果たし、その背後にケーブル44が保護された状態で嵌め込まれている。
【0031】
さらに、留め具64には、保持リブ66形態の保持保証部が設けられており、本体62の方に向かい且つケーブル貫通構造34内に配置されたケーブル44を、本体62、留め具64及び保持リブ66の間に保持する。このように位置決めされたケーブル44は、ケーブル貫通部材60内で動かないようにされている。これは組立時に特に有利である。というのも、一旦位置決めされたケーブル44が、予め決められた場所で不動にされるとともに、例えばカバープレートといったさらに他の部材を組み立てることではもはや剪断されたり損傷を受けたりするおそれがなくなるからである。
【0032】
本体62には、さらに、留め具64とは逆方向を向いた複数の取付部68が設けられている。取付部68は、大きな支持面が得られるように、互いに略平行且つ留め具64に対して概ね平行に設けられている。この支持面により、導体保持部30の適合する収容部46内に単に押し込むだけでよくなる。ここで、支持面は、注入成形体表面に対して略平行に留め具64と取付部68から形成され且つ注入成形体表面上に配置されている。
【0033】
一義的な挿入方向を決めるために、取付部68は、ケーブル貫通部材60の長さの一部に亘ってのみ形成されている。図4に示されているが、相応に形成された導体保持部30の収容部46は、取付部68の形態との組み合わせにおいて一義的な挿入方向を規定する。
【0034】
特に、留め具64がケーブル貫通部材60の一部に亘ってのみ形成されているときには、挿入方向が予め決められた状態にできる。これは特に、例えば温度センサホルダ54のアーム52といった部材が、部分的にケーブル貫通部材60に入り込み、ケーブル44を受け継ぎつつさらにその先に案内する場合に該当する。
【0035】
側壁部48,50は、互いに近づくように、つまり配線領域25の方に向けて傾けられているので、ケーブル貫通部材60が簡単に嵌るように、組み付け状態にて内側に位置する接触部分が角度αだけ傾斜が付けられている(図3c)。ケーブル貫通部材60は、組立時に、先ず傾斜が付けられた縁部が導体保持部30の適合する収容部46上に載置され、その後、反対側が収容部46内に押し込められる。さらに付け加えて、傾斜が付けられた接触部分の反対側に位置する、ケーブル貫通部材60の接触部分が、導体保持部30の湾曲に合わせられている(図3d)。
【0036】
注入成形材料を入れる間にケーブル貫通部材60が変形や損傷を被らないように、注入成形材料の融解温度においても形状が安定している材料を用いることが有利である。その材料は、特に、導体保持部30に用いられるものと同じものにすることができる。
【0037】
好ましい変形例において、ケーブル貫通部材60は、プラスチック部品として構成される。
【0038】
それとは異なり、ケーブル貫通部材60は、電磁的に遮蔽するように構成されていてもよい。これにより、ケーブル貫通部材60の中に配設されているケーブル44と接続導体26との間の電磁的な影響が低減される。
【符号の説明】
【0039】
4 電気機械
6 ロータ
8 カバー
10 ステータ
12 ステータ保持部
14 ステータ板積層体
16 ヨーク部
18 ステータ歯
20 絶縁体
22 ステータ巻線
24 配線装置
25 配線領域
26 接続導体
28 出力電子回路
30 導体保持部
32 注入成形体
34 ケーブル貫通構造/空きスペース
36 凹部
38 接続部
40 内部空間
42 外部空間
44 ケーブル/導線/ホース
46 収容部
48 側壁部
50 側壁部
52 アーム
54 温度センサホルダ
56 出力接続部
60 ケーブル貫通部材
62 本体
64 留め具
66 保持保証部/保持リブ
68 取付部
α 角度
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4