【実施例】
【0050】
実施例1
ATI Allvacから入手可能なDatalloy HP(商標)合金の直径20インチのインゴットを、アルゴン酸素脱炭工程とエレクトロスラグ再溶融工程とを組み合わせた従来の溶融技術を使用して調製した。インゴットは、合金総重量に基づく重量パーセントで以下の実測化学組成を有した。0.007の炭素;4.38のマンガン;0.015のリン;0.0003未満の硫黄;0.272のケイ素;21.7のクロム;30.11のニッケル;5.23のモリブデン;1.17の銅;残部の鉄、及び未検出不可避不純物。インゴットは、2200°Fで均質化させ、自由プレス鍛造炉で複数回の再加熱をしながら据込みと展伸とを行って、直径12.5インチのビレットにした。鍛造したビレットを、以下の工程によってさらに加工した。これは
図6の参照によって理解してもよい。直径12.5インチのビレットを、本開示の金属間化合物相析出物溶解温度範囲内の温度である2200°Fの金属間化合物相析出物溶解温度に加熱し(例えば
図5の工程52を参照のこと)、2時間よりも長い間その温度で維持53して、あらゆるシグマ相金属間化合物析出物を溶解させた。ビレットを、本開示の加工温度範囲内の温度である2100°Fに冷却し、次いでラジアル鍛造(54)して直径9.84インチのビレットにした。ビレットを、本開示のこの合金用の焼きなまし温度範囲内の温度である2100°Fに設定した炉に直ちに移動(56)させ、合金の少なくとも表面領域を焼きなまし温度で加熱(58)した。ビレットを炉内で20分間保ち、合金中で過剰な結晶粒成長を生じさせることなく表面領域を再結晶させ、且つ表面領域のあらゆる有害な金属間化合物析出物相を溶解させるのに十分な時間、表面領域の温度を焼きなまし温度範囲内で維持(60)した。ビレットを、水焼入れによって室温に冷却(62)した。得られたビレットの断面を通したマクロ構造を
図8に示す。
図8に示されるマクロ構造は、鍛造棒の外周領域で(すなわち表面領域で)再結晶していない結晶粒の形跡を示していない。等軸結晶粒のASTM結晶粒サイズ数は、ASTM 0〜1である。
【0051】
実施例2
ATI Allvacから入手可能なDatalloy HP(商標)合金の直径20インチのインゴットを、アルゴン酸素脱炭工程とエレクトロスラグ再溶融工程とを組み合わせた従来の溶融技術を使用して調製した。インゴットは、合金総重量に基づく重量パーセントで以下の実測化学組成を有した。0.006の炭素;4.39のマンガン;0.015のリン;0.0004の硫黄;0.272のケイ素;21.65のクロム;30.01のニッケル;5.24のモリブデン;1.17の銅;残部の鉄、及び未検出不可避不純物。インゴットは、2200°Fで均質化させ、自由プレス鍛造炉で複数回の再加熱をしながら据込みと展伸とを行って、直径12.5インチのビレットにした。ビレットを以下の加工工程に付した。これは
図7の参照によって理解してもよい。直径12.5インチのビレットを、本開示の金属間化合物相析出物溶解温度範囲内の温度である2100°Fに加熱し(例えば
図5の工程52を参照のこと)、2時間よりも長い間その温度で維持(53)して、あらゆるシグマ相金属間化合物析出物を溶解させた。ビレットを、本開示の加工温度範囲内の温度である2050°Fに冷却し、次いでラジアル鍛造(54)して直径9.84インチのビレットにした。ビレットを、本開示のこの合金用の焼きなまし温度範囲内の温度である2050°Fに設定した炉に直ちに移動(56)させ、合金の少なくとも表面領域を焼きなまし温度で加熱(58)した。ビレットを炉内で45分間保ち、合金中で過剰な結晶粒成長を生じさせることなく表面領域を再結晶させ、且つ表面領域のあらゆる有害な金属間化合物析出物相を溶解させるのに十分な時間、表面領域の温度を焼きなまし温度範囲内で維持(60)した。ビレットを、水焼入れによって室温に冷却(62)した。得られたビレットの断面を通したマクロ構造を
図9に示す。
図9に示されるマクロ構造は、鍛造棒の外周領域で(すなわち表面領域で)再結晶していない結晶粒の形跡を示していない。等軸結晶粒のASTM結晶粒サイズ数は、ASTM 3である。
【0052】
実施例3
ATI Allvac AL−6XN(登録商標)オーステナイトステンレス鋼合金(UNS N08367)の直径20インチのインゴットを、アルゴン酸素脱炭工程とエレクトロスラグ再溶融工程とを組み合わせた従来の溶融技術を使用して調製する。インゴットは、合金総重量に基づく重量パーセントで以下の実測化学組成を有する。0.02の炭素;0.30のマンガン;0.020のリン;0.001の硫黄;0.35のケイ素;21.8のクロム;25.3のニッケル;6.7のモリブデン;0.24の窒素;0.2の銅;残部の鉄、及び他の不可避不純物。以下の加工工程は、
図6を参照してより深く理解してもよい。インゴットを、本開示の金属間化合物相析出物溶解温度範囲内の温度である2300°Fに加熱(52)し、その温度で60分間維持(53)して、あらゆるシグマ相金属間化合物析出物を溶解させる。インゴットを、加工温度範囲内の温度である2200°Fに冷却し、次いで熱間圧延(54)して1インチの厚板にする。この板を、2050°Fに設定した焼きなまし炉へ直ちに移動(56)させ、板の少なくとも表面領域を焼きなまし温度に加熱(58)する。焼きなまし温度は、オーステナイトステンレス鋼合金の金属間化合物シグマ相析出物における時間−温度−変態曲線の頂上温度のすぐ上の温度から、オーステナイトステンレス鋼合金の融解開始温度直下までである、焼きなまし温度範囲内の温度である。板は、熱間圧延(54)工程及び移動(56)工程中、シグマ相の時間−温度−変態図と交差する温度まで冷却しない。合金の表面領域を、焼きなまし温度範囲内で15分間維持(60)する。15分は、表面領域を再結晶させ、且つ任意の有害な金属間化合物析出物相を溶解させるのに十分であるが、合金の表面領域で過剰な結晶粒成長は生じない。次いで合金を、水焼入れによって冷却(62)する。この水焼入れは、合金中の金属間化合物シグマ相析出物の生成を妨げるのに十分な冷却速度を提供する。マクロ構造は、圧延した板の表面領域で再結晶していない結晶粒の形跡を示さない。等軸結晶粒のASTM結晶粒サイズ数は、ASTM 3である。
【0053】
実施例4
Grade316L(UNS S31603)オーステナイトステンレス鋼合金の直径20インチのインゴットを、アルゴン酸素脱炭工程とエレクトロスラグ再溶融工程とを組み合わせた従来の溶融技術を使用して調製する。インゴットは、合金総重量に基づく重量パーセントで以下の実測化学組成を有する。0.02の炭素;17.3のクロム;12.5のニッケル;2.5のモリブデン;1.5のマンガン;0.5のケイ素;0.035のリン;0.01の硫黄;残部の鉄、及び他の不可避不純物。以下の加工工程は、
図3の参照によってより深く理解してもよい。金属合金を、合金の加工温度範囲内、すなわち合金の再結晶温度から合金の融解開始温度直下までの範囲内である2190°Fに加熱(12)する。加熱したインゴットを加工(14)する。詳細には、加熱したインゴットを、自由プレス鍛造炉で複数回の再加熱をしながら据込みと展伸とを行って、直径12.5インチのビレットにする。インゴットを2190°Fに再加熱し、ラジアル鍛造(14)して直径9.84インチのビレットにする。このビレットを、2048°Fに設定した焼きなまし炉へ直ちに移動(16)させる。炉の温度は、合金の再結晶温度から合金の融解開始温度直下までの範囲である焼きなまし温度範囲内である。合金の表面領域を、焼きなまし温度で20分間維持(20)する。20分は、合金の表面領域を再結晶させるのに十分な維持時間である。次いで合金を、水焼入れによって周囲温度に冷却する。水焼入れは、合金における結晶粒成長を最小限にするのに十分な冷却速度を提供する。
【0054】
実施例5
ATI Allvacから入手可能なAlloy2535(UNS N08535)の直径20インチのインゴットを、アルゴン酸素脱炭工程とエレクトロスラグ再溶融工程とを組み合わせた従来の溶融技術を使用して調製する。インゴットは、2200°Fで均質化させ、自由プレス鍛造炉で複数回の再加熱をしながら据込みと展伸とを行って、直径12.5インチのビレットにする。直径12.5インチのビレットを、本開示の金属間化合物相析出物溶解温度範囲内の温度である2100°Fの金属間化合物相析出物溶解温度に加熱し(例えば
図5の工程52を参照のこと)、2時間よりも長い間その温度で維持(53)して、あらゆるシグマ相金属間化合物析出物を溶解させる。ビレットを、本開示の加工温度範囲内の温度である2050°Fに冷却し、次いでラジアル鍛造(54)して直径9.84インチのビレットにする。ビレットを、本開示のこの合金用の焼きなまし温度範囲内の温度である2050°Fに設定した炉に直ちに移動(56)させる。ビレットの温度は、鍛造及び移動の時間中、合金中のシグマ相の時間−温度−変態図と交差するところまで冷却しない。合金の少なくとも表面領域を焼きなまし温度で加熱(58)する。ビレットを炉内で45分間保ち、合金中で過剰な結晶粒成長を生じさせることなく表面領域を再結晶させ、且つ表面領域のあらゆる有害な金属間化合物析出物相を溶解させるのに十分な時間、表面領域の温度を焼きなまし温度範囲内で維持(60)する。ビレットを、水焼入れによって室温に冷却(62)する。マクロ構造は、鍛造棒の外周領域で(すなわち表面領域で)再結晶していない結晶粒の形跡を示さない。等軸結晶粒のASTM結晶粒サイズ数は、ASTM 2である。
【0055】
実施例6
ATI Allvacから入手可能なAlloy2550(UNS N06255)の直径20インチのインゴットを、アルゴン酸素脱炭工程とエレクトロスラグ再溶融工程とを組み合わせた従来の溶融技術を使用して調製する。インゴットは、2200°Fで均質化させ、自由プレス鍛造炉で複数回の再加熱をしながら据込みと展伸とを行って、直径12.5インチのビレットにする。直径12.5インチのビレットを、本開示の金属間化合物相析出物溶解温度範囲内の温度である2100°Fの金属間化合物相析出物溶解温度に加熱し(例えば
図5の工程52を参照のこと)、2時間よりも長い間その温度で維持(53)して、あらゆるシグマ相金属間化合物析出物を溶解させる。ビレットを、本開示の加工温度範囲内の温度である1975°Fに冷却し、次いでラジアル鍛造(54)して直径9.84インチのビレットにする。ビレットを、本開示のこの合金用の焼きなまし温度範囲内の温度である1975°Fに設定した炉に直ちに移動(56)させ、合金の少なくとも表面領域を焼きなまし温度で加熱(58)する。ビレットの温度は、鍛造及び移動の時間中、合金中のシグマ相の時間−温度−変態図と交差するところまで冷却しない。ビレットを炉内で75分間保ち、合金中で過剰な結晶粒成長を生じさせることなく表面領域を再結晶させ、且つ表面領域のあらゆる有害な金属間化合物析出物相を溶解させるのに十分な時間、表面領域の温度を焼きなまし温度範囲内で維持(60)する。ビレットを、水焼入れによって室温に冷却(62)する。マクロ構造は、鍛造棒の外周領域で(すなわち表面領域で)再結晶していない結晶粒の形跡を示さない。等軸結晶粒のASTM結晶粒サイズ数は、ASTM 3である。
【0056】
本記載は、本発明を明確に理解することに関する発明の態様を例示するものであることが理解されるであろう。本明細書の簡略化のため、当業者に明らかである特定の態様、及び、すなわち本発明のより深い理解を助けるものではない特定の態様は示されていない。本明細書においては、本発明の限られた数の実施形態のみがやむをえず記載されているが、前述の記載を考慮することにより、当業者は多くの改造形態及び変形形態が使用されてもよいことを認識するであろう。このような本発明の変形形態及び改造形態の全ては、前述の明細書及び以下の特許請求の範囲によって網羅されるべきものである。
[発明の態様]
[1]金属合金の加工方法であって、
金属合金を加工温度範囲内の温度に加熱することであって、前記加工温度範囲は、前記金属合金の再結晶温度から前記金属合金の融解開始温度直下の温度までである加熱すること;
前記金属合金を前記加工温度範囲内の温度で加工すること;
前記金属合金の少なくとも表面領域を前記加工温度範囲内の温度に加熱すること;
前記金属合金の前記表面領域を、前記金属合金の前記表面領域を再結晶させ、且つ前記金属合金における結晶粒成長を最小限にするのに十分な時間、前記加工温度範囲内で維持すること;及び
前記金属合金を、前記焼きなまし温度範囲から、前記金属合金における結晶粒成長を最小限にする温度まで、前記金属合金における結晶粒成長を最小限にする冷却速度で冷却すること
を含む、前記方法。
[2]前記金属合金を加工することと、前記金属合金の表面領域を加熱することとの間に、前記金属合金を加熱装置に移動させることをさらに含む[1]の方法。
[3]前記金属合金が、スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金、オーステナイト系ステンレス鋼合金、チタン合金、ニッケル合金、ニッケル系超合金、及びコバルト合金のうちの1つである[1]の方法。
[4]前記金属合金が、スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金及びオーステナイト系ステンレス鋼合金のうちの1つを含む[1]の方法。
[5]前記金属合金がスーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を含む[1]の方法。
[6]前記金属合金が、合金総重量に基づく重量パーセントで、0.2以下の炭素;20以下のマンガン;0.1〜1.0のケイ素;14.0〜28.0のクロム;15.0〜38.0のニッケル;2.0〜9.0のモリブデン;0.1〜3.0の銅;0.08〜0.9の窒素;0.1〜5.0のタングステン;0.5〜5.0のコバルト;1.0以下のチタン;0.05以下のホウ素;0.05以下のリン;0.05以下の硫黄;鉄;及び不可避不純物を含む[1]の方法。
[7]前記金属合金が、合金総重量に基づく重量パーセントで、0.05以下の炭素;1.0以下のケイ素;10〜20のマンガン;13.5〜18.0のクロム;1.0〜4.0のニッケル;1.5〜3.5のモリブデン;0.2〜0.4の窒素;鉄;及び不可避不純物を含む[1]の方法。
[8]前記金属合金が、UNS N08367合金;UNS N06600合金;UNS N06975合金;UNS N06625合金;UNS N08800合金;UNS N08810合金、UNS N08811合金;UNS N08825合金;UNS N06985合金;UNS N08535合金;UNS N06255合金;及びUNS S31603合金のうちの1つを含む[1]の方法。
[9]前記金属合金を加工することが、前記金属合金を鍛造すること、圧延すること、分塊すること、押出しすること、及び成形することのうちの1つ以上を含む[1]の方法。
[10]前記金属合金を加工することが、前記金属合金をロール鍛造すること、スエージングすること、鍛伸すること、自由鍛造すること、彫込み型鍛造すること、圧縮鍛造すること、自動熱間鍛造すること、ラジアル鍛造すること、及び据込み鍛造することのうちの1つ以上を含む[1]の方法。
[11]前記金属合金の少なくとも表面領域を加熱することが、前記金属合金の前記表面領域を炉加熱すること、火炎加熱すること、及び誘導加熱することのうちの1つ以上を含む[1]の方法。
[12]前記金属合金の前記表面領域を再結晶させる時間、前記金属合金の前記表面領域を前記加工温度範囲内で維持することが、5分〜60分間、前記金属合金の前記表面領域を前記加工温度範囲内で維持することを含む[1]の方法。
[13]前記冷却速度が、0.3華氏温度毎分〜10華氏温度毎分の範囲を含む[1]の方法。
[14]前記金属合金が、スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金及びオーステナイト系ステンレス鋼合金のうちの1つを含み;
前記金属合金を前記加工温度範囲に加熱することが、前記金属を、前記金属合金の金属間化合物シグマ相析出物のソルバス温度から、前記金属合金の融解開始温度直下までの温度に加熱することを含み;
前記金属合金を加工する前記加工温度は、前記金属合金の前記金属間化合物シグマ相析出物の時間−温度−変態図の頂点温度のすぐ上から、前記金属合金の融解開始温度直下までの加工温度範囲を含み;
前記金属合金の前記表面領域を維持する前記加工温度は、前記金属合金の前記金属間化合物シグマ相析出物の時間−温度−変態図の頂点温度のすぐ上から、前記金属合金の融解開始温度直下までの加工温度範囲を含み;且つ
前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金及びオーステナイト系ステンレス鋼合金の温度は、前記金属合金の加工中及び前記金属合金の少なくとも前記表面領域の加熱前に、前記金属合金の前記金属間化合物シグマ相析出物の前記時間−温度−変態図と交差しない
[1]の方法。
[15]前記金属合金を加工することが、前記金属合金を鍛造すること、圧延すること、分塊すること、押出しすること、及び成形することのうちの1つ以上を含む[14]の方法。
[16]前記金属合金を鍛造することが、前記金属合金をロール鍛造すること、スエージングすること、鍛伸すること、自由鍛造すること、彫込み型鍛造すること、圧縮鍛造すること、自動熱間鍛造すること、ラジアル鍛造すること、及び据込み鍛造することのうちの1つ以上を含む[14]の方法。
[17]前記金属合金の表面領域を加熱することが、前記表面領域を炉加熱すること、火炎加熱すること、及び誘導加熱することのうちの1つ以上を含む[14]の方法。
[18]前記金属合金の前記表面領域を前記加工温度範囲内で維持することが、前記表面領域を再結晶させ、前記表面領域にある前記金属合金の前記金属間化合物シグマ相析出物を溶解させ、且つ前記金属合金における結晶粒成長を最小限にするのに十分な時間、前記金属合金の前記表面領域を前記焼きなまし温度範囲内で維持することを含む[14]の方法。
[19]前記金属合金の前記表面領域を前記加工温度範囲内で維持することが、前記金属合金の前記表面領域を、5分〜60分間、前記加工温度範囲内で維持することを含む[14]の方法。
[20]前記金属合金を冷却することが、前記金属合金における金属間化合物シグマ相析出物の析出を妨げるのに十分な速度で冷却することを含む[14]の方法。
[21]前記冷却速度が、0.3華氏温度毎分〜10華氏温度毎分の範囲を含む[14]の方法。
[22]前記金属合金を冷却することが、前記金属合金を焼入れすること、強制空冷すること、及び空冷することのうちの1つを含む[14]の方法。
[23]前記金属合金を冷却することが、前記金属合金を水焼入れすること及び油焼入れすることのうちの1つを含む[14]の方法。
[24]前記金属合金が、UNS N08367合金;UNS N06600合金;UNS N06975合金;UNS N06625合金;UNS N08800合金;UNS N08810合金;UNS N08811合金;UNS N08825合金;UNS N06985合金;UNS N08535合金;UNS N06255合金;及びUNS S31603合金のうちの1つを含む[14]の方法。
[25]スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の加工方法であって、前記方法が
スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を、金属間化合物相析出物溶解温度範囲内の金属間化合物相析出物溶解温度に加熱することであって、前記金属間化合物相析出物溶解温度範囲は、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の金属間化合物相析出物のソルバス温度から、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の融解開始温度直下の温度までである加熱すること;
前記金属間化合物相析出物を溶解させ、且つ前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金における結晶粒成長を最小限にするのに十分な時間、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼を前記金属間化合物相析出物溶解温度範囲内で維持すること;
前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記金属間化合物相析出物の時間−温度−変態曲線の頂点温度のすぐ上から、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の融解開始温度直下までの加工温度範囲内の加工温度で、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を加工することであって;
前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金は、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を加工することから、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の少なくとも表面領域を焼きなまし温度範囲内の温度に加熱することまでの時間、前記頂点温度まで冷却しない加工すること;
前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記金属間化合物相析出物の前記時間−温度−変態曲線の前記頂点温度のすぐ上の温度から、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記融解開始温度直下までの前記焼きなまし温度範囲内の温度に前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の少なくとも表面領域を加熱することであって、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の温度は、前記合金を加工することから前記合金の少なくとも表面領域を前記焼きなまし温度範囲内の温度に加熱することまでの時間中、前記時間−温度−変態曲線と交差するところまで冷却しない加熱すること;
前記表面領域を再結晶させ、且つ前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金における結晶粒成長を最小限にするのに十分な維持時間の間、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を前記焼きなまし温度範囲内で維持すること;及び
前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を、前記金属間化合物相析出物の生成を妨げ且つ結晶粒成長を最小限にする冷却速度で、前記金属間化合物相析出物の生成を妨げ且つ結晶粒成長を最小限にする温度に冷却すること
を含む方法。
[26]前記金属間化合物析出物相がシグマ相を含む[25]の方法。
[27]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を加工することと、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の少なくとも表面領域を加熱することとの間に、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を加熱装置に移動させることをさらに含む[25]の方法。
[28]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を加工することが、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を鍛造すること、圧延すること、分塊すること、押出しすること、及び成形することのうちの1つ以上を含む[25]の方法。
[29]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を加工することが、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金をロール鍛造すること、スエージングすること、鍛伸すること、自由鍛造すること、彫込み型鍛造すること、圧縮鍛造すること、自動熱間鍛造すること、ラジアル鍛造すること、及び据込み鍛造することのうちの1つ以上を含む[25]の方法。
[30]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を加工することが、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金をラジアル鍛造することを含む[25]の方法。
[31]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の表面領域を加熱することが、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を炉加熱すること、火炎加熱すること、及び誘導加熱することのうちの1つ以上を含む[25]の方法。
[32]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を前記焼きなまし温度範囲内で維持することが、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を再結晶させ、且つ結晶粒成長を最小限にするのに十分な時間、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を前記焼きなまし温度範囲内で維持することを含む[25]の方法。
[33]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を再結晶させる時間、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を、前記焼きなまし温度範囲内で維持することが、1分〜2時間、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の前記表面領域を前記焼きなまし温度範囲内で維持することを含む[25]の方法。
[34]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を冷却することが、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を焼入れすること、強制空冷すること、及び空冷することのうちの1つを含む[25]の方法。
[35]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を冷却することが、前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を水焼入れすること、及び油焼入れすることのうちの1つを含む[26]の方法。
[36]前記冷却速度が、0.3華氏温度毎分〜10華氏温度毎分の範囲を含む[25]の方法。
[37]前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金が、合金総重量に基づく重量パーセントで、0.2以下の炭素;20以下のマンガン;0.1〜1.0のケイ素;14.0〜28.0のクロム;15.0〜38.0のニッケル;2.0〜9.0のモリブデン;0.1〜3.0の銅;0.08〜0.9の窒素;0.1〜5.0のタングステン;0.5〜5.0のコバルト;1.0以下のチタン;0.05以下のホウ素;0.05以下のリン;0.05以下の硫黄;鉄;及び不可避不純物を含む[25]の方法。
[38]合金総重量に基づく重量パーセントで、0.2以下の炭素;20以下のマンガン;0.1〜1.0のケイ素;14.0〜28.0のクロム;15.0〜38.0のニッケル;2.0〜9.0のモリブデン;0.1〜3.0の銅;0.08〜0.9の窒素;0.1〜5.0のタングステン;0.5〜5.0のコバルト;1.0以下のチタン;0.05以下のホウ素;0.05以下のリン;0.05以下の硫黄;鉄;及び不可避不純物を含む組成と;
前記スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金の断面を通して等軸に再結晶した結晶粒構造と;
ASTM指示E112−12に従って、ASTM 00〜ASTM 3の範囲のASTM結晶粒サイズ数を有する平均結晶粒サイズと;
を含む熱加工したスーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金であって、
前記等軸に再結晶した結晶粒構造には、金属間化合物シグマ相析出物が実質的にない、スーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金。
[39][38]の熱加工したスーパーオーステナイト系ステンレス鋼合金を含む
工場生産品。
[40]前記
工場生産品が、棒、プレート、シート、及び押出成形物から選択される[39]の
工場生産品。