特許第6606090号(P6606090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6606090生理学的に活性なフェノール化合物の懸濁組成物並びにそれを作製及び使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606090
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】生理学的に活性なフェノール化合物の懸濁組成物並びにそれを作製及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20191031BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20191031BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20191031BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20191031BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20191031BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20191031BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20191031BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20191031BHJP
【FI】
   A61K31/352
   A61K9/10
   A61K47/24
   A61K47/34
   A61K47/28
   A61K47/26
   A61K47/14
   A61K47/44
【請求項の数】37
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-554820(P2016-554820)
(86)(22)【出願日】2014年11月24日
(65)【公表番号】特表2016-537430(P2016-537430A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014067141
(87)【国際公開番号】WO2015081018
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】14/090,864
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516150970
【氏名又は名称】ヒューマネティクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100176197
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 千春
(72)【発明者】
【氏名】エグバーグ,デイビット シー.
(72)【発明者】
【氏名】ケイター,マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ダイクストラ,ジョン シー.
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−544963(JP,A)
【文献】 特表2013−545752(JP,A)
【文献】 特開2012−107066(JP,A)
【文献】 特表2013−517298(JP,A)
【文献】 特表2013−528229(JP,A)
【文献】 特開2001−309764(JP,A)
【文献】 特開2009−067752(JP,A)
【文献】 特開2013−135655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/352
A61K 9/10
A61K 47/14
A61K 47/24
A61K 47/26
A61K 47/28
A61K 47/34
A61K 47/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が消費するのに好適なナノ微粒子ゲニステイン懸濁組成物であって、
食用脂質と、
前記食用脂質内に懸濁されたナノ微粒子ゲニステインと、を含み、前記ナノ微粒子ゲニステインの濃度が200mg/ml以上であり、前記ナノ微粒子ゲニステインが、0.5μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、懸濁組成物。
【請求項2】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、0.4μm以下のD(0.50)、0.35μm以下のD(0.50)、0.30μm以下のD(0.50)、0.25μm以下のD(0.50)、及び0.20μm以下のD(0.50)から選択されるD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、0.3μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、2.0μm以下のD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、1.5μm以下のD(0.90)、1.0μm以下のD(0.90)、及び0.5μm以下のD(0.90)から選択されるD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
分散剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記分散剤が、レシチン、ポリソルベート80、ステロイル−2−ラクテート、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、及びグリセロール脂肪酸エステルからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記食用脂質が、1個の炭素酢酸塩〜22個の炭素の範囲の鎖長を有するグリセリドから選択される食用グリセリドである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記食用グリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記食用脂質が、オリーブ、トウモロコシ、大豆、海産、ココナッツ、ヤシ、パーム核、綿実、落花生、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、アーモンド、カシュー、マカダミア、ペカン、松の実、クルミ、レモン、オレンジ、亜麻仁、ルリチシャ油、魚油、及び乳由来脂肪からなる群から選択される食用植物油又は動物油である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記食用脂質が、オリーブ油を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ナノ微粒子ゲニステインを含む懸濁組成物を調製するための方法であって、
食用脂質を提供することと、
ナノ微粒子ゲニステインであって、前記ナノ微粒子ゲニステインの粒径分布が、0.5μm以下のD(0.50)を特徴とする、ナノ微粒子ゲニステインを提供することと、
前記食用脂質内に前記ナノ微粒子ゲニステインを懸濁液を形成するのに十分な量で分散させ、前記ナノ微粒子ゲニステインの濃度が200mg/ml以上であることと、を含む、方法。
【請求項13】
前記ゲニステインが、ナノ粉砕される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、0.4μm以下のD(0.50)、0.35μm以下のD(0.50)、0.30μm以下のD(0.50)、0.25μm以下のD(0.50)、及び0.20μm以下のD(0.50)から選択されるD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、0.3μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、2.0μm以下のD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ微粒子ゲニステインが、1.5μm以下のD(0.90)、1.0μm以下のD(0.90)、及び0.5μm以下のD(0.90)から選択されるD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
分散剤を提供することを更に含み、前記分散剤が、前記食用脂質及び前記ゲニステインとブレンドされる、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記分散剤が、レシチン、ポリソルベート80、ステロイル−2−ラクテート、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、及びグリセロール脂肪酸エステルからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記食用脂質が、1個の炭素酢酸塩〜22個の炭素の範囲の鎖長を有するグリセリドから選択される食用グリセリドである、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記食用グリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記食用脂質が、オリーブ、トウモロコシ、大豆、海産、ココナッツ、ヤシ、パーム核、綿実、落花生、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、アーモンド、カシュー、マカダミア、ペカン、松の実、クルミ、レモン、オレンジ、亜麻仁、ルリチシャ油、魚油、及び乳由来脂肪からなる群から選択される食用植物油又は動物油である、請求項12〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ナノ微粒子ゲニステイン食用懸濁組成物を調製するための方法であって、
食用脂質を提供することと、
ゲニステインを前記食用脂質に提供することと、
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕して、前記食用脂質内の前記ゲニステインのナノ微粒子懸濁液を提供し、前記ゲニステインが、0.5μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈し、前記ナノ微粒子懸濁液中の前記ゲニステインの濃度が200mg/ml以上であることと、を含む、方法。
【請求項24】
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕することが、前記食用脂質を含む粉砕媒体中で前記ゲニステインをナノ粉砕することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕する前に、前記ゲニステインが、前記脂質内に懸濁され、前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕することが、前記混合したゲニステイン及び食用脂質をナノ粉砕機内に導入することと、前記ゲニステインが所望の粒径分布を呈するまで、前記混合したゲニステイン及び食用脂質を前記ナノ粉砕機内で加工することと、を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕することが、前記ゲニステインが0.4μm以下のD(0.50)、0.35μm以下のD(0.50)、0.30μm以下のD(0.50)、0.25μm以下のD(0.50)、及び0.20μm以下のD(0.50)から選択されるD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記ゲニステインを粉砕することを含む、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕することが、前記ゲニステインが0.3μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記ゲニステインを粉砕することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕することが、前記ゲニステインが2.0μm以下のD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記ゲニステインを粉砕することを含む、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕することが、前記ゲニステインが1.5μm以下のD(0.90)、1.0μm以下のD(0.90)、及び0.5μm以下のD(0.90)から選択されるD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記ゲニステインを粉砕することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
分散剤を提供することを更に含み、前記分散剤が、前記食用脂質及び前記ゲニステインとブレンドされる、請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記分散剤が、レシチン、ポリソルベート80、ステロイル−2−ラクテート、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、及びグリセロール脂肪酸エステルからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記食用脂質が、1個の炭素酢酸塩〜22個の炭素の範囲の鎖長を有するグリセリドから選択される食用グリセリドである、請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記食用グリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記食用脂質が、オリーブ、トウモロコシ、大豆、海産、ココナッツ、ヤシ、パーム核、綿実、落花生、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、アーモンド、カシュー、マカダミア、ペカン、松の実、クルミ、レモン、オレンジ、亜麻仁、ルリチシャ油、魚油、及び乳由来脂肪からなる群から選択される食用植物油又は動物油である、請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノ微粒子ゲニステインの前記濃度が、250mg/ml以上の濃度、300mg/ml以上の濃度、350mg/ml以上の濃度、400mg/ml以上の濃度、450mg/ml以上の濃度、及び500mg/ml以上の濃度から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の懸濁組成物。
【請求項36】
前記ナノ微粒子ゲニステインを前記食用脂質内に分散して前記懸濁組成物を形成することは、懸濁液を提供するのに十分なゲニステインを前記食用脂質内に分散することを含み、前記ナノ微粒子ゲニステインの前記濃度が、250mg/ml以上の濃度、300mg/ml以上の濃度、350mg/ml以上の濃度、400mg/ml以上の濃度、450mg/ml以上の濃度、及び500mg/ml以上の濃度から選択される、請求項12〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記食用脂質の存在下で前記ゲニステインを粉砕することが、食用懸濁液を提供するのに十分なゲニステインを前記食用脂質内で粉砕することを含み、前記ナノ微粒子ゲニステインの前記濃度が、250mg/ml以上の濃度、300mg/ml以上の濃度、350mg/ml以上の濃度、400mg/ml以上の濃度、450mg/ml以上の濃度、及び500mg/ml以上の濃度から選択される、請求項23〜34のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生理学的に活性なフェノール化合物を含む組成物、並びにそのような組成物を生成及び利用するための方法に関する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、食用脂質中に分散されたナノ微粒子フェノール化合物を含み、更なる実施形態では、そのような組成物を作製及び使用する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
好ましい医学的及び栄養特性を呈することを示す、天然に存在するフェノール化合物を含む、様々な生理学的に活性なフェノール物質が存在している。しかしながら、様々な理由のため、多くの場合、容易に摂取され、かつ所望の栄養効果又は治療効果を得るのに十分な量で対象に化合物を送達するのに適した組成物中で、これらのフェノール化合物を提供することは困難である。
【0003】
多くのフェノール物質は、容易には、生物学的に利用可能にならない。その結果、フェノール物質の摂取又は投与から任意の利益を得るために、対象は、大量のフェノール化合物を摂取するか、又は投与されなければならない。加えて、多くの望ましいフェノール化合物の経口送達が対象にとって困難又は不快であることが分かっており、これが、非経口投与経路、及び/又は標的化合物の生物学的利用能を増大させるように設計された、比較的複雑で多成分の薬学的グレードの組成物の製剤化が必要という認識につながっている可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書に記載される方法により調製する前、又は本明細書による組成物に含む前の例示的な生理学的に活性なフェノール化合物の2つの異なるグレードの粒径分布を示す。図1は、市販業者から受け取ったときのGenivida(商標)(食品グレードのゲニステイン)の粒径分布を提供する。図2は、市販業者から受け取ったときのBonistein(登録商標)(薬学的グレードのゲニステイン)の粒径分布を提供する。
図2】本明細書に記載される方法により調製する前、又は本明細書による組成物に含む前の例示的な生理学的に活性なフェノール化合物の2つの異なるグレードの粒径分布を示す。図1は、市販業者から受け取ったときのGenivida(商標)(食品グレードのゲニステイン)の粒径分布を提供する。図2は、市販業者から受け取ったときのBonistein(登録商標)(薬学的グレードのゲニステイン)の粒径分布を提供する。
図3A】本明細書に記載される方法により調製され、本明細書による組成物内に含まれた、例示的なナノ微粒子の生理学的に活性なフェノール化合物材料(ナノ微粒子ゲニステイン)の2つの異なるグレードの初期及び3ヶ月の粒径分布を示す。
図3B】本明細書に記載される方法により調製され、本明細書による組成物内に含まれた、例示的なナノ微粒子の生理学的に活性なフェノール化合物材料(ナノ微粒子ゲニステイン)の2つの異なるグレードの初期及び3ヶ月の粒径分布を示す。
図3C】本明細書に記載される方法により調製され、本明細書による組成物内に含まれた、例示的なナノ微粒子の生理学的に活性なフェノール化合物材料(ナノ微粒子ゲニステイン)の2つの異なるグレードの初期及び3ヶ月の粒径分布を示す。
図4】本明細書に記載される方法により調製され、本明細書に記載される組成物内に含まれた、例示的な生理学的に活性なフェノール化合物(ゲニステイン)の粒径分布データを提供する。ゲニステインは、薬学的グレード材料(Bonistein(登録商法))及び食品グレード材料(Genivida(商標))の2つのグレードで調達された。図4は、本明細書に記載される方法により調製され、本明細書による組成物内に含まれたゲニステイン材料の初期の粒径分布データ(「初期測定」)を提供する。図4は、周囲温度で3か月間貯蔵した後の同じゲニステイン材料の粒径分布データ(「3ヶ月測定」)も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
生理学的に活性なフェノール化合物の組成物が本明細書において説明される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、薬学的製剤、医療食品、又は栄養補助食品として対象に投与する、又は対象が摂取するのに適している。特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、食用脂質内に懸濁されるナノ微粒子材料として提供されるフェノール化合物を含む。ナノ微粒子材料としてフェノール化合物を提供することによって、フェノール化合物の生物学的利用能を増大させるのに役立ち、所望の栄養利益若しくは治療利益を得るのに十分な量でフェノール化合物を投与又は摂取するのを更に容易にすることができる。
【0006】
本明細書により調製された組成物は、望ましい物理的安定性特徴を呈することを示した。しばしば、活性化合物がナノ微粒子材料として提供される場合、経時的な粒子凝塊形成は、活性物質の粒径分布(PSD)において著しい変化をもたらし、最初はナノサイズの材料として活性物質を提供することによって求められた利点の損失をもたらす。本明細書に記載される組成物の実施形態は、数ヶ月の貯蔵後でもフェノール化合物のPSDがナノ微粒子材料として維持されるように、継時的にその中に含まれるフェノール化合物のPSDを保持するのに役立つ。
【0007】
本明細書に記載される組成物を調製するための方法も提供される。一般に、生理学的に活性なフェノール化合物は、ナノ微粒子材料として提供され、次に、食用脂質内に分散されて、対象に投与する、又は対象が摂取するのに好適な懸濁液をもたらす。フェノール化合物を所望のナノサイズのPSDを呈する活性物質に減少させるために、任意の好適な整粒プロセスが利用され得る。ある特定の実施形態では、ナノ微粒子のフェノール化合物材料は、ナノ粉砕手順により提供され得る。本開示において使用される、用語「活性物質」は、ある一定量の1つ以上の生理学的に活性なフェノール化合物(複数可)を指す。
【0008】
ナノ粉砕は、典型的には、整粒される活性物質が導入される粉砕媒体(例えば、ボール、ビーズ、ペレット、サテライト、結晶性媒体等)を含む。活性物質が粉砕媒体中に導入されたら、粉砕媒体は攪拌され、活性物質は、材料のPSDを減少させる研削及び剪断力を受ける。粉砕を容易にするために、整粒される活性物質は、液体ビヒクルで提供され得るか、又は液体ビヒクルが粉砕媒体中に導入され得る。本明細書に記載される方法の特定の実施形態では、活性物質のナノ粉砕において使用されるビヒクルは、本明細書による組成物において使用するのに好適な食用脂質であり得る。
【0009】
本明細書に記載される組成物は、ヒト及び/若しくは動物対象が摂取する、又はそれらに投与するのに適している。本開示による組成物は、食品グレードの組成物として調製され得る。あるいは、本明細書に記載される組成物は、薬学的グレードの組成物として調製され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、直接投与又は摂取用に調製され得る。他の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、投与又は摂取前に1つ以上の他の構成成分と組み合わせるために調製され得る。
【0010】
I.定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数参照を含む。
【0011】
範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表される。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって近似として表される場合、特定の値は別の実施形態を形成することを理解する。範囲のそれぞれのエンドポイントが、他のエンドポイントに関して、及び他のエンドポイントとは無関係に、の両方において有意であることを更に理解する。本明細書に開示されるいくつかの値が存在し、各値が、本明細書において、値自体に加えて「約」その特定の値としても開示されることも理解する。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。2つの特定の単位間の各単位も開示されることも理解する。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。
【0012】
本明細書で使用される場合、「ナノ微粒子」は、レーザー光回折装置を使用して測定される、体積径を呈する材料を指し、材料のD(0.50)は、0.5μm以下である。ある特定の実施形態では、用語「ナノ微粒子」は、レーザー光回折装置を使用して測定される、体積径を呈する材料を指し、材料のD(0.50)は、0.5μm以下であり、D(0.90)は、2μm以下である。レーザー光回折装置を使用する粒径分析は、粒子サイズに直接関係する様々な角度を通して散乱する光に基づく技術である。分析される粒子によって散乱した光の角度及びこの散乱した光の強度を測定することにより、粒径分布を計算することができる。本開示の文脈において粒径の分析に使用するための技術は、静的光散乱、レイリー光散乱、低角度光散乱(LALS)、多角度光散乱(MALS)、フラウンホーファー回折、又はミー散乱と称され得る。ミー散乱を使用する粒径分布の測定は、質量の方向測定を通した粒径分布の決定を可能にする。
【0013】
レーザー光回折による粒径の分析に対する2つの理論上の用途は、粒子の特性についての仮定に基づく。フラウンホーファーの説は、以下を考慮に入れる:粒子が、球状、非多孔質、及び不透明である、粒子直径が、分析に使用されたレーザー光の波長よりも大きい、並びに粒子が、光の回折において干渉しないように互いに十分に距離があり、不規則な運動を呈し、サイズ及び形状に関わらず同じ効率で光を回折する。ミーの説は、測定技術が分析に使用されたレーザー光の波長を下回るサイズ範囲の粒子を考慮することを可能にする、粒子と懸濁媒体との間の屈折率の差を考慮に入れる。異なるサイズの粒子の相対的な量は、異なる角度で散乱した光の強度を測定することにより決定される。粒子が光の波長に近づく、又はそれより小さくなるにつれて、むしろ光の強度は、より高い角度に散乱され、後方散乱される。ミーの散乱説は、この異なる挙動を考慮する。粒径測定を行うために、光の強度パターンは、全角度範囲にわたって測定される。粒径が入射光の波長よりも大きい場合、ミー式は、フラウンホーファー式に低減される。高角度及び後方散乱検出器を含む多くの検出器、並びに異なる波長の複数光源は、典型的に、1回の分析で全角度範囲の測定を可能にするために採用される。レーザー光回折による粒径の分析に使用するのに適した装置は、市販されており、例えば、Horiba Instruments(Irvine,CA)により製造される。
【0014】
本明細書の文脈において、所与の材料の粒径分布は、ミー散乱説回折モードで操作され、懸濁分散サンプルチャンバを装備したレーザー回折粒径分析器(例えば、Horiba Instruments(Irvine,CA,USA)から入手可能)を使用して、USP 429に従い測定される体積径で提供される。本明細書の主旨に沿って、体積径は、D(0.10)、D(0.50)、及びD(0.90)のうちの1つ以上により定義される粒径分布として得られる。本明細書において言及される場合、用語D(0.10)は、サンプルの10%が参照サイズを下回る粒子の体積頻度分布を指し、用語D(0.50)は、サンプルの50%が参照サイズを下回る粒子の体積頻度分布を示し、用語D(0.90)は、サンプルの90%が参照サイズを下回る粒子の体積頻度分布を示す。レーザー回折を介した粒径分布の測定に加えて、そのような粒径分析及び/又は粒子の形態の結果は、既知の電子顕微鏡法を使用して確認され得る。
【0015】
本開示の主旨に沿って、「対象」は、本明細書に記載される場合の組成物が標的利益を得るために投与され得る動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0016】
II.生理学的に活性なフェノール化合物の組成物
本明細書に記載される組成物は、1つ以上の生理学的に活性なフェノール化合物を含む。フェノール化合物は、天然に存在しない、又は天然に存在する化合物であり得る。加えて、フェノール化合物は、化学合成(同様に天然源により生成される場合でも)されるか、又は天然源から単離される、精製される、若しくはそれに由来し得る。特定の実施形態では、フェノール化合物は、植物の1つ以上の種又は変種において見られる、又はそれに由来する天然に存在する化合物である。本明細書に記載される組成物における使用に好適なそのような化合物の例としては、イソフラボン、クルクミノイド、フラボノール、及びスチルベノイドから選択される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
クルクミノイドは、例えばウコンに見られる天然のフェノールである。クルクミノイドは、クルクミン、デスメトキシクルクミン、及びビス−デスメトキシクルクミンを含む。クルクミンは、1,3−ジケト型及び2つの同等のエノール型を含む、いくつかの互変異性型で存在し得る。クルクミノイドは、一般的に、あまり水溶性ではなく、低い生物学的利用能を呈する。クルクミンの化学名は、(1E,6E)−1,7−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニ)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン(IUPAC)である。デスメトキシクルクミンの化学名は、(1E,6E)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン、1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシフェニル)(IUPAC)である。ビス−デスメトキシクルクミンの化学名は、(1E,6E)−1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン(IUPAC)である。クルクミノイドは、市販されており、植物材料から単離されるか、又は既知の化学合成を使用して精製された形態で製造され得る。
【0018】
イソフラボンは、様々な天然に存在する化合物を含み、イソフラボノイドに関連する有機化合物のクラスに属する。多くのイソフラボンは、哺乳類において植物エストロゲンとして作用し、いくつかは、一重項酸素を捕捉するその能力のため、抗酸化剤と呼ばれる。イソフラボノイドは、ほぼ例外なくマメ(Fabaceae)科(すなわち、マメ(Leguminosae)科又は豆科)のメンバーにより生成される。大豆は、ヒト食物においてイソフラボンの最も一般的な供給源であり、大豆における主なイソフラボンは、ゲニステイン及びダイゼインである。一般に、イソフラボンは、あまり水溶性ではなく、低い生物学的利用能を呈する。ゲニステインは、市販されており、合成の精製された形態で得ることができる。合成のゲニステインは、例えば、DSM Nutritional Products (DSM Nutritional Products,Inc.Parsippany,NJ)からBONISTEINとして入手可能である。ゲニステインの化学名は、5,7−ジヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−クロメン−4−オン(IUPAC)である。ダイゼインの化学名は、7−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)クロメン−4−オン(IUPAC)である。ゲニステイン同様、ダイゼインは、市販されており、植物材料から抽出若しくは単離されるか、又は既知の化学合成を使用して精製された形態で製造され得る。
【0019】
本明細書による組成物において利用することができるフラバノールは、カテキンを含む。本明細書で使用される場合、用語「カテキン」は、一群の化合物並びに化合物自体を指す。カテキンは、(2R,3S)−2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−3,5,7−トリオール(IUPAC)の化学名を有する。一群のカテキン化合物は、例えば、本明細書に記載される組成物においても使用され得るエピカテキン及びエピガロカテキンガレート(EGCG)を含む。本明細書で使用される場合、「エピカテキン」は、シス配置のカテキンの2つの異性体のうちの1つ又はその両方を指し、本明細書において化合物名として使用される場合、用語「カテキン」は、トランス配置のカテキンの2つの異性体のうちの1つ又はその両方を指す。EGCGの化学名は、[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(IUPAC)である。カテキンは、市販されており、例えば、緑茶、カカオ豆、コーラナッツ、生のリンゴ、アンズ、ネクタリン、ナシ、及びプラム、ブラックベリー、赤いラズベリー、クランベリー、サクランボ、ソラマメに見られ、それらから単離され得る。カテキンは、既知の化学合成を使用して、精製された形態でも製造され得る。
【0020】
スチルベノイドは、いくつかの異なる植物によって生成される天然に存在するフェノールである。本明細書に記載される組成物の文脈において特に関心のスチルベノイドは、レスベラトールである。レスベラトールの化学名は、5−[(E)−2−(4−ヒドロキシフェニル)エテニル]ベンゼン−1,3−ジオール(IUPAC)である。他のスチルベノイド同様、レスベラトールは、植物のいくつかの異なる種によって自然に生成され、多くの場合、商業目的のため、イタドリの根から抽出される。本明細書に具体的に記載される他のフェノール化合物同様、レスベラトールは、市販されており、天然に存在する植物材料から単離されるか、又は既知の化学合成を使用して、精製された形態で製造され得る。
【0021】
本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のフェノール化合物を含み得る。例えば、特定の実施形態では、組成物は、クルクミン、デスメトキシクルクミン、ビス−デスメトキシクルクミン、ゲニステイン、ダイゼイン、カテキン、エピカテキン、EGCG、レスベラトール、及びそのような化合物のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるフェノール化合物を含む。各実施形態では、組成物に含まれる1つ以上のフェノール化合物は、ナノ微粒子材料として提供される。特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、0.4μm以下のD(0.50)を呈するナノ微粒子材料として提供される1つ以上のフェノール化合物を含み得る。ある特定のそのような実施形態では、本明細書に開示される組成物は、0.35μm以下のD(0.50)、0.30μm以下のD(0.50)、0.25μm以下のD(0.50)、及び0.20μm以下のD(0.50)から選択されるD(0.50)を呈するナノ微粒子物質として提供される1つ以上のフェノール化合物を含み得る。本明細書に詳述されるD(0.50)を特徴とすることに加えて、ナノ微粒子材料は、2.0μm以下のD(0.90)を呈し得る。特定の実施形態では、ナノ微粒子の活性物質は、本明細書に詳述されるD(0.50)、並びに1.5μm以下のD(0.90)、1.0μm以下のD(0.90)、及び0.5μm以下のD(0.90)から選択されるD(0.90)を呈する。
【0022】
本明細書に開示される組成物における使用に好適なナノ微粒子活性物質は、サブミクロンPSDを呈する物質を生成するための既知の方法により調製され得る。一実施形態では、天然由来の、又は合成により製造されたフェノール化合物材料は、当該技術分野において既知の粉砕技術によりナノ粉砕され得る。ナノ粉砕は、連続分散及び微細湿式研削のために研削容器中で攪拌機ビーズミルを利用する湿式ビーズ粉砕を含み得る。あるいは、ナノミルの粉砕媒体内での物質の分散及び研削のための必要エネルギーは、攪拌機シャフト上に載置された攪拌機ディスクを通して研削媒体に伝達され得る。いくつかの異なるナノミル及び粉砕技術が商業的に利用可能であり、例えば、CB Mills(Gurnee,IL)及びNETZSCH Premier Technologies,LLC(Exton,PA)から提供される。
【0023】
ナノ粉砕は、一般的に、本明細書に記載される組成物における使用に好適なナノ微粒子活性物質を生成するための手段として本明細書において言及されるが、ナノ微粒子活性物質は、他の好適な技術によっても生成することができる。例えば、所望のフェノール化合物は、1つ以上の既知の湿式粉砕技術、超臨界若しくは圧縮流体技術、高温若しくは高圧均質化、乳化技術、蒸発沈殿法、貧溶媒沈殿法、微量沈降法、低温法、錯形成技術、超音波技術、固体分散技術、又は噴霧乾燥及び凍結乾燥技術を通して、ナノ微粒子物質として提供され得る。
【0024】
本明細書に記載される組成物に含まれる活性物質は、食用脂質内に分散されて、フェノール化合物のナノ微粒子懸濁液を形成する。用語「食用脂質」は、対象が摂取する、又は対象に投与するのに好適な天然に存在する、及び合成の脂質、脂肪、並びに油を指す。ある特定の実施形態では、食用脂質は、1個の炭素酢酸塩〜22個の炭素の範囲の鎖長を有するグリセリドから選択される食用グリセリドであり得る。食用グリセリドが食用脂質として使用される場合、食用グリセリドの脂肪酸鎖は、飽和されるか、又は様々な程度の不飽和を呈し得る。食用グリセリドが不飽和脂肪酸鎖を含む特定の実施形態では、不飽和の程度は、1つの二重結合(例えば、オレイン酸)から最大6つの二重結合(例えば、ドコサヘキサエン酸)の範囲であり得る。更に、本明細書に記載される組成物における使用に好適な食用グリセリドの脂肪酸残基は、1つ(モノグリセリド)、2つ(ジグリセリド)、又は3つ全てのグリセロールヒドロキシル基(トリグリセリド)上にエステル結合を形成し得る。エステル化されない任意のヒドロキシル基は、遊離ヒドロキシル基であるか、又は例えば、レシチンなどに見られる、ホスフェート、イノシトール、コリン、セリン、若しくはエタノールアミンに化学的に結合され得る。
【0025】
本明細書に記載される組成物において使用される食用脂質は、植物及び動物源からの食用脂質、油、及び脂肪からも選択され得る。本明細書に記載される組成物における使用に好適であり得る植物油は、例えば、オリーブ、トウモロコシ、大豆、海産、ココナッツ、ヤシ、パーム核、綿実、落花生、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、アーモンド、カシュー、マカダミア、ペカン、松の実、クルミ、レモン、オレンジ、亜麻仁、及びルリチシャ油を含む。食用脂質が植物油であるか、又は本明細書に詳述される植物油のうちの1つに由来する場合、食用脂質は、本明細書に詳述される植物油のうちの1つ以上から形成された中間鎖トリグリセリドなどのココアバター又はエステル交換植物油からも選択され得る。本明細書に記載される組成物における使用に好適であり得る動物油及び脂肪は、魚油、及びバターなどの乳由来脂肪を含む。
【0026】
ナノ微粒子の活性物質は、様々な濃度で食用脂質内に懸濁され得る。本明細書に記載される組成物は、高濃度のナノ微粒子材料で調製され得、ある特定の実施形態では、ナノ微粒子材料は、200mg/ml以上の濃度で食用脂質中に懸濁される。例えば、本明細書による組成物は、200mg/ml以上、250mg/ml以上、300mg/ml以上、350mg/ml以上、400mg/ml以上、450mg/ml以上、及び500mg/ml以上から選択される濃度で食用脂質内に懸濁されるナノ微粒子材料を含み得る。
【0027】
本明細書による組成物は、食用着色剤、風味剤、及び分散剤を更に含み得る。ヒト及び動物が摂取するのに好適な広範囲の着色剤及び風味剤が周知であり、手軽に市販されている。記載される組成物に含まれる場合、食用乳化剤であり得る分散剤は、懸濁液内での粒径の安定性及び/又はその中に分散されたフェノール化合物(複数可)の生物学的利用能を維持又は改善するのを補助するのに役立ち得る。食用分散剤は、レシチン、並びに例えば、ポリソルベート80、ステロイル−2−ラクテート、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、及びグリセロール脂肪酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステルから選択され得る。含まれる場合、分散剤は、約0.01%〜約5%(w/v)から選択される相対的な量で提供され得る。
【0028】
本明細書に記載される組成物は、異なる状況で使用するために調製され得る。例えば、組成物は、栄養補助食品、医療食品、又は更には薬学的製剤として経口摂取用に調製され得る。栄養補助食品又は医療食品として調製される場合、組成物に含まれるフェノール化合物(複数可)、食用脂質、及び含まれる場合、任意の着色剤、風味剤、又は分散剤は、得られる組成物が医療食品又は栄養補助食品としての使用に好適な食品グレードの組成物であるように、食品グレードの材料として調製及び提供され得る。所望する場合、他の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、薬学的組成物として使用するために調製され得る。そのような実施形態では、成分のそれぞれは、薬学的グレードの組成物が生成されるように、薬学的グレードの材料として調製されなければならない。
【0029】
本明細書に記載される組成物は、任意の好適な方法で、及び任意の好適な装置を使用して調製され得る。更に、本明細書による組成物は、経口摂取、又は様々な送達装置若しくは機構を介して非経口投与用に調製され得る。例えば、本明細書に記載される懸濁組成物は、シリンジ、計量スプーン、カップ、又はバイアルを含む任意の所望の計量装置から送達するために調製され得、投与又は送達を容易にすることが所望される場合、本明細書による組成物は、予め計量された量で、懸濁又は分散組成物の送達に適したシリンジ、サッシェ、又はゼラチン若しくは軟カプセルなどのカプセルに量り入れることができる。特に、医療食品又は栄養補助食品として使用される場合、本明細書に記載される組成物は、意図する対象が摂取するための他の食品、液体、若しくは乾物にわたって、又はその内に分布させるためにも調製され得る。
【0030】
III.方法
本明細書に記載される組成物を調製するための方法が提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される場合の組成物を調製するための方法は、ナノ微粒子材料としてフェノール化合物を提供することと、本明細書に記載される食用脂質を提供することと、ナノ微粒子のフェノール化合物物質と食用脂質とを混和して、ナノ微粒子のフェノール化合物材料を分散し、懸濁組成物を形成することとを含む。そのような実施形態では、組成物に含むための1つ以上の追加の材料も提供され得る。例えば、1つ以上の分散剤が提供され、ナノ微粒子のフェノール化合物材料及び食用脂質と混合され得る。1つ以上の分散剤が含まれる場合、分散剤は、ナノ微粒子のフェノール化合物を導入する前に食用脂質と混合され得る。あるいは、1つ以上の分散剤は、分散剤及びフェノール化合物と食用脂質とを混合する前にナノ微粒子のフェノール化合物材料と混合され得る。尚も更には、1つ以上の分散剤は、ナノ微粒子のフェノール化合物が食用脂質内に分散された後で食用脂質及びナノ微粒子のフェノール化合物と混合され得る。
【0031】
また更なる実施形態では、本明細書に記載される組成物は、食用脂質の存在下でナノ微粒子の活性物質を形成することにより調製され得、この場合、食用脂質は、フェノール化合物のサイズ粉砕が行われる媒体の一部を形成する。ある特定のそのような実施形態では、活性物質は、ナノ粉砕機を使用して所望のナノ微粒子PSDに加工され、活性物質は、ナノ粉砕機内に導入される前に食用脂質と混合される。他のそのような実施形態では、活性物質及び食用脂質は、別個にナノ粉砕機内に導入される(例えば、フェノール化合物材料及び食用脂質は、別個のプロセスステップにおいて粉砕媒体に導入され得、食用脂質は、活性物質を導入する前に粉砕媒体と混合され得るか、又は活性物質は、食用脂質を導入する前に粉砕媒体と混合され得る)。
【0032】
活性物質及び食用脂質がナノ粉砕機中で混合される特定の実施形態では、活性物質及び食用脂質は、ナノ粉砕機内に供給され、食用脂質内に懸濁されたナノ微粒子の活性物質を特徴とする組成物をもたらす方法で粉砕される。そのような一実施形態では、活性物質及び食用脂質の懸濁は、所望のPSDのナノ微粒子の活性物質を含有する懸濁組成物が得られるまで、ナノ粉砕機を通して連続的に供給され得る。例えば、活性物質は、所望のPSDを呈するフェノール化合物材料を含む組成物を得るために、食用脂質内に懸濁されたある一定量の活性物質を再循環させ、続いて1回以上ナノ粉砕機を通過させることによりナノ粉砕され得る。本明細書に記載されるように組成物内に懸濁された活性物質の粒径は、ナノ粉砕機のパラメータ及び研削条件を調節することにより制御することができる。例えば、活性物質又は活性物質と食用脂質との組み合わせをナノ粉砕することにより生成される粒径は、粉砕媒体のサイズ、粉砕媒体の装填/懸濁重量比、懸濁組成(例えば、食用脂質の量に対する活性物質の量)、攪拌速度、及び粉砕時間により制御することができる。
【0033】
活性物質の性質により、1つ以上の事前粉砕ステップも最終ナノ粉砕プロセス前に利用することができる。活性物質の事前粉砕は、活性物質のサイズ粉砕のために、任意の好適な方法及び系を使用して達成され得る。事前粉砕は、供給されたままの活性物質が比較的粗いPSDを呈する場合、特に有用であり得る。活性物質を事前粉砕ステップに曝すことにより、活性物質のPSDは、標的ナノ微粒子PSDにより良く近似するように減少され、それにより最終粉砕プロセスに必要とされるプロセス時間を短縮することができる。そのようなアプローチは、食用脂質及び/又は活性物質が粗い活性物質のPSDを好適なナノ微粒子範囲に減少させるために必要とされ得る熱、剪断、及び研削力に長期曝されることによって悪影響を受ける可能性があるため、活性物質が食用脂質中で粉砕される場合に特に有利であり得る。粉砕ステップは、比較的粗い初期の粒径特性を呈する活性物質の調達及び使用も可能にし得、これは、次いで、本明細書による組成物の調製に使用される材料の費用節減につながる可能性がある。
【0034】
本明細書に記載される組成物に含まれる生理学的に活性なフェノール化合物を投与するための方法も提供される。本明細書に記載される活性物質は、いくつかの栄養利益及び治療利益の可能性を有し、多くは強力な抗酸化剤として認識され、様々な炎症形態からある特定の癌形態に至る範囲の状態に罹患する、又はそのリスクにある対象に栄養利益及び治療利益をもたらすと考えられる。更に、本明細書に開示される生理学的に活性なフェノール化合物は、特に継時的に摂取された場合の潜在的な心保護作用及び神経保護作用に関連してきた。尚も更には、本明細書に特定される生理学的に活性なフェノール化合物は、対象におけるホルモンのレベル又は生成の変化に関連する症状を緩和するために使用されてきた。
【0035】
本明細書に記載される組成物は、典型的には、経口摂取又は経口投与され、そのような実施形態では、組成物が対象によって摂取される量及び頻度は、得られる所望の栄養利益及び治療利益、組成物に含まれるフェノール化合物(複数可)の性質、並びに対象の身体特性(例えば、年齢、体重、性別)に依存し得る。本明細書に記載される組成物は、例えば、単一用量、規則的な日用量、1日2回の用量、1日3回の用量として、又は別の所望のスケジュールにより投与又は摂取され得る。更に、特定の実施形態では、本明細書に記載される場合の組成物は、約50mg/日〜約10,000mg/日の範囲である、それに含有されるフェノール化合物の用量を送達するのに十分な量で、対象に投与される、又は対象によって摂取され得る。ある特定のそのような実施形態では、組成物は、約50mg/日〜約9,000mg/日、約50mg/日〜約8,000mg/日、約50mg/日〜約2,000mg/日、約100mg/日〜約9,000mg/日、約100mg/日〜約5,000mg/日、約100mg/日〜約4,000mg/日、約100mg/日〜約2,000mg/日、及び約100mg/日〜約1,000mg/日から選択されるフェノール化合物の用量を送達するのに十分な量で、対象に送達されるか、又は対象によって摂取される。
【実施例】
【0036】
実施例1−ゲニステインのナノ微粒子組成物の調製
材料:
食品グレードのゲニステインであるGenivida(商標)及び薬学的グレードのゲニステインであるBonistein(登録商標)は、市販業者(DSM、http://www.dsm.com/corporate/home.html)から得、粒径分析を受けた。提供されるGenivida(商標)材料は、粒径29.5μmのD(0.50)を呈し、Bonistein(登録商標)材料は、粒径10.7μmのD(0.50)を呈した。図1及び図2は、DSMから供給されたGenivida(商標)及びBonistein(登録商標)材料のPSDを図示する。
【0037】
食品グレードの100%オリーブ油は、食用脂質として使用するために得た。オリーブ油は、スーパーマーケットから購入し、イタリア、スペイン、チュニジア、及びモロッコからのオリーブ油を含有する一般的な地中海オリーブ油のブレンドであった。
【0038】
方法
Genivida(商標)及びBonistein(登録商標)の材料は、25%(w/v)のゲニステインを含んだ懸濁組成物を提供するように、オリーブ油内に分散された。25%w/vのゲニステイン/オリーブ油懸濁液をいくつかのサンプル(サンプル当たり約200ml)に分け、NetzschのMiniCer(登録商標)ナノミルを使用して粉砕した。Bonistein(登録商標)を含有するサンプルは、0.3mmのYTZ媒体(イットリア安定化酸化ジルコニウム(ZrO2)ビーズ)中で60分間粉砕された。Genivida(商標)を含有するサンプルは、0.5mmのYTZ媒体中で60分間粉砕された。
【0039】
Genivida(商標)を含有する選択されたサンプルは、事前粉砕プロセスを受けた(「事前研削」サンプルと称されるか、又は標識される)。事前粉砕プロセスもYTZ粉砕媒体を含むNetzschのMiniCer(登録商標)ナノミルを利用した。しかしながら、事前粉砕ステップにおいて利用された粉砕媒体は、1.25mmのYTZ媒体であった。事前粉砕は、Genivida(商標)のD(0.50)粒径を10μm未満に減少させる目的で、20分間行われた。事前粉砕後、事前粉砕手順を受けたこれらのサンプルは、0.3mmのYTZ媒体中で60分間、MiniCer(登録商標)ナノ粉砕機で粉砕された。
【0040】
粉砕ステップ後、各サンプルの粒径分析が完了した。ゲニステイン組成物の粉砕は、Bonistein(登録商標)及びGenivida(商標)材料のサイズ粉砕をもたらし、各サンプルは、ナノ微粒子PSDを呈した(図4を参照)。ある一定量の各ナノ懸濁組成物は、3.7ccのガラスバイアル中に分注され、これは、次に、周囲温度で貯蔵された。
【0041】
約2ヶ月で、サンプルは、各バイアルから取り出され、レーザー回折粒径分析及びTEM分析を受けた。TEM分析によって得た粒径分析及び分布は、レーザー回折分析によって得たものと一致し、サンプル内に懸濁されたゲニステイン材料がナノ微粒子PSDを維持したことを示した。
【0042】
3ヶ月の時点で、各ナノ懸濁液のサンプルは、各バイアルから取り出され、再度、レーザー回折粒径分析及びTEM分析を受けた。3か月後でも、オリーブ油に懸濁されたゲニステイン材料は、ナノサイズのままであり、全ての場合において、3ヶ月でのD(0.50)は<300nmであった(図3A〜3Cを参照)。
【0043】
各時点でのサンプルの各々に関して、レーザー回折によって実施された粒径分析は、Horiba Scientific(Edison,New Jersey)のLA−950粒径分析器を使用して行われた。
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)対象が消費するのに好適な懸濁組成物であって、
食用脂質と、
前記食用脂質内に分散される活性物質と、を含み、前記活性物質が、生理学的に活性なフェノール化合物を含み、かつ0.5μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、懸濁組成物。
(2)前記活性物質が、0.4μm以下のD(0.50)、0.35μm以下のD(0.50)、0.30μm以下のD(0.50)、0.25μm以下のD(0.50)、及び0.20μm以下のD(0.50)から選択されるD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、(1)に記載の組成物。
(3)前記活性物質が、0.3μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)前記活性物質が、2.0μm以下のD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)前記活性物質が、1.5μm以下のD(0.90)、1.0μm以下のD(0.90)、及び0.5μm以下のD(0.90)から選択されるD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する、(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、イソフラボン、クルクミノイド、フラボノール、スチルベノイド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、クルクミン、デスメトキシクルクミン、ビス−デスメトキシクルクミン、ゲニステイン、ダイゼイン、カテキン、エピカテキン、EGCG、レスベラトール、及びそのような化合物のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、(6)に記載の組成物。
(8)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、ゲニステインである、(6)に記載の組成物。
(9)分散剤を更に含む、(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物。
(10)前記分散剤が、レシチン、ポリソルベート80、ステロイル−2−ラクテート、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、及びグリセロール脂肪酸エステルからなる群から選択される、(9)に記載の組成物。
(11)前記食用脂質が、1個の炭素酢酸塩〜22個の炭素の範囲の鎖長を有するグリセリドから選択される食用グリセリドである、(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12)前記食用グリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選択される、(11)に記載の組成物。
(13)前記食用脂質が、オリーブ、トウモロコシ、大豆、海産、ココナッツ、ヤシ、パーム核、綿実、落花生、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、アーモンド、カシュー、マカダミア、ペカン、松の実、クルミ、レモン、オレンジ、亜麻仁、ルリチシャ油、魚油、及び乳由来脂肪からなる群から選択される食用植物油又は動物油である、(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(14)前記食用脂質が、オリーブ油を含む、(8)に記載の組成物。
(15)生理学的に活性なフェノール化合物を含む懸濁組成物を調製するための方法であって、
食用脂質を提供することと、
ナノ微粒子である生理学的に活性なフェノール化合物であって、その粒径分布が、0.5μm以下のD(0.50)を特徴とする、生理学的に活性なフェノール化合物を含む活性物質を提供することと、
前記食用脂質内に前記活性物質を分散させて、懸濁液を形成することと、を含む、方法。
(16)前記活性物質の提供が、ある量の前記生理学的に活性なフェノール化合物をナノ粉砕することを含む、(15)に記載の方法。
(17)前記活性物質を提供することが、0.4μm以下のD(0.50)、0.35μm以下のD(0.50)、0.30μm以下のD(0.50)、0.25μm以下のD(0.50)、及び0.20μm以下のD(0.50)から選択されるD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する活性物質を提供することを含む、(15)又は(16)に記載の方法。
(18)前記活性物質を提供することが、0.3μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する活性物質を提供することを含む、(17)に記載の方法。
(19)前記活性物質を提供することが、2.0μm以下のD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する活性物質を提供することを含む、(15)〜(18)のいずれかに記載の方法。
(20)前記活性物質を提供することが、1.5μm以下のD(0.90)、1.0μm以下のD(0.90)、及び0.5μm以下のD(0.90)から選択されるD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈する活性物質を提供することを含む、(19)に記載の方法。
(21)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、イソフラボン、クルクミノイド、フラボノール、スチルベノイド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、(15)〜(20)のいずれかに記載の方法。
(22)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、クルクミン、デスメトキシクルクミン、ビス−デスメトキシクルクミン、ゲニステイン、ダイゼイン、カテキン、エピカテキン、EGCG、レスベラトール、及びそのような化合物のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、(21)に記載の方法。
(23)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、ゲニステインである、(22)に記載の方法。
(24)分散剤を提供することを更に含み、前記分散剤が、前記食用脂質及び前記活性物質とブレンドされる、(15)〜(23)のいずれかに記載の方法。
(25)前記分散剤が、レシチン、ポリソルベート80、ステロイル−2−ラクテート、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、及びグリセロール脂肪酸エステルからなる群から選択される、(24)に記載の方法。
(26)前記食用脂質が、1個の炭素酢酸塩〜22個の炭素の範囲の鎖長を有するグリセリドから選択される食用グリセリドである、(15)〜(25)のいずれかに記載の方法。
(27)前記食用グリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選択される、(26)に記載の方法。
(28)前記食用脂質が、オリーブ、トウモロコシ、大豆、海産、ココナッツ、ヤシ、パーム核、綿実、落花生、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、アーモンド、カシュー、マカダミア、ペカン、松の実、クルミ、レモン、オレンジ、亜麻仁、ルリチシャ油、魚油、及び乳由来脂肪からなる群から選択される食用植物油又は動物油である、(15)〜(25)のいずれかに記載の方法。
(29)生理学的に活性なフェノール化合物の食用懸濁液を調製するための方法であって、
食用脂質を提供することと、
生理学的に活性なフェノール化合物を含む活性物質を提供することと、
前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕して、前記食用脂質内の前記活性物質のナノ微粒子懸濁液を提供することと、を含み、前記活性物質が、0.5μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈する、方法。
(30)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記食用脂質を含む粉砕媒体中で前記活性物質をナノ粉砕することを含む、(29)に記載の方法。
(31)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕する前に、前記活性物質が、前記脂質内に懸濁され、前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記混合した活性物質及び食用脂質をナノ粉砕機内に導入することと、前記活性物質が所望の粒径分布を呈するまで、前記混合した活性物質及び脂質を前記ナノ粉砕機内で加工することと、を含む、(29)に記載の方法。
(32)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記活性物質が0.4μm以下のD(0.50)、0.35μm以下のD(0.50)、0.30μm以下のD(0.50)、0.25μm以下のD(0.50)、及び0.20μm以下のD(0.50)から選択されるD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記活性物質を粉砕することを含む、(29)〜(31)のいずれかに記載の方法。
(33)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記活性物質が0.3μm以下のD(0.50)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記活性物質を粉砕することを含む、(32)に記載の方法。
(34)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記活性物質が2.0μm以下のD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記活性物質を粉砕することを含む、(29)〜(33)のいずれかに記載の方法。
(35)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記活性物質が1.5μm以下のD(0.90)、1.0μm以下のD(0.90)、及び0.5μm以下のD(0.90)から選択されるD(0.90)を特徴とする粒径分布を呈するまで、前記活性物質を粉砕することを含む、(34)に記載の方法。
(36)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、イソフラボン、クルクミノイド、フラボノール、スチルベノイド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、(29)〜(35)のいずれかに記載の方法。
(37)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、クルクミン、デスメトキシクルクミン、ビス−デスメトキシクルクミン、ゲニステイン、ダイゼイン、カテキン、エピカテキン、EGCG、レスベラトール、及びそのような化合物のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、(36)に記載の方法。
(38)前記生理学的に活性なフェノール化合物が、ゲニステインである、(37)に記載の方法。
(39)分散剤を提供することを更に含み、前記分散剤が、前記食用脂質及び前記活性物質とブレンドされる、(29)〜(38)のいずれかに記載の方法。
(40)前記分散剤が、レシチン、ポリソルベート80、ステロイル−2−ラクテート、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、及びグリセロール脂肪酸エステルからなる群から選択される、(39)に記載の方法。
(41)前記食用脂質が、1個の炭素酢酸塩〜22個の炭素の範囲の鎖長を有するグリセリドから選択される食用グリセリドである、(29)〜(40)のいずれかに記載の方法。
(42)前記食用グリセリドが、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選択される、(41)に記載の方法。
(43)前記食用脂質が、オリーブ、トウモロコシ、大豆、海産、ココナッツ、ヤシ、パーム核、綿実、落花生、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、アーモンド、カシュー、マカダミア、ペカン、松の実、クルミ、レモン、オレンジ、亜麻仁、ルリチシャ油、魚油、及び乳由来脂肪からなる群から選択される食用植物油又は動物油である、(29)〜(40)のいずれかに記載の方法。
(44)前記活性物質が、前記活性物質の濃度が200mg/ml以上である懸濁液を提供するのに十分な量で前記食用脂質内に分散される、(1)〜(14)のいずれかに記載の懸濁組成物。
(45)前記活性物質の前記濃度が、250mg/ml以上の濃度、300mg/ml以上の濃度、350mg/ml以上の濃度、400mg/ml以上の濃度、450mg/ml以上の濃度、及び500mg/ml以上の濃度から選択される、(44)に記載の懸濁組成物。
(46)前記活性物質を前記食用脂質内に分散して前記懸濁組成物を形成することは、前記活性物質の前記濃度が、200mg/ml以上である懸濁液を提供するのに十分な活性物質を前記食用脂質内に分散することを含む、(15)〜(28)のいずれかに記載の方法。
(47)前記活性物質を前記食用脂質内に分散して前記懸濁組成物を形成することは、前記活性物質の前記濃度が、250mg/ml以上の濃度、300mg/ml以上の濃度、350mg/ml以上の濃度、400mg/ml以上の濃度、450mg/ml以上の濃度、及び500mg/ml以上の濃度から選択される懸濁液を提供するのに十分な活性物質を、前記食用脂質内に分散することを含む、(46)に記載の方法。
(48)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記活性物質の前記濃度が、200mg/ml以上である食用懸濁液を提供するのに十分な活性物質を、前記食用脂質内で粉砕することを含む、(29)〜(43)のいずれかに記載の方法。
(49)前記食用脂質の存在下で前記活性物質を粉砕することが、前記活性物質の前記濃度が、250mg/ml以上の濃度、300mg/ml以上の濃度、350mg/ml以上の濃度、400mg/ml以上の濃度、450mg/ml以上の濃度、及び500mg/ml以上の濃度から選択される食用懸濁液を提供するのに十分な活性物質を、前記食用脂質内で粉砕することを含む、(48)に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4