(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記針が前記圧電性ポリマーフィルム超音波センサの前記第二の表面と電気的に接触する底部電極を形成するように、前記柔軟な平面ストリップが前記針に巻き付く、請求項1に記載のセンサ装置。
前記第一の誘電体層が前記針の直径に等しい幅を持ち、前記柔軟な平面ストリップの少なくとも一つの他の層が前記針の前記直径未満の幅を持つ、請求項1に記載のセンサ装置。
医療装置を少なくとも部分的にカプセル化するために当該医療装置にらせん状に巻き付くように構成される、複数の層を含む柔軟な平面ストリップを有する、センサ装置であって、当該柔軟な平面ストリップが、
少なくとも一つの角度がついた端部を持ち、前記柔軟な平面ストリップの長手方向寸法から横方向にのびる少なくとも一つのトングを含む、前記柔軟な平面ストリップの第一の誘電体層と、
底部電極と、前記第一の誘電体層上に形成される当該底部電極に接続する底部電極トレースと、
前記底部電極上に形成される圧電層と、
上部電極と、前記圧電層上に形成される当該上部電極に接続する上部電極トレースと
を含む、
センサ装置。
前記柔軟な平面ストリップが前記医療装置のまわりでらせん状になるときに前記トングが前記第一の誘電体層上で前記医療装置のまわりにリングを形成するように、前記少なくとも一つのトングが前記柔軟な平面ストリップとの角度を含む、請求項8に記載のセンサ装置。
前記柔軟な平面ストリップが、近位端部上に導電性シールド及びハブ電極を含み、外部電気接続を可能にするように前記導電性シールド及び前記ハブ電極を折り返すステップを更に有する、請求項11に記載の方法。
前記柔軟な平面ストリップを医療装置の周りに巻き付けるステップは、前記柔軟な平面ストリップを前記医療装置の周りに螺旋状に巻き付けるステップを含む、請求項11に記載の方法。
前記柔軟な平面ストリップは、前記柔軟な平面ストリップが前記医療装置のまわりでらせん状になるときにトングが前記医療装置のまわりにリングセンサを形成するように、前記柔軟な平面ストリップと角度をなす少なくとも一つの前記トングを含む、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の原理によれば、針若しくは装置の超音波ガイダンス若しくはトラッキングを実施するために一つ若しくは複数のセンサを針(若しくは他の装置)へ適用するためのシステム、装置及び方法が提供される。本発明の原理は、非常に低い装置当たりのコストで一つ以上の薄型センサを含み、大量生産用のスケーリングが低コストを維持することを可能にする、針、装置若しくはシステムを提供する。一実施形態において、センサ用の相互接続は(繰り返しパターンで)大きな平面薄膜シート上で大量生産され、その後薄いストリップへ切断され得る。これらのストリップを装置へ取り付けるための方法が記載される。一つの方法において、高度に曲げられる/柔軟な材料がシートのために利用され、シートは装置の外周に巻き付けられる。別の方法において、ストリップはらせん状に針に巻き付けられる。これらの及び他の方法において、センサ装置は装置上に取り付けられる薄い平面フィルム上に形成される。
【0012】
超音波センサは、センサ全体(若しくはセンサの一部)が装置への取り付け前に形成されるよう、誘電体層を構築し導電体をパターン化することによって薄膜平面シート上に形成され得る。針若しくは他の装置は圧電ポリマー、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)若しくはポリフッ化ビニリデントリフルオロエチレン(P(VDF‐TrFE))、P(VDF‐TrFE)を用いて製造され得る。これらの材料はアセトンに溶解され、蒸発プロセスを通じて平面シートへ若しくは医療装置へ適用されることができる。センサは高インピーダンスであり、小型キャパシタ(例えば2.2pF)と直列な電圧源としてモデル化され得る。かかるセンサは電気相互接続の容量性負荷に非常に敏感であり、大きな信号損失を回避するために(例えばドリブンシールド技法と同様に)特殊なキャパシタンスキャンセル電子機器が利用されることができる。信号を搬送するワイヤ若しくはトレースは好適にはシールドされる(例えば導電体まわりの電気シールドを含む)。これはストリップライン構成を用いて実現され得る。
【0013】
本発明は医療機器に関して記載されるが、本発明の教示はもっと広く、薄型センサを受容可能ないかなる機器にも適用可能であることが理解されるべきである。一部の実施形態において、本発明の原理は複雑な生物学的若しくは機械的システムのトラッキング若しくは分析において利用される。特に、本発明の原理は肺、胃腸管、排泄器官、血管などといった身体の全エリアにおける手術のために適用可能である。図中に描かれる要素はハードウェアとソフトウェアの様々な組み合わせで実現され得、単一の要素若しくは複数の要素に組み合わされ得る機能を提供する。
【0014】
さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態だけでなくそれらの特定の実施例を列挙する本明細書の全記述は、それらの構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図される。付加的に、かかる均等物は現在既知の均等物だけでなく将来開発される均等物(すなわち構造に関わらず同一の若しくは実質的に同様の機能を実行することができる、開発される任意の要素)の両方を含むことが意図される。従って、例えば、本明細書に提示される任意のブロック図は本発明の原理を具体化する例示的なシステムコンポーネント及び/又は回路の概念図をあらわし得ることが、本明細書で提供される教示を考慮して当業者によって理解される。同様に、任意のフローチャート、フロー図などは、コンピュータ可読記憶媒体に実質的にあらわされ、コンピュータ、プロセッサ若しくは処理能力を持つ他の装置によって、かかるコンピュータ若しくはプロセッサが明示されているか否かを問わず、そのように実行され得る、様々なプロセスをあらわし得ることを、本明細書で提供される教示を考慮して当業者は理解するはずである。
【0015】
層、領域若しくは材料などの要素が別の要素の"上(on)"若しくは"上方(over)"にあるといわれるとき、これは他の要素の上に直接あり得るか、又は介在要素が存在してもよいことも理解される。対照的に、要素が別の要素の"上に直接(directly on)"又は"上方に直接(directly over)"あるといわれるときは、介在要素が存在しない。要素が別の要素に"接続"若しくは"結合"されるといわれるとき、これは他の要素に直接接続若しくは結合され得るか、又は介在要素が存在し得ることも理解される。対照的に、要素が別の要素に"直接接続"若しくは"直接結合"されるといわれるとき、介在要素は存在しない。
【0016】
本発明の原理の"一実施形態"若しくは"実施形態"、並びにその他のバリエーションへの明細書中の参照は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、特性などが本発明の原理の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。従って、明細書全体を通じて様々な場所にあらわれる"一実施形態における"若しくは"実施形態における"というフレーズ並びに任意の他のバリエーションの出現は必ずしも全て同じ実施形態を参照するとは限らない。
【0017】
以下の"/"、"及び/又は"、並びに"〜の少なくとも一つ"のいずれかの使用は、例えば"A/B"、"A及び/又はB"並びに"A及びBの少なくとも一つ"の場合、一番目に挙げたオプション(A)のみの選択、又は二番目に挙げたオプション(B)のみの選択、又は両オプション(A及びB)の選択を包含する意図である。さらなる実施例として、"A、B及び/又はC"並びに"A、B及びCの少なくとも一つ"の場合において、かかるフレーズは、一番目に列挙されたオプション(A)のみの選択、又は二番目に列挙されたオプション(B)のみの選択、又は三番目に列挙されたオプション(C)のみの選択、又は一番目と二番目に列挙されたオプション(AとB)のみの選択、又は一番目と三番目に列挙されたオプション(AとC)のみの選択、又は二番目と三番目に列挙されたオプション(BとC)のみの選択、又は三つのオプション全部(AとBとC)の選択を包含する意図である。これはこの分野及び関連分野の当業者によって容易に明らかになる通り、列挙される数だけのアイテムについて拡張され得る。
【0018】
図面において類似する番号は同一若しくは同様の要素をあらわし、
図1を最初に参照すると、誘電体層10の斜視図が一実施形態に従って示される。誘電体層10はシートとして形成され得、外側の生体適合性絶縁層をあらわす。層10のための生体適合性絶縁材料はマイラー(登録商標)、粘着膜、ポリエステル膜、ポリイミド膜、パリレン、ポリウレタンなどを含み得る。誘電体層10がその上に形成されるシートは最初に大きな平面薄膜シート上に製造され得る。一つのシートは複数の構造を含み得る。そして、個々のユニットが例えばレーザ切断、スタンプなどを用いてシートからカットされ得る。層と部品が最外層から最内層へ構成されるので、誘電体層10はシートにおいて第一の層であり得るが、必要であれば製造順序は反転若しくは他の方法で変更されてもよい。単一ユニットの製造を例示的に示すため、
図1はかかる大きなシートからカットされる単一ユニットを示す。第一の生体適合性誘電体層10はセンサを備える針若しくは他の装置の外層を形成する。誘電体層10は約25‐50ミクロンの厚さであり得るが他の厚さが利用されてもよい。
【0019】
図2を参照すると、導電層12が層10上に形成される。導電層12はセンサを備える針若しくは他の装置のための外側シールドを形成する。導電層12は層10に接着されるフォイルを含み、導電性インクを含み、蒸着金属などを含み得る。
【0020】
図3を参照すると、中間絶縁層14が導電層12の上に堆積若しくは形成される。ストリップのハブ端部16において、中間絶縁層14は端部まで及ばないので、外側シールド若しくは導電層12の小さなストリップが露出したままになる。この露出端は最終的に針コネクタ(不図示)が接続する外側シールド12用のハブ端リング電極を形成することになる。絶縁層14は約25‐50ミクロンの厚さであり得るが他の厚さが利用されてもよい。
【0021】
図4を参照すると、導電性信号トレース18が中間絶縁層14上に形成される。トレース18はT字形端部パターン20、22を提供するように堆積され選択的にエッチングされ得る。先端部24(遠位端部)において、T字形端部パターン22は形成されるセンサをカバーする電極26を形成する。ハブ端部16(近位端部)において、T字形セクション20は針コネクタが信号トレース18に接続するために使用するリング若しくはハブ電極28を形成する。導電性信号トレース層は約1ミクロン未満から数ミクロンの厚さを含み得るが、他の厚さが利用されてもよい。一実施形態において、電極26、28とトレース18は導電性インクを用いてプリントされ得る。例えばマスク蒸着若しくは蒸着及びエッチングなど、他のプロセスも同様に利用され得る。
【0022】
図5を参照すると、信号トレース18が別の絶縁層30でカバーされる。この絶縁層30は、センサがその上に置かれることになる針若しくは他の装置と接触することになる膜の側にある。先端部24において、絶縁層30はセンサ電極を露出させ、ハブ端部16において、絶縁層30はハブ電極28を露出させておく。絶縁18は約25‐50ミクロンの厚さであり得るが他の厚さが利用されてもよい。
【0023】
図5に示す構造40は、構造40がのびてその中に形成される導電性部品を損傷することがないよう、非常に薄いが強力なラミネートをその層のために含み得る。絶縁層10のうち一つ以上は、例えばポリウレタンを含み得るが、他のプラスチック若しくは絶縁材料が利用されてもよい。導電層12はフォイルを含んでよく、アルミニウム、銀、金若しくは他の生体適合性導体であり得る。構造40はその上に置かれることになる針若しくは装置の外周未満になり得る幅を含む。特に有用な実施形態において、幅は例えば外周の約20%から外周の約90%になり得る。
【0024】
図6を参照すると、構造40は構造40を管状形状に曲げることによって針42に取り付け可能になり得る。層30が針42(若しくは他の装置)と接触することになる。構造40は針42に巻き付く幅を含み、針42の直径よりもわずかに小さい。針42上に設置されるとき、構造40のエッジは針42の長さ(若しくは長さのかなりの部分)に沿ってはしるギャップ44を形成する。ハブ端部16が
図6に示される。
【0025】
ギャップ44のエッジの間に、針42の上をスライドすることができる伸縮可能な管を形成するために高弾性の異なる材料が適用され得る。弾性ストリップ46の適用は、例えば構造40のエッジに弾性ストリップを接着すること、又は構造40がテンプレート針に巻き付けられ、その後針42に移されるときにギャップ44において弾性材料の中へ乾く接着剤を適用することによって実現され得る。
【0026】
一実施形態において、
図1における誘電体層10は、幅が管外周(針外周)をカバーし、(層のスタックにおいて)針42により近い他の絶縁体層をより狭く(幅を小さく)するので、より剛性の構造40を作るような材料から形成され得る。
【0027】
ハブ端部16において、導電層12の小さな部分とT字形状20は折り重ねられ(折り返され)得る(例えば露出ストリップを管形状にする前に最後の最後で折り重ねる)。これは外側シールド12とT字形状20信号トレース用の接点を、クランプ型コネクタがこれらの接点に付着し得るように、形成された管の内面から管の外側にする。
【0028】
図7を参照すると、一実施形態に従って単一リングセンサ50が針42の先端部24において形成され得る。針42は好適にはステンレス鋼などの金属を含むが、他の外科的に適合する材料が利用されてもよい。針42の先端部24(遠位端)は圧電コポリマー32でコーティングされ得る。これはディップコーティングプロセスを利用することによって実現され得る。金属針42はコポリマーセンサ50用の底部電極として機能する。センサ50の上部電極は電極26になる。一実施形態において、コポリマーはPVDF若しくはP(VDF‐TrFE)リングを含み得るが、他の適切な材料が利用されてもよい。
【0029】
誘電体/絶縁層、例えば層10、14、30(
図5)について、比較的低誘電率を持つ材料を選択することが有利である。例えば、約2.1の誘電率を持つポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が選択され得る。しかしながら、他の材料へのPTFEの接着は問題になり得る。生体適合性ポリプロピレン(誘電率2.2)などの他の材料が利用され得る。多くのプラスチック/ポリマーは3.0に近い誘電率を持ち、同様に利用され得る。ポリウレタンはわずかに高い3.5の値を持ち、(埋め込み型ペースメーカーをコーティングするために使用される)医療グレードバージョンがあるため、本願での使用にとって魅力的である。さらに、ポリウレタンは高い平滑度と耐久性を持つ多くの材料に良好な接着を提供し、適切な溶媒を用いて薄い層に堆積されることができる。他の材料も使用され得る。
【0030】
本発明の原理は同じ針上のマルチセンサに拡張されることができる。これは先端の非常に近くにセンサを置く必要なく、針の配向の決定と、針先端の位置の決定も可能にする。マルチセンサからの信号に基づく先端位置の計算は測定精度も増すだけでなく、測定における信頼性の指標も提供するはずである。代償は、わずかにより複雑な製造プロセスと、マルチセンサの追加容量性負荷による信号のわずかな損失である。
【0031】
図8‐11を参照すると、別の実施形態はらせん状の外側ラップを用いて針若しくは装置に取り付けられることができる傾斜ストリップ102を含む。傾斜ストリップ102はこの実施形態において埋め込み圧電センサと相互接続(トレース)を含む。
【0032】
図8を参照すると、傾斜ストリップ102の形の絶縁体104はトング若しくはクロスストリップ106を含む。トング106はセンサを含み、ストリップ102が針(不図示)に軽くらせん状に巻き付けられるときにトング106が針のまわりにリングを形成するようにストリップ102に対して角度がついている。絶縁体104は上記誘電材料、例えばポリウレタン、マイラー(登録商標)などのうち一つ以上を含み得る。ストリップ102は医療装置上にストリップをらせん状に巻くための開始位置を実現するように鋭く傾斜した端部103を含む。
【0033】
図9を参照すると、一つ若しくは複数の底部電極108が底部電極108を接続する一つ若しくは複数のトレース110と一緒に形成される。底部電極108及びトレース110用の導電材料は導電性インク、蒸着金属、導電性ポリマーなどを含み得る。
【0034】
図10を参照すると、圧電材料112(例えばPVDF若しくはコポリマー材料)がトング106のみに適用される。圧電材料112はマスクなどを用いて堆積され得るか若しくは塗装され得る。
【0035】
図11を参照すると、一つ若しくは複数の上部電極114が圧電材料112の上に適用され、それらを接続しセンサ120を形成するトレース116と一緒に形成される。この実施形態において、マルチセンサ針はセンサを接続する共有トレースを備える。
【0036】
図12を参照すると、傾斜ストリップ102がわずかにらせん状に針に巻き付けられ得る。針122に触れる第一の層は接着性であり得る。この構造を針122上に強固に保持するために、フィルムなどの固定機構123が非常に細いストリップの形で作られ得る。この機構123は一つ以上の絶縁体125と導電層127を含む。導電層127は絶縁体の間に挟まれ得る。ストリップ102(及び/又は機構123)は針122を完全にカバーする密集した隙間のないらせんで針122に巻き付けられる。機構123は外側生体適合性絶縁層125と外側シールド(導電層127)を含む。この機構123の内側絶縁体(不図示)は接着性であり得る。
【0037】
代わりの実施形態は、例えばセンサが針と直接接触する構造を含んでもよく、針は一つの電極として機能する(
図7の通り)。他の実施形態では、管上に圧電センサが堆積される、相互接続を伴う部分的に弾性の管が利用され得る。
【0038】
一実施形態において、
図5の構造40は
図12同様らせんで針に取り付けられ得る。非常に細い接着性ストリップが
図6において構造40のまわりでらせん状になり得、このストリップは外側生体適合性絶縁体を形成し得る(そのため
図5における層30はもはや必要ない)。細い接着性ストリップの代わりに、
図6の構造40のまわりでらせん状になるために細いワイヤが使用され得る。ワイヤは接着性コーティングを持ち得るか、又は非接着性ワイヤが利用された後に生体適合性接着剤/カプセル材でのディップコーティングが続く。
【0039】
一実施形態において、熱収縮管などの管、又は化学物質若しくはUV光にさらされると収縮する材料など、同様の材料が本発明の原理に従って(らせん状若しくは巻き付けられる)ストリップをカプセル化するために利用され得る。
【0040】
他の実施形態において、センサはPVDF若しくはコポリマーを含み得るか、又はセンサは例えばPZT若しくは別の圧電材料、若しくは容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)など、全部で異なるセンサを含み得る。
【0041】
一実施形態において、接着層が針に適用されることができ、記載のストリップ若しくは構造がそれらを接着させるために針のまわりに押し付けられるか若しくはらせん状にされ得る。
【0042】
製品原価を低く抑えるために、使用される材料は低コストであるべきであり、製造工程は労働及び設備コストを回避するために大きなボリュームで高度に自動化されるべきである。これらの目的を考えると、PVDFとP(VDF‐TrFE)などの圧電ポリマーがセンサ製造用の候補材料である。PVDFサンプルにおいて動きを生じる印加電圧の能力が、PVDFベースのハイドロフォンを用いて検出され得る超音波を生じるために使用される。所与の医療用途においてセラミックベースの圧電物質若しくはPVDFを使用するかどうかを決定するのに様々な考慮すべき事項がある。共鳴の配慮から低周波数ほど厚いPVDF膜が採用されるべきである。PVDFセンサはキャパシタンスと直列な電圧源としてモデル化されることができ、厚いセンサほど面積が小さい。これは小キャパシタンスをもたらす。従って、一般に、PVDFは周波数範囲25‐100MHzで実行される医療超音波作業にとって利点を持つと思われる。PVDFはまたPZTと比較してより高強度の超音波を送信する能力が限られる。
【0043】
PVDFは例えば超音波を検出するためのPVDFハイドロフォンにとって、低周波数でも望ましい挙動を持つ。一部の実施形態で同様に利用され得るPZTと比較して、PVDFはもっと高い帯域幅を持ち、従って波の遷移挙動をそれだけ歪めない。低出力キャパシタンス問題はこの場合センサに非常に接近して高入力インピーダンス電界効果トランジスタ(FET)ベースのプリアンプを組み込むことによって対処され得る。d33定数、印加電圧について進展される厚さ方向におけるひずみは圧電セラミックの場合、圧電ポリマーの場合よりも約1桁高い。圧電セラミックの一つの欠点はその高い音響インピーダンスであり、身体組織の約1.5MRaylsと対照的に約30MRayls(1MRayl=106kg/m
2s)である。このインピーダンスミスマッチは4分の1波長マッチング層によって補正され得るが、これらは接着層と工法のために超音波パルスを劣化させ得る。圧電フィルムの音響インピーダンスは約4MRaylsであり、ずっと良好なマッチングである。付加的に、セラミックは壊れやすく、所望の幾何学形状に成形できない。PVDFは組織に近い音響インピーダンスを持つコンフォーマブルで柔軟な低コスト材料であり、これはPZTとは異なりマッチング層を要しない。
【0044】
PVDF圧電フィルムはクリーンルーム環境で製造され、シート形状へのPVDF樹脂ペレットの溶融押出で開始する。次に、シート厚を約5分の1に減らす延伸ステップがある。この延伸は、ポリマーの融点をはるかに下回って、分子鎖パッキングを"β相"とよばれる平行結晶面にする。高レベルの圧電活性を得るために、β相ポリマーはその後非常に高い電場にさらされ、ポーリング場に対して結晶子を整列させる。延伸ステップにおいて、フィルムは一寸法のみに沿って(単軸フィルム)若しくは両寸法に(2軸フィルム)延伸され得る。2軸フィルムは主に厚さ方向のみにその圧電感度を持つが、単軸フィルムは厚さ方向と非延伸平面方向の両方でひずみに敏感である。
【0045】
より高温での使用を可能にする新たなPVDFのコポリマーが開発されている(例えば従来のPVDFの100℃に対し一部のコポリマーの場合135℃という高さ)。これらの温度は臨床用途では見られないが、高温耐性は製造及び殺菌工程を単純化するのに有利であり得る。PVDFのコポリマーは延伸なしで分極性であり、200オングストロームに至るまでの非常に薄いフィルムがスピンキャストコーティング技術を用いて製造されることができ、かかる薄い層は標準PVDFでは実現不可能である。加えてコポリマーはわずかに高い厚さモード圧電定数を持ち、PVDFと比較して約10%高い感度につながる。
【0046】
本発明の原理は針に、より具体的には生検針に関して記載されている。しかしながら、本発明の原理は圧電センサ(受信器)、送信器若しくはトランスデューサが必要ないかなる機器にも適用され得る。かかる装置はカテーテル、ガイドワイヤ、内視鏡、埋め込み装置などを含み得る。本発明の原理は外面にコンフォーマルに適用されるセンサ用のビルトインを伴う比較的低コストの装置を提供し得る。製造原価を低く抑えるために、使用される材料は低コストである必要があり、製造工程は労働及び設備コストを回避するために大きなボリュームで高度に自動化されるべきである。本発明の原理にかかる装置は医療装置若しくは機器の上にコンフォーマルに形成されて置かれる低形状因子を提供する。特に有用な実施形態において、本発明の原理は、超音波ガイド針インターベンション、例えばRFアブレーション、肝生検、神経ブロック、血管アクセス、膿瘍ドレナージなどのために利用される。
【0047】
図13を参照すると、医療装置へセンサを適用するための方法が例示される。ブロック202において、誘電材料とセンサ部品を含む複数の層を持つ柔軟な平面ストリップが本実施形態に従って設けられる。センサ部品は完全にストリップ上にあり得るか、若しくは一部ストリップ上に、一部医療装置上にあり得る。
【0048】
ブロック204において、医療装置を少なくとも部分的にカプセル化するように柔軟な平面ストリップが医療装置に巻き付けられる。ブロック206において、ストリップ上のセンサ電極が圧電ポリマーと接触して少なくとも一つのセンサを形成するように、圧電ポリマーコーティングを持つ医療装置、例えば針に柔軟な平面ストリップが巻き付けられ得る。ブロック208において、柔軟な平面ストリップが装置の外周の少なくとも一部に巻き付けられ、医療装置の上にストリップのエッジを固定するように固定機構が構成される。ブロック210において、柔軟な平面ストリップは、ストリップが医療装置のまわりでらせん状になるときにトングが医療装置のまわりにリングセンサを形成するように、ストリップと角度をなす少なくとも一つのトングを含み得る。
【0049】
ブロック212において、医療装置上へのストリップの適用によって少なくとも一つのセンサ装置が医療装置上に設けられるように、ストリップの上の固定機構を用いて医療装置へストリップが固定される。一実施形態において、固定機構はストリップに巻き付くように構成され、シールドと少なくとも一つの誘電体層を形成するために導電体を含む(例えばらせん状に巻かれる実施形態の場合)。導電体はその上に接着剤若しくは誘電物質を伴う若しくは伴わないワイヤを含み得る。
【0050】
ブロック214において、ストリップは近位端部上にハブ電極と導電性シールドを含み、導電性シールドとハブ電極は導電性シールドとハブ電極への外部電気接続を可能にするように折り返され得る。
【0051】
ブロック216においてセンサを電子機器へ電気接続するために外部コネクタが適用される。一つ若しくは複数のセンサは測定をするために利用され得る。特に有用な実施形態において、センサはガイド針アプリケーションのために超音波エネルギーを測定する。他のアプリケーションと装置も考慮される。
【0052】
添付の請求項を解釈する際、以下のことが理解されるべきである:
a)"有する"という語は所与の請求項に列挙されるもの以外の要素若しくは動作の存在を除外しない。
b)ある要素に先行する"a"若しくは"an"という語はかかる要素の複数の存在を除外しない。
c)請求項における任意の参照符号はその範囲を限定しない。
d)複数の"手段"は同じ項目又はハードウェア若しくはソフトウェア実装構造若しくは機能によってあらわされ得る。
e)具体的に示されない限り特定の動作順序が要求されることを意図しない。
【0053】
薄膜圧電センサを備える針(例示であって限定ではない意図である)について好適な実施形態が記載されているが、上記教示に照らして修正と変更が当業者によってなされ得ることが留意される。従って添付の請求項によって概説される本明細書に開示の実施形態の範囲内にある変更が開示の特定の実施形態においてなされ得ることが理解されるものとする。特許法によって要求される詳細と細目がこのように記載されているが、特許証による保護を望まれる特許請求の範囲は添付の請求項に明記される。